PandoraPartyProject

シナリオ詳細

メタルサーキット パルスカップレース

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●最速と最強を目指せ
 チェッカーフラッグが振られたその一瞬。
 サーキットのレーサーたちは一斉にアクセルをひねり鞭をうち翼を羽ばたかせた。
 スタートラインを駆け抜けるのは美しいカラーのバイク。雄々しき暴れ馬。金翼のスカイウェザー。その他無数の者どもである。
 それを見送った実況席の男はマイクを握りしめて興奮気味に立ち上がる。
「さあ今年も始まりました鉄帝メタルサーキット最強最速を決めるパルスカップレース!
 最速の女神の名を冠したこのレースに勝利するレーサーは一体誰なのか!
 それでは恒例となりましたルールを解説していきましょう!」
 実況マンはマイクを握ったままフリップボードを引っ張ってくる。
「当メタルサーキットのスタートラインから始まったコースは一週分の『サーキットエリア』を抜けまずは『商店街エリア』へ。レースがあろうと何ら変わらず営業し続ける剛の商人たちと住民の間をハイスピードで駆け抜けましょう。突如現われる暴れ牛や構わず通行する民間人に気をつけないと――おーっと早速クラッシュだ!」
 暴れ牛に吹き飛ばされたりその辺を歩いていたゴリラに激突したりしたレーサーが爆発四散している。
「次に入るのは『ナガヤエリア』。集合住宅が並ぶ鉄帝ナガヤストリートは一見ノーマルな直線コースに見えますが、左右から次々と現われるラーメンランナーやソバランナーたちは屋台最速のプライドをかけレーサーを攻撃してくるでしょう。ご覧ください!」
 ドーモ、レーサー=サン。ラーメン屋台をひいて高速ダッシュする忍者風のラーメン屋ことラーメンランナーが稲妻のように素早くオジギ。と同時に繰り出したスリケンが人馬もろとも切り裂いていく。そうなればグワーといいながら近隣の長屋に突っ込んで血のスプリンクラーを散らすのみだ。
「そして『最終エリア』。ここメタルサーキットに帰って参りますがここからはノールール!
 最終エリアに入ったレーサー、そしてリタイアしたレーサーは他のレーサーを直接破壊することが許されています。
 ゴールを争うライバルが、これまで倒れてきたレーサーたちが一斉に襲いかかる!
 これをくぐり抜けてこそ最強最速! パルスカップ!
 さあ、今年の優勝者は――誰か!」

GMコメント

 これまでのあらすじ
 ギルド・ローレットに寄せられたレースへの参加依頼。
 それは今春パルスカップレースをめでたく刺激的に迎えたいというスポンサーの意向と、常に新しい刺激とブームを取り入れたいというプロデューサーの意向が合致した結果寄せられた依頼である。
 魔種と戦うカオスなやつら。馬もバイクも鳥もロボもなんでもありのイレギュラーズがレースに参加すればこれ以上無い刺激になるということだ。

 レースのへの参加条件はごくごくシンプル。
 走れること!
 馬にのろうがバイクにのろうが車いすにのろうが自分の足で走ろうがなんでもありだ。
 レースは解説のとおりシンプルな『サーキットエリア』を抜けてからがある意味本番。
 暴れ牛や住民が「レース? むしろ吹っ飛ばしてやんよ」とばかりに通常営業をしている『鋼商店街エリア』を突破。店が壊れようが通行人が轢かれようが「負けた方が悪い」の鉄帝理論のもと許容されるこのエリアを駆け抜けろ。
 次に『ナガヤストリートエリア』ではシンプルな直線コースにラーメンランナーやソバランナーたちが乱入。プライドをかけて積極的に攻撃してくるだろう。かれらは日夜ヒヤトイサラリマンに対し最速でメシを届けることを誇りとする不屈の屋台引き。凄まじいほどのタフネスと執念で繰り出す攻撃はそう簡単には振り払えない。だが、振り払って進むのだ!
 最後にやってくるのが『最終エリア』。もとのサーキットへ戻ってきたレーサーたちは最後の力を文字通り違いにぶつけ合う。ライバルレーサーを殴り飛ばす爆破する銃撃するなんでもありだ。そこへリタイアしたレーサーたちも待ち構え最後のバトルとなるだろう!

