簡素なベッドが２つ。片方はアクセルが寝る用。

後は机と椅子と薬棚。無口な闇医者はそこにいる。

……トカム。…歩き回るな。(傷が開いてしまうし痛いだろうという心配を込めてそう言う。伝わるかは聞いた人間次第だが)

げっ、冥府の……って変な言い方してんじゃねぇ！モロに疑われちまってんじゃねーか！
（助け舟どころかとんでもねぇ爆弾が降って来た状況に思わずツッコむ）
いくら俺が金汚くても流石にそっち方面には手ぇださねぇよ。

というか、アンタ冥府の騎士と居るって事はアレか？ホモなのか？？
そんな教育上よろしく無さげな環境にレディを残すわけにはいかねぇぞ。

（玄関まで歩いてきて）…おう、医者サン。薬はまだ掛かりそうか？
早い所、一発決めときたいんだが。（実際の効能を試しときたいと言う意味で）

……冥府の？…トカムのことか。……患者だ。友人でもある。……知り合いか、トカム。

(二人の後ろから顔だけ出してトカムに)
……きずが、ひらいたら、いたいよ？って、おじさんが心配してる。

……ほも？
(うしさん？)

(モルグスを見て凄く申し訳なさそうに眉を寄せて)……すまない、襲撃があった。ひとまず落ち着いたから、用意する。……かなり強力な薬だから、処方は慎重に行いたい。仕事の後に此方へは来れそうだろうか？

俺の事はトカムって呼んでくれよ。今はもう互いに組織とは無縁だろ晴明。

（アクセルに叱られてもケロッとした顔で）
じっと寝てられねぇ性分だし、モルグスもほら、痺れを切らしてるぜ。

知り合い……まぁ、そーだな。敵対してた時期もあったが、悪いやつじゃねぇよ。今は同じイレギュラーズ仲間だ。

（軽く頭を抑えつつ）襲撃ねぇ…。まぁいい、出来れば仕事前に欲しい。
その仕事まではまだ数日あるから、それまでに頼みたい。

キメときたいってそっちの方がやべー薬使ってんじゃねぇの……。
（モルグスの言葉で勘違いをして、じっとアクセルを見る）
しかし患者だ処方だと、まるで医者みたいだな。

……組織とは無縁だが、正直お前がここまで普通に接してくるとは思わなかったぜトカム。俺の兄上の過ちでアンタにはすまない事をした。恨まれても仕方がないと思ってる。

いや……薬自体は今渡せる。だが、2回分で足りそうか。

……トカム。お前は、彼を信用しているか？

(晴明を見て)……医者だが。

まぁ、（あくまで鎮痛剤だが）やばい薬なのは否定しない。
本来ならあまり使いたくないんだがな…。
…ん、まぁ、他の奴もそう言ってるから医者なんだろう。

2回分か…効果時間は1回でどの程度持つ？

……10時間、というところだな。続けて飲む場合もそれだけ時間を開いた方がいい。

許しがたい事だと思ってる。
でも晴明自身が俺の家族に手を加えた訳じゃないし、むしろお前は組織からうまく逃げたのに、兄貴を止めようと立ち向かっただろ。
それに……恨むことも絶望にひたることもやめた。

アクセルが教えてくれたんだ。
愛する事の大切さをさ。
（とてもいい話だが根本が間違っている事は未だ気付かず、何の疑いもない様子で言い切った）

アクセル、信用していい。金汚いが悪いやつじゃないぜ、多分。

……恩にきる、トカム。
（深々と頭を下げた。そしてトカムのいい話に、あーなんかやっぱデキてんだなーとアクセルとトカムを見比べたのだった）

医者？嘘つけ、あんな廃屋でどうやって衛生確保出来るんだよ。大体お前さんみたいにカタギじゃないオーラの医者なんか居たら、普通ビビって診察どころじゃねぇだろうがよ。
（モルグスの説明と薬についてのやり取りに、やっぱりやべー薬なのかと表情がひきつった）
……若いうちから無茶しすぎるなよミスター。

