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シナリオ詳細

<ジーニアス・ゲイム>後手番一手損角換わり

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●プラマイゼロに勝機を作れ
「敵は一流の騎士たちです。であるならば、定石を無視できぬ筈。
 僕らの役目は単純明快――『獲らせて獲る』!」
 灰色の髪に灰色の鎧を着込んだ老将は、集まったイレギュラーズたちにそのように説明しはじめた。
 彼の名はアワジシマ。
 鉄帝軍南下作戦部隊として長年幻想軍と渡り合ってきた将軍である。
 このあと成されたアワジシマ将軍の難解な解説を噛み砕いて説明すると――。
 幻想の鼻先に急造した簡易砦をあえて幻想軍に襲撃させ、明け渡す。
 このとき出来るだけ『良い勝負』をして敵を消耗させ、そのうえで敵の戦力が大幅に残っている状態で砦を撤退する。
 幻想兵はそれを追うことの駄目さを知っているので、まずは砦の探索と利用を考えるだろう。
 そうして砦での休憩によって彼らが回復をし終えた所を狙って逆に襲撃。彼らを砦から撤退させる。
 一見プラマイゼロに見えるこの作戦だが、相手の軍を一個まるまる戦場から隔離することができ、そうして生まれた隙間に鉄帝軍の機動部隊が鋭く割り込むというものだ。
「プラマイゼロに勝機を作る。これは『きわめて攻撃的な受け身』なのです」

●戦争の形。
 キングスコルピオ率いる新生砂蠍は幻想南部に拠点を築きさらなる侵攻をはかっている。まったく同時期に行なわれた鉄帝軍の進撃は幻想を大きくかき乱した。
 幻想軍は南北双方の軍事力の増強をはかるべくローレットへ増援依頼を出したが、鉄帝も全く同時にローレットへの増援要請を出していた。
「ローレットは『世界自体の破滅を食い止める為の組織』よ。ギルド条約がそのバックボーンである以上、時にはこういう綱渡りも必要になるのね」
 ローレットが出した結論は、『両軍の依頼を同時に受け、それぞれの依頼内容の達成することで中立を保つ』というものであった。

 そんな中、今回集められたのは鉄帝軍からの依頼である。
「依頼内容は『簡易砦を築き、襲撃された所で一度撤退し、後に再度襲撃して奪還すること』……戦闘の状況をプラマイゼロにすることだと思えばいいわ。敵戦力も味方の戦力もほぼ変わらないまま、ただお互いに時間を浪費しただけになる……それが理想よ」
 勿論、ここで使われたリソースは他の鉄帝軍が鋭い侵攻を行なうために使われる。
 敵軍を倒すのではなく『留める』ことが、最も重要なのだ。(もし倒してしまうと前線の補充がおき軍を侵攻させる隙が生まれないのだ)
「私たちは『何でも屋』よ。受けた以上は達成努力を怠らない。けれど……どういう意図かしらね。隣人を殺せという依頼ではなく、『戦いを留めよ』だなんて。もしかしたら、鉄帝にも何か考えがあるのかもしれないわね」

GMコメント

 こちらは全体シナリオ<ジーニアス・ゲイム>のひとつ。
 鉄帝サイドからの依頼となります。

 内容は幻想軍のチームを相手に『プラマイゼロの勝負をすること』です。
 こちらの消耗が激しすぎて作戦の続行ができない場合や、うっかり敵戦力をごっそり奪ってしまった場合は作戦そのものが失敗となります。

【二段階の作戦】
●第一段階
 戦争にあたって破棄された集落がありますので、そこを拠点に簡易砦をこしらえてください。
 幻想の騎士チームが襲撃をしかけてきますので、ある程度の損害を与えつつ撤退しましょう。
 このときただ負けるのではなく『どう負けるか』を決めておいてください。それが成功の鍵になります。
 相手の戦術レベルを計算に入れつつ、身長に対応のしかたを組み立ててください。

●第二段階
 幻想によって占領された拠点を奪還します。
 あえて相手の兵が回復した後に攻め込むことによって戦闘が更に長引き、それを察した相手は(このまま部下を失ってもいいことないので)撤退を選ぶでしょう。
 こうなれば作戦成功、こちらの勝利です。
 相手を撤退させるには『集中攻撃をしない』のがコツです。
 メンバーがまんべんなくダメージを受けると戦線崩壊のリスクと速度がどんどん増すので、相手も撤退を余儀なくされます。

