PandoraPartyProject

シナリオ詳細

記憶と想いを込める瓶

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あなたの望む世界を
 1年に1度、大切なヒトへ自分の特別を贈ってみませんか?
 瓶の中に広がる世界があなたを、そしてあなたの大切なヒトを引きつけます。
 朝焼けも、黄昏も、満点の夜空だって思いのままに。あなたを表すモチーフも瓶に込めて、たった1つの世界を創りましょう。
 瓶の大きさは小さなものから、両手で抱えるような大きいものまで。持ち込みも歓迎します。

 依頼は瓶詰め屋『エアインネルング』へ──。


●ローレット
 その人物は、この絶望の青決戦も近いという慌ただしい時期にひょっこりやってきた。
「やあ。お久しぶりー?」
 へらりと笑った口元。ぞんざいな服装。間延びした口調はどう考えてもこの場にそぐわない。
「あ、ミーロさん! お久しぶりなのです、依頼ですか?」
 イレギュラーズへ情報をまとめた羊皮紙を配り、また新たな情報を整理してと動き回っていた『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が束の間足を止める。ミーロと呼ばれた女性は気軽い雰囲気で片手を上げた。
「半分くらいはそんなとこー。忙しいみたいだね?」
「なのです! すみませんが、あちらでお待ち頂けますか?」
 ユリーカが示したテーブル席を見たミーロは頷いて足をそちらへ向ける。仕事をひと段落させたユリーカは羊皮紙とペンを手に、早足で彼女の元へ向かった。
 ミーロは待っている間、ローレットの様子を眺めていたらしい。視線をゆるりと巡らせ、近づいてくるユリーカを認めて目を細める。
「お疲れ様ー。悪いね、こんな時期に」
「いつ忙しくなるかなんてわかりませんから。それに、こんな時だって通常の依頼もバッチリ受けるのが敏腕情報屋なのです!」
 いつまでも新米じゃないのだと言いたげなユリーカに、ミーロはくすりと笑って。「じゃあ敏腕情報屋さんにお願いしようか」と口を開いた。
 彼女は『瓶詰め屋』という店を開いている。瓶という限られた空間に独特の世界を作るのだ。もちろんオーダーメイドで、特に贈答品として選ばれることの多いそれは平民から貴族まで幅広い客層から求められる。
 故にシャイネンナハトやグラオ・クローネといったイベントごとだと殊更忙しくしているのだが──。
「確か、多忙期は抜けたのですよね?」
「うん。ちらほらオーダーは来るけど、急ぎのものはないねー」
 お陰でクマもできてないよ、と笑うミーロ。その視線はユリーカから周囲で相談し合うイレギュラーズへ向けられる。
「彼らにねー、お守りを作ってあげたいんだ」
「お守り?」
「ほら、船乗りって航海の安全を祈ってお守りを身につけるみたいなー。ね、あるじゃん?」
 恐らくは船乗りの家族が作って持たせるようなものを示しているのだろう。彼女は自らの瓶をそのようなものとして持たせたいらしい。
「なるほど。ではそのオーダーを伝えることが依頼と言うことですね? ……依頼、と言うには少しヘンな感じですが」
「そーだねー。どっちかっていうとお願いかなー?」
 くっくっくと笑ったミーロは再びイレギュラーズたちの姿を見やる。
 もちろん、彼らは目の前のことに集中していてミーロのことなど見もしないけれど。それでも彼女はその中に、去年依頼を受けてくれた、誘いを受けてくれた何人かを見つけている。そして彼らが作った瓶詰めのことも、しかと覚えている。
「……君たちの色も景色も、覚えてるよ」
「? ミーロさん、何か言いました?」
「いーや、なんにもー。ささ、始めちゃいましょ」
 首を振り、足元に置いてあったリュックを開くミーロ。登山でもするのかと思わせるようなその中身は材料と、器具と、瓶と瓶と瓶と。
「あ、ここでですか?」
「もっちろーん。持ち帰ったら皆、海に出ちゃうでしょー?」
 出張もままあるのだというミーロは手早く準備すると、こちらへ興味を持ったイレギュラーズへ手招きした。

GMコメント

●すること
 お守りをゲットする

●情報精度
 もはや疑いようなくAです。ローレットで何か起きたら一大事じゃ済まない。

●瓶詰め屋『エアインネルング』
 ミーロが店主をしている瓶詰め屋。オーダーメイドで瓶詰めを作ってくれます。お値段はピンキリですが皆さんは今回払わなくてOK。ミーロの好意です。
 贈り物にとても喜ばれ、イベント時は大変な依頼殺到率らしいです。

