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シナリオ詳細

<バーティング・サインポスト>魔の海域の石像を破壊せよ!

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 発動された『海洋王国大号令』の名の下に、ネオフロンティア海洋王国の活動は活発化していた。
 近海にて海賊連合を下し、ゼシュテル鉄帝国の干渉をローレットと共に跳ね除けた王国は遂に外海『絶望の青』へと漕ぎ出した。
 しかしながら、絶望の青は幾多の勇者を殺し船を沈めた海洋の墓所である。
 局地嵐(サプライズ)、狂王種(ブルータイラント)、幽霊船に海賊ドレイク、そして魔種。恐れるべきは多く一筋縄ではいかない。
 又、イレギュラーズは徐々に活動範囲を広げながら、絶望の青に橋頭堡を築かんとする王国の意向を受けた冒険の中、自身や仲間に奇妙な病状が現れるのに気付く。
 折りしも、行われた元得意運命座標――魔種オクト・クラケーンとの会談により、ローレットと王国はこの病が絶望の青の支配者・冠位嫉妬アルバニアの権能、即ち廃滅病と呼ばれる呪いであると知る。廃滅病を治癒する方法は、アルバニアを倒すのみ。
 発症危険があるのは絶望の青に踏み込んだ全てのもの。そう語ったオクトを信じるならば、ローレットと王国のなすべきは一つしかない。コン・モスカの協力を受けながら廃滅病に対抗し、一刻も早くアルバニアを倒し、絶望の青を超えるしかない。
 そして、ローレットと王国に一つの情報がもたらされる。
 それは彼等が求めた後半の海に対しての足がかりと出来る大きな島の発見。
 王国はその島を『アクエリア』と仮称するが……そこには多数の魔種の影。
 悪意の蠢くその島を制圧する事こそ、この先に希望を繋ぐ為の必須条件なのだ。


 ローレットの掲示板に多数張り出された『絶望の青』に関する依頼。
 多数の障害が待ち受けるこの海の先を目指すネオフロンティア海洋王国からの依頼を受け、イレギュラーズ達は局地嵐、狂王種、幽霊船、海賊、魔種と様々な脅威に立ち向かう。
 そんな中で、今なお棚上げとなってしまっている事案があった。
「魔の海域にある島、その頭頂部にある白い石像の破壊を皆さまにお願いしたいのです」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)がこの島の状況について語る。
 
 海洋の沖にある、魔の海域。
 この海域に近づく船は、なぜか強い海流によって島の北の入り江へと誘い込まれてしまうのだという。
 この海域には紫の靄がかかっており、近づく者の気力体力を奪ってしまう。
 調査の結果、この紫の靄を作り出しているのは、島の頭頂部にある白い石像だと判明。
 こいつの使役する水妖を叩き、海流だけは止めることができたが、いまなお靄は発生している状況が続く。
「海流が止まっている今なら、島の南北のいずれからか上陸して、一気に石像を叩くことができます」
 ただ、相手も必死に自分の領域を死守しようとしている。
 北の入り江には靄が固まったガスクラウドを配備しているし、南側の浅瀬には石像が即席で力を与えた水妖が数体待ち構え、島頭頂部への行く手を阻む。

 島内部はドーナツ状に森が展開し、東西は崖となって近づくのが難しい状況にある。
 これまでは、海流で運ばれていた北の入り江を利用し、海域の攻略を進めてきた。
「北の入り江は南風の影響もあって、ガスクラウドが集まりやすい環境があります」
 近づくのは簡単な上、すでに探索済みな場所の為、スムーズに頂上へと向かうことができる一方、体力気力を奪ってくるガスクラウドとの交戦は重なる可能性が高い。
 また、ガスクラウドは物理攻撃が効かない厄介な相手。
 北側から向かうなら、神秘攻撃メインで戦略を組み立てることとなるだろう。
「南の浅瀬は途中から小舟に乗り換えて島に近づくことになります」
 小舟は乗れて2,3人。その状況で待ち構える水妖と交戦する危険な状況となる。
 浅瀬はそれなりに広い為、しばらくは態勢が整えられぬまま、交戦を強いられる。
 ただ、飛行、水中行動ができるメンバーがいれば、幾分かは楽に立ち回ることができるので、うまく利用したい。
「南の浜まで上陸できれば、一気に状況は好転すると思われます」
 力ある相手ではあるが、物理、神秘共に通じる相手なので、態勢を整えれば一気に水妖を撃破できるだろう。
 また、南側は探索ことできていないが、ガスクラウドが発生しにくい状況もある。
 戦略次第では、北よりも体力気力を温存できる可能性もある。
 南北共に、島中央へと斜面を登りながら森を抜けると、岩肌が露出した頭頂部で魔の海流を生み出す元凶、白い石像とのバトルとなる。
「ガスクラウド数体がすでに展開している状況の中、この石像の破壊を目指すこととなります」
 ただ、石像は時折、新たなガスクラウドを発生させること、また全てのスキルが解明できていないこともあり、注意して戦闘に当たりたい。

