PandoraPartyProject

シナリオ詳細

あなたもスラプロになりませんか?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●過疎地のスランプ村
 近年、『幻想』国内の地方にある過疎地は衰退している所も多い。
 ここ、スランプ村も昨今は衰退状況にあり、今年もまた一人、二人、と村人が減って行く。
 衰退の主な理由は村に特徴がなく収益も望めないからだ。

 村長は村人を集めて会合を開く。
「現在、我々の村は衰退状況にあります。このまま過疎化が進めば、そう遠くないうちに村がなくなるかもしれません。ですが、私も村長です。何とかして、この過疎地の衰退を食い止めて、人がいる村に、豊かな村に、できないでしょうか……」
 実はこういう会合は今回が初めてではない。
 もう何度も繰り返し開いているが、なかなか良いアイデアが出ないのだ。
「それなら村長? 村周辺にある自然を何とか使えないでしょうか?」
「はい、実はその案も何度か出ていました。ですが、過疎地に自然が多いなんて、この村ではなくてもよくある事です。いまいち、アピールの決定打に欠けます。第一、アピールや宣伝にはお金も掛かりますし人も必要です。運良く、有名人でも使えれば良いのですが、なかなかそういう訳にも……」
 誰かが、ぼそりと発言する。
「だったら、イレギュラーズに頼めば良いのでは?」
 この案、実は出たのが、今回が初だった。
 これは盲点だったなあ……と村人が騒ぎ出す。
「とても魅力的な提案ですね……。そうですね、『幻想』国内でも名を挙げているあのイレギュラーズの方達に村の宣伝大使になって頂ければ、過疎地に人を呼び込めるかもしれません……。では、ローレットのギルドへ試しに頼んでみましょうか……」

●スラプロの募集
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はスランプ村からの要請を受け、イレギュラーズを宣伝大使として派遣する案件の話を詳しく聞いた。実際に受けるか否かはイレギュラーズ次第だが、ローレットとしては前向きに検討したいとの事。本日、ユリーカは村へ赴き実地でもヒアリングをする事にしたのだ。

「この度は、村へお招き頂きありがとうなのです。さて、村長さん、村のアピールのお話ですが質問があるのです。ここの村、本当にアピール材料がないのでしょうか? 見た所、自然がいっぱいなのですが?」
「そうですね……。では、一度、村周辺を一緒に回りましょうか? 何か気が付く事があるかもしれません」

 ユリーカと村長がまず森林を潜り抜ける。
 実は村へ来る道中も森林を抜けて来た。
 高原の上にある展望台へはさらなる山道を登るのである。

 それにしてもけっこうハードな未整備の山道だ。
 ユリーカは少し息を切らしながらもこんな事を思う。
(ここでハイキングやキャンプなんかもできそうなのですね?)

 森林を抜けると湖に出た。
 それなりに広い湖だが湖上には船やボート等何もない。
 水面もちょっと濁っているようだが……。
「ここで水泳や釣りなんかするのですか?」
「いいえ、今は特に使っていませんね……」

 湖を横切り、さらにさらに森林の山道を抜ける。
 展望台にやっと辿り着いた。
 高原の一番高い所なので、村や森や湖といった景色が見渡せる。
「わあ、大きな展望台なのですね? 現在でも使われているのですか?」
「いいえ、この展望台も現在はあまり使われていませんね。整備もしていませんので、登ると危ないでしょうから、今日はここまでで」

 ひとまず展望台まで見たので2人は来た道から帰る。
 村に着く道中で教会と墓地なんかもユリーカの視野に入った。
「ここの墓地にはどなたか有名人が埋まっていたりしないのですか?」
「えー、えっと? 誰だったか……いたような気もします」

 ともかくヒアリングは一通り終わった。
 ユリーカはアピールできそうな所が割と多いという印象を受けた。
 村長達に別れを告げた後、ユリーカはさっそくローレットであなた達を集める。
 キャッチコピーも考えてある。
『あなたもスロー・ライフ・プロデューサー(スラプロ)になりませんか?』

GMコメント

●目標
 スロー・ライフ・プロデューサー(スラプロ)となって過疎地の村の良さを発見して宣伝する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 今回、皆さんが向かうのはスランプ村という『幻想』国内の過疎地です。
 ここの村は現在廃れていますが、自然に恵まれた良い場所にあります。
 村人達は普段、村内で自給自足をしたり、物々交換をしたり、出稼ぎをしています。
 ここの村には大きな収益を見込める事業がありません。
 これ以上の村の衰退を食い止めるべく、何とかしてこの村の良さをアピールできないものでしょうか。

