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シナリオ詳細

はじめてのおつかい
はじめてのおつかい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●勇気を持って
 幻想の町外れを歩く二人は、『夜鷹』エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)と『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)だ。
 幼き頃より人の目を気にして生きてきたエーリカは、多くの出会いと経験を経て一歩前に出れるようになったものの、まだまだ同居人であるラノールの影に隠れてばかりである。
 それはそれで可愛いと思うラノールであるが、もう少し外の世界に積極的になっても欲しかった。
 その練習と言うわけではないが、唯一のご近所である薬屋へは、特に用事がなくとも二人で足を運び、主人であるジョーゼン老夫婦と言葉を交わしていた。
 初めこそ挨拶もままならなかったエーリカだが、穏やかで優しいジョーゼン老夫婦の人柄もあっただろうか、次第に挨拶のみならず言葉を交わせるようになっていた。
 そんなある日の事である。
「こんにちは」「こ、こんにちは……」
「やあラノールくんにエーリカちゃん。よく来たね」
 二人が挨拶するとジョーゼン老人が歓迎してくれる。
 そのまま幾つかの薬を購入し、いつものように世間話をしていると、ジョーゼン老人がある悩み事を口にした。
「最近足腰が悪くてのう。
 ほれ、わしも婆さんももう年じゃ。
 薬草を摘みに行くのもままならんくてのう」
「それは大変だな……なにかお力になれることでもあればいいのだが」
 ラノールがそう口にして気づく。ラノールの服の袖を握っていたエーリカが、力を込めていることに。
「どうした、エーリカ?」
「わたし……わたし……」
 一生懸命に言葉にしようとするエーリカ。不安はある、でも勇気を持って手を上げたかった。
 いつも優しい老夫婦の為に、エーリカは一歩前にでて言った。

「わ、……わたし、とってきます!」


「はじめてのおつかいデスか。なるほどたまにはそんな長閑な手伝いも良い物デスね」
 エーリカとラノールに誘われて、『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)がそう二つ返事に答える。
「……目的地はシリトヴの森ですかメェ……」
「魔物も出ない安全な森か。野生動物はいるだろうが、危害を加えなければ問題はなさそうだな」
 『味覚の探求者』ムー・シュルフ(p3p006473)と『Esc-key』リジア(p3p002864)が目的地を確認して言うと、
「必要な薬草は三種類ですね。どれもこの時期に取れるものですから、沢山取ってきましょう」
 と、『白綾の音色』Lumilia=Sherwood(p3p000381)が続いた。
「三種類ならすぐにでも終わっちまいそうだな。わざわざ手伝う必要もないんじゃないか?」
 『血天碧落』カーツ・アーディ(p3p007355)の言葉に『瑞花』アイラ(p3p006523)が首を振るう。
「終わってしまったならそれはそれで良いじゃないか。
 早く終わったら皆でお茶会なんてどうでしょう? こういう機会も多くはないですからね」
「ああ、良いじゃないか。なあエーリカ」
「……うん、みんな、ありがとう」
 皆にお礼を言って、エーリカはその身には少し大きいカゴを手に取った。このカゴいっぱいに薬草を集めるのだと奮起する。

 こうしてエーリカのはじめてのおつかいがはじまったのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 エーリカさんの初めてのお使いを皆で成功させましょう。

●依頼達成条件
 カゴいっぱいに薬草を集める。

■オプション
 お茶会を楽しむ。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●シリトヴの森について
 夏でも白銀の葉を生い茂らせる不思議な森です。
 森には魔物はでませんが、野生動物達の姿は見られます。脅かさないようにしましょう。
 森では三種の薬草を採ることが出来ます。

■琥珀キノコ
 透き通った飴色のきのこ。滋養強壮に効くようです。

■囀草
 葉擦れの音が鳥の囀りによく似ている。のどにいいようです。

■翠嵐花
 崖の谷間に生息するうつくしい翠の花。万能薬になります。

 上記三つの薬草は森の至る所に生えています。
 森のどういった場所に多くあるか、想像しながら探してみて下さい。

●お茶会について
 薬草をしっかり取れれば、みんなでお茶会をしましょう。
 持ち寄ったお菓子やケーキを楽しみつつ、今日一日を振り返るのも良いかもしれません。
 テーマトークなどあれば、盛り上がることでしょう。

●地域について
 戦闘はありません。
 木々の生い茂る森の中ですが、木漏れ日があるため明るく感じるでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • はじめてのおつかい完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年09月10日 22時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
濃紺に煌めく星
エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)
夜鷹
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄砲暴象
Lumilia=Sherwood(p3p000381)
白綾の音色
リジア(p3p002864)
Esc-key
ムー・シュルフ(p3p006473)
味覚の探求者
アイラ(p3p006523)
瑞花
カーツ・アーディ(p3p007355)
血天碧落

