シナリオ詳細
<渦巻く因果>傀儡の少女に安らぎは来ない
オープニング
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この世界に存在する勇者……となる前のメンバー達と出会ったイレギュラーズ。
彼らが語ったのは、プーレルジールが滅びに面しているという事実だった。
跋扈する終焉獣。魔種もまた認知こそされてはいないものの存在している。
人間のかずも混沌と比べて少なく、旧き民も数を減らしている。
それは、この地を統べようとする魔王の配下によるところが大きい。
減った人手を埋めるべく作られたのがゼロ・クールとのこと。
ゼロ・クールの力を借り、世界を探索していたイレギュラーズの状況が魔王らに耳にも入ったらしい。
「我々はこの世界を滅ぼし、混沌世界へと渡航する事に決めた。
選ばれた世界の住民達しか『混沌世界』に渡ることが出来ないのだ。滅びに抗えるお前達を捕え混沌に渡る手助けをして貰おうか」
プーレルジールの人間でありながら、他世界……混沌やイレギュラーズについての知識を得ていた魔王の配下、四天王。
それらは旧き民の虐殺を始め、イレギュラーズを誘き寄せようとしている……。
●
プリエの回廊へとやってきたイレギュラーズ一行。
現在、魔王の配下がプーレルジールの魔法使いや近隣の住民らの命を奪わんと侵攻しているのだという。
「由々しき事態です」
淡々と語る金髪碧眼の少女の外見をしたゼロ・クール、D-011。
ビスクという名をイレギュラーズからもらい、そう呼ばれることも増えたそうだ。
「皆さんはもちろんのこと、マスターを含めてこの世界の人間を守るのがボク達の使命です」
銀の短髪の少年風ゼロ・クール、RB-10も続ける。
彼はセネシオという名を与えられ、その名が気に入っているようで自ら名乗っているのだとか。
さて、彼らの話は逼迫している。
それだけ、魔王の配下は勢いを増している。
「魔王軍の目的は、皆さんをおびき寄せる為……と見られます」
時期に滅びゆくこの世界から、魔王軍は混沌を狙っているという話が冒険者アイオンらからもたらされたという。
明らかに外の世界を認知している魔王軍。
滅びのアークを有するそれらを放置するわけにはいかない。
ビスク、セネシオが撃退を願う相手は、魔王軍四天王の1人『魂の監視者』セァハの配下。
なんでも、マドレーヌという名の黒フードを着用した少女だという。
「身体のあちらこちらが白骨化しており、アンデッドとなっているそうです」
「おそらくは体に何かの病を抱えているようです」
ゼロ・クール達はそう語るが、その言い回しをする対象が魔種となった存在なのだとイレギュラーズは知っている。
魔種マドレーヌは頭蓋、骸骨の姿をした終焉獣と、骨の外見をした蝶の姿をしたモンスターを引き連れている。
これら全てを相手するのは、かなり骨だ。
「プリエの回廊に敵を近づけさせなければ、撃退でもよいかと」
「最大限、ボク達も援護します」
情報を確認しつつ、メンバー達はゼロ・クール達と共に魔王の配下を迎え撃つのである。
●
ゆらり、ゆらりと近づいてくる影のアンデッド集団。
オオオオォオォオオォ……。
不気味な声を発して浮遊する巨大な頭蓋、そして骸骨の姿をした終焉獣達、そして、奇怪な骨の蝶。
それらを従えていたのは、黒いフードを被った少女だ。
「セァハ様の……御心のままに……」
ふわりと低空飛行して移動する魔種マドレーヌ。
小さな体躯から寒気すら感じさせる圧のある魔力が漏れ出しており、普段はあちこちを走り回っている小動物の姿が全く見られない。
「お前達……もうすぐだ……」
オオオオオォオオオオォオ…………!
