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シナリオ詳細

再現性沖縄20XX:秋の味覚を食べ尽くせ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性沖縄とは
 そこはまるで……《沖縄》であった。
 練達の一区画に存在する再現性沖縄。さらにその一区画には翔波と呼ばれる地域が存在する。
 それは異世界『地球』よりこの世界に召喚された人々の言う《沖縄》を何か凄い勘違いして、「大体こんな感じだろう」というイメージで出来上がった魔境である。
 沖縄にはあらゆる夢がある。沖縄は食べ物が美味しい。
 そんなイメージを植え付けられた料理人たちは「沖縄こそは料理人に約束されし聖地である」と思い込み、事実翔波ではあらゆる食材が手に入る。
 そして全ての物事は料理でのみ解決され、あらゆる暴力は此処では排除される。
 料理こそ全て。料理が世界を救う。
 火と油、水と調味料に囲まれた世界こそ我が人生……それに気付かないなど料理人として愚かだし何なら皿洗いからやり直せばいい出直してこいやド素人が……その境地に至らなければ料理人としては未熟に過ぎ、究極の一皿になど永遠に届きはしない。だからこそ、街は今日も料理バトルの音が鳴り響いているのであった。

●秋の味覚
 秋だ。再現性沖縄にも当然のように秋が来る。
 当然だ。キノコにサツマイモ、お米だって秋が美味い。
 柿にブドウ、各種の秋スイーツも見逃せない。
 それらは秋らしい気候と風情の中で食べるからこそ良いというのは当然だ。
 しかし沖縄的……料理人的な視点から見れば秋らしい環境の中でこそ秋の味覚は最大限のスペックを発揮する。
 だからこそ、こうした「季節モノ」の料理は己の腕を磨く絶好の機会なのだ。
 『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)もそう思ったからこそ、この秋に再現性沖縄へと降り立っていた。
 あちこちの料理屋で「秋の味覚始めました」と書いてあるのは、まさにそうした己の腕を磨き去年の自分にも打ち勝つための、そんな宣言だと言える。
「いつだって料理は己の戦いだ……さらに磨かねば」
「わかる」
「大体わかるけど誰だ?」
 サイズが言いながら振り向くと、そこにはゴブリンが立っていた。そう、シェフ服を着たゴブリンだ。
 勿論ただ着ているわけではなく、しっかりと洗濯された衛生面に気を付けた正しい着方だ。
 こんなことを出来るのがただのゴブリンであるはずはない……そう、再現性沖縄独特のクッキングモンスターだ!
「聞かれたなら答えよう! 俺はゴブリンシェフ! 秋の深まるこの季節、サツマイモを独占して全部焼き芋にするべくやってきた!」
「相変わらず微妙な悪事だが……それが此処にいる、ということは」
「その通り! なんか適当に目についたから勝負だ! 俺たちが勝ったら此処のサツマイモは全部焼き芋だ!」
 俺たち、の名乗りの通り。ゴブリンシェフの背後には7人のゴブリンたちがいた。
 なるほど、ゴブリンシェフ8人衆といったところか。彼等に対抗するにはサイズも仲間を集めなければならない。
 そう、ゴブリンシェフ8人衆を料理で倒し、沖縄の秋の味覚を守るのだ……!

GMコメント

料理人の皆様、再現性沖縄<アデプト・オキナワ>へようこそ。
え? イレギュラーズ? そんな肩書此処じゃ牛脂1つ分の価値もありゃしないぜ!
そんな感じです。

今回は秋の味覚です。秋らしい料理を作ってクッキングモンスターを天高く吹っ飛ばしましょう。
今回の相手は「ゴブリンシェフ8人衆」。
どうやら全員で焼き芋を作るようです。8人いるんだからもうちょっとさあ……。

●翔波
 再現性沖縄20XXに存在する料理バトルの街。
 何かあれば料理で解決する料理馬鹿の聖域。
 ローレットのイレギュラーズの皆さんは料理人として参入することができます。
 此処では全てのステータスは無意味です。武器は振ってもハリセン程にも通じず、ギフトもスキルも無効化されてしまいます。
 ただし、相手より美味い料理を作れば大ダメージを与えて海老ぞりで大空に吹っ飛ばすことができます。
 相手の料理の方が美味ければ自分がそうなるってことですよ。
 なお、必要な食材や調味料は「基本的」にはその辺に生えています。
 豚肉の木とか砂糖の実とかあります。超怖ぇ。
 幻の食材と言われる類のものは特殊な場所、あるいは状況でしか存在しなかったりします。
(逆転が必要なシーンで偶然見つかったりするかもしれません)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はRです。
 料理には常に想定外が付きまといます。
 プライドなんてミキサーにかけて飲んでしまいましょう。
 ハヴァナイスデイ。

