シナリオ詳細
<YcarnationS>大いなる略奪
オープニング
●ブラッドブルームと届かない信仰
「返せ! 俺のロザリオだ! 俺のロザリオを返せ! 俺の信仰を、信仰を返せェ!」
歯茎をむき出しにするほどの絶叫が、コンクリートで覆われた部屋に反響する。
窓すらない部屋の中。
地面に直接打ち込まれた固定椅子に拘束され、青肌の男が頭を振り乱していた。
「ブルー・ボーイ……『BB山賊団』の頭目にして『Bの奴隷商人』。
もう一度聞くぞ。隠し財産のありかを言え。ラサの誇りにかけて貴様のもくろみは全て潰す」
そんな彼に曲刀を突きつけにらみ付ける傭兵。
だがブルーは自らの命など惜しくないとでも言うように暴れ、『ロザリオを返せ』とわめき続けた。
周りの傭兵たちがブルーの発狂ぶりに顔をしかめ、半歩ほど引き下がる。
「一体何だと言うんだ。とても信仰深いようには見えんが……」
「ロザリオというのは、あのロザリオで間違いないのか?」
「アラン・スミシーか。確か過去の略奪記録の中にあったが」
「いくら信仰心を高める道具であったとて、症状が過剰すぎる。これではもはや呪いだ」
「なぜたかがロザリオにこんな力を……一体誰が、どんな目的で……」
「どうでもいい。この男が起こした全ての罪に償いをさせるまでだ。まずはこいつの口を割らせて――」
刀の柄で殴りつけ、強引に情報を吐かせようとした――その時。
突如として壁が爆発。
壁際にいた傭兵は吹き飛び、かろうじて無事だった傭兵たちは魔術障壁を展開して防御。
向こうから現われた人物に、思わず目を剥いた。
赤いロングコートに靴。赤い髪に赤い目。そして縁の無い長方形タイプの眼鏡。
ガラパゴス系携帯電話をかちかちと片手でいじりながら、男は崩壊した壁……だったものをまたいで室内へ入ってきた。
外で警備をしていた筈の兵たちは全ていびつに破壊され、外の風景は血と泥でかきまわされている。
「ブルー氏。お迎えに上がりましたよ」
「な、なん、だ、貴様……俺のロザリ――」
ポケットから取り出した黒い首輪をブルーにはめる、赤い男。
何をするつもりだと傭兵が曲刀で斬りかかろうとした……が、攻撃を仕掛けるより早く腕が切断され、切断面が激しく爆発した。
爆発に巻き込まれ、壁に叩き付けられる残りの傭兵たち。
赤い男はブルーの拘束を解くと、彼を立ち上がらせた。
「カノン様がお呼びです。あなたが潜伏させている全ての手勢を集めなさい。そして死ぬまで尽くすのです」
「カノン? 誰だそいつぁ、それよろオレの……オレ……オレ……の、カノン……様……?」
目をぐるぐるとさせ、口から泡を吹き始めるブルー。
驚きに開いた口が、徐々に歪んだ笑みに変わっていく。
「さすがはカノン様の魔力。こんなにも早く操り人形ができあがるとは」
男は何も表示されていない、電源すら入っていない、もう何十年も前に壊れて動かなくなったような携帯電話をかちかちとやり続けながら、『さあ行きますよ』と言って歩き出した。
が、しかし。
「ささげ、なくちゃあ……ロザリオの……信……仰……カノン様に……ロザリオが……ロザリオはどこだ!!」
ぴたりと足を止め、振り返る。
「それほどまでですか、『ヤツ』の呪いとやらは」
男は……カノン配下の魔種ブラッド・ブルームは、ため息をついて携帯を見下ろした。
●
ラサに存在するあるバーの個室席に、あなたは呼ばれていた。
噂によればあなたを含め数人が、今回のように個別に呼び出されていたという。
その一例を示すために、ある人物のケースを見てみよう。
ビールジョッキを二つもって現われた情報屋クリムゾン13。
彼は黙ってグドルフ・ボイデル(p3p000694)にジョッキを一つ突き出すと、向かいの椅子へと座った。
「ブルーの確保、見事だった。てっきりぶち殺してしまうかとヒヤヒヤしたぜ」
「フン、あんなクソブタ絞めたところで1Gにもならねえ」
「……ああ、そういうことにしておくよ」
情報屋はジョッキを半分まで飲み干すと、テーブルにドンと置いた。
「が、悪いが新しい仕事ができた。ブルーの野郎、尋問施設から脱走しやがった」
「なんだぁ? 天下の傭兵団とやらも手前の警備はザルだってか」
「ばかいえ。厳重も厳重。鼠一匹近づけねえような場所だ。けど奴は連れ出された。施設も半分ほどぶっ壊してな」
「…………」
それほどの強さをもった存在が現われた、ということである。
情報屋は写真とメモを机に並べ始めた。
ガラパゴス携帯をかちかちとやり続ける眼鏡の男で、全身真っ赤な格好をしていた。