リプレイ

●琥珀キノコを探して
 照りつける陽射しが宝石に反射するように、その森は煌めいていた。
「……とてもきれいな森、だね」
 滑り止めのついた靴に、怪我をしないように嵌めた手袋。籠を抱える『夜鷹』エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)は森の入口に立ち、ほうと呟いた。
「みんないるな? 忘れ物はないか? 迷子にならないようにな。それから――」
 エーリカを手伝うために集まったイレギュラーズ。その一人一人を確認する『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)はまるで遠足に付き添う先生のようで、エーリカはクスりと笑った。
 シトリヴの森。
 薬屋のジョーゼン老夫婦に、この森に生えている薬草を届ける為、エーリカと仲間達はその森へと足を踏み入れる。
「……よし、いくぞ! えい、えい、おー!」
「えいおう、デス!」「えいえい、おー!」
 元気いっぱい、腕をあげて、八人は奥へと進んでいった。

 八人はそれぞれ分担して三つの薬草を採りに行くことにした。
 まずは滋養強壮に効くという琥珀キノコを採りに向かったエーリカ、ラノール、そして『血天碧落』カーツ・アーディ(p3p007355)を追っていこう。
「――こう煌めく森を見ていると、深緑にあった虹の森を思い出すな」
「ほう、虹の森」
 ラノールはゆったりと歩きながら自分がが関わってきた依頼の話を膨らませていく。ローレットの依頼を受けるのは初めてだというカーツは、興味深くその話を聞いていた。
 危険のある依頼は多いがそんな中にあって口にだした虹の森の話は、今回の依頼の様に実に平和的な思い出である。
「カーツははじめてのおつとめなんだよね?
 あのね、わ、……わたし、精霊とお友達なの。だから……、心細くないように!」
 話ながら、エーリカは精霊と疎通し、姿を見せてもらう。すぐに光が形作り、精霊がその姿を現した。
「頼もしいよ。ありがとうな」
 気を遣って貰ったことに素直に感謝するカーツ。エーリカとラノールは微笑んで頷いた。
「そうだ、みんなに聞きたいのだけれど――」
 みんな、というのは精霊達だ。
「この森によく訪れていた年老いたにんげんのことわかるかな?」
「ああ、それに琥珀キノコ、だな」
 エーリカが尋ねた『にんげん』とは、もちろんジョーゼン老夫婦のことである。
 精霊達がジョーゼン老夫婦のことを知っていれば、きっと薬草の取る場所も見つかると思ったからだ。
「――♪」
 精霊達は言葉を喋るわけではないが、喜色の反応を見るにジョーゼン老夫婦の事はよく知っているようだった。
「知ってるんだね……! よかった。よければ私達も案内してほしいな」
 エーリカのお願いを精霊達は聞き届けてくれる。三人を先導するように森の奥へと進んでいった。
「おともだちか。良いものだな」
「ふふ、もちろんカーツもおともだちだよ」
 そういった意味で言ったのではなかったのだが、屈託のないエーリカの言葉にカーツは微笑んで、
「ありがとう」
 と、返した。
「木漏れ日が少なくなってきたな……キノコが生えるにはよさそうな環境に見えるけど――」
 ラノールの言うように、周囲は鬱蒼とした――というには白銀の葉が輝いているが――雰囲気に変わってきていた。
 精霊達はこの辺りに琥珀キノコがある、という反応を示していた。
「それじゃ、ここからは地道に探していこうとしようか」
「あ、ラノール。
 みて、おじいさんから植物図鑑を借りてきたの」
 そう言って図鑑を開くエーリカ。図鑑には植物の絵とともにその説明が書かれている。
「それは参考になるな。
 どれ、この辺りにありそうな薬草も琥珀キノコと一緒に採っていこうか」
 薬学知識を持つラノールは図鑑をめくりながら周囲に生えてる薬草をチェックしていく。それを二人に伝えて、採取を開始した。
「琥珀キノコと言ってもキノコはキノコ。やっぱり湿った影になっている場所にありそうだからな、と」
 ラノールが倒木を持ち上げて覗き込めば、そこには透き通った飴色のキノコが幾つか生えている。
「よし、ゲットだ」
「ラノール、わたしも見つけたよ。ほら、琥珀キノコ」
「大物を見つけたな。よし、周りの小さいのは残して大きいのだけもらおう」
 ラノールの提案にエーリカとカーツが頷く。カーツは言う。
「それが良いだろう。このキノコにも精霊は宿っているはずだ。
 取り過ぎないように気をつけないとな」
 三人は、そうして森の恵みを少しずつ分けてもらう。
 そうであっても、エーリカの背負う籠は十分に重たくなるのだった。

