シナリオ詳細
【初心者さんも!】いつもの場所でキミと話そう
オープニング
●はじまる場所で帰る場所
「あっという間。本当に、あっという間でした――」
この情報屋見習い、プルサティラがローレットに加入するきっかけとなったザントマン事件、その後の海洋大号令、ヘイムダリオン、冠位魔種、竜種――
大きく動く世界の傍ら、別の世界もくるくる回り、人々もまた絶え間なく巡る。東で鉄帝が動く最中にも練達は自由に振る舞い、流浪の民も今、何処かを旅しているのだろう。
今日もまた、ローレットには沢山の情報がやって来る。ローレットの誇るイレギュラーズ達にも、新しい顔ぶれが随分と増えた。
見覚えの無いイレギュラーズ達が、プルサティラの目の前を通り過ぎていく。新しく来た者たちか、復帰した者たちか。彼らはどんな人間で、何を思って此処に来たのか。
彼女も比較的最近加わった者のひとりで、未だ先達の背中を追う日々だが、そろそろ一人立ちも考えるべき頃だろうか。
一歩踏み出すのはそう、いつだって不安だ。けれど、その一歩が無ければ何も変わらず、未来を掴む事だって出来ない。あの時だって一歩踏み出せたから、今生きてここに居るのだ。
「あの方たちのお話、聞いて……みたいですね」
情報屋たるもの、メンバーの顔を覚えておくのも大事な仕事――というのも勿論あるが、とこしえの緑の中、長いことほぼ変化のない生活を続けてきた彼女は、己以外の誰かの話が楽しみでもある。
混沌に名だたるあの勇者とて、最初はあなた達同様、初めての日は必ずあった。
戦いに明け暮れる歴戦の英雄も、時には日常に帰るのもいい。
かなしみも、よろこびも。いつもの場所で、キミと話そう。
これは運命を変えうる者たちの、ちょっとした日常のモノガタリ。
- 【初心者さんも!】いつもの場所でキミと話そう完了
- GM名白夜ゆう
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年06月24日 22時15分
- 参加人数27/100人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 27 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(27人)
リプレイ
●
「昼飯の時間だー!!」
いつもの席でいつものオーダー。風牙の場所は今日も変わらず……と思いきや、近くの席には見慣れない顔。
「えーと、ぷるす……ぷるし……」
「プルサティラ、です」
「わ、悪ぃ悪ぃ! オッケ、覚えた!!」
イレギュラーズたる彼の事は、勿論プルサティラの知るところ。
「風牙さん。あの海、絶望の青では、色々な場所で頑張っていらっしゃいましたよね」
彼女は人々の話を聞いているとか。出身世界の事や魔を討つ心意気、自身の事を取り留めなく話しながら、炒飯と唐揚げを平らげる。
今日の炒飯はキッチンを手伝うイナリ謹製、豊穣の米を使った絶品。絶望の青を超えた風牙には、サービスで大盛りに。
「一人でメシ食うのも、ちょっと寂しいもんだし……うん、美味い!」
「ええ、ええ。皆で食べた方が、美味しいですからね」
プルサティラも同意し、頷いた。
(なるほど。お米自体に味を付けて強火でパラパラに……そういうのもあるのね)
イナリが料理人を観察する。混沌中、あるいは外からも多様な食文化が集まるこの場所は、料理の修行にも打ってつけだ。この日の米料理は、特に評判が良かったという。
「パンケーキください!」
ラミアの少女、ダナンディールも注文に訪れる。蛇の下半身は邪魔にならないよう、椅子に巻き付けてコンパクトに。さり気ない所作から、気遣いと礼儀正しさを感じさせる。
「こんにちは。おや、蛇のお嬢さんとは」
ケンタウロスのロビンが親近感を感じて挨拶し、ダナンディールも元気よく返す。
「やっほー! 今日は何か賑やかだなー!」
続けてやって来たのは洸汰。知らない顔も混じる中、幻想種の情報屋と目が合う。
「はじめまして。プルサティラと申します」
