シナリオ詳細
お前もリリファになれ
オープニング
●全人類ド貧乳計画
異常事態だ。
まさしく、まさしく、異常な事態だった。
乳が無い。
あ、やめて殴らないで。前言撤回、前言撤回しますから。もうちょっと詳しい状況を述べると……そう。目の前に存在するあらゆる人々が――リリファ・ローレンツ(p3n000042)の姿をしていたのだ。
あちらもリリファ。こちらもリリファ。リリファとリリファが公園で遊んで、リリファがリリファの経営する八百屋で買い物をして、リリファがおしゃぶり咥えた一歳児のリリファを抱っこしている――
なんだこの光景は誰が誰なんだ。訳が分からないぞ。この光景はどうやら街の一区画を覆っている様で……しかしどうにも、その姿になっている人々に混乱は無い様だ。恐らくだが認識がおかしくなっているのか?
どうであれ『この事態』の解決こそが託された依頼だ。
見つけてしばき倒そう。この事態を引き起こしている『パステルゲンガー』を――!!
●時は少し遡って
「うわあああああん!!! 皆さんちょっとお話聞いてくださいよぉぉおお!!」
わああ『狗刃』エディ・ワイルダー(p3n000008)が泣きながら胸に飛び込んできたあああ!!
ちょ、待て。止めんかい! 何事なのだ!! ていうかなんだか言葉遣いがいつもと違う気が……
「うぇ、ぐっす、ひっく……違うんですよ私はエディさんじゃないんです……」
足にすり付きながら泣くエディ。止めろ離れろ!
このモフモフ具合、エディ以外の何者だというのだ……いや確かに様子は明らかに変だが。
「う、うぅぅぅ……実はですねぇ……」
目の前にいるエディは語る。なんと自分はリリファ・ローレンツなのだと。
事の発端はパステルゲンガーなる魔物が現れた事に起因する。パステルゲンガーはいわゆるドッペルゲンガーの亜種で、他者の姿形を模倣することが出来るのだが――同時もう一つ。他人も『コピーの姿に変える』事が出来る能力を持つらしいのだ。
コピー元として被害に遭ったのは三人。エディ、リリファ、そしてプランクマンの三名で。
「それでエディさんのパステルゲンガーが私をコピーして私がエディさんになって、私のコピーがプランクマンさんをコピー、プランクマンさんのがエディさんのって感じで……」
エディ→プランクマン(の姿)。
プランクマン→リリファ(の姿)。
リリファ→エディ(の姿)。
――つまりこういうことだ。三名も被害に遭うとかどうしたんだ一体……
「いや理由は分からないんですけど突然襲撃されて……と、とにかくこのまま奴らを放置するわけにはいかないんですよ!! パステルゲンガーは愉快犯というかなんというか、そういう性質の魔物で、とにかく場を混乱させるだけなんですが、このままじゃ火事場泥棒とかの発生が考えられます!!」
放置すればやがて広い範囲に被害が拡大していく可能性もある。別段、直接生命に影響がある訳ではないが……姿が変わった事による『なりすまし』や、先程も述べた『火事場泥棒』を行おうと考える不逞な輩がやがて出てこないとは限らない。
後始末が非常に厄介になるし、変化に混乱も生じれば面倒だ。
「パステルゲンガーを撃破すれば効果は解けます!! 皆さんには一刻も早く奴をぶちのめしてほし……ちょっとぉぉぉ!! そこやめんかゴルァアアアアア!!」
と、その時だ。突然リリファ(姿:エディ)が説明を中断して大声を上げる。
そのまま駆けるのは――プランクマン(姿:リリファ)の元だ。別のチームに依頼の説明をしている彼女が、なんと白昼堂々服を脱ごうとしている。はっ? 暑いってなんですか、体は私のでしょうがやめろッ!!