 また、現状、絶望の青に近づいた者の一部に、厄介な症状が確認されている。
「廃滅病……。この海域に現状、絶望の青の支配者・冠位嫉妬アルバニアの権能である呪いがもたらされる可能性もあるようです」
 これがいつなくなるかもわからぬ状況もある。
 まずは、目の前の障害を叩き、改めて絶望の青の攻略に集中できる環境を作りたい。
 
 説明は以上だが、今回の依頼は危険な状況が伴う為、初心者の参加を断る状況となっていることをご了承願いたい。
「どうか、くれぐれもお気を付けくださいね」
 アクアベルはこの依頼に挑むイレギュラーズ達の身を案じながらも、現地へとメンバーを送り出すのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 海洋の沖にある魔の海域の攻略を願います。
 なお、現状、全体で公表されているアクエリアとは別の島です。

●目的
 魔の島頭頂部にある石像の破壊

●状況
 海洋沖、船の舵が効かなくなり、中央にある島へと誘い込まれるという魔の海域があります。
 現状、海流は元通りとなり、自由に通行が可能になりましたが、依然としてこの地帯を通ることで体調不良となる状況は変わっていません。
 北側の入り江から攻め込むか、南側の浅瀬から近づくかで状況が変わりますので、本文をご確認くださいませ。

 「<青海のバッカニア>魔の海域の中心にある島」
 「<Despair Blue>魔の海域の海流を止めよ!」
 以上のシナリオの続編に当たり、一応の決着シナリオの位置づけです。
 アクアベルの説明でも簡単には状況を纏めている為、未読でも今回の戦いに参加することは問題ありません。

●敵……魔物
◎石像×1体
 島の頭頂部、木々がやや枯れて岩肌が露出した場所に立っている人の形をした白い石像です。
 高さは2m、幅は6~70cmくらい。
 一切移動をしませんが、非常に強力な力を持っております。

・眼光レーザー……(A)神遠貫・連・万能・不運・呪縛
・大震動……(A)物遠域・弱点・停滞・体勢不利
・膨大なる魔力……(P)2回行動・BS回復・AP回復
 それ以外の能力は現状不明ですが、何らかの方法で相手の生命力を奪う手段があると思われます。

◎水妖(北側×不在、南側×6~7体)
 全長1.5mほど。
 全身が水でできた女性の人魚のような姿をした魔物です。
 急造の劣化種で意思を持たず、これまでの依頼で交戦した相手よりはやや格下です。
 増援を呼ぶこともありません。

・ドレインタッチ……(A)神近単・HP吸収
・バブルスプラッシュ……(A)神遠単・飛(場所によっては海上に落下します)
・包み込み……(A)物中単・窒息
・惑わす歌声……(A)神遠域・狂気・恍惚

◎ガスクラウド(北側×多数、南側×若干数)+α(石像戦は初期配備+追加あり)
 全長6~70cmほどに固まった紫色のガス生命体です。
 紫の霧が濃く塊、人の顔が現れております。
・石像戦においては、石像の力により3ターンに2,3体ずつ増える可能性があります。
 状態異常自体は効くことと、生ある者に執着する性質もあってファミリアーなどでの誘導が可能なことが分かっています。

・ドレインガス……(A)神遠単・HP吸収
・マジックドレインガス……(A)神遠単・Mアタック・AP吸収
・ウィークネスガス……(A)神遠範・物攻-・神攻-
・ガス生命体……(P)物無・BS回復50

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●重要な備考
<バーティング・サインポスト>ではイレギュラーズが『廃滅病』に罹患する場合があります。
『廃滅病』を発症した場合、キャラクターが『死兆』状態となる場合がありますのでご注意下さい。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <バーティング・サインポスト>魔の海域の石像を破壊せよ!Lv:15以上完了
  • GM名なちゅい
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年03月18日 23時30分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
虚孔
鳶島 津々流(p3p000141)
行く雲に、流るる水に
クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)
讐焔宿す死神
ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
鉄壁鯛焼伝説
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
翼片の残滓
天之空・ミーナ(p3p005003)
天駆ける神算鬼謀
水瀬 冬佳(p3p006383)
水天の巫女
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
戦神
エルス・ティーネ(p3p007325)
Ultima vampire
カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者