フードの中からマドレーヌが見つめていたのはプリエの回廊。
しかし、その手前にイレギュラーズの一隊が待ち構えていたことを確認し、少女は小さく口元を吊り上げたのだった。
- <渦巻く因果>傀儡の少女に安らぎは来ない完了
- アンデッドを操る少女こそが操り人形……?
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年09月29日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
(サポートPC3人)参加者一覧(8人)
リプレイ
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プーレルジールにやってきたイレギュラーズ一行はプリエの回廊そばに布陣し、襲撃してくる外敵に備える。
「魔王の配下ねぇ……。いよいよロールプレイングゲームみたいになってきたな……」
『竜拳』郷田 貴道(p3p000401)は現状について思うままを呟くと、『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が嘆息して。
「やれやれ、混沌の過去でも魔王は迷惑だな」
外の世界について認知しているのならば、イレギュラーズについても勉強しておいてほしいものだと、旅人の錬は毒づく。
敵はイレギュラーズを狙っており、メンバーは自分達を囮としてこの地への強襲を食い止める作戦に出ている。
「おびき寄せてるってことは陽動? データ取り? わかんねーな!」
『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は笑っていたものの。
「私達をおびき寄せて、混沌へ行こうとしている……?」
「罠に掛かってあげるのは不安があるのだけれど……」
『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)の言葉を受け、『優しきおばあちゃん』アルチェロ=ナタリー=バレーヌ(p3p001584)はこの作戦に懸念もあったようだ。
「上等じゃないか……、普段は狙う立場の怪盗で狙われるのはご法度なのだが……」
一方、沙耶は前向きに捉えていたようで。
「お宝(混沌)を守るためであれば、狙われる身もうまく演じてみせようじゃないか!」
そんな仲間に同調するメンバー達の中、困惑するアルチェロが気に掛けるのは、共に戦う2人のゼロ・クール……ビクスとセネシオのこと。
「……これもまた、経験、かしら」
「気負うなよ。前も後ろも横にだって俺らが居らぁ!」
すると、『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が先に2人の型を叩き、軽く激励する。
「安心なさい、2人とも。心強い子等がこんなにいるのだもの」
アルチェロもまた、おばあちゃんなりにフォローをしようと考えて。
「アナタ達は、彼らの姿から多くを学びなさいな。その為にも、決して無理はしてはダメよ。どうか、おばあちゃんと約束してちょうだいね」
「はい」
「了解です」
返事する2人の手本になることは、アルチェロにはできないと自認しつつも、その成長を見守りたいと彼女は望む。
「何か近づいてくる」
その間に、遠方を超視力で見通していた沙耶が仲間達に警戒を促す。
現れたのは情報の通り、アンデッドを思わせる一団だった。
「おーっと、コレは魔王様からのお誘いか?」
「ぶはははッ、随分と豪勢なラインナップだねぇ!」
魔王の手下に違いないと血気盛んな秋奈。
ゴリョウはそれらを見回し、豪快に笑う。
頭蓋や骸骨の姿をした終焉獣に骨の姿をした蝶。
そして、それらを率いていたのは……。