「私の恰好で変なことするなっていったでしょうがああああああ!!」
「あれ、嬢ちゃん。胸少し成長したかい?」
「え、ホントですか? って、なんでサイズ知ってんだオイイイイイイ!?」
リリファの胸倉を掴み上げて、怒鳴り上げて押し倒そうとしているエディ――
明日にでも風評被害が広まりそうだ。そんな様子を見ながらエディ(姿:プランクマン)は目頭を押さえながら、どういう釈明を発しようか――頭を悩ませるのであった。
- お前もリリファになれ完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2019年07月03日 21時35分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●ぺたぺた
ふにゅふにゅさすさす――うん。
「……大丈夫だよリリファちゃん、きっとまだこれからだよ! 成長期成長期!
だから希望を捨てちゃダメだよ! ふぁいとっ、えいえいお――ッ!」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)貴様今どこを触ってどこの事の指摘した……!? その胸を張り上げて勝ち誇った様な表情は一体、どこに向けられている!? むきゃ――!!
ハッ! いけない殺気殺気~。向けるべきは仲間にではない。今やどこを見てもリリファになっている事態を引き起こしている――パステルゲンガーへである! だからここは一旦落ち着いてですね……
「あらまぁホント右を見ても左を見てもリリファちゃん! 凄い光景ねぇ」
「そうですね……でもなんというか、こう。リリファさんの身体になったら動きやすいですね? どういう事なんでしょうか……不思議ですね。身体が変われば程度はともあれ勝手が違う筈……」
「そうね……なんだか私の方も肩こりがなくなってとっても身体が軽――」
きしゃまらぁあああああ――ッ!! 『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)
と『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の言動におこ。おこですよこれは。思わず依頼そっちのけでブチ切れモードに3、2、1――
「あっほら! これは10代の若さっていいなぁって話よぉ? ね! ねッ!」
「あぁー……んっ、と。そっスね、まぁオレにとっちゃ目線が大分低くなった事以外はいつもと変わんない感じっすけど」
寸前、不穏な空気を察知したアーリアが慌てて言を追加し『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)も――意図した訳ではないが発言に続く。焔と違って健全な範囲で体を触り。数回ジャンプして調子の確認を。
うむ、どうやら身体がいつもより小さくなった事以外は特に目立って不都合は無さそうだ。強いて言うと服が動くには厚いぐらいか……一枚脱いでおこう。ついでにネクタイも取って、服諸々腰に巻いて――と。
「嗚呼……やっと君の手を握り返すことが出来た。ワタシの大事なマリオネット、たいぷらいたぁ」
一方で『吊具式霊感灯』化霊断 K型 二号(p3p001892)はこの事態に感涙していた。
正確には『己が人形と手を交わす』事が出来る環境に、か。二号は本来の姿が七灯の蝋燭。そしてその付属品として少女型機械人形《たいぷらいたぁ》が常に二号をその手に持って控えている。その関係は本来永久不変。たいぷらいたぁが二号に触れる事はあっても逆は無い――筈が。
二号そのものがリリファとなった今、この一時だけその法則は打ち消えたのだ。仮初の身体ではあるが、今確かにたいぷらいたぁと手を繋ぎ共に歩みを行う事が出来ているのだ。
「願わくばこの騒乱が長く続いてほしいものだが……困っている淑女を見過ごすは紳士の道に反する。己が願いは、内にだけ秘めておくとしようか――たいぷらいたぁ」
人形から返事は無い。しかしきっと思いは同じだと。
二号は往く。手を引き街へ、新鮮な想いと共に。
――ところで。恐らくご存知だとは思うのだがこの依頼、別方面でも類似が発生している。
エディとプランクマンの姿を模したパステルゲンガーの件だ。すぐ近くではあるのだが、三か所ともなれば範囲が広いため別に依頼のチームを用意している……筈が。
「わひゃ――! こっちだと、みんなリリファさんなんだね! すごい!!」
「あっちだとプランクマン、更にエディの姿で溢れまくって……なんていう事態だ……」
「行くぞーパカお! やるぞーパカお!