「ブラッド・ブルーム。『砂の魔女』カノン出現と同時期に活動を露出させた魔種だ。カテゴリーは嫉妬。物体を自由に爆発させることができ、武器にしている刀には特にその力が強く宿っているらしい。まあ、こいつにかかれば施設を爆破してまわるくらい簡単だったろうよ」
「んなケータイ依存症野郎のことなんざどうでもいい。仕事はなんだ、仕事は。ブタをぶっ殺せばいいのか?」
「いやいや殺すな殺すな。奴からは引き出すべき情報がまだあるんだ。
ブルーは生け捕り。魔種は殺せ。けどまあ……『それだけ』じゃあ済まなそうだな」
情報屋が新たに広げた資料には、無数の人間たちがラサの西側へと歩いて行くさまが記されていた。
飲まず食わずで歩き続け、どうやら『砂の都』を目指しているらしい。
こたび発生した新たなる魔種にして『砂の魔女』カノンが復活させた都である。
もし都が勢力圏となれば魔種の大量発生や滅びのアークの増大が引き起こされ、世界滅亡へのカウントダウンも早まるだろう。
「こいつらはいわゆる山賊崩れだ。
BB山賊団予備軍とでもいうのかね。傭兵にもマットウな山賊にもなれずにフラフラしてたチンピラどもさ」
よく写真を見れば、全員の首に黒い首輪がついていた。
おそらくはグリムルート。幻想種奴隷を支配するために使用されていた首輪である。
これをブルーと他の山賊たちに装着させ、新たに支配したということだろう。
「こいつらが大勢で、しかも飲まず食わずの徒歩で砂の都を目指してる。
その中心にいるのがブルーとブラッドだ」
「つまりは……この雑魚どもを蹴散らして奴らの所までたどり着けってことか」
「だな。でもってもう一個」
情報屋は指を立てた。
「ブラッドはこの山賊どもに『仕掛け』を施した。
こいつらは戦闘不能になると飛びかかって爆発し、任意の一人だけを巻き添えにする。
先行部隊が狙撃処理を試みたんだが、猛烈な勢いで走ってきて首に抱きつきドカンだったぜ。誰か守りを立てて自爆を引き受けるか、そもそも頑丈なやつが倒して回るか……って工夫があるといいかもな。ま、雑魚山賊たちは衰弱してるし戦闘力も雑魚だ。回復しながら徐々に掘り進んでいくんでも大丈夫だと思うぜ」
「本当に邪魔になるのは、やっぱブラッドとクソブタをぶちのめす時……か」
想像に難くない。
魔種が山賊を盾にしたり、張り付いて行動を阻害させたりといった利用によってこちらの不利を大きくするなど、使い方は無数にあるだろう。
事前に全て排除しようにも、相手が彼我を自由に分離してくれるとは考えづらい。
「たく……頭使わせやがって」
グドルフはビールを飲み干し、『もういっぱい奢れ』と空のグラスを突きだした。
それを受け取り、店員に注文をとる情報屋。
「なあ、ところでアンタ。奢るついでに一つだけ聞いていいか」
「あん?」
「あんた、これからも『グドルフ』で……山賊でいるつもりかい。これからのあんたは、どうする」
「…………」
「ま、終わったら状況を見に行くからよ。そん時にでも聞かせてくれや。あとは頼んだぜ、イレギュラーズ」
- <YcarnationS>大いなる略奪完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年11月04日 22時40分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●山賊たちのブルース
走る馬車から歌が聞こえる。
幌の上に座った『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)が、美しい声で歌うのだ。
おまえは ひとを だませるけれども
おまえは おのれを だませはしない
いつでも つみを みているぞ
かねつきだいの もえるめが
歌を聴きながら資料をぺらぺらとめくっていた『小さな太陽』藤堂 夕(p3p006645)が、少し乱暴に資料を閉じた。
「グリムルート……ですか……。
私、あの首輪、嫌いです。グリムルートじゃなくても嫌いですけど。自由を奪う系のやつはすごくむかむかします」
おこです! といって資料を握りつぶす夕。
「私もだよ。ひどいよね!」
『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)はむんっと気合いを入れ直すと、資料の一ページに記載されたブルー・ボーイの写真に指を突きつけた。
「それにこれっ! 折角捕まえたのに逃げられちゃったのは悔しいんだよー!
