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シナリオ詳細

ねっこねこ!
ねっこねこ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●にゃー!
 その日のローレットは、いつもと異なった様相を呈していた。
「……何これ。ローレットって猫を集めてたんだっけ?」
「そんなわけないのです──わぁっ!?」
 思わずといった『Blue Rose』シャルル(p3n000032)の言葉に『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)の声がかぶる。次いで彼女の短い悲鳴。
 足元を通り抜けた猫にユリーカは足をもつれさせ、音を立てて転倒した。痛いのです、なんて言っている間に猫たちがユリーカを囲み、乗り上げ、踏み踏みと。
「た、助けてくださーい!」
 ユリーカの情けない悲鳴が上がる。その声に動こうとしたシャルルは──猫とばっちり目があった。
 まずい、と思う間も無く一斉に猫たちがシャルルへ向かう。ふわふわと揺れる長い髪も、彼女に巻きつく蔓薔薇も、どうやら猫たちにとっては良いオモチャのようで。
「まっ……こら! ダメ! 遊ぶな爪を立てるな!!」
 珍しくシャルルが声を荒げるも、猫たちは素知らぬ顔。先ほどまで踏みつけていたユリーカなど見向きもせずにシャルルの足元へまとわりついた。
 ユリーカへ視線を送るも、彼女は困ったような笑みをシャルルへ向けて。それはまるで『頑張ってくださいなのです』と──少なくとも自ら助けに行くつもりはないように。
「……っっっ、薄情者ーーー!!」
 ローレットを飛び出すシャルル。その甘い香りを辿って猫たちが彼女を追いかける。
 走り去る彼女の瞳には、涙が浮かんでいた──かもしれない。

●それから暫し。
「猫さんたちは依頼でお預かりした子たちなのです。本来は皆さんに1日お願いします、とする予定だったのですが……」
 ローレットにはすでに1匹の猫すらいない。さっきまでの騒動も嘘だったかのようだ。
「多分、シャルルさんが今も猫から逃げ回っていると思います。なので皆さんは猫を捕まえて、シャルルさんを助けてあげて欲しいのです!」
 ユリーカは言った。シャルルは本来の依頼内容こそ知らないが、猫を引き連れたまま町の外まで逃げていくとは考え難い。未だこの町の中にいるはずだ、と。
 とはいえ、それ以外の情報がないことも事実で。
「捜すのはとても、とても大変かと思いますが……どうかよろしくお願いするのです!」
 ユリーカはイレギュラーズたちへ向けて、深く頭を下げたのだった。

GMコメント

●成功条件
 猫4匹の確保

●情報精度
 この依頼の情報精度はBです。
 載せられた情報の精度のみで言えばAですが、不明な点があります。

●猫
・ミーシャ
 ツンとすましたメスの三毛猫。
 食べ物にはつられがちですが、ひとたび獲物を定めるとなかなかしぶといです。

・リール
 臆病なオスの黒猫。
 日陰が大好きで、人になかなか懐きません。

・シャーリー
 のんびりとしたメスの白猫。
 すぐにあっちこっちと興味が移ります。1番好きなのは狭い場所です。

・ルーミィ
 喧嘩っ早いオスの猫。黒毛で足先だけ白いという、いわゆる靴下猫というやつです。
 基本的に目標へ向かってまっしぐら。上手く手懐けられないと噛みつかれたり、爪を立てられたりしてしまうでしょう。

●シャルル
 詳しくは【p3n000032】のステータスシートを見ればわかりますが、簡易情報を記します。
 花の精霊であった旅人(ウォーカー)です。腰から蔓薔薇を生やしています。その経歴故か、彼女の香りはどこか甘く、けれど甘すぎず。猫たちは彼女の香りを頼りに捜しているようです。
PL情報:行き先は『ローレット→住宅地A→露店の並ぶ通り→路地→住宅街B→裏路地→住宅地A→』の以下ループです。
 シャルルと遭遇しないとこの情報は得られませんが、予測で最初からこの辺りを捜しても構いません。

●ロケーション
 幻想の町にありそうな場所はあります。上記PL情報に記載した場所の他、公園とかちょっとしたカフェなども存在するでしょう。

●ご挨拶
 愁と申します。東京オフに行かれた方はお疲れ様でした。
 猫と戯れ1日を過ごす依頼……のはずが、猫を追っかけ回す1日となりました。最終的に捕まえればOKですので、easyですから楽しく捜して頂ければと思います。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • ねっこねこ!完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年05月18日 22時10分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
疾風蒼嵐
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
クーア・ミューゼル(p3p003529)
こげねこ
御幣島 十三(p3p004425)
隻眼の蹂医
クロエ(p3p005161)
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
不戦の職人騎士

