PandoraPartyProject
砂仕掛けのブルース
――カミラ、ブルース、グドルフ。
絡み合う三人の数奇なる運命について、あなたはどれだけ知っているでしょうか。
強すぎる力と魅力によって関わる全ての男性たちの運命をねじ曲げてしまったシスターカミラ。
暴走した欲望によって関わる全ての人間のみならず己さえも破壊してしまった青肌のブルース。
そして数奇なる運命の果てでグドルフの運命を引き継いだひとりの山賊。
今回は彼ら三人の男女に焦点をあて、時系列で関係を解説していきましょう。
(イラスト:たけのこたろー)
history zero
ブルースとザントマン
(キャラクターイラスト:卯龍)
ある世界から、ブルースとグドルフという兄弟が召喚されました。
混沌で大商人になる夢を掲げ、義弟グドルフと共に名をあげようとしていたブルース。
彼らは天義を拠点に活動を始めましたが、閉鎖的な環境に隔てられ、夢破れはやくも倒れようとしていました。
そんな二人を救ったのがシスター・カミラでした。
彼女への恩義に応えるように二人はカミラのロザリオを売ることで成功し、穏やかながらも豊かな生活を手に入れました。
しかしそんな中で、カミラは密かにグドルフへと惹かれ、対するグドルフは彼女の立場とブルースの想いを慮り気付かぬふりを続けました。
しかしそれも、破綻の時が訪れたのでした。
「な、なぜだカミラ? 俺は、俺はただ純粋に……」
「私は神に身を捧げました。ですから、ブルース。私は誰かのものにはなれないのです」
――もし『グドルフ』がアプローチを重ねていてもカミラは同じ事を述べただろうか?
カミラはとても神に忠実な聖職者だ。きっと同じことを言っただろう……と思うが。
もしかしたら『グドルフ』ならば受け入れたのではないか?
もしかしたら『グドルフ』ならば頬に熱を込めていたのではないか?
~ブルース・ボイデル、シスターカミラ~
(参考SS:Blue Boy/茶零四)
言葉では納得できても心では受け入れきれなかったブルースは思考の闇へと墜ちていきました。
そんな彼に優しく声をかけたのが、『ザントマン』という存在でした。
ザントマンの呼び声によって狂気に侵されたブルースは大商人になるという夢を忘れ、カミラを手に入れるためにあらゆる手段をとる狂人『BB山賊団のブルー・ボーイ』へと変化してしまったのでした。
「解決して差し上げましょうか。なに、簡単な事ですよ……心のままに行動すれば宜しい」
「ご遠慮なさらず。さあ、身をゆだねて。己が心を解き放って」
「いいえ。これは貴方が貴方になるのです。偽らざる貴方へと。真の貴方へと」
~ザントマン~
ブルースの頭にはもはや欲しいものをどうやって手に入れるかしかない。
カミラ――ああカミラカミラカミラ。
好きなんだよ愛おしいんだだから頼むよ他の奴に微笑むな俺にだけ見せてくれ。
「俺様ぁ行くぜ。これから色々と忙しくなりそうなんでな!」
これで長年の夢が叶うのだ。そうだ、俺はずっと前から。
カミラを手に入れる為に商売をしていたんだから。
~ブルース・ボイデル~
(参考SS:Blue Boy/茶零四)
先代グドルフの失踪
(キャラクターイラスト:卯龍)
ブルースはBB山賊団を結成し、強盗品を売りさばく活動を始めていました。
それを知ったグドルフは彼を止めるべく、活動資金を奪って逃走。高飛びし、ラサへと拠点を移すこととなりました。
一方で彼を消すことでカミラが手に入ると考えたブルースは拡大した盗賊団を使い、彼の行方を探り続けます。
カミラの神隠し
(キャラクターイラスト:弌花瞠)
ブルースとグドルフの追走が続く一方で、カミラは天義にて発生した神隠し事件を調査すべく邪教徒の遺跡を探索。その最中に行方不明となってしまいました。
永遠にその行方は知れぬままになるはずでしたが、彼女は『絶望の青』の更に先、カムイグラへと召喚されていたことが後に分かっています。
グドルフともう一人のグドルフ
(キャラクターイラスト:houjoh)
グドルフは兄ブルースが商人として名を上げることを嫌ってか、己の名声を高め兄を霞ませることに執着するようになりました。
そんな中、ラサで名を上げていたグドルフはアラン・スミシーという青年と出会いました。
山賊に襲われ、妹であるカテリーナ・スミシーや仲間達を殺されたアランをなかば強引に引き取り、己の弟子としました。
(キャラクターイラスト:くずもちルー)
グドルフの弟子として鍛えられたアランは一人前の傭兵へと育ち、最後は己の復讐を果たさせるべく盗賊団の掃討作戦へと参加したのでした。
その盗賊団とは、グドルフの兄ブルース率いるBB盗賊団の一団だったのです。
見事討滅に成功したかにみえた彼らでしたが、詰めを誤ったためかアランは負傷をうけ、それを庇う形でグドルフは命を落としたのでした。
(イラスト:kiyoponmaru)
物語は、本当ならここで終わるはずでした。
しかしアランという男は自らを消し去り、名も不確かな墓の下にグドルフという男を埋葬し、そして新たに――『グドルフ・ボイデル(p3p000694)』が誕生したのでした。
グドルフという男の名声はこれからも高まり、そしてやがて、BB盗賊団のボスであるブルースの耳にも入るのでした。
(イラスト:yuyu)
history one
今はただ、愚弟を騙る男をどう料理しようか考えるべきだ。
俺に近づこうとしている罪は重いぞ──『グドルフ・ボイデル』!