 成功条件はレースの盛り上げ。であると同時に最終エリアまで半数以上が生き残ることがスポンサーからの条件だ。(最終エリアに入りさえすれば最後の一人になるまで殴り合って良い!)

 さあ、走り出せ!
 start your engine!!

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • メタルサーキット パルスカップレース完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月19日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
セララ(p3p000273)
魔法騎士
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
アニエル=トレボール=ザインノーン(p3p004377)
解き明かす者
トルハ(p3p005489)
極限インブリード

リプレイ

●駆け抜けろ! バルスカップレース!
 鳴り響くユーロビートミュージック。旗を振るレースクイーン。期待にわく観客席。
 ねずみ色に光るアスファルトの上を、無数のマシンや走行動物。不定形物体などがずらりと並んでいた。
 今から始まるレースを前に、それぞれが最終点検にあたっている所だ。
 そんな中に混じるギルド・ローレット・イレギュラーズは、今大会を盛り上げるために依頼された特別選手だ。
「フハハハハ!! レースだと!? この空前絶後の!! 超絶怒涛の!! トルハに適う馬がいるわけが!! なかろう!!」
 人生初レースで暴走してすべてを破壊した経歴をもつ暴れ馬、『極限インブリード』トルハ(p3p005489)の入場である。
 彼のたずなを引きながら観客席に手を振る『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)。
 腰に揺れるメイスがきらりと陽光に反射した。
「このレースに於いては、移動と戦闘を同時に行える事こそが重要……移動をトルハ、攻撃を私が担う人馬一体コンビに負けはございませんわっ! さあ、行きましょうトルハ。正々堂々、勝利を勝ち取りましょう!」
「フハハハハ! 馬より早い動物などいるわけが――」
「んめー!」
 『魔法騎士』セララ(p3p000273)がもふもふした羊に乗って現われた。
「ジンギスカンのジンちゃんだよ!」
「なんと冷酷な名前」
「コンディションは完璧だよ。駆けよジンちゃん! 疾風の如く! ってね!」
「んめー!」
「馬も羊も走るとかすげーなー!」
 『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)ががっしょんがっしょんいうパカダクラロボ。PAC-Automaticに跨がって現われた。
「まけられねーよな、メカパカお! なんたってこいつはこの清水ブレーメン隊のニューカマー! 期待の新星だかんなー」
「bbbbbbbb」
「よくわかんねーけどやる気だなー」
 その様子を影からじっとみつめるパカお。生パカお。
「馬に羊にメカパダカクラ……相手にとって不足はないのです」
 地面に両手をついた『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)がきりっと耳としっぽを立てて振り向いた。
「足には自信があるのです。ねこですから」
「…………」
 黙るトルハ。
 ぱっかぱっかと軍馬をひいて現われた『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)がグッと鋼の拳を握って見せた。
「目指すは優勝、最低でもゴールへ辿り着く事! 今この時ボクこそがこの街一番の暴れ牛ですからね。何も恐れず突き進みますよ!」
「ああ……馬を見ると安心する」
「?」
 首を傾げるリュカシス。
 その一方で、『解き明かす者』アニエル=トレボール=ザインノーン(p3p004377)はいつもの車椅子型移動デバイスに身体を納めていた。
 いつものというわりには拷問器具みたいにスタスターがつきホイールがレース用バイクのような形に変わっていた。
(年が明けてのお祭り騒ぎと言えば、やはりレース。しかも、このルールのあってないような物といい、依頼の要件を達成するだけでも一苦労。しかし、レースを盛り上げる事が必要条件である以上、堅実な運用は鉄帝民の肌に合わないはず……)
 ぱちりと目を開くアニエル。
「そう思ってカスタムの限りを尽くしたが……正直自分でもどうなるかわからない。原型を保ったままゴールにたどり着きたいものだ……」
 最悪バラッバラになるかもしれない。アニエル的には五体バラバラになっても元に戻るだろうが……。
「これはまたまた、鉄帝らしい催し物があったものですね」
 いつになくキラキラする『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)。
「ガチンコは望む所ですが、僕達は最終エリアまで過半数残った上でレースを盛り上げないといけません。普通に走るより難しいですけれど、それでこそイレギュラーズの受ける依頼でもありますね……」
 一通り今回の趣旨をおさらいしてから、アルプスローダーはコミュニケアバターを使ってクリムゾンスマッシュ手前みたいなポーズをとらせた。
「さて、ひとっ走り付き合って貰いましょうか!」