●期日
 今回のシナリオには、村の体験、整備、アピール(宣伝)までの期間に期日があります。
 期日は、夏が終わるまでです。
 スラプロはひと夏限定のお仕事です。

●スランプ村の各所
 スランプ村には以下のような特徴的な場所があります。
「プレイング」では向かう場所をまず1か所だけ指定しましょう。
 そして、そこの場所を実際に体験してみて、アピール方法を考えてみましょう。

 備考:全ての場所をアピールする事が必須な訳ではありません。また、各所に定員の人数制限はありません。各所へは、お一人でもグループでも向かう事ができます。

・展望台
 高原の一番高い場所です。大きな展望台が建っていますが壊れかけていてちょっと危ないです。
 あまり地元でも使われていないようです。
 ここの展望台からは村全体と周辺の自然が見渡せる絶景なのですが……。

・湖
 高原の下にはそれなりに広い湖があります。ここもあまり使われていないようです。
 現在、ここで泳ぐ人はいないようですが、魚等の生物は一応いるようです。
 湖もちゃんと整備して使えば観光地になるかもしれません……。

・森林
 村や展望台への道のりは、森林にも囲まれています。
 森林も色々とレジャーで使えそうですが整備が行き届いていません。
 森林が交通の便を悪くしたり、村の外に行きづらかったり問題もあるようです。

・文化人の墓
 教会と墓地もありますが廃れています。
 特に墓地には『幻想』の文化人(作家・詩人)のパウの墓があります。
 パウはそこまで有名な文化人ではありませんが、田舎を題材にした小説や詩を沢山書き残しています。
 地元ではパウとその墓の存在も忘れかけられていますが、アピール材料になるかもしれません。

●アイテム
 今回、皆さんには事前にアイテム「マジックキャプチャー」(略称マジキャプ)が手渡されます。マジキャプは魔法の記録媒体で、これで録音・録画・撮影ができます。大きさと形状は野球のボールみたいな物です。
 スランプ村の各所へ向かい、そこで実際に体験したりアピールしたりする様子を録音・録画・撮影します。収録が済んだマジキャプは後日、『幻想』のマスコミへ渡されて世に出ます。
 なお「マジキャプ」は便利なアイテムですが、一時的に借りる許可が出る物であって、お持ち帰り等はできませんのでご了承下さい。

 その他、スラプロ活動を行う上で材料や道具等が必要な場合、「プレイング」で申請するとローレットやスランプ村からの支援を受ける事ができます。

●GMより
 夏と言えば、海やホラーも良いですが、山や高原なんかも良いでしょうね。
 しかも夏休みに田舎でのんびりとスローライフとか送ったりもして。
 今回のシナリオは、ちょっとお仕事も入りますが、基本的にはのびのびするお話です。

  • あなたもスラプロになりませんか?完了
  • GM名ヤガ・ガラス
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年08月02日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)
特異運命座標
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き

リプレイ

●文化人
『この夏、辺境のスランプ村でイレギュラーズが見たものは!?』
 と、書かれた大きなフリップボードを持ってマジキャプ(記録媒体)の前でにっこりと微笑むのは『特異運命座標』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)である。
 彼女達は今年の夏、スランプ村のスローライフをプロデュースするお仕事を引き受けていた。それにしてもエリザベスは美人だが映りがコミカルだ。なぜ、彼女は付け髭をして紳士服を着ているのだろうか? 記録媒体の中の彼女が続きを話す。
『今、わたくしは『幻想』の作家で詩人のパウのコスプレをしていますのよ。では、スランプ村を知るきっかけとしてパウをご紹介致しますわ……』

 初夏が始まる頃、エリザベスはスランプ教会と墓地の掃除から始めた。寂れた教会なので、神父や村人にも頼んで一緒に掃除をするのだ。
「あらあら? 文化人のお墓が荒れまくりではありませんか? まずは先人の慰霊をする所から始めたいですわね」
 エリザベスは雑巾や箒を使用して掃除するのはもちろん、生花も捧げた。
『墓を綺麗にしてくれてありがとうな』
「いえいえ。当然の事ですわ……。え!?」
 彼女が振り返ると誰もない。まさか、パウの霊? そういえばエリザベスは霊魂疎通なんかもできたようだ。

