廃墟の中、エントランスから横の扉を開ければ、そこには小さな談話室。
小綺麗に整えられたその部屋のテーブルには、妖しく煌めく３つの１２面ダイスが置かれている。
明かりの覚束ない部屋の中で、紅い眼をした部屋の主が静かに笑う。

「おや、こちらにご興味がおありで？こちらでも占いをしておりますが、
こちらの占いはもう少しカジュアルなものでございますよ。
まあ、軽く運命を垣間見てみたいのであれば…珈琲でも飲みながら、お話を聞かせて頂きましょうか？」

※当スレッドは来客用で、対面式のRPスレッドとなります。
ヴァイオレットに占って欲しい方は、こちらのスレッドにて来店RPの書き込みをお願い致します。

…ワタクシよりよほどワタクシの心の内を解っておられるような気がしますね…やれやれ
そうですね、そういう事でしょう。
人であって人でない者の運命を視て…そういった安堵感を得ているのだと思われますよ。

ある意味、似たもの同士なような気もしていますからね、我々は…

人であろうと、なかろうと、人と共に居るなら、然程変わらないと、思う、ぞ？

似た者同士というのは、悪くない気分、だが。
（少し髪の毛が揺れ始める）

ヒッヒッ…そう思って下さるなら僥倖でございますとも。

斯様な身ではございますが、時に同族恋しさが湧くというのも否定はできませんからねぇ…
人たらん方がお近くにおられるというのは、少しばかり安堵感がございますれば。

ああ、それは……マリアも、わかる。
自分自身が何者か定まらない、というのは、少しばかり、寂しい。

ま、その点でいえば…“混沌”に来てからは随分とマシになりましたがね
此処にはエクスマリア様のように…只人でない方の方が多いですから。ワタクシにとっても、大いに気が楽ですとも…


…さて、随分と長くお引止めしてしまいましたね
此度、こちらを訪れてくださり、ありがとうございました。エクスマリア様
ワタクシにとっても、非常に有意義な時間でしたよ

（その男は無遠慮に、さも自分の家であるかのような気軽さで扉を開きやってきた）
よぉ、ここに腕のいい占い師がいるって聞いたんだが…やってるか？

おや、これまた、こんな場末の廃墟すら絵画となり得るようなお方がいらっしゃいましたねえ

初めまして、腕が良いと名が通っているのは恐縮ですが、恐らくワタクシがその占い師でございます
ようこそいらっしゃいました

(影に潜む占い師は現れた男性に恭しく礼をし、来訪を歓迎する)

絵になるって言うならお前さんの方がそうだと思うがね。
（顔を眺めて何かを思い出すように）
あー…アンタあれだな。ラサのオアシスの依頼で会った…。
名前は…ヴァイオレット…何とかだったか？

ああ、何処かでご一緒したかと思いを巡らせれば、あの時の
その節ではどうもありがとうございました
あの時の商人の敗北には興じるものがありましたねえ（くすくす）

ええ、そのヴァイオレットなんとかでございますよ。改めまして…ようこそ、ルカ様
此度は占いを求めて此方へいらっしゃって頂けたとのことで。詳しいお話をお聞きしてもよろしいですかな？

あぁ、頼むぜ。
ただちょいと具体的じゃねえかも知れねえんだが構わねえか？

ふむ？　ある程度でしたら融通は十分に効かせられますよ
場合によっては占いの手法を変える手もございますゆえ。

先ずは何を占って欲しいかお聞かせ頂けませんかな？

そうだな…。
知り合いの話なんだがな。
そいつは俺の知る限りいつもつまんなさそーなツラしてるんだ。
俺はそれが気に食わなくてよ。なんとか笑わせようとあれこれやってるんだが今のところ成果なしってところだ。
そいつは使命っつーもんがあって、それが解決しねえと多分ロクに遊びにもいけねえ。
だからあれこれやってるのと合わせてその使命の解決もやってるってところなんだが…。