【敵戦力】
 情報屋によってこの作戦に割り当てられる幻想側の騎士団が判明しています。

●白鷹騎士団
 幻想の武闘派貴族。冷静な戦略眼をもつ女貴族を将軍とした8人構成の部隊。

・白鷹:女貴族の将軍。白銀の剣と鎧をもち兵の指揮をとる。
・剱:屈強なガンナイフ使い。古参の騎士で白鷹に最も忠実。
・浅間:古参メンバーだが騎士じゃない。爆弾の専門家。
・輝輝(かがやき):歴戦の騎士。個体戦闘力がヤバい。黒の鎧と大剣を持つパワータイプ。
・トキ:スラムあがりの少年兵。魔法や銃器などなんでも扱える。
・能登:専属の魔術師。遠距離からロジカルな魔法によって戦う。
・谷川:部隊のメインヒーラー。色男。
・愛乃風:白鷹の姉。家長を継がないかわりに自ら白鷹の副官についた女。商人気質で交渉を得意とする。戦闘力はそれなりにある。

【戦果につきまして】
 このシナリオは成功失敗の他に『戦果』を数字判定します。
 これは幻想側と鉄帝側の有利にイレギュラーズがどれだけ貢献したかを示す数値であり、各GMが判定を行います。
 全ての対応シナリオで積み上げられた数字によって北部戦線の最終戦闘結果に影響が出る場合があります。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • <ジーニアス・ゲイム>後手番一手損角換わり完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月12日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
祈りの先
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
ヨシツネ・アズマスク(p3p004091)
剣鬼
イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)
水葬の誘い手
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵

リプレイ

●後手番一手損角代わり
 幻想北部に築かれた簡易要塞。
 攻め入るは幻想貴族の武闘派『白鷹騎士団』。
 対して守るは、ギルド・ローレットから派遣された八人のイレギュラーズたちだった。
 白いカラスが要塞の上を飛ぶ。『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)はベースボール・ノックでカラスを打ち落とすと『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)へと振り向いた。
「これでーのかー?」
「ああ……」
 まだ高い太陽の位置をみやるシャルロッテ。
 敵が飛行タイプのファミリアーを使ってきたということは、こちらに接近を気づかれても良い状態にあるか、もしくは浅はかなだけかの二通り。
 後者であれば深く考えずに戦えば済むが、優れた戦略眼をもつという白鷹騎士団にそれはない。
 そろそろ来るだろうと言って、シャルロッテは電動アシスト車椅子を大きくバックさせた。
 築いた砦は最低限のもの。スカスカのバリケードに動かないゲート。突入先を限定する程度の効果しかもたらさないが……?
「来た!」
 突然の銃声に『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)は飛び退いた。
 側面の防壁をよじ登るかたちで敵の少年兵トキがアサルトライフルによる射撃を仕掛けてきた。
 続いて浅間による爆撃。
 密集していればたちまちやられるが、集団戦において(よほど愚かで無い限り)黙って押しくらまんじゅうするチームはいない。
 戦闘開始と同時にすぐさま戦闘陣形を組み、イーフォはトキへの迎撃を始めた。
「やべぇヨ! 敵の強さは想像以上ダ! 軍師! 指示をくれ!」
 魔弾を乱射しながら引き下がりシャルロッテに指示を仰ぐ。
 しかしシャルロッテは黙って敵の様子を見つめるだけだ。
「じっとして、今回復するから!」
 『いいんちょ』藤野 蛍(p3p003861)は転倒したイーフォにかけよりメガ・ヒールを唱え始めた。
 そこへ突入してくるガンナイフ使いの女、剱。両手にガンナイフを握り込むと蛍へと飛びかかる。
 直撃をうければただではすまない。
 洸汰が割り込み、バットを水平に持って斬撃を受け止めた。
 剱はすぐさま零距離射撃に移行。
 防御の難しい攻撃に、洸汰は我慢の一択を強いられた。
「くっそー……!」
「回復はもう打ち止めよ!」
 教科書を握りしめて歯噛みする蛍。
 足の遅い彼女を庇うように、イーフォが手を引いて砦の端まで走り始めた。「おーっと少年少女。もう少し遊んでいけや」
 煙草をくわえた黒鎧の騎士、輝輝が迫ってくる。
 竜でも殺しそうな巨大剣が振り込まれる――が、飛び込み前転で割り込んだ『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が警棒と盾で受け止める。
 はじける水のように広がった盾が攻撃を一瞬だけ受け止め、それでも流しきれなかった衝撃でゴリョウの巨体を転倒させる。
「ぶははっ、勝負だ黒いの! おぇさんは手強そうだからな!」
「ンー? 俺が伝説の神兵みたいだってぇ?」
「言ってねえ!」
 立ち上がったゴリョウの棍棒打撃。それを輝輝は素手で受け止め、渋い表情のままゴリョウを見据えた。
 この手のタイプはヤバい。嘘や隠し事を見抜くタイプだ。
 ゴリョウはそれを承知で演技を続けた。
 隠し事があるのはバレるだろうが、何を隠しているかまでは分からないはずだ。