リプレイ


 海洋の港から船を借りて沖を目指すローレット派遣のイレギュラーズ達。
 彼らはしばしの航行ののち、間近に大きな島を見る。
「もうすぐアクエリア……ね」
 儚げな黒髪の少女の姿をした『熱砂への憧憬』Erstine・Winstein(p3p007325)がぼそりと呟く。
 だが、メンバー達の目的地はその島、アクエリアではない。
「魔の海流を発生させる元凶の破壊作戦、しっかりと完遂させてこの海域を無理なく航行できるようにしないとね」
 気合を入れている幻想の武家貴族の女性『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が見ていたように、魔の海域へと船首は向いていた。
 以前は激しい海流によって船が流されていた海域だが、波は現状穏やかなもの。舵が操縦するままに船は進んでくれる。
「……海流は元通りになったみたいだけれど。この靄をどうにかしないとだねえ」
 頭に桜の枝角を生やす『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)は魔の海域に近づくことで徐々に漂い始める紫色の靄、そして、その中央にある島の頂上に小さく見えるモノに注目する。
「けったいな岩があるみたいですねぇ……」
 小麦色の肌をした海種の少年、『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)はアクエリア、そして絶望の青を仰いでから、小さく見える白い石像に気を払う。
「海を越えるには此処も制圧しないといけませんが。また、面倒な戦場になりそうな……」
「うげー」
 そのベークの近く、船の縁では、セーラー服着用、長い黒髪を左側のサイドテールとした『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)が苦悶の叫びを上げていて。
 ここまでの船旅で秋奈は船酔いをしてしまったらしく、若干蒼い顔をしてしまっている。
「……ハッ。水中ならバレない?」
 とはいえ、さすがにこの場のメンバー達がバケツを差し出す。
 数分後、すっきりした彼女は改めて目指すべき島を目にして。
「よくわかってない島の中央なんだし、とれじゃーの予感!」
 喉元すぎてなんとやら。秋奈はお宝がないかと目を輝かせるのである。

 魔の海域の島の上陸に当たり、船は以前まで拠点としていた北側から崖となった東側を周り、浅瀬となっていて直接は上陸しづらい南側へと近づく。
 南側の調査はほとんど進んでいない状況もあり、頂上を目指す為には獣道のような森の中を進む必要がある。
 それでも、イレギュラーズ一行が南側を選んだのは、紫の靄が集まった魔物ガスクラウドの存在が大きい。
 物理攻撃がまるで効かないこの敵の討伐ができるメンバーは限られる為、できる限り避けたいところ。
 海風の影響もあり、南側にはガスクラウドが居づらい環境とあって、一行はこちらからの上陸を選んだのだ。
「この島を調べに上陸したのも、もう3か月前ですか」
 神事を司る家の出身である色白な旅人女性、『水天の巫女』水瀬 冬佳(p3p006383)はこの島に懐かしさすら感じていて。
「何時ぞやに調査に来た島だったが、あの時はこんな大事に関わる島とは思わなかったな」
 その際、同じ依頼に参加していた海洋貴族の青年、『黒翼の裁定者』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)もこの因果に少しばかり驚きを見せる。
「絶望の青の先に行くためにも、廃滅病の仲間を救うためにも、とにかく前に進むしかない」
 そんな仲間達に津々流が力を込めて語る。今回のチームだけ見ても、ベークが廃滅病にかかってしまっている状態なのだ。
「さあ、あそこに見える石像を壊せばいいんだよね。僕も頑張るよ」
「石像、ねぇ。大抵そういうのって、何らかの神とか恐怖の象徴とかを模してるもんだが……」
 改めて、津々流が意気込みを見せると、『ディザスター』天之空・ミーナ(p3p005003)がそこで小さく唸って。
「……ま、私には関係ない事か。必要だってーなら、ぶっ壊す。それだけだ」
 また、レイヴンがそこで、以前の調査で目の当たりにした石像の視線について仲間達へと語る。
「あの石像の目……」
 赤く光る瞳から伸びたレーザー。彼は咄嗟にそれを避けたという。
「……今でも覚えているが。さて、此度はそれを打ち砕きに行くか」
「今度こそは――あの石像を、何としても仕留めてみせましょう」
 冬佳もその時は最低限の目的を果たしたと判断して撤退したものの、今回こそ石像破壊をと強い意欲を見せる。
「石像を壊すだけ……と言っても、やっぱりこの海では一筋縄では行かない、わ。油断なく行きましょ!」
 Erstineは調査で直接対面した経験のある2人の体験談を聞きつつ、気を引き締めて仲間達へと事に当たるよう促すのである。


