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シナリオ詳細

もやそうハーモニアの竹林(初級編)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●バンブーハーモニアis何
 それは、深緑の一角にぽつんと生えていた。それが始まり。
 三角錐の形をした茶色のそれは灰汁こそ多いが上手く抜くことで食品として非常に有用であったので、その地の幻想種達はいたく気に入った。
 そんな素晴らしい植物があるのなら、是非に育てたいとすら思った。
 ……思えばそれが間違いだったのだが、気付いた者はいなかった。
 何故か?

 それが見つかって二日目、周辺の魔力密度が僅かに減った。その三角錐から緑色の節くれだった植物が伸びた。それは一日で子供の身長を超えたという。
 三日目。茶色い三角錐があちこちに生え、しかし幻想種達で食べ切れる量ではなかったので放置された。緑の植物は静かに明滅する。
 ……一ヶ月後。あたり一帯は緑の節くれだった植物に囲まれ、幻想種達はそれが当たり前であるかのように生活をし始めていた。
 その植物は加工がたやすく強度に優れ、弓に扱うにはもってこいであり、細く切ったそれを電撃魔法と組み合わせると強い光を放つという。
 斯くして彼らは気付くことなく植物に洗脳され、その植物を守るようになり、繁茂したそれらは徐々に侵食を増し……。
 最終的にその地は、「バンブーハーモニアの森」と呼ばれるまでに成長したのだった。めでたしめでたくもなし。

●マジカル竹林を燃やそう(燃やせない)
 イレギュラーズは、疲れ果てた眼鏡の情報屋から「侵略的外来植物『T.A.K.E.』の焼滅」を依頼された。最悪、状況把握して相手方の戦力を確認できれば良し、という非常に消極的な依頼だ。
 旅人であるイレギュラーズは笑ってみせた。パンダに食べられるだけの植物に何ができよう、と。
 混沌出身の一人は、名前だけは知っているしどこかで武器の素材として見たことはあるが、そんなに危険なものなのか? と問う。
 くだんのイレギュラーズは、その植物の特性を思い出そうとし……空から降ってきた巨大な砲弾じみたものを死力を尽くして回避した。

 ドッ……!
 地面を抉る炸裂音。人ひとり分の全長に直径2mはあろうかという弾丸……否、それは盾だ。複数のカイトシールドを外側で突き合わせ、T.A.K.E.の柔軟性をカタパルトとして飛んできた、これは――兵士!
「我が聖地に踏み入ろうとする不敬の輩か。如何に同輩がいようと我らの加護を持たぬ者は滅すべし」
 そうだね、手に竹槍、竹のカイトシールドに背には竹籠。筍いっぱいだね。竹の籠だけに加護ってか。くっだらねえわ。
 あともうT.A.K.E.とかめんどくせえ。竹でいいや竹で。
「ハイヤーッ!」
「GRRRRROOOOONNNN!!」
 竹林を叩き折りながら新手のバンブーハーモニアが現れる! 待って、壊していいのその竹?
「我らの神聖なる地へ踏み入ろうとする愚昧は竹蒸しにして埋めてしまえ! 筍として転生させ、然る後に我らの糧となるのだ!」
 現れたパンダ騎兵が手にした弓は黒光りしており、周囲に現れた弓兵の、竹を加工しただけのものとは一線を画す雰囲気を持っている。
「このバンブーカーボン弓の冴えに賭け、エイヘル・ヴァン・ブリューゲルが貴様達を掃討する!」
 ヴァン・ブリューゲルだけにヴァン・ブーってか。やかましいわ。
 ……まあ冗談甚だしいけど包囲されたイレギュラーズはここから撤退し、情報を持ち帰らなければならない。
 敵は強力だぞ! 割と生還が勝利条件になるくらいには!