 一方で、正面のゲートから突入してきた白鷹や谷川、能登たちの攻撃に『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)は対応していた。
 白鷹の号令に伴って能登が次々に魔術の砲撃を仕掛けてくる。
 いいかげんに作ったバリケードはたちまち吹き飛び、防御していたヴァレーリヤもまとめて吹き飛んでいった。
「こっ、このくらい……!」
 ヒールの魔術を唱えて自らの傷を塞ぐヴァレーリヤ。
 『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)がゆらりと現われ、紅色の鞘から刀を抜く。
「我々はローレットの者です。本来でしたら花束片手に対面したい所ですが、本日は剣にて御免」
「ローレット……ふーん……?」
 白鷹の反応はよくわからない。無表情のままわずかに顎をあげただけだ。
 ヨシツネの繰り出す攻撃を、白鷹は盾と剣で慎重に払っていく。
 ヨシツネの狙いは浅間だったが、この場合白鷹が邪魔になる。
 そこへ谷川と愛乃風が駆けつけ、それぞれ回復と銃撃を始めた。
 『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)は谷川にマジックロープを放って牽制。
 仲間のほうへと振り返る。
「どうしよう。全然固まって行動しないよ」
「こちらの範囲攻撃を警戒してるのですわ、きっと」
 ヴァレーリヤとニーニアは小声で話し、こっくりと頷きあった。
 爆弾を次々に放り投げながら歯を見せて笑う浅間が現われた所で、ヴァレーリヤはわざと大きな声を出した。
「ごめんなさい、私もそろそろ限界……これが最後の回復ですわ!」
「みんな、砦を捨てて逃げよっ!」
 ニーニアが馬車へ飛び乗り、手を振り始める。
「何を言っている! まだだ! まだやれるぞ!」
 余裕そうにしていたヨシツネも焦りをみせ、むきになって攻撃するそぶりを見せる。
 それをヴァレーリヤが無理矢理回収し、馬車へと乗り込んでいった。
「くっそー、このコータ様も敵わねぇなんて……悔しー! 覚えてろー!」
「ちぃっ、不甲斐ねぇ! 殿は任せな!」
 盾を構えながら走るゴリョウに、トキと剱が無言で銃撃を浴びせてくる。
 一方でゴリョウたちに守られるようにして、蛍やイーフォ、シャルロッテたちは馬車に乗り込んで砦を退却した。
 ローレットは白鷹騎士団に敗れ、砦から撤退したのだ。

 ――というように、見えた。

●相手が働いているときに休め
 一転して静かになった砦を見回す白鷹。
「戦闘停止~」
「おっ、もう終わりか? 案外楽だったな」
 谷川がからからと笑うなか、トキや剱が黙々と銃の点検や次の戦闘への準備を始めている。
 かたや輝輝と浅間は砦のあちこちを周り罠がないか確かめていた。
「お嬢、罠らしい罠はありませんね」
「砦もかなりもろい。見かけ倒しだな」
「時間が無かったんですかね」
「うーん……どう思う?」
 白鷹が話をふると、能登は煙草をくわえて眼鏡の位置を直した。
「さあ。とりま別の部隊が攻めてきたときのために砦を直して利用しないとね。あと警戒」
「休まる暇がないわねえ」
 おっとりと笑う愛乃風。
 輝輝たちは『へーい』と返事をして、持ち込んだ工具や爆薬を使って砦の再利用工事を始めた。
 重いものを担ぐのを嫌がって空を見る谷川。
「今頃、逃げた連中はどうしてんのかね」