リプレイ

●平和な依頼
「ペット探しとは……探偵としてお約束、というやつだね」
 『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)は車椅子を動かしながらローレットを出て、ゆるりと首を巡らせる。通りに猫の姿は、ない。
「シャルル様も、お猫サンも、早く見つけてみんなで遊びましょうネ」
 猫用おやつ、ファミリアーの猫、猫が入りたくなりそうな鍋。準備万端な『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)の言葉に、『不戦の職人騎士』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)は心配そうに眉尻を下げて。
「シャルル嬢、大丈夫だろうか……」
「うーん……シャルルさんもにゃんこさん達もどこまで行っちゃったのかな?」
 早く見つけてあげないとね、と呟く『タント様FC会長』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)にイーハトーヴは頷いた。
 心配はあるが、そう思っているだけでは進まない。それに今の彼には心強い仲間がいる。
(俺は、俺にできることをしよう!)
 いつの間にやら足元へやってきていたリュカシスのファミリアーが、彼を鼓舞するかのようになぁごと鳴いた。
 それにしても、とクロエ(p3p005161)は思わずにはいられない。
 ──逃げるから余計に追いかけるのではないか?
 動くから、遠ざかるから追いかけたくなる。猫じゃらしが良い例だ。
 まあそんな疑問はさておいて。
「何事も起きぬ内に保護したいものだな」
「そのまま放って事故とか起きても寝覚めが悪いですし、早めに連れ戻すのです」
 ぴこぴこ、と耳を澄ませるように『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)の猫耳が揺れる。彼女は人であれど、見目からわかるように猫でもある。つまり、猫は同胞。故にと言うべきか、猫たちの心配はあまりない。
「あれ、そういえば……クロエちゃんと、こうして猫探しするのは2度目かな」
 『隻眼の蹂医』御幣島 十三(p3p004425)へクロエは頷くように尻尾を揺らす。あれは十三もクロエも、イレギュラーズとして初めての依頼だったか。再びこうして同じような依頼を受けることになるとは、不思議な縁もあるものである。
「──さて。猫自体が見つかればよいが、そう都合よくはあるまい。餌の食べかすや抜け毛、爪とぎの痕……猫がいた形跡を探すんだ」
 シャルロッテは仲間たちを見渡し、十三は彼女の言葉に続いて猫の居そうな場所を共有する。
 ここからは2班に分かれ、片やは猫2匹を。片やはシャルルと、付いていっているであろう残りの2匹を捜索だ。
「オーッホッホッホッ! かかっておいでなさい! 魔種退治からお猫探しまで!」
 シャルル捜索斑となった『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)はきらりとその瞳を輝かせ、ぱちんと華麗に指を鳴らして。
「そう、このわたくし!

   \きらめけ!/

   \ぼくらの!/

 \\\タント様!///

 ──は! いつでも全力全開ですわー!」
 ビシリと決まるキティプリティキューティおにゃんこポーズ。おにゃんこなので可愛い。そしてそのタントを完璧なタイミングで称えるようにポージングするシャルレィスは、流石FC(ファンクラブ)会長と言わざるを得ない。

 かくして。猫とシャルルの捜索が始まるのだった。


●精霊少女を追え!
「お猫に追われながら全力で走る美少女をお見かけしませんでしたかー!」
 発言はただの聞き込みなのだが、それこそ御天道の如くキラキラと輝くタントには誰しもが目を向けずにいられない。「あっちに走って行く姿を見たよ」という言葉にタントのキラキラが増す。
「ありがとうございますわ!」
「何回か見かけてるから、同じところをグルグル回ってるのかもなぁ」
 おや、とタントと仲間たちは顔を見合わせた。それなら待っていてもいつか遭遇しそうではあるが──。
「いつくるのかわからないのです」
「どこかに隠れているかもしれませんからネ」
 リュカシスは通りをぐるりを見渡す。街路樹の影、雑踏や店の中。カフェの席もそれとなく視線を向けるが、真白いかの少女は見当たらない。鉄色猫のファミリアーへ意識をやっても、やはり目的の人物も猫も見つからないようだ。
「言われた方向へ行ってみよう! 助けを求める声は私に任せて!」
 あっち、と先程示された方角に向くシャルレィス。彼女の人助けセンサーには、未だかの人物と思しき助けの声は引っかかっていない。
 露店の並ぶ通りを進み、進み、進んで──一同は公園へ辿りついた。再び人へ声をかけに行くタントの傍ら、リュカシスは茂みなどを覗き込んでみるがやはりいない。
「このあたりもいないね」
 日陰を探すシャルレィスも同様のようで、リュカシスと視線が合うと首を横に振った。そこへ聞き込みをしていたタントも戻ってきて──こちらも残念そうに頭を振る。
「シャルル様、こちらには来ていないようですわ」
「それなら、元の道に戻ってみようか? もしかしたら別の道を行ったのかも!」
 シャルレィスの言葉に頷き、公演を出た一同。別の道へ入って聞き込みと周囲捜索を続けていると──。