またしっかりと捕まえないとね! 今回は魔種もいるしがんばるよー!」
「本当にね。またやっつけて、もう悪さが出来ないようにしっかり捕まえておいて貰わなきゃ」
魔種の襲撃なんてもはや自然災害のようなものだ。そうそう連続しておこるようなことじゃあない。
「もう山賊におびえることなんてないよって、ナハトラーヴェの皆に教えてあげに行くんだ……」
人々の願いや決意を乗せて、歌う馬車は走っていく。
一方もう一台。幌の無いオープンな馬車が走っている。
広い御者席に並んで座る『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)と『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)。
「BB山賊団予備軍。山賊、山賊、みんな山賊らしいワルーい顔をしておるのう。
なんだか間違えて攻撃してしまいそう故、グドルフは悪い顔をやめてもっと良い感じの表情をしておくのじゃ。ほれ、にこー」
「あぁ? こうかぁ?」
唇の片方だけを釣り上げて並びの悪い歯を見せつけるグドルフ。
「悪化したのじゃ……」
「のう、グドルフ」
座席というかほぼ荷台となってスペースに体育座りする『称えよ!ロリ魔王様!』ニル=ヴァレンタイン(p3p007509)が、資料を畳んで振り返った。
「詳しい事情は知らんが、ケジメは大切じゃと思う。じゃから、悔いの無いようにのう?」
「あぁ? 杭? 依頼のメンツなら、女だらけのハーレム気分で文句はねえぜ。ゲハハハハハッ!」
汚く笑うグドルフに、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が目を閉じた。
「そう、ねぇ……」
(私の知っているグドルフさんはねぇ、よく笑ってよく飲む山賊さん。
ただそれだけ、だから事情なんて深く聞かない)
「ひと仕事終えてぱーっと飲みましょ!」
「さんせー!」
『魔法騎士』セララ(p3p000273)がばんざいをして笑った。
「山賊はみーんなやっつけるよ! あ、グドルフさん以外ね!」
「なになになんなの。インネンかなにか?」
それまでスルメをがじがじしていた『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)が話に加わってきた。
「アイツらぶちのめすんでいいなら手を貸すわ。死ぬまで後悔させてやりましょ。ま、大半は殺すけど――ね!」
荷台の縁によりかかっていた秋奈が、起き上がってかたわらに置いたストライカーを装着。セララも剣をとり、アーリアも酒瓶の中身を飲み干して髪をラム色に染めた。
さもあらん。
ふらふらとした足取りで砂の都へ向かう山賊たちの集団が見えてきたがためだ。
「よおし、戦闘開始じゃな。馬車をとめるのじゃグドルフ。グドルフ? お? え?」
壺を掲げていざ馬車から降りようとしたデイジー……の横で。
「ゲハハハハ! 死にやがれェ!」
グドルフは手綱を握ったまま、馬車ごと山賊たちの群れに突っ込んでいった。
●ボマー
壺につかまってふわーっと飛んでいくデイジー。悲鳴をあげながら山賊を撥ねていく馬車。
焔と夕はそんな様子を『うわー』と言いながら眺めたのち、安全にとめた馬車からおりて駆け寄っていった。
炎を鍛えた槍こと『カグツチ天火』。
紅蓮の軌跡を描きながらぐるぐると回し、焔は山賊たちめがけて猛烈に突っ込んでいく。
「夕ちゃん、回復よろしく! 山賊はボクが引きつける!」
「らじゃりましたー!」
指を天空に翳しぐるぐると円を描きはじめる夕。
一方で焔は、振り返る山賊の肩を跳躍によって踏み越えると、さらなる跳躍から激しい炎を呼び出した。
こちらを見上げる山賊たちの顔は、あまりにひどい。
目はくぼみ頬はこけ、飢餓と恐怖に歪みきっていた。
それでもグリムルートに支配され、命令通りに歩かざるを得ないのだ。
ましてこんな状態でありながら、襲いかかる焔たちの迎撃まで命じられているのだから。
「悪いけど――!」
咄嗟に銃を向けてくる山賊の腕を炎の刃で切り落とし、流れるように周りの山賊たちの腰や腹を切り裂いていく。
「ア、アアア……アアアアア!!」
恐怖の叫びをあげ、掴みかかってくる山賊たち。
胸ぐらを掴もうとする山賊を飛び退いて回避。羽交い締めにしようとする山賊を槍でついて回避。
しかし足首にすがりつく山賊をかわしきれずに、爆発に巻き込まれた。
「く……夕ちゃん!」
「白衣の天使さんお願いしまーす!」
天空から降ってきた白衣の天使が『くすり』って書かれたボトルを逆さにして謎の液体を焔に浴びせかけていく。
「思ったより変なの来ました!」
「あ、うん、だいじょうぶ」
効いてる効いてる、といって新たな山賊を切り払う焔。
そこへ。
「ひっさつセララストラッシュー!」
魔法の翼を広げたセララが山賊たちを次々に切りつけながら蛇行通過。
魔力を散らして空中制動をかけると、ズダンと砂地に着地した。
「輝く魔法とみんなの笑顔! 魔法騎士セララ、参上!