こう、他にやれる事はねえのかっていうか。
占いに全部を委ねる気はサラサラねぇが、占って貰う事で俺の気付いてねえ何かとか、そういうモンを得られればって思ってな。

だから占って欲しい事は一言で言うと「その女に対して俺がやれる事は他にないか」…ってところかね？

ほう、ほう…なるほど
それはまた難儀なお話で。誰の事なのでしょうかねえ……

然し、そういった事でしたら良いでしょう。すでに様々な事を試されたのであれば、成程確かに、具体的な話とは言いますまい…

畏まりました。それではある程度の方針を定めつつ、「その方にしてあげられれる事」を占わせて頂きましょうか。

（そう言って、ヴァイオレットはダイストレイから３つのアストロダイスを手にとった）

へぇ…。サイコロ使うのか。見慣れねえ感じの占いだな。
占いっつーとカードとか、水晶玉とか使うイメージだったぜ。

ええ、このダイスはアストロダイスといいましてね。
１２面ダイスのそれぞれに、占星術のサインが描かれています
これによって出たものから、質問者様の運命を視る…といった具合ですね

…さて、それでは
（さらり、と水が落ちるかのように自然な動きで、トレイに３つのダイスが転がされた）

…出ました
１つめのダイスは『サウスノード』
２つめのダイスは『処女宮』
３つめのダイスは『第２ハウス』と出ました

これらを、解説しながら順番に読み解いていきますね

１つ目、惑星のダイスは『サウスノード』。別名、ドラゴンテイル。月の降交点、あるいは南を現すシンボルであり、問題そのものを表します。
これは質問者の『過去の業（カルマ）』を現すノードであり、そして『気付き』を表しています。このシンボルが現れたのは、アナタの過去、もしくは内面に答えがあるのだという事を示していますね

２つ目のシンボルはエネルギーをどう使うかを表します。指し示されたは『処女宮』。これは控えめながら完璧主義を表しております。潔癖、知的、または…確固たる意思。思いやりや控えめさを表しますね

３つ目のダイスが現すは、事が『どこへ』向いているのかを表します。指し示されたは『第２ハウス』。これは資源、資産に関するライフエリアを指し、物お金、所有物、あるいは…アナタ自身の価値、や取り巻く環境を指すのです


これらを『その方にしてあげられる事』という質問に対し、読み解くならば…



実は、アナタが行ってきた事の中に、その答えはある、と出ています
成果が無いのではなく…アナタが成果に気付けていない、という事ではないでしょうか

控えめでありながら、確固たる意思。潔癖、或いは妥協を許さぬ想い…
その方はエネルギーの大部分をそこに割いてはいるものの、少なからずそこに秘めたる想いがあるのです。

恐らくお相手の方は、アナタのしてきた事は一つ一つ、覚えているのでしょう
贈った物、割いた時間、紡いだ言葉、見せた表情を、きっと大切に思っています

ただ、それに応える余裕が、相手には無いだけ、ではないでしょうか

アナタ自身が相手の反応を気にするあまり…
相手が抱いている想いを、自分自身で『成果なし』と解釈してしまってはいないでしょうか
劇的な何かを行えば、何かが変わると、思ってはいないでしょうか

