PandoraPartyProject

シナリオ詳細

薄紅色のお願い事

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ローレット
「甘いもの……お菓子ぃ……いひひひひ」
「あげませんからね! 絶対あげませんからねっ!」
 ローレットの片隅では真剣な──しかしイマイチしまらない──戦いが行われていた。

 片や、自らの取り分である菓子を必死に守るブラウ(p3n000090)。
 片や、取り分をすっかり食べ終えてひよこの菓子を狙う小人。

「隙ありぃ!!」
「ぴーーーーーーっ!! 僕のお菓子!!!」
 しゅばっ! と奪われていく菓子にひよこが悲痛な鳴き声をあげる。あっけなく決着のついた戦いに小さくため息をつき、『Blue Rose』シャルル(p3n000032)は自らの菓子をブラウへあげた。
「……もういい?」
「ええ勿論! 取り乱してごめんなさいね!」
 もっしゃもっしゃとお菓子を頬張りながらご満悦な小人はシャルルを見上げてにっこり笑う。取り乱すとかそういうものだっただろうか。いや、追及するのはやめておこう。
「それでアンタは……菓子の材料を採りに来たんだっけ?」
「そうそう! 毒草の根っことね、蛇の牙とね、カエルの卵が必要なのよ!」
 小人の言葉に黙り込む1人と1匹。どれもこれもおおよそ菓子の材料とは思えないのだが──いや、追及するのはやめようテイク2。
 きっと妖精郷アルヴィオンではそんなものも菓子に変わるのだ。それこそ魔法とかそんなもので出来上がるのかもしれない。そういう事にしておこう。
 小人にとって、それらの材料はどれも1人で採ることのできないものらしい。主に戦闘的な意味で。
「毒草はね、根っこで歩くのよ。その足を刈り取ってほしいの。あ、上はどうでも良いから埋めるなり燃やすなり──あ、あそこでは火は喜ばれないのだったわね──まあ切り刻むとか。好きにして頂戴な。
 蛇は倒すしかないから、命をちょうだいしたところで牙を引っこ抜いちゃいましょう。
 カエルは面倒なのよね。卵を池へ捨てていくのにいざ採ろうとすると襲い掛かってくるの。採るときは気を付けてね」
 そこまで一息で告げて、ちょうど菓子を食べ切った小人。手をにぎにぎしてなくなったとアピールしてくるが、ブラウもシャルルも自分の菓子を抱え込む。
 ──ちょっとくらいダメ?
 ──さっき僕のとったじゃないですか。
 ブラウと小人が視線で言葉をやりとりするという妙に高度な交流を行うなか、シャルルは隣のテーブルに視線を向けた。そこにはおあつらえ向きにイレギュラーズたちが菓子を広げている。
 小人へ視線で示し、小人が隣のテーブルに気づいて。
「いひひひひひもらったぁ!!」
 見事な跳躍で隣のテーブルへ飛び込んだ小人。彼女の被害に遭った憐れなイレギュラーズは──そう、君たちである。

GMコメント

●成功条件
 妖精の希望した材料を採ってくる

●情報精度
 このシナリオにおける情報精度はAです。
 不測の事態は起こりません。

●ロケーション
 深緑の森です。比較的平和で、特段気にしなければいけないような地形でもありません。
 最近は強いモンスターも多いみたいですね。
 該当モンスターを見つける際には非戦スキルやギフトを上手く使っていきましょう!

●毒草
 マンドラゴラ的な風体のモンスターです。根っこが足となって歩きます。
 わっさわっさと群生しており、普段は普通の草に擬態しています。普通に近づくと隠れて動かないため、不意打ちを狙っていくか擬態を看破したうえで倒しにかかると良いでしょう。
 個体としてはあまり強くありませんが、しぶとく数で押してきます。

 光合成:HPを回復します。
 切り裂き:草で切りかかってきます。痛い。【毒】【麻痺】

 ひとつかみくらいあれば良いそうです。

●蛇
 にょろにょろ蠢く蛇のモンスター。湿地に多く存在します。
 回避に優れており、獲物へ巻き付いて急所を狙います。捕まると危険です。

 巻き付き:対象へ巻き付いて拘束します。【体勢不利】
 必殺の牙:マジで気を付けてください。【必殺】【防無】

 牙は10個ほど欲しいそうです。

●カエル
 卵はどこかの池に沈んでいます。池はそこまで深くなく、子供ほどの身長であっても採ることができます。
 卵へ触れた瞬間から最大限警戒してください。
 カエルは大人ほどの高さがある大きなモンスターです。噛みつく他、のしかかったり鳴き声で攻撃してきます。
 防御技術に長け、反応はそこまで高くありません。