関係作:
瓶に込められしモノは(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1457)
瓶詰め屋『エアインネルング』(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1550)

●ロケーション
 ローレットの一角です。テーブル席です。

●第1章
 瓶に入れるパーツを1つ選びましょう。自分で持ってきた、でもミーロが持ち込んだパーツから選んだ、でもご自由に。
 選んだものに関連するお話とかあれば盛り込みましよう。お守りに入れるものですから、それ相応に理由を述べておくと良いです。

●第2章
 瓶の中に流し込む色は何がいいか、ラメの有無、等。こんなイメージの色にして欲しいでも構いません。
 こちらも関連するお話があれば盛り込みましょう。

●第3章
 出来上がりました。あとは皆さんのひと仕事。
 もらった瓶詰めに想いを込めましょう。あなたたち自身が帰って来られるように。

●プレイング内容確定・章進行に関して
 今回は以下の進行ペースを考えています。全3章。

 全ての章において、抽選で6人~10人程度のプレイングを採用します。全体人数によって多少前後する可能性があります。
 各章のみの参加も歓迎致します。その場合は『最初から作っていたが、描写がそこからだった』という扱いになります。もちろん連続しての参加も大丈夫です。

・1章、2章、3章
 全ての章においてなるはやで書きます。すぐ見たりすぐ書いたりする可能性があります。後へ延ばすと私がスケジュールの関係上死んでしまうからです。死にたくない。
 そのため、一気にプレイングが来ない限りは先着のような形になるでしょう。同行者ありのプレイングは提出速度にお気をつけ下さい。

●ご挨拶
 愁です。
 死んだらそこまでなので程々に傷ついてほしいと思ってます。何でもないです。無事に帰ってきて下さい。
 『これを選びました、これが良いです』だけだと作業オンリーで終わってしまうので、がっつり心情を書いておくと良いです。そう、これは心情依頼といっても過言ではない。
 というわけで、ご縁がございましたらよろしくお願い致します。

  • 記憶と想いを込める瓶完了
  • GM名
  • 種別ラリー
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2020年05月12日 22時08分
  • 章数3章
  • 総採用数31人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

 よし、とミーロは呟いた。イレギュラーズも各々好きなパーツを決めた。ならばここからは創作者の──ミーロの出番である。
「小瓶は希望がなければこれだよー。あ、さっき出してくれた人はそれで良い」
 コトン、と出したのは握れば手で隠れてしまうほどの小瓶。ポケットに入れて仕舞えばほんの少しの重さがある程度だろう。戦闘の邪魔にはならなさそうだ。
「ここに君たちの好きな色を混ぜる。ラメとか入れてもいいよ。もちろん色じゃなくてイメージとかだって……そう、例えば春の花畑のような、とかー。そんなふんわりしたものでも」
 もちろんはっきりしていた方が良いけれど、とミーロは持ってきた材料を広げて実演する。
 イメージは春爛漫に咲き誇る花──色とりどりに、明るく、華やかに。
 栓をして溢れないほどの液体を瓶に満たし、ミーロはコルクで栓をする。液体は気泡を残すことなく外界との空気と遮断され、透明な接着剤によって密閉された。
 出来上がり、とテーブルへ置かれたそれに皆が視線を集中させる。
「これはねー、この前私が見た景色。抜けるような青空の下に『いた』んだ」
 花畑をいたと表現するのはふてきせつかもしれない。けれども確かに、ミーロにとってはそこにいたのだ。
「皆が選んだとっておきのパーツと、とっておきの記憶を込めて。一緒に、海へ持って行ってよ」
 色は何色でも作ることができる。淡雪の白でも、湖面のような水色も、雨が上がった後の虹色も。煌めきを足すも自由、他に思いつくのならなんだって提案してみると良い。

 この小瓶の中に、唯一の世界を作り上げるのだ。



●すること
 お守りを完成させます。
 色(またはどのようなイメージ)やラメなどを足したりといったことができます。パーツの追加は瓶に収まりきらないためNGです。液体、あるいは溶けたり混ざったりするようなもののみとします。
 第1章に不参加の方は、どのようなパーツを入れるのか簡単で構いませんので明記下さい。