今日のオレはパステル三件持ちだからな! ――ゆっくりしていらねぇぜ!!」
『ちょう人きゅーあちゃん』Q.U.U.A.(p3p001425)
『リリファ・エディ・プランクマン』サイズ(p3p000319)
『清水【好きな名前を入れてね!】』清水 洸汰(p3p000845)
……この三名、なんと三件全部持ちである。嘘だろ君達マジかよめっさ走るやん。サイズなんて称号がとんでもない事になっているし、洸汰はパカおと名付けたパカダクラに跨って馬替わりだ。なんてこったい!
周囲がリリファだらけだというのにこれから彼らはエディにもプランクマンにもなる訳か……! ん、いや待てよもしかするともう成った後か? とにかく先も今も後も――走らねばならぬのだから!
パステルゲンガー・リリファ編スタートなのです!
●右を見ても左を見ても
パステルゲンガーの撃破の為に必要なのは『緑髪』リリファを見つける事だ。
それがこの街にいる奴の唯一の特徴である、故に。
「よッ――と」
葵は跳躍していた。家の屋根という屋根に飛び移って視線は下に。
とにかく頭部を見やすいように探すのだ。緑色緑色、と薄く呟きながら。
「しっかしみんなが皆同じ姿のちんちくりんじゃなぁ……いや別にオレも例外じゃないっスけど……」
これでは誰が一般人で誰が依頼に参加したメンバーなのか分からなくなってしまいそうだ。
だからこそ識別の為にとボールを常に抱えている。こういった特徴があればいざと言う時分かりやすいだろうと、メンバーはそれぞれ目印や行う役割をチーム内に伝達していたのだ。葵以外で言うと例えば――
「オールリリファさんの、リリファさんフェス! かいまくだよー!」
一際目立っているのはQ.U.U.A.ちゃんだろう。
街の広場に陣取って。自前の舞台用小道具、テントセットをてきぱき準備。
さすれば今日一度限りのリリファフェス開幕だ――! Q.U.U.A.は己がパフォーマンスを魅力的に見せる振る舞いを全力に。逆立ち宙返り棒高跳び……エトセトラエトセトラ。己が一芸を魅せる。
「さぁさぁみんな、たくさんみていってね!! フェスはこれからだよ――!」
制服一式で早着替え。リリファの姿でリリファ達の視線を浴びる。
なにやら芸をしている者がいる――という話が伝わっていけばあちらこちらからリリファがリリファを見る為に集まる筈だ。多くを引き寄せれば、緑髪も引き寄せられるかもしれない、と。
「なんだなんだ? あっちじゃ何かやってるのか?」
「そうなのよぉ。あっちで何か芸が披露されているみたいねぇ……とても素敵だわぁ」
更にそれを支援するかの如く、アーリアが酒場で情報収集しながら興味を抱いた人々を芸の先へと誘導す……いやちょっとアーリアさん? なぜ酒場にいるんですか? 情報収集……? 成程一理ある。
だがしかし、その手に持っているジョッキは――なんなのだろうか?
「やぁねぇ。これはただのお冷よお冷……マスター、お代わりまだぁ~?」
あ、趣味の時間に走ってる! 姿がリリファとは言え中身はアーリアであり年齢上は問題ないのでお酒は飲めると思うが絵面が危ない! あ、あ! ジョッキの中が黄色と天は泡で満たされている水分が運ばれてきた! いーらーいーちゅーう――!!