仲間のピンチは放っておけないよね。グドルフさんの道はボクが切り拓く!」
飛びかかる山賊たち。
対してセララは魔法カードを取り出した。
「インストール、『消防士さん』!」
ファイヤーマンフォームになったセララは、次々におこる爆発に水を吹き付けて防御し始める。
「まおーちゃん! 今だよ」
「誰がまおーちゃんか」
猛烈なダッシュから山賊の腰へショルダータックルをかけるニル。
ピンポイントで展開された魔力障壁によって吹き飛ばされる山賊。
ニルは杖をつき角(?)を振り上げて自らを大きく見せると、山賊たちへ見栄をきった。
「そち等の相手は妾がしよう!」
一斉に飛びかかる山賊たち。
ニルは両手の手刀と大角に魔力を纏わせると、くいくいと手招きをした
「素直でよいのう」
大きく広がって歩いていた山賊たちを急に一箇所に集めるのは難しい。
が、あえて突っ込んでいったことで比較的山賊たちを集めやすくはなっていた。
「だからといって群がりすぎなのじゃ! 妾のモテ力も大概じゃな!」
壺を両手で翳してたかたか走るデイジー。
山賊たちは手にした粗末な棍棒やさびた鉈を振り上げ、そんなデイジーを追いかけ回す。
「ええいしつこいのじゃ! これでもくらうがよい!」
壺の口を向けることでディスペアー・ブルーの魔術を放射。
と同時に、カタラァナの『夢見る呼び声』が歌われた。
山賊たちを歌の力がとりまき、激しく混乱させていく。
互いに首をしめあい、武器を叩き付けあい、最後にはお互いに爆発しあって吹き飛んだ。
「ほう……案外魅了が効いたようじゃのう?」
「そうみたいだね。けど、あんまり沢山は使えなさそう」
見れば、山賊たちはアーリアたちに群がり、取り囲んで殴りつけるという攻撃手段に出始めた。これでは範囲攻撃に巻き込んでしまうだろう。
「そういうときは、コレよねぇ。ふふ……」
アーリアは手にしていた紫色のボトルを傾けると、不思議なカクテルが大地にしみこんでいった。
大地に広がる月の輝き。吹き上がった呪いの力が山賊たちを跪かせる。
「ア、アアア……! ろ、ろざり、ろざり、お……!」
首輪が赤く発光し、爆発を促すように点滅しはじめた。
と、そこへ。
「ウジャウジャとうざってえ……!」
グドルフが山賊の一人を蹴倒して現われた。
胸に揺れる、二つのロザリオとロケットペンダント。
山賊たちはなぜだから、目を大きく見開いた。
「ろ、ろざ……ア、アアア!」
一斉に飛びかかる山賊たち。
「グド――」
注意を促そうと声をあげかけて、アーリアは言葉を止めた。
グドルフの横顔に、名指しがたい感情が満ちていたがためである。
次々と飛びかかった山賊が爆発し、炎と煙に包まれていく。
だがその中から現われたのは、ペッとつばを吐いて悪態をつくグドルフであった。まるで傷などおっていないかのようなタフネスで、頬についた煤をぬぐい去る。
「おい、ブルー。ブルース・ボイデル……『わすれもの』だぜ! クソ山賊ゥ!」
声に。
山賊たちのずっと奥から、振り返るブルー・ボーイ。
あれだけ恰幅のよかった頬はこけ、亡者のようにぎょろついた目でこちらを見る。
「お、おめぇ……グド、ルフ。なんでてめぇが……『それ』を持ってるゥ!」
●閑話休題 バンディットブルース1
青肌商人と呼ばれ馬鹿にされても、そんなもんはヘでもなかった。
混沌は自由の世界だ。知恵と金があればなんでも手に入る。
酒も、女も、デカい家や百頭のラクダだって。
なのにアイツは、金もねえのに酒を飲み、賢くもねえのに女が寄ってきた。
毎日クソみてえなゴミ仕事をこなして、クソ楽しそうに笑って朝まで飲み明かしやがる。
その光景が、そんな裏路地に吐き捨てたモンみてえな臭い光景が、胸の間に刺さって抜けなかった。
シャンデリアの下がった豪邸で、十人は眠れるベッドに女を何人も転がして眠った夜も、俺の胸にはずっとあの光景があった。
アイツはなんでも持っていた。
アイツだけが何でも持っていた。
これだけ何でも手に入る力がありながら、アイツだけが。アイツだけに。アイツだけを。
だから。だから。
ぜんぶ。
●さよならの歌
「痺れちゃえ!」
膝を折って飛び上がったアウローラのジャンピングポーズと共に、周囲に青白いスパークが走って行く。
山賊たちが吹き飛び、首輪を赤く点滅させながら掴みかかろうと走り出す。
秋奈が、アウローラの横を抜けて飛び出した。
「『やぶれかぶれ』は嫌いじゃ無いけど、今は邪魔よ。下がってなさい!」
ストライカーブーストからの二刀同時抜刀。
交差した斬撃がそのまま衝撃となり、山賊たちを一斉に吹き飛ばしていく。
爆発の光に照らされながら、刀を返した。
と、そこへ。
「そいつを、そいつを返せェ……!」
猛烈な勢いでブルー・ボーイが突進をかけてきた。
「何の話よ。こんな青いのに金借りた覚えはないわよ!」
刀を構え防御姿勢をとる……が、そんな秋奈の横を、そしてアウローラすらも無視して走って行く。
