シナリオ詳細
<虹の架け橋>大迷宮でちらつく山羊の獣人の影
オープニング
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深緑を中心に混沌各地に伝わる妖精伝承。
妖精達は古来より、妖精郷の門……アーカンシェルを通じて、常春の都『アルヴィオン』からやってきていた。
妖精は時に人々と交流し、時に悪戯をして人々の伝承の中に溶け込んできたのだろう。
だが、先日よりこのアーカンシェルを魔物が襲撃し、妖精達が助けを求めてくる事件が頻発している。
深緑の迷宮森林警備隊も現状、平時の魔物討伐で手が塞がっていた為、ローレットで依頼を受けたイレギュラーズ達が事件の解決に乗り出す。
彼らはこれまでアーカンシェルを防衛したり、妖精達をアーカンシェルへと送り届けたりと活動していた。
その最中、イレギュラーズ達が出くわしていたのは、人為的(魔為的と指摘する声もある)に造られたと思われる魔物達。
その背後には、魔種の影もちらついている。
また、魔物達が交戦時、イレギュラーズの血や髪などを採取するという不可解な事件も発生していたのだった――。
●
深緑各地にある妖精郷への門(アーカンシェル)が一斉に破壊されたという事件。
なんでも、魔種がアーカンシェルを強引に突破して、妖精郷アルヴィオンに侵入してしまったのだそうだ。
「アルヴィオンに住む妖精達にとって、由々しき事態になっています」
幻想、ローレットでは、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がイレギュラーズ達へと説明を行う。
イレギュラーズ達が解決した事件によって守り抜いた門はどうにか無事だが、余波を受けて門の機能は全て停止してしまっている。
この為、妖精達は故郷へと帰還する道を失い、困っているとだという。
「ただ、アーカンシェルでとある術詩を歌う、もしくは奏でることで『正規ルート』へ侵入出来るのだそうです」
妖精達がいつも使っていたのは、アーカンシェルとアルヴィオンの『ショートカット』。
グリムアザースの吟遊詩人ライエル・クライサーが考案した術詩『虹の架け橋』を使うことで、『正規ルート』……古代の大迷宮『ヘイムダリオン』への道を切り開くことができるのだ。
以前、助けた幻想種の村の人々が詩を歌って大迷宮への入り口を開いてくれるので、あとはこの迷宮を踏破してアルヴィオンに向かえばいい。
だが、『ヘイムダリオン』の内部は複雑怪奇であり、入り口も雰囲気も所によって異なる。
「そうですね……まるで『果ての迷宮』を思わせるような構造をしているそうです」
迷宮ごとに『虹の宝珠』なるものが存在し、それを入手することで更なる深部への道が現れる。
場所によって欠片探しをしたり、いくつもの階層突破が必須だったりする迷宮もあるようだが、今回は1階層のみの突破で良さそうだ。
「鏡張りになった迷宮の踏破が必要です。皆さんの姿があちらこちらに映し出されて、方向感覚を麻痺させる厄介な場所ですね」
また、迷宮内にはアーカンシェル防衛の際に現れた魔物達の姿があるという。
水豹、クレイゴーレム、そしてオートマタ。これらが3体1組となり、迷宮内を徘徊している。
また、それらを率いている山羊獣人の女性の姿も迷宮内では確認されるらしい。
「エイプリル・リリィ・シャーリーという名の獣種であったことが調べで分かっています」
アクアベル調べで、分かったそのエイプリルという女性、残念ながら以前の依頼にて確認された地点で、魔種となっていることを目撃したイレギュラーズ達が確認している。
直接姿を現すことはないようだが、鏡張りの迷宮の為、その姿はあちらこちらで目にするはずだ。
「気にはなりますが、今は迷宮の踏破を優先させましょう」
ちらつくエイプリルなる山羊獣人の影は気になるが、迷宮には魔物達の姿もある。
注意が散漫になれば、魔物達に倒されてしまいかねないので、集中して迷宮の攻略へと当たりたい。
