シナリオ詳細
<Phantom Night2018>黄昏マスカレヰド
オープニング
●
ねえ、貴方は知っている?
今日は不思議のファントムナイト。
おばけたちのマスカレヰド。
誰からも忘れられたその星の湖にかかる一夜の魔法(マジック)。
星を閉じ込めたそこはダンスフロア。
夜空に波紋を広げながら踊れば貴方もおばけの仲間入り。
ディンドンダンドン、ディンドンデオ。
ディンドンダンドン、ディンドンデオ。
影絵のジャッカランタンも踊りだす。
ディンドンダンドン、ディンドンデオ。
ディンドンダンドン、ディンドンデオ。
見知らぬマスカレヰドのあの子と手に手をとって。
だけど気をつけて。
ここはおばけのくに。
たった一夜のおばけのくに。
マスカレヰドをはずして真実を確かめようとすれば。
あっという間に湖に飲まれてしまう。
死者の国に連れて行かれてしまう。
今夜は誰も貴方のことをしらない。
あなたも誰もしらない。名もなきおばけの冒涜的な夜。
- <Phantom Night2018>黄昏マスカレヰド完了
- GM名鉄瓶ぬめぬめ
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年11月08日 21時40分
- 参加人数30/30人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
リプレイ
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ディンドンディンドン。影絵のジャッカランタンが影絵の楽器をもちだして。
ダンスの音楽が湖面に波紋を広げていく。
今宵、幻霊(ファントム)の夜。キングが降り立てば星の湖はダンスホールに早変わり。
だけど約束は忘れないで。貴方が誰かとわかったら、秘密の夜からは追い出されてしまうのだから。
「一緒に踊っていただけませんか?」
南瓜の花の仮面の魔女は白い手を伸ばして吸血鬼のナイトのエスコートを受けます。
「これは麗しい魔女のお嬢さん、喜んで。忘れ得ぬ夜にご招待いたします」
吸血鬼のキラキラ煌くマントの星は足元で煌く星々と同じほどの美しさ。魔女はそれに飲み込まれそうになります。心の高鳴りを見せないように慎重に、足を進めます。
「貴方の心を虜にすることでしょう」
吸血鬼は微笑みました。ディンドドダンドン。星の湖に波紋を重ねて。ディンドドダンドン。夜に出会った二人は踊ります。けれどその魔法の時間はいつかは終わります。
だから。
「この魔法が溶けぬように」
吸血鬼は魔女の白い首筋に『印』を刻みます。
「そんな、呪いをかけられて、解けるわけないだろう……!」
「誰が踊っているのかもわからぬならば、好きに踊っても文句はいわれまい」
仮面の魔王は仮面の勇者を誘います。
「そうだね、まあいいや。未来の絶世の美女と踊ろ?」
踏み出す星のホールは勇者も魔王わかりません。だけれどもふたりは仮面を落とさぬようにと。
その自らに定められたその『役割』も忘れて踊ります。
「踊りというのは余り経験が無いからな……興味深い」
魔王はどうやらダンスは得意ではないようです。勇者は微笑みます。
「興味ぶかい、じゃなくて! 楽しいときは楽しいっていうの!!!」
だってこの瞬間は二人だけのもの。楽しくないなんていわれたら悲しくなってしまいます。
「そうだな、楽しい、と言えるか」
魔王は自分では不思議なほどこの時間を続けたいと思います。
其の答えに勇者は声をあげて笑うのでした。
銀のベネチアンマスクのロングコートの青年は見よう見まねの不器用なステップ。
花模様のベネチアンマスクの姫君にアンドゥトロワと唱えてステップを教えます。それが正しいのかどうかなんてはわかりません。つないだ指先がいつもより熱く感じます。
波紋の音とリズムとビターなステップ。いつしか不安そうな姫君の口元がゆっくりと上っていくのをみた彼はこれでいいのだとわかり、彼もまた広角をあげたのに、彼はきづいたのでしょうか?