 教会と墓地の清掃が数日して終わると、エリザベスは展示会の用意を始めた。
 そこで簡素な屋根付きブースを造る事にした。
「さて、展示会ですが。まずはパウの小説代表作『スランプ物語』。それと代表的な詩集『希望塔』。古本で購入しましたので、現物をケースに入れて展示しておきますわ。さらに年表とメッセージブックを置くのも良いですわね」
 あとは……。
「村人の皆様、特にご年配の方でパウの人柄を知る方はいらっしゃいませんか? 人物的な説話も展示できると面白いのですが?」
 展示を手伝っているおばあさんが教えてくれた。
「パウは魔法ポテトフライ、マポフが大好物の食いしん坊だったのじゃ。マポフの作り方を展示してはどうじゃ? 何なら作り方を教えてやろうか?」
「はい、ぜひ!」
 エリザベスはおばあさんの家まで案内されてマポフの作り方を見学して試食した。
 ほっこり熱々のざっくりポテト塩味だった。
 その家では村人が沢山集っていて、スラプロ活動に感謝の言葉を貰ったが……。
「わたくしができるのはちょっとしたお手伝いのみ。スランプ村の行く末を決めるのは、実際に住む方々次第でしょう。幸運の星が輝く事を祈っておりますわ」

 村人達と別れたエリザベスは周辺を歩く事にした。
 植物とも疎通できる彼女は、木々や草花からもヒントを得た。
「ふふ、パウは自然という暗号の解読者でしたのね? 聖地巡礼を通して、パウはもっと広く知られるべきでしょう」

 後日、作家マニアの間でパウ展は賑わうのであった。

●展望台
「展望台か……。確かに壊れてて危ないな……直さないとな……。まあ、修理は俺の得意分野だから頑張って新築同様にしよう」
 スランプ村の高原頂上にある大きな壊れかけの展望台を見上げながら『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)は呟く。
 サイズの修理道具を担いで後に続く『悲劇を断つ冴え』風巻・威降(p3p004719)も頂上から景色を見渡してにこやかに語る。
「さて、やってきました展望台! 観光資源かー……。世界や国が違っても、この手の悩みは尽きないものですね。幸いこの村は魅力が沢山あるみたいだから、まずはあるべき姿に戻すところから始めますか?」
 最後尾の『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)も威降の言葉に頷く。
「最も観光資源になりそうな場所を優先すると……やはり展望台でしょうか? 展望台からの夜景を眺めての一杯、最高でしょうね? べ、別にせっかく『幻想』まで来たからお酒が飲みたいとかそういう理由ではっ!」

 ともかく、皆でまずは修理の見通しをつける。
 威降はギフトの力を使って身体をすっごく軽くしながらぴょんぴょんと調べる。
 建物の下から上まで隅々チェックだ。
「あ! やはり見えにくい裏側がだいぶ痛んでいるかな? サイズさんに報告、と」
 威降はマジキャプで撮影した。

 サイズは展望台をぐるりと回りながら観察をする。
 妖精型の方が記録媒体を手に持ち、建物を撮影し、壊れた所を記録して行く。
「ふうむ、修理に必要な資材が沢山いるな……キミ、頼んでいいかな?」
 建物上で調べていた威降にそう呼び掛ける。
「はい、丁度今、撮影が終わりましたので、そちらへ行きます」
 同じく、調査が終わったヴァレーリヤも集合する。

 サイズ達が相談した結果、木材やセメント等の資材も必要な事がわかった。
 3人で運ぶのもちょっと大変な所……。
「そんな事もあろうかと、お供も登場! ヤギ家長の錐、子どもの式神、大人の式神がいますので、彼らの力も使いましょう」
 威降のナイスアイデアで今後の力仕事がだいぶ楽になった。
 とはいえ、村まで行くと、村人達も協力して資材を提供し運んでくれる事になった。
 威降は木材を背負っているヤギの手綱を引きながら田舎道の先頭を歩く。
「ふう、暑いけれど充実しているかな……」

 それから数日、修理は順調に進んだ。
 建物の一部で資材が痛んでいる所には新しい資材を威降と式神達で入れ替える。
 階段の欠けている所はヴァレーリヤがセメントを塗り直す。
「建物は美観も大事だが安全も重視するべきだろう」
 サイズからの指示があり、皆で頑丈な柵を崖周辺や階段や屋上にも設置した。
 最後には皆で魔法ランプ等の照明も取り換えた。