「ねぇねぇ精霊さん。緑髪の子見なかった……って精霊さんもリリファちゃんになってる……!」
焔だ。彼女は人に、そして精霊疎通を用いて精霊に話しかけながらパステルゲンガーを探っている……のだがなんと精霊すらリリファ姿に成っている様で。ちっこいリリファがあちらこちらにも。おやおや胸だけじゃなく身長も小さくなっちゃって……と突いていれば。
「ふむ――緑髪のリリファくんに見覚えは無いかね? 外見はこの通りで、そう髪だけがだね……」
そして二号は無機疎通にて各所の建物を中心に情報収集を行っていた。
無機疎通は非常に簡易な情報を得るのが精々な技能だ。されど同一人物の外見で溢れる中、一人だけ特徴が違う者がいるのであれば――有益な情報も得られるだろうと技能を振るっていく。
「それにしてもやはり何処を探してもリリファくんばかりだ……こういう光景を見てしまうとワタシも量産型の家具故に、前の世界の事を思い出してしまいそうだな」
ふと湧くは懐かしさ。同一の型が次々と生産される量産型故の思い出。
どこを見てもワタシ。あちらを見てもワタシ……そんな光景が懐かしいモノだ。しかし別に戻ろうという思いは全く無い。あちらの世は家具差社会が酷かった……最初はともかく、LED照明が出るなり世は圧巻。己らはあっという間に冷遇される世の中になってしまった……おのれ二度と戻るものか!
「さて……とりあえず鎌を持っていれば誤解はされないだろうけど」
後はさてさてどう探したものかと、葵と同様に天から探すのはサイズだ。
サイズは妖精体としての姿がリリファになっているが本体である鎌の方は変わらない状態だった。目立つ物がそのままだったのはありがたい。飛行の力を用いながら緑髪を探していく。
「しかし……うん。リリファは成長期……リリファは成長期……」
おい、ちょっと待てなんだその唐突なワードは。
「いや別依頼での集合ワードで……うーん、そういえば身体を勝手に借りて、いる? のも悪いし防具なり服なりを後で作るべきだろうか……でもなぁ人間の成長速度っていまいちわかんないんだよなぁ……本当に成長期ならそれも加味して……」
成長期、そう成長期! 確かに成長期だから! 成長限界点に到達してないから!! 19歳だけどまだ見込みはあるから! 成長前提でお願いしますダボダボの服で!! ところで今回の地の文これ完全にリリファちゃんのコメントだよね。
と、その時視界の端に見えたのは緑色の髪――いやあれは。
「あの、すみません。私と同じこんな……緑髪の方を見かけませんでしたか?」
緑色のロングウィックを被ったシフォリィだ。
敵は緑髪スキーらしく……ならば自分も緑髪となれば誘き寄せる事が出来ないだろうかと考えて、ロングタイプでの差別化だ。如何に認識を改変されていようと、明らかに違う者がいれば認識の外には洩れよう。
人々に地道に彼女は聞き込みを行っている。うう早く戻りたいものだ。ずっとこれでは流石に元の姿が恋しい……いや不思議と体が軽いのはありがたいのだが、なぜだろう。ずっと不思議な感じが取れない……
「はいよ――! パカお、いっけ――! とにかく前進だ――!!」
そしてパカおの背に取っ捕まっている洸汰が街中を駆け抜けている。
三件持ちの彼は正直体力の分配が厳しい。だから移動はパカおに任せよう。くったくたの状態で敵に出会っても撃破に至るは難しいと判断しているのだ。それにパカおに乗っている姿は流石に街を見渡しても洸汰だけ。目印にもなるだろうと、思ったその時。
「んん、おっとぉ!?」
パカおに止まれの指示を。
遥か奥――人混みのずっと奥――シフォリィではない緑色がそこに見えた気がする――
それは一瞬。人混みの中にすぐさま消えてしまったが、あれはきっと間違いない。
「よっし、確認しに行くぞパカお!! 鳴け――ッ!」
皆に発見の報を知らす為に、パカおに声を出させる。
ふええ……その声が響き渡った時――終局は近い事を告げていた――!
●発見!
緑髪の子が何やら面白そうな芸をしているらしい、というのをパステルゲンガーは聞いた。
酒場の方から流れてきた情報だ。己以外に緑髪――? と怪しんだが、街中を掛けているロングタイプの緑髪も確かにいるそうで、すわこれは本当かと歩を進める。緑髪、緑髪はぁはぁ。見に行かねばなるまい……!