その先にいるのは、グドルフである。
「こいつ……無視するな!」
急速にターン。
ストライカーからエネルギー噴射をかけながら、強引にブルーへと追いついていく。
「邪魔すんじゃねェ!」
「そんなにロザリオだかが大事? 買ってきてあげましょうかぁ?」
片眉をあげて煽る秋奈。
ブルーはそのことにえらく激高したようで、山賊刀を振り込んできた。
刀とぶつかり、青白いスパークがはしる。
●ブラッド・ブルーム
「見つけた……!」
爆発する山賊を突き抜けて、セララは真っ赤なロングコートの人物めがけて突撃した。
魔法の翼が靴から広がり、きらめく軌跡をひいてまっすぐに突っ込むセララ。
が、しかし。
トップクラスのトータルファイターと名高いセララの剣が、相手が片手で抜いた刀身によってぴたりと止められてしまった。
しかしそこは達人。セララはこの一合だけで彼が――嫉妬の魔種ブラッド・ブルームが恐ろしく強い敵だということを認識した。
それでも劣勢を悟らせるべきでは無い。
「手下を作って自爆特攻なんって、自分で戦うのは自信が無いですって言ってるようなものだよ。クが今まで戦ってきた魔種と比べて、キミは弱そうだね。人間を捨てて魔種にまでなったのにね」
飛び退き、剣を突きつけたまま挑発をしかける。
しかしブラッドはフューチャーフォンをかちかちといじりながら、画面だけを見つめていた。
「迷惑メールって、あるじゃあないですか」
そして、あろうことか全く関係ないことを言い始める。
「あれ、貰ったことないんですよ。人によっては一日に何百ってくるんでしょう? 有名税のつもりなんですかねえ。そういうの、ちょっとヘコみます」
「…………」
セララは突きつけた剣を返し、防御の姿勢を取り始める。
この会話から分かるのは、ブラッドが自らの内側にしか怒りを感じないタイプであり、それを感情や振る舞いによって表面化させないタイプだということだ。
「ブルーさんも大概ですよねえ。これだけの軍勢と私がいるのに、まるでメインディッシュじゃあないですか。そういうの、なんだかヘコみます」
ぼんやりと語り、まるで軟弱にみえるが……それでも非常識な速度で剣が動く。
ボウ、と刀に炎が宿った。
その瞬間。
「セララちゃん下がって!」
焔が飛び出し、垂直に突き立てた槍で炎の壁を展開した。
ブラッドの切りつけた剣が爆発的な炎の波を引き起こし、焔を包み込む。
まるで炎を我が物としたかのように振り払い、槍へと集める焔。繰り出した突きがブラッドの胸に突き刺さる。
心臓部を的確に刺した筈なのに、ブラッドはケータイから目を離すことも、表情を変えることも無かった。
「『炎の神』ですか。いいですよねえ、生きてるだけで神様なんて。こっちはいつまでたってもヒトなのに。そういうの、ヘコみます」
つい、と剣を突きつけるブラッド。
焔は次なる攻撃を察知して防御の姿勢をとった――が、激しい爆発がおきてセララ共々吹き飛ばされた。
魔法光と神炎を放って制動をかけ、くるりと回って着地する二人。
そこへ駆けつけた夕が二人の様子を素早く観察した。
「炎はらいますか!? それとも回復!?」
「ボクのほうはいいよ。焔の体力をみてあげて!」
「じゃあええっと……」
夕が地面に十字のマークを刻むと、精霊フィーネリアがピンク色のナース服を着てせり上がり式に現われた。
「…………」
「…………」
思ってたのと違うって顔をしたが、構わずフィーネリアは焔の腕に注射器を突き刺し、強力な回復エネルギーを流し込んでいく。
「あんまり集中攻撃を受けたら、私の回復力でもカバーしきれないかもです。
できる限りローテして、ダメージを分散してください」
「ろーて? その辺決めておったかのう?」
はて、と首を傾げつつ戦線に加わってくるデイジー。
「ともかく、あの火力で妾と夕が狙われたらオシマイじゃ。なんとかこういい感じにアレしてアレするのじゃ!」
「アレする!?」
「流れじゃ!」
デイジーは両手に『誘う青き月』と『蝕む赤き月』をそれぞれ作りだし、たこ足を突っ張るように背伸びすると交互に月の力を叩き込んでいく。
「『深きもの』ですか。これも大概ですねえ。わたし、こういうの苦手なんであんまりまともに相手したくないです」
ブラッドは相変わらずケータイを見つめながら、片手で剣を振り激しい爆発を引き起こした。
デイジーと夕のガードにはいるセララと焔。
吹き飛ばされまいと踏ん張るのでやっとだが……。
「他の皆が来るまで耐えれば、こっちの勝ち! の、はずです!」
山賊たちが操られたようにブラッドへと集まっていく。
セララたちに組み付いて動きを阻んだり、ブラッドにデイジーの魔力が届かないように庇わせたりするつもりなのだろう。
そうなればもはや一方的だ。
ブラッドの手駒が増えないよう、押しとどめなくてはならない。
「小癪なまねを。どれ、もう少し相手をしてやろう」