  • 再現性沖縄20XX:秋の味覚を食べ尽くせ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
葛籠 檻(p3p009493)
蛇蠱の傍
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
レイテ・コロン(p3p011010)
武蔵を護る盾
安藤 優(p3p011313)
君よ強くあれ

リプレイ

●秋の味覚を作ろう(前編)
「ヒェッ!? で、出たあああ! トンチキモンスターだあああ!」
「よお! 前哨戦ってことでどうだい?」
「……エッ、焼き芋? なあんだ、焼き芋ですか。料理っていうか、焼いただけじゃないですか。これなら勝てそうですね。どれ、ちょっと試食でも――」
 ――その日、安藤は宇宙誕生の瞬間を見た。
焼き芋は「ただ芋を焼いただけ」? とんでもない。焼き芋とは、芋料理の原点にして頂点。原初の宇宙から今に至るまで愛される料理なのだ。
 その美味さ、まさにビッグバンが如し――!
「お、オアアアアア!?!?!?」
 イメージ上の演出のビッグバンに巻き込まれながら『君よ強くあれ』安藤 優(p3p011313)が吹っ飛ぶが、再現性沖縄の料理バトルとはこんな感じである。
 ……というわけで、すっかりおなじみとなった料理バトル。『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)はすでに今日作るものは決めていた。
 そう、紅葉の形の饅頭である。
「言葉は不要か……というか多いなゴブリン……もしかして同一人物なのかな? まあどうでもいいや、秋の季節はうちの花嫁の力が最も高まる季節、味覚も良くなるだろうし、出来る限り美味しい物を食べさせてあげたい! 故に全力で頑張るぞ」
 シャキーンと音が鳴りそうな勢いで再現性沖縄の料理道具セットを装備しつつ言うサイズだが、その手つきも慣れたものだ。
「さあ、今回作るのはカスタード入りの紅葉饅頭、隠し味はメープル印の樹液と携行品のメープルシロップだ。紅葉の型は自前で用意しておく、売って無くても小型の型位は自作位なら出来るからな、鍛冶屋の強みを活かせないんじゃ料理人の強みも活かせないだろうな」
 白薔薇印のメープルシロップを取り出しながらサイズは頷く。再現性沖縄にも蜂蜜はあるが、使わないのには理由がある。
「俺は後々嫁に振る舞う為にハイスペックだけどここでしか取れない再現性沖縄産の材料は使わないようにしているが、別にいい材料=強いというわけじゃないということを示してやる!」
 なるほど、料理人としてのサイズのこだわりというわけだ。
「カスタードは加熱しながら材料を混ぜる所が大事だな、熱を制する物がお菓子を制する…焼き菓子なら特に大事だな……隠し味のメープル印の樹液はここで使おう。生地に携行品のメープルシロップを使う感じだな。市販品という縛りはあるが、その分鑑定眼で帰るもので良い小麦や卵、牛乳を見抜いて買って来たからな! これで美味しいのを作ってみせる! 精密なかき混ぜ作業は得意だよ 最後は焼き加減だな…ここでミスったらより高度な火を取り扱う鍛冶屋として恥ずかしいから丁寧に焼いてみせるさ」
 紅葉饅頭の美味しさは生地の焼き加減に大分依存する。するが……サイズはここで失敗するつもりは、微塵もない。
 さて、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が作っているものはサイズとは随分と趣が異なる。
「さぁって、食欲の秋と言えば米ありきって所を教えてやるぜぇ!」
 そう、ゴリョウが作るのはご飯モノだ。秋の味覚としてはメイン料理ともいえる定番だが、ゴリョウは一体どうするのか?
「俺の出し物は『鶏肉と茸の炊き込みご飯』だ! 秋が旬の茸を新米で炊き上げる、まさに秋の味覚と言えば! ってやつだな!」
 そんなゴリョウだが、事前に何度か来て知り合った数々の仕入れ人や料理人達から情報を得て、茸の群生地(秘境)へを歩を進めていく。なお秘境(沖縄)なので安心してほしい。
 そこからは闇の帳を下ろして不要な争いを避けつつ、料理で鍛えた超嗅覚を基に天然の茸を探し求めるゴリョウは「トリュフを探す豚さんかな?」と呟いていた。自虐ギャグである。さあ、そうして得た茸の数々は、ゴリョウが満足できるものが揃った。
