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Lost Code - ERROR:Rabbit Hole

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 ディスプレイに表示される文字列はこの世界に転移してから見慣れた物であった。
 現代日本で生まれ育ち、其れなりに修羅の道を歩んできたとは思うが異世界転移などと言う荒唐無稽な出来事に巻込まれる事は想像していなかった。
 傍らで楽しげに笑っている男が幼少期に絵本で読んだ『気狂い帽子屋(マッドハッター)』となる事さえ予想外だ。
 組み上げたコードも随分と改変されている。管理者権限を駆使しても介入できる部分は限られているか。
 だが、唯一と言って良いほどに『穴』が開いていた。
 隣で楽しげに笑っている男の詭弁を其の儘に伝えるならば『ウサギの穴は世界へ招く準備をしていて呉れたようだね』である。

「ドクター、どうやら残されている介入手段は此処だけのようだが」
「ああ、そうだね。操。相手は此方を玩具にしているのだろう。さながら主人公(アリス)がウサギの真似事をして、新たな異世界への来訪を待ち望んでいるかのような。不思議の国へと招く彼女はさぞ楽しいであろうね。自身こそが『赤の女王』の真似事をしているのだから!」
「……成程? 『彼女』達が此方で遊ぶためのチャンスを『ゲームマスター』から与えて貰っているとでも?」
「そうさ。そうに違いない。彼女たちは『ゲームマスター』からその権限を一部譲渡され、私たちを招き入れようとしているのさ。
 君だって知っているだろう『悪趣味な遊戯(ゲイム)』の主催は何時だってトランプ兵達の誘いで行われているのさ! あの世界での法律は全てが女王の名の下に。女王(システム)が許容したというならば、私たちは満を持して飛び込まねばならない!」
 佐伯・操ドクターマッドハッターに「簡単な言葉で、端的に」と指示をした。男は大きく頷いて笑う。

 ――『穴へ飛び込みますか?』

 コマンドが表示されている。操はマッドハッターを振り返る。
 R.O.O内に残されていた痕跡を辿っては来たが……成程、アリスが『足跡』を残したのはこの穴へと招くためか。
 
 ――おめでとうございます。特殊イベント『Lost Code - ERROR:Rabbit Hole』が解放されました。

これまでの再現性東京 / R.O.O

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