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シナリオ詳細

<虹の架け橋>お掃除迷宮大作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●塵も積もれば山となる
 息を吸い込めばむせ返るほどに埃が部屋を満たす。雪のように降り積もった埃で床は見えない。
 壊れた椅子に折れた剣。グラグラと乱雑積まれて今にも崩れそうに揺れるそれらは広い部屋の面積を圧迫していた。
 一体いつからこの部屋は掃除がされていないのだろうか。
 否、こんな場所に誰が来るというのか。掃除をするものなど誰も居ないではないか。
 一切の光が差し込まない部屋は暗い。行き場なく鎮座する物と共に部屋は眠っていた。
 しかしてその眠りを妨げるように歌が響いた。
 虹の橋を架ける妖精の歌が――。

●大掃除をしよう!
「皆さん、掃除は好きですか?」
 集まったイレギュラーズを前に『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はそう聞いた。
 今回の依頼は妖精郷アルヴィオンへ向かうため、大迷宮ヘイムダリオンのダンジョンを攻略するのではなかっただろうか。
 今やアルヴィオンは未知の魔物たちの手によって門であるアーカンシェルが破壊されたことにより、門を通ってこちらに渡ってきた妖精たちすらも戻れない状態だ。
 妖精たちを故郷に返すためにも、未知の魔物の脅威を退くためにもヘイムダリオンを攻略し、アルヴィオンへ向かわなければならないのだが……。

「言いたいことはわかっているのです。でも今回のダンジョンは掃除が必要なダンジョンなのです!」
 ユリーカの情報によれば、今回挑戦するダンジョンは埃とゴミだらけの部屋……つまりゴミ屋敷とも言える場所なのだとか。
「舐めてかかってはいけないのですよ。漂う埃は呼吸を妨げるのです。マスクでもしていないとすぐに呼吸困難に陥るのです。そして、積み上がったゴミは進行の邪魔をしています。このゴミをなんとかしないことには先に進めないのですよ!」
 グッと拳を握ってユリーカは訴える。なるほど、確かに意外と手強そうなダンジョンかもしれない。
 呼吸困難に陥れば言わずもがな、ゴミが進行の妨げになるならばダンジョンの踏破などできはしないだろう。

「だから掃除をしながら進むのですよ。掃除のやり方は皆さんに任せるのです。皆さんは多彩な力を持つ方々! その力を掃除に使えばきっと手早く部屋を綺麗にすることができるはずです!」
 千差万別とも言えるほどに様々な者たちがいるイレギュラーズだ。掃除に適した能力を持っている者もいれば、そうでない者もいるかもしれない。
 だが上手くその力を掃除に転用すれば今回の依頼の役にも立てるだろう。

「でも気をつけてください。刃物とか爆弾とか……うっかり触っては危ないゴミも混じっているようなのです」
 ただ掃除をすればいいというわけではないようだ。ゴミはゴミでもまだ使えるものが残っている様子。
 ユリーカの言う通り中には刃物や爆弾など危険な物も含まれているため、慎重に対処しなければトラップのように作動するかもしれない。

「それから虹の宝珠ですが今回は部屋のあちこちに隠されているようです……つまりゴミ山の中なのです。」
 虹の宝珠を手に入れなければダンジョンの踏破はできない。
 ただ邪魔なものを片付けただけでは、どうやらこのダンジョンはクリアできないようだ。
「掃除をしていないと必要なものを探し出す時に大変なのです。なのでしっかりといらないものは片付けて、虹の宝珠を手に入れましょう! あ、興味があるものを見つけたりして、掃除の手を止めたりしたらダメですからね! ねっ!」
 念を押すようにユリーカはそういってイレギュラーズたちを送り出した。

GMコメント

お久しぶりの初めまして。影浦と申します。
物が増えると掃除も大変になりますね。

●目的
ダンジョン内の部屋の大掃除をし、虹の宝珠を探し出し手に入れること。

●状況
窓のない広い部屋です。どこかの洋館の一室のように見えます。
照明はあるようですが埃がかぶって使えないようで到着した時点では薄暗いです。
埃だらけなのでそのまま呼吸すれば咳き込むでしょう。床は埃が積もっていて見えないほど。
椅子や机などありますが明らかに部屋に対して必要以上の数があり、それらは乱雑に積まれて今にも崩れてきそうです。
他にも剣や鎧、大砲など、一体どこから持ち込まれたものか分からないものまであります。
中には爆弾など危険な物もあるようです。掃除をする際は十分気をつけましょう。

