PandoraPartyProject

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悠久残夢IV

 ――やれやれ。まさかこうなるとは、ね。

 『始原の旅人』を名乗るナイトハルト・セフィロトは吐息を零していた――
 プーレルジール。そのサハイェル城地下には……ある意味混沌の果てと言える『終焉』に繋がる次元の扉が存在していたのだ。が、それが破壊されてしまったのだ。イレギュラーズ達の発見した果ての迷宮からの道を『表口』とするならば、アレは『裏口』のようなモノ。
 表口と異なり小規模な人数の移動しか叶わないが……
 それでもちまちまと終焉獣を送る事は出来た。
 裏口を利用してプーレルジールに滅びを蓄えていたというのに。
「仕損じたなぁ。まさか僕が守り切れないとは思ってなかったし、ね……」
 彼の抱いていた計画は全てが泡となった。
 エイドスの用いたイレギュラーズ達が奇跡を願っている事は想像がついていた為、ナイトハルトも『秘策』によって応戦したのだが……メイメイ・ルーの願いが遂に届いて扉は砕けてしまったのである。

 ――いやもしかすれば魔王君との戦いで魔王君側が勝てば、まだ何か起こるかもしれないが。

 しかし。僕すら跳ねのけた『後輩』達だ。
「やり遂げる可能性は十分あるんだろうなぁ。まぁ僕自身が負けた訳ではないけれど」
「……一応聞くんだけれど、それは今、私に話しかけているのかな?」
「当たり前じゃないかぁ♪ 負け犬同士仲良くしようよぉ♪」
 傍にいたのはヴィッター・ハルトマンなる者だ。
 あるイレギュラーズに執着する旅人なのだが――どうも彼も目的は達せられなかったらしい。いやそれ所か危うい所でナイトハルトによる助力がなければ……あの地で果てていたかもしれない。実際、共に戦っていたイラス・カリスチーノという旅人は、応戦していた郷田 京によって捕らえられてしまった。
「イラスは残念だったなぁ。まぁ、いいか。
 彼女自身の事は個人的に好ましかったけれど、それだけだ♪
 それよりも……また失敗しちゃったねぇ?
 しかも今度は結構ガチ目に抑えられたんじゃないかい?」
「……」
「どうする? まだ君は君の望みの儘に――走り抜けるつもりなのかな?」
「少し、手を考える」
「そうかい♪ それがいいね♪」
 ヴィッターは冷静を装っているが、大分機嫌が悪いらしい。
 まぁそれも仕方あるまい。彼はイレギュラーズに攻撃を仕掛けて、これで二回も失敗してしまったのだから。ナイトハルトに関しては――少なくとも彼の視点においては――自分は実力では負けていないという自信がある。
 あくまで扉を壊されてしまったというだけなのだと。
 しかしヴィッターに関しては力不足だった。
 彼の射撃の腕前は舐めれるものではないが、しかし『始原の旅人』を名乗るナイトハルトと違って鍛え上げてきた『時間』の練度が足りなすぎる。あくまでも一介のイレギュラーズの範疇を超える事は出来ていない。
 或いは彼が純種であり、魔種にでも至れるのであれば話は別だっただろうが。
 精々旅人に至れるのは狂気までだ。
 ……混沌肯定の法則『レベル1』とは、あぁ実に厄介なものである。
 しかし、ともあれ。

「さて暫くプーレルジールに掛かり切りだったからなぁ……
 今『皆』はどうしてるんだろ?
 おちょくり甲斐のある奴が起きてると――いいんだけどなぁ♪」

 プーレルジールで巡らせていた策謀がダメになってしまったのなら仕方ない。
 この世の神のシステムを破壊する為の新たな考えを、彼はまた巡らそう。
 ――いつかきっと。神を殺してやるために。


 ※プーレルジールでの戦況が届いています――!


 ※神の王国に対する攻撃が始まりました!!

 ※『遂行者』グドルフ・ボイデルの身に変化が起こりました――

 ※『プルートの黄金劇場』事件に大きな変化があった模様です……

これまでの天義編プーレルジール(境界編)終焉の兆し(??編)

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