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シナリオ詳細

<烈日の焦土>南部戦線異状アリ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●南部戦線にて
 鉄帝国による幻想王国への領土侵攻。
 幾度となく繰り返されてきたそれは、今現在でも決して終わっているわけではない。
 一部の研究者のせいでスチャラカ発明暴走ランドみたいなイメージのある鉄帝は、元々そういった武断的な面の強い国なのだ。ちなみにスチャラカ発明暴走ランドは事実なのでさておいて。
 あ、そういえば脳まで筋肉ムキムキマチョランドのイメージも事実であるが、やはりさておこう。
 そんな鉄帝の南部戦線にて、1人の鉄帝軍人が荒い息を吐いていた。
 ポーツマス大尉。そんなに広くはないが南部戦線の一部を担う指揮官である。
「幻想が、幻想が反撃に出てきた。撃退せねば。いや、それでは足りない。もっと侵攻地域を広げなければ」
 数日前に送られてきた本国からの慰労物資の数々。その中にあった守り刀を手にしてから、だっただろうか? 妙な気持ちに襲われるようになったのだ。
 もっと戦線を広げるべきだ。このままではいけない。
 もっと、もっと。もっともっともっと!
 そんな悪意に満ちた囁き声あ、ポーツマスを少しずつ狂気へと落としていく。
 部下も何かにとりつかれたように乗り気だったのもあったからだろうか。
 侵攻計画はすぐに決まり……何処からか砲弾が撃ち込まれたのが今朝のことだ。
 幻想の反撃が始まった。そう叫んだ下士官たちはすでに大規模な反撃の準備に入っている。
 きっと、すぐにでも反攻計画は動きだす。
 それでいいのか。いや、きっと正しい。違う。これ以外は正しくない。
 ずぶずぶと狂気に沈んでいく。それはもう、自分ではどうにもなりはしなかった。

●南部戦線へ
「南部戦線501地点。そう呼ばれる場所があるです」
 チーサ・ナコック (p3n000201)は集まった面々にそう切り出した。
 南部戦線501地点。鉄帝国南部区域の戦線における北部戦線と南部戦線のうちの後者であり、その一角である。
 担当しているのはポーツマス大尉。
 鉄帝においては比較的穏健派の軍人であり、先の騒動でも中立を保ち民間人の保護に動いていた人物だ。
 つまるところ人格者として名高く、それ故に色々とうっとうしがられて南部戦線に送られた部分もあるのだが……そんなポーツマス大尉の担当するこの南部戦線501地点が、どうにも大きな動きを見せている。
 幻想王国への大規模侵攻の動きを見せているのだ。それだけであれば鉄帝としては……あくまで鉄帝としては別に構わないのだが、どうにもそこに妙なものが見えているのだという。
「まるで何かにとりつかれたかのような狂気……それと、現場近くに影のような少女が見えたという話も出てきているです」
 その少女が何者かは分からない。分からないが……白い全身鎧のような男の姿も見受けられたという。
 遂行者エクス。恐らくはそう呼ばれる男に似た何かがいたとなれば、これはもはやただの暴走ではない。彼らを殺さずに止め、笑気に戻さなければならないだろう……!

GMコメント

南部戦線501地点に赴き、ポーツマス大尉率いる501部隊を正気に戻しましょう。
原因はポーツマス大尉の持っている守り刀に仕込まれた『聖ロマスの遺言』の断片です。
 天義の大教会に保管されていた聖遺物の一つ。『聖遺言のクーダハ』に納められていたはずの書ですが、何故かその断片に『預言者ツロの聖痕』が刻まれています。
 これによって『悪意の囁き』が発せられており、ポーツマス大尉たちは狂気状態に陥っています。
 この守り刀を壊せば響き渡る囁きは消えますが、ポーツマス大尉たちを「不殺」で倒さなければ正気には戻りません。