部屋の中にはとにかく色んな物が転がっているようです。
それは人によってはゴミとは言い難い宝物かもしれません。
こういうのがあった、変なものを見つけた等プレイングに書いてあれば反映するかもしれません。

●掃除の仕方
掃除の仕方は自由です。
箒やチリトリといった一般的な掃除用具でしたら、ギルドから借りることができます。

奇想天外な方法で掃除をしても構いません。
例えば魔法でゴミを片付ける。力任せにゴミを砕いて片付ける等。
部屋を片付け通りを良くし、尚且虹の宝珠を見つけ出してください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <虹の架け橋>お掃除迷宮大作戦完了
  • GM名影浦
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年06月01日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

リプレイ

●間違いなくここは迷宮内です。
 大迷宮〈ヘイムダリオン〉
 迫りくる危険な仕掛けとダンジョンに住まう魔物を蹴散らして、アルヴィオンへの道を切り開く!

 ――という光景が他の依頼だったなら繰り広げられていただろう。

「今回の任務は掃除、かあ。戦闘が無い分安全だけど、これは一日仕事になりそうだね」
「まさか迷宮まで来て屋敷の掃除とは……ううむ……」
 『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)とマルク・シリング(p3p001309)は目の前の光景を見て思わず言ってしまう。
 広がる光景は屋敷の一室と言っていい。その中は暗く、見えない足は雪のように積もりに積もった埃を踏んでいた。
「まさか迷宮に入って掃除をする事になるとは思わなかったが……引き受けた以上は確り最後まで責任を取らなければな」
 二人に同意するように苦笑したのは『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)だ。
「ま、先に進むために必要と言うならやるけれども、掃除は苦手でね……。この所部屋に帰っていないが、ホコリが凄いことになっていそうで今から怖いな。虫が出ていないといいのだけれど……」
「整理できていないものを適当に放り込んで、さらに放置しすぎると手を出すのが億劫になって余計にひどくなるんですよね……正しく今のこの部屋はその状態です。身に覚えがありすぎます」
 つい自分の部屋の状態を重ねてしまったゼフィラと『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)。
 適当に物を放り込んでいくのは簡単だろう。だが、それを後から掃除するとなると骨が折れる作業だ。
 それが何年と積み上がったものであれば、尚更。この部屋の状態を見れば、一体どれだけ放置されていたか分からない程だ。
「ここまで酷いお部屋は初めて見た……」
「掃除は子供のころ、よくやらされてたよ、こんなにひどい部屋じゃ、なかったけど……」
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)と『ひだまりうさぎ』コゼット(p3p002755)も部屋の酷さに思わずそう言ってしまう。
「ほこりが凄いね、換気したいけど、この部屋窓がないんだね。……壁に穴とかあけたら、怒られちゃうかな?」
 壁際には窓らしきものがない。見渡していると埃で咳き込んでしまった。
「大丈夫か、コゼット? マスクをするといい」
「うん、そうだね」
 ベネディクトが心配して声を掛けた。彼の言葉に頷きながらコゼットは借りてきたマスクをする。
「ギルドから借りて来た道具はこの辺りに置いておくよ。重い物があったり、人数が必要そうな時は声を掛けてくれ」
 ベネディクトは借りてきた物を満載に載せた台車を指した。箒や塵取り、手袋にごみ袋などなど、掃除に必要な道具は全て揃っている。準備万端だ。
「このダンジョンの大掃除をすればいいのね? よし、範囲攻撃で一気に面制圧で……」
 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は部屋を見るとどのように術を仕掛ければいいか考え出した。吹き飛ばしたりできれば、確かに簡単に終わるだろうが――
「吹き飛ばしたい気持ちは分かるけど、爆弾とかあるかもしれないし危険だ。安全に行こう」
「駄目? ……はーい、大人しく掃除するわよ」
 マルクにそう言われれば、イナリはほうきを手にした。
「しかし、ここまで酷いとなると掃除したくなってくるな……」
 サイズが部屋を見渡す。限度を超えた酷さとなると、逆にやる気も出てくるのかもしれない。
「汚く積み上がったゴミの山、今日の敵はあれだな?」
 『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)のやる気は積み上がったゴミの山よりも高かった。
 トレードマークの赤いマフラーはそのままに、執事服をしっかりと着込んでいるほどだ。
「――死神クロバ=ザ=ホロウメア。今日は汚れを許さない家事の鬼として、このゴミの山をゼロに還す! さぁ、綺麗にして気持ちよく虹の宝珠をゲットしよう!!!!」
「そうですね、クロバさん! この際です、徹底的に綺麗にして目的の虹の宝珠も見つけてしまいましょう! 迷宮の大掃除、がんばります!」
 気合も準備も万端な恋人の言葉にシフォリィもまたやる気を見せてエイ、エイ、オー! とこのゴミ部屋に負けない声が響いた。

