シナリオ詳細
<フイユモールの終>澎湃シャントゥール
オープニング
●
――ごめんなさい、お母様。
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は後ろを振り返る。
荒れ狂う天気とまるで『何かに引き寄せられる』ように浮かぶ割れた大地――崩壊を始めた楽園の中に、既に彼の竜種の姿は見えない。
「オデット」
「ごめんなさい」
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)に呼ばれ、オデットは少し急いだ。前に進むと決めたのに、後髪を引かれて少し遅れてしまったのだ。此処から先は絶対に前だけを見て進まねばと、オデットは気を引き締まる。
(最大の親不孝はしないわ)
悲しむのはいつだって置いていかれる者たちだ。
永く生きる竜種たちには、人間が想定するよりも遥か多くの出会いと別れがあるのだろう。
永い命を持つものにとって、肉体の死よりも心の死の危機こそが多く訪れるのかもしれない。だからこそ心を砕く存在を減らしたり、同種以外との交流を深めない――そんな竜種も少なからずいるのだろう。
けれど互いに存在を知り、幾度か顔を合わせてしまった。それが例え竜にとっては不本意な邂逅であったとしても。
(今度会う時はゼリーや氷菓を持っていこう)
オデットの動きを視界の端だけに捉えていたゲオルグ=レオンハート(p3p001983)も、無事にこの作戦を終え、そうしてまた彼の竜と再び会う日のことを考えた。
そう。無事にこの作戦を終えるのだ。
いつかまたどこかで、それぞれの大切な誰かとともに過ごす時間のためにも。
●
冠位魔種ベルゼーの権能は暴走を始め、ヘスペリデスは崩れゆく。
ベルゼーの宿す権能――『飽くなき暴食』。
彼自身にも止めめられぬ滅びの始まり。
全てを喰らい尽くさねば納得もせぬ『腹』からの底なしの欲求。
覇竜領域を『捕食』したくないベルゼーは、海洋や練達と言った海を挟んだ近隣諸国を狙うことを定めた。
男を悲しませない行動をすると決めた竜種は、巻き込まれないようにヘスペリデスを離れた。
男に寄り添うことを決めた竜種は、彼の目的を果たすため、障害となるイレギュラーズを斃さんとする。
住処のために『餌』を与えると決めた竜種もまた――イレギュラーズたちの前へと立ち塞がった。
楽園が崩れゆく。
世界の終わりの、始まり。
世界が食い尽くされる前に、イレギュラーズは彼を止めなくてはならない。
優しい男を。竜たちが愛した男を。
その生命を奪って、止めねばならないのだ。
楽園は崩れゆく。
大地は割れ、空は唸り、花は枯れ――その景色が、唐突に変わった。
「ここ、は――」
「……ピュニシオンの森?」
オデットとゲオルグは瞳をしばたたかせた。
眼の前には深い緑と清らかな水の香り。魚たちが生き生きと泳ぐ澄んだ美しい泉。
忘れもしない。この場所は――メファイル・ハマイイムと初めて遭遇した場所だ。
「どういうこと? 私達、ベルゼーの元へと向かっていたわよね?」
イーリンは眉を顰め、寸前の記憶を手繰る。
前へ進めば進むほど何かが吸い込まんとするように大気が畝り、イレギュラーズたちは地を踏みしめながら前へと向かったはずだ。けれどそれに抗えなくなり、割れた大地も枯れた花も、亜竜も人も、宙へと飛んだ。
そうして、ベルゼーの腹部に開かれた『何か』に取り込まれた。
「喰われた、ということだろうか」
「そうなるのかしら」
だが、消化されているようには感じられない。――まだ。
イレギュラーズたちは難しい顔で思案した。此処を出る方法を探るべきか――
「……あ」
その時、オデットが小さく声を上げた。
歌が、聞こえた。旋律のような美しい音が歌だとオデットは既に知っていた。
「おかあ、さま?」
視線を向ければ、思い描いた姿がそこにあった。美しい水が如き髪が、木漏れ日にキラキラと輝いている。湖の底の静謐を保つ瞳は長いまつ毛に縁取られ、泉へと静かに向けられていた。
オデットの胸に喜びが爆ぜた。どうしてという気持ちよりも、来てくれたんだという気持ちが強かった。同時に不安になった。やはり『駄目』だと判断されたのかもしれない。力づくで連れ戻されるのかもしれない。