「皆さんが妖精郷への道を切り開いてくれると、私は信じています」
アクアベルはそう告げ、説明を終えたのだった。
- <虹の架け橋>大迷宮でちらつく山羊の獣人の影完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年05月03日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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深緑、迷宮森林内にある妖精伝承の伝わる幻想種の村の1つ。
森の奥深くに位置するその村を、怠惰な雰囲気を纏わせた少女、『茜色の恐怖』天之空・ミーナ(p3p005003)が見回して。
「妖精郷ねぇ……どこの世界の妖精も、隠れて生活するのは共通か」
とはいえ、油断もしてもいられないと、ミーナはこれからの仕事に気合を入れる。
――メグ・メル リグ・イル 喜びヶ原にかかる橋。
――ラグ・リル マグ・ミル 常春の国へむかう橋。
まず、村人達に妖精郷の門……アーカンシェルの周囲で歌ってもらい、大迷宮『ヘイムダリオン』へと通じる道を開いてもらう。
「油断せず行こう」
精悍な見た目をした槍騎士、『特異運命座標』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)の言葉に頷いたメンバー達は、注意深く階段を下りていく。
やがて、長い階段から開けたフロアへと出ると……、辺り一面鏡張りの迷宮がイレギュラーズ一行を待ち受けていた。
「鏡だらけの迷宮……目がおかしくなりそうね」
「鏡の迷宮とはこれは厄介な……距離感や空間の感覚も狂いそうですね」
紫の髪で両目を隠した『緑雷の魔女』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)の言葉を受け、切れ長の瞳の黒髪女性『雷霆騎士・砂牙』アリーシャ=エルミナール(p3p006281)も難しい顔をする。
本格的に進み始める前にとアリーシャは剣を軽く振り、ある程度距離感などの感覚を確かめていた。
「ふふーふ。初めて探索するダンジョンが大勢の私達に見守られながらとは心強いですねえ」
そうは言うものの、高い身長を持つ自称魔女の『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)も冗談言っている場合じゃないと、慎重に行動することにしていた。
ところで、入り口となっていた幻想種の村は先日魔物に襲われていたのを、依頼を受けたイレギュラーズ達が助けた経緯がある。
今回、この村自体は無事ではあったのだが、その時と同じ3種の魔物が1体ずつで1グループとなり、迷宮内を徘徊しているのが鏡を通して分かる。
「水豹にオートマタ……それにクレイゴーレムということはやはり『彼女』の仕業ですね」
「エイプリル・リリィ・シャーリー……以前も遭遇した羊角の魔種が、こんなところにまで」
全くもって腹立たしい限りだとオーガストが自らの胸の内を明かすと、アルビノの髪に肌を持つ『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)が以前の依頼について遭遇し、集落に魔物をけしかけてきた敵だと仲間達へと語る。
「エイプリル、名前だけが解った魔種だな」
考えすぎかもしれないが、今回も自分達の前に姿を現す素振りはないのかもとベネディクトは推論を口にする。
「……一体、何を企んでいるのでしょう」
警戒して、今回もその企みをくじかせてもらうと、ドラマは力強く語った。
その一言は魔種にも聞こえたのだろうか。徘徊する魔物達が活発に動き回るようになったようだ。
「鏡の迷宮、視覚的にかなり混乱しそうな場所な上に敵の総数も不明と来たか」