●501地点
平原と森で構成された場所です。501部隊は平原に簡素ながら頑丈な前線基地を作り陣取っています。

●出てくる敵
・ポーツマス大尉
鉄帝軍人。狂気状態に陥っており、皆さんのことは幻想が送り込んだ特務部隊だと思い込むようになっています。サーベルによる攻撃と、銃による攻撃を行います。
・鉄帝501部隊×50
ポーツマス大尉の配下たち。狂気状態に陥っています。サーベルによる攻撃とライフルによる攻撃を行います。マトモではないので、本来より実力が下がっています。

・『影の艦隊(マリグナント・フリート)』ナスターシャ
遂行者サマエルの客人、狂気の旅人(ウォーカー)マリグナントの影響で生み出された者たちです。
『影で出来た人間』の姿をしているほか、『戦艦の大砲や高射砲のような、近代的な装備』で武装しています。
攻撃方法は「マリグナント式対空砲」と近距離範囲攻撃の「マリグナント式防御機銃」、強力な「マリグナント式大型主砲」です。
何処かに存在していて、程度に砲撃することで狂気を加速させています。

・『聖拳』エクス
『遂行者』を名乗る人物の一人。非常に真面目で正義感が強い。
ただし、それが一般的大多数の正義と合致するかはまた別の話であるのですが。
オーラを纏った拳による格闘攻撃と、輝くほどのオーラを纏った、超破壊力の拳『聖拳撃』を組み合わせて使用します。
滅茶苦茶強いので、今回倒すのは無理です。超無理です。
何処かで戦場を見ていますが、介入してくるかは不明です。そもそも今回、あまり成否にこだわっていないように見えます。
ポーツマス大尉が正気に戻った場合、撤退するでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <烈日の焦土>南部戦線異状アリ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年07月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
シェンリー・アリーアル(p3p010784)
戦勝の指し手

リプレイ

●501地点へ
「あそこに陣取った51名全てを、一人も死なせる事無く正気に戻せって? 中々にイカれた内容だな。だからこそ、やり甲斐があるというもの。そう思わないか?」
 『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は鳥のファミリアーを召喚して上空に飛ばし、超視力を併用して偵察していた。
 得た情報を仲間と共有し合い、敵の正確な配置を確認するのが目的であるが、501部隊が前線基地にいる以上は必要な措置であると言えた。ついでに、絶圏・勦界儀『震羅无消』で破壊できそうな外壁が無いか探るのも目的だったが……上手く見つかれば、かなり楽になるだろう。
「南部戦線も大変だね。狂う方が悪いんだから適当に処せばいいのに。まぁ会長は外様だからね。オーダー通りにやったるぞって感じで」
 『嘘つきな少女』楊枝 茄子子(p3p008356)はそんな突き放したようなことを言うが……だからといって、死なせるとは一言も言ってはいない。
「誰一人死なせるわけないじゃん。だって会長がいるんだぜ?」
 精霊疎通、精霊操作を使用した精霊を動員して「砲撃手の場所」も茄子子は探索していた。
 ちなみに、探索場所は直感である。「会長の勘は当たるんだよ。多分」とのことだが……そういうものを大事にすることもまた戦術だ。
「まったく古巣と言うにはさほど経っていないはずなのだけど…離れた傍からこの状況とはね? 南部戦線同胞諸君には悪いけど鉄帝軍人らしくぶん殴って正気に戻ってもらうとしようか……やりすぎだ! とかそんな苦情は後から聞いてあげるから取敢えず其処に直れって気分だ」
 『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)に『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)も不器用な優しさを感じ頷いてみせる。
「場所は違っても同じ南部戦線で一緒に戦っていた仲間のようなもの。それもあの状況で民間人の保護に動いていた人たち。51人全員救うっていうのは困難だとしても、一人もあきらめたくない。必ず全員救ってみせる」
「南部戦線スか……鉄帝騒乱以来スねー。久しぶりに様子でも見に行くとしまスか」
 『今年も水着ガチャ爆死した』佐藤 美咲(p3p009818)も二十二式自動偵察機を隠蔽工作で隠しながら前線基地の状況把握に勤めていた。
 情報収集時はハッキングも使用するが、ベストは奇襲技術を使って基地インフラに不可逆ではない嫌がらせをしておくことだった。
 まあ、前線基地はそこまでハイテクではないようなので、嫌がらせをする余地はあんまりなさそうなのは残念だが。
「しかしまあ、別に奴らが何やってても知らんよ。だがよりにもよって此処で事を起こし、喧嘩を売りに来るとは。その無計画さだけは褒めてあげよう。では、最短かつ最小限の労力でお帰り願うか」
 『だから、守るのさ』解・憂炎(p3p010784)も何処かにいる遂行者の手下にそんなことを言い放つ。これからまさに行動を起こそうというのだから、そうした宣言は大事なことだ。
 『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)と『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)も、その大事さをよく知っている。
「うーん、意気軒昂まことに結構。このままドサマギでいくらか幻想を切り取っても良いでありますが。ま、他人の手でやらされるケンカもサメるもんでありますな」
「南部戦線はね、私が手塩にかけて共に戦い抜いた連中なのよ。それを、こんな形で殺し合いをさせるというのが如何に愚かで無謀だったか。教えてあげましょう」
「では、止めるとしよう」
「神がそれを望まれる」