●start your engine
 シグナルがグリーンになったその一瞬。馬が、牛が、飛行種やスケーターが一斉に走り出す。
 だがそんな中で誰よりも早く発進しロケットスタートをきったのがアルプスローダーであった。
 火を噴き光となった車体はカーブを最高速度で曲がっていく。
 が、それに追いつく別のバイクが現われた。黒い車体にドクロのマーク。幽霊が跨がったそれは異世界のバイクライダーである。
「トンでもねえ反応速度だ。だが機動力なら負けやしないぜ。やるかい?」
「上等です!」
 二人は車体をぶつけるすれすれまで近づけると、ある種のチキンレースを始めた。
 あとを猛烈に追い上げるのはセララのジンギスカンとリュカシスの軍馬だ。
「こんなこともあろうかと、用意しておいたのデス!」
 リュカシスはポケットから画鋲を沢山取り出すと、後方の路上へとまき散らした。
 後続の数人が転倒。残りは画鋲に反応して跳躍したり飛行したり我慢したりして走り抜けていく。さすがは鉄帝のレース。
「ボクだって用意しておいたよ!」
 セララはピッと前を指さした。
 なんか『?』と書かれた段ボール箱が並んでいた。
「…………」
 馬がうっかり蹴飛ばすと、中からセララドーナツが出てきた。
「……これは?」
「たのしいでしょ?」
「うおー! やべー! 箱から蝉の抜け殻がでてきたぞ!」
 洸汰がメカパカおにのってがっしょんがっしょんいいながら蝉の抜け殻(去年のやつ)を嬉しそうに掲げていた。
 ぼうがいじゃ……ない……?
 そんな中を猛烈に追い上げていくトルハ。
「ヴァレーリヤ。攻撃は任せたぞ!」
「ええ、薙ぎ払いますわ!」
 前方の走者めがけて『太陽が燃える夜』を詠唱、発射するヴァレーリヤ。
 が、そんな中で一人、ニヒルなパカダクラに跨がる騎士が黄金の盾でそれを振り払った。
「我が名はダラナイト。実力行使とは見上げた戦魂……いざ尋常に勝負!」
 魔法弾を連射してくるダラナイト。トルハは身を固めて突っ切っていく。
 剣とメイスがぶつかり合った。
 そんな二人に頭上から降り注ぐ無数の松明。
「立ちはだかるもの、すべてもやすのです」
 両手にたいまつを持ち結んだはちまきに松明をたてたクーアが猛烈な速度で追いかけてきていた。早いっていうか恐い。
 そんなクーアを後ろから猛烈に撥ねるアニエルの車いす。
「ああ……時がみえる……」
 座っているアニエルに至っては速度にやられてガタガタしていた。
「ヘッ、さすがはローレット……しびれるぜ」
 走者の一人がニヒルに笑い、今日のレースの熾烈さに震えた。