●翠咲かせる花
 エーリカ達が精霊に道案内を頼んでいたその頃、翠嵐花を探しに森の東へと進む三人。『白綾の音色』Lumilia=Sherwood(p3p000381)と『Esc-key』リジア(p3p002864)、そして『瑞花』アイラ(p3p006523)の三人だ。
「さて、翠嵐花だが、崖の谷間にあると言う。
 とりあえず崖のありそうな東側に来たが、なにか上手い探索方法はあるかな?」
 リジアの問いかけにLumiliaが小首を傾げる。
「そうですね……高所にあるもの、ということで飛行を駆使しようかとも思いましたが」
「ん、そうだな。飛行は使えるし、そうなるな。
 ……アイラと言ったか、お前はどうだ?」
 リジアの再度の問いかけに、アイラは手を合わせて答える。
「翠のお花、とても、目立つのでは、ないでしょうか?」
「なるほど、確かにですね」
「ボクは、自分で言うのもあれですが、色彩感覚に自信ありです……!
 それに合わせて、このファミリアーの鳥さんを使えば、きっと見つけられる、と思います」
「なら、アイラはファミリアーを。私とルミリアは交代で飛行して、目的の薬草を見つけよう。
 危険なことはないと思うが、注意していこうか」
 三人は、そうして森の奥に見える、切り立った崖へと向かう。
「しかし、綺麗な森ですね。
 木々が白銀に輝いて――まるでガラス細工や雪の結晶のようです」
 lumiliaと共に森を歩くアイラが頷く。
「本当ですね。どこか、落ち着く……」
「アイラさんは氷の魔法が得意と聞きました。だからでしょうか?」
 なんて、lumiliaが微笑む。
「そうかも、ですね」
 微笑み返すアイラ。
 そんな二人の下に飛行を終えたリジアが戻ってくる。
「それらしい崖が向こうにあったな。アイラ、ファミリアーで色を見てくれるか?」
「は、はい!」
 指さすリジアに言われ、ファミリアーを操るアイラ。鳥の視覚と共有し、優れた色彩感覚によって薬草の”翠”を見つけ出す。
「あ、あった! ばらけてますけど、いくつかありますね」
「よし、それじゃそこへと向かうとしよう――むっ」
 その時前方の茂みが揺れた。
 思わず身構えるリジアだが、そこに現れたのは――
「あら、野ウサギですね。ふふ、可愛いです」
「魔物ではなかったか」
 しゃがみ込んでおいでおいでと手を振るlumiliaと、臨戦態勢なリジアの対象的な二人を見てアイラが笑う。
「魔物はでないみたいですけど、こう言う動物は一杯居そうですね」
「まあ今回は兎だったが、熊がでないとも限らないからな。用心は必要だ」
「熊、でますかね?」
 クスりと笑う二人に、リジアは変わらぬ態度で先導した。
 さて、そうして森を奥へと進んでいくと、程なくして切り立った崖に辿り着く。
「思った以上に崖、って感じですね」
「薬屋のおじいさん達も大変ですね。これは採りに行くの大変でしょう」
「登れないこともなさそうだが……落下の危険もありそうだ。しばらく採りに行かずとも良いように多めに採っていくとしようか」
 崖を見上げていた三人は早速翠嵐花の採取を開始する。
「ボクがファミリアーで花のある位置を知らせるね」
 アイラの操るファミリアーが、翠嵐花を見つけるとその周囲でくるくると旋回する。
「では私とリジアさんで採ってきましょう」
 lumiliaとリジアが翼を広げて、崖にそって飛行する。
 それほど大きくない翠嵐花だ。経験豊富な薬師でなければ見つけるのは苦労するところだが
、今回はアイラのファミリアーが目印となっている。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ?」
 採取中も警戒を解かないリジアにlumiliaが言う。リジアは、軽く首を横に振ると、
「こういうときこそ警戒は必要だ。何が出るかわからないしな。そう例えば蛇とか」
「蛇は嫌ですね……では、お任せしましょうか」
「こういうのは『ねんちょうしゃ』の役目らしい。任せておけ」
 リジアの返答にふふと笑って、lumiliaは手早く翠嵐花を採取していく。
 一つ、二つ、三つと採ったら隣の崖へ。
 そうして崖に沿って移動して、気づけば籠いっぱいに翠嵐花を採取することができた。
 十分な量を確保できた三人は、森の入口に向けて帰り道を進むのだった。