「茸ご飯は香り、触感、味が米との相性がいい舞茸、柳松茸、丹波しめじの3種を中心に作るぜ。出汁はカツオと昆布の合わせ出汁。そして鶏肉はモモ肉を使う。茸を地、合わせ出汁を海、鶏肉を空として三つの旨味を一つに合わせることでまさに最強のご飯と化すのだ!」
 なんということか、腕の良い料理人は料理にテーマをこめるというが、ゴリョウのはまさにそれだ。
「茸と鶏肉は食べやすい大きさにカット。鶏皮油、塩と共にしんなりするまで炒めることで香ばしさを出しつつ旨味を閉じ込めるぜ。米は30分ほど浸水しておくことで米に火が通りやすくなり、ふっくら仕上がるぜ。合わせ出汁、醤油、みりんを加えて味を調えてから具材を広げ入れ、じっくりと炊き上げる。今回は釜炊き、おこげも美味しく食べてもらうぜ!」
 そうして完成するのは、美味しそうな香りを漂わせる完成系だ。
「さぁ食ってくんな! こいつは単体でも美味いがな、真骨頂は他面子の出し物と合わせて食うことで両者の魅力を引き立てることにある! おかずは勿論、うどんとの相性もいいぞ!」
 デザート、ご飯ときたが……『狐です』長月・イナリ(p3p008096)が挑戦するのはなんと煮物である。
 そしてイナリ、ダークバトル神輿団のアドン・サムソンも連れてきている。
 過去の依頼でローレットの光の神輿を激しくぶつかり合った事により心が通じ合い少しだけ改心したダーク神輿団(それでも市街地征服の野望は忘れていない)だが、今回はダーク神輿団再現性沖縄支部の開設の為にこの地に来ていた所をイナリに見つかり、支部開設の個人的な援助を引き換えに、今回の料理依頼で色々と協力してくれているらしい。さておこう。
「料理バトルね。秋の料理といえば……そう芋煮! 河川敷で大勢でワイワイ食べる芋煮はとっても美味しいのよね♪」
 此処は沖縄なので海だが、まあ水辺なのでそんなに変わりはないだろう。
「というわけで友(アドン)の力を借りて芋煮を作るわ。まずは全長6mの大鍋、里芋3トン、牛肉1.2トン、ネギ3500本、コンニャク3500枚、しょうゆ700ℓ、酒50升、砂糖200kg、水6トンを用意、新品のバックホー(潤滑油をバター等で代用した特注仕様)2台! 仮設工事で鍋を火にかける場所と料理人が登る足場を組み立てるわ」
 なんとも大がかりであるが、それもまた醍醐味だろう。
「水を入れて、沸騰したら里芋、次にコンニャク投入、醤油・砂糖・酒を投入よ。芋に火が通ったら肉を投入、味の調整用に再び砂糖・醤油・酒で味を調えて、肉に火が通ったらネギを投入して、ひと煮立ちさせて完成だわ。具をかき混ぜるのは料理人とバックホーを使用、鍋から出来た芋煮をよそうのもバックホーを活用するわ。さあ、これで出来上がりよ!」
 そんな3人の様子を見ていた『蛇蠱の傍』葛籠 檻(p3p009493)も、沖縄のルールを理解し頷く。
「秋の味覚――成程。つまりは調理が必要ということだな? ふむ、よく理解したぞ。調理の技能? そのようなものは神に仕える身として当然会得している、期待してくれて構わぬぞ! わはは! 美学・マエストロ・支配の指! テクニックの真髄ぞ!」
 しかし沖縄に慣れていなくても料理が出来るならば問題はない。再現性沖縄はそういう場所だ。
「それでは小生からは苹果(りんご)の砂糖煮(コンポート)を提供させてもらおうか。と言っても難しいものではなかろうよ、材料も含めて簡単なものだ。まずは苹果を切る。今回は少しだけ大きめに切っておこう。大は小を兼ねる、余ったものは後で葡萄酒とともにマリネにするので適当にザクザク、と。よし。そして砂糖、肉桂――これは粉末じゃないものだな。それと葡萄酒と水を鍋に入れて温めたのち、苹果を入れて煮る。いい感じに煮立ったら鍋からおろして粗熱を取ったのち柑橘の果汁を少々加えて冷やして完成だ」
 完成だ、とは言ったが檻はそこでは止まらない。
「そしてこの柑橘の汁と砂糖、肉桂と余った葡萄酒を別の鍋に入れてひと煮立ちさせて酒精を軽く飛ばしたこれに薄切り苹果と葡萄を和えてこっちも冷蔵庫で冷やして、と。これでフルーツの赤ワインマリネの完成だ。似たような味ではあるが好きな方を食べていただくとしよう。酒精をしっかり飛ばしたほうが良ければ砂糖煮、そうでないならマリネの方を食べてくれると嬉しいぞ。ちなみに小生のギフトなのだが――恐らく此度はうまいものを食べたら「うーまーいーぞー!」と咆哮を上げると恐らく美味への愛で光って口からビームが出ると思う。許されよ」
 ギフト「らぶ♡ふぁいあ」のことを檻は軽く謝罪するが、まあ大丈夫だろう。とにかく高レベルな料理が次々出てくるが……まだまだ攻勢は止まらない……!