表情が乏しいメファイル・ハマイイムが、微かに口の端を上げた。最後に見た悲しげな表情ではない。オデットはその笑みに惹きつけられる。笑ってくれたと、嬉しくて――
「オデット、危ない――!」
――水で作られた螺旋を描く尖槍が穿たんと飛び、赤が散った。
- <フイユモールの終>澎湃シャントゥール完了
- GM名壱花
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年07月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「オデット、危ない――!」
「っ!?」
『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)に向けられた水槍を、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が庇った。
赤く舞う血液と、激しい水流。
「おかあ、さま……?」
そのふたつに、オデットは信じられないと瞳を丸くした。
――どうして。
連れ戻すための強硬手段に出たのかと、思った。けれどオデットが知っている竜は何も言わずに攻撃してくるような竜ではない。人間を傷つけないように気を付けていて、仕方がない時は忠告してくれる、そんな優しい竜だ。
(逆縁は大罪、そう悲しむお母様が私を攻撃するはずがない)
オデットの神経は、視線は、赤のその先、オデットが母と仰ぐ竜に似た姿の『何者か』に向けられていた。
「な、る。ほど」
ごぽりと大量に血を吐いて尚、イーリンには余裕があった。笑みを向けられた直後に槍は飛んできたから、推察する暇はない。ただ心に引っ掛かった瞬間咄嗟に体が動き、庇った。――それで確信した。『一撃で仕留められないのなら、あれは本物竜ではない』と。
(けれど……これは不味いわね)
零れ落ちる命の雫は絶対的な危機をイーリンへと知らしめている。
これまでの経験から瞬時に判断し、陣を組む。その判断は正しい。次いで福音を己にもたらすが、それでも尚深手だった。
「――イーリン」
油断なく前方を見据えながら『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)が《穢サレシ天使ノ口ヅケ》を施す。直前にイーリンが自身の光輝を増した上、ゲオルグの賦活と奇跡も相まってその回復量は大きい。
「大事ないだろうか」
それでも足りない分を『影編み』リースヒース(p3p009207)が補って、「ええ、皆ありがとう」とイーリンは立ち上がる。赤く濡れた唇を手の甲で拭い、手についていた血を払うように手を振った。
そんなイーリンの姿にオデットは小さく安堵の吐息を零す。――が、礼を言うのは全て終えてからだ。気持ちを切り替え、前を見据えた。
「あれはお母様じゃない、行く手を塞ぐ明確な敵よ。みんな躊躇しないで。優しい竜を模すなんて不敬だわ!」
「そうだな」
キッと強く睨めつけるオデットに、ゲオルグが同意を示す。オデットとともにメファイル・ハマイイムと会ってきたゲオルグは彼女が『逆縁は大罪』だと口にしたことを確りと覚えている。そんな彼女がオデットを殺すつもりの攻撃を放つはずがないのだ。
あれは、竜の姿を模した偽物だ。
「やはりこれは偽物か」
『導きの双閃』ルーキス・ファウン(p3p008870)はメファイル・ハマイイムと然程多くの言葉を交わした訳では無いが、それでもやはり明らかに雰囲気が違うと思った。
「ここはグラトニオスの旦那の腹の中、権能による能力と考えた方がよさそうだろう」
「ベルゼーに悪意があるにしろ、ないにしろ。厄介な権能だよ本当に」
「これを悪意をもってやっていたら、悪辣だと罵れただろうにねぇ」
本当に。その言葉を並べながら『闇之雲』武器商人(p3p001107)は口の端を上げ、『紅風』天之空・ミーナ(p3p005003)は得物を構えた。
眼前の『竜の姿を模した何か』――ウィンクルムが敵だと言うのなら、イレギュラーズたちがすることはひとつきりだ。
「進むわよ――『神がそれを望まれる』」
「その怪我で長々戦闘はさせられん。速戦即決、弾ならこちらで用意する。加減は無しで頼むよ」