 魔の海域にある島の南の浅瀬に近づいたところで、イレギュラーズ達は上陸の為にそれぞれ対策を取り始める。
 基本的には小舟に乗り換えて近づくのだが、それでも乗ることができる人数は2,3人。
 追加の小舟の用意がなかったことと、半数が小舟で向かうこともあり、やむなく2回に分けて浜辺を目指すこととなる。
 それに先んじて、水中行動スキルや飛行といったスキルを持つメンバー達が小舟を護衛しつつ進む形となる。
 この浅瀬から砂浜にかけて、待ち構えている人魚の形をした水の魔物である水妖数体を、身体に彫り物が入った任侠気質の男、『名乗りの』カンベエ(p3p007540)が少し離れた浅瀬で引き付ける。
 人間種のカンベエだが、水中行動をとることが可能だ。
「水の人魚とは! 淀んだ空気とここが戦場でもなければ、見惚れていたやもしれませんねえ!」
 しばらく、彼は冗談を叩きながら囮役として浅瀬を動き回り、浜辺へと下がって引き付ける相手に対して悪意、意志の力を飛ばして攻撃を行う。
「「…………」」
 急造な水妖達はやや不気味な歌声を響かせ、泡を噴射し、カンベエを狙っていたようだ。
 現状はガスクラウドの姿はない。海風もあって、こちらに来るのが難しいのだろう。
「さぁ、がんばりましょう」
 それらの水妖の背後から、意気込むベークもまた襲い掛かる。
 少年の姿をするベークだが、ギフトによってなぜか全長50cmのたい焼きになれるのに加え、香ばしいたい焼きの香りを漂わせることができる。
 そんな彼は攻撃スキルとして周囲に香りを発し、相手に体が吹っ飛ぶほどの衝撃を与えて海辺に向けて吹っ飛ばす。
 もちろん、水妖だって抗戦しては来るが、ベークとてすぐにはやられない。
「こう見えて海種ですし、水中行動もできますから。単独戦闘能力も低くはないですしね」
 しばらくは持ち前の再生能力と、イモータリティによる自己修復も合わせ、ベークはこの場を持たせる。
 唯一、今回のチームで飛行種であるレイヴンはこの作戦に先立ち、変化のスキルを使用して黒翼天使型の形態をとっていた。
 また、レイヴンはボロボロになった黒のスカーフを口元に装着する。徐々に体力を奪う靄に対する念の為の予防と、自身の意識の切り替えの為だ。
 そのレイヴンはデメリットも気にせず、かなり高度を高くして飛行する。
 水妖もレイヴンには気づいており、泡を噴射しようとするが、その射程以上の高さまで舞った彼を捉えることができない。
「来い、ハイドロイド。今回は長いぞ、残さず食らい尽くせ」
 一方で、レイヴンは八ツ頭の大蛇ハイドロイドの頭を呼び出し、高水圧弾を発射していく。
 状況的に飛行状態を最大限に生かすことができ、レイヴンとしてはこれ以上ない舞台。
 足場に囚われることなく彼はしばらく広範囲に砲撃を続け、1体の水妖の体を破裂させていた。
「今のうちです」
 水天の巫女である冬佳は、水中から小舟に乗る仲間達を護衛しながら進む。
 小舟が浜辺へと移動する間、冬佳は消耗を抑えることを考えつつ、仲間達が抑えている水妖へ穢れ無き水を刃のごとく飛ばして応戦も行う。
 小舟には第一陣として、アルテミアとErstineの姿がある。
 元々、水中行動用のスキルは持たない2人だが、この場は海ブドウやポーションを使うことで海中への落下に備えていた。
「ガスクラウドが出ないのは幸いだけれど……」
 何せ、あちらこちらに浮かぶ靄はこちらの体力をじりじりと奪うとErstineは聞いている。
 水妖達は徐々に増えてきたイレギュラーズの対応の為に散開し始め、そのうちの1体が小舟へと泡噴射を行ってきた。
 小舟上の2人は近接特化型。遠距離から仕掛けてくる敵には対処ができずない。
 身構えるアルテミアが水中へと落とされてしまうが、彼女はそのまま浜へと移動することにしていた。
 なお、水妖は面倒な相手ではあるが、仲間は善戦していると判断したErstineも小舟に乗ったままで浜辺への上陸を急ぐ。
 なお、そこの小舟の傍には秋奈が付いており、小舟待ちのメンバーの為、Erstineを降ろしてから一度船まで小舟を戻していく。
「ぶくぶく、おまたせー」
 程なく、残り3人を乗せた船が戦闘に加わるのだが、彼らが落ちないようにと、緋色の刀を構えた秋奈は近寄ってくる水妖へと紫の輝きを帯びた一閃を放ち、敵の気を強く引く。
「踊れや踊れ。オバケだろうと何だろうと、私の刀に釘付けになりなさい」
 秋奈の動きに翻弄される水妖を前に、クロバが独り言ちるように語り掛ける。
「狂王種の奴らが叫んでいたっけなぁ……生者を許さぬかのようにさ」
 白銀の銃剣を手に、クロバは自らの魔力によって生命エネルギーを刃に集めて。
「だったら、これは生存競争だ。俺は立ちはだかるお前らを悉く殺していく――」
 目の前の水の塊へ、彼は光の斬撃を叩き込む。
 津々流は仲間の交戦状況を見ながら、回復と支援に当たる。
「ガスクラウドがいない今のうちに、片付けてしまおう」
 これなら自分も援護攻撃に当たることができると、津々流は生み出した疑似生命をけしかけて水妖達の混乱を誘う。
 仲間達が順調に戦えている状況と判断したミーナも小舟の上から敵に近づく。
 彼女が希望の剣による連続攻撃を刻み込むと、倒した水妖が海水と同化するように姿を消していく。
 この場の水妖にはどうやら、目立って強い個体はいないようだ。
 とはいえ、この戦いは石像との前哨戦でしかない。厄介なガスクラウドが来て手間取る前に、メンバー達は全力で水妖の排除へと当たっていくのである。