「指揮官がアンデッドね……」
鴉のファミリアーを飛ばしていた『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)は、魔種となったアンデッドの少女を注視する。
果たして少女は、自分の意思、或いはそう思わされているのか、はたまた造られた存在か……。
しばし、ウェールはその少女の境遇について思案して。
(どんな理由だろうと、他者を躊躇いなく襲える化け物にやれるのは弾丸ぐらいだが……)
身体が段々と冷たくなって、何も考えられなくなる恐怖。
それが死者ならば少なければいいなとウェールは淡い希望を抱く。
「憤怒の頭蓋……神の国の帳でも見たな?」
錬は終焉獣の片割れに見覚えがあった。
鶏が先か卵が先か、渦巻く因果がどうなっているかも分からない。
それが終焉獣のテンプレートの一つかもしれないとも錬は思考するが。
「……大事なのは既に戦ってある程度は分かってるってことだぜ!」
「まあ、なんでもいいさ、とにかく目の前の敵を倒せば良いってんだろう?」
シンプルなのは得意分野と貴道が拳を突き合せれば、戦闘の少女マドレーヌが感情のこもらぬ声で告げる。
「邪魔者は倒すのみ……」
オオオォオオオオォ……。
その態度が秋奈は不満だったらしい。
「誘うならさあ、もっとこう……あるっしょ!? 足りないなー! 上司を呼べ上司をよー!」
秋奈が騒ぐことで、進軍を止めるマドレーヌ。
これ幸いと、メンバーは戦闘準備を整える。
「折角だし、ビスクは近接戦闘も経験しときな!」
「いい機会ですね。そうします」
「結月、悪ぃが頼んだぜ!」
ビスクの首肯を確認し、ゴリョウは彼女を沙耶に託し、自らは大きな終焉獣らを壁にしてギフトを使って細身となり、気配を消して敵陣へと向かう。
「セネシオ、戦闘もだけれど、アナタには支援能力もあるのでしょう」
アルチェロもまた、セネシオへと呼びかける。
「ならば、率先して前線に出るだけが戦いの全てではないわ。一人で戦うわけではない事、仲間が常に共にあることを、しっかりと意識なさいね」
少し、お節介が過ぎたかしらと戸惑うアルチェロは、あまり言うと嫌われてしまうかもと逡巡してしまうが。
「はい、皆さんと協力して戦います」
快く応えてくれたセネシオに、アルチェロも安堵の息を漏らす。
(兎も角、彼らの良い経験になることを祈りましょう)
今は、アルチェロ自身も敵に立ち向かうべく身構える。
理外のインパルスを己の身に施す貴道も両拳を握りしめて構え、最初の一撃に備えていた。
また、そこに3名のサポートメンバーも駆けつけて。
「通りすがりのエナジー配給アザラシ見参っきゅ!」
『希うアザラシ』レーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744)がメンバーが全力で戦えるようにと身構えれば、『救い手』ヨシト・エイツ(p3p006813)や『靡く白スーツ』コルウィン・ロンミィ(p3p007390)も各々の手段でサポートする為配置につく。
「……行け。セァハ様の御心のままに」
オオオォオオオオォ……。
攻めるのに問題ないと判断したマドレーヌが部下に侵攻するよう指示を出す。
骨の集団の接近を、錬は上空に飛ばした飛行種の式神によって確認して。
「俺達イレギュラーズがいる限り、滅びのアークが好き勝手させる道理はないってな!」
「そう簡単に俺達イレギュラーズを利用できると思ったら大間違いだよ」
その錬に同調する『約束の瓊剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)も向かい来る敵へと立ち向かう。
向こうから来るというなら、迎え撃つまで。