おお、結構持つな。それだけの時間がありゃ十分だ。
…んじゃ、二回分の金だ。受け取れ。（ポーチから結構な量のゴールドを取り出す）

あぁ、（とても不思議な事に）割と清潔だったぞ。何でだろうな？
今回が初回だが…まぁ、（鎮痛剤だが）偶にしか使わないつもりだし問題は無い。

……そうか。お前が言うなら、少しは信じよう。(この世界での新しい友人は部隊を率いていたことがある様な事を言っていたから、人を見る目はあるだろう。少しだけ、晴明への警戒心が薄れた)

……私はもともと、非合法の治療も請け負っていた医者だからな。

強力な分、何が起こるかわからん。依頼で使うというなら事前確認もやむを得ないが……事前に服用する段階で、少しでも異常を感じたらすぐに此処へ。動けなくなったらいけないから事前に誰かへ頼んでおいたほうがいい。(そう言って診療所の薬棚から薬を2回分取ってきてモルグスへ)

(氷が砕けるような音と共に薄氷色の煌めきが懐へと吸い込まれ消えていった。
身体が本来の持ち主に返還されたと同時に持ち主が感じたのは激しい痛みで)
ーーーーーっつ！！！！
(顔をしかめて必至に痛みに耐える。「あー、センセーのとこに世話になるフラグが立っちまったなぁ」とか片隅で考えながら)

ーー。(すたすたとユディトと呼ばれていた男に近づく)

おう、ヤバくなったら直ぐに来るし、多様も控える。（ゴールドと薬を引き換えて）
動けなくなるのは…まぁ、精神力と気力でどうにかして来るさ。

（痛みに耐えてる人間を見ながら）…コイツにこそ薬が必要なんじゃないか？

なんだこれ超いてぇ。
……いや、何があったかは何となくわかるけど。超いてぇ
(実際は超痛いで済まないのだが。
近寄ってくる無愛想な男と目合い)
……あー？

出来れば、仕事が終わった後も健診へ。…その時、怪我があったら安く診る。

(ユディトと呼ばれていた男の目を見て、雰囲気が和らいでいることに内心首を傾げたが特に言及はせず)

……ん。

(素早く彼の膝に腕を伸ばして「カコンッ！」と正確に関節を嵌めようと)

いっ……！！
(小気味いい音と共に膝が本来あるべき場所に戻された。
が、衝撃と痛みで声にならない悲鳴が上がった。
ざっと２メートルはある巨体がごろんごろんとのたうちまわる様はある意味見ごたえがある、かもしれない)

やべーのは薬じゃなくて医者の方だったオチかよ。
まぁ、この世界の医者は色々と事情が複雑らしいな。
多種多様な種族新しく持ち込まれる病。ただの医学じゃ追いつかない。文字通り悪魔に魂を売ってまで医者の誇りを全うした奴まで居たとか。

あっ、おい。
（医者のクラスにもなれるので、アクセルが何をしたかは分かっていた。無理に止めはしないものの）ちったぁ前置きしてやれよ、びっくりするだろ！？

まぁ、一応来る事にする。一応な。
へぇ…悪魔に魂を売るとは愉快な輩も居たもんだ。そいつぁ誇りって言えるのかねぇ…。

（転げ回る様を見ながら）声すら掛けなかったな。荒療治って奴か？

……？
後で嵌めてやると、言っておいたが。
（ゆるく首を傾げ）

聞こえてねぇよ！

あー……もしかして戦ってる時に言ったか？だとりたらベルには聞こえてない可能性があるな。
さっきまでは手に持ってた短剣が身体をのっとってたが、今そこで悶絶してるのは別の奴だ。