 徐々に、浜辺へと集まるイレギュラーズ達が態勢を整えられたら、後はこちらの勢いが勝る。
 カンベエが引き付ける水妖をベークが大きく浜辺まで吹っ飛ばすと、浜辺で待ち受けていたErstineが魔術と格闘を織り交ぜた氷の刃でとどめを刺す。
 自力で浜辺までたどり着いた水妖は、アルテミアが雷撃を伴う細剣、ノクターナルミザレアを一閃させ、完全に霧散させてしまう。
 そして、クロバもまた残りが少なくなった水妖へと攻撃を畳みかけ、光の斬撃で水妖の体を霧散してしまったのだった。


 水妖を討伐したイレギュラーズ達は浜辺から島の頭頂部を目指し、斜面となった森を登っていくこととなる。
「でーあーふたーでー、しーんぐあーろーりのー」
 水妖戦終盤には陸に足をつけて戦いはしていたが、改めて地面の存在を再認識していた秋奈は超元気にはしゃいでいた。
「呪い? 病気? になんてかかる気もしないわ!」
 呪いはこの魔の海域を牛耳る石像と靄、そして病気は廃滅病のことだろうが……。
 そんな秋奈をアルテミアが窘めるべく、口に指をやる。
「できれば、ガスクラウドに見つからないよう頂上を目指したいわね」
 指を離したアルテミアは、戦闘を避けることで体力に温存に繋がるのは間違いないと指摘していた。
 合わせて、可能なら最短ルートを目指してまっすぐ登りたいと彼女は主張する。
 ただでさえ、徐々に紫色の靄が濃くなってきて、地味に体力を奪われる頻度が高くなってきているのだから、歩く道のり短い方がいい。
 とはいえ、鬱蒼と茂る木々が一行の行く手を阻む。
 また、今チームは10人とそれなりの大所帯。それぞれの装備の状況なども異なる為、少し大きな段差があれば回り道せざるを得ない。
 さらに、森の中には頂上から流れてくる紫色の靄が留まる場所がある。木々に遮られて海風が届かず、霧散することがないからだろう。
 靄が濃い場所は人の顔を象ったガスクラウドとなり、一行の行く手を遮っていることがある。
 数は3体。そいつらは先にイレギュラーズ達へと気づいたらしく、こちらに接近してくる。
 戦いは避けられないと判断し、すぐさまカンベエが前に出て。
「動かぬ敵ほど狙いやすいものはないでしょう! そう、これから討伐を目指すあの石像のような!!」
 敵の動きを制しようとするカンベエに続き、秋奈も桔梗の刀を飛ばして気を引いた敵を自分の方へと集める。
 そこで、Erstineがすかさず氷の一閃でガスクラウドを凍らせ、吹き飛ばしていく。
 ガスクラウド相手では、物理一辺倒のメンバーは通常攻撃で援護できる程度だが、やはり効果的なダメージとはならず。
 アルテミアは基本的にこの場は仲間に任せ、ミーナもガスクラウドが状態異常攻撃を及ぼさないこともあり、戦況を見守ることにしていたようだ。
 クロバも対処が難しいスキル編成とあり、神秘攻撃を得意とするアタッカーのフォローをと、石像の元への移動も兼ねて斜面の上の方へと移動する形をとる。
 一方で、ベークも物理のみスキルを装備している状態だが、彼は思いっきり自分の……たい焼きの匂いを振り撒いてガスクラウドを吹き飛ばしてしまう。
 ガスクラウドは物理無効かつ状態異常の回復力が高い面倒な相手だが、神秘攻撃が通じることの他にも及ぼす効果まで無効化しないのが突破口とも言えた。
 今回、レイヴンは神秘メインでのスキル編成で準備してきている。
 仲間達が攻撃する敵を纏めて捉え、彼は水妖と同様に呼び出した多頭海蛇「ハイドロイド」から高水圧弾を放ち、1体のガスクラウドを水圧で消し去った。
 津々流も物理型メンバーへと魔の手が伸びる前にと、自身が契約を交わした妖精が現れ、牙となってガスクラウドの体を噛み砕いてしまう。
 そして、冬佳が不浄なるものを洗い浄め祓う刃を飛ばし、気力を奪いつつ最後の1体を撃破した。
「ふう、お怪我は大丈夫ですか?」
 冬佳は仲間の状態を確認して回る。
 森は徐々に靄も濃くなり、体力が奪われてしまう状況。
 それでも、冬佳はできる限り仲間に気力を振り撒き、これからの石像との決戦に備えて万全な状態に近づけていく。
「生命力を奪う手段……今もこうしてこちらの生命力を奪っているのよね」
 周囲に浮かぶ靄を眺めて呟くErstineの一言に冬佳が頷いて。
「生命力を奪うガスクラウドを生み出しているのが石像なら、ガスが奪う力は……石像の糧になっているというのは有り得ますね」
 一行の視線が頭上へと一斉に向く。破壊対象のある頭頂部は近い。
「……警戒して近づきましょ!」
 同意したメンバー達は警戒を強めながらも、島の頭頂部に向けて枯れ行く森を抜けていくのである。


