PandoraPartyProject

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夢のアリーナ

 進撃していく。進撃していく。進撃していく。
 多くの夢を抱え、多くの信義を掲げ、多くの望みを叶える為に。
 スチールグラード――現実と名を同じくする、R.O.Oの鋼鉄の地にて。ギア・シリーズを旗艦とし、軍閥が覇を唱えるべく進軍する。
 その戦乱の大地を一人、パルス・パッションは見つめている。その目に浮かぶは焦燥か。ざわざわとする胸を抑えつつ、しかしパルスは動くことは無い。
 ラド・バウで祭り上げられしガイウス・ガジェルドは動き出した――その動きに呼応するつもりであった、が――
 パルスの心には一つの揺らぎが生じつつあった。
 それはガイウス曰く『祭り』でもあるこの騒動に関わるべきか否か。
 動くべきか、とパルスは思う。動かざるべきか、とパルスは思う。戦乱の大地に覇を布く、その覚悟は己にあるのか。
 日和見をするのは楽だろう。闇に堕ち(DARK†WISH)る事も楽だろう。思考することを捨て、その流れに身を任せることは楽だ。だが、それはパルス・パッションと言う在り方の死に他ならない。
 では、何故迷うのか? パルスは思う。それは、自分の双肩に人々の想いが乗っているという事の、真の怖さを、今思い知っているからだ。
 パルスはアイドルだ――偶像。それを人々の信仰の対象だとするならば、人々の想いの具現だとするならば、自分の行いは、すなわち人の夢であるのか? それがパルスの足を踏みとどまらせていた。
 子供っぽく言えば、がっかりさせないだろうか、呆れられないだろうか、わがままな子だと思われないだろうか……そんなシンプルな不安だ。人々の想いを乗せて戦うアイドルだからこそ、その根底には人の支持が必要になる。それを、得られるのか。
 同時に――今すぐあの大舞台に飛び込みたいという思いも、事実パルスの胸にはあった。それは、パルスのわがままだ。パルス自身の想い、パルス自身の願い。その我を押し通すだけの視覚が、自分にはあるのだろうか――。
「やろうよ、パルスちゃん」
 ふと、パルスの背中から声がかかった。そこにいたのは、赤毛の少女。その少女はパルスの友達であり、パルスの活動を支えてくれたファンであり……かけがえのない存在であった。
「パルスちゃんの願いは、ボクたちの願いだよ。パルスちゃんの戦いは、ボクたちの戦いだよ。
 パルスちゃんが望むなら、ボクたちは、それを肯定してあげたい。――そうだよね、皆!」
『うおおおおおおおおおおおおお!』
 そう言った赤毛の少女の後ろに、多くの男女の姿があった。それは、パルスのファンたちの姿だった。
「やろう、パルスちゃん!」
「俺達、パルスちゃんをずっと推してるから!」
「パルスちゃんが夢かなえたいって言うなら、ずっと、ずっとついていくから!」
「夢を捨てないで、パルスちゃん!」
「皆……!」
 パルスの瞳に、涙が輝いた。自分はこんなにも、愛されていた。自分はこんなにも、想いを託されていた。ならば……!
「皆、ボクについてきてくれる!?」
 パルスの言葉に、ファンの間から歓声が響き渡った。託された夢。託す夢。そのやり取りが、今ここで行われていた。
「けど、ギア・シリーズが無いと、他の派閥に対してちょっと不利だね……」
 そう言うパルスに、赤毛の少女は胸を張る。
「それなんだけどね、パルスちゃん。最近ファンクラブに入ったヒイズルのお姫様から資金援助があったんだ!
 それでね、そのお金を使って――発掘したんだ! パルスちゃんのためのギア・シリーズ! ボクたちのアリーナを!」
 赤毛の少女が言う。その言葉に応じるみたいに大地が揺れて、ファンたちの背後から巨大なアリーナ風の巨体がせりあがった。パルスは目を輝かせる。
 それは、夢の具現。夢の城。夢の舞台。パルス達の――夢のアリーナだ!
「パルスちゃん! 決めてよ! この夢の舞台の名前を!」
 パルスは頷いた。考え込むしばし。それから満面の笑顔で、その名を告げた。
「決めた! この舞台は、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021! ボク達の、ボク達だけのアリーナだ!」
 歓声が上がる。パルスの夢を叶える為に、パルスに夢を託して、ファンの皆が笑ってくれる。
「行こう、皆! ボクはこのアリーナで、ボクはこの国一番のアイドルになる! そしてみんなの笑顔のために戦うよ! ファンの皆も、そうじゃない人も! みんな、みんな、笑顔にするために!」
 パルスの言葉に応じるように、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021は起動した。バックにパルスの歌う歌を流し、七色のサーチライトで天を照らし、主(アイドル)の存在を喜ぶように、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021は咆哮する!
 かくして、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021は戦場のただ中へと進軍を開始した。
 目指すはゼシュテリウス! ギア・バジリカ! もっとも皆の笑顔に近い皇帝を援護するため、アイドルたちの戦いが始まる!


 ※R.O.Oの鋼鉄における決戦にパルス・パッションとそのファンたちの軍閥が出現し、ゼシュテリウスに味方しています!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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