GMコメント

 感染症騒ぎからこっち、胡乱話界隈が騒がしいんですがとうとうお誂え向きの話が来ましたね。
 来ましたねじゃなくてさ。

●成功条件
・バンブーハーモニア軍の追撃から離脱するor半数の戦闘不能に至らず15ターン凌ぐ(各戦力・及びエイヘルの討伐は条件に含まれない)
・(オプション)敵戦力及びマジカル竹の特性把握(戦闘ターンがながければ把握率が上がり自然と報告書に載ります)

●バンブーハーモニア
 侵略的外来植物T.A.K.E.(マジカル竹)の精神汚染を受けた幻想種達。脅威の威力を持つバンブー決戦兵器を手にしているため見た目の馬鹿馬鹿しさを遥かに超えて強い。

○重装兵(初期数6)
 竹編みの盾、竹帷子に竹槍を装備したタンク・アタッカー型。
 防技とか結構高い。シールドバッシュ(物近単・痺れ)や至近戦での仕込み竹スタッキング(中威力・防無)などを使ってくる。
 10ターン経過「程度」でバンブーカタパルト(超超射程・命中極低・高威力。重装兵6名増援)が発生する。
 増援含めて全部倒そうとするとそれだけでNORMAL案件。

○弓兵(並)×5
 緑の弓を持つ手練の弓兵。鏃も竹。先端には強烈なメントール成分を有し、【出血・致命・業炎】のうちランダムでBSを被る。
 命中精度高め。射程3。

○エイヘル・ヴァン・ブリューゲルWithパンダ
 バンブーハーモニア達の(この中では)リーダー。
 パンダとエイヘルはそれぞれ別に攻撃行動を行う。移動はパンダ基準(機動5)。
 パンダは高反応高防御。攻撃力はそこそこだが、強化バフのウォークライを使用(自分から2レンジ)。
 エイヘルは黒い弓(基本レンジ4、高命中)を持ち、三連打ち(物超単・連・恍惚)や獣精一体射(?超?・威力中~高・詳細不明)を使用してくる。
 倒そうとしなくていい相手。マジで。

●侵略的外来植物T.A.K.E.(マジカル竹)
 何故か混沌に生えてきた竹。魔力を吸ったりなんかする。
 実はOP情報の半分くらいがPL情報であり、戦闘中の会話でふんわり把握しないといけない。面倒。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • もやそうハーモニアの竹林(初級編)完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年07月05日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
三國・誠司(p3p008563)
一般人

リプレイ

●混乱している暇はあんまりない
「いやちょっと待ってください、竹は知ってますよ、凄い成長が早い植物だって。それが何でこんなことになってるんですか!?」
「ああ、あの唾棄すべきT.A.K.E.を焼く……ただそれだけの依頼だった筈ですのにまさか、その瘴気に当てられて正気を失う方がいるだなんて……」
「瘴気?! アレ瘴気のせいなんですか?」
 『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は混乱していた。竹は知っている。だが『マジカル』がついただけで、何故ここまで危険なブツになっているのか……と。
 かと思えば『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)は訳知り顔で瘴気とか言い出すし、彼女の混乱を助長すること請け合いだ。まあこの子の口にすること全部素で信じてたらエラいことになるんだけど。ジバクゲラとか。