 ゲコゲコゲコ!!:嫌な鳴き声です。精神的にも何かやばいです。【不吉】【狂気】
 グシャア!!:のしかかってきます。お、重い……。

 卵は2つお願いします。潰さないように持ってきてください。尚、カエルは倒さないとどこまでも追ってきます。

●相談場所
 ローレットのテーブルを皆さんは囲んでいました。テーブルにはたくさんのお菓子。今はその隅っこに小人がお邪魔し、一心不乱に食べています。何聞いても答えないです。お菓子は早めに囲っておかないと小人がすべて食べます。
 皆さんで囲んでいた理由は何となく菓子につられて集まったでも、仲の良い者同士で遅いホワイトデーを楽しんでいたでもお好きにどうぞ。理由に困ったら追及しないが吉。
 菓子を囲い、摘まみながら当シナリオの相談を進めて頂ければと思います。

●ご挨拶
 愁と申します。
 これは菓子の材料集めです。これらは菓子になるんです。そう念じながら集めていきましょう。集める順番はお任せします。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 薄紅色のお願い事完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年04月05日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
妖精の守り手
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
医術士
オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)
にんげん
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
サメ召喚士
アリア・テリア(p3p007129)
希望の紡ぎ手
ゼファー(p3p007625)
never miss you
ミィ・アンミニィ(p3p008009)
祈捧の冒険者
散々・未散(p3p008200)
L'Oiseau bleu