ニルが間に割り込み、山賊たちを引きつけ始める。
襲いかかる山賊の胸を大角が貫き、振り回して明後日の方向へと放り投げた。
「奴ら、抵抗力はだいぶ弱いが腐っても山賊じゃ。妾とてそう大勢は引きつけておけぬぞ?」
「充分よぉ」
「とにかくいっぱいやっつければいいんだよね!」
アウローラは球状のマルチスピーカーをぽいぽいと投げると、小指につけたリングマイクで歌い始めた。
「アウローラちゃんの歌でしびれちゃえ!」
一方でアーリアはチョコレートリキュールを取り出し、顔の横でちらちらと振って見せた。
「ほら、飲まず食わずで疲れたでしょ? 一杯どう?」
飲まず食わずは本当のことである。首輪の命令で操っていても本能には邪魔されるようで、一部の山賊たちがアーリアへと集まっていった。
「――なんて、ねぇ」
パチンと手袋をした指をならし、ダークムーンの魔法を展開するアーリア。
消耗の激しい魔術である。これがほとんど打ち止めのようなものだが、あとは自前の充填能力で治癒担当に転向すればいい。アウローラへ飛びかかろうとした自爆山賊たちを引き込んで、爆破のダメージを引き受けていく。
(時間は稼ぐわぁ。だからグドルフさん……あとで一杯奢ってねぇ)
●ブルース・ボイデル
山賊刀が真っ赤な刀身の上を走って行く。
表面を走るエネルギーフィールドが反発し、高熱の青白い火花を弾いていく。
素早く手放した刀と引き替えに新たに抜刀。秋奈の緋月が真っ赤なフィールドを纏ってブルーの首めがけて繰り出された。
「ギ――!」
歯を食いしばり、目を青く輝かせるブルー。
その途端急速に肉体が増強され、ブルーは残像を残して後退。秋奈の刀を弾いた。
「反転もしないでここまで強くなるなんてね。よく耐えたというべきか……だからこそ哀れというべきなのかしらね。
でも一つだけ良いお知らせがあるわ。あなた、魔種や山賊たちの中で唯一生きてとらえることになってるの。よかったわね、『死んだ方がマシ』かもしれないけど」
目を見開き、連続で強烈な斬撃を繰り出す秋奈。
ブルーはそれを受けながら、タフに秋奈を跳ね返していく。
はじき飛ばされた秋奈を優しい波の歌が包み込む。カタラァナの『セラティーダェの恋の歌』である。
(どんなに記憶の中に大事に大事にとっておいた思い出も、心は忘れてしまう。
だから、思い出させてあげる。ねえ、おじさん――)
歌に込めた想いが、グドルフにも浸透していった。
(時間は不可逆だ。記憶も決して戻らない。
戻せるのは、心だけなんだ)
「…………」
グドルフは二つのロザリオとロケットペンダントを胸にさげ、斧を握った拳でどんと胸を叩いた。
(うるせえ。わかってる。こんな所で死んでたまるかよ。俺は『グドルフ・ボイデル』だ。奪われた全てを奪い返し、その上で何もかもを奪い取る)
踏み込むグドルフ。
目を見開いて襲いかかるブルー。
「てめえのモンを奪われた気分はどうだブルース! 憎いかよ? 俺もお前が憎いぜ。この手でブチ殺してえくらいにな!」
「グ――ドルフゥ!」
二つの斧が、真っ向から激突した。
しびれが、火花が、互いの目の奥にみた光が、交差する過去を映し出す。
●閑話休題 バンディットブルース2
世界が変わっても相変わらず世界の常識ってやつは変わらねえ。
強い奴が居て、弱い奴がいる。弱い奴はぶん殴られて、隅っこの見えねえところでメソメソ泣くんだ。
そういう奴がムカつくもんでぶん殴っていたら、結局なにも変わんねえ毎日がやってきた。
パンを一本貰う代わりに山羊を運んだり、酒を一杯奢られる代わりにダメ彼氏を説教したりした。ろくに稼げりゃしないが、悪くねえ毎日だ。
けれど、どうにもならねえもんもあった。
義兄のヤツはいつも俺を影から見て、おれの言葉にゃ耳を貸さなかった。
そいつがムクムクとでかくなって、いつの間にか人から何でもかんでも奪うようになっちまいやがった。
俺にできるのは、そんなあいつが得てしまった偽りの名声ってやつを奪い取ることだけだった。
『ボイデル』の名前を俺の名前で塗りつぶす。それが、俺にできる……してやれる唯一のことだった。
そうやってあいつが誰かから奪ったもんを少しずつ元の持ち主へ取り返して、取り返して、そして、あいつに出会った。
●青き敗者の物語
ブルー・ボーイの目や表情は歪み、とても正気を保っているようには見えなかった。
その証拠に、グドルフを『グドルフ』と認識していたようだ。もっとも、それが理解できたのは彼くらいなものだったが。
「なんでテメェばっかり手に入れた!? おれさまの方が優れてた! それが、なんで、テメェにだけ!」
「だから奪ったってか。ええ?」
「ロザリオを返せ! そいつはおれが手に入れたもんだ! もうおれのもんだ! なんで、なんで――」
ブルーの目の奥に、強い信仰の光があった。
否。強い信仰に守られた誰かの姿が焼き付いていた。
「あの女はおれのもんにならない!」