●執筆スピード
 上記GMコメントへ書いたように『なるはや』です。よろしくお願い致します。


第2章 第2節

エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心

 込めた魔力の輝きに『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)はもっと輝いてほしかった、と思わずにはいられない。勿論こうなることも予想していたけれど、それでもだ。
 しかしこれが今の私。まずはそう胸を張るところからだ。精霊たちもこれからだと、そしてこの仄かな輝きを気に入ってもいるようだから。
 ならば『これから』を願えるようなものにしたい。
「この玉を中心にして、赤い薔薇の花を形作る事は、できないでしょうか……?」
 この仄かな輝きが、いつしか大輪の花へ変わるように。大好きな薔薇のように鮮やかな色を持つように。
 エルシアの話を聞いたミーロはできるよと頷き、赤と透明な層で薔薇を表現していく。一瞬ガラス細工と見紛うような、透明感のある薔薇。最後に魔力を込めた球をそっとピンセットで配置して、コルクでしっかり栓をする。
 中心の球にはこれからも魔力を込めて、その輝きを育てていこう──目に見える希望の象徴になるのだと、エルシアは受け取ったそれを胸に抱きしめた。

成否

成功


第2章 第3節

ハルア・フィーン(p3p007983)
おもひで

「こんな自由な感じで作れるんだね、ミーロすごい!」
「やだ、照れちゃう」
 『屋台の軽業師』ハルア・フィーン(p3p007983)の素直な賞賛にミーロが笑う。けれど事実なのだから仕方がない。シンプルな色にしか作れないと思っていたハルアにとって、こうして見られたことは嬉しい誤算とも言うべきで。
 どうしようかと迷ったハルアは『今回の』お守りのため選んだら良いと考えを巡らせて。
「じゃあ……夜明けの空の、甘いグラデーション……って、いいかな?」
「夜明けのグラデーション……ああ」
 すぅとミーロの目が細まる。彼女の脳裏に浮かんだイメージを更に自身のそれと近づけるために、ハルアは言葉を重ねた。
 曙と呼ばれる、青と赤の混じりあう時間。紫色のようでいて、ミルク色をした雲が光る優しいひと時。
「たぶん、ボクがお話ししたことある景色なんだ」
 ハルアの話を聞きながら、ミーロは思い描けた明けの空を瓶に詰めていく。
 大変だったり、困ったりした夜をずっと過ごして。それでも必ず朝は来るからその光を見てまた新しく頑張るのだと。
 多分、とついてしまうのは元の世界の記憶があいまいだから。けれど思い出せなくてもハルアの心に在る空だ。
 月のようにブロックパールが夜明け空へ浮かぶ。この空の名はきっと──希望、と言うのだろう。

成否

成功


第2章 第4節

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍

 そうさなぁ、と『濁りの蒼海』十夜 縁(p3p000099)呟いた。
「好きな色か。……やっぱり俺が好きなのは海の青、かね」
 年月が流れ、十夜も成長し。すっかり陸での時間が長くなってしまったが、それでも生まれた時から見ていた色は特別だ。
「シーグラスといい、青尽くしだねー」
「そうかもな。特に好きなのは、朝の海の色かねぇ」
 濃い青の中から天を仰ぎ、水面越しに太陽を見る。そうすると差し込む光が広がって、波で揺れて。そう、例えるなら大きな光の花だろう。
 その光景を真似るように上を見て、目を細めるミーロに十夜は苦笑を浮かべる。
「……伝わり難いかい? 海ん中に長いこといられるやつじゃねぇと、中々見られねぇからなぁ」
「……ああ、うん、大丈夫。実際に見たことはないけれど──見えた」
 へえ、と片眉を上げながら十夜は記憶にある色を伝えていく。迷いなくそれらを用意していくミーロには本当に何か──見たことのない景色が見えているのかもしれない。
 シーグラスを収めて、光の花から海中へ差し込む淡い金色をラメに託して。
(そういえば、俺が何かを欲しいと思ったのは……あの光の花が最初だったか)
 遠く、実際は得られないものを欲しいと思って、俺は──。