例え見た目が少女とはいえ、手加減などなしだとヴェルグリーズは告げる。
「ウチらイレギュラーズは常識に囚われないっての思い知らせてやるぜ」
最後までやれるってことを、私に信じさせてほしいと、秋奈は皆に呼び掛ける。
――私ちゃんらになら、きっと、それができるはずだから。
●
一度は進軍を躊躇っていたマドレーヌ。
比較的動きが鈍い配下達であることに加え、イレギュラーズの出方もあって慎重になったと思われる。
ただ、イレギュラーズにとってはそんなことは関係ない。
「取り巻きから敵を討伐していく。あはは、ウチらの定番コースじゃん!」
秋奈は向い来る敵の相手を仲間に託し、しばし様子を見る。
敵陣の侵攻がやや遅いこともあって、イレギュラーズが先手を取る形に。
絡繰兵士を式符によって鍛造した錬は自衛の手段を確保し、錬は別途鍛造した無数の木槍を向かい来る憤怒の頭蓋へと放つ。
頭蓋が錬に近づいてくる間に、ゴリョウはいつの間にかマドレーヌへと肉薄していて。
「よぉ、嬢ちゃん! ちょいと俺と遊ぼうや!」
ギフトを解除してオーク体形へと戻った彼の体が小さな体躯のマドレーヌの視界を遮る形となる。
「小さい体躯なのが裏目に出たなぁ!」
「…………」
間髪入れずに発光するゴリョウ。
思わぬ光に灼かれたマドレーヌは、視界を塞がれてしばし動けずにいたようだ。
「雑魚どもをいちいち潰すのは面倒だから」
ゆっくり進軍する相手に、貴道は疾風怒濤の踏み込みと拳撃の連なりによって大蛇の如き一閃を叩き込む。
貴道も無事ではすまぬ一撃。
だが、直線状に貴道の放ったそれに貫かれ、ボーンモスや骸骨は大きく怯んでいたようだ。
「とりま多いのがやばたんなんだわ! とりま笑っとけ!」
ゴリョウが先にマドレーヌを相手し出したこともあり、配下が散るのを懸念した秋奈が無数に鉛を叩き込んでいく。
「バラけるとめんどくちゃいしー?」
しばらくは固定砲台に専念するしかないと、秋奈は考えていたようだ。
少し遅れる形で、沙耶が敵陣に名乗りを上げて引き付けに当たる。
ボーンモスなど空を飛べる相手もおり、イニシアチブを打ち消すべくタイニーワイバーンに騎乗していた彼女は、敵の注意を頭上に縛り付ける。
マドレーヌはすでにゴリョウが、頭蓋は錬が抑えている。
それらも巻き込めればよかったのだが、それ以外を多く捉えたなら上々だろう。
移動がおざなりになれば、後は範囲攻撃の的。
「敵の種類が多いけれど、一つずつ順番に対処していくね」
ヴェルグリーズはボーンモスを優先して捕捉し、極限の集中状態に自らを置いてから激しく敵陣を攻め立てていく。
敵陣はうまく纏まっており、ヴェルグリーズ自身の散弾も敵を牽制できている。
今ならと考えたヴェルグリーズは、ゼロ・クールの2人へと呼びかけて。
「協力をお願いしていいかな」
それぞれ傍についている沙耶、アルチェロの同意も受け、ヴェルグリーズの要望に応えたビスクとセネシオも立ち回る。
とはいえ、前に出すぎるわけにはいかないと判断したビスクは一旦、弓を射て援護射撃を行う。
セネシオは攻めの波動を発してメンバーを支援強化する中で、アルチェロも号令を発して仲間の力を高める。
同時に、彼女は閉じた聖域によって自らを包み、いつでもセネシオを庇えるよう身構えていた。
「悪いが害虫も死にぞこないにも遠慮する気はないぞ、俺は」
サポートメンバーも戦闘を始めており、コルウェンはボーンモス、骸骨に纏めて鋼の驟雨を降らす。
ヨシトはヒーラーとなり、頭蓋が噛みつく錬に大天使の祝福をもたらして傷を塞ぐ。
また、傍にいたレーゲンはアタッカーとなるメンバーの中でもエナジー消費が大きなメンバーから女神の口づけによってその補填を行う。
(レーさん豆腐アザラシだから、絶対前には出ないっきゅ……殴られると痛いっきゅ)