 かくして迷宮での大掃除の戦が始まったのだった。

●掃除もまた命がけです
 マルクの提案した段取りを元にまずは要らない物の分別をすることに。その後は部屋の中の物を全て、一旦外へ出すことになった。
「要不要が判断つかないものは保留にして、後で部屋に戻す時に考えようか」
 方針を決めた為、彼は最初の掃除に取り掛かる。
 
 しかし掃除をするにも暗くてはままならない。
 各人が灯りを持ち込んでいてけしてまったく見えないわけではないが、より快適に、安全に掃除をするなら部屋の照明もあったほうがいいだろう。
「灯りは、どこかな?」
 耳元の月ノ光で周囲を照らしながら、コゼットはこの部屋の照明を探していた。
 ――キラキラ。
「あ、あれ、かな?」
 頭上のほうで光が反射したので見上げてみる。どうやらシャンデリアらしい。埃が積もりすぎて、何か黒い塊が天井から吊り下げられているようにも見える。
 しかし、どうやって掃除をしたものか。高さ的に小柄のコゼットでは手が届かない。
「上の掃除か? なら俺に任せろ!」
 そこへサイズがやってきた。妖精の姿をしているサイズは空を飛ぶことができる。
 ひらりひらりとサイズは飛んでいき、シャンデリアを掃除していく。
 小さくなれる体は隙間を掃除するのにもうってつけ。
 シャンデリアを掃除するのに困ることはなかった。
 パラ、パラと。落ちてくる埃の塊は下にいるコゼットが集めていく。
「……あれ、これは?」
 ふとシャンデリアを掃除していたサイズが気付く。何かがシャンデリアの間に挟まっている。
 慎重に近づいて確かめるようとした時――するりとそれは落ちてしまった。
「……よっと!」
「コゼット、大丈夫か!! 怪我は!?」
「大丈夫」
 落ちてきたそれをコゼットがキャッチ。
 コゼットはサイズに頷くと手のひらの中のそれを見せた。
「これ、虹の宝珠か?」
「たぶん、そう」
 光を反射して虹に光るそれは先程照明を探していた時の光に似ていた。
 どうやらこれが月ノ光を反射していたようだった。
 虹の宝珠は見つけたがまだまだ掃除は終わらない。
 二人は早く照明が使えるようにとシャンデリアの掃除に戻った。

「えっと……これはいる。これはいらない……」
 エプロンと三角巾姿のシフォリィは食器棚に入っていた食器を分別していた。
 割れた食器が多いが、中にはきちんと使えるものがある。手袋できちんと手を保護し、シフォリィは効率よく分別をしていた。
「これもいらない……これもいらないな!」
 シフォリィと同じく、クロバも分別していく。家事の鬼と化したクロバもまた素早く分別していく。錆びたフライパン。刃の痛んだ包丁。穴が空いた鍋。どうやら調理用具が多いようだ。
「よし……あとは」
 分別を終えた後、棚の上にも木箱があることにクロバは気がついた。
 木箱を取ろうと近くから椅子を持ってくると椅子を台にして取ろうと手を伸ばす。
「さて、何が入って……」
 難なく取れた木箱の中身を開けて、少しばかり固まった。
「クロバさん、何が入っていたんです?」
「……包丁がたくさん」
 こんな高い場所に包丁を置いていたら、落ちてきた時が危ないだろう。刃物の雨が降ってくることになる。
 クロバは慎重に行っていた為、木箱を取り落したりすることはなかった。
 そのまま木箱は危ない刃物入れとして使い、周辺の掃除を済ませることに。
 ほうきと小さなほうきの使い分けはさすが家事の鬼といったところだろうか。
 シフォリィもまた、嫁ぐための教育をされていた。家事の一つである掃除もそれなりにできるほうであった為、手間取ることがなくスムーズに進んでいった。