成否

成功


第2章 第5節

古木・文(p3p001262)
文具屋

「その腕の力量を見こんで、少しお願いがあるんだ」
 『想心インク』古木・文(p3p001262)はミーロが作った小瓶を見てそう切り出した。
「お、なになにー?」
「僕の店を訪れてくれるお客さんや友人との思い出を、この瓶の中に詰めておきたいんだ」
 とっておきの記憶、と言うには少々気恥ずかしいけれど。それでも特別な記憶であることに間違いはない。
 古びた文房具屋に来る奇特な人たち。帰ってきたら彼らと共に茶を飲み、菓子を一緒に食べて、お喋りできるように。
「どの色がいいかな。みんなの印象は……晴れた日の青空、って感じなのだけれど」
「ふふふ、そうだねー。澄んで突き抜けるような青に……うん、オレンジを入れよう。その飾り紐と近い色。それに優しいミルク色も、かな」
 文の選んでいたパーツへ視線をくれ、ミーロが頷く。オレンジとミルクはほんの少し。綺麗な青色に漂う程度。さらにごく微量な煌めきを小瓶の中へ詰めていくミーロ。彼女曰く、君たちのいる場はキラキラ輝いて見えるだろうから、と。
 ミーロは完成したそれを文へはい、と差し出して。
「……きっとね。この飾り紐が君と陸と、それにご友人たちも繋いでくれるよ」
 そう願っている、と。彼女は目を細めた。

成否

成功


第2章 第6節

ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
謡うナーサリーライム
ラヴ イズ ……(p3p007812)
おやすみなさい

「森の夜の色を、詰めたいわ」
 『謡うナーサリーライム』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)は迷いなくミーロへ告げる。半分の月をお揃いにしたときに浮かんだのだ、迷いようもない。
「森の夜……そうだねー。君なら……静謐で、優しい夜、かな?」
 ポシェティケトを見つめたミーロに彼女は頷く。動物たちを起こしてしまうような鮮やかさはなく、けれど怖がらせてしまうような暗さを秘めているわけでもなく。名前で表すのならアイビーグリーンといったところだろうか。
 そうミーロへ告げた彼女は、ふと視線を感じて隣を見た。
「……あら。どうしたのキュウリ、なにかお悩み?」
 問われた『おやすみなさい』ラヴ イズ ……(p3p007812)はポシェティケトの微笑みに何でもと首を振る。本当に、何でもないのだ。ただ誰かと出かけることが珍しいから、友人はどうするのだろうと様子を伺ってしまっただけ。それでつい、ふるりと揺れる白銀の睫毛を眺めてしまっただけなのだ。
「私は、夜空をイメージして……」
 もちろん真っ暗闇ではない。そう、2人が手紙のやり取りをする時のような。『おやすみなさい』で締めることの多い手紙は読むだけで夜を連想させる。包み込むような、温かくて優しい毛布のような、安寧の夜を。
「瞼を撫でる閑かな藍色、かしら」
 そう呟けばミーロが頷いて、2人分の色を作る。優しい夜の色は、鹿の小瓶に詰められて。
 けれど栓をする前にミーロの手が止まり、その視線が材料の方へと移る。追うように2人の視線もそちらへ向き、ポシェティケトが口を開いた。
「ラメ、これもキラキラで良いものだわ」
 普通の小瓶に入った白銀の粒子。ミーロがその言葉に小さく笑みを浮かべる。
「ほんの少し載せようかー。お星さまみたいに、ね」
「ええ。明る過ぎないくらいに……寂しくならないくらいに、ね 」
 半分のお月様たちだけじゃ、きっと寂しくなってしまうから。ほんの少しお星さまもご一緒させよう。
 こうして2つの夜が、ラヴとポシェティケトの手元に出来上がった。

成否

成功


第2章 第7節

カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者

(好きな色、イメージ……?)
 困惑を隠せない『大号令に続きし者』カンベエ(p3p007540)は思わず自身の姿を見下ろした。青の着流し、黒の帯。しかしこれらは好きだからではなく、たまたま安かったから選んだに過ぎない。では刀はというと、鞘も柄も漆が長持ちさせてくれるからという理由で特段好みと言うわけでもなく。
 何色でも良い。結局はそうなってしまうのだが、ミーロも流石に困ってしまうだろう。困らせたいわけではないのだが──むしろ自分が困っている。
(まさか、ここで詰まるとは)
 何かないものか。せめて、そう、ぱっと浮かんだ色にしよう。
 そう決めて考えたカンベエは、絞り出すような声で「白」と答えた。
「……、……白」
 さしものミーロもぽかんとカンベエを見て、思わずと言ったように呟く。まさかカンベエからその色が出て来るとは思わなかった、とでも言いたげだ。
 だがしかし──何も。ほんの少しすら浮かばなかったのだ。頭の中が真っ白で、果たしてこれは考えられず白いのか考えた結果が白だったのかもわからない。
 それでも、男に二言はないのである。
「青の中の白波ですよ!」
 跡から思いついたイメージを伝えるカンベエ。ミーロは無言で彼を凝視し、そして何かを考えるように目を伏せて──。
「──なるほど」
 そこから黙々と手を動かし始めたミーロ。小瓶には青と白が入り混じり、まるで海に包まれるかのように鍔の欠片が収まった。