魔物化した左目と腕が特徴的な『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)は色々なものを駆使して乗り切る必要があると考えて。
「虹の宝珠を求めて――よし、迷宮踏破と行こうか!」
仲間達へとクロバは力強く声をかけ、鏡の迷宮へと足を踏み出していくのである。
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大迷宮『ヘイムダリオン』。
それは入る場所によって、まるで違った迷宮を見せてくれると言う。
「『大迷宮』と呼ばれるだけあって、中々の広さでしたねぇ」
ドラマが言っているのは、前の依頼で歩いた別のヘイムダリオンの迷宮のこと。
その時と同等の規模の探索となるのかは分からないが参考にし、彼女は補給できる軽食を用意していたそうだ。
改めて、今回一行が挑むは鏡張りの迷路である。
「迷宮の罠といえば、落とし穴や隠し扉、一方通行辺りが一般的でしょうが……」
とはいえ、どんなトラップがあるかはわからないと、アリーシャは片側の壁によって奇襲を警戒する。
普段は戦闘前に鎧を召喚するアリーシャだが、今回は魔物との遭遇に備え、予め召喚した鎧を装着した状態で探索に当たっていた。
「迷わないようにする目印といえば、パンくずや硬貨のような目印を落としたりするっていうのもアリかしら」
不用意に鏡となった壁に触れぬよう十分注意して進むアリーシャに、アルメリアがそんな提案をすると、使い古した深緑の旅装束を纏うローグライグ系な旅人、『観光客』アト・サイン(p3p001394)が首を横に振る。
「鏡の迷宮って厄介だよね。どこからどこまでが道かが解り辛いから」
彼は実際にそれを試してみると、あちらこちらにパンの欠片が映ってしまい、結局道が分かりにくいことを実証してみせる。
「では、どうすればいいか? 冒険知識で考えよう」
こうした場では最大限の力を発揮するアトは、探索者便利セットから白いチョークを取り出す。
用いるのは、BCDEFGのアルファベット6文字。左右非対称だが、続いているので覚えやすいとのこと。
「つまり、今からこの黒い床にBからGを繰り返し書いていくんでよろしくね」
このアルファベットの上はアトが探索済みという証明となる。
上を歩かないようにと注意を促し、彼は早速床にBと書いていく。
アトの説明を聞いたアルメリアはふむと唸る。
「私は攻撃手として頑張ることに専念しましょう」
後程相手にする魔物の残骸で目印を作ることもアルメリアは考えたが、ここは彼に任せることにしたようだ。
並びとしては、探索役のアトとドラマを先頭に、前衛陣としてミーナ、アルメリア、アリーシャ、後衛のオーガストを挟み、さらに後方に別途前衛のベネディクトとクロバが殿を務める。
ドラマは探索に関してはアトの方が上手だろうと考え、そのフォローをする形で罠を警戒する。
とりわけ、魔術的な事象の罠の対処であれば、自身の方が得意だろうと考え、ドラマは対処に当たる。
アトも任せられる類の罠は彼女に頼み、彼自身は3m棒を使って鏡の位置の調査を行い、怪しい点がないか探る。
「鏡の迷宮でよくある、罠が鏡じゃなくて、鏡の振りをして僕らに襲い掛かってくるミミックの類だね」
鏡は侵入者を映して悩ませるだけでなく、まれにトラップが仕掛けられている。
棒で鏡を突いたアトは僅かな鏡の境目に気付き、すぐに罠の解除にと鏡を固定して動かないようにしてしまう。
「さすがですね」
トラップで仲間することも考え、身構えていたオーガストだったが、仲間の罠対処能力の高さに安心していたようだ。
そして、アトは床に先ほど告げた文字を記し、地図にマッピングする。
なお、地図にもアルファベットを記入し、アトは自分達の現在地が把握できるようにしながら先へと進む。
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マッピングを進めながら、進んでいく一行。