「オレはシミズコータ!」
「ええ。お話好きでお友達の多い清水さん、ですよね」
ローレットでの活躍目覚ましい彼については、ギフトや出身地もよく知っている。話題は変わり、遊びについて。
「野球……野球は時折依頼でも来ますが、ルールが難しいですよね」
「じゃあ、今度教えるな!」
一緒にやろうと約束を交わす。彼が慕われる理由は、決してギフトだけに拠らないのは明白だろう。
「じゃあ次は皆の番!」
と、洸汰は誠也に話を振った。
「話、話……? えっと、俺、まだ此処には来たばっかりで、何話したらいいんだろう……」
「僕もそんな感じですね。ここの所、家の仕事ばかりでしたし……」
「僕も僕も! この前、久しぶりに起きたんだ」
ロビンとダナンディールも、誠也と近い身の上。彼の仲間は、少なくないようだ。寄る辺ないこの世界で、今一番の関心事といえば……
「友達が欲しい、かな」
もちろん、喜んで。誠也のもとには、幾つもの温かい返事。
洸汰から渡されたバトンを、ロビンへと渡す。
「僕のお話ですか? 家は領主なんですが兄が3人いまして、僕がやることなんてほとんどない……んですけど……」
「お金持ちなんだ!」
2枚目のパンケーキに取りかかりながら、ダナンディールが相槌を打つ。
「そだそだ。今、知っておいた方がいい事ってあるかなあ?」
これからはバンバン活躍したいし! と、パンケーキを頬張りながら意気込んだ。最近の大きな話題と言えば。と、プルサティラが語る。
「つい最近のお話ですが、絶望の青の向こうに新天地が見つかったのです。色々と、色々と変わった場所のようですよ」
「そこの貴方。プルサティラは、魔法少女なのか?」
「ま、魔法……は、使いますが……?」
唐突に問いかけてきたのはイリス。今月で齢111を迎えた女を少女と言うのは、混沌とは言えやや厳しいが、ひとつの目的の為だけに作られた彼女は、それ(魔法少女)の事以外を知らず、それについてしか語れない。
「ふむ。確かにセンサーは反応したのだが」
「えと……ご期待に副えず、申し訳ない、です……?」
勘は外れたようだが、現在集まっている情報だけでも、混沌全域に居る『魔法少女』のおおまかな情報が得られる。これだけでも収穫だろう。
●
ところ変わって別の卓上。ジュースとパンにビーフシチュー、グラタンといった料理がずらりと並ぶ。これらは全てアビゲイルの注文だが、大量の御馳走を目の前に、アビゲイルが改めて震えた。
「こ、これ、本当に、食べていいの?」
「ええ。僕の奢りですから、遠慮なく食べなさいな」
雇い主のオズワルド自身は、ワインとチーズで軽く一杯。
「い、いただきます……!」
アビゲイルは恐る恐る、熱々のグラタンを口に運ぶ。その瞬間、生気の無かったアビゲイルの目が輝き出した。
「……美味しい!」
「それは何より。しかし、随分頼んでいますが……食べきれますか?」
オズワルドの心配は、すぐ杞憂に終わった。久方ぶりの御馳走を、我を忘れたアビゲイルが次から次へと頬張り空の皿を積み上げていく。
「ほらほら、髪。耳にかけないと、髪も食べてしまうよ」
「むぐ!?」
時既に遅し。はっとしたアビゲイルが手を止めて髪を整え下品を詫びるが、オズワルドはいたって上機嫌だ。
この従業員は大きな身体に小動物のような所作が面白く、時折思いがけぬ表情を見せてくれ、見ていて実に飽きないのだ。
(オズワルドさんは優しいな……)
この雇い主さんとはまた一緒にご飯を食べたい。チーズ以外に、この人は何を食べるのだろう? 互いへの興味は尽きない。
「色んな奴を見てきたが、泥人形? は初めてだわ」
「人が居る所に泥人形在り、という事だ」
偶々居合わせたヴィクターとマッダラーが酒を酌み交わす最中、軍靴の音が聞こえた。
「小官はソーニャ・カリーニナ・デグチャレフ。最終官位は少佐である」
小さな女性軍人、見ない顔だ。着任時挨拶といった所か。挨拶後、入口付近で右往左往しているのを見て、マッダラーとヴィクターが少女を招いた。
「初めまして、俺はヴィクター。しがない魔術師さ」