 数日して修理が終わると今度はリホームの作業に入る。
 一度、皆で会議になった。
 まずサイズからの提案だ。
「展望台前に雨宿りの場所と憩いのベンチは造ろう。屋上に観光用の固定望遠鏡もあるといいかな。塗装だけれど、青空や夜空に馴染むように水色はどうかな?」
 ヴァレーリヤは待っていました、とばかりに提案する。
「リホームであれば、新しい魅力を付け加えるのも大事ではなくて? 例えば、階下にバーを造ったりするのはどうかしら? 豊かな自然を見下ろしながら注文したお酒を一杯なんて素敵ですわ! 憩いの場としても巡礼地としても機能する事でしょうね。村のバーそのものをこちらへお引越し頂くのも良いかもしれませんわ?」
 威降が、どちらも良い案ですね、と賛同する。
「パウという文化人がかつてこの地に住んでいたそうなので、此処からの眺めを詠んだ詩や小説のシーンについての案内板を立てて置くのはどうでしょう? 担当のエリザベスさんとも相談しますか」

 それぞれの夢を実現するリホーム作業も楽しく終わり、いよいよ最後の撮影アピールだ。
『修理完璧! 安全完璧! リホームも全て完成して最高だ!』
 修理やリホームの実質的な大部分を担当したサイズは感無量だ。
 記録媒体で撮影する妖精型の隣で、大鎌の本体もキラリと光りまるで笑顔だ。
 なお改築具合や見栄えを強調する為にも、日差しの強い昼と星空が綺麗な夜の2回に分けて撮影をしたのであった。

 威降は詩集『希望塔』や小説『スランプ物語』についての案内板を昼頃に撮影する。
『あの『希望塔』や『スランプ物語』に登場した展望台とその風景はまさに此処です!』
 そして、詩と小説の実物を掲げて持っているエリザベスを映した後、解説を続ける。
『自然の浪漫溢れるシーン沢山あります! ぜひ恋人とかご夫婦で見学されてみてはいかがでしょうか?』
 後日、この宣伝のお陰でスタンプラリーのイベントも開催される事になったそうだ。

 ヴァレーリヤは展望台のバーを主に売り込みたいと考えていた。マジキャプは浮遊固定撮影モードにして、彼女自身を案内役として映し出す。バーのマスターがシェイクしたカクテルをぷはあと飲み干した後、ヴァレーリヤはにっこりと笑う。そして、赤く染まる夕日を背景にしてリスナーに語り掛ける。
『スランプ村には雄大な自然が広がっていますわ。美しくも豊かな緑の森、釣り堀のある綺麗な湖、文化人パウが埋まる教会墓地に展示会。展望台のバー『ミント』にて、文豪であり酒豪のパウになった気分で、彼の大好物マポフをつまみながらグラスに一杯のお酒はいかがでしょう。さあ、大人の皆様! 格別なお酒と共にスローライフを満喫しませんか?』

 後日、改築された展望台を一目見たいと観光客が集まった。
 中にはパウの聖地巡礼に訪れた人やバー目当てで来た人なんかもいたようだ。

●森林
「今日はスラプロ日和のいい天気だぜ。遊びの事っていうなら、このコータ様におまかせ!」
 初夏の森林を元気よく探索するのは『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)だ。楽しそうにあちこち回っているが目的もある。
「えっと、あの木は古くて腐っている、と。あっちの木は大きくて丈夫だから、後で遊具なんかを取り付けてもいいな?」
 一方で『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル(p3p006816)も張り切って森林を探索している。
「ここ、自然が沢山でのんびりしていてとってもいい村だね? こんなに素敵な村なら広く知られてもらいたいよね! よーし、スラプロとして頑張っちゃうんだから!」

「コータ先輩? この木って所々ダメになっているよね?」
「そうだな。危ないし邪魔だから切りたいんだけれど……。オレ達だけでできるかな?」
 フランはぴこり、と良い事を閃いた。
「えい! 威嚇術!」
 フランは神秘の力で大木に打撃を与えて、ばきばき、と倒した。
「あ! なるほど! スキル使えばいいんだな? よし、オレも!」
 洸汰も手持ちの斧に破壊力をまとわせ思い切り木を切り倒した。
「この木だけれど、全部、薪にしちゃおうぜ? キャンプファイアもやりたいからその時に使おう。で、余ったのは村に寄付するか」
 この日は2人で薪割りを頑張った。