「こんな感じかしら?」
「ほう、それらしい動きではないか」
「ねえ、リュグナーさんにはここの景色、どんな風に見えるの?」
其の瞬間。ぽちゃんと音をたてて、波紋のステージは夜の静かな湖へ。名前を呼んではだめ、魔法がとけるから。
「夜空に浮かぶダンスは終わりか。こういうのを綺麗というのやもしれないな」
月光にしずくを煌めかせながらキョトンとした顔の姫君を見て、彼はそういいました。
黒い金魚は狼に身を寄せます。
無骨なリズムは宙空に抱かれ一つにまざり合っていくかのよう。
星を踏むのは黒い金魚かくろい狼か。
曖昧模糊にくるくる回ります。金魚も狼も幻影細工の影絵のように。
香るダチュラは懐かしい思いを呼び起こします。
くるりくるりと回る世界は星の万華鏡。ステップごとに違う世界が見えます。
流星も、ジャッカランタンも。
ふたりを中心にまわりだします。それは二人を祝福するようで。
あのひとがぼくでぼくがあのひと。
そんなふしぎな幻霊の夜は終わらない。くるくるくるくると。
ああ、願わくば。ましろの太陽がこの夜を追い払わないように。
叶うことのない願いだけれど。それでも願いたいとどちらがおもったのでしょうか?
「こういう踊りは初めて?大丈夫よ、仮面さえ外さなければ転んだって良いのだから」
赤ずきんは片目をかくしたドラゴンさんの手をひき波紋を重ねながらダンスホールに足を踏み入れます。
「俺と踊っていだたけますか? ……というか、むしろ踊ってくれ、頼む」
ドラコンさんがお願いすれば赤ずきんはリードします。
現と隔離されたそこは幻想的で赤ずきんは嬉しくなります。
「夜が明けるまで長いのだから、ゆっくりやりましょう。そうじゃないと私も疲れてしまうから」
赤いスカートがふわりと広がります。
ドラゴンさんはお礼をいいました。波紋と星、宇宙の中で踊るようなその光景に胸がたかなったドラゴンさんは言いました。
「キレイだな、ここ。あぁ……アンナはキレイというより、可愛い?」
ぽちゃん。
幻想から現実へ。そこは静かな夜の湖。
「もう、名前をいっちゃだめでしょう?」
まるで御伽噺の中にはいったよう!
魔女の少女は怪物の少女の手をとり星の中に飛び込みます。
怪物の少女は仮面で顔のわからない少女に話します。星の夜が開ける前に一つだけ。
それは後悔の物語。無知だったから失ったその、後悔を。
魔女は話します。それは希望を得た病弱な少女おお話。少女は外の世界で飛び出して。そして竜の女の子と仲良くなり数々の出来事を体験しました。少女は竜の勇気にいつも励まされてきました。
そんな竜はとても強いのに、自分をおいて飛べばもっといろんなところに行くことができるのに。自分に歩幅をあわせてくれました。そんな優しさが少女にとっては憧れだったのです。
怪物の……竜の少女は其の言葉に救われます。星の湖に一つ真珠がこぼれました。
竜は感謝と、そして友達になってほしいと少女に伝えました。
少女は嬉しそうに首を縦に振ったのでした。
黒い狐の仮面の男は口まで覆う仮面の女と星空に飛び込みます。
まるで空を飛ぶような気持ちに女はまるで少女のように顔をほころばせます。残念ながら仮面でそれはみえませんでしたけれど。
女は踊ろうと誘おうとしますが、身長差に悲しい気分になります。其の顔をみた男はエスコート役を逆にすればいいと申し出ます。其の言葉に女はびっくり。だけど今宵はファントムナイト。
そんなあべこべもまた素敵と思い手を差し出します。
男はすこしぎこちないエスコートに微笑むとその手に自分の手を重ねます。
とんと踏み出した星空は二人だけのダンスホール。
今宵だけ。わたしだけのあなたと、あなただけのわたしがいます。
緩む口元。それが相手にばれないこの仮面に感謝して。
「愛らしい白雪姫。一目見た時から、僕は貴方の虜になりました。
この美しい星空を舞台に、踊って頂けませんか?」
王子は姫にダンスの誘い。
「凄い!本当に湖の上を歩いてるね、ルー……」
おっと、魔法がとけてしまうと王子は姫の桜色の唇に触れます。かあっと姫は頬をバラ色に染めます。素直すぎる姫のうっかりの指摘に。それと唇に触れた指先に。
二人は知らない同士。それが約束。
「……はい!喜んで、王子様」
夜空の星と地上に降り立つ星(ノースポール)其のふたつを手に入れた王子は満面の笑み。姫はまるで夜空で踊っているようだと微笑みます。
「今日はファントムナイト。どんな夢でも、きっと叶うよ!」
王子の其の言葉に姫はふわりと白雪の翼(ふゆのおとずれ)をはためかせ雪を呼びます。