「燃やしても良い依頼と聞いておったのじゃが一瞬で包囲を!?」
「あの、私は『深緑で植物を焼く依頼』と。それだけ聞いて来たのです。我が悲願の一端が、ついに成される時が来たと。それも大手を振って堂々と」
 『放火犯』アカツキ・アマギ(p3p008034)と『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)、この二者は本当によく似ている。火を好み、燃やすことに並ならぬ執念を燃やすというところが特に。だが今回に限っては、残念ながら好き放題燃やすことが出来ないのだ。何故なら。
「残念だったな、痴れ者共め。我らが母なる竹に手をかけようなどという愚行を、『母』が、子が、見逃す筈があるまいて!」
(これ母って竹のことでいいんじゃよな)
(完全に頭イッちゃってますね。ここまで酷い知り合いはいないのですよ)
 流石にアカツキもクーアもエイヘルの態度にはドン引きだ。だが、距離を詰めず離れず、いつでも射れるように油断なく構えているのは一線級の戦士らしさを感じさせる。彼女を屈服させるのは、今この状況では無理だろう。アカツキは、エネミースキャンの結果に半ば絶望すら覚えつつ顔をしかめる。
「敵の編成は重装兵6に弓兵5、そいでもってそこのリーダーっぽいやつとパンダなのじゃ。竹は……魔力とかしこたま吸っとるのじゃ。対策無しでなんとかなるモノじゃないのじゃ……」
「くっ……共存を拒む侵略植物め、調和を是とするハーモニアとして見過ごすわけにはいかないわ!」
「母の声を拒んだのは貴様等が先だ! 調和を語るなら百と二十年の栄光など見過ごしてみせよ!」
「私の今までの人生の7倍以上じゃないバカじゃないの!?」
 『緑雷の魔女』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)はエイヘルの幻想種特有の悠長な言葉に、流石にキレ散らかすしかなかった。
 悠久の時を生きる種族だからといって、体感での時の流れが長いわけではない。若い世代なら特に、スパンの長い話を聞かされればうんざりもする。
(竹……しかもマジカルだと? 世界を滅ぼす気か……?)
(ギャウウ……)
 『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は割とマジで今回の件を危惧していたし。『煌雷竜』アルペストゥス(p3p000029)は仲間達の動向は脇においてこの竹美味しいんだろうか、などと考えていた。危機感の温度差ですでに風邪をひきそうだよ。
「まってくれ、僕らは決して君たちの敵じゃない、しんじ……」
「問答無用ォ! 巫女殿が敵と見做した貴様等を生きて返すと思うてか!!」
 『強く叩くとすぐ死ぬ』三國・誠司(p3p008563)は何とか説得できないかと一瞬考えたが、到底無理であることを肌で悟った。仕方ないよね。絶対竹ってキめるとこうなるわけじゃないからね。内心誠司が「んなわきゃねえだろ!」と叫びたくなるのもわかるよ。
「何が巫女よ、ただの弓持った蛮族じゃない! ……ええい、生存が最優先よ!」
 アルメリアは「巫女」ことエイヘルを指差してまくしたてると、周囲とアイコンタクトを交わして戦闘態勢に移る。
 馬鹿馬鹿しい、度し難い、理解し難い……だがそれ以上に、肌感覚でわかる。このハーモニア達は、油断ならぬ強敵であると――!