「俺はマッダラー。泥人形だ」
少女軍人の歓迎にと、マッダラーがギターを奏でる。最初は静かに、やがて陽気に。
「参加者! 私一人! わーい!」
楽し気な音楽は、別卓でひとり飲んでいた秋葉の元へも届く。巫女と泥人形の目が合う。酒の席に人が増える。賑やかな方が良い。泥人形は人が好きだ。
「ここで会ったのも何かの縁だ。皆、楽しくやろう」
「お誘いありがと! 私は秋葉よ。糸杉秋葉」
秋葉とヴィクターが、自己紹介しつつグラスを交わす。ソーニャが秋葉を見咎めたが、彼女は既に成人との事。
見た目と実年齢は必ずしも一致しないが、ソーニャの方は見た目相応らしい。ヴィクターは、ウィスキーを揺らしながら同席者に問う。
「で、お前さん達。普段は何してんだ?」
「小官はさる国に仕えていたのだが、仕える国はもう無く……」
「ソーニャ君は、災難だったのだな。俺は詩人で泥人形。世界の物語を唄う旅をしているのさ。秋葉君はどうだ」
「私は冥神に仕える巫女勇者! 縁起が悪いとかよく言われるわ……」
「まあ、色々あるよな。俺は貧民街で、魔術で食ってるが……正直シケた仕事ばっかりだ」
「確かに何と言うか、ヴィクター殿は顔色が良くない。心配だ」
「生憎、この顔は生まれつきさ。で、ソーニャ。目標なんかはあるのか」
「小官は、他人のために戦いたい。軍人とは究極的には人民のための僕であるからして……」
「私はショタやロリを愛でたいわぁ……」
完全な酔っ払いと化した秋葉が、ソーニャに熱っぽい視線を送る。
「な、何やら不穏な気配を感じるが……こほん。かつての生業に近いことをしたいな。人のため……もっと大義のために戦いたいのが今の望みである」
「殊勝なこったな。そいういう気持ち、大事にしろよ。俺は気ままに過ごしていけりゃそれで良いが」
「流れるままに。それもまた物語さ」
泥人形が頷く。何かに悩み願い、生きる意思をもつ人の『熱』は己が持たぬもので、どれも尊いものだと。
「有意義な時間を過ごせた。感謝する」
敬礼して立ち去るソーニャを、マッダラー達は手を振り見送る。
「君たちと出会ったこの日のことも、いつか詩にするつもりだ。この身は朽ちることを知らぬ泥が故」
実に奇妙な取り合わせだったが、偶には悪くない。泥人形の演奏を聞きながら、ヴィクターは残りのウィスキーをゆったりと飲み干した。
「飲むっすよー!」
「おー! ……飲むの?」
未成年飲酒ダメゼッタイ、いいえ大丈夫。のど越しは炭酸、お味はリンゴ。そう、これは子供ビールです。
「なるほど、お酒のようでお酒じゃない……」
「でも、なんか泡出るの楽しくないっすか?」
「んー? 私はあんまり飲み食いしなくて良いから、良く分からないけど……」
しゅわしゅわ、泡が出るのは全く同じ。それっぽさが大事なのだろう。
「ふむふむ……ひほーしゅはあまり食べ無いっすか」
麻衣は持参したサラミを齧り、ンクルスにも軽く勧める。塩気に脂分。酒は無くとも、お供の美味さは世代共通。
「おいしくないっすか?」
「ふむふむ?」
やめられない止まらない、といった風で、秒速でサラミが消えていく。ンクルスにはまだよく分からない感覚だが、目の前の麻衣の幸せそうな顔に、何となく満たされるような心地がする。
「つまり、この味は美味しいって訳だね!」
お互い、友人から学べる事はまだまだ多そうだ。
●
「練達の情報は……と」
3メートル超の巨躯を持つ秘宝種の迅牙は、ギルドの外から飛び交う話を伺う。
入らないのか、とギルド員に聞かれたが、どうやっても入れないのは物理的に明らか。難儀な事だと、ギルド員は言う。
「……肯定する」
どうやら、練達で映画を撮ろうとしている紳士が居るようだ。重要ではないが、こういった他愛のない話は人との交流に役立つ。きわめて律儀で礼儀正しい秘宝種に、ギルド員は激励を送った。
ギルド内では、何処にでも居そうな疲れた男が新着情報を追っている。彼の正体は商人バルガル。一部、裏世界では知る者も居よう。彼に気づいた情報屋が、辺りを伺いながら近づいてきた。
「おお、貴方ですか。本日はどのような情報が?」