リプレイ


(なんでここに小人さんが……?!)
 『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)が咄嗟に自分の分の菓子を囲い込む間にも、テーブルへ乗り込んで菓子を奪っていった小人。女性の姿をしたそれは妖精郷アルヴィオンより来たりし妖精だった。ココロが大人げなく歯を剥いて威嚇し、彼女の分はどうにか守られたがその他は妖精に取られてしまった。妖精としても物珍しい菓子ばかりだったのかもしれない。
 ──とは言ったって、誰だってひとりの人間である。イレギュラーズも、偉い王様もヒトなのである。
(菓子を略奪されては、其れはもう義憤を覚えておりますとも)
 散々・未散(p3p008200)はぐっと拳を握りしめ、ローレットでの悲しい出来事を思い出す。
 自分たちのものであったはずの菓子を囲い込み、菓子の材料を探してほしいと言った妖精。だがしかし、あれではどちらかと言うと探してこいといった感じであった。しかも自分が囲い込んだ菓子は絶対にイレギュラーズへ渡さないと言わんばかりの態度。
 一体どこまで強かなのか、妖精。
「まあ、うん、妖精たちに危険がなかったのはいいことだよな……」
 ハハ、とどこか乾いた笑みを零すのは『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)だ。
 深緑で最近危険なモンスターや見たこともない魔物が増え、こちらへやってくる妖精たちと出入り口である門『アーカンシェル』が狙われる事件が増えている。サイズは妖精鎌として彼らを守るべく、彼らに関する依頼は手当たり次第に参加希望を出していたのだが──。
(これ、ただの採取依頼だ)
 妖精に危険など迫っていなかった。それどころかローレットでひたすら菓子を貪る始末だった。
 それでもあの生物たちと戦わずに済むと思えば気楽……だろうか。
「探してほしいのは、浅い池と、湿地と、動く草のある草っぱらだけど、心当たりあるかな?」
 『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)の言葉にふわり、ふわりと漂う精霊はあっちだそっちだと色々な方向を示す。慌ててアリアが地図を出すも精霊にはそれの読み方がわからないようだ。順に話を聞き、何となくの場所を書き込んだアリアはありがとうと笑みを浮かべた。
「まずは湿地帯だね! あっちみたいだよ」
 指をさすアリアの言葉に一同は移動を始める。道中に素材となる草がいれば刈ってしまいたいところだが、そうでないなら蛇の牙から採取する予定だ。
「蛇の牙は何に使うのでしょう……?」
 『大いなりし乙女』ミィ・アンミニィ(p3p008009)の呟きは皆が思うことであったが、残念ながらそれに答えるはずの妖精はここにいない。菓子不足だと『取り乱して』ローレットのどこかへ行ってしまったのである。……あの奇怪な笑い声を取り乱すと表現してよいのかどうかは少々謎であったが。
「このあたりですかね。じゃ、探しましょうか」
 森を抜け、湿地帯へ。ゼファー(p3p007625)が辺りを見渡しながら愛用の槍を手に握る。
「気を引き締めて取り掛かるべきか。何せ相手は野生の命。発見するのも困難に違いない」
 『にんげん』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)はじっと湿地帯を観察し、それこそ間違い探しのように目を凝らす。彼女の『皆が食せる程度の量を確保せねば』という呟きにアリアは固まった。
(え、試食するの……?)
 マジか。だがオラボナの口調はマジだ。完成品の想像もつかないものを皆でレッツ試食☆ したらどうなってしまうのだろうか。嫌だ想像したくない。
(……うん、お家で食べるって言って逃げよう、うん)
 今は現実逃避している場合ではない。精霊たちの力も借り、蛇を見つけ出さねば。
「この辺りに蛇はいるかな? 皆の力を貸してくれたら嬉しいな」
 湿地帯に生息する植物へ『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は語りかける。カエルは見つけにくいかもしれないが、動く毒草や隠れる訳ではない蛇ならそこまでわかりにくくないはずだ。植物たちは温和なモノばかりだったようで、小さな声で教えてくれた。
 ──イルヨ、イルヨ。
 ──カクレテイルヨ。
 ──カゲノナカ、キヲツケテ。
 足元を取られないよう、不意打ちを受けないようにと注意しながら見渡すミィ。未散はナイフに厚手の手袋、他にも諸々準備してすっかり見た目は探検に心躍らす幼子の其れだ。注意深く岩場の影を覗き込み、いなかったとしょんぼりしては次だと別の場所へ向かう。
 ゼファーは藪を槍でつつき、木の根っこに巣穴がないかと視線を走らせて──おっと、何かが動いたぞ?
(ま、藪蛇って言うくらいだしね?)
 素早く戦闘態勢を取り、蛇を引き付けるゼファー。1匹釣れればあとは芋づる式でわらわらと群がってくる。彼女の前へ立つオラボナがその攻撃も拘束も引き受ける。
「簡単に捕まる気は無いですけど、頼もしい壁役がいると心強さ半端ないわ!」
 その背中に──見えないが──モミジのような真っ赤な痕を付けたオラボナ。彼女が崩れることは早々ないと言って良い。だがオラボナの防御技術をガン無視した牙での攻撃は十分な脅威だ。
 そんな群れへ接近したサイズが魔力をまとった鎌を振り下ろし、後方からスティアが強き意思を刃として打ち出す。次第に追い詰められていく蛇たちへ奏でられるはアリアのディスペアー・ブルーだ。
(蛇が遠距離から攻撃するとは……うーん、思えないかな)
 ココロは蛇を観察し、うんと頷くと距離を取りつつオラボナへヒールをかける。蛇はちょろちょろ動く上に数も多い。イレギュラーズたちが──ひいては妖精が──欲しているその牙もたいそう凶悪な代物である。ココロは自分へ向かってくる蛇がいないか注意を払いながらオラボナの傷の具合を観察した。
 未散は必要最低限、と心の中で唱えながら死者の怨念を解き放つ。束ねられたそれは執拗に蛇を狙って狙って、息の根を止めた。
 分散しそうになる視線をゼファーが再度集め、ゆらりと巨体を動かしたミィは強かに蛇の群れへと武器を振り下ろす。わらわらと一旦散っていった蛇はゼファーを、かばうオラボナをめがけて再び集まってきた。
「息を合わせても、存外難しいものだ。気を引き締めねば」
 確実に数は減っているがいかんせん釣れた量が多い。そこらを見れば十分な量が倒せたと判断できるが、引き際が難しい所だ。
 イレギュラーズは逃げ惑い、また寄ってくる蛇たちに翻弄されながらもその息の根を止める。動かなくなればあとはその牙を引っこ抜くだけだ。
「やっぱりこれ、黒魔術の触媒じゃないの……?」
 集まった牙を見てアリアの目が泳ぐ。スティアも果たしてこれがお菓子の材料なのかと首を傾げるが、
「いや、きっとお菓子になるんだ! そうに違いない!」
 と自らを納得させていた。まあ納得させないわけにいかないだろう。食べる勇気はまた別の話である。材料から利用方法まで思う所(ツッコミどころ)はありまくりだが、とにかく今は頼まれた素材を集める他ない。
「次は……毒草か」
 サイズは手元にある深緑の心得を開き、ぱらぱらと頁をめくってそれと思しき植物の箇所を探す。次が最も面倒くさそうだ、と思っている者も少なくない。
 それはひとえに──見つけづらそうで。
(どなたかに頼るか、手当たり次第に抜くか……ですね)
 ミィはちらりと仲間たちを見やる。ココロも怪しい感じはあるだろうと踏んでいるし、もしかしたら移動している毒草に会えるかもしれない。
「よしっ、そろそろ行こうか!」
 英気は養われた、と先ほど印をつけた地図を開くアリア。スティアやミィも周辺の植物や精霊から情報を得て、一同は森の中を移動し始めた。