「あっ!」

 声を上げたのはシャルレィスだ。3対の視線が向けられる中、彼女の人助けセンサーが反応したことを告げる。
「やっぱり同じところを走り回ってるんだ! 戻ってみよう!」
「私は先に行くのです」
 俊敏に動き出したクーアは早急に猫を捕まえんと走り始める。そこへ3人が追従すると、やがて反対側の道に白い人影が見えた。気づいたリュカシスが大きく息を吸う。
「シャルル様! もう大丈夫ですよー! シャルル様ーー!!!」
 その声に気付いたか。『Blue Rose』シャルルと先を行くクーアの視線が合った、ような気がした。シャルルが疲労の乗った声を張る。
「……もう、無理! この2匹捕まえてーー!!」
「ハイ! お任せください!」
 リュカシスが答えるとともにクーアとシャルルがすれ違い、猫耳少女が猫2匹と相対する。通さまいとするクーアと猫たちに火花が散るかと思われた──その時。
「これを食べるのです。そしてギルドに戻るのです」
 ことり、とクーアが地面に置いたのはペットフード。三毛猫の視線がうっかりそちらへ。
「おやつもありますよ」
「にぼしも持ってきたよ!」
 リュカシス、シャルレィスもすかさずおやつを添える。三毛猫の視線は順番にそれらを巡っていって──嗚呼、1匹陥落。追い打ちと言わんばかりにシャルレィスが猫じゃらしをふりふりと。
「ほーらほら、一緒に遊ぼう? 楽しいよ♪」
 こうして三毛猫ミーシャの頭からはシャルルのことなどすっぽ抜けた。あるのは餌とおやつと遊び道具(猫じゃらし)である。
 一方の靴下猫、ルーミィ。餌には見向きもせずクーアをじっと見つめている。警戒心の乗った視線は、クーアの手にする猫じゃらしにも惑わされない。
 クーアもまたルーミィから視線は離さない。大事なのは逃げられないこと、見失わないこと。そして事故が起きないことだ。
「事故に巻き込まれないよう、ギルドに帰るのです」
 なぁう。
「一緒に帰るのです」
 うなぁご。
「帰るのです」
 うなぁん。
 意思の疎通自体は行えているが、反抗期のような猫の性格故か。じりじりと問答が続くばかりだったクーアの横を、不意に煌めきが通り抜けて行った。
「ちょあー!」
 アクロバティックに着地したタントがすかさずルーミィを拾い上げる。わぁ! とシャルレィスから感嘆の声が上がった。ルーミィは『何する離せ!』と言わんばかりに暴れ、タントの腕に引っかき傷を作るが──。
「少しの傷なら気にしませんわよ! にゃいにゃいにゃーい!」
 そのしぶとさに──タントのきらめきにかもしれないが──やがてぐったりと反抗をやめた靴下猫。タントの勝利である。
「やりましたわー!」
「タント様すごーい!」
「さあ、ギルドに帰る時間なのですよ」
 などと口々に言う中、リュカシスはシャルルの元へ駆け寄っていく。
「大丈夫デスカ?」
「…………ああ、うん。なんとか。すっごく疲れたけど」
 捕獲された猫を恨めしそうに見たシャルルは「それで?」と4人へ視線を向ける。
「話が見えないんだけど……アンタたちは何をしに?」
「実は──」
 かくかくしかじか。シャルルが飛び出していったあとの顛末を、タントたちは話して聞かせる。