……そう、なのか？（不思議そうな顔で短剣を眺め）

…それなら、すまないことをした。
（申し訳なさで少し顔が強張っているが、なんとなくしょんぼりした雰囲気を感じ取れるかもしれない）

……あー、いや、知り合いの医者せんせーより分かりやすくていい治療？だったと思うから気にしないでくれ。うん。

ベル、お前あの先生にいったいどんなヤヴァいトラウマ植え付けられてんだよ……？

医者ってのは荒い奴しか居ないのか…？
もうちょっとこう…丁寧な仕事をするイメージがあったんだが。

はははは(視線をそらした。)
で、そこのちっこいの(アルトのことである)がなんだって？

いや、実際関節はずしてみ？
治す方法なんて他動的にはめなおすしかないでしょーよ。

やばそうな医者はごまんと居るが、ぶっちゃけナースとか看護師みたいな包容力ありそうなポジションがガッツリと不足してるよな、混沌は。
（腕を組んで考え込んだ。かくいう自分も医療に関しては適当である）

彼女（アルト）は俺の親族らしい。キャラハン家のどっかしらと血がつながっている。

……闇医者をしていると、そも患者が荒い場合が多くてな。(眉間に皺が寄っているが内心しょんぼりしている)

そもそも関節を外したのは医者だけどな。
まぁ、別に良いか…。

(頷いて)骨を折ったら、治癒に時間がかかるから関節を外した。

(晴明の後ろに隠れていたが顔だけを覗かせて、じぃ、とリチャードを見た)
……二重人格の、へんなおじさん。
(へんなおじさん認定をして再びかくれた)

医者って普通そんな事態に陥る事が珍しいのでは…？（素朴な疑問）
…へんなおじさんが増えたな。

……いや。患者の追っ手が来る場合も、ある。

幻想は他の国に比べりゃまだ安泰な方だし、アンタの診療所に来る奴だけがちょっと変わってるんじゃねぇのか？まぁ……客足が全くないよりは信頼されてるんじゃねぇの。そのスジの人に。
（悪属性でも手厚く治したなら、それが噂になっていても何らおかしくはない。
自分の後ろに隠れてすっかり懐いた様子のアルトの頭を優しく撫でて）
へんなおじさんでも、そこの二重人格のは俺の大切なパートナーだ。
それに、仲良くするといっぱい飴ちゃんくれるぜ？

パートナー……？おじおにいさんと、へんなおじさんは付き合ってる、の？
かみさまにおこられない？
(飴は気になるが、それよりも気になるのが自分の信じる神様に怒られないかどうか、であった。)

おう、キャンディおじさんだ。キャンディ食うか？
(へんなおじさん、と呼ばれることに関してはどこかに引っ掛かる節があるのかスルーした。)

まー、ストレートに言えば付き合ってるで正解なんだがな。
神様とやらに怒られるかどうかは死なないとわからんし、ある意味神様(先程の短剣、ユディト)には黙認されてるし大丈夫じゃねぇかな。

普通は追手なんか来ないんだぜ？普通は。（普通を強調）
…おう、非生産的なカップルって結構多いからな。
多くの神は（苦）笑いして赦すだろう。

闇医者としては普通だと思うが。(キョトンとしている)

そもそも闇医者が普通じゃないってツッコミはありか？

……で、えーと……、名前は？
(少女にキャンディをわたしながら訊ねる)

そうなんだ……、(ちょっとよくわからなかったけど納得することにした。)
わたしの、なまえ……、アルト。
アルト・ザ・ローズレッド

俺が言ってたのは、闇が付かない方の医者だったんだが。
まぁ、闇が付くなら仕方無いか…。

同性だって魔法で子供が作れちまう世の中だぜ。まぁ、大体は非合法だったりやべー術ばっかだからそういう子供の作り方はバッシングされる事多いけどな。

レディ、人間は誰しも罪を犯さずにはいられない。代わりに善悪のバランスをとって生きるのさ。悪い事を一個したら、それよりよい事を２個すればいい。神さまだってきっと許しーー……ローズレッド……？ローズレッド、だと……！？

アルトか、『優秀な』『秀でた』って意味だっけか。いい名前じゃないか。
(少なくとも自分の本名よりは。)

(驚いたようすの晴明をみて不思議そうに訊ねる)
ん？どうしたよ？

……。(交互に晴明とリチャードに視線を移している)

……いや、なんでもない。
まだそうと決まった訳じゃないからな。
ただ、彼女の身の上に少しばかり心当たりがある。