花畑広がる原っぱに、鬱蒼と茂る森の奥に、街の路地裏に、海辺の洞窟の中に、その店は在る。縁があるなら、必要だと思った時にあなたはここに来る事ができるはずだ。

外観は二階建ての大きなレンガハウス。店の機能を持っている一階には商品陳列棚、カウンター、後は数人が談笑できる程度のテーブルと椅子が何セットか置いてある。

カウンターに置いてある椅子に座っているソレは笑って言った。

「いらっしゃい、何処でもないドコかへ。誰でもおいで。何か買いたければカウンターへ向かうといい。急ぎじゃないコは万色の“世間話”をしようじゃないか。ヒヒヒヒヒ……」

(早速打ち解けている様子の2人を満足そうに眺めている）

店主のおかげで色々な事が前に進み始めた気がします。何処かで礼をしなければなりませんね。

（ここかナ？と首をかしげながら挨拶をする）
えート……コンニチハ？

おや。(客人に気が付くと、ソレは屈んで目線を合わせて) コンニチハ、可愛いコ。今日はどうしたんだぃ？

おや、大きな猫様の次は小さき隣人さまだね。こんにちは。(隣にしゃがむ)

（大きなまん丸な目が閉じ微笑んでいるような形になった）
ボク、シェプ！あなたは武器商人サン？
お手紙もらったから、秋じゃないけど先に遊びに来てみたノ……！

（もう一人に気づき、慌てて挨拶をする）
コンニチハ！大きな猫サンもいたんダ（猫がまだこのあたりにいないかキョロキョロする）

にゃ、にゃぁーー。（求められた気がして、とりあえず鳴いてみた）

うン、そう呼ばれているよ。秋じゃなくても遊びに来てくれるのは大歓迎さ、可愛い隣人。

大きな猫は気が向いたらまた来るさ。あそこでにゃーにゃーしてるのは猫じゃなくてセパードね。この眼鏡のコは我(アタシ)の所有物。

シェプ君だね、よろしく。斉賀京司だ。(握手を求め)
……背の高い椅子を用意するから待ってて

？？？（猫じゃなかっタ……）
秋が遅いから待てなかったけど、よかっタ。ココ色んなものがあってすごいネ！

京司サンネ！よろしくネ（握手する）椅子ありがト！

あらゆるジャンルの商売人が店を開いてるからね、日用雑貨から武器まで幅広く用意できるよ。お目当てのものはあるかぃ？

おっと、がっかりさせてしまいましたね。
この鵜来巣 冥夜、次回お会いするまでにご満足いただけるよう、修行してまいります。

店主、以後の修行メニューになんか猫っぽくなれるやつ、追加して戴けないでしょうか？

(椅子を持ってきて)失礼、抱えるよ。(シェプ君を抱っこして椅子に座らせようと)
冥夜は一体何を目指すつもりなんだい……ジャクラーでホスト店オーナーで？

ある時は旅団のジャグラー、またある時はホストクラブのオーナー。走り屋、陰陽師、幾つもの顔を持つ男。その実態は……（シャキーン！と猫手でポーズを取る）

猫になりたいならロザリィに薬を作らせようか？

冥夜サンはいろんなものになれル？スゴイ！（抱っこされながら言う）
じゃぐらー？ほすとくらぶ……？

ボクの欲しい、モノ？ウーン……甘いものは好きだヨ！猫になれる薬ボクもほしイ。

（椅子に座らせ）お茶とジュースだったら、どっちが好き？
ジャグラーは今、見せて貰うと良い。出来るね？
(冥夜にナイフ２本を渡し)

あの美人な猫さんはそんなものまで作れるのかい？

猫になれる薬。それはニャンとワンだふるな薬品なのでしょう！しかし不詳この私、安易に薬に縋る前にまずは努力をしておきたいのです。なのでお薬はシェプ様にお譲りいたしましょう！

(京司から受け取ったナイフを宙に投げ、トスジャグリングに繋げていく。器用に手で捌きながら)はっはっは、２本ではまだまだ。３本からがジャグリングの基本ですよ。芸は身を助くと言いますから、実は他にも色んな物を体得しております。

おや、そうかい。それじゃあシェプの分の薬は安全面を考慮して我(アタシ)が作ってあげようね。甘いものが好きなら茶菓子をいくつか用意しよう。気に入ったものを包んであげる。（影の中からごぽりと湧き出るように行李が出てくると、その中をごそごそと漁る）

ロザリィはああ見えてしっかりと研鑽を積んだ立派な魔女だからね。魔法薬に関しちゃ得意分野だとも。

そういえばまた、支店が増えたんだっけ。
近いうちに挨拶した方が良いよな、他の支店にはしたんだし。

（くすくす）ま、支店が増えたというよりは国ごとにエリアマネージャーを置いたような感じだがね。そうするといい。

(指折り数え)四つも……まだ置いてないのって深緑だけです？

あと鉄帝もだね。

鉄帝……限られた土地だから食べ物屋が儲かりそうですね。

お国柄、武器の売れ行きも他の国より盛んだねぇ。酒も良い。ヒヒヒ！

それなら練達のマイマイ研に武器の手入れ用品を作って貰い、鉄帝で売り出せばより良い関係発展が望めますね。
酒でしたら、それこそ豊穣や再現性東京にある辛口が売れそうですよね。
（元世界でやっていたからか、貿易商売に饒舌）