●その囀りは小鳥のように
 ジョーゼン老夫婦に頼まれた薬草は三つ。
 エーリカ達の探す琥珀キノコに、リジア達三人が探す翠嵐花。
 そして『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)と、『味覚の探求者』ムー・シュルフ(p3p006473)の探す囀草だ。
 リュカシスとムーは森の西へと進んでいく。
「……この草は囀草の側でよく見る草ですメェ……。
 ……向かう方向は、こちらで間違いなさそうですメェ……」
「博識デスネ。ムー様のおかげで簡単に見つけられそうデス!」
 リュカシスの言葉に柔らかく微笑むムー。
「……そういうリュカシス様も素敵な鼻歌でございますメェ……」
 ムーの言うように、リュカシスは陽気に鼻歌を歌いながら森を歩いていた。
 これは野生動物との接触を回避するためにリュカシスが歌い出したもので、人の存在を感知した動物達は自然と離れて行って、動物達と遭遇することはほとんどなかった。
「まあ歌えるのは校歌くらいなものなんデスけどね。
 あ、でも鼻歌を歌ってたら囀草の『囀る音』を聞き逃してしまいますかね?」
「……どうでしょうかメェ……。……もしかしたら一緒に歌ってくれるかもしれませんメェ……」
 だとしたら、どこか幸せな気がする、とリュカシスは思った。
 白銀の葉が葉擦れの音を響かせる。耳を澄ませていると、微かに囀るような音が聞こえた。
「小鳥の声でしょうか? うまく区別がつけらませんね」
「……ええ、でも、僅かに葉が擦れる音が混ざっておりますメェ……」
「では、もしかしたら――」
 音の先に、囀草があるかもしれない。
 リュカシスはファミリアーの小鳥を使役して、先行させる。
 小鳥の鳴き声だったならばその邪魔をしないように。森に住まう動物達を驚かせないように配慮して、リュカシス達はその囀り音を追っていく。
 土と草の匂いをいっぱいに嗅ぎながら、森を散策する。散歩にも程近い、気持ちの良いものだった。
「――! ムー様、あちらから囀りが!」
 指さすリュカシスにムーが頷く。
「……ええ、私にも聞こえましたメェ……」
 二人が茂みをかき分け向かってみると、小鳥の群れがお喋りするように響く囀りの音。
「こんなにいっぱい。まさにオーケストラのようですね」
「……このまま聞いていたいところではありますが、それでは先に進みませんメェ……。
 ……森が壊れてしまわない程度に、頂いて参りましょうメェ……」
 そう言ってムーは背負っていたクーラーボックスを開くと、摘んだ囀草を入れていく。
「ムー様これはなんですか?」
 クーラーボックス内の石を見てリュカシスが問う。
「……それは氷結の石ですメェ……。
 ……どうやら冷やしても問題なさそうなので、これで冷凍しておけば鮮度を保てますメェ……」
「なるほど! それは素晴らしいデスネ!」
 そうして二人はクーラーボックス一杯に囀草を採取した。
「これだけあれば、大丈夫そうデスネ」
「……そうですねメェ……。
 ……他の皆さんもそろそろ戻る頃でしょうかメェ……。
 ……我々も戻るとしましょうかメェ……」
 リュカシスは頷くと、ムーと共に森の入口へと向けて歩き出した。

「みんな、おかえり」
 森の入口ではエーリカ達が待っていた。
 どうやら最初に帰ってきたのはエーリカ達三人で、次にリュカシス達二人、そして最後にリジア達三人だったようだ。
「全員とくに問題は……なかったようだな」
 ラノールの確認に、全員が頷き笑う。
「聞いていたとおり魔物はいなかったな」
「ウサギは出ましたけどね」
 クスりとlumiliaが微笑んだ。
「採取のほうもうまく行ったデスヨ。沢山取れました」
「こっちもいっぱい取れたんだ。
 これならおじいさん達も喜んでくれる、よね?」
 エーリカの確認にラノールが頷いた。ああ、きっと大丈夫だと、力強く。エーリカは「うん」と頷き微笑んだ。
「それじゃ、帰ろっか!」
「おー」
 八人は揃って手を上げて、八人の帰りを待つジョーゼン老夫婦のもとへと帰るのだった。

