PandoraPartyProject

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空より齎されしもの

 天を覆った黒き影。落ちた気配は体震わせ、肌を粟立たせる。
 その悍ましさは覇竜領域――亜竜集落に住まう者、皆が感じた事だろう。
「麗依、雨轟……あれは」
 呟いた珱・琉珂は光り輝くフリアノンの祭壇を思い返してから空を眺め見遣る。
 巨骨フリアノン――嘗てはこの地を治めたとされた竜種の遺骸が洞窟と同化して出来たこの集落――の内部より見遣った黒き影は手負いであった。
「……かの国を襲ったと云う『怪竜』を撃退したのだろう」
「それもあの様に傷を負わせて。勇猛果敢なる隣人にあたくし達も感謝しなくてはなりませんわね」
 フリアノンの里長代行である瓏家夫妻――瓏・雨轟瓏・麗依に琉珂は頷いた。
「琉珂よ。他集落の祭壇も夥しいほどの光を発しておるそうだ。
 ……『あの男』は未だこの地には帰らんが、我らが巨骨フリアノンは奴らとの出会いを歓迎し、新たな道を授けんと……」
「ええ、分かってるわ。おばーさま」
 珱・瑠貴は琉珂へと静かに頷いた。
 瑠貴は瑠珂の遠い親類である。故に、彼女の事は幼い頃から『あの男』と呼んだ亜竜種『紛い』と共に眺めてきた。
 その彼女が、フリアノンが声高に叫ばんとする可能性と使命を受け止めんとするのだ。
 子の成長は早いというが――成程、乞うも成長を目の当たりにすると感慨深く涙でも滲んできそうなものだ。
「彼らは……我らがフリアノンに訪れた『外の友』は、練達と呼ばれた国を襲った竜種を退けた。
 それは素晴らしきことだわ。想像もしていなかったことだもの。
 我らの命をも脅かす隣人を退け、そしてヒトが生き抜く道を示してくれた――」
 琉珂は里長代行達に向き直り堂々と発言する。
 空を過ぎる影、それは覇竜領域を飛び越え、緑豊かな国へと向かったか。
 あの歩みを追わねばならない。
 この地に生まれし者として、世界を脅かす『隣人』を退けねばならない。
「……フリアノン、私達はこの地に鎖されてきた。
 それでも、外に出ろと言うの? 彼らの友となり、同士となり、戦う道を歩めというの?
 貴方がその身を張って、亜竜種(ひと)を助けてくれた過去は我らが生きてきた道。
 我らが……『亜竜種』と呼ぶ命を紡いで来られた貴方からの贈り物。
 だから、貴方が『そうなさい』と言うならば、我らは剣を手にするでしょう。
 心優しき賢き竜フリアノン――我らは貴方に答えましょう」
 琉珂はそっと祭壇に手を伸ばす。
 目映き光。
 それは彼女達の愛する巨大なる竜、遺骸フリアノンの返答であるかのように少女の身を包み込む。

(――オジサマは、帰ってこなかった。
 けれど、分かるわ。アナタが帰ってこなかったって事は、竜はまた何処かを襲う。
 だから……だから、私がアナタを止める。アナタが愛してくれたフリアノンの民として)

 少女の身は、その場から掻き消える――そうして辿り着いたのは、空中神殿と呼ばれる場所であった。

※作成できる種族に『亜竜種』が追加されました!
ローレットトレーニング・ビギーナズが開始されました!
 制限レベルは40まで! お見逃し無く!

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