●南部戦線を救え
 イーリンの基本作戦は、あくまで言葉にするだけなら然程複雑ではない。
 観測手がナスターシャの位置を把握するまで馬車に『鋼鉄の女帝』ラムレイを繋ぎ、隊の輸送担当に偽装すること。
 地元のダチコーを頼りある程度の周辺状況を収集し、憂炎の精密な地形把握を後押しすること。これは憂炎が飛行して上空に上がりつつ、更に広域俯瞰で戦場の状態を上空から把握に勤めていることに対するフォローでもある。
 更には前線基地の突破口の条件を検索することで、仲間たちのフォローを更にして砲撃に有効な地点を炙り出すこともしようとしていた。これは今まさに隣にいる茄子子の精霊による捜索と……オニキスが広域俯瞰とファミリアーを駆使して上空からナスターシャの位置を捜索していることの手伝いでもあった。
 茄子子が直感を大事にしているように、オニキスは論理的に捜索をしていた。温度視覚と戦略眼を併せ砲撃の軌道や弾速からおおよその方角と距離を割り出しし、憂炎に伝達し詳細な位置把握を補助し、可能なら弾道から着弾地点予測、周囲の味方に危険を伝達できるようにしているのだ。イーリン自身も、天眼で敵の意図を考察しようともしていた。
 そうやって協力し合い、連携しあいながら綿密に情報を集めていく。もし501部隊が周囲に展開していたら此方の位置を把握されていたかもしれないし、そうなれば此処でじっくりと状況把握も出来なかったかもしれない。
「現場近くに見えた影とやらが遠距離から仕掛けてくるのなら、十中八九で『目標の配置を確認し易く、且つ射線を通し易い箇所』に陣取る筈だ。高所なんかも怪しいか。意識して探ってみるとしようか」
 もっとも、それでもかなり上手く出来たはずだが……汰磨羈もそちらに割く手間がない分、しっかりと偵察を出来ていた。その結果、かなり詳細な情報を得ることが出来ていた。
「元来、砲撃に適する場所は障害物が無い事。より敵より高度がある場所が望ましい」
 憂炎も、そう呟く。見つけられた理由。どうせ「それ」は聞いていないだろうが……。
「だが相手が『影で出来た人間』であるならば猶更選択肢は少なくなる。森の中だ。暗い位置で自分の状態を隠しながら打つのならば、お前は砲手というよりスナイパーだ。お前は自分の腕に自信があるのだろうが、即座に見つけられる。此処をどこだと思っている?」
 そう、これはそれでも言わねばならないこと0なのだ。
「南部戦線はーー僕らのホームだ。エリアの分布図を把握してない策士が何処にいる?」
 そう、だからこそ入念に準備が出来たのだ。こういった戦いは始まる前にもう終わっている。
 その結果……まずはエッダと茄子子が進み出ていく。茄子子はオルド・クロニクルを発動させて。エッダはタフネゴシエイトに挑む。
(正気でないとはいえ前線基地に籠った兵はやりにくい。タフネゴシエイトで基地から釣り出し、平静を奪いたい)
 ならばどうするか。その一手がコレだ。何も恐れていないという態度を前面に出し、正面から乗り込んでいく。
 然らば、敵の嘘に乗っかろう。そうエッダは考えたのだ。つまるところ、501部隊の勘違い通りに幻想を装うのだ。
「南方軍ともあろうものが、頭を隠してはいるが尻が出ているぞ!」
「そうだそうだ、出てるぞー!」
「ハハッ、くず鉄共は我らと正面切って争うのが恐ろしいらしい」
「情けないね!」
 エッダが煽り、茄子子が更に煽る。こうすれば釣りだせる。そんな確信がエッダにはあった。
「幻想にタマナシ呼ばわりされて怒らぬ鉄帝人はおらん。きっと統率を見出して襲いかかってこよう」
「なら、此処からかな?」
「そうなる」