●秋の味覚を作ろう(後編)
「全部焼き芋にしたとして、それ飽きんか……? いやまぁうどん専門のワシが言ったところで説得力なんぞ皆無じゃろうけど。シュガーコーティングなり蜂蜜漬けなりすれば味覚のレパートリーは増えそうじゃが……そもそもサツマイモ自体がまぁまぁ甘いしの」
 『鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人』御子神・天狐(p3p009798)がそんなことを呟いているが、まあイナリも凄い量の芋煮を作っているしお互い様だろうか?
「とはいえ此処は泣く子も黙り料理を貪り食う再現性沖縄! 目と目が合ったら勝負の合図! 調理決闘! さぁゴングを鳴らせ! 鳴っとるか! よし!」
 そんな天狐が作るのは……やはりうどんだ。
「わしが作るのは『芋うどん』じゃ! 秋の名物といえばコレじゃろうて。さつま芋を生地に練り込んだ麺でツヤのある豊かな風味に仕上がる逸品じゃ。オードソックスなうどんではなく、冷やしでつけ汁を潜らせつつ食す。涼しさに年末の到来を感じつつ、仄かに主張するサツマイモの風味が季節感あって良いぞ! まぁここ沖縄じゃがな!!」
 セルフツッコミも冴えわたる天狐だが「まぁその辺漁れば何かしら出てくるじゃろ。狙うはサツマイモ、出汁用の具材、あとは麺になりそうなもの」などと言いながら良い感じの食材を見つけてきている。
「添え物にキノコの天ぷらなんかも良さそうじゃな! カラッと揚げたサクサクの衣に包まれた秋の味覚、塩を振り掛けて食べるシンプルイズベスト。いざ勝負!」
 『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)もまた、沖縄には慣れていないながらも自分のスタイルを見つけ出している。
「ふむ。奴等が焼き芋と言うなら、オレも焼き芋で勝負しよう。但し、焼き芋から更に手を加えた品でな」
 そう……『三種の薩摩芋餡のクレープ』だ。
「まずは焼き芋だ。石焼鍋で、中火で1~1時間半くらい焼く。次に芋餡。今作った、焼き芋の皮を熱い内に向く。裏ごししてペーストにし、湯煎で覚めない様にした四つのボールにそれぞれ分ける」
 テキパキとした手際は、他の仲間にも負けてはいない。
「そして餡1段目は薩摩芋のクリーム餡だ。ペーストに砂糖、生クリーム、少量のブランデーを加え、弱火にかけながらよく混ぜる。薩摩芋粉を混ぜ、硬めのカスタードクリーム程度に粘度を増し、荒熱を冷ます。餡2段目はスイートポテトだ。ペーストに少量のバターを混ぜ込んで馴染またら、卵黄、少量の砂糖、牛乳を加えて混ぜる。ゴルフボールより少し大きめに丸めたら、表面に水で溶いて薄めた卵黄を塗り、石焼鍋で焼く。クレープ具材なので、通常より軟らかめに仕上げる。餡3段目は塩バターペースト。ペーストに少量の塩バターを加え、良く混ぜて練り込む。固さの目安は、焼く前のスイートポテトより少し柔らかめだ」
 そして次は生地作成だ。
「生地にも薩摩芋の風味が出るよう、薩摩芋粉を使用。薩摩芋粉に塩少量と水を混ぜ、溶き卵くらいの粘度まで良く溶く。フライパンを温め、塩味が増さない様に無塩バターを溶かし、薄く伸ばしながら焼く。そして仕上げだ。口にする時、薩摩芋クリーム、スイートポテト、塩バターペーストの順になる様に包んで完成だ」
 なんとも素晴らしいものが出来上がった……が、一嘉は更にもう1品作り始める。
「次は『芋皮と玉葱のかき揚げ』だ。芋餡で余った芋皮に、薄切りにした玉ねぎ、人参を加えて、かき揚げを作る」
 かきあげはうどんとも合うものだ。天狐のうどんの魅力を更に底上げするだろう。
「焼き芋は、確かに美味い。シンプルかつ、素材の味を生かした王道中の王道だろう。だが、王道だけでは人はやがて食べ飽きる。だからこそ、様々な料理が生まれる。違うか?」
 そう、まさにその通りだ。その通りなのだが……『新たな可能性』レイテ・コロン(p3p011010)はそれ以前の疑問に悩んでいたりもした。