 森の中、道なき道を上っていたイレギュラーズ一行。
 紫の靄が集まる頭頂部の中心に、それを発見する。
 高さは人間種の成人男性なら見上げる程度。幅は同程度くらいといったところだろうか。
「再び相まみえたな。以前は顔見せ程度だったが」
 相手が起こす振動対策もあり、僅かに浮遊していたレイヴンの呼びかけを受け、石像は赤く目を光らせる。
「石像の周囲にも、ガスクラウドがいるんだね……。わ、しかも、増えた」
 津々流は紫の靄が一所に集まり、新たなガスクラウドが形作られるのを目にする。
 戦い直前のこのタイミングを無駄にせず、アルテミアは完全にこの依頼を完遂すべく超集中状態に入る。
「石像を! 全力で! ぶっこわそう! ボーナスステージかな?」
「そう、狙い放題です!」
 秋奈に続き、カンベエが叫ぶ。
 そんな定点から動かない敵へ、まずはベークが近づいて。
「とりあえず、食撃で動かせるか試してみます?」
 彼女はこれまでと同様に、たい焼きの匂いを発して石像を吹っ飛ばそうとする。
 しかしながら、石像は地面に突き刺さっており、そう簡単には動かないようだ。
 さらに、秋奈が大声で名乗りを上げて。
「戦神が一騎、茶屋ヶ坂アキナ! 有象無象が赦しても、私の緋剣は赦しはしないわ!」
 直後、爛々と瞳を輝かせた石像が水平方向に回転し、両目から放たれた破壊光線に秋奈は体を穿たれてしまう。
 今度はそれに目を輝かせたのはカンベエだ。
「光線! ビームとは! なんと派手!! これは負けられませんね!」
 ともあれ、2人が石像の抑えに当たる中、他メンバー達はふわふわ浮かぶガスクラウドと合わせて討伐を開始することになる。
「ここは、チェインライトニングの出番だねえ」
 現状、浮いているガスクラウドは4体と津々流は確認して。
 一遍に対処出来て、かつ仲間達を巻き込まずに済むと津々流はうねりのたうつ連なる雷撃を発し、ガスクラウド2体を撃ち貫く。
「邪魔だ前座共。消し飛ばせ、ハイドロイド!」
 さらに、レイヴンがここでも神秘で蹴散らす必要のあるガスクラウドを、纏めてこの頭頂部から洗い流そうとする。
 戦いが始まったことで、それぞれイレギュラーズ達は先程のレーザーを浴びてしまわぬよう前後で並ばぬよう気を付ける。
「あと、石像は広範囲かつピンポイントに地面を揺らすそうですから、できるだけ敵に近づいて、それから……」
 その上で、冬佳が癒しに当たりやすいよう自分の近場で戦うよう仲間達に願う。
 石像の体力回復を阻害する為、冬佳はガスクラウドへと清冽なる穢れ無き水を一閃させて、1体を霧散させた。
「分かった。バックアップは頼む」
 元々、敵の至近で立ち回るつもりだったミーナはそう仲間へと頼んでから、前に出て。
「さあ、一つ喧嘩といこうか木偶の坊。この私を、倒してみろよ!」
 直接、掌打を石像へと叩き込むミーナは、目立つことを意識して動く。
 すでに怒りを付与する秋奈、ベークが強く気を引く状況にあるが、ミーナもしつこいほどに自己主張して相手の注意を引こうとする。
 クロバもまた相手の懐へと潜り込み、ガンブレードに装填された弾丸に瞬時に多量の魔力を込めてから爆炎と共に石像へと切りかかった。
 チームの火力役となるアルテミア、Erstineもまた石像の至近へと迫る。
「靄以外にも、別に生命力を奪う行動をしてくるでしょうから……」
 アルテミアは石像の動きを、足元も含めて警戒しながらも、細剣に雷撃を纏わせて鋭い突きを繰り出す。
 Erstineも抵抗力の高さを力に変え、氷の刃を刻み込む。
(今のところ、大きな動きはないけれど……)
 気を払いながらも、Erstineが攻撃を繰り返していると、石像から何やら強い威圧感をメンバー達は感じて。
「怪しい動きに注意を!」
 過去の報告書にない行動に、カンベエが大声で仲間達へと注意を促す。
 石像は近くへと寄ってきたイレギュラーズ達へと、紫の影のようなものを発してきた。
 近場のメンバーがそれを避けようとし、アルテミアなどはサイドステップで被害を受けぬようにと回避する。
「うおっ!?」
 力で気を引いていた秋奈は普段と変わらぬ態度で、その一撃を堪えてみせた。
 ただ、攻撃と同時に相当な体力気力を、彼女は直接石像に吸われてしまう。
 イレギュラーズ達は一層気を引き締め、石像の破壊を目指すのである。