 影のような女の居場所もすでに判明している。配置は完了し、あとはもう解決へ走るのみ。
「幻想の連中が来たぞ!」
「いい度胸だ! ぶっ殺してやる!」
「隊列を組め! 銃構え!」
 作戦開始。その合図を聞いた汰磨羈はすでに絶界・白旺圏を発動させている。
 今日の妖刀『愛染童子餓慈郎』はすなわち不殺。障害物を壊す必要が無くなったのは少し残念ではあるが……切り込み役として放った絶照・勦牙無極が叩き込まれ、美咲を中心とした連鎖行動で茄子子のアンジュ・デシュが放たれる。
「いくら軍人らしく連携できても石化した人が居る中で動いたらしっちゃかめっちゃかになるでしょ。おもしろ」
「まー、面白いくらいでちょーどいいでしょ。今回は殺すことに意味がありませんからね。流石にコレで人死出すのはしょーもなさすぎまスって」
 美咲も特殊尋問術を使い不殺を狙いながら閉所戦闘を仕掛けていく。可能な限り多くを巻き込むように放つその一撃は凄まじく。けれど、不殺ゆえに殺しはしない。
「僕はお前たちを確実に排除する方法を知っている。そら、次はお前だ! そこにいる奴から纏めて撃ち抜かれるぞ!」
 憂炎もそう叫びながら混乱を促すが……もう、彼等を混乱させていた砲撃がくることはない。そちらにも仲間が向かっているからだ。
(一種の混乱状態に陥った部隊は、再度統率を取ることが難しい。これは王手を仕掛けるための時間稼ぎだ)
 そう、この場所とは別にもう1つ。影の少女の方角へと、オニキスたちが向かっていた。
「クアドラプルバースト、シーケンス開始。砲身4基展開。ジェネレーター接続。魔力回路全基同調。バレル固定。超高圧縮魔力充填完了。マジカル☆アハトアハト・クアドラプルバースト―――発射(フォイア)!」
 標的位置確認時射程範囲まで一気に接近しマジカル☆アハトアハト・QBの砲撃で狙い撃つオニキスの視線に映るのは、戦艦のような巨大な武装を背負う影の少女。『影の艦隊(マリグナント・フリート)』ナスターシャだった。
「敵影確認。『影の艦隊(マリグナント・フリート)』ナスターシャ、行動開始」
 名スターシャの視線は、明らかにオニキスに向いている。完全にロックオンされた。そう感じるからこそ、オニキスは自分の作戦の成功を確信した。
 そう、全力攻撃のフルパワー砲撃でこちらに目を向けさせ、守勢に回らせることで砲撃の阻害、そして突撃するイーリンへの対応を遅らせるのが目的だったのだ。
「砲撃対決って思った? こっちは見せ札。本命はそっちだよ」
「そういうことね。砲手なら直掩を用意しておくべきだったわね。違う?」
 紫苑の魔眼・福音を自らに付与しながらイーリンは絶海拳・珊瑚を繰り出していく。
 相手の武装や態度を見て、他の切り札がないか戦略眼で味方の進行状況と合わせて情報を集める
 たとえ趨勢が決まっても、イーリンは油断をするつもりはない。
 合間に波濤魔術(偽)・祝歌も使い最後まで自分が立つ時まで一切の油断はない。
 味方に砲撃されるくらいなら自分の体で、馬上から飛びかかってでも押さえ込むつもりだった。
 そんなイーリンの覚悟を感じ取ったのか、マリグナント式防御機銃がイーリンへ向けて発射される。
「一方的に殴られ、撃たれる気分はどう?」
(相手の感情を揺さぶり、一言でも引きずり出す……このくらい、あの冬では常套手段だったわよ!)
 そう、あの極寒の日々を超えたのだ。今更、こんな陰謀程度に負けることなど有り得ない。
「どうやらあちらも大丈夫、か」
 ラムダはナスターシャの対応をした面々が上手くいったことを確信していた。