どんな願いも叶うなら。――すべての人々に幸いを。
そんな優しい願いをかなえるかのように、少し早い雪(ふゆのあしおと)が降り始めました。
少し早い星と雪が降る其の夜に、王子姿の少女が、白雪の髪の少女をダンスに誘います。
地面と、空とで光の花が舞い散る夜に。
「ああ、でもダンスは実はかなり苦手です!」
「誰かに見せるわけではありません。巧緻は気にせず、思うままに致しましょう」
王子の手を少女はとります。
王子は10年前にすべてを失いました。そして復讐だけが王子の生きる意味になってしまいました。
復讐だけだった王子はいつの日か、その手に失ったものではないけれどいろいろなものがあることに気づきます。そして少しだけ世界がきらきらしてみえたのです。
少女は其の言葉に淡く笑みます。王子に復讐以外のなにかがあったことに。だから少女はこういうました。キラキラしているものはもっともっとあると。
王子はそのキラキラしてものが貴方であると思いましたが口にはだしません。でもありったけの感謝をこめて、踊ります。
王子にとっても、少女にとっても今宵はそんな煌めきの一つになったのです。
「ぶはははッ、俺なんぞと踊ることになる運の悪いヤツは誰かなぁっと!」
赤鬼は3と書かれたチケットを手に嘯きます。悪ぶってはいてもこの赤鬼さんはとても真面目なのです。相手が痛いとだめだよなとスタイリッシュな、そしてどことなく色気のある赤鬼さんに変身です。
「あなたが3番?」
栗色のロングヘアのドレスの少女がおっかなびっくりに話しかけます。普段はこんなドレスは着ないのでその恥ずかしさはこみ上げますが誰かわからないのなら問題はないでしょう。
赤鬼さんは驚かせないように、真面目にダンスに誘います。栗毛のお姫様は水の上をあるけるのかと怯えますが、赤鬼さんに誘われヒールのつま先を前に出します。失礼のないように背筋をのばして。
今宵ファントムナイト。赤鬼さんと栗毛の姫は麗しく踊ります。
燃える炎のマスカレイドのキャソックの男は和装の褐色の肌の雪女と踊ります。
素晴らしき魔法の元神秘のダンスフロアで出会ったふたりは、一礼を。踊り始めた雪女をリードしてキャソックの男は感想を尋ねます。
「うーん、この着物って、始めて着たけど意外と意外と動きずらいー」
そんな色気のない感想に、男は苦笑します。あなたは? そう尋ねられた男はニヤリと口元を歪め。
「ああ、私は最高の気分さ。顔があるからね」
嬉しそうにそう言います。しかしてその仮面の下の顔は彼のものか? それを言及するのは無粋でしょう。
「ただ……魔法が解けた後にまた会う事があれば、その時はよろしく頼むよ……私の姿は様変わりしているけれどね」
そういって男は仮面の下でウインクをするのでした。
この夜を余すことなく記憶しよう。『6』のチケットを持った『彼』は解いた長い髪に顔全体を覆うスカレヰド。影絵の南瓜のおばけたちが気になって触れようとすれば、同じようにしゃがんで触れようとしていた白い少女と手が触れ合います。
その好奇心が呼び寄せた出会いに二人はどちらからでもなく笑いました。
「私と踊っていただけますか?」
「相手をしてくれるのかな? どうぞよろしく」
青年は右腕が、と差し出された手をとるのを一瞬だけ躊躇するがすでに魔法はかかっているのです。楽しまなくては意味がありません。
青年は魔法にかかった『右腕』を白い少女に伸ばしました。
「喜んで」
青年は踊ります。相手にとって幸せな夜であるようにと。
少女は微笑みます。リードなんてできないけれどとても楽しい夜になったと。
まあ、ダンスパーティなんて初めて!
ドレスと花飾りでめいいっぱい飾った花の妖精女王は目の前の白い怪盗に微笑み、優雅なカーテシー。
白い怪盗は、くるりと其の場でアクロバットに空中回転。
まあ、と微笑んだ妖精女王は羽を広げて空中でくるりと回って手をとります。
盗賊の彼はその様子に面食らいながらも笑みを浮かべ踊り始めます。ジェントルに。
まるで、どこかにさらわれてしまいそう。そんなふうに嘯く女王に怪盗はどこへでもと嘯きます。
でも時間はあっというま。
ありがとう、ぎこちないジェントルな怪盗さんと女王がお礼をいえば怪盗は苦笑する。その表情がとても可愛らしくて、女王はこころの中で其のほうがよかったのに、と微笑むのでした。
黒猫男爵は声すら変えて、ダンスを楽しみます。
「シャル・ウィー・ダンス? 良かったら俺と踊っていただけないかな?