 その様子を空から眺め見る、白く小さな鳥が1羽。


●残りは2匹!
「シャルル嬢、怪我はないだろうか……」
 シマエナガの視界よりシャルルの無事を確認したイーハトーヴは、ほっと安堵の息をつきながらそう呟いた。思わずの言葉にはっとして小さく頬を掻く彼に、シャルロッテはくつくつと笑いながら「一先ず見つかってよかったじゃないか」と返して。
 向こうの班は予想通り、シャルルにくっついて回っていた猫2匹も確保した様子。こちらもそろそろ捕まえたいところである。
(ま、探すのってめちゃくちゃ至難の技だよねぇ。何せ彼らは気まぐれだ)
 そこが可愛いんだけど、と心で呟く十三は12匹の猫を飼っている。だからこそ常日頃思うことであるし、飼い主視点でわかることがあれば……と彼は周囲に視線を走らせた。
 一同は付かず離れず、それぞれのやり方で捜索を進めていく。
(動物の捜索とは人間と動物の知恵比べなのだよ。そう、逃げる犯人と追う探偵のようにね)
 隅から隅まで観察するシャルロッテの口元が笑みを浮かべる。動物だからと舐めてかかるつもりはない。彼らと相対すれば、裏をかかれる事もあるだろう。
 そう考えたら、意外と楽しいもので。
 壁の隅に引っかき傷を見つけたシャルロッテは、車椅子が通れる道幅であることを確認しながら注意深く進んでいく。見るもの、聞くもの、香るもの。全てに注意を払い、角を曲がって──。
 その先は行き止まり。おそらく登って向こう側へ行ったのだろう。
「……ふふ」
 まだ急くことはない。少しずつ、少しずつ。イレギュラーズはその足跡を辿っているのだから。
「やあ、こんにちは。少し、お喋りに付き合ってもらえないかな」
 壁際を歩く猫へ声をかけたイーハトーヴは驚かさないようにしゃがみこむ。『何だこいつ』という目を向けられたが、どうやら無視するつもりはないようだ。
 聞いてみれば、何やら見知らぬ猫がいるとのこと。その行方はと問うと猫はそばの横道へ顔を向けた。
「あっちへ行ったのか。ありがとう」
 野良猫は応えるように尻尾を1度揺らし、どこかへと消えていった。
 クロエは猫の向かいそうな場所へ足を向けながら、近くを通る猫へ声をかける。こちらは同じ猫であるからか、幾分か情報が多かった。
(どちらにせよ、町中をうろついているようだが)
 ならばそちらを重点的に、とクロエの足は町中の裏路地や狭い場所へ。
 12匹の猫を飼う十三はと言えば、よく飼い猫を見つけるような場所を次から次へ。飼い猫の1匹くらいは少なからず似た猫もいるだろう。
 路地を進んでいってどれだけか。おや、と心の中で呟いたシャルロッテはイーハトーヴを呼び、路地の先を指で示す。
 気まぐれでのんびりな白猫。シャーリーの可能性がある。
 イーハトーヴは1つ頷くと、ゆっくり白猫へ近づいていった。猫へ名前を聞けば依頼の1匹だとわかる。
「なあ、一緒に遊ばないか? オフィーリアたちも君を気にいると思うんだ」
 遊ぶの? オフィーリア? そんな興味の視線がイーハトーヴを見る。警戒心がいくらか薄いのは性格的な問題か。
 悪いことにも巻き込まれてしまいそうで心配にもなるが、シャーリーは提示されたそれらにホイホイとついて来たのだった。

 そして、こちらも。
 あ、と声を上げかけた十三は慌てて口をつぐむ。けれど人間の気配に敏感なのは動物だからだろう。ぱっと顔を上げたリールと思しき黒猫に、十三は連れていた弥七をそっと地面へ降ろす。
「少しの間、逃げないよう引きつけてほしいんだ」
 飼い主の願いを聞いてか、それとも気まぐれか。弥七は黒猫にゆっくり近づいていき、2匹は黙って見つめ合う。
 クロエちゃん、と呼べば音もなくクロエが近づいてきてそっと路地の中を覗き込んだ。ほとんど気配もなかったはずだが、性格も相まってからそういったものを感じ取ることに長けているのだろう。クロエへ視線を向けた黒猫を見て、彼女はゆらりと尻尾を揺らす。
 これは見知らぬ人間が相対すれば、全力で逃げるに違いない。
 他の仲間には下がってもらい、日向と日陰の境界に立ってリールを見やる。同じ猫であるからか、リールはピンと耳を立ててクロエを見つめていた。
「お前達の主は、その身が心配だからこそローレットに預けたというのに、余り余計な騒ぎを起こすものではない」
 何かあれば悲しむのは猫たちの主──飼い主だ。それに人間へ迷惑をかければ、頭を下げるのもまた人間。主のそんな姿は、正直気持ちのいいものではない。
 説教じみた言葉になってしまうが、仕方ないこと。経験者は語る──クロエもまた、ということだ。
「暴れるならばせめてギルド内にするべきだぞ」
 そう告げて帰りを促すクロエに、リールは耳をぺたりと伏せて──日向の方へと1歩、足を踏み出した。