その援護をもらったウェールは前線の敵に纏めて捉える。
「必殺だから死にぞこないにも安心な永眠剤だ! ダースで持ってけ命泥棒!」
銃を具現化したウェールは銀色の銃弾をさながら通り雨のように降らす。
ウェールの攻撃を浴びた異形の中には、早くも全身に亀裂を走らせた者もいたようだった。
●
うまく敵の出鼻をくじいたイレギュラーズは、そのまま一気に敵を切り崩しにかかる。
頭蓋の攻撃が仲間に及ばぬよう、錬はそいつを仲間から引き離す。
他の敵は比較的固まり、メンバーと激しい攻防を繰り広げる。
「飛ぶなら飛びな、追いついてやるよ」
その最中で、危機を察したボーンモスが羽ばたこうとするが、空気を蹴りつけて飛び上がった貴道が許さない。
「残念だったな、そこもミーのテリトリーだ」
飛翔仕掛けていた敵に貴道が再度大蛇槍を撃ち込み、2体のボーンモスの体を完全に破壊してしまう。
遠慮なくコルウィンが全力でプラチナムインベルタを撃ち込み続け、秋奈もまた集中して。
「ゆーて、私ちゃんしか勝たんっしょ! まとめてぶっとべー!」
広範囲に散弾を発し、さらに2体のボーンモスの体を砕く。
他の配下は数人て引付を行っていた。
例えば、ゴリョウなどは金銀蓮花の炯眼で睨みつけ、配下どもを自由にさせない。
そこに、ウェールもまた銀時雨を撃ち続け、羽ばたこうとした残りのボーンモス2体を撃ち落としていた。
次なる敵を捕捉する前に、ウェールは鴉を使ってゼロ・クールの様子を観察する。
2人とも傍に仲間がついており、いずれも前に出すぎぬよう援護、支援してくれていた。
順調に交戦を進めるイレギュラーズを、セネシオも波動を使った支援の合間に、重火器で援護射撃する。
次なる狙いは、傀儡の骸骨。
精一杯頑張るセネシオを見守るアルチェロもそいつらに立ち向かう、
主にアルチェロはタンク役のゴリョウや錬らを優先して強化魔術を施し、天使の歌を響かせて癒しももたらす。
仲間やゼロ・クールらの手厚い支援を受け、噛みつき、奇怪な笑いを浮かべる骸骨もメンバーは攻め崩す。
錬は怪しい眼光を発する骸骨に向けて投げつけた式符は五行の力によって災厄をもたらし、その終焉獣に滅びを与える。
残る敵を捉える練がまた木槍をいくつも飛ばし、気を引いた骸骨達へとさらにメンバーが仕掛けていく。
敵の数が徐々に減ってきたことで、沙耶は共闘するビスクの方へと骸骨を近づける。
「こいつ中々歯応えがあるな……っ!」
すでに1体を倒しており、だいたいの敵の力量は沙耶もはかってはいたが、ここは演技してビスクが手助けできる余裕を作る。
その目的は、ビスクに近接戦に持ち込まれた際の対処経験を積ませる為だ。
沙耶の望み通り、ビスクは片手剣を使って骸骨に切りかかる。
タイマンだと終焉獣に分がありそうだと判断するメンバー達が牽制する中、沙耶も特殊支援を行う。
それもあって、ビスクは鋭い一閃で骸骨を切り伏せる。
ゴリョウも満足気に頷いていたようだ。
戦況を逐一確認する沙耶はもう1体の骸骨が暴れていたのを、ウェールが攻め落とすのを確認する。
顕現した銃で頭を撃ち抜いたウェールは呪いの言葉を吐きかけようとしていたそいつを仕留めてみせた。
「次に憤怒の頭蓋だけれど……」
ここまでは順調な展開と見るヴェルグリーズだが、相手は厄介な攻撃を多数仕掛けてくる相手。
こちらも最大火力で一気に撃退したいとヴェルクリーズも歯ぎしりを立てる敵目掛け、両刃の刀で大きな頭蓋へと終焉を刻み込もうとする。
さらに、残像を伴って不気味な終焉獣をスピードで攻め立てるヴェルグリーズだ。
「あ、てか、終焉獣も魔種まとめてフェスるって? 私ちゃんもまぜろー!」
秋奈が飛び込んで残像を展開し、2本の緋い刀を振るって頭蓋へと一気に斬りかかる。