「うん、まあ...…練達で生まれて練達で育ってきたボクが言うのも何だけどさ? 流石におかしいよ..….練達。本物の沖縄とか別世界だから見た事ないけどさ? 学校やライブラリで学んだ事が全てじゃ無くても、こんなデタラメな場所じゃない筈だよね? それにゴブリンシェフって.…..うーん、夜妖の類なのかなぁ?」
「フッ、坊や……俺たちクッキングモンスターに向き合えないと……沖縄じゃ勝てないぜ?」
「うわ、至極マトモに諭された」
 そう、それが沖縄なのでレイテには是非適応してほしい。
「無理ゲーレベルなツッコミ所はともかく。勝負のテーマは秋の味覚ってことだしボクは秋鮭にしよう。流石にボクじゃ料理人系の人達みたいには行かないけどね。でも小さい頃から家事や料理は母さんを手伝って来たから、一般家庭レベルは出来るよ」
 そう、それでもいいのだ。仲間との総合力で勝っていればいいのだから恐れず挑戦すべきなのだ。
「鮭料理..….色々あるけど簡単なホイル焼きにしようかな。じゃあまず秋鮭を三枚におろして…...次におろした切り身の小骨をとって…...軽く塩水で洗うよ。水分を拭き取ったら切り身の裏表に浅く切れ目を入れて、料理酒と塩を切り身に振って5分待機だね。表面に浮いた水分を拭き取って臭みをとったらアルミホイルを広げて...…スライスした玉ねぎと人参を並べるっと。顆粒のコンソメを軽くかけたら...…その上に三枚おろしの切り身、しめじと舞茸を乗せるね。薄くスライスしたバターを鮭の身に入れた切れ目にそれぞれ差し込んだら.…..。後はアルミホイルを閉じて、フライパンに乗せて蓋をしたら弱火で蒸し焼きにて完成っと。さあどうぞ。特に手の込んだ料理でもないけど、普通に美味しいよ?」
 さて、優は何を作るのか。
「あ、危なかった……! パンドラがなければ即死でした……!」
 ちなみにパンドラは使っていない。あくまでイメージ的な話である。そのくらい美味しく思えたのだ。流石は再現性沖縄の芋と言えようか。そんなわけで、謎のナレーションも響き渡る。
 ――人間とは、その知恵によって不可能を可能にしてきた生き物である。かつて地を這うだけの存在だったのが、空を駆る船を生み出すまでになり、そして宇宙にまでその手を伸ばすに至ったのだ。
「ぼくが作るのはサツマイモのシュガースティックです」
 それは料理にも同じことが言える。たしかに焼き芋は芋料理の原点にして頂点だ。だが、宇宙開闢の時より人間は「美味しい」を追求してきた。今なお焼き芋に匹敵する料理が創造され続けているのである!
 見よ、あのシュガースティックのシャープなフォルム!
 まさに宇宙の闇を斬り裂き未来へと進むロケットが如し――!
「え、なんだこのオッサン。料理の邪魔だろ。ほらあっち行って!」
 知らないナレーションおじさんをゴリョウが追い払うが、優はしっかり料理中である。
 まずはサツマイモを細長いスティック状に切る。
 フライパンの底1cmほどに米油を投入し、中火でこんがりとした色になるまで焼く。
 粗熱を取りつつ油をきったら、砂糖とシナモンを入れたボウルに投入してよく和える。
 この際のこだわりとしては、なるべく均一に切ると見栄えがよく、焦げ防止にもなる。
 米油の方がトランス脂肪酸、コレステロールが少ない。揚げるのではなく揚げ焼きにすると経済的。
 そして……砂糖だけでなくシナモンも投入することで風味もよくなる。
 こんなこだわりのシュガースティックも完成し、全ての料理が出そろって。
 ……まあ、当然の如くゴブリンシェフは吹っ飛んでいく。
 食欲の秋。そんな最中に、沖縄の平和はこうしてまた守られたのである……!

成否

成功

MVP

安藤 優(p3p011313)
君よ強くあれ

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました。
今回はどのプレイングも負けず劣らずでしたが……MVPは安藤さんです!

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