~ブルース・ボイデル~
(参考シナリオ:<YcarnationS>探ろうとするもの、されるもの/りばくる)
ローレット・イレギュラーズとなったグドルフの名声は幻想を中心に広がり始め、やがてブルースの耳へと入りました。
部下からグドルフ殺害の確認を受けていたブルースは、死んだ筈である兄の再出現を訝しみました。
そして当然の如く、この二つの運命は交わるのです。
(参考TOP:ザントマン)
砂仕掛けのブルース
(キャラクターイラスト:卯龍)
ラサの悪徳商人とそれに雇われた傭兵たちによって大規模なハーモニア狩りが行われ、その中には悪徳商人ブルーボーイでありBB盗賊団ブルース・ボイデルでもある男は深く食い込んでいました。
彼が開発した『Bの首輪』はグリムルートを模倣あるいは転用して作られた特性の奴隷用首輪でした。装着された者は自我を奪われ奴隷となってしまうのです。
この大本であるブルースが重要人物であるとして、捕縛依頼がローレットへと依頼されたのでした。
ローレットは彼らの馬車襲撃に成功し、見事ブルースの生け捕りに成功しました。
その中には、グドルフの姿もあったのでした。
「ま……まち、がい、ねえ……!」
食いしばった歯から絞り出すように呟くブルー。
「ぐど、るふ……テメェ……グドルフの……!」
「ああ、そうだ。俺は『グドルフ』の亡霊だ。あいつには感謝しなくちゃな。この名前がお前を引き寄せてくれた。さぞかり寝付きが悪かったことだろうよ」
~グドルフ・ボイデル、ブルース・ボイデル~
(参考シナリオ:<Sandman>砂仕掛けのブルース/黒筆墨汁)
大いなる略奪
(イラスト:エンドウフジブチ)
ラサにて情報を吐き出させるべく監禁状態にあったブルースでしたが、襲撃した魔種の呼び声をうけてさらなる発狂を起こし逃走してしましました。
カノンの操り人形にするはずだった彼は、カテリーナから部下づてに渡っていた『信仰』のロザリオによって意識はねじ曲げられてしまうのでした。
「カノン様がお呼びです。あなたが潜伏させている全ての手勢を集めなさい。そして死ぬまで尽くすのです」
「カノン? 誰だそいつぁ、それよろオレの……オレ……オレ……の、カノン……様……?」
目をぐるぐるとさせ、口から泡を吹き始めるブルー。
驚きに開いた口が、徐々に歪んだ笑みに変わっていく。
「さすがはカノン様の魔力。こんなにも早く操り人形ができあがるとは」
男は何も表示されていない、電源すら入っていない、もう何十年も前に壊れて動かなくなったような携帯電話をかちかちとやり続けながら、『さあ行きますよ』と言って歩き出した。
が、しかし。
「ささげ、なくちゃあ……ロザリオの……信……仰……カノン様に……ロザリオが……ロザリオはどこだ!!」
ぴたりと足を止め、振り返る。
「それほどまでですか、『ヤツ』の呪いとやらは」
男は……カノン配下の魔種ブラッド・ブルームは、ため息をついて携帯を見下ろした。
~魔種ブラッド・ブルーム、ブルース・ボイデル~
(参考シナリオ:<YcarnationS>大いなる略奪/黒筆墨汁)
(キャラクターイラスト:萬吉)
『愛』と『信仰』のロザリオをさげ、立ち塞がるグドルフ。
己から『すべて』を奪った『グドルフ』という存在に食らいつくブルース。
すれ違う二人の魂は、互いを破壊し合う因縁として衝突し――そして、ブルースの敗北という形で幕を閉じたのでした。
「なんでテメェばっかり手に入れた!? おれさまの方が優れてた! それが、なんで、テメェにだけ!」
「だから奪ったってか。ええ?」
「ロザリオを返せ! そいつはおれが手に入れたもんだ! もうおれのもんだ! なんで、なんで――」
「あの女はおれのもんにならない!」
「もとからてめえのモンなんかひとつもねえ。まだ分からねえか」
「てめえのソレは『奪ったモン』だがよお、おれさまのコレは『貰ったモン』だ……その違いが分からねえか!!」
「なにも変わらねえだろうが! おれさまのほうがずっと――!」
~ブルース・ボイデル、グドルフ・ボイデル~
(参考シナリオ:<YcarnationS>大いなる略奪/黒筆墨汁)
(キャラクターイラスト: さとなか)
決着はつきました。カミラ、ブルース、もうひとりのグドルフの物語は幕を閉じたのでした。
後に『もう一人のグドフル』は遠きカムイグラの地でカミラと再会することになりますが、これは別の話となるでしょう……。
ブルース収監、そして――
(キャラクターイラスト:卯龍)
そして次の幕が、開く時を待っている……