「それがですね……」
「ああ、そうでしたね」
言い淀む情報屋のポケットに、素早くチップを捻じ込む。情報は宝。当然、対価が必要だ。
「まだ、あまり表には出せないのですが……」
情報屋が、バルガルにそっと耳打ちする。その話を基に、次の商材の目星を付ける。仕入れから積み込み、運搬タイミングまで。情報屋が話し終わる頃には、すべての計算を済ませていた。
「プルサティラさん! 私、魔法で戦いたいんだけど、その基礎の魔法を教えて欲しいんですよお願いします何でもしますから!」
「わ、分かりました……! ええと」
紅璃は普通の女子高生、ゲーム好きとはいえ斬った張ったは少し怖い。ならば魔法を、という訳である。
「何かお困りですか?」
人形めいた、実際に秘宝種の雨紅が助けになればとやって来る。
「魔法……舞で運命へ干渉したり、生命力を呪いに変換したり。そういった機能発揮に一応魔力を使っていますが。これも当て嵌まるでしょうか」
「何かいきなりレベル高ッ!?」
「魔法のお話ですか?」
「戦い方の話か? 俺も混ぜてくれよ」
柔和な男と、剃り込みが印象的な男が混じってくる。
「ああ、はじめまして。私は海野郷と申します。こう見えて結構年を食っております。
近接格闘は年齢が年齢なので厳しいので、神秘系統の治癒魔法を主にしております」
「俺は暁橙史郎、まぁ今は傭兵みたいなことしてる者だ」
郷は皆で摘まめる軽食と飲み物を注文し、それを持って席に着く。
「えと、基礎の魔法、でしたよね」
プルサティラが精一杯のアドバイスを送る。
「私は、戦うというよりも癒したり助けたりする魔法が多いのですが……まずは、まずは基本的な衝術から入るのはどうでしょうか。どの道に進むにしても、身を護るのに役立ちますから」
「護身は大事という事ですね。私もまだ学びたい事ばかりです。現代のこと・ひとにはまだ疎いので」
まだ起きたばかりなので、と雨紅は言う。
「宝石種さんっすかー。珍しいっすねえ」
独特の佇まいをした雨紅は、遠くからでも非常に目立つ。興味を持ったエミリアが近づいて来た。大剣一本で混沌を渡り歩く、鋼鉄の冒険者だ。
「戦い方のお話っすか? 皆、どうやって戦うっす? 宝石種さんはやっぱ槍?」
「はい。直接の戦いは、好みはしませんが……」
「ポニテの旅人さんは?」
「んー、今できる事っていうと、ギフトで異世界の掲示板と繋がることぐらいなんだよね。しかも元世界とは限らないしっ」
いえーい異世界の人たち見てるー? と、手持ちの端末に呼びかけてみれば、液晶画面に次々と返事が浮かぶ。
『安価はよ、はよ』
『美少女エルフちゃんの写真まだ???』
『練達からこんにちは』
「うひゃー」
「こ、これこそ魔法ではないでしょうか。凄い世界があるものですね」
圧倒されるエミリアと雨紅。エミリアは、よく分からないままこんにちは、と液晶に手を振ってみる。
「あの、話題変えてしまって恐縮ですが……」
何となく生まれた『勉強会』の空気に、郷が切り出す。
「最近気になるのですが、攻撃を受けた時に傷つかない方法があるのでしょうか」
「そういった防御魔術はありますよ。ただ、維持には相当な力を要するようですが……」
答えたのはプルサティラ。彼女にはまだ扱えないが、ローレットの中に使い手が居る。
「ほほう。それがあれば、より安定させられそうですね」
「俺は、この世界のモンスターについても興味があるな」
橙四郎が居た世界にも魔物は居たが、混沌の魔物には驚かされるばかり。
「パンツだけを溶かすスライム、って、聞いた時はびっくりしたぞ」
ローレットには時折、妙な魔物や依頼自体が妙なものもやって来る。ひたすら太腿をぺちぺちする依頼や、ぬるぬるするナイトプールなどは記憶に新しい。長く生きた郷も、これには驚きと――少しの興味を隠せない。
「あれだな、言葉にはなかなかできないが、その、世界は広いなってことだな!!」
枚挙に暇が無さ過ぎる。橙四郎は、半ば無理矢理に締めた。
(異世界……ぱんつ……ふともも……な、なんというツワモノトークの連続……!)