怪我をしても尚、仲間たちを守らんと前に立つイーリンへ『威風戦柱』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)が言葉を投げかける。「ええ」と応じる声は力強く、水槍の一撃で体が傷つこうとも、矜持も気持ちを何ら傷ついていないことを示していた。最前線で旗を振るう戦乙女が如く、イーリンはそこにあった。
「本物のメファイル・ハマイイムの尊厳の為にも、切り捨てる!」
真っ直ぐに敵意を向けるイレギュラーズたちに、偽物のメファイル・ハマイイムは慈しむかのように微笑んでいた。
――それが、悲しませたくないと願ったオデットが見たかった表情ゆえに。
「私達は騙されるだけの獣じゃない!」
「そうです、俺たちは喰われはしない!」
『希望の剣』を携えたミーナと『瑠璃雛菊』と『白百合』の双刀を携えたルーキスが前へと出た。力強く地を蹴って、ふたりで半ば挟むようなかたちでウィンクルムに接近した。ミーナは血色の滝のような終焉を刻むべく剣を振るい、ルーキスは人が編み出した竜が如き一撃を偽竜へと放つ。
――だが。
「っ」
「通らない、か」
ふたりは物理攻撃を得手としており、常より振るうは己が得物による一撃だ。
それが、通らない。
ミーナが至近距離で目を凝らすと、淡く水の膜がウィンクルムを覆っているように思えた。それが物理攻撃を無効化しているのだろう。
オデットはイーリンをチラと見て、彼女の側にいるよう務めている。先程のゲオルグとリースヒースの回復もあって、すぐにでも皆の盾となってくれることだろう。
マニエラを見る。回復は任せろと頷きを返してくれる。
「それなら、これはどう!?」
オデットが四象の力を顕現させる。メファイル・ハマイイムの姿へ攻撃を仕掛けることに何も思わぬ訳では無い。が、それよりも、母と仰ぐその姿を何かが勝手に使い、こうして牙を向いてきてくることにひどく腹が立っていた。
オデットの攻撃はウィンクルムへと通り、神秘攻撃が有効であることを示した。
「クリスタリアの方の攻撃は通るようだねぇ」
偽物とは言え竜ならば、長期戦となろう。自身に能率付与を行った武器商人の表情は、大きく口の端を開けた口元しか見えず、彼の感情は覗えない。
「ルーキス、敵の体力とかは解りそう?」
「すみません、無理なようです」
ミーナの声に、ルーキスが苦々しく答える。過去の遭遇――ピュニシオンの森にて、メファイル・ハマイイムはリーディングを弾いている。
「我(アタシ)にも見えないねぇ」
稀に見えないものが見える場合のある恩恵を有する武器商人だが、元より見るものではないそれが解る訳もなく。
「体力は、まあ……でかいだろうな」
「偽物であろうが竜ゆえに、か」
イレギュラーズたちは幾つもの水の槍を編むウィンクルムを見据え、覚悟を持って地を蹴った。
どれだけ相手が強かろうと、どれだけ硬かろうと、どれだけ困難であろうと。
それでも。
「私たちは前へ進むわ」
自身に再び陣を施したイーリンが、接敵しているルーキスとミーナの側に立った。
「巻き込むけど、耐えて頂戴」
イーリンの為す《紫苑の魔眼・織式》には、識別がない。ウィンクルムに怒を付与しようと思えば、当然接敵している仲間たちをも巻き込むこととなる。怒以外のBSもダメージも、仲間にも齎す諸刃の術だ。
「私がいる。そうそう落ちさせはしないさ」
すかさずマニエラが前衛に届く位置へと移動し、《天上のエンテレケイア》を展開した。降り注ぐ陽光。暖かなる風光。そして慈愛の息吹がルーキスたちのBSを吹き飛ばしていく。
「攻撃が通らないのはやりにくいですね」
「そうだね」
ルーキスの言葉にミーナが顎を引く。だが、ミーナとて無策で来てはいない。ウィンクルムが守りの術を使うのならば、その術を破壊すればいいだけだ。――強敵を相手にクリーンヒットさせるのは難しいことではあるが。
「自分の身を守りに入るとは、私達のことが脅威にでも見えたかい?」
ミーナの解りやすい挑発に、ウィンクルムは乗らない。
……そうするだけの感情すら、このウィンクルムにはないのだろう。このウィンクルムはただ、この領域に入った者から映し出した、この領域を守るための権能の一部にすぎない。
「霊たちは……いないようだな」
ベルゼーの腹の中とは言え、全てがひとつに繋がっているわけではない空間だ。望まぬ死を迎えた者たちは居ないかと探ってみたリースヒースがそう告げた。