…アナタの過去、或いは価値、或いは取り巻く環境…
アナタには、『振り向き、気付く』事が、何よりも大切だと…そう、ダイスは出ております

…いかがでしょうか

なんかこう…難しいな。
あー…つまり焦りすぎって事か？
結果は目に見えない形で出てるかも知れねえ。そこに俺が気付いてない…って感じか？

言われて直ぐに成程そうか…たぁならねえが…。
そういう可能性は確かに考えもしなかったな。

ヒッヒッヒ、すみませんね、ダイスの意味のそれぞれまで語ってしまったが故に長く複雑になってしまいましたが、結論だけ述べればご認識の通りでお間違えございません。

その通り、結果はアナタが気付けていないだけ、ということらしいです。

勿論、この占いは指針の一つです。『現在から先へ至る筋道の一つ』を、このダイスを用いて詳らかにしただけに過ぎませんからね、確かでもあり、不確かでもあります

占いとは、ただの啓示
それをどう受け取り、どう感じ、どんな選択をするかこそが大事なのだとワタクシは思います

信じるも、信じないも、受け手の自由なのですから

んや、説明も面白かったぜ。
ドラゴンテイルってのを引けたのは嬉しかったしな。

参考になったってか、考え方の一つにはなった。
ありがとうな。
で、お代はどんなもんだ？

ええ、ええ。一時の余興となれたならばそれもまた良し。

いずれにせよ、この時間がアナタにとって意義のあるものとなれたならば、占い師冥利に尽きるというものです

そうですねぇ、お代…といえるかは解りませんが
次またお会いすることがあれば、ラサの素敵なお店でも紹介しては下さいませんか？
最近活動範囲を広げているのですが、あのあたりはどうにも雑多で、当たり外れが多い印章でしてねえ、その筋に詳しい方に案内頂けると、非常に助かるというものです

あぁ、構わねえぜ。
ラサは色々あるからな。
安酒を出すところもあれば、上等な酒を出すところもある。
そりゃあ需要が幅広いからなんだが、地元のモンか伝手があるやつじゃねえと中々そのへんの機微はわからねえからな。
それとも、酒よりも服飾関係の店がお望みか？

あぁ、それとちょっとした雑談なんだが、もう1つ構わねえか？

ヒッヒッヒ、どちらでも。アナタおお勧めのお店でしたら、お酒を出す店でも服飾店でも。
…ワタクシが利用する、とは限らないのでね（小声で）

おや、何ですかな？勿論構いませんとも、何かございましたかね？

おう、じゃあ今度案内するぜ。

占いをしてる理由に興味があってな。
俺らはイレギュラーズとして不足ねえ報酬を貰ってるから、敢えて占い稼業をしてるのには何か理由があるんじゃねえかと思ってな。

ふむ……そうですね
（珈琲を一口含め）

…これはワタクシの身の上話の一部となるのですが、ワタクシはある理由から『悪人』を探しているのです。
元の世界においては、裏社会に潜みながらそういった情報を得るために、占い師が良い隠れ蓑になっていたというところでしょうか

今では…そうですね、大本の目的は変わりませんが、身につけたこの技術で、皆様の運命を垣間見てみるのも面白いと、そう思ったゆえに続けている感じです

ようは…そうですね
端的に申し上げるなら、趣味、でしょうかね

悪人を探してた？
あれか、たまにいる正義のヒーローってやつか。
旅人だとちょいちょいいるよな。悪人を懲らしめる商売だかなんだかをやってたやつっての。

なるほど、元々は手段でやってたけど趣味になったって感じか。
混沌は異世界から来るやつが大量にいるからな。
千差万別で面白ェってのはわかるな。

…正義？ヒーロー？はは…そんな高尚なものではございませんよ
ワタクシも間違いなく、悪人の部類でございますよ。悪人を探すのもワタクシのごく個人的な理由に他ならないのですから

ま…そんなところですね
少なくとも、こうして顔が広がる事は悪い事ではございませんし、
占いによって少なからず助力が出来ているのであれば、それに越した事もございませんゆえ

アンタがどんな世界から来たかは知らねえけど、人殺しそのものが悪って世界もあるみてえだしな。
そういう世界だと金のために人を殺す俺ら傭兵も悪人ってことになるのかね。
ま、この世界にいる間はそう気にしねえ事だな。
元の世界に帰るつもりがあるなら、大変だろうけどな。

あぁ、たしかにこの世界で顔が広いってのは、良いことばっかじゃねえがメリットはそれを上回るからな。
旅人にはそういう活動も大切なんだな。目から鱗だったぜ。

悪人を自称するには随分優しいこと言うじゃねえか。

…どうでしょうね。人を殺すか、殺さないかだけの尺度で図れる事なら、簡単だったのですが
（目を細め）

そうですね、我々ウォーカーには世界に基づいたツテやコネも何もありませんからね
元より、敵を作りやすい性分なれば…味方や利用できるものは多い方がいいというものです。…それだけの話ですよ。打算的な見返りを求めてるに過ぎませんとも