●第一の地獄、商店街エリア
「ブモオオオオオオオオ!!」
「ぎゃあああああああああ!」
 暴れ牛に吹き飛ばされる民間人。それを平和だなーって言いながら見てる他の民間人。それらをかるく撥ねながら通り過ぎるピザ屋の馬。
 それが鋼商店街。
 アルプスローダーは不敵に笑い、小道へと入っていった。
「事前に迂回路は調べてあるのです。安全を確保し順位の調整を――ほぶっ!?」
 民家の壁を突き破って飛び出してきた暴れ牛とゴリラがアルプスローダーを撥ねた。
 そのまま大通りに飛び出してきた暴れ牛とアニエルの車いすが衝突。
 暴れ牛もカーブしようとしていたことから吹き飛ばされることはなかったが、衝撃でアニエルの車いすが派手に傾いた。
 そこを強引に突破しようとするセララ。
「お願い牛さん! 道を開けて! もしボクが優勝したら超高級なエサご馳走するから!」
『エサ!?』
「エサ!」
『……よし通れ!』
「ありが――」
 セララがビシッと敬礼をした次の瞬間。暴れ牛さんが二倍くらい巨大なゴールデン暴れ牛に追突され吹き飛んでいった。
「ブモウ!」
「こいつは! ナイトメア級の暴れ牛……!」
「ええ、間違いありませんわ!」
「えっなに知ってるの?」
 劇画調になるトルハとヴァレーリヤ。
「血が騒ぐ……それに、このまま逃がしてはくれまいな!」
「なんとか攻撃をくわえて逃げる時間を稼ぐのですわ!」
 トルハはゴールデン暴れ牛に横からタックルを加え、ヴァレーリヤもまたメイスを叩き付けていく。
「焼き肉になるのです」
 そんな人たちをまとめて火炎瓶で吹き飛ばしにかかるクーア。
「みんなもえるのです。みんなもえてなくなればいいのです! あなたも! わたしも!」
 何かのスイッチが入ったのかあちこちに火炎瓶を投げまくるクーア。店という店が爆発炎上していく……が。
「平和だなあ」
「よくあるよくある」
 鉄帝民は笑顔で受け入れた。
 燃えさかる古道具屋を突き抜けて走るリュカシスと洸汰。
「今この時ボクこそがこの街一番の暴れ牛です。恐れることはありません!」
『テッペン取りましょう、ぼっちゃん』
 言葉では無くマッスルで語り合うリュカシスと馬。
「どけどけーぃ! シミズコータ様のおなーりぃー!」
「bbbbbbb」
 言葉ではなくフィーリングで通じ合う洸汰とメカパカお。
 燃えさかる壁という壁を突き抜けていく。そして至は、ナガヤストリート。

●第二の地獄、ナガヤエリア
 ナガヤストリートはヒヤトイサラリマンのスクツ。彼らの胃袋を低コストに癒やすため瓦屋根式ヤタイキャリーマンが跋扈する。
「ドーモ、レーサー=サン。ラーメン=ランナーです」
 稲妻のごとき高速のオジギ。いつのまにか横に並ばれていた洸汰は、次に来るナルトスリケンをバットで打ち返した。
 最終エリアまでは味方。洸汰の正義に火が付いた。
「ここはオレに任せて先にいけ! ……オレが終わっても、皆のレースは、まだ終わらせちゃいけないんだ!」
 ラーメンランナーが襲いかかる。メカパカおに跨がった洸汰が、バットでそれを迎え撃つ!
 一方ヒヤトイサラリマンたちが一宿を得るべく集まるドヤホテルの列はいま、ガソリンの臭いに満ちていた。あと燃えていた。
「火をつけて逃げる。火をつけてにげる。ひをつけてにげる。ふふふ、きほんなのです。すべてもえればきっと……」
 クーアに謎のスイッチが入ったらしい。
 燃えさかるホテルを見て『きれー』とか言ってる剛胆な鉄帝民を通り抜け、ソバランナーがゆく。
 両サイドを走るのはアルプスローダーとセララだ。
「はいこちら中継車ー。レースは熾烈を極めていますねー」
 中継カメラマンのふりをしようとするアルプスローダー。
 一方で。
「もしもし? わたしメリーさん。天ぷら蕎麦三人前。急いで!」
 セララは客のふりをした。
「ワッショイ!」
 近くの民家を破壊しながら目的の場所まで直進していくソバランナー。
 そんなソバランナーを破壊しながら逆方向から飛び出してきたのはトルハとヴァレーリヤである。
「グーワーッ!?」
「アイムバック! ナガヤストリート!」
「あの牛、しつこかったですわね!」
 粉砕するソバヤタイ。回転しながら飛んでいくソバランナー。
 振り抜いたメイスとトルハの尾は炎の軌跡を引いている。
 別の道からはマシンガンを乱射するホットドッグランナー。それをマニピュレーターで展開したシールドで防ぐアニエルの車いす。
「速度にふりすぎたな。制御が……」
 内部でかなりひどいことになっているアニエルである。人間じゃなかったら吐くか折れるかねじきれるかしているところだ。いや実際かるくねじきれてるし。
「どきなさい! ボクの覇道の邪魔はさせません!」
 そんなアニエルとホットドックランナーをまとめて一喝。衝撃波で吹き飛ばすリュカシス。
『ぼっちゃん、最終エリアが見えてきますぜ!』
「いきましょう! 全身全霊! ニテ!」