神出鬼没の妖精のように現れ、話を聞いていた真夢の咥えた飴が無くなっている。飴よりも甘美な冒険譚の数々に、時間を忘れたようだ。自分の事は多く語らない。小悪魔ロリポップ探偵は、いつだってハードボイルドにミステリアスなのだ。
「盛り上がってるわねー!」
彷徨う酔っ払い巫女、秋葉が現れ、貴女達も飲みましょうと誘う。卓上にボトルをどかんと置いて、エミリアやプルサティラを始め、希望者に振舞って。
「ええ、やはりお酒は誰かと飲むのが最高だわ!」
「同感です、とても、同感です……あ、おかわりください」
この情報屋は、割といけるクチであった。
●
必死に立ち上がる者、散っていく見知らぬ仲間。世界は日々目まぐるしく変わる。
「僕はまだ、その知らない誰かの死に傷つく勇気はない。でも、それを見過ごして無かったままでいる自分で居たくもない。今はまだ、僅かな力しか無くても」
「真面目だねえ。引き金は勇気で引け、ってかい」
誠司が話す相手は、練達の武器商人ゲオルギ。彼が持つ白いライフルに職業柄、興味を引かれたとの事だ。
「僕はヒーローみたいにはなれない。けれど」
このタイミングで呼ばれた意味が、この世界で、もし自分にも価値があるのなら。
「この力で、何かを変えられると思いたいから」
「まあ、無理はすんなよ。死んじまったら、価値も何も無えからな」
ルール内で悪事を働くこの小悪党にも、彼のように真っ直ぐな日があったのだろうか。
「ソーリー、そこのユー」
チトセの特徴的な蒼銀の髪が明るく靡く。
「あれ、確かユーは見習いの」
「はい。プルサティラと申します。初めまして、チトセさん」
「そうそう、ボクはチトセ! ボクもこの世界に来たばかりの新人ナノ」
お互いに新人同士。折角だからと、雑談しつつ相談に入る。
「躍って稼げるお祭りとか、賑やかなところへ行きたいヨ。そういう場所、知らないカナ?」
「踊りとお祭り、となると、最近見つかった豊穣の地はいかがでしょうか。カグラ……舞いを奉納する行事もあるとか。お祭りも、幻想より多いようですよ」
「ホーノー……なるほど」
新天地というだけでも心は躍る。次の舞台の候補に、考えてみようか。
「プルサティラさん、すみません。困った事がありまして」
ずっと内に籠っていたヘルツがこの機に外に出よう、と思ったは良いものの。語る記憶が無いという。
「唯、思い出せるのは誰かの為に泣いていた、その思い出だけです」
あとは、自身が精霊種という事くらいしか。そう言って服をはだけさせると身体は無く、僅かな風が通り抜ける。
「何を話すべきか……そうですね……どの国辺りに情報を拾うのがよさそうでしょうか?」
「ヘルツさんも、カムイグラで何か掴めるかも知れませんね。お洋服の感じがヘルツさんと近くて、精霊種が多い場所ですので。何となく……ですが」
風光明媚な場所でもあり、見に行くだけでも良いかも知れない。なるほど、とヘルツは頷いた。
「ブーケさん。お久しぶりです……わあ、可愛いお酒」
あの日、プルサティラはブーケ達に救われて。今、彼が漬けた花酒を楽しんでいる。
「プティーちゃんが試飲第一号やったりね。……ホンマ元気そうで、良かった」
あなた達のおかげですと、情報屋は改めてお礼を述べる。
「俺もな。こんな世界で生きてたくないって思って。死ぬんなら、地獄にも楽園にも何処にも行かず、ちゃんと消えたくって」
あの日、死を望んだ女にかけた言葉。重たいね、にゃははと兎は笑う。
「ね。『心にもあらで憂世に……』っての、聞いたことある?」
「? いえ……」
「いつか。生き長らえた先でプティーちゃんと見た、このグラスの中のお月様が恋しくなる日が来るんかもね。って」
だからもう少し。お互い、生きてみようか。グラスの月が、優しく揺れた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
プルサティラ「沢山の方とお話出来て、とても、とても嬉しかったです。気を付けてまた帰ってきて、またお話を聞かせてくださいね」
この度はご参加、誠にありがとうございました!