「みんなありがと――!! きょうはね、スーパーリリファさんをおむかえしてのスペシャルユニット・とくべつステージだったんだよ――!! はくしゅはくしゅ――!!」
わああああ! と広場で喝采が上がっている。どうやらQ.U.U.A.のステージが最高潮に達している様だ。というか、あれ? ステージ上にはQ.U.U.A.リリファだけでなく複数のプロリリファがいる。リーディングで探したとでもいうのか……!?
「――見つけたぜそこのリリファァアアア!! 逃がすかぁ――!!」
と、そこへ。ついに追いついた洸汰がパステルリリファへと突撃する。
ハッとしたパステルが脱兎の如く逃げ出そうとするが、そうは行くか。
「一度見つけたからにはもう紛れ込ませませんよ……御覚悟!」
シフォリィだ。もはやウィッグは不要とばかりに脱ぎ捨てて、パステルの眼前へマークの為に躍り出る。放つは裏拳。その一閃が同身長のパステルの鳩尾に叩き込まれて、あぁ。やはり剣を振るうも拳を振るうにせよ動きやすい……何故だ。もう少しでこのもやもやが晴れそうなのだが……!
「本当に不思議と動きやすいよな……さてなるべく早めに戻してあげるからね……」
「さて、成すべき事を成す時が来たという事か……! 控えおろう。このアイテム、ラーシア・フェリルが目に入らぬか――!」
そこへ更にサイズと二号が押し寄せる。サイズの一撃が天から。二号は退路を断つべく後方からパステルへと迫って、アイテムを取り出す。それは緑髪オブ緑髪の象徴。そしておむね。豊満なるおむねの象徴……くそッ! リリファの姿でなんてものを出すんだ!
しかしそれを抜きにしてもパステルは動きが取り辛かった。なぜならばQ.U.U.A.と、そして。
「イタズラは駄目だよ。特に他人に迷惑をかけまくるイタズラはね……さぁ反省しようか!」
歌唱の技能を持つ焔の歌声で集まった人々の群れがあまりにも多かったからだ。
Q.U.U.A.の大道芸の合間に歌を歌って集客に手を貸していた焔。流石にアイドルの様に歌いながら踊ったりなどはまだ難しい所だが……歌だけならば上手になったのだと。パステルに気付いてからはそちらへと向かう。流石にイタズラの範囲。命を奪うまではどうかと、叩いて気絶を狙って。
あっという間に追い詰めていく。四方八方からイレギュラーズ達が集えば。
「あら……ついに見つかっちゃったのねぇ。もうちょっとこの姿でお酒を楽しみたかった所なんだけど……」
頬を若干赤くしているリリファ、もといアーリアだ。
左手にグラスを。右手の指では空間をなぞって。
裂く。『月の裏側』へ送らんとするその攻撃の意思は、パステルに悪酔いが如くの時間を齎して。
更にそこへ――背後からボールがパステルへと叩き込まれる。それは。
「――おっとぉ? ちと狙いがずれたか……? 動きには問題ないと思ってたけどボールが気持ちちょっとでかいし、足も短いで距離感ムズいな。誤算だったわ」
蹴れないことは無いが、と呟くは葵である。屋根から降りてきた彼は、人と人との間を狙うは難しいと判断。上に投げ、ボレーシュートの様な形でパステルを狙い穿つ。それは正確無比。ストライカーたる彼の腕――いや脚の見せ所か。
パステルに対してはそもそもどうやって早急に見つけるか、が課題だった。数の上では八対一。戦闘にさえ入れればこっちのものである。走り逃げようとするパステルを各々がマークし、絶対に逃がさない。
広場からは出さず徐々に追い詰めて、さすれば。
「はーい! みんな――! きょうのフェスのしゅやくは、この人だよ――!!」
もはや逃げ場のないパステルをQ.U.U.A.が壇上へと上げる。
折角なのだ――捕まえる前に、ステージへと上がってもらって。
「たのしいフェスをありがとね――! みんなはくしゅ――!」
その手を握って皆で万歳――トリプルリリファ!