●最後の地獄!
 なんだかんだで生き残った八人のレーサーたち。
 ライバルレーサーとの熾烈なぶつかり合いが最終コーナーで巻き起こる。
「ですが、僕だけは抜け駆けさせてもらいますよ!」
 スタスターからエネルギーを噴射。アルプスローダーは猛烈な勢いで走り始めた。
 追いかけるのは困難か!? 一抜けさせてしまうのか!
「あー! あんなところに反応があがるアイテムが落ちてる!」
「フッそんなことで僕は止まりません。せめて30以上はあがるんでしょうね!?」
 クイッとカーブして横道にそれるアルプスローダー。
「いまだー!」
 ジンギスカンの頭にドーナツぶらさげて加速をこころみるセララ。
 そんなセララに……。
「タダでは前を走らせないのですよ」
 クーアが手持ちの放火道具の限りを尽くしコースを火の海に変えていく。
 転倒し転がっていくアルプスローダーとジンギスカン。
 もらった! クーアが目に炎を宿して加速しはじめたその瞬間。彼女の後頭部をトルハのひづめが踏んづけた。
「めきゅ!?」
「フハハハハ! 高級にんじんを食べた私は無敵! 最後まで走り抜けるのはこの私なのだ!」
「そうですわね。美味しかったでしょう? あの下剤入りニンジンは」
「えっ……は、腹がー!?」
 あうんといって速度をおとすトルハ。
 馬上から飛び降りたヴァレーリヤは抜け駆けダッシュをしかけた。
「そう、最後に笑うのはこの私。クラースナヤ・ズヴェズダーの司祭ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカ――」
 ゴッ、と音を立てて後ろから撥ねられるヴァレーリヤ。
「絶対に絶対にリタイヤなんてするものか! 例え足が取れてもゴールまで辿り着くのです!」
「さっすが、コータ様とメカパカのライバルだぜ!」
 がきんがきんとボディを叩き付け合うメカパカおとリュカシス。
「あ、まずい。まずいな」
 その後ろから、アニエルが猛スピードで突っ込んできた。
 ブレーキとかカーブとか知らないような勢いで衝突したでかい塊に、さすがのリュカシスと洸汰も転倒。
 爆発したアニエルの車いすから、アニエルボディがばらっばらになって吹っ飛んでいった。
「くっ、それでも」
「最初に立った者が……!」
「優勝……!」
 起き上がろうとするリュカシスたち。
 そんな中で。
 アニエルヘッドがゴールラインを超えてぽいーんとバウンドしていった。
「………………えっ」
 かつて無いヘッドゴールに、観客たちが沸いた。

「今まで以上に熾烈なレースが繰り広げられたバルスカップレース! 今大会の優勝者は、アニエルさんです! 感想を一言!」
「修理にかなりかかりそうね」
 一位の表彰台に首だけ置かれたアニエルが斜め上を見て呟いた。
 余談だが、優勝賞金は修理代で吹っ飛んだらしい。

成否

成功

MVP

アニエル=トレボール=ザインノーン(p3p004377)
解き明かす者

状態異常

アニエル=トレボール=ザインノーン(p3p004377)[重傷]
解き明かす者

あとがき

 congratulation!

PAGETOPPAGEBOTTOM