進むうちにあちらこちらへと魔物の姿が見え始めたことで、各メンバーが警戒を強める。
「何か近づいてきているな」
後方のベネディクトは超聴力を働かせ、妙な気配の接近を察して。
戦闘が近いことを察してアトが下がり、皆武器を構えた。
「来るぞ」
不意打ちをギフトで無効化できるベネディクトが通路の影から魔物が飛び出してきたのを皆に伝える。
姿を現した魔物の一隊は、水豹を先頭にオートマタ、後ろにクレイゴーレムの順でついてきていた。
落ち着いて敵を視認するミーナはそれが鏡に映った姿ではなく、実体だと確認して。
敵が自らの射程まで踏み込んできたところで、ミーナは死神の領域を展開する。
「鏡ばっかで目が疲れただろ? この中じゃ光も何もねぇぜ!」
その領域へと飛び込んだ魔物達は視界を奪われ、戦慄する。
アリーシャは壁となる鏡の位置を気にしつつ、剣をかざして盾にして接敵し、真っ向から切りかかっていく。
敵は列をなして並ぶ。オートマタが横に来てしまう前に、アルメリアはうねりのたうつ雷撃を発する。
攻め込む仲間を避け、彼女の雷は魔物のみを撃ち抜いていった。
「確か、あの中ではクレイゴーレムがタフでした」
出来る限りそれ以外を優先して攻撃をとドラマは仲間達へと語りつつ、手前の水豹へと蒼い三日月で斬撃を見舞う。
「……以前、人形兵士に思いっきり斬られて血液を持っていかれたことがあるわ。みんな気を付けて」
仲間に呼びかけながらも、ベネディクトは素早く逃げる危険性の高い水豹へと踏み込み、軽槍を突き出して穿つ。
それだけでなく、水豹は貫通レーザーとして被害を拡大する為、早めに倒したい相手だ。
前線メンバーの相手はそれだけでなく、手前で壁になろうとするクレイゴーレムに、距離をとって銃撃を行うオートマタもいる。
「お怪我は大丈夫ですか?」
オーガストは仲間達を気遣い、防御しつつ調和の力で癒しをもたらしていく。
半数が初戦闘とあり、手探りで戦う者も多いメンバー達。
しかし、クロバがガンブレードで爆炎を浴びせかけたところで、明らかに水豹が後退したのを見たドラマは温存していた戦法を一転。
「全力で潰しますよ!」
逃がすまいと二速にまで速度を上げた彼女。
素早く広げた書籍から不可視の悪魔の腕が延び、水豹を掴みかかる。
逃れられぬ水豹はついに体を維持できなくなり、どろりと体を崩してしまう。
前線を固めながらアトはローグの境地に至り、刃を刻み込めば、オートマタの身体に火花が走る。
放電してくる敵の攻撃を避けていたクロバが再度、ガンブレードで切りかかる。
激しい爆発の中でオートマタが機能を停止してしまうと、後はクレイゴーレム。
タフなそいつは大振りな攻撃で体術を繰り出していたが、それを躱したアリーシャが軸足の膝を白炎の刻印が入った大剣で切りかかる。
「ラ・ピュセル!」
戦乙女の加護を纏った一撃を彼女が叩き込むと、クレイゴーレムは片足を失ってバランスを失い、鏡を破壊しながら壁へと倒れ込んだのだった。
●
魔物1グループを討伐しても、ダンジョン探索が終わるわけではない。
「宝玉のある方向とか、怪しい姿がいないか知らねぇか?」
探索を行うメンバーのすぐ後ろで、ミーナは時折仲間が全員いるか確かめつつ霊魂疎通を試みる。
迷宮で彷徨う霊魂が指し示すのは大まかな方向のみ。
アトのマッピングと合わせれば、かなり有用な情報となる。
彼の記すアルファベットのバリエーションとして、オーガストが文房具のインクを使ったり、矢印を記しアリーシャの剣を使ったりする。
そんな折だ。ちらりと微笑む女性の姿が鏡に見えたのは。
クロバ、ベネディクトはそれを見逃さなかったが、残念ながらミーナは見逃してしまって。
「一度でも顔見てりゃ、そのエイプリルだっけ? そいつのいる方向もわかるんだがねぇ……」
まだ、視認していないミーナが次こそはと霊魂に問いかけながら歩くと、ぼんやりとした態度のアリーシャが感覚を研ぎ澄まして。
「来ます。鏡から……!」