 体力を奪う白い石像は時折地鳴りを起こしながらも、新たなガスクラウドを呼び出してくる。
 風に揺られる欠点はあるが、石像の意のままに動くその紫のガス生命体は戦うイレギュラーズ達の体力を奪い取ってくる。
「すいませんね。あなた達にはちっとも惹かれないもので」
 ベークは匂いを発しながら、ガスクラウド達を遠くへと吹っ飛ばそうとしていた。
 合わせて、ベークは吹っ飛ばしでびくともしない石像に対する怒りの維持についてチェックする。
「あまり長くは気が引けない感じですね……」
 石像はすぐに他のメンバーへと意識を向けてスキルを使う状況もあり、ベークは石像の気を引くことを諦め、防御力を攻撃力へと転化した力で直接殴ることにしていたようだ。

 その間、コンスタントに石像の周囲に湧き出るガスクラウドを、メンバー達は相手取る。
「面白い! 面白い! カンベエは此処にいるぞ! 撃ち殺せるならば狙って見せろ!」
 カンベエは回復を繰り返しながら、ガスクラウドが仲間に危害を加えぬように押さえつける。
 翼を羽ばたかせて、僅かに浮かび続けるレイヴン。
 敵の起こす震動を警戒して浮遊していた彼だが、メンバーが石像に近寄って攻めていたこともあって震動による攻撃は比較的控えめな状況ではあった。
「魔術石像か、或いは『生命』なのか。それとも……」
 それもあって、彼は戦いながらも冷静に石像の正体について考える。
 見たところ、何者かに造られた石像に魂のようなものが取りついたようだが……。
「どちらにせよ、此処で断つ」
 だが、その前に、この場へと浮かぶガスクラウドが邪魔だと判断し、レイヴンは手持ちの大弓に無銘の執行者が使っていた執行の大鎌を降ろす。
「……以前ならいざ知らず、この大鎌は魂の葬送でな」
 レイヴンは群がる敵へと切りかかり、1体を寸断して消し去ってしまう。
 津々流もガスクラウドを倒すべく、体力を吸われた仲間へと自らの力を回復魔力に変えて癒しに当たって。
「このチャンス……逃さないよ」
 雷撃を発しての攻撃も続け、津々流は石像と纏めて一度に攻撃できるタイミングを逃さずに雷撃を発し、蛇の如き動きで1体のガスクラウドを貫いて消し去り、さらに石像の身体にも食らいつく。
 津々流の攻撃を受けたことで亀裂が入る石像だが、多少のヒビなどはイレギュラーズ達の体力を奪い取ることで、あっさりと埋めてしまう。
 それだけでなく、石像は紫の影を使って直接体力を奪ってくる。
「命を奪う石像……水妖などもこいつの仕向けた敵と考えると、まるで生きているかのような」
 再び石像から影が溢れ出すのに、カンベエは気づいて。
「また来ますよ!」
 仲間達へと注意を促していた為に、カンベエは一瞬対処が遅れてしまい、身体を抉られるような感覚を運命の力を砕きながら感じる。
 石像の攻撃は見境がない。奪い取った生命力をエネルギーと化し、前線にて突撃して戦うクロバを狙う。
「……危ない!」
 眼から放たれるレーザーが手前のクロバと自身を狙っていると察したミーナは彼を突き飛ばし、防御態勢を取る。
 次の瞬間、石像へと掌打を叩き込んでいたミーナの体をレーザーが穿つ。
 落ちかけた意識を、彼女は自ら運命の力に頼って力づくで引き戻す。
 非常に強い力を持つ石像に対抗する仲間の疲弊を察し、ミーナもできる限りカバーに当たっていく。
 インファイトを仕掛けていたクロバは回避に頼って前のめりに攻撃していたが、それで簡単に制することができる相手ではない。
「――生命力を奪うっていうのなら、それはお前だけだと思うなよ」
 全力で攻撃を繰り出すクロバは敵の至近から、自らのギフトの元となった死神の真の能力……フォウスタート・ソウルイーターを発動させる。
「奪い、喰らう。それが俺という死神の本領なもんでな!!!!」
 そして、銃剣による乱舞を石像へと浴びせかかけ、その魂を奪い取っていく。
 さらに、細剣で切りかかるアルテミアもまた、できるだけ相手から魔力を奪うよう立ち回っていた。
 消耗を感じた石像はなおも、紫の影を放ってくる。
 ベーク自身は敵に殴り掛かりながらも、同じく前線で戦う仲間を庇う。
「僕はそこそこ自己回復力ありますしね……。今のうちに回復を」
 それでも、相手の一撃は並々ならぬ威力があることもベークは察しており、できる限り万全な状態で皆が戦えるようにと立ち回る。
 陣を展開しつつ仲間の不浄を払っていた冬佳も、戦いが進むごとに回復での立ち回りを余儀なくされる。
 清浄なる神水を触媒として冬佳が組み上げた術は雪のような白い花となり、個別に仲間達の傷を塞いでいく。
 しかしながら、メンバーの消耗は激しい。
 秋奈は仲間の為にと紫に輝く一閃を放ち、さらに繰り返し名乗りを上げて敵の気を引く。
 新たに浮かび上がるガスクラウドに関しては、秋奈はどうせ当たらないと完全無視。
「生命力奪うとか、何してきたって気合よ、気合い。もってけ! もってけ!」
 その上で相手を煽るように、秋奈は桜舞い散る一撃を見舞っていく。
「お代はあんたの首をいただくわ!」
 確かに、その斬撃は石像の首を捉えて切り裂く。
 だが、生物ではない相手にとって、首を傷つけられたところで血は出ない。
 石像は赤い瞳を煌めかせながらも、レーザーをと思わせつつ自身の身体から紫の影を展開する。
 前方へと発するその光によって、近場のイレギュラーズ達の体力を根こそぎ奪わんとしてくる石像。
 秋奈はなんとかパンドラを使って堪えてみせる。しかし……。
「なんと、これほどまでとは。負ける、わけには……」
 崩れ落ちるカンベエも2度目は起き上がることができず、昏睡してしまう。
 同じタイミング、サイドステップを駆使して紫の影を避けていたアルテミアは奪魔の刃で切りつけ、動きが止まったタイミング、細剣・ロサ・サフィリスを一閃させ、全身の力を雷撃と化した一撃を撃ち込む。
 続けざまに、津々流が雷撃を発して石像を撃ち抜き、ベークがひたすら防御の力で石像を殴りつけていった。
 敵の生命力吸収の力よりも、イレギュラーズの与えるダメージが勝り、徐々に石像全体に走る亀裂が大きくなっていく。
「破壊する!!! 絶望ごときに負けてられないんだよ……これはその為の狼煙だ!!!」
 そこで、クロバがゆらりと動いたのに合わせるかのように、敵が両目を光らせる。他のメンバー達のカバーも間に合わない。
 死兆を受けた者と絶望の青を越える願いに報いる為、彼は銃剣に魔力を籠める。
「お前らに廃滅を齎すのは、死神(おれ)だ」
 次の瞬間、クロバは一気にその弾丸を叩き込む。
 ……が、僅かにとどめには届かず、反撃の眼光レーザーに貫かれたクロバは深い傷を負いながらも、銃剣を握りしめて戦意が失われていないことを示す。
 だが、クロバが次なる攻撃を繰り出すより、Erstineが速く氷刃を繰り出して。
「一気に決めるわ……!」
 彼女もまた前のめりに攻め、後の先から先を撃つ。
 反動を伴う一撃であったが、それ以上に石像の方のダメージが大きかったようで、ついにその全身が瓦解し始める。
 その悪しき力が徐々に島から消え失せ、残っていたガスクラウドが形を崩し、島を包んでいた紫色の靄も消えていく。
「これで終わりかしら……?」
 警戒を緩めぬまま、Erstineが呟く。
 長らく、魔の海域と呼ばれていた場所がある種の呪いから解放された瞬間、戦い抜いたイレギュラーズ達はその場で脱力してしまうのであった。