もはや現在のできごとすらまともに認識できぬまま、ブルーは全身を青く発光させた。
「もとからてめえのモンなんかひとつもねえ。まだ分からねえか」
歯を食いしばり、全身を赤く発光させるグドルフ。
「てめえのソレは『奪ったモン』だがよお、おれさまのコレは『貰ったモン』だ……その違いが分からねえか!!」
「なにも変わらねえだろうが! おれさまのほうがずっと――!」
斧と斧が、互いの肉体に食い込んでいく。
骨を砕き内蔵をかき回し、常人ならとっくに死に絶えているような破壊を刻みあいながら互いの額を叩き付け合った。
そして、その瞬間に。
「てめえ……ぐどるふじゃあ、ない……? てめえは、あの……?」
「檻の中で、一生詫び続けろ」
血を吹き上げ、仰向けに倒れるブルー。
えぐられた脇腹を押さえ、グドルフは膝を突いた。
「おじさん」
駆け寄るカタラァナに手を翳し、ニッと笑うグドルフ。
「このクソブタを縛っとけ。へへ、生け捕りにしなきゃあ金にならねえもんな」
●閑話休題 バンディットブルース3
血まみれの斧を拾い上げたその日から、おれさまはボイデルだ。
酒と女遊びが大好きで靴下が臭え山賊のボイデル。
『おれさま』がそうしたように、世界中にこの名をとどろかせてやる。
殺したはずの亡霊に追いかけられて、てめえは震えて眠るだろう。
嘘くせえ宗教にでもハマるだろうな。
そんでおれさまを見つけたその時に、本当に奪ってやる。
この世界で得た全てを、過去を、いまを、未来を。この『ボイデル』が奪い去る。
てめえの名前が、この世界からかき消えるほどに。
●炎のさだめを知るものよ
ピン、とあかい線が走った。
セララや焔たちを圧倒せんとするブラッド・ブルームの手前ではしった線のその先に、ブレーキをかける秋奈の姿。
「待たせたわね」
秋奈は不敵に笑うと、得意の鼻歌をうたいながらブラッドへと斬りかかり始める。
反対側から巨大な斧による斬撃を繰り出すグドルフ。
ブラッドはその場から大きく飛び退くと、目を見開いて停止した。
ケータイが斜めに切断され、液晶画面部分が地面をはねる。
「あなたたち……やってくれましたねえ……。
捨て駒の山賊どもがここまで壊されてしまうとは。
これではカノン様に怒られてしまいますよ、まったく、ねえ」
震える左手でゆっくりと眼鏡のブリッジを押し、顔を上げるブラッド。
「せめてあなたの首くらいは持ち帰らないといけませんねえ!!」
刀を両手でしっかりと持ち、振り込むブラッド。
「チィ……!」
飛び出したグドルフが衝撃によって吹き飛んでいく。
庇われた秋奈たちもその場に踏ん張るので精一杯の風圧である。夕はそんな中で大地に手を突き、反射するように天空に巨大なゲートを発生させた。
周囲から駆け寄ってくる山賊たち。
「ここまで来ればラストスパートです。召喚……!」
立ち上がり、天空を指さす夕。
「とにかくいろいろふってこーい!」
巨大なゲートから軽トラやら焼き肉屋の看板やらウサギのぬいぐるみやらマネキンやらが大量に降り注ぎ、山賊たちを叩きつぶしていく。
「いくよ! アウローラちゃんの唄に聴き惚れて!」
「るる――くとぅ――うがふ――ふたぐん――」
両手を広げるカタラァナと、大量の電脳サイリウムを呼び出すアウローラ。
二人の歌が重なり、ブラッドへ大海の渦となって襲いかかる。
「くう……!」
爆発を起こして払いのけようとするブラッドを、赤い月の光が包み込んだ。
「逃がさぬ」
目を怪しく光らせ、指をついっと上げるデイジー。
「お主は不思議な力で死ぬことになる」
偽りの海面に映った月の光がブラッドを閉じ込め、全ての動きを一時的に封じ込めた。
ごぼ、と泡をはき出すブラッド。
そこへニルの強烈な跳び蹴りが炸裂した。
長い両足を揃えてヒールを顔面にめり込ませ、反動で飛び退くニル。
手を翳し、降ってきた巨大な剣でもってさらなるスイングを叩き込んだ。
衝撃が直接伝わり、偽りの海からたたき出されるブラッド。
が、追尾してきた赤い月が反転し――。
「ちょっと借りるわねぇ」
アーリアが美しい色の酒瓶を放り投げ、破裂した瓶からまかれた液体が月の魔法を転用してグラビティゲートを発生させた。
「ぐおお!?」
着地しようとしたブラッドが激しい重力に押しつぶされ、血を吐きながら地面に張り付く。
「死に、ませんよ、まだ、この……くらいでは!」
大地そのものを連続して爆発させ、周囲をまるごと吹き飛ばそうとするブラッド。
だが、そんな中をセララと焔が突き進む。
「セララちゃん!」
「焔ちゃん!」
呼び出した聖剣を放り投げるセララ。
炎の槍を放り投げる焔。
二人はそれぞれの武器を交差させ、互いの武器をキャッチすると――。
「ホムラストラッシュ!」
「緋燕聖光桜!」
魔法少女の光を集めブラッドの胸へと突き入れ、先端から爆発させるセララ。
剣から放たれた巨大な炎を大剣へとかえ、ブラッドの胴体を切断していく焔。