●そんなこんなで!
パステルゲンガーは捕まった――逃がさない様にすれば楽な相手であったのだ。街を覆っていた効果もほどなく消えていく事だろう。
「見たまえ、たいぷらいたぁ! あんな所にシャボン玉が売っているぞ。
ワタシもこの姿ならシャボン玉を作れるだろうか……!」
その時二号の眼前に映ったのは市場。その中でもシャボン玉を売っている店だ。ああやはり何もかもが新鮮。姿が元に戻ってしまうその前に――寄り道をと、たいぷらいたぁの手を引いて。
「……体を借りて悪かったね、お詫びにスリーサイズを測って服でも作るよ何が良い?」
「え、いいんですか!? えへへじゃあ可愛い感じのワンピースっぽいのを……って駄目です身体測るのは、ああ触っちゃ駄目です――!!」
そしてリリファ(本物)と合流したサイズ。姿が戻る前に体を測ろうと全身を触る。別にやましい意図はないのだが……あっ、駄目! 胸は駄目! 触っちゃ、え? どこが胸か境目が分からない? やかましいわ!
「もし次があるのなら今度はリリファちゃんをプランクマンちゃんの姿があると良いわよねぇ……ほら夢をかなえてあげたいじゃない、ねっ?」
人の夢と書いて儚いと読むのですよアーリアさん……
「あ、お疲れっス。そうそう、身長も胸もどこもかしこもちっせぇ分、随分と動き易かったっスよ」
「あ”っ”?」
葵のデリカシーゼロ発言に、女の子が出しちゃいけない低音を出してる!
「――あっ、わかりました!」
と、その時。丁度元の姿に戻ったシフォリィが声を挙げる。
依頼の最中ずっと感じていた不思議な感覚の正体が今分かった様で――
「いつもより体が軽かったのは普段の私と胸の大きさが 全然 違ったからです! やーずっとなにか喉に引っかかってる様な感覚があったんですよね、今解消されましたよ――リリファさん!」
この後シフォリィの乳をもぐべくリリファが暴走するのだが――それはまた別の話だった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
パステルゲンガー事件――解決!!
いやホントなんて酷い依頼なんだ……誰が考えたんだ某gote……!
ともあれご参加ありがとうございました!!
GMコメント
yakigote GMにまた巻き込まれたんです。信じて!!!!!
と言う訳で皆リリファちゃん。ご縁があればよろしくお願いします!!!
■依頼達成条件
パステルゲンガー(リリファ姿)の撃破。
■依頼開始場所
比較的広めな街のとある区画。
時刻は昼間。多くの人々で賑わう商店街の中にパステルゲンガーがいます。
お店や出し物、障害物の多い地となるでしょう。
狭い路地やお店の中に逃げ込まれる事も想定されます。
それと、どうにもパンドラを持たない人々は現状の自らの姿に特に疑問を抱いていないようです。が、そういう阻害効果もいつまで続くか。もしかしたら突然切れるかもしれません。
早期の解決が望まれます! ますよね!?(byリリファ)
■エネミーデーター:パステルゲンガー(リリファ姿)
いわゆる『ドッペルゲンガー』の亜種。以下の能力を持つ。
・街の区画ひとつ分の住人を全て同じ見た目に変えてしまう魔物。
・当シナリオの個体は緑髪スキーなので自分だけ「緑髪」です。すぐ見分けられます。
・当シナリオ中、参加者全員が見た目・服装がリリファであるとして判定されます。
・リリファの姿になった事による能力値の低下などは特にありません。
・当然皆さんの普段の姿とは違うので違和感とかはあるかもしれません。
【注意事項】
・『お前もリリファになれ』『お前もエディになれ』の両シナリオと同一日という設定です。
・どちらにも参加した場合、めっちゃ走って頑張って両方解決しようとしていることになります。全部参加したら街中走り回りましょう。すごいぞイレギュラーズ。
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