「おや、こんな所に本が……」
 いくつかの分別を終えたベネディクトは本棚とそのあたりに積まれた本を見つけた。
 積まれた山から一冊、手に取ってみる。
 表紙の絵からしてたぶん、御伽噺の類の本だろうか?
「おっと、開いてはいけないな。これは掃除中に本を見つけて開くと時間が取られてしまうという罠だ」
 本の中身を開いて確かめたい欲を抑えつつ、ベネディクトは本の整理を行うことに。
「……そういえば、母さんが昔読んでくれたあの物語はどこにやってしまったか」
 今や遠い別世界の物語。……さて、その本をどこにやっただろうか。
「おっと……!?」
 ドタドタと近くで何かが崩れ落ちる音と声が聞こえて、ベネディクトは記憶を思い出すのを遮られた。
「何があった?」
「すぐそこで何か物音がしてね……ちょっと驚いたんだよ」
 近くにはゼフィラが居たようだ。驚いた時に本の山にぶつかったのか、数冊が地面に落ちていた。
 物音がしたという方向に向けて、ベネディクトがカンテラの灯りで照らしてみると――
「チュ?」
「……マルクのファミリアだな」
 どうやらマルクが呼び出したファミリアのネズミだったようだ。家具の裏の確認や、危険なものがないかの安全確認の為に走らせていると言っていたか。
「驚いて損した……」
「そういうゼフィラはどうやら罠にかかっていたようだな?」
 ゼフィラの手元には本が開かれていた。先まで読んでいたのだろう。
「流石に迷宮探索に来て掃除だけで終わるのは勿体ないし、ね」
 今ゼフィラが手にしているのは、少し小さな本だった。
 内容は日記であり取り留めない日常が綴られていたが、どうやら書き手は妖精らしい。
 妖精の生活というものが日記を通して分かるとあっては、ついつい読んでしまった。
「……む、別にサボっているワケではないよ? 情報は重要だからね……。いや、本当だとも。その証拠に私はきちんと役目を果たしていたとも」
 そういってゼフィラが取り出したのは小さな虹の宝珠だった。
「本当だ……どこでこれを」
「本の間に挟まっていた。本を読もうと開いた時に落ちてきたんだよ」
 ふふんと、ゼフィラは胸を張る。本を読もうとしたからこの宝珠は手に入れられたと言わんばかりに。そういうことなら、あまり強くは言えないが……。
「だからといって本を読み続けてサボってはだめだろう?」
「いや、だからこれはサボりではないと……」
 真面目なベネディクトと知識欲が高いゼフィラの間でそんなやり取りが繰り広げられつつ、本と本棚の周りの掃除を進めていった。

 照明の掃除が終わり、部屋の中が明るくなった。
「改めて見ると……すごいゴミだらけだね」
 愛用のほうきを片手にマルクは部屋を見渡す。掃除は進められているが、積み上がっているゴミはまだまだ残っているし埃も多い。
「明るくなったし、丁度いいわね」
 草風樹の種を取り出したイナリはそれをちょうど空気の通りが良さそうな場所に置いていく。その場所は先程クロバから教えてもらった場所だ。置いた種はすぐに発芽し、ぐんぐんと背を伸ばして蔓を伸ばしていく。
 ――稲荷の加護・五穀豊穣祭。
 イナリのギフトより急速に成長した草風樹。その太い茎の中は空洞で、しかも送風機の能力がある。これをエアダクトの代わりとして使い、溜まった埃や塵を吸い取っていく。
 と、その時だ。吸い込まれていく風に微かな匂いをイナリは感じ取った。
「マルクさん、あちらから火薬の匂いがするわ」
「それは本当? ……じゃあちょっとネズミに確かめさせよう」
 イナリに教えられた部屋の隅、机と椅子が重なり合った向こう側に慎重にファミリアたるネズミを向かわせてみる。するとその向こう側に大量の火薬箱があることが判明した。
「これは……下手に向こう側に行っていたら危なかったかもね」
 無理やり机を押したり椅子を退かしたりしたら、火薬箱の方へ落ちていたかもしれない。その衝撃により火薬箱が爆発した……なんてことがありえただろう。
「火薬を放置したまま掃除なんてできないわね。先に片付けましょう」
 イナリはバリケードのように積み上がった机と椅子に【練達上位式】で式神化した。机と椅子は四本の脚を犬のように動かして自ら動き始めると、慎重に地面に降りて部屋の外へ向けて歩いていく。
 退かされた机の下にもやっぱり埃が溜まっていた。マルクとイナリはその埃を掃除していく。
「おや、虹の宝珠がまたありましたね」
 イナリが退かした家具の下から、マルクは虹の宝珠を見つけ出した。