アトもそれに頷く。どうやら、一方通行になっていた鏡から近づいてきているグループがあるようで。
事前に察知できたことで、メンバー達は手早く2戦目に臨んで。
今度は敵を誘き寄せてからの攻撃が可能で、主に先ほど温存していたメンバーが手早く討伐を進める。
敵を上手く状態異常に苛むミーナが敵の攻撃を受け止めながら赤と青の連撃で攻め立て、ベネディクトが仲間を巻き込まぬよう立ち回り、一気に敵陣を薙ぎ払っていく。
追撃をかけるベネディクトはオートマタの射撃を受けながらも、素早い槍の一突きで水豹を霧散させる。
オーガストは終始後衛からの回復の手を強め、異常を感じるミーナ、ベネディクトら前衛陣の恐怖を打ち払う。
この場はアトも探索だけじゃないことを見せつけ、タフなゴーレムをやり過ごしつつ、銃撃でオートマタを仕留めていく。
「できるなら、凍らせそうな水豹で試したかったけれどね」
アルメリアは敵の数が減ったことで攻撃パターンを変え、絶対的冷気で粘土の体を完全に凍らせる。
バランスを崩したクレイゴーレムは床に激突し、全身が壊れて迷宮内に腕や頭が散乱してしまうのだった。
一戦闘終わるごとに、メンバー達はできる限り体力気力を万全な状態にと努める。
「小まめな回復は大事ね」
アルメリアが仲間の傷を治癒魔術で塞ぎ、アトが自身の気力回復に努める間、クロバは索敵をしつつ魔種の痕跡を探る。
「……いるな」
「はい、間違いありません」
クロバの言葉に頷いたオーガストも、鏡に映る山羊の角を持つ魔種の女性の姿を確認する。
今度はミーナもしっかりその姿を視認できていたようだ。
「エイプリル……我々を認識していたのでしょうか?」
アリーシャの言葉の直後、敵は姿を消してしまう。
「うっとうしいわねぇ、襲い掛かってくるわけでもなく視界にちらちらと」
敵がこちらへと魔物をけしかけてきているのではないかとアルメリアは推論を口にするが、どうやら間違いはなさそうだ。
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2戦目の後、一行はアトがマップを纏める間休息をとることに。
ギフトの効果で睡眠不要と主張するドラマは用意した軽食を皆に差し出しつつ、周囲の警戒に動く。
「こういった迷宮だと、やはりリソース管理が大切になるな……」
長丁場で戦闘を行う状況に対応できるようにすべきかと、ベネディクトは今後の方針について考えていたようだ。
その後、イレギュラーズ達は3回目の魔物グループとの戦いに臨む。
今度は戦いの中でも、エイプリルはこれ見よがしに姿を鏡にさらし、魔物達をけしかけてきていた。
下手に魔種ばかりに気を取られると、目の前の魔物にやられてしまいかねない。
自らの素早さを活かすドラマが蒼い三日月を一閃させ、アトも己を活かすべく手前の水豹に切りかかり、体力を削る。
「ここは行き止まりだぜ、迷子共。相手してほしけりゃ私がしてやらぁ!」
この場はミーナがアリーシャと共に最前線を預かり、敵の侵攻を食い止める。
水豹ののしかかりやクレイゴーレムの粘土弾を受ける2人へ、オーガストは天使の歌を響かせて癒しに当たっていた。
今回は狭い場所で、密集して交戦せねばならぬ状況。
格好の餌食と貫通レーザーを発してきた水豹に、防御態勢を取っていたミーナはその防御力を破壊力へと変え、片手で振るった鎌で敵の頭を断ち切って撃破してしまう。
ここでもタフさと図体のでかさを主張して邪魔なクレイゴーレムだが、そいつをやり過ごしつつアリーシャが奥のオートマタへと攻め入る。
他2体の陰に隠れている感もあるが、思ったよりも精細な動きで銃撃を叩き込んでくるオートマタ。
3度目の戦場はやや狭いこともあり、アリーシャは突きを主体に攻め立てる。
フェイントを織り交ぜれば、敵もうまくそれにつられてくれた為、アリーシャは両腕の銃を一気に切り落とす。
別れの文字を胸部に刻み込まれ、オートマタは完全に機能を停止させてしまった。