 翌日も朝から森林に入った2人は早速行動を開始した。
「涼しくてとっても過ごしやすいけれど、道がちょっとねぇ……。展望台へ行くハイキングコースにもなるし、この自然を活かして舗装もしたいなぁ……」
 フランの疑問に洸汰がにっこりと答える。
「あ、そうだ! 木材を使って舗装しようぜ?」
「そうだね。作業工程が多くなるだろうから村人も呼ぼうかな」
 2人はハイキングコース整備の為、必要な木を今日も切り倒す。
「この夏、威嚇術にはお世話になるなぁ……」
 フランが大きな丈夫な木を切り倒して、倒した先に木が落ちて、大きな橋になった。
 この橋のお陰で村から展望台の距離がだいぶ短縮される。
「で、あとはこいつを……」
 途中の道で難所には、昨日木材にした木で造った手すりや看板を取り付けた。
 洸汰は慣れない手つきだったが、楽しそうに大工仕事に取り組んだ。

 その翌日以降も村人達含めて皆で舗装に取り組んだ。
 フランの古ロリババアにも資材の運搬を協力して貰った事もあれば、森の動物達が現れて応援してくれた等もあった。皆でコースの道を踏み固めて、何とかコースそのものは完成した。
「さあて、オレから提案があるぞ!」
「うん、あたしも!」
 2人は声に出すと意見が一致した。
 ゆったり遊べてのんびり寛げる子どもの遊び場を造ろう!

 最後の仕上げとして、子ども用のアトラクション造りに皆で力を注いだ。色々と造ってみたので、まずはスラプロ本人が試しに遊んでみる事になった。
「アー、アー、アー!」
 2本の大木の間に取り付けられたミニロープウェイを伝って、洸汰がジャングルの王者みたいなノリで滑って来る!
「いえーい!」
 フランは斜めに横たわる大木に取り付けたブランコを勢い良くぶんぶん漕いでいる!
 そして、ミニロープウェイやブランコから降りた2人はハンモックで寝転がる。
「へへ、ごろごろ満喫、さいこーだぜ!」
「きゃー、らくちーん!」
 自分達で造った数々の遊具には感慨深い物があったようだ。
 さて、最後のとっておき、それは……。
「ツリーハウス完成! ふふ、いい眺めだし、木のいい匂いもするぞ! 森の中の隠れ家っていう感じがまたスラプロだよな?」
「そうよねー! 子どもの憧れのツリーハウスで夢いっぱいね!」
 ツリーハウスにも工夫が沢山凝らしてある。建物の高さを低くして、子どもが出入りし易い秘密基地仕様なのだ。しかもフランのギフトで緑色のアイヴィの飾り付けまでしてある。
 2人の宣伝活動では楽しく元気に遊んでいる所を動物達も交えて沢山撮影した。

 後日、子ども連れの層を中心としてスランプ村の森林は賑わったのであった。

●湖
 木陰の湖で『平原の穴掘り人』ニーニア・リーカー(p3p002058)が釣り竿を操って魚釣りをしていた。空中を浮遊するマジキャプで彼女自身の釣りをする姿を映す。
「僕が満喫したいだけっていうのもあるけれど。楽しんでる姿が一番のアピールになるよね。だったら、釣りの良さをめいっぱい伝えないとね!」
 本日、彼女は泊まるつもりだ。愛車の馬車から下ろした荷物には、釣り道具一式、テントセット、おやつ等も持って来た。釣りは夜通しでやるのもけっこう楽しいのだ。
「お? 来た、来たー!」
 釣り竿がぶるぶる揺れて、水面下に引っ張られる!
 それっと、ニーニアが釣り上げると、銀色に輝く小さな淡水魚が釣れた。
 付き添いの村人もおおっ、と声を上げる
「アユンプですね! よくぞ釣られました!」
「ん? 何それ? この魚?」
 スランプ村のアユなので、長い年月を経て「アユンプ」という名称になったらしい。