素敵なヴァンパイアさん」
渋い声で誘えばヴァンパイアの女は
「私のステップは結構激しいわよ? 振り回されない程度に覚悟してついてきなさい」
と、艶やかに笑う。
「これは大変な相手だ」
黒猫男爵は不敵な笑みを浮かべて踊り始めます。
ヴァンパイアの女とて久々のダンス。少しは足がもつれたけれど優雅に踊ります。とても楽しいわ、と言おうとした、その瞬間に。
「ばいばい」
踊り疲れた黒猫男爵はマスカレヰドを外します。其の瞬間に魔法はどこかへ。
ばしゃんと帰るは夢か現か。
冷たい水がほてった体を気持ちよく冷やします。ああ、これは現実だと気づきます。
元黒猫男爵は天井に浮かぶ満天の、こちらは届くことのない星空に手を伸ばしながら泳いで帰るのでした。
砂塵のファントムは神々しく煌きます。仮面は無粋であるがわが美貌で卒倒させるわけにもいかぬと笑う彼の前には愚者のチケットを持った狐の仮面の絡新婦の少女。
「……ほう、貴様が今宵の相手か。我と踊れる光栄、その身にしかと刻むが良い」
男は中央に少女をひっぱっていく。
「あまり心得はありませんが、たのしめればよいのでせう?」
「そのとおりだ! しかして足は踏んでくれるなよ?」
「さあて、目の前の貴方が紳士的であれば」
傲岸不遜な態度ではありますがファントムは紳士的にエスコートします。
なんだかんだで様になるそのダンスにファントムは輝きをましていきます。
「……なに、眩しいだと? やはり仮面ごときでは我の威光を隠しきれぬか…フ、フハハッ、ハーッハハハハハ!」
輝きながら笑う男の前で少女は仮面をはずしました。当然少女の魔法は溶けてしまいます。
一瞬だけみえた相手の顔。そして一人になるファントム。
「ふむ、随分と美しい少女だったな。これは振られてしまったのかな?」
少女はクスクスと笑いながら湖を泳ぎます。
濡れて帰るのもまた一興。
最後の最後まで楽しむ。それが少女のモットーなのだから。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
マスカレヰドに参加ありがとうございます。
今回のルールとしては相手に誰かと知られないことになります。
かぎかっこ付きで相手の名前を呼んだ方は残念ながら名前を知られることになり魔法が溶けました。
かぎかっこをつけずに名前を出されている方はモノローグというカタチで処理しました。
また今回はマスカレヰドの雰囲気のためにお名前は描写しておりません。
誰だかわからない、そんな時間をお過ごしいただけたのなら嬉しく思います。
GMコメント
ぬめぬめです。
不思議なファントムナイトを貴方に!
不思議なダンスフロアで夜通し踊り明かしてください。
ロケーション。
某ウユニ湖みたいな反射度の高い湖の湖面です。
其の日はファントムナイトの魔法で、星空を閉じ込めたような其の湖の上を波紋を広げながら
歩いてダンスすることができます。
まるで星の中を歩いているよう。
周囲には影絵のジャッカランタンやおばけも踊っています。
影絵のおばけたちには触れることはできません。
ですが、この魔法にはお約束があります。
マスカレヰド(仮面)を必ずつけること。自分が誰かを知られてはいけません。
うっかりマスカレヰドを外せばとぷん、と夜の湖に沈んでしまいます。
せっかくのお洋服が水浸しになってしまいますよ。
(あえて沈んでも構いませんが、タオルもなにも用意していないので水浸しのままお家に帰らなければいけません
一度沈めばもう二度と影絵のおばけは見えませんし、もう一度星湖のダンスフロアには戻れません。
参加概要
[1]
おふたりさまで。
其の場合は湖に入る前から手を繋いでご入場ください。
必ずお互いにID付きで名前を入れてください。(タグではありません)
[2]
おひとりさまで。
おなじくおひとりさまの誰かとマッチングされます。
どこかに【】をつけて1~7の数字をお書きくださいませ。その番号が貴方のダンスチケットです。
数字がはいってなければ同じく数字の入ってない方とマッチングします。
運悪く、もしくは運良く奇数でマッチングが出来なかった場合にはファントムキングが貴方と
ダンスを踊ることになります。
ファントムキングはジャッカランタンの頭に細くて長い針金のような体のおばけです。
紳士でダンスは得意です。
よろしくおねがいします。
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