「増援を送り込んできそうな気もしますが……」
ベネディクトはこちらを見つめるエイプリルの視線を気がけながら、傲慢な左の一撃でクレイゴーレムに痛打を与える。
多少の衝撃ならば、和らげてしまう粘土の体を持つ魔物。神秘攻撃が大きな効果を発揮していたようだ。
実際、アルメリアが異能の炎を浴びせかければ、敵は大きく怯んでいたし、回復の手を止めたオーガストがここぞと石属性の魔力で形成された無数の球体を打ち込み、しばし動きを止めてしまう。
一方で、クロバはガンブレードを手に、物理一辺倒でガンガン攻め立てて着実にクレイゴーレムを追い込む。
岩をも切り裂く銃刀の爆剣舞。
クロバはあますことなくその鈍重なる体へと斬撃を刻み込んで爆破し、目の前のゴーレムをただの粘土の塊へと化してしまったのだった。
3度目の交戦を繰り広げた通路の先の部屋。
そこに設置されていた台座に、虹色の球体が浮かんでいた。
それをオーガストが落とさぬよう保管して。
「慎重に持って帰りましょう」
帰るまでがダンジョン攻略と主張するオーガスト。
サイドに現れた地上への短縮ルートの階段を見上げ、ベネディクトが呟く。
「我々もいつまでも後手後手に回る気はない、いつか必ず魔種との決着をつけよう」
エイプリルの殺意を感じながらも、目的を果たしたイレギュラーズ一行は地上へと戻っていくのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ公開です。
MVPは前線で戦い、索敵に2体の魔物撃破と活躍を見せたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
大迷宮『ヘイムダリオン』の一つ、鏡張りの迷宮の踏破を願います。
●目的
『虹の宝珠』を入手し、妖精郷アルヴィオンへの道を切り開くこと
●敵……魔物
現れる魔物は3種で、いずれも全長2m程度。
魔種となった獣種の女性に連れられていたことが
すでに目撃証言として挙がっております。
水豹、クレイゴーレム、オートマタの1体ずつ1グループで行動させており、探索を行っております。
どのくらいのグループが迷宮にいるのかは不明です。
○水豹
人工精霊の類で、豹としての身体能力も持ち合わせます。
窒息狙いののしかかり、水を放射した貫通レーザーを使います。
○クレイゴーレム
粘土製の体を持つ人型のゴーレムです。
拳や蹴り、粘土弾を使用します。
○オートマタ
自律型の人型ロボットで、
内蔵された銃砲を使用しつつ、電流を纏わせた肉弾戦を行います。
●NPC
○山羊の獣人女性
エイプリル・リリィ・シャーリーという名の獣種であったことが判明していますが、残念ながら魔種となり果てております。
血で染まった斧を手にしており、不気味さを感じさせる相手です。
今回は姿だけ鏡に映り、イレギュラーズ達の前に姿を現すことはありません。
●状況
妖精伝承と門が伝わる幻想種の村から、古代の大迷宮『ヘイムダリオン』へと突入を願います。
迷宮は鏡張りとなっており、あちらこちらに映し出される自分達の姿が侵入者を惑わせます。
その突破を図る中で、グループ単位で行動する魔物達と遭遇しますので討伐、もしくは撃退を願います。
迷宮の奥で『虹の宝珠』を入手できます。
今回の迷宮で入手できるのは、虹色に輝くソフトボールくらいの球体をした宝珠です。こちらを所持していただければ、妖精郷アルヴィオンへの道が拓けます。
なお、入り口となる幻想種の村防衛の依頼は、拙作『魔物従えし山羊の獣人』ですが、今回の依頼において読む必要はございません。
●備考
このシナリオではイレギュラーズの『血』『毛髪』『細胞』等が、敵に採取される可能性があります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いいたします。
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