 それにしても、と呟いたのはゼファーだ。
「どっちかって言うと、甘めに見て霊薬。フツーに見てただのゲテモノ蒐集って感じですけど」
 何がなどと言わなくても分かるだろう。この依頼で集める素材の話である。
「根っこはまだ分かります。卵も卵なのでとりあえず今は目を瞑りますが……」
 ミィは先ほど確保した蛇の牙を思い出してうーん、と眉根を寄せた。やっぱりあれが1番わからない。あんなものを菓子の材料にするとは、混沌世界もまだまだ広いと言うことだろう。
「この辺りみたいだよ」
 スティアが自然との会話で得た情報から立ち止まる。風がイレギュラーズの後方から吹き、さわりと草木を揺らした。
「うーん……この植物は……」
 植物ノートからいくつかそれらしき項目を見つけ、草原の植物と照らし合わせるサイズ。オラボナは辺りを見渡し、無防備にも闊歩している毒草がいないことを確かめる。
「精霊さん、どうかな?」
 アリアの言葉に近くの精霊はふわりふわりと所在なさげだ。何となくの場所までは分かっても、どの植物なのかまでは見分けがつかないのかもしれない。
 そんな中、ココロはじっと草原を見つめていた。大した広さもない草原だ。視界に全てを映すためそこまで離れる必要もない。
 じっと見て、観察して──。
「あそこ、怪しいかも」
 風のせいだろうか。それにしては不自然な揺れ方をした草をココロは指さす。イレギュラーズたちはそれとなく、どこにあるかわからないような風を装って近づいた。
 不意にうねるは血の鎖。蛇のような雷撃がのたうち絡まり、ミィとゼファーがその辺りめがけて強かに打つ。未散が死霊弓を打ち込むと、たまらんと言いたげに草が持ち上がった。
 わっさぁぁ!
「うわっ」
「思ったより可愛くない」
「これまた多いですね」
 イレギュラーズたちがはたいた所を中心に群生していたらしい。一気に起き上がったため地面に少々の陥没ができ、その上に割と丈夫な根を持った草が立っている。
「さあ、やりましょうか」
 ゼファーが突っ込んでその視線──というか注意──を引き、オラボナがそのカバーに回る。敵の多さにスティアも加勢しようと本の形をした魔導器を起動した。
 ふぅわりと天使の羽根が舞う。いいや、これは魔力の残滓だ。
 スティアの咲かせた氷結の花がゼファーたちへと向かっていた1体の毒草へ咲く。ぴょこん! と驚いたように跳ねたそれはスティアへめがけて突進してきた。その葉は予想よりずっと鋭利で、しかし肌を薄く裂かれようともスティアには麻痺毒など効きはしない。
「妖精さん、いっちゃえー!」
 アリアの号令と共に具現化された小さな妖精たちが我先にと草たちへ突進していく。それを追いかけるようにミィは肉薄し、草たちへその大装甲で打った。
「わっ……と」
 群れを成してゼファーたちにまとわりつく草たち。そちらへ攻撃を向けようとしていた未散は、すぐ近くまで敵が近づいてきていたことに気づき慌てて距離を取る。死霊弓を放つには近すぎるか。
「それなら、」
 未散が放つのは死者の怨念ではなく、炎。近くへ落ちたそれへ毒草がひるむと同時、スティアの放った氷結の花が敵の意識をそちらへ逸らす。その動きを見ながら未散は深呼吸をして気持ちを切り替えた。
(皆さまの動きを良く見て、胸をお借りする心算で今後の為にも、慣れなくては)
 誰も彼もがイレギュラーズの先輩だ。学ぶことは必ずある。
 魔力撃を当てたサイズが草たちの様子を見て声を上げる。彼らはその体を広げ、太陽の光を取り入れているようだった。
「させませんよ、っと」
 ゼファーがカウンターを叩き込み、その間にもココロが仲間の受けた毒を分析し、解除する。学んだ医療技術は確かなものだ。
 最後に力尽きた草の根っこを持ち、上部を刈り取って採集する。アリアは必要分だけ、と集めて立ち上がった。途中から不利を感じたか、あっという間に散らばった毒草たちはどこへ行ったのやら。
「皆の命は無駄にしないよ……」
 多分、とついてしまうのは仕方がない。だってアリアたちだってどんなものが出来上がるのか想像つかないのだから。
 スティアが周囲の空気を浄化する。活力を得た仲間たちは顔を見合わせると、最後の目的を達成するため再び動き始めた。