●全員合流
「これで一安心デス! みなさんも、ふわふわの相棒のみなさんも、ねっこねこの名探偵でしたネ。とっても、お疲れ様でございました!」
 ふわりと笑みを浮かべたリュカシス。ローレットに戻ってきた4匹はまたシャルルへ視線を向けたが──同時にいくつかの影がひょろりと横切って。何人もが持ってきていた猫じゃらしに飛びつけば、そこへ十三の弥七やクーアのルード、そして呼んだ猫精霊が混ざって遊び始める。
 その様子の愛らしいことといったら!
「まあ! まあ! ファンシータイムですわー!」
「本当だな! 俺も混ざりたい……!」
 きらきらと目を輝かせるタントとイーハトーヴに、リュカシスが「これをどうぞ!」と用意していた鍋や予備の猫じゃらしを渡す。じゃれる猫。鍋にぎゅうぎゅう詰めな猫。嗚呼可愛い。
「なあ、実は毛糸玉を持ってきたんだ。これで一緒に遊ばないか?」
 シャーリーに明るい声音でイーハトーヴが誘えば、猫はじっと彼を見上げて──その尻尾が揺れている。これは良いということだろうか。リールにも落ち着いた声で誘ってみればシャーリーを窺うように、しかし近づいてきて。
 ころりと毛糸玉をそれぞれへ転がせば2匹は一目散。一生懸命に毛糸玉へ飛びかかり、じゃれる姿は言葉にならないほど可愛らしい。にこにことそれを見ていたイーハトーヴは不意に「……え?」と手元を──抱えているぬいぐるみ、オフィーリアを見下ろした。
「オフィーリア、君のヤキモチは可愛いけれど、ちょっと今は立て込んでいて……」
 世界の贈り物──ギフト。彼の耳には『さっきから猫たちに構ってばかりね』なんてちょっと拗ねた声が聞こえているのかもしれない。
「えへへ、どの子もすっごく可愛くて幸せー!!」
 同じように猫じゃらしを振っていたシャルレィスもへにゃりと頬を緩ませる。クロエは彼らと猫たちの様子を離れたところから見て、ゆらゆらと尻尾を揺らす。
(今のところは大丈夫か)
 クロエと同じ黒猫のリールは臆病だと聞いていたが、今は猫じゃらしに夢中のようだ。けれどここローレットは見知らぬ人間が多く出入りする場所。そしてもし仲間が構いすぎている場合は止めに入らなければ。
 イーハトーヴがふと辺りを見渡せば、シャルルは猫たちと離れた場所に。今日のことを考えれば無理もあるまい。猫じゃらしをリュカシスへ返したイーハトーヴはシャルルの方へと近づいた。
「シャルル嬢、怪我はないか?」
 先ほどは届かなかった言葉。伝えればシャルルは「お陰様で」と小さく肩を竦めた。
「まだ遊んでいられると思うけど」
「ああ。また遊びに行くけど、その前に俺のファミリアーを紹介したいんだ!」
 ほら、見てくれ! とイーハトーヴは手元のシマエナガを差し出す。シャルルが小さく首を傾げると、シマエナガも彼女を見上げてかくりと首を傾げた。
「ちっちゃい……名前は?」
「名前は……まだつけてないんだ。今度会う時までに考えておくよ」
 シャルルはそっか、と小さく頷いた。彼女の動きに甘い香りがふわりと漂い、シャルロッテの鼻腔を擽る。
 香りには得手不得手あるだろうが、彼女の香りはそこまで強く主張するものではない。それに、甘い香りは嫌いでもなかった。シャルロッテは頤に手を当てて少し考え込んで。
「この香りを覚えておけば、今後シャルルさんが同じ町に居たらすぐ分かる様になるな……今後役立つかもしれんし、覚えておこうか」
 ぼそりと呟かれた言葉にシャルルがぴしりと固まる。そんな反応に、シャルロッテは楽しそうにくすりと笑みを浮かべた。
「……暇で話し相手が欲しい時とか、ね」
「……、それだけ?」
「どうだろう。先のことなどわからないさ」
 肩を竦めるシャルロッテに、しかし何か悪さをするつもりではないようだとシャルルは小さく息をついた。視線を向ければぎゅむぎゅむと鍋に詰まった猫たちは微睡みだしたようで、イレギュラーズたちが『しー』と人差し指を口元に当てて微笑んでいる。
「……ペット探しは一件落着、だね」
 シャルロッテはゆるりと口元に笑みを浮かべ、そう言葉を漏らした。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。猫可愛い。
 シャルルも無事救助されて良かったです。ちょっぴりトラウマになりそうですが。

 またご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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