●突破せよ、二重包囲網
 弓兵達は一斉に矢を番え、重装兵はまっすぐ包囲を狭めてくる。
 考えうる限り最優の布陣、あとは避け得ぬ破滅へ追い込めば不埒な侵入者を一層できる。そう、エイヘルは目論んでいた。
「これが私の餞なのです!」
「そっちから固まってくれるなら好都合だ!」
 だが、彼らは諦めが悪い。
 弓兵達目掛けて放たれたクーアの炎はギリギリ二人を巻き込んで爆ぜ、重装兵のど真ん中目掛け誠司が叩き込んだ砲撃は重装兵達の盾を揺らす。竹がなくば危なかった。半端な鍛錬では彼らはやられていただろう。
「嗚呼……T.A.K.E.ごときに心を奪われてしまうなんて……なんて哀れなことでしょう……」
 エルシアは手を組み瞑目し、ただただ敬虔な祈りを捧げる。彼女に戦いの才などない。正しき祈りを正しき機に合わせ捧げるのみで、あとは相手が正気に戻るのを期待するしかないのである。
「ゴァァァアオオオオオン!!」
 パンダは重装兵を鼓舞するように雄叫びを上げ、素早くイレギュラーズ達を距離を取る。獣の割に、ところどころ見せる確かな知性が憎らしい。
「んで襲ってくるんですか!? おかしいですよ!? ……ああもう、話を聞かないのは嫌われますよ!」
「貴様ら異教の徒と交わす言葉など無駄であるわ! 去らぬ愚者は討つのみ!」
 シフォリィはサーブルをまっすぐ構え、重装兵達へ向け威嚇する。洗脳された彼らに説得は無駄だ。が、それが説得でないとするなら。挑発である、とするなら。成程、弱者に見せかけた戦闘巧者の振る舞いである。
「弓兵がなんと言っても邪魔ね……一人くらい倒れてくれないかしらね!」
 アルメリアは弓兵の一人に照準を合わせ、雷の魔力を集中させる。一点に収束させることで威力を高めたそれは、互いに狙える距離だった両者を繋ぐ糸の如くに伸び上がる。だが赤い糸などとはまるで違い、別れのための一糸であることは明白だ。竹を編んだ装具を纏っていたがために即死は免れたようだが、相手に動けるだけの力はあるまい。
「その御自慢の竹。どれ程のもか……斬って試してくれる!」
 汰磨羈は二振りの魔刀を両手に携え、次々と飛ぶ斬撃で以て弓兵を切り刻む。アルメリアほどの一撃の破壊力はないにせよ、手数の多さでいえば全くひけをとらない彼女が、たとえ竹の加護あろうとも弓兵ひとりにかかずらうわけがない。一人を沈めると、次の対象を鋭く睨む。飛び来たった矢をすんでで躱し、次の一射を敢えて横っ飛びで受けにいく。その先には、エルシアの姿があった。
「汰磨羈さん!」
「気にするな! ……無事か、エルシア?」
 叫ぶエルシアに、汰磨羈は矢を引き抜きつつ問う。動揺を隠せずとも、彼女は気丈に頷いてみせた。戦場にあるには如何にも儚く、弱々しく見える彼女だが……その実、彼女の祈りがゆえか、確実にバンブーハーモニアは抗う数を減らしつつあった。
「そこのパンダ、妾が相手になってやるのじゃ!」
「我が相棒に近付きその行手を止めるとは……不届き千万! 命をこの緑に捧げよ!」
「ゴアァァァオオォォン!」
 アカツキが放った強烈な魔術を、パンダは正面から爪で叩き落とそうと試みる。だが遅い。
 空を切った爪に対し、胴の辺りで炸裂した魔力は明白に、パンダの毛皮に血のシミを生み出した。エイヘルは怒りと僅かな愚弄を籠めて吼えるが、続く彼女の所作には腹を立てるどころではない。
 素早く放たれた三連射を、一撃目は肩で受け止め、二撃目を姿勢を低くして敢えて突っ込み、躱したのだ。素早く次の矢を番えたエイヘルの前には、アカツキが既に肉薄しているではないか。
「愚かな! 術士風情が我らの前に身を晒すとは……気でも狂ったか?!」
「妾は素面なのじゃ。狂ってもおらぬ。じゃから、汝の目論見は暴かせて貰うぞ」
 エイヘルの問いに、アカツキは目を光らせ不敵に笑う。不利が覆ることはないが、相手の動揺は明らかだ。敵の情報を得るには冷静さを奪うのが何より肝要。そして、彼女を押し留めねばイレギュラーズは逃げられないのは火を見るより明らかだった。
「グル……」
 アルペストゥスは不調に陥った仲間の復帰を手助けし、攻め手を止めぬことを第一義とした。汰磨羈のように傷を癒やすことはできないが、一瞬でも長く仲間が戦う手助けならできる。
「包囲網が突破できるなら狙いたいけど……選んで倒してる暇もなさそうだね?!」
「弓兵が蹴散らせれば大分楽になるのですよ。あとは……重装兵ですか」
 誠司は当たるを幸いに砲撃をばら撒き、敵勢の混乱を招くべく全力を尽くす。クーアは発火術を駆使することで竹ごと燃やすことを目論見、それで以てバンブーハーモニア達の混乱を誘い、正常な判断力を奪いにいく。……それでも一度の失態を受け、素早く散開した敵の動きは面倒極まりない。
「そのわざとらしい盾、槍! 近付かれると邪魔で仕方ないんですよ! 離れてください!!」
 シフォリィは殺到する重装兵達を弾き、押し返し、誘い込んで受け止める。単騎で彼らを捌く以上、決して軽い負傷では無いが……他者が肩代わりするよりずっと軽い怪我で済んでいるのは幸いであった。
「グルルルッ!」
「大丈夫じゃ、汝は弓兵が捌けたなら重装兵を狙うのじゃ!」
 大丈夫か、とアカツキに問うアルペストゥス。エイヘルと離れぬよう踏み込みつつ、パンダの剛力を凌ぐアカツキ。至近戦に持ち込まれたエイヘルは、彼女を無視して矢を放つが、パンダはそうもいかない。本能にまかせて攻めを繰り返すそれを止めねば、少なくとも十分な力を出すことは敵わぬように見えた。強敵たる彼女の本領を出さずに凌ぐ。かなりの無茶だが、その甲斐あって被害は最小限に抑えられていた。
 ……アカツキのそれを度外視すれば、だが。