 実際どうしているかというと。
「うめー!」
 洸汰は豚汁とおにぎりにがっついていた。
「しかしあいつらホンットぱねぇくらい攻めてくるよなー、しょうがねーけどー」
「ぶははっ、戦争だからな! まあ、それに乗じてボロボロの砦で働かせるのは……流石にちょいと罪悪感を感じないでもねぇなぁ」
 その間こっちはご飯を食べて体力を回復しているというのに。
「腹が減っては戦はできぬと言いますからな! ここでじっくり休みましょうぞ」
 おにぎりを満足そうに頬張るヨシツネ。
 全く同時刻にはトキたお腹をすかせながらも黙々と鉄条網を編んでいたりするのだ。
 ほっこり顔で豚汁をすするヴァレーリヤ。
「いかにも修繕したくなるように手抜き工事をした甲斐がありましたわ」
「『砦としての機能を果たすが、防衛拠点としては物足りない』……くらいにネ」
 イーフォはあのスカスカなバリケードを思い出した。
 バリケードは本来敵側に向けて作るものなので、攻略して利用するには逆側に同じものを作らねばならない。
 素材がなければ結局その場にあるものを解体して建築しての繰り返しになるのでとっても重労働なのだ。
「その間、ゴリョウのゴハンをしっかり味わって食べるとしよウ。糧食これ即ち戦力と成る、ってネ!」
 こっちが回復している間、敵はいつくるか分からない反撃に備えて働かなければならない。
 多くの勝負ごとに見られる『勝ったときほど弱くなる』の法則である。
 シャルロッテはといえば、初戦でほぼ(外見上は)働かずに蓄積していた敵戦力の観察データをまとめていた。
「なるほど、ね……」
 シャルロッテが分析した限り、白鷹騎士団はトキと剱による奇襲をトリガーにして襲撃を仕掛けていたらしい。
 これはあくまで襲撃する側でのスタイルであって、迎撃する側になると恐らく運用が異なるだろう。
 トキ、剱は敵の接近を感知するための人員。
 浅間を中心としたトラップに誘い込み、白鷹の指揮のもと谷川、能登、愛乃風、輝輝を柔軟に運用して迎撃するというスタイルのはずだ。
 初戦において浅間にうまくダメージを蓄積できなかったのは残念だったが、なにをするか分かっているなら対応もできる。
 先述した法則でいうなら『負けたときほど強くなる』とでもいおうか。
「それにしても、今回の作戦ってかわってるよね」
 ニーニアがおにぎりをぱくつきながら語りかけた。
「本職の騎士相手に、戦果をプラマイゼロにするってさ」
「そうね……痛み分けによる歩み寄りでも模索するのかしら」
 蛍はそんな風に考えたが、当たらずも遠からず。
 戦争が終わると軍人が力をなくし国民が頭でっかちになるという。軍事国家である鉄帝において戦争の終わりは国力の著しい低下と国民の暴走を招き、ひと波超えたかとおもいきや今度はジャパンでいうところの学生運動みたいなものがわんさか起きる時代に突入してしまうのだ。
 それならいっそ戦争が地味に長続きしてくれたほうが良い……と考える軍人もいるらしい。
 おにぎりを食べ終え、ぱちんと手をあわせるニーニア。
「ともかく! どっちも死人が出ないような作戦だし、喜んでやるよ! 僕は幻想も鉄帝もどっちの国も良いところがあって好きだからね」
「ぶはは! まあそういうことだな! そんじゃひとまず……」
 ゴリョウは料理セットを馬車に片付けると、警棒を握って口元をぬぐった。
「リベンジと行くか!」