「ふむ……これほどデカけりゃ、ヘッドショットもしやすいな」
コルウィンもメンバーの攻撃の合間を縫い、頭蓋に魔弾を撃ち込む。
「…………」
ふわりと浮かび上がろうとした頭蓋の動きを察知し、錬はその口の中へと式神を突っ込ませる。
粘着剤を素材とした式神とあって、口を封じてしまう。
一時的なものだが、躊躇わせるには十分。
錬はすかさず式符より鍛造した斧で頭蓋を粉砕しようとする。
「OK、歯はあるみたいだな、そいつは何よりだ、大事にしろよ? ぶん殴られた時、食いしばれねえからな!」
さらに貴道が嵐の予兆を思わせる構えをとる。
貴道は無数の拳を打ち込み、衝撃を浸透させることで頭蓋をボロボロにして。
そこで、携行品を使うウェールが雷の如く迸る一発で頭蓋を砕いてしまう。
なおも、ウェールは銃撃で残る魔種マドレーヌを攻め立てる。
「おぅ、これにて仕舞いってわけだ。結局『何もできんかった』な?」
「…………」
マドレーヌは配下が全て倒されたというのに、ゴリョウの煽りにもほとんど反応しない。
少女は淡々とした態度で襲い掛かってくる。
目くらましの光から立ち直った少女は骨の手を無数呼び寄せ、自らの守りとこちらの動きを止め、体力を奪ってきた。
体力はある程度のところで維持していたゴリョウだったが、手数を生かした魔種の攻撃を食い止められず、パンドラを砕くことに。
「『プリエの回廊』には行かせる気にはなれないなあ!」
仲間のおかげもあって今しばらく攻められる秋奈は蛇の如き居合剣で切りかかり、そのまま連続攻撃を浴びせかける。
「カンペキつよつよ秋奈ちゃんにまかせろー!」
そんな秋奈に続こうとするゼロ・クール達。
メンバーの言う事に従い、踏み込みすぎぬよう立ち回るが、マドレーヌはこちらの穴をつくように怨嗟の叫びを発してくる。
相手が悪いとみたヴェルグリーズがやや前に位置取っていたビスクを庇う。
アルチェロもまたセネシオを庇って自らダメージを負っていた。
さすがは魔種というべきか。気を抜けばあっさりと体力を根こそぎ奪われてしまう。
気づけば、ヴェルグリーズもアルチェロもパンドラを使って耐えていた。
「ちょいとキツいと感じたら遠慮なく下がりな!」
サポーターのヨシトが体力の減ったメンバーへと呼びかけ、サンクチュアリをもたらす。
「こんな所で崩れるんじゃねぇぞ、御同輩!」
檄を飛ばすヨシトの呼びかけを受け、アルチェロもしばし、天使の歌を響かせ、調和を癒しに変え、戦線の立て直しに努める。
さらに、レーゲンが女神の口づけで皆の力を補填していく。
「みんなジャンジャンバリバリスキル使うっきゅー!!」
万全の態勢となれば、前線メンバーも漲る力を少女へと向けて。
「ミーは差別も区別もしねえ、してやらねえ、敵だろう?」
悪党に老いも若いもないと笑う貴道は、遠慮なくぶち抜くだけだと頭蓋と同様に打撃を叩き込み、内部へと幾重にも衝撃を与えていく。
マドレーヌは骨の腕を呼び出して防御を固めようとするが、沙耶が黒い顎を現して直接相手に食らいつかせていく。
「うっ……」
初めて嗚咽を漏らすマドレーヌが身を退くが、ゴリョウは敢えて追わず。
「逃げるなら、それはそれで結構だ」
「セェハ様、お許しを……!」
僅かに聞こえた歯ぎしりの音を残し、マドレーヌはこの場から退いていく。
態勢を立て直したヴェルクリーズはその背を見ながら、武器を納めたのだった。
●
ふらりとこの場から離脱したマドレーヌ。
しかし、彼女らの手からプリエの回廊を守ることができた。それに、ゼロ・クール達も。
「おぅ、お疲れさん!」
ゴリョウはすぐに、ビスクやセネシオを労わって。
「学べたかい? それだったら重畳だぜ!」
淡々とした態度の2人だが、得る物の多い戦いだったと語っており、表情こそ動かさないアルチェロだが、どこか嬉しそうに見えた。