色々な方を書かせていただけて、とても楽しかったです。全員描写しましたが、万一抜けがありましたらご連絡ください。
プルサティラとも沢山お話してくださって、ありがとうございました。思い出の1ページになれましたら幸いです。
それでは、またお会いできましたらよろしくお願いいたします!
<以下、顔無しNPCの補足です>
ゲオルギ…初出:<Abschied Radio>憎悪が先か、狂気が先か
練達のスラム地区でブラック企業な武器商会をやってます。
先日事件があった際、イレギュラーズとの接触をきっかけにやり方を少し改善したようです。
映画撮ろうとしてる人(ロジャー)…初出:<青海のバッカニア>低予算だけど映画を撮りたい!
結構多作(言い換えると粗製濫造)な映画監督です。先日の海洋大号令に便乗し、
イレギュラーズに依頼して海が舞台のパニック映画を撮りました。まだまだやる気です。
GMコメント
マスターいつもの!
●目標
初めての方も歴戦の方も、ギルド・ローレットで自由に過ごそう!
★初心者さんへ
このシナリオは戦闘や危険が無い、レジャーを扱ったシナリオです。
戦闘ルールやレベル・ステータスなどは気にしなくて大丈夫ですので、まずはここで
『プレイングを書くこと』自体に慣れていただけたら嬉しいです。
プレイングの書き方解説は、↓の項目をご覧ください。
●ロケーションなど
お昼をちょっと過ぎたぐらいのギルド・ローレットです。依頼人や情報屋、
ギルドメンバーなどがひっきりなしに出入りして、今日も賑やかです。
●できること
【A】NPCと話す
プルサティラ(p3n000120)、他NPCと会話します。
彼女に対しては何を話していただいてもOKです。初めての方はご自分の過去話や、
ローレットに来ての意気込みなどを話していただくのが良いかと思います。
プルサティラは「初対面でもある程度深い話をしやすくなる」ギフトを持っています。
あまり喋らない方なども、こちらを活用してみてください。
【B】お友達同士で喋る・飲み食いする
併設のカフェバーで食べたり飲んだり。料理は大体のものを作ってくれます。
未成年にお酒はお出しできませんので、ご注意ください。
【C】集まって来る情報を見たり、考え事や考察などをする
色々な情報が入って来る場所です。真面目系(?)はこちらへどうぞ。
【D】その他
上記に当てはまらない方はこちらへどうぞ。
※内容が複数に渡る事もあると思いますが、一番メインになるものを選んでください。
内容は絞った方が描写がよくなると思います。
●プレイングの書き方
今回は1行目に行き先、2行目に同行者さんor【】で括ったグループタグ、
3行目以降にプレイング……といった形でお書きください。
以下の記入例を適宜書き換えればプレイングになります。
(記入する行数が合っていれば、行き先←などの説明部分は削除OKです)
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行き先【A】 ←【A】~【D】のどれかをご記入ください
同行者:初心者 次郎(p3x000000)
内容:昼から酒だァ!/ナンおかわりする/あの依頼は大変だったなぁ
……など、行動や心情、喋らせたい台詞などを自由に書いてみてください。
--------------
★お一人でご参加の方は、同行者欄に【絡みOK】とご記入いただくと、
絡みOKの方同士でランダム絡みが発生する場合があります。
●他になにする?【初心者さんへ】
こちらのシナリオは相談不要ですが、挨拶と行き先、何をするかを掲示板で発言すると、
「一緒に行こう!」とか、いい事があるかも知れません。
ご自分から募集をかけても勿論OKですし、誰かの募集に乗るのもOK、
出発までのちょっとした雑談をしてみても楽しいですよ!
●同行NPC
プルサティラ(p3n000120)は、【A】以外でもお呼びいただければお邪魔します。
その他、過去の白夜シナリオに出て生存しているNPC(タムジ、ゲオルギなど)も
一応お呼び出しOKです。NPCを同行者に指定される場合、IDは省略可能です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
・・・・・・・・
それでは、ご参加お待ちしております!
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