「精霊もいないわ」
イレギュラーズの視界には生き生きとした緑と清らかな泉が映っている。現実のピュニシオンの森で遭遇した時には喜ぶ精霊たちがあんなにも居たというのに――やはりここに見えているものは全て、本物ではないのだ。
眼の前に居る竜種の女も含めて。
――――
――
戦闘は熾烈を極めた。
偽物とは言え竜の力は侮れぬほどに強く、体は頑丈で。
互いのBS解除とBS付与の応酬。
一撃一撃は重く伸し掛かり、精神力をも削り取っていく。
されど今なおイレギュラーズたちが全員立っていられるのは、回復と守りを厚くし、強敵との戦いと、長期戦になることを見込んだ上でリースヒースを中心としたAP配布も可能とした陣形を敷いた、そのお陰だ。
「強いの、そろそろ来ると思います!」
ルーキスが声を上げ、武器商人やゲオルグが体力が万全ではない仲間の側へと移動する。
初回食らった時は何とか耐え忍んだが、数ターン後には数名がパンドラ復活を要する結果となった。その次は、庇ったものが戦闘不能の瀬戸際に。
回復への専念と、BSの重ね掛け。
それを幾度も乗り越えてなお、イレギュラーズたちはそこに在った。
幾度も繰り返せば、ウィンクルムの動きも鈍ってくる。
ルーキスが仲間たちに注意を呼びかけたが――
「好機だねぇ」
ウィンクルムの攻撃が失敗に終わった。
その一撃で終わらせるつもりだったウィンクルムには今、防御のための水の膜がない。終わらせるのならば今だと、誰もが思ったことだろう。
この局面で倒しきれずとも、最悪1ターンは持ちこたえられる。そうあれるよう、盾役たるイーリンが持ちこたえている。
(盾役は最後まで己を使い潰してこそ。って言ってたっけ)
イーリンは、それを為すだけ。
「皆、任せたわ。あとの憂いは全て私に任せて!」
「貴女が与えてくれたこの好機、決して無駄にはしません!」
「何回だって砕いてみせるよ」
ルーキスとミーナが地を蹴った。次があれば、防御の膜が張られるだろう。それでもイレギュラーズたちは耐性を立て直し、次の好機を作り出すだろう。
誰もがボロボロで、誰もが座り込んだら動けなくなるような局面。
それでも前を見据えるイレギュラーズたちの瞳から、光は消えやしない。
「お母様の姿、返してもらうわ!」
ふたりに続いたオデットの小さな太陽が、ウィンクルムの眼前で眩く光る。
穏やかで暖かなはずのその光は、恵みを与える反面、強すぎる光は害するもの。
眩い陽光の下、ウィンクルムが影となり消えていく――。
「はぁ、お疲れ様だねぇ」
ボロボロとなった袖を持ち上げて、お疲れ様だと武器商人が口元に笑みを浮かべた。衣はボロボロとなってしまっているが、それだけ仲間たちを庇った証でもある。
傷ついたイレギュラーズたちの上にリースヒースやマニエラ、ゲオルグの回復術が展開し、傷を塞いでいく。
失った血は戻らない。されど傷を塞げば動くことは叶う。
イレギュラーズたちの戦いは、まだこの後も続くのだ。
「流石に連続では辛いものがあるが……」
マニエラが嘆息する。此度の相手は己にもリースヒースや武器商人にも相性が悪い相手だった。
されど打てる手を打ち、全力でサポートをした。それがあってこその勝利だ。
傷を癒やしたらまた、イレギュラーズたちはこのベルゼーの腹の攻略を続ける。そのために今は一時の休憩を。
――その時、がさりと茂みが動いた。
「――誰!?」
「っ、また出たのですか!?」
皆が休めるようにと辺りの警戒を行っていたイーリンとルーキスが即座に反応した。
先程倒したばかりの姿と同じ姿がそこにあり、ルーキスが息を呑んだ。今の状態の再戦では体が持ちそうにない……が、さりとてただ殺されてやるわけにもいかない。反応が誰よりも早いイーリンが、ボロボロの体で皆を庇うべく前へと出る。マニエラとゲオルグとリースヒースが仲間を癒やし、ルーキスとミーナが獲物を手に新たに姿を見せたメファイル・ハマイイムへと接近した。
「ぐッ」
「……くっ」
動かぬまま、弾かれる。
「ふむ。敵地ゆえ、警戒して然るべきだ」
不敬とは見なさぬと、竜の女が笑みを佩いた。
「……メファイル・ハマイイムなのか?」
「……本物の、お母様?」
「吾の偽物にでも惑わされたか」
ゲオルグとオデットの問いに返す言葉が答えだ。