「しかし、向こうから攻めてきたとなれば……」
本格的な動きを見せ始めた魔王。
沙耶は、そろそろこちらも反転攻勢に出る必要があるのではないかと考えるのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは多くの敵を討伐した貴方へ。
今回はご参加、ありがとうございました。
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
<渦巻く因果>のシナリオをお届けします。
『プリエの回廊(ギャルリ・ド・プリエ)』へと攻めてきた魔王の配下を撃退していただきますよう願います。
●概要
舞台は『プーレルジール』。
『プリエの回廊』の近場にまで侵攻してくるアンデッド隊の撃退が目的です。
魔王配下の四天王『魂の監視者』セァハの配下の1人、マドレーヌはアンデッドや終焉獣を率いて攻めてきます。
『プリエの回廊』に住む魔法使いを守る為にも、魔王の力を削ぐ為にも、できる限り倒しておきたい相手ですが……。
●敵
◎マドレーヌ
魔種10歳くらいの黒フードの少女。『魂の監視者』セァハ麾下のようです。
身体の所々が骨と化しており、アンデッドになっているようです。
短刀を使い、無数の骨の腕を呼び寄せ、怨嗟の叫びを発します。
余談ですが、拙作「分かつ少女に安らぎを」に出た少女がベースです。
〇終焉獣
終焉獣は全身が黒い獣で、『世界を構成するデータを食べる』ことができます。
・憤怒の頭蓋×1体
全長4mほど。人の頭蓋骨を模したような姿をしています。
直接噛みついてくるだけでなく、歯ぎしりや怨嗟の声、跳躍してからの叩き潰し、奇怪な笑いと多様な攻撃を仕掛けてきます。
呪いの言葉を浴びせかけ、周囲を浸食するのが確認されています。
・傀儡の骸骨×3体
全長2mほど。黒いスケルトンといった見た目の姿。
関節部まで滑らかに動くその様は何かに操られているかのようにも感じさせます。
直接殴り掛かったり、蹴りかかったりする他、眼光、奇怪な笑いでこちらに異常をもたらしてきます。
また、直接噛みついて相手を侵食してくるようです。
〇モンスター:ボーンモス×6体
全長6~70センチほど。ブラックモスがベースのモンスターを、マドレーヌが自身の使いやすいよう変貌させた姿です。
黒い骨で構成された蝶で、飛行も可能なようです。
原種と同様、まき散らす鱗粉でこちらの思考を惑わせ、取りついてから体力を奪ってきます。
●NPC
〇ゼロ・クール×2体
プーレルジールなる世界の案内役。
とある魔法使いと呼ばれる職人によって作られた人形です。
いずれも知識、感情を有してはいますが、物事の実体験、戦闘体験などはさほど多くなく、無茶して攻撃することもある為、援護する必要があります。
・ビスク(D-011)
ゴリョウ・クートン(p3p002081)さん命名。
「<英雄譚の始まり>異世界珍獣探し!」で同行した金髪碧眼の少女型アンドロイド。
戦闘は近接では片手剣、遠距離では弓、ドローンを使って交戦します。
・セネシオ(RB-10)
アルチェロ=ナタリー=バレーヌ(p3p001584)さん命名。
「<英雄譚の始まり>ハナに群がる黒蝶とハナ」で同行した10代前半銀色の短髪が特徴的な少年の外見をした球体関節人形。
重火器を使った遠距離攻撃の他、攻めの波動、守りの波動、癒しの波動と支援能力も有しています。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
それでは、よろしくお願いします。
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