断末魔と共に爆発四散するブラッドの炎をはさんで、二人はそれぞれの武器を投げて返しあった。
●奪い続ける未来
血まみれで座り込むグドルフのもとに、ひとりの情報屋がやってきた。
クリムゾン13(サーティーン)という、片目を布で覆った男である。
彼はひっくり返したように荒れた砂地と、半分ほど埋まった状態で気絶するブルー・ボーイを見て満足そうに頷いた。
「ほい、確かに。こいつは傭商連合からの報酬だ」
そばにいたセララやカタラァナたちに、人数分にわけたコインの袋を投げわたしていく。
腰を屈め、首を傾げるクリムゾン13。
「おいアンタ、そりゃどういう顔だ?」
「自力でやるべきことをカミサマなんぞに頼るなとよ」
「あ?」
「なんでもねえ……見せもんじゃねえぞ。金よこせ」
クリムゾン13が突きだしたコイン袋をもぎとって、ペッとつばを吐き捨てるグドルフ。
「で、答えは出たのかい」
「知らねえな。おれさまはグドルフだ。てめえのいうアラなんとかって男は知らねえ」
「そうかい」
クリムゾン13は立ち上がって馬にのり。
「それが、あんたの引き受けた祝福ってこったな」
それだけ言って、去って行った。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
ブルー・ボーイは捕縛され、より厳重に収監されることになりました。
GMコメント
■成功条件と作戦の流れ
OPの内容が長く複雑になったので、短くまとめます
・魔種ブラッドを倒し、ブルーを生け捕り(戦闘不能でOK。【不殺】の必要なし)にするのが成功条件。
・近づくにはまず大量の山賊くずれ(BB山賊団予備軍)を倒していく必要がある
山賊は飲まず食わずの行軍で衰弱しているので戦闘力は低いが、戦闘不能にすると自爆(※)してくる。
・ブラッド&ブルーとの戦闘時にも山賊くずれは邪魔になるので、対応が必要。
※自爆:HPが0になると自動発動。任意の誰か単体に張り付いてダメージを与える。
パート構成は大体以下の通りとなるでしょう
■【前半戦】山賊掘り進みパート
大量の山賊がブルーたちの周囲にいるため、これを撃破します。
雑魚いのですがHPをゼロにすると自爆ダメージを与えてくる厄介な性質をもつため、倒す手順を工夫しましょう。
例えば誰かが範囲攻撃で一掃しつつ、防衛能力の高い者が当人を庇い、負傷を適時回復させる……といったチームワークが一般的です。
山賊たちは基本的に近接攻撃を仕掛けてくるので、あえて味方を巻き込んで範囲攻撃をしかけたり、自分を中心とした範囲攻撃を活用したりといった場面が出てくるでしょう。
後半戦にあたるブラッド&ブルー戦に戦力を温存する必要があるので、ここで大技を使いすぎないように注意して下さい。
■【後半戦】ブラッド&ブルー
魔種であるブラッドと、発狂したブルー。この二人を同時に相手取ることになります。
ブルーはともかくブラッドはまず抑えが利かないくらい個体戦力差があるので、以下の三つにそれぞれ担当を分けて戦うのがベターでしょう。
より厳密に言うなら『A:ブラッドの攻撃をひたすらしのぎ続けるチーム』『B:ブルーを倒すチーム』『C:自爆山賊を引きつけ対応するチーム』に分かれて戦い、BCチームが任務完了語に本格的な対ブラッド戦闘を開始するという流れが基本になるかと思います。
メンバーのスタイルや得意分野をみつつ、流れや役割を相談してみてください。
●ブラッド・ブルーム
嫉妬系魔種。爆破による範囲攻撃や陣形のかき乱しが得意。
判明している一部のスキルには
・爆破斬撃:神至単大ダメージ【必殺】【炎獄】
・空間爆破:神長範【万能】【飛】
というものがあります。
スペックに関して分からない部分が多いですが、バランスよく強いタイプであるようです。
個体戦闘力もこちらと比べてすごく高いので、万全のチームワークであたりましょう。
●ブルー・ボーイ
以前の戦いでグドルフ氏よりやや弱い程度でしたが、首輪の魔力によって必死に戦うためちょっと手強くなっています。
なにかに対して強い執着があるようですが……?
戦闘スタイルは防御・特殊抵抗・HPの高いタンク型。
一時的に各種能力を引き上げるスキルや、パワフルな打撃攻撃をもっています。
●乱入してくる山賊
前半戦で戦った自爆する山賊たちです。
『かばう』でブラッドやブルーの盾になったりPCたちをブロックしたりと非常に邪魔になります。
彼らを引きつけて対応したり、生かさず殺さず引きつけ続けたりといった対処があるとよいでしょう。
(念のためですが、発動条件がHP0なので【不殺】で倒してもやっぱり自爆はするようです)
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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