「これは、最後にいらないゴミ吹き飛ばすのに、使えるかな……?」
 火薬箱は意外と数があったため、それらは皆で運び出すことにした。
 慎重に運んでいたコゼットは手にした箱を見てついそう思う。
「やるならダンジョンの外で、だな。ちゃんと安全確認ができているならやってもよさそうだな」
 今は小さな妖精から普通の背丈に戻ったサイズが、同じように箱を運びながら相槌を返した。
「皆、疲れていないか? 適当な所で休憩をして、水分などは補給する様にするんだぞ」
「つかれたら、休憩しよう、ダンジョンの外で、新鮮な空気吸って、りふれっしゅ」
 火薬箱を運び終わった所で、ベネティクトとコゼットが周りを見渡しながら言った。
 掃除を初めて数時間が経過していた。ぶっ通しで動き続けるのは良くないものだ。
「じゃあ、このあたりで休憩としないか? 休憩のために軽食も用意してきたんだ」
 用意をしっかりとしていたクロバの言葉にて、休憩をすることとなった。
 家事の鬼の力はここでも発揮された。
 軽食を作るための道具は先程掃除していた中から、使えそうなものがあったのでそれを使うことにした。もちろん、しっかりと洗ってあり衛生面もばっちりだ。
「はい、サンドイッチと紅茶ですよー」
 クロバと共にシフォリィも手伝い、休憩時間でのちょっとしたお茶会の準備はすぐに済んだ。
 皆で囲う机と椅子、それからティーポットまで。
 それらもまた、掃除の中で見つけたまだ使えそうなものたちばかり。
 その片付けの最中に、クロバとシフォリィは虹の宝珠を見つけていたようだった。
「さあ、もうひと頑張りだ。油断せず行こう」
 ベネディクトの言葉に皆が頷く。休憩が終われば掃除の再開だ。

●最後の仕上げに
 物がなくなった部屋の中を今度は雑巾で水振きしていく。
「雑巾が何枚必要になるかな……」
 マルクが心配する程に床は黒く汚れていた。
「何、根気よく掃除をしていればいつかは終わるものだ!」
 クロバが雑巾がけをしながら赤いマフラーを翻して駆けていく。
「これは……なかなかのスピード!」
 これは負けていられない。ベネディクトもクロバの隣に雑巾がけの構えを取る。
「クロバ、一つ勝負と行こうか!」
「あぁ、いいだろう!」
「二人とも、ぶつかったり転んだりしないように気をつけるんだよー」
 そんな2人にマルクはそう声を掛けて、自分もまた雑巾がけの続きをするのだった。

「こっちの物も修理できそうだから、キミに頼んだよ」
「もちろん。壊れかけを放置するのは職業柄いやだからな」
 外に持ち出した品を仕分けていたゼフィラから修理品を受け取って、サイズは丁寧に修理をしていく。
「この箱の中身は……ダンベルにバーベルかぁ」
 シフォリィは箱の中身を見て驚く。やたらと健康器具が多いこれらは、途中で飽きたのだろうか? 鍛錬に使えそうなのでもらっていくことにした。
「これは虹の宝珠じゃない。でも、きれい」
 汚れの付いた小さな物を磨いていたコゼット。
 その手にはキラキラと赤い石の付いたネックレスがあった。
「コゼットさん、この服と合わせて着てみたらどうですか?」
 イナリから箪笥で見つけたという淡いピンク色のドレスを渡された。
 特に汚れもなければ破れてもいない。合わせて着れば確かに似合いそうだ。
「持ってちゃっていいかな……?」
「いいと思いますわ」
 誰にも使われないよりは、誰かに使ってもらったほうがいいだろう。
 コゼットもそれらを持ち帰ることにした。

 最後に乾拭きを終えて、部屋の中に家具を配置する。
 物は整理整頓されて仕分けられて。
 あぁ、なんということでしょう。
 ゴミの山と埃に埋もれ、地面さえ見えなかった部屋は、今やイレギュラーズたちの手によって快適に過ごせる空間と様変わり。
「劇的びふぉーあふたー」
 コゼットが綺麗な部屋を見渡すようにくるりとその場で一回転。
 と、その時だった。中央に置かれたテーブルの上に何かが落ちてきた。
「これは……虹の宝珠だ」
 サイズが確かめるように手に持ったそれは、紛れもなく虹の宝珠。
 どこからともなく現れた虹の宝珠に不思議がっているとさらに変化が現れた。
 入口とは反対方向にもう一つ扉が増えていたのだ。
 掃除の最中にこのような扉があったことは誰も記憶していない。
「きっとこの先は次の層に繋がる道だよ」
 扉の先を調べてみればゼフィラの言う通り、どうやら次の階層に繋がっているようだ。

 こうして彼らは無事に部屋の掃除を終わらせ、虹の宝珠を手にし、ダンジョンの先への道を見つけたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ダンジョン内での大掃除、お疲れさまでした。
今回アイテムの発行は行いませんでしたが、持ち帰った物につきましては自由にしていただいて構いません。

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