 イレギュラーズ達は互いの治療を行いながら、ただの石の塊となった石像を見つめる。
「果たして、この石像。一体この島にとっての何なのでしょうね」
 意識を取り戻したカンベエであったが、しばらくは安静が必要な傷だ。
「石像ってのは、大概の場合なんらかの神への祈りとかなんやらが込められているもんだが……」
 同じく、深手を追うミーナが唸りながら持論を語る。
 この島に何らかの信仰心を持つ人がいたのか、あるいは魔種のものなのか……。
 もしかしたら、石像に全て生命力を吸われてしまっている可能性も否定はできないが、調べる余地はまだありそうだとミーナは見ていた。
 確かに、この海域の攻略は海洋からの依頼ではあった。一行は十分な成果を上げ、胸を張って報告することができるだろう。
 だが、この島ばかりに気を取られてはいられぬ事情もローレットにはある。
「廃滅病の脅威に一気に近づく事になる。アルバニア……難しい事だけれど、その嫉妬を倒せばいい事、よね?」
 島の頭頂部から、様々な思い出を去来させながらErstineは絶望の青を見つめる。
 その海の攻略に貢献し、砂漠の国へと胸を張って帰る。
 彼女はそう覚悟を決めるのだった。

成否

成功

MVP

エルス・ティーネ(p3p007325)
Ultima vampire

状態異常

天之空・ミーナ(p3p005003) [重傷]
天駆ける神算鬼謀
カンベエ(p3p007540) [重傷]
大号令に続きし者

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは石像の未知の力を気がけながらも、
 様々な状況に対処し、仲間達の助けを借りて石像の撃破を成しえたあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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