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白紙の海路図

 セフィロト西部防衛ライン『アクジオン・クラスト
 そこは遥か彼方より飛来したジャバーウォックが引き連れてきた亜竜らを押しとどめる最前線であった。
 ……尤も、R.O.Oにおける騒動からまだ日が経っていない練達では十分な防衛線力を抽出する事は出来ず、無残にも突破されてしまっている。亜竜――つまりはワイバーンなどの個体達――は竜種とは異なる存在とはいえ。
 それでも尚に強力な魔物であるに違いはなかったのだから。

 ――だが、防衛ラインが食い破られてもなお、未だ戦闘は続けられていた。

 激しき戦闘音。
 撃ち落とされる亜竜の数々。
 それらを支えているのはイレギュラーズ達の参戦が故、だ。
『――状況はどうだろうか? 愛しのアリス達が踏みとどまってくれているとは知っているが』
「ああ。随分と押し返してくれている……! 正直、彼らがいなくば――更にあの量の亜竜をも相手にしなければならなかったのかと思うと、背筋が凍る話だとも」
 モニター越しに会話を交えているのはDr.マッドハッターと佐伯 操の両名だ――
 常にアラートが鳴り続けている画面だが、しかし。
 流れてくる情報は悪いものばかりではない。アクジオン・クラストでの戦闘報告もなされているのだ――亜竜達も無限にいる訳ではなくば『そろそろ』あちらの戦況も一段落する頃だろう、と。
 既に2000を超える戦闘が繰り広げられ、亜竜達の数はかなり削減されている。この影響はやがて練達首都セフィロトに及んでいる戦場にも影響を齎そう……
 後ろから更にやってくる亜竜がいないというだけで――随分と楽になるものだから。
 『アクジオン・クラスト』での戦いが段落を見せるまであともう少し。
 それまでにあとどれだけ、もう少しばかり押し込める事か……
「……ただ、ジャバーウォックの戦場だけは気が抜けんがな。
 測定できているだけでもアレは突出した戦力だ。
 亜竜らがいなくとも――アレだけで全てを圧倒しかねん」
『やれやれ――天に胡坐をかく存在とは、かくも厄介かね』
「我々も他人事ではないぞ。これより先は通信している暇もなさそうだ」
 が。あくまでも本命はこれからだと操は紡ぐもの。
 『アクジオン・クラスト』の戦況は順調に推移していても、首都を突破されれば全てが砕け散る。
 ――折角にもR.O.Oの騒動を乗り切ったばかりなのだ。
 ここで終わらせはせん。
 マザー防衛に全力を注ぐ。マザーの兄たるクリストもバックアップを務めているのだ。
 正に総力戦のこの事態……で、あれば。
「――次の通信は、勝利したという報告であるという事を祈ろうか」
『ほう。これはこれは奇妙な事を言うものだ――誰に祈るのか? この世の神にかい?』
「何でもいいさ」
 君の言う所の、愛しのイレギュラーズ(アリス)達にでも――いい。
 マッドハッターのとの通信を打ち切り、操は周囲を確認す。
 戦いが本格化する。既に首都内部へと雪崩れ込んでいる亜竜達は三塔に群がっているのだ……『アクジオン・クラスト』での戦いが、この事態に好転を与える事をどうしても期待しながら。
「……さて。後はやれるだけやってみようか」
 吐息零すように。操は『実践の塔』へ迫りくる敵の影を見据えていた。
 ――これより如何なるかは白紙の海路図。
 それでも尚に、希望を信じてこの荒波を渡ろうか。

 ※限定クエスト『The Hunting of the Snark』は23日20時に終了します!!

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