PandoraPartyProject
宇気比
――瑞よ。もしも貴女が浄き神子であるならば、その心のまま再誕が為されるでしょう――
祖の声を聞いた。
瑞が『浄き神子であるならば再誕が為される』という誓約(うけい)が交された。
黄龍が告げたその言葉が確かな物であれば瑞神は傷を癒せば元の守護者として神威神楽に君臨することが出来るだろう。
彼等は大精霊であるが此の地に古くから根付き神と称される存在である。その彼等が言うのならば信じてよいだろうと霞帝は告げた。
「……大戦を――否、神逐(かんやらい)を為したイレギュラーズに、先ずは礼を。
つづりを、そそぎを……天香の義弟を……――否、神威神楽を護ってくれて有難う。
月並みな言葉で申し訳ない。だが、屹度……屹度、貴殿等が居なければ此の国は潰えて居た事だろう」
瑞神の『けがれ』を屠り、神意の瑞兆が与えた黄泉津の恵み。けがれの雨荒み枯れた泉は湧き出た。蓮華が車輪が如く花を咲かせ、高天御所には美しき花と草木が芽吹く。それが瑞神の再誕を意味していることを誰もが感じたことだろう。
季節外れに咲き誇った其れが瑞神が無事であると言う証左である。
「此の美しき京を、俺と天香が大切に護り続けたこの地を――喪うことが酷く恐ろしかったのだ」
故に、霞帝は深々と頭を下げた。黄泉津に座す神威神楽。その天たる青年は震えるように声を絞り出した。
傍らに立っていたつづりはそそぎを気遣うように目を配り、晴明は「帝」と彼の名を呼んだ。
「我らが感謝は約束した『祝勝の宴』にて伝えることと致しましょう。天香の義弟殿――遮那殿も皆を招きたいと言っていた。
良ければ彼の邸にも訪れて呉れ。……無論、彼が拒絶しないのであれば我らが宴に引き込むのだ」
寧ろ、彼とは此れから国を良くする為に手を取り合いたいのだと晴明は柔らかに微笑んだ。
「セイメイ、笑ってる……」
「ふん……」
そっぽを向くそそぎを連れてつづりも祝勝会に顔を出すことだろう。
さて――宮中の話に戻ろう。
指導者には眠りより覚めた霞帝が君臨し、その補佐として中務卿である晴明がナナオウギ――『八扇』へと復帰することとなる。
扇の掛けた長達についても任命を改め、國を動乱より立て直す必要があるだろう。
黄泉津には神威神楽以外にも小勢力が存在して居る。日々の小競り合いを行う國などに此の動乱の隙を突かれぬようにと早急な対策が必要だ。
「俺の腕の見せ所だな」と霞帝がにんまりと微笑むが、晴明が咳払い一つで彼の発言を遮る。
此度、『神逐』を行う切っ掛けとなった『巫女姫』の『大呪』であった。その影響が黄泉津瑞神が溜め込んだ穢れを破裂させる切欠となったのならば、瑞神に穢れを溜め込ませぬ為の対処が必要だ。
瑞神が穢れを溜め込んだ理由の一つ此岸ノ辺はザントマンの呪縛解かれたそそぎとつづりであれば穢れの浄化を為す事ができるだろう。
そして――獄人差別と、獄人解放による暴徒発生での八百万の不信感に対しては霞帝主導の元、徐々に緩和する政策をとることと決めた。此の動乱の中で見えた各人のスタンスを鑑み、議論を重ねることであのような不運を繰り返すことはないだろう。
「まだ、我が國も不安定だ。然し、貴殿達が遥か大海を越えてきてくれたように――
俺達も新たな歩みを始めなくてはならないのだ。
政とは荒れ狂う波濤となることもあろう。不和が溢れ、押しつぶされそうに為る事もあろう。
だが、我らは神意を尊び、黄泉津に芽吹く遍く命を愛し、そして立ち止まること無きよう……向かおうと思う」
――此の地を神威神楽(カムイグラ)と定めた祖は願っただろう。
神の威光を頂き、遍く命を神子として神宿る場所(神座)に幸溢れん事を――
*豊穣郷カムイグラにて、巫女姫・天香長胤・ザントマンを打倒し『神逐』が為されました!
*領地でRAIDイベント『色宝争奪戦』が終了しました!
この結果により『ファルベライズシナリオ』に影響が生じる場合があります!