ふーん…。
簡単じゃねえものを抱えてるんだな。
行きずりの男でも良かったら聞くが…、アンタはダチも多いって聞くし、余計なお世話かね？

打算的な見返りね…。ま、お前さんがそこまで言うならそこはこれ以上突っ込むのはやめておこうか。

ヒッヒッヒ…友達…
…そうですね、ワタクシのような存在には勿体ない程に、良い縁に恵まれたものです…

アナタの方からもそのように気にかけて下さるのですから、これもまた良縁でございましょうね
踏み込むも、そうでないも、相手との距離をしっかりと測りながら判断される所…そのように気にかけて下さるのは、まぁ。悪い気は致しませんよ

そうかい？そりゃあ良かった。
俺としちゃあアンタみたいな美人さんにはぐいぐい行きたい気持ちもあるけどな。
ま、焦りは禁物ってやつだ。

さて、ちょいと長居しちまったな。
聞きたい事も聞けたし、そろそろ行くとするぜ。
アンタを長い間独占しちまったら妬みを書いそうだしな？

ヒッヒッヒ、お上手なのですから
駆け引きにも長けておられるようですし、油断できませんねえ…

いえいえ、ワタクシにとっても有意義な時間でした
ワタクシなどに妬みどうこうを抱く方がおられるかは解りませんがね

アンタは結構な人気者だと思うけどな。
じゃ、また依頼で会ったらよろしくな。
お代の方も、今度声かけさせて貰うぜ。
（ひらひらと手を振りながら店を出ていった）

（コンコン！　雑なノックから扉を開き、中へと足を踏み入れる。修道女の格好をした女は居るはずの貴女へ声を掛けるだろう）

うーっす、失礼するわよぉ。店主さんはご在宅ぅ？

おや、アナタはコルネリア様ではないですか。ようこそいらっしゃいました

ええ、おりますよ。店主は此処に
（影の奥できらめく赤い瞳の持ち主は、占いのテーブルに腰掛けて来訪者を歓迎する）

あ、やっぱアンタの店だったのねぇここ。
近く通りかかったもんでもしかしてって思ったんだけど。

折角だし客として金落としにきたのだわぁ。今大丈夫？
（言いながら椅子に手を掛けて貴女の顔を見るだろう）

ええ、今ちょうど前のお客様がお帰りになられたところで…席なら空いておりますよ

これまた縁に導かれたという感じですねえ、ワタクシの店に興味を持って下さったのは有り難い限りですが…

ラッキーラッキー、無駄足ならんくて良かったわぁ。
んじゃま、ちょっくらお邪魔して。
（椅子を引いてそこそこ乱暴に座れば）

興味ってか、まぁ占いってのがどんな事言われんのか気になってはいたからねぇ。
占いの内容はどんなの言えばいいのかしら。悩み事とか？

ええ、そうですね
悩み事や心配事が一般的ですし、もっとシンプルに、金運や恋愛運といったもの…
このあたりが無難でしょうか

此方で扱っております占いは、アストロダイスというものを使用して占いますので…
「YES」「NO」で答える質問だけは若干不得手としておりますねえ

金は……まぁいいか。恋愛ってぇ柄でもねぇしなぁ。
んじゃ、ちと曖昧にはなるが……

ワザとではないんだけど、ある時ソイツの大事なモンを壊しちまった。
ソイツとは特に話した事もないし、なんなら二、三度すれ違っただけでもある。あたしの方の認識ではね。
んでまぁ壊しちまったモノはもう取り返しが効かなくてなぁ、買えるもんでもねぇし。
謝ろうにも向こうはアタシに怒ってて話を聞かない訳で。
さぁどうしたもんかなと。ちょいと事情があって近々ソイツが住んでる所に足を運ぶんだがなんか取っ掛りでもねぇかなって。

別にこれで解決しようなんざ思ってないけれど。話のタネに持ってけねぇかなぁぐらいで。こんなんでも大丈夫？

ええ、勿論構いませんよ。
これで詳らかにしたい事というのは…『その方へのアプローチの方法』でお間違えないでしょうか？（ダイストレイから、３つのダイスを手にとって）

