PandoraPartyProject

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フリアノン日誌

 イレギュラーズ達の往来が始まり、様々な地に依頼で赴くようになった。
 亜竜種達もその身に新たな可能性を宿し、世界へと歩む力を身に付けた。まだまだ冒険は始まったばかりではあるが――

「キェッ――!」
 翼を揺らめかせて、亜竜種の顔面を蹴り上げたのは孵化したばかりのワイバーンであった。
 フリアノンの亜竜種がワイバーンの飼育についてイレギュラーズに伝授し、フリアノン周辺に置き去りになった卵の育成を頼んだのは好奇心旺盛な彼らの頼みもあってであった。
 外より来た旅人ではあったがワイバーンの飼育はどうやら『それなり』に進んでいるらしい。
 珱・瑠貴は『フリアノン・リトルワイバーン』のエッグハントの誘いをイレギュラーズに持ちかけ、卵の世話を続けるイレギュラーズ達の様子を日誌として認めておいたらしい。
「何を書いたの?」
「ふむ、見るか?」
 遠戚とは言え、同じ珱家。『亜竜姫』珱・琉珂(p3n000246)の事は幼少の頃から可愛がってきた。
 彼女が見たいと口にしたならば日誌を見せることも吝かではないと言うことだろう。

 日誌に綴られていたのはワイバーンの育成についてだけではない。
 近頃では、イレギュラーズ達と共に霊喰集落アルティマの調査を行っていること。
 そして、嘗てはフリアノンとの通路が完成する可能性があるともされた亡き亜竜集落イルナークの調査。
 イレギュラーズ達を交えて、活動的になった亜竜種達の日常が綴られている。
「なんだか、里の皆はとっても楽しそうよね。
 私も楽しいけど、同胞達が生き生きしてる。外に出ればワイバーンに喰われるかも知れないと怯えていたのが嘘みたいよね」
 琉珂は日誌を眺めながらそう呟いた。
 亜竜種達の里が何らかの骨や洞窟、地底湖等の暗所に存在するのは上空からの脅威に備えるからだ。
 亜竜達は容易く人間を攫い、喰らう。そうした脅威を斥ける為の生きる術。
 故に、恐怖を感じた者達は里というちっぽけな空間でだけ暮らし続けていた。
 だが――イレギュラーズという新しい風が吹き荒れてからというものの、外に畑の改築を求める者も居れば探究心を抱き調査に赴く者も居た。
 亜竜を恐れるばかりであった亜竜種達が生きる喜びを抱いたのだ。
 そう思えば、琉珂は喜ばずには居られなかった。
「よしっ、私もそろそろ頑張ろうかな。父さんと母さんが同胞達の生活領域をもっと広げたいって願ってたでしょ?
 だからね……オジサマには危険だから止めなさいと止められていたけれど、私も里長として頑張ろうかな」
「其れも良かろう。しかし……奴は何処に行ったのか。
 イレギュラーズ達が来たのだから、里長の父代わりとして琉珂を任せると挨拶の一つくらい――」
 唇を尖らせた瑠貴に琉珂は首を振った。
「いいのよ。……オジサマは、きっと、また逢いに来てくれるから。
 瑠貴ばあも、里長代行の皆もいる。私はオジサマがいなくっても立派な里長としてイレギュラーズとお話しできたわ」
 オジサマと呼んだ紳士――彼は琉珂の話には出るが一度たりともイレギュラーズの前には顔を出してはいない。
 R.O.Oで出会った『竜王』ベルゼーを差している事は推測できるがその消息は彼を知る限られた亜竜種達も知らぬ儘だという。
「それで、琉珂は何処に行くつもりで?」
『ガルグイユの寝所』よ。
 一先ず走った場所から調査を開始して、新しい道を探すの。そうして私達の生活が満たされるように。
 瑠貴ばあは私のためのワイバーンを育てておいてね?」
「ああ、分かっ――」
 顔面を負傷した亜竜種からリトルワイバーンの赤子を受け取った瑠貴の頬をワイバーンが蹴り飛ばしたのはお約束だったのだろう。

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