●プラマイゼロの勝機
 直接戦ってみて分かったことだが、白鷹騎士団はかなり強力な武闘派貴族だ。
 こちらの搦め手にもある程度対応し、何かしら作戦があることも見抜いている様子だった。
 それでも『対応せざるをえない』というのが作戦というものである。
 将棋でいうところの『詰めろ』だ。
 プロであれば尚のこと、ある一定の法則で動き、動かされてしまう。
 ガラガラの砦を占拠した以上補修のために働かざるをえず、戦闘のダメージは蓄積する。
 イレギュラーズが戦力を隠していようと居なかろうと、白鷹騎士団は初戦でカードをオープンにした以上対策されるのをふまえて作戦を練らねばならない。そして隠したっぽいことが分かった以上、カウンターは狙えない。
 もはやこれは、『約束された不利』なのだ。
「フフーフ……ハメられたかな?」
 不利にもかかわらずニヤリと笑う白鷹。そこへ、満を持してシャルロッテたちの部隊が押し寄せた。
 シャルロッテは車いすにのったまま、エスプリ効果を発揮しつつ神子饗宴を発動。残るスタミナを回復と付与効果の維持にあて、仲間たちをけしかけた。
「さて、行こうか」
「おれたちはココで終わるタマじゃナイってコト、見せてあげないとネ!」
 イーフォは初戦とはうってかわってしっかりした足取りで砦へと突撃。
 バリケードの裏から仕掛けてくるトキの射撃を水の魔力を展開して払いのけると、虚無のオーラに変えてバリケードへもろとも叩き付けた。
 吹き飛ばされるトキ。
 そこへ追撃するかと思いきや、洸汰とヨシツネは直線コースを迂回するように砦側面へと攻め込んでいく。
 トキと浅間が顔を見合わせた。
「地雷の位置がバレてる」
「おや? おかしいな」
 浅間は低く唸ってから、拳銃を抜いて物陰に隠れていた鼠を撃ち殺した。
「すみません。バグをつけられました」
 一方、眼鏡の端をとんとんと指で叩く蛍。
「ご苦労様。ごめんね。ここからは――全力でいくから」
 走り込んだ蛍は靴底でブレーキをかけながら腰の後ろにさげていた国語の教科書を抜いた。ブックバンドを解いた途端にあふれ出す回復呪文の光を、蛍は澄んだ声で読み上げていく。
「あの眼鏡ちゃん、やーっぱ能力隠してたじゃん」
 能登は眼鏡のブリッジを中指で押し上げると、空中に無数の幻影蝶を生み出した。
 それらを一斉に蛍めがけて発射。
 ――対して、洸汰がダッシュ&ブレーキで間に割り込み、握ったバットをぶん回す。
「オレだって、ただの壁じゃあないもんねー!」
 飛来した幻影蝶を次々に破壊し、ニッと歯を見せて笑った。
 その左右を抜けて走って行くヴァレーリヤとヨシツネ。
「先程は失礼しました。詫びと言っては何ですが、今度こそ我が剣の冴え……披露致しましょう」
 刀を抜くヨシツネ。
 バリケードの裏にいた剱たちは何かを察してその場から飛び退いた。
 なぜならば。
「『主よ、天の王よ。この炎をもて彼らの罪を許し、その魂に安息を。どうか我らを――』」
 ヴァレーリヤの握ったメイスが太陽のように輝き始めたからだ。
「『憐れみ給え』!」
 吹き上がった炎が大地を走り、バリケードを破壊して行く。
 そのラインを突き抜けるようにヨシツネが跳躍。
 割り込んだ剱のガンナイフへと刀を叩き付けた。
 反撃に繰り出されるもう一丁のガンナイフを鞘で受け止め、ハンサムな口角を上げてみせる。
「お嬢、こりゃ一杯食わされたパターンじゃねえ?」
 輝輝は巨大な剣を握りしめ、ずんずんと突進してくる。
 それに対抗するのはゴリョウだ。
「悪ぃな黒いの、オメェさんはここで俺と踊ってもらうぜ!」
「おーおー、元気じゃねーの」
 目を見開いて笑うゴリョウ。対する輝輝は深い歴史を感じさせる渋い声で笑った。
「俺の踊りはちょいと粗いぜ」
「経験済みだ。ぶはは!」
 大上段から打ち込まれた剣を、ゴリョウはがに股で踏ん張りつつ盾の衝撃拡散で防御した。
「あらあら。敵さん元気ねえ」
「感心してる場合かよ」
 拳銃で牽制する愛乃風。同じく谷川。
 ニーニアは防壁の上を飛び越えると、地雷を踏まないようにしながら真っ赤なハガキを投擲した。
「そこの色男さんは黙って縛られてて!」
 谷川に突き刺さる直前、ハガキが紐状に展開して谷川の腕と近くの木材に巻き付いた。
「お嬢、これやべえって!」
「はいはい――」
 焦る谷川に、白鷹は握り拳を頭上で回すサインを出した。
「みんな撤収!」

 白鷹騎士団の撤収は素早かった。
 元からそうするつもりがあったのかと思うほどテキパキと撤退し、砦も撤退方向だけ簡単に崩せるようにしてあった。
 だがこれにて任務完了。砦をとられて逆にとって、撤退した白鷹騎士団は戦力を整えるために一度休憩せねばならず、その間に別の味方がそのエリアを抜けていくという寸法だ。
「ふーぅ、やれやれ……お?」
 終わってみればこんなものかなとあたりを見回していたゴリョウが、置き去りにされた便箋を拾い上げた。
 裏返してみると白鷹騎士団のスタンプが押されている。

 ――『お上手な豚さんたち』へ。
 ――とっても素敵な戦争でしたわ。
 ――私たちったら何も戦果をあげずに元の場所に戻っただけだなんて。
 ――けれど誰にでもつく組織が有能なのは私たちにとっても利益のあることですわ。
 ――次はきっと、こちらから依頼させて貰いますわね。
 ――愛乃風より

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 作戦成功!
 鉄帝側に戦功点が入りました!

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