「妖精というのはやはり、きまぐれな性なのですね」
 ミィが思い浮かべたのはローレットで菓子を食い漁る姿。そうねぇ、とゼファーは苦笑を漏らす。
 彼女らはイマイチ考えが読めない。自由で、気ままで、マイペースで。まるで風のようだ。
 精霊や植物たちからの情報をもとに浅い池を順繰り回っていたイレギュラーズたちは、何個目かの池で黒く丸いものが沈んでいることに気づき足を止めた。
 うわあ、と未散は思わず声を上げる。カエルの卵が卵であるがゆえに最も菓子の材料らしいと思っていたが──。
(カエルの大きさが人間大なら、当然卵もでかいわけで……)
 腕で抱き上げなければいけなさそうな卵。成程、2個で良いと言っていた理由が分かる。
「それじゃあ、取るよ」
 スティアが仲間たちの顔を見た後、池へ手を付ける。底はすぐ近く、転がった卵も服を濡らすことなく取り出すことができそうだ。
 だが。
「来たようだ」
 オラボナの言葉と共に茂みが大きく揺れる。退いたスティアの場所へ着地したのは大人ほどの大きさもあるカエルだ。
 終焉の花を咲かせ、池から遠ざけるように誘導するスティア。オラボナはスティアの近くへと張り付き、その身を庇う。スティアは意思の刃をカエルへと向け、そこへアリアの絶望の海を歌う声が響いた。
 氷のバリアを展開したサイズはカエルへと突っ込んでいく。そこへカエルは大きく喉元を膨らませて。
 ──ゲコゲコゲコゲコ!
 耳障りな声が上がる。だがそれを近距離で聞いたはずのサイズは何ともない顔だ。
「呪いを纏う俺には効かないな」
 血の鎖でカエルを捉えるサイズ。その傍らでは真っ先に自らの狂気を取り除いたココロが仲間の狂気を回復しようと素早く駆けまわる。
「大人しくして頂戴な」
 ゼファーは大きく跳躍して上から槍を叩きつける。思っている以上に強靭な表皮──だが、その動きが鈍ったのは確かだ。未散の放つ死者の怨念がカエルを外側と内側からじわじわと蝕み、スティアは誰にも意識を向けされるものかと氷結の花を咲かせる。
 カエルは苛立ったように跳躍し──オラボナとスティアの頭上へ。2人もろとも潰され、カエルが退くとすぐにスティアが立ち上がる。
「今ヒールします!」
 その言葉と共にミリアドハーモニクスで治療するココロ。ここで倒れる訳にはいかないとカエルを見据えるスティアの前でミィが庇う体制を取った。
「もう少しだよ、頑張ろう!」
 小妖精をけしかけながらアリアが叫ぶ。そうねと告げたゼファーは風のようにカエルの懐へ入り込み、師より教えを受けた技を繰り出して。束の間ぼんやりとしたカエルの前に現れるのはココロのグラン・ギニョール──人形劇団。
 それは醜悪にして悪辣な、それでいて絢爛なモノ。敵を屠るそれはカエルの内側からもダメージを与える。
 最後のあがきと言わんばかりにカエルは暴れまわるが、ミィとオラボナという壁はひどく大きく、厚い。
「最期だ」
 オラボナが放った審判の一撃がカエルを撃つ。白目を剥いたカエルがずしん、と倒れ──イレギュラーズたちはほっと溜息をついた。
 ああ、ようやく帰れるのだ。
 おおよそ菓子の材料とは思えない蛇の牙に、毒草の根。そして──。
「マジでこの卵をどうにかすんの……!?」
 ゼファーの問いに答えるモノ(妖精)はここにいない。ローレットへ帰還してからでなければ──いや、帰還してからも答えてくれるかわからないが。
 ひとまず帰ろうか、とカエルの卵を抱えて帰路へ着くイレギュラーズ。
「……あ、」
 ふと未散は立ち止まって、怪訝そうな仲間たちに気づくと何でもないとまた歩き出す。考えるのはあの妖精のことだ。
(ぼく、道中のおやつに菓子を持って行こうとしていたんでした)
 すっかり忘れていた。しかもあそこに置いたままだから妖精がむしゃむしゃと食べて──もう食べ尽くしているかもしれない。

 ──いひひひひっ!

 嗚呼、これも妖精の悪戯というやつだろうか。
 ほんのちょっぴりの悲しさを感じつつ、未散は仲間と共にローレットへの道を進んだのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 いやはや……あれは一体どんなものに変わるのでしょうね。お菓子って言ってますけれど。ねぇ???

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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