 ニーニアがアユンプを釣り上げている頃、『オイラは〇〇〇』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は湖の水面下を潜っていた。
(へへ、この村にゃ湖があるってんで、まずは調査してみねーとな。泳ぐやつはいねーって話だけど、釣りでもしたら楽しそうじゃねーか? とりあえずどんな魚がいるのか潜って確かめるぜ!)
 水面下はかなり濁っているせいでさすがのワモンも泳ぎづらかったそうだ。
 それでも、時折、泳いでいる銀色の魚達も見かけた。
(お!? 淡水の魚はあんまりくわしくねーから、あとで聞くか。ひとまず捕れる魚は咥えていくぜ!)
 ぱくり、とワモンが逃げる魚を口で捕まえる。
 そのまま浮上し、ニーニアへ報告に行った。
「あ? ワモン君も魚捕れたの? どれどれ……うん、僕が釣ったのよりも大きなアユンプだね?」
「アユンプだと?」
 ニーニアがさらりと解説してくれた。

 湖班は釣りをメインにアピールする予定だったが……。
 初日も、翌日以降も、魚は一応釣れたが、かなりの量でゴミも釣れた。
「どうしよう? こうもゴミばかり釣れると、観光客を集めた所で問題が起こるよね……」
 浮かない顔のニーニアにワモンがぱあっとした顔で答える。
「湖の底にゴミとかあるから掃除もしておくか? きれいな湖のほうがキャンプやるには楽しいだろうからな!」
「そうだね! 折角だから僕達でゴミ拾いもやればいい!」
 2人が事情を説明すると、村人達は嫌な顔をせず一緒に掃除を手伝ってくれた。
 魚釣りの活動は一時中止して、しばらくは皆で湖を綺麗にする作業に取り組んだ。

 さて、数日して湖の掃除が終わった。
 釣りの活動を再開したニーニアはある事を提案する。
「湖のヌシなんかいれば挑戦してみたいところだよね!」
「おもしれえな、それ! んじゃ、オイラが潜って調べてくるや! 見つけたら合図するからニーニアが釣るってのはどうだ?」
 こうして2人の大物釣りが始まった……。
 ワモンが潜ってから数十分経つが未だに何の音沙汰もない。
 ニーニアは焚火をしながらマシュマロを焼いて食べたりしてスタンバイしていたが……。

 ぽちゃり!
 ワモンの顔が水上に出て来た!
「いたぜ! ここだ! 誘導して来たから今がチャンスだぜ!」
「よし来た! 今、釣るよ!」
 ワモンが撤退し、ニーニアが釣り糸をびゅんと投げ入れる……。
 果たして、大物は……。
 かなり苦戦したが、何とかして、村人の助力もあり、釣り上げた!
「わあ! すごい大きなアユンプだね? そうだ、魚拓を取ろう!」
 ニーニアは村人の協力で魚拓を取り、その様子をマジキャプで記録した。
 なお、現在でもその魚拓はスランプ村の湖畔の釣り堀で飾られている。

 夜空に広がる満天の星を眺めながら、皆で焼き魚や焼きマシュマロを食べる。
 森林班の2人が持って来た薪を燃やして火を囲んでいるのだ。
「はぐはぐ、うまうま……。バーベキューもいいもんだぜ!」
 洸汰はアユンプを美味しそうに楽しそうに頬張る。
「んぐんぐ、美味しいね……。皆の活動で素敵な村って、伝わればいいなぁ!」
 活動の成功と村の繁栄を願ってフランがマシュマロをぺろりと食べる。
『『幻想』の天国♪ 田舎村スランプ~♪ 綺麗な湖畔♪ 美味しいお魚~♪』
 ニーニアはリュートを手にしてパウ作詞のスランプ村の曲をゆっくりと奏でる。
 村人達に習い、皆で合唱する。
 ワモンはヌシをばくりと平らげるとマジキャプを皆の前で構えて……。
「楽しい様子を撮影するぞ! キャンプ好きなやつらとかがきてくれるかもな! ってことで、ハイ、チーズ!」
 カシャ、湖畔の夜に素敵な思い出が一枚、シャッターで切られた。

 後日、スランプ村湖畔には釣り人やキャンパーが沢山訪れたそうだ。

 了

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

この度はシナリオへのご参加ありがとうございました。

たまにTVなんかで特集されていますが、
田舎でのスローライフって憧れる反面、大変な事も多いみたいですね。
交通が不便だったり、虫が沢山出たり、特殊な人間関係があったりとかで。

ところで、スラプロですが……。
(ス)ロー・(ラ)イフ・(プロ)デューサーの頭文字を取って「スラプロ」でした。
暗号文みたいでごめんよ!

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