 501部隊兵士達へ被害が及ばぬよう「かばう」選択も視野に入れていたが、放置すればまさに「前衛の虎後門の狼って奴かな此れ」などと冗談めかしていた。まあ、そうならなくてよかったというところだろう。
 狙いはポーツマス大尉だが……果敢に指揮をしているのがまさにソレなのだろう。前線に出てきている辺り、彼含め正気でないことがよく分かる。まあ、あるいはエッダの言う通りに鉄帝気質なのかもしれないが。
「遂行者も色々とやってくれるものだね……ったく」
 そう毒づきながらラムダは対群拘束術式「神狼繋ぐ縛鎖」を発動させていく。
 そして砲撃が無くなったことから、エッダもナスターシャ撃破作戦が成功したことを感じていた。
「貴様か。悪くない趣向だったが、どうせなら本当の幻想軍でも巻き込むのだったな。欺瞞作戦を行うなら、証拠を残すべきではない。部下を弄んでくれた礼に教えておいてやろう」
「この結末はどのようなものでもよかった」
「何?」
 そこに立っていた男……『聖拳』エクスにエッダは振り返る。
「預言書の語る正しき歴史はすでに示された。元々『準備』を兼ねて此処に来たに過ぎない……ならば、慈悲深い結末もまた良いものなのだろう」
「貴様……」
 戦いはすでに終盤だ。もはやこの盤面は此処までだ。それを悟り、エクスは素早く消えていく。
 そう、もう結末は確定した。
 憂炎風に言えば「王手」である。
「ポーツマス大尉。この局面をひっくり返せますか? 既に詰んでますよ。我々の目的は貴殿の守り刀を取得すること。その交渉を飲んで頂けるのなら、これ以上の被害を増やさない事をお約束しましょう。さて、どうです?」
「幻想の要求など飲まぬ! 欲しければ我が屍を超えていくがいい!」
 なるほど、鉄帝軍人である。命よりも誇りを大事にしている。政治屋ではない、まさに叩き上げだ。
 しかし、死なれては困るのだ。
「全員生かして正気に戻せってオーダーなんだよ。死ぬなら会長の見てないとこで頼むよ。目の前に居たら救わないとなんだよ。いい子だからね」
「そういうことだ」
 ラムダのノーギルティがポーツマス大尉を殺さないように倒し切り、そうして501部隊の制圧が終わる。
「遂行者も色々とやってくれるものだね……ったく」
 守り刀を壊せば、この場に広がっていた何かが霧散していくのを誰もが感じ取る。同時に、そこかしこで正気を取り戻したらしい501部隊の面々が起き上がり始めていた。
「う、うう……此処は……」
「“状況終了“だ。良い訓練になったな」
 エッダがそう言えば、501部隊の1つが「訓練……? しかし……」と納得いかないように呟いて。しかし、エッダは有無を言わさない。
「何の話だ? 貴官らは私と演習を行ったに過ぎない。故に、謝るようなことなど何もない。貴官らは、いや我らは国防の要だ。益々励むが良い」
 そう宣言するエッダに、茄子子が笑い美咲がなんともいえない笑みを浮かべる。
「1人も死ななかったし、これで解決だね」
「そうスね」
 そう、考え得る限り南部戦線501地点の戦いは、これ以上ないくらいに理想的な状況で決着した。
 それはきっと……この場に挑んだ全員の綿密な作戦と、その心が手繰り寄せたものであることは……恐らく、間違いないだろう。

成否

成功

MVP

エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト

状態異常

なし

あとがき

素晴らしい結果でした。
ご参加ありがとうございました

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