●撤退せよ、そして知らしめよ
「エルシアさん……大丈夫?」
「大丈夫です……正気を取り戻した方々が増えているのでしょう、喜ばしい……ことです……!」
 誠司はシフォリィの傍らを抜けた重装兵の槍を受け止め、背後で手を組むエルシアへと振り返った。彼女は敬虔な祈りを捧げている。某かの神にではなく、自然そのものに。
 自然は彼女の祈りに応じたか、弓兵に続いて重装兵も一人、ふたりと正気に戻している(ように見えた)。その祈りの深さに、仲間達も勝機を見出す。
「大分減ったけど……時間は!? このまま悠長に倒してたら増援が来るわよ!」
「応とも、そろそろ逃げに転じぬとジリ貧になるぞ!」
 アルメリアは重装兵ごと弓兵を地面に叩きつけると、細く息を吐き出した。莫大な魔力を消費する大魔術の連発は、彼女が尋常ならざる魔力と強壮薬、そして自然の加護を駆使するが故に保っている。
 だが、エルシアは『祈っているだけで魔力を消費する』。護りを度外視し相手に語りかけることで己を鼓舞する彼女は、根底から自分とはつくりが違う。
 それはそれで恐ろしい自己暗示の賜物だと、アルメリアは知っている。
 ――アカツキとシフォリィは、互いの相手に渾身の一撃を叩き込み、視線を交わす。両者の所作に気付いた仲間達は、言葉を交わさず……一斉に逃げへと転じた。
「な……っ、仲間を見捨てるというのか、貴様等!?」
 さしものエイヘルもこの動きには虚を衝かれた。なにせ、シフォリィが受け持つ重装兵は未だ二人が健在なのだ。彼女一人で倒し切るのは、どうあっても不可能、とは言わずとも無事ではすまない。それ以上に、アカツキだ。最悪、エイヘルはパンダとの連携で彼女を地面に引き倒して残りを追うのなど容易だ。つまり――。
「ガァァァアアアアウッ!!」
 逃げに転じた中、ただ一体だけ転進したアルペストゥスの巨体を、彼女は愚かしいことに見逃したのだ!
 彼のブレスは、収束してエイヘルの喉を突き、息を詰まらせ後方へと吹き飛ばした。傷がつく類ではない。が、彼女はその瞬間、パンダから転げ落ち、竹に背中から叩きつけられた。
「が、っ、……は……!?」
「ゴゥゥゥァァオン?!」
 パンダは次の瞬間、当たり前のように彼女へと向かう。気にするな、とも臆すな、とも告げる暇を失ったエイヘルは、高々と飛び立ったアルペストゥスと、常識はずれの脚力で――体力に乏しいエルシアでさえも――自分達を振り切ったことを見て取った。
 驚くべきは切り替えの速さ。逃げを打ったイレギュラーズは、相応の成果を上げたうえで、逃げ切ったのだ。
「あの竹、リュミエ様のお耳に……いえ、無駄かしら……」
 アルメリアは懸念を以てリュミエにことの一部始終を伝えるか、逡巡する。が、悠久のときを生きる彼女が「たかだか120年で花をつけ滅びる植物」を不寛容とするだろうか? 彼女はそれを考え、口をつぐんだ。

 なおシフォリィ他数名が筍を持ち帰ったことで情報収集が進む、と思ったんだけど、一同がめっちゃ食べたそうです。美味しかったらしいし、術士にとってはほんとやばい(語彙)の味だったらしい。

成否

成功

MVP

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜

状態異常

アルペストゥス(p3p000029)[重傷]
煌雷竜
三國・誠司(p3p008563)[重傷]
一般人

あとがき

 話が進んだようで進んでいないような!
 まあ、そういう結果です! 色々情報は集まったけども!

 ぶっちゃけ機動底上げした全員がMVPでもいいくらいですが、やはりここは最後に逃げを確実なものとしたアルペストゥスさんが相応しいと思います。
 いや、バンブーハーモニアの被害率すごかったんですけどね……増援到着、撤退のギリ直後でしたし。

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