●仕事の後はティータイム
 ジョーゼン老夫婦の営む薬屋へと採取した薬草を届けると、老夫婦はとても喜び八人に礼を言った。
「本当にありがとう。
 エーリカちゃん、ラノールくん。それに一緒に行ってくれた皆さんも、とても助かりました。
 対したお礼は出来ないのですが、ウチの庭はハーブ園になっていてね。よかったらそこでくつろいでくだされ」
 もとよりどこかでお茶会をしようと思っていた面々だ。渡りに船とはこのことで、二つ返事でお邪魔させて頂くことにした。
「皆さん色々用意しているようですが、まずはメインとなるお茶を用意しましょうか」
 そういってlumiliaが多様な茶葉を見せる。銘茶から稀少な茶葉まで、中にはマッドハッター特製の紅茶なんかもあったりする。
「……では私が入れましょうかメェ……。
 ……私も特製の美味しいお茶は用意してましたまメェ……」
「あら、奇遇ですね。ではお願いしましょうか」
「あ、ボクはお家のお庭で育てたミントを持ってきたんだ。これでハーブティーを、いただけたらな、と」
 こうしてお茶が用意され、鼻孔を擽る茶葉の香りに包まれると、テーブルの上には持ち寄ったお菓子やチェリーパイが並んだ。
「さあ、茶会だ茶会。よく探索したから腹も空き時だ」
「ご飯。……いや、ご飯だけではない。一応だ。一応」
 お腹を空かせたカーツとリジアは早速エーリカの用意したチェリーパイへと齧り付く。サクサクした歯ごたえと共に口の中に広がるカスタードの甘みとチェリーの酸味がとても美味しい。
「アイラは甘い物好き?」
「はい、もちろんです。甘くて、ふわふわ、しあわせな味」
「ふふ、わたしも」
 微笑みあって、幸せの味を噛み締める。
「これはなんだ? 鉄帝のものだというが」
「ボクの持ってきたハグルマステンドグラスクッキーと、綿キャンディ、デス。鉄帝っぽさ全開な感じですが甘くて美味しいですよ」
「んん!? 口の中ではじける。これは面白いな」
 リュカシスの持参品を気に入ったカーツが、周りの仲間に勧めていく。
「エーリカとラノールがつきあって、いる? というのは言葉だけ聞いたがルミリアも知り合いだったのだな」
 リジアの言葉にラノールとlumiliaは頷いて、
「ラノールさんとはたびたび依頼でご一緒しますね。鉄帝といえば、以前鉄帝鉄道のハイジャックに遭遇したり、トロッコの依頼を解決したりとありましたか」
「そんなこともあったな。ハイジャックの時は互いに別行動ではあったけれど無事でよかったよ。お互いにね」
「わ、その話聞きたいです。依頼ってどんな感じなのか、知っておきたいですし」
「アイラ殿やカーツ殿はそういえば今回が初依頼か。楽しく仕事できたかな?」
 なんて、依頼話に華を咲かせてお茶を楽しむ面々。
 辛く苦しい依頼もあるけれど、過ぎてしまえばこうして楽しく話せるものなのだ。
「わたしね、リジアとこんなふうにおはなししてみたかったの」
 話の中、エーリカがリジアにそう伝える。
 リジアは齧り付いたムーの手作りシュークリームを置いて考えるように言う。
「……私と、話したい?」
「うん、そう」
「お前が望めば、それに応じるくらいはできる。
 ……もっとも、それを望んだからこそ、こうなったではあるのか」
 それはきっとリジアなりの肯定であって、エーリカは微笑む。
「また、誘っていいかな?」
「……好きにするといい」
 リジアは照れ隠しのように食べ途中のシュークリームへと齧り付いた。
「……お代わりのお茶は、ドライフルーツを入れますメェ……。
 ……必要あれば言ってくださいメェ……」
「ああ、なら俺の持ってきたジャムと蜂蜜も使ってくれ。茶に入れても美味しいってきいたからもってきたんだ」
「ふふ、何杯でも飲めちゃうね」
 楽しい時間はゆっくりと、そして賑やかに過ぎていく。
 イレギュラーズとしての世間話から、壮絶な戦いの記憶、小さな英雄譚。それに恋の話も盛り上がる。
 エーリカの紡いだ絆が、一つの輪となり、ハーブ園に広がった。
 そうして陽は傾いて、空がオレンジに染まる頃。楽しいお茶会は幸せのまま終わりを迎えた。
「みんな、ありがとう」
 ことのはを交わす喜びと幸せを噛み締めて、エーリカは笑う。
「……えへへ。とっても。とっても、しあわせ」
 また次も、こんな幸せの中で。
 こうして、エーリカのはじめてのおつかいは、無事に終わったのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした。
 皆お茶会を楽しめていてとてもよかったです。

 またのご依頼お待ちしています! ありがとうございました!

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