成否

成功


第2章 第8節

ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼

「私のも、よろしくお願いします!」
 小瓶にどんな世界を作ろうか。どんな願いを込めようか。
 『差し伸べる翼』ノースポール(p3p004381)は目に留まった雪と星のパーツを手に取る。色はどうしようかと少し考えて、ミーロへ視線を向けた。
「私が見た、ある夢の景色でも良いですか?」
「ほほう、聞かせて聞かせてー?」
 楽しげに目の奥を光らせたミーロへ頷くノースポール。その夢は──彼女が『忘れていた記憶』を取り戻した夜のことだった。
「真っ暗な空の下にひとりぼっちだったんです」
 ノースポールは寂しくて悲しくて、けれど泣いても真っ暗だから涙なんて見えなくて。自分の泣き声だけが小さく響いていた。
「そこに、『わたし』が迎えにきてくれたんです」
 ひとりぼっちな「わたし」と、迎えにきた「わたし」。忘れててごめんね、と告げた彼女の手を取れば、途端に満点の星空が輝いた。


「『わたし』が来た方角から、日が昇ってきて……長い夜は、終わりました」
 話を終える頃には、ノースポールはどこか遠くを見るような目をしていて。けれどミーロと目が合うなりはっと目を丸くした。
「……へ、変なお話してすみませんっ。えぇと、つまり。夜から朝になる空の色、って感じです!」
 『彼』がいたから見ることができた景色なのだ、とちょっぴり惚気るノースポールにミーロはくすりと笑って世界を作り上げる。
 冬の足跡と瞬く北極星を込めることは、もちろん忘れない。

成否

成功


第2章 第9節

マギー・クレスト(p3p008373)
マジカルプリンス☆マギー

 『小さな決意』マギー・クレスト(p3p008373)は視線を彷徨わせながらミーロの元へ。今、どうしてもお守りが欲しかった。
「その、ボク、これが初陣になるので。不安で……」
 斜めがけした鞄の紐をぎゅっと握るマギー。その小さな震えにミーロは目を細め、座ってた彼女を促す。
「皆に想いを込めてもらうお守りだからねー。君が帰ってきたいと願うなら、そうなるように力を貸してくれるよ」
 さあ、小瓶に何を込める?
 ミーロに問われたマギーは迷いなく一等星をと告げた。
「一等煌めくお星さまは、きっとボクが目指すべく場所だから」
 そこに到達できるまでは倒れられない。死ねない。そんな想いを込めて、小瓶に夜空を創る。静かで静謐な濃紺の空だ。
「小さなお星様も散らせますか?」
「もっちろーん」
 任せてとウィンクしながらミーロはキラキラと星を散らす。これはきっと、マギーが一等星へ辿り着くための道標になるだろう。
「小さなお星さまに寄り道しながら、ボクはお空で輝けるような一等星をめざします!」
 掌へ乗せられたそれに、マギーはふんすと力を込めて決意を告げた。

成否

成功


第2章 第10節

リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛

「ミーロ店長、ご無沙汰しております!」
「おや、久しぶりー」
 元気いっぱいな『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)にミーロの表情が綻ぶ。以前は友人と瓶を交換こしていたようだが、今回は自分のために作りにきたらしい。
「海での戦いに向けたお守りを作りたいから
中の液体はやっぱり、青色!」
「海の色だねー」
「はい! ボク、海に入ってすごくイメージが変わったんデス!」
 嬉しそうに話してくれるリュカシス。元々は深くて暗くて、自分の体も錆びてしまいそうで怖かった海。けれど実際入ってみたら全くそんなことはなかった。
「すごく明るくて綺麗で楽しくて! だから、そういう色の瓶詰めにしたいです!」
「いいねいいね、私も海水浴行きたくなっちゃう」
 くすくすと2人で笑いながら、小瓶にキラキラ綺麗な海が出来上がる。太陽の光が差して輝いたようなラメと、キラリと光を反射する星のモチーフも共に。

成否

成功

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