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去夢鉄道
去夢鉄道
「酷い人」と音呂木・ひよのはそう言った。不可解な事象と不可解な自称が混ぜ合って出来上がった『ローレットへの依頼』は継ぎはぎだらけ当てにならない情報ばかりが羅列されている。
「俺に言うな」とため息をついた希望ヶ浜学園校長、無名偲・無意式は正式な依頼文面を見下ろして息をつく。『理事長』からの許可が出ているのだ。この依頼文章で良いと彼女がそう言ったのだから自身の一存で変更する時間もなければ義理もない。無名偲・無意式と言う男は極度のめんどくさがりだとでも言うかのように「まあ良いだろう」と雑にそう言った。
「でもさあ、コーチョー先生。情報が少なかった場合って死ぞ? 我等、簡単に死ぞ?」
首を傾いだ綾敷・なじみの言葉に無意式は肩を竦める。死なれては困るが死なないほどの情報を持ち合わせていないのは現状だ。
希望ヶ浜の北側に本拠を構える企業といえば、澄原病院、静羅川立神教、阿僧祇霊園……そして、去夢鉄道だ。
南側といえば、ひよのの実家である音呂木神社に、ローレットを招致した希望ヶ浜学園と佐伯操が『都市形成のためにaPhone等の技術を貸し出した』佐伯製作所などがある。
「まあ、北って何考えてるかわかんないもんねえー。南は佐伯理事長のお膝元って感じだけどさっ」
「流石は北側の高校に通っているだけの事はありますね、なじみ」
ひよのの意地悪な物言いにも何ら気にするそぶりはなく「でしょー?」となじみはにんまりと微笑んだ。猫又の耳をぴょこりと揺れ動かして彼女は楽しげに首を傾いだ。
「南側の怪異なら情報だって掴みやすいだろうが、北側ってなりゃ、未知だからな。
俺は犬に噛まれたら死ぬし、蛇を見たら気が狂う、何なら鳥が襲ってきたらもう目も当てられない」
「はいはい。……ええと? 今回は去夢鉄道の噂に関してを調査してもらうんですか。
ははー……異界の駅と、それに『石神地区』ですか。そりゃあ……なんとも言えませんね。実に脅威で、驚異で、言葉にするにも呆れてしまうほどに陳腐でチープな状況ではありますが、皆さんにお任せするのが一番でしょう。何せ、常識を打ち破るのは常識を知らぬ者ですから」
無意式へとひよのはさらりとそう言った。なじみはぱちりと大きな瞳を瞬かせて「それって出典だれ? 人物名も添えとく?」と首を傾いだ。
「人が格好つけた言葉に出典元と発言者の氏名を記載しようとするのは止めなさい。音呂木神社史、音呂木ひよのとか書いてても良いですが」
「良いんだ……。まあ、いいや。『石神地区』ってどんな所なの?」
なじみの言葉に無意式とひよのは顔を見合わせて小さく笑った。
――神様が住む所。悪性怪異の根城。不吉の象徴、北枕。新たな何かを見つけられる可能性。
……つまり、特異運命座標(かのうせい)に打ってつけな困難なのだそうだ。
平穏無事に、安心安全に、五体満足に『彼ら』が帰って来てくれる事を、今は願おう。
※希望ヶ浜学園オリエンテーションが終了し、希望ヶ浜地域の『石神地区』の調査依頼が発生しました!
※――KBH臨時放送のお時間です。
※サミットの結果、各国に領土が獲得出来るようになりました!
キャラクターページの右端の『領地』ボタンより、領地ページに移動出来ます!
→領地システムマニュアル