あぁ、それで頼む。
（占いを間近で眺めるのは初めてのこと。どうやってるのかついつい細目で眺めてしまいながら）

では…運命の流れを覗き見てみましょうか
星々がこのダイスに、アナタの知りたいことを映し出してくれるでしょう…

（はらり、と３つのダイスが手から離れ、ダイストレイに転がった
転がったダイスはしばらくすると止まり、３つのシンボルを上に向けた）

…出ました
１つめのダイスは『冥王星』
２つめのダイスは『金牛宮』
３つめのダイスは『第１１ハウス』と出ました

これらを、解説しながら順番に読み解いていきますね

冥王星は破壊と再生を司るシンボルです。
変化、転換期、復活…そういった、人の手の及ばぬ、あるいは手に負えない状態といった意味を伴う天体となっております

金牛宮は実直かつ安定、堅実かつ穏やか…そんな意味を示唆しております
現実的、伝統的とも読み取れますね。確固たる力強さを現しております

そして第１１ハウスは友人や知人に関するライフエリア…
社会組織、チーム、グループを現しております


これらから『その方へのアプローチの方法』という観点で読み解くならば…


その問題そのものはかなり根深く、ちょっとやそっとの変化では問題そのものを取り除くのは難しいでしょう。正直、コルネリア様だけの力では上手く事を変える事は難しいと
これに関してはその方や、或いはコルネリア様の縁ある人物の手を借りる事が重要となります。若しくは、所属する共通の団体などに、でしょうか。
そういった方に取り持って頂く事で、多少なりと話のきっかけくらいは作れるのではないかと思われます。

劇的な変化は既に起きており、此処から更に劇的な変化を望む事は出来ないのは、この金牛宮が示しております。遅くとも確実に、地味でも着実に、事を運ぶ事が、この問題を解決するに足る近道であると…そう示されておりますね。

…このような結果と相成りましたが、いかがでしょうか？

ほぉん……なるほどなるほど。
アンタにゃ悪いがお遊びな感覚で来たんだがこりゃ案外ホンモノなのかもなぁ。

カードの意味合いだかはわからねぇけどその結果にゃ納得できるわね。
アタシの手に余るから解決してぇなら他の手も使うと吉ってか。
劇的な変化に期待はできねぇなら急ぎすぎると事を仕損じるって感じかしらね。

ヒッヒッ、それは恐縮です。お眼鏡に叶って下さったという評価は有り難いですね

結果としては、余り劇的なものを齎したという訳ではございませんね
堅実な…ある意味、面白みのない答えやもしれません

しかしながら、お聞きした状況からも…打開する取っ掛かりは薄いように思います
事態を動かそうと焦りすぎないこと…それが肝要でございましょう

おっけおっけ。全部を鵜呑みにゃしねぇが充分な指針にはなった。

怪しい占い師ってのはぁ思ってたがこりゃ馬鹿にできねぇな。
堅実結構、長い目で見ていくさ。代金はいくらだい？今なら機嫌が良い、言い値で払っちゃるわ

それもまた良し、でございますよ
占いとは指針の一つ。従うも抗うも、受け手の選択を後押しできればそれで良いのです。
あくまで此れは判断基準の一つ。そう思って頂ければ幸いです。

ヒッヒッヒ、怪しいと思われる印象は間違いございませんよ
この身なり、この雰囲気、この話し方ですからねえ、胡散臭いと思って頂けるならその通りですとも。

代金は…そうですね、アナタでしたら、これくらいでいかがです？
（さらさらと羊皮紙に描かれた金額は、銃弾のマガジンひとつ分もしなかった）

胡散臭いと思って頂けるなら、ねぇ……まぁいいや。
ほぉん……
（羊皮紙の金額を見て目を細め）

おっけー、これで頼むわ。
（机に置かれたのは記載された金額の倍以上。椅子から立ち上がりコートの裾を合わせながら）

かわい子ちゃん、今度アタシとデートでもしてくれや。それはその代金。
んじゃあな。
（薄い笑みを浮かべ店から出ていった）

…やれやれ、敏い方で。勘付かれましたかねえ
これだから、実際に多くの悪に触れてきた妙齢の方というのは厄介です
（出された金額を受け取りながら）

…ああいう大人の余裕、ワタクシにはまだまだ出せませんからねえ