あー、どうだろね。マイマイ・デンデン博士がそんなモノを作ってくれるかどうか。豊穣の酒は売れるだろうね、支部長に連絡を入れていいのを探してもらおうか。

マイマイさんの資料ってありますか？
方向性さえ分かれば口説けるかもしません
ああいう所だと長期保存がしやすいものも必要ですよね

おや、キミがやってみる？資料といえば簡単なプロフィールならあるが……。
（軽く手を振るとトン、と手の中にファイルが落ちてきた。それを拾子へ差し出す）

確実に落とせるかは分かりませんが
(じっくり資料を読んでいく)
好き嫌いが分かれば取っ掛かり易いのですが………

とにかく速さにご執心だからねぇ、あのコ。ある意味キミと気が合うやもしれんね。(くすくす)

速さ……（何か思い付いたのか、メモを書き出す）
なんとなく方向性が見えた気がします

完全に迷った、どこだここは。

おっと、お客様ですね。いらっしゃいませ(ノートや資料を仕舞い)

おやま、いらっしゃい。此処は縁を繋げる店さ。ヒヒ……迷い込んだというなら、此処で誰かを待つ品(コ)の誰かがキミを呼んだのだろう。

取り込み中だったら、悪かったなァ。別に俺は気にしねェからよ、勉強中だかメモ中だか、継続してて問題ねーぞ。

縁を繋げる店？縁結び神社みてェなモンか。
俺は特に誰も呼んではいないが、俺を呼ぶとは物好きな奴が居るんだな。
何を売っているところなンだ？

お気遣いありがとうございます。ちょうど仕事の話が纏まった所です。

なに、大丈夫さ。ほとんど雑談のようなものだったしね。

そうだね、縁結びの神社みたいなモンさ。我（アタシ）の場合は権能ではなく趣味のようなモノだが。（から、から）具体的に売っているものを示すのは難しいね。対価さえあれば、ほとんどなんでも売ってるから。

そーか、従業員？か？

なンでもねェ……、
例えばだ、体の幼い女が一気に成長する薬とか、ねェわな。

はい、住み込みで働いております。
お茶をご用意してきます

成長する薬？それはまた変わったモノを所望するねぇ。一時的になら出来なくも無いかもしれないけど……用意するにしても多少時間はかかるかな。

茶…オカマイナクなァ？

かなり冗談で言ったが、言ってみるモンだな。
時間なら腐るほどあるからよ、百年くれェなら待ってやるよ。
まァ後はグラオクローネのお返しとか買いに来るかもしれねーかな、今後はよ。

なるほど、やってみるとしよう。グラオクローネのお返し？……ああ、なるほど。東京の方か。

であれば……今のところは菓子やカピブタめざまし、酒が当たり障りがないかね。

どうぞ(ほうじ茶をお出しし)
グラクロのお返しなら、ブーケもおすすめですね。

テメェまじで作り上げそうだな、第六感での信頼度がたけえ。
平和ボケの東京から来た。
菓子か（自身が菓子を女性にあげるのを想像し）、この顔面で菓子はびっくりじゃねーか。
カピ…（初めて見る生物の時計を考えて）、悪くねェけど……悪くは。
酒……（をあげている自分を考え）、なンか女性にあげるうえで、下心でねーか？

あ、ども（ほうじ茶を受け取り）ブーケなあ、悪くねーけど俺の顔面で花ァやばくねーか。

酒か、花か、俺って意外と優柔不断だな。まァわるくねーか。
なあ、ここで進められたから買ったってことにしてイイか。俺がだれかにプレゼント選びする柄じゃねェからよ。

(どこかから小さな壺を取り出して、くるくると中身をかき混ぜながら）

いいんじゃない？ちゃんとお返しをするだけでも義理堅さが伝わってくるし、悪くは思われないと思うよ。ヒヒ、実際に相談されてあれこれ勧めている訳だしね。仲が好いのならパーリッシュフェアリーの化粧品も勧めるとしよう。

ええ、良いと思います。
それにしても再現性東京からってことは生まれも？

なンの壺だよ。

そうかよ、ありがとな。
化粧品は……、いや多分、送る相手はそう言うのしねーと思うから、大丈夫だ。必要になったら買ってやる。

生まれも東京だ、旅人だが混沌原産だ。
お前らは？

ああ、気にしない気にしない。ちょっとした運試しみたいなものだから。（くるくると中身をかき混ぜながら）

我（アタシ）も旅人だよ、混沌の外より呼ばれたものだがね。そこの拾子も同じ。