「竜の貴婦人。貴女には遠く及ばぬ、影の出来損ないよ」
「だろうな」
「……あ、あの、お母様は、その、何故……ここに……」
やはり危険だと連れ戻すため、強硬手段に出るつもりなのだろうか。
彼女と交わした会話を思い出しながらオデットが告げると、やり取りを知っているイーリンの体にも力が入る。
ふう、と小さくメファイル・ハマイイムがため息をついた。
「子等の歩みを見守ろうと思ったのだ」
勿論、ベルゼーへの手出しはメファイル・ハマイイムはしない。けれどもう少し、この小さく儚い命たちを信じてみよう、と思った。可能性を信じてみたくなった。
困難に立ち向かう彼等の魂は『勇者』の素質があるのかもしれない。――竜は勇者を好むものだから。
「此はベルゼーの腹の中。そして領域をひとつ子等は得た」
「領域?」
顎を引いたメファイル・ハマイイムはそうすることでベルゼーの権能を削っていけるだろうことを伝えて。
「人の子等よ、戦う意思はあるか?」
竜は問う。
イレギュラーズたちは真っ直ぐに応と意思を伝える。
「なれば、我が背に乗るといい」
次なる領域へ運ぶくらいはしてやろう。
竜の姿へと変じたメファイル・ハマイイムが、美しい翼を広げたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
強敵でしたね。
往く路の先が明るいことを、メファイル・ハマイイムは願っております。
お疲れ様でした、イレギュラーズ。
GMコメント
ごきげんよう、壱花です。
覇竜もついに決戦の時を迎えました。世界を護るため、頑張りましょう。
此処にあるのは全てPL情報です。
●成功条件
『ウィンクルム』の討伐
●シナリオについて
前回の『<黄昏崩壊>淀み濁るは哀しき調べ』から続いていますが、参照する必要はありません。
あなたたちは今、ベルゼーの『腹』の中に居ます。
オデットさんが一撃をくらうか、イーリンさんが庇ってくらうか、を選べれます。双方参加していた際は、相談して決めてください。偽物とは言え竜種の一撃、かなり痛いです。
どれだけ呼びかけても返事はありません。やはり連れ戻しに来たのかと思うかもしれません。けれども何度も声を掛け続ければ短くとも彼女が言葉を返してきたことは、これまでに会ったことがある人は知っていることでしょう。明らかに『変』だと感じ取れるはずです。
眼の前の存在は、メファイル・ハマイイムの姿を真似た『敵』です。これを打倒さねば、未来への道は拓けません。
戦いましょう、イレギュラーズ。信念を貫くために。
●フィールド:『飽くなき暴食』
ベルゼーの権能。所謂、腹の中です。
ピュニシオンの森の泉の風景となっています。本来の場所ではありません。
●『ウィンクルム』メファイル・ハマイイム
ウィンクルムは、彼が食べた存在や思い出を模倣します。ただし完全な模倣にはならず、消化具合やベルゼーの相手への理解度によって強弱が変化します。
イレギュラーズたちはまだ消化されていませんが権能内部にいるためコピー対象となり、オデットさんの思い出から偽物のメファイル・ハマイイムがコピーされました。本来竜種を斃すには伝説級の行いとなるのですが――『光暁竜』パラスラディエがベルゼーにその身を差し出した際に使用した『古竜語魔術(ドラゴン・ロア)』の禁術によってウィンクルムは大幅に弱体化しており、本物のメファイル・ハマイイムよりもずっと弱い存在になります。(それでも魔種相応に強いです。)
元は将星種(レグルス)級水竜。偽メファイル・ハマイイムは人型の美しい女性の姿をとっています。
本物のように『水の帳』を降ろすことは出来ません。様々なBS耐性、【王道の肉体】を有しており、【物無】の付与も行えるようです。攻撃には【Mアタック】【必殺】【致命】【呪殺】【スプラッシュ】等があり、【背水】時に強力な全体攻撃を3ターンに1度使用します。その他の能力は不明です。
本来は攻撃よりも回復や浄化の方が得意な竜ですが、このウィンクルムは【HA吸収】や【攻勢BS回復】は行っても回復の術式は使わないようです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
●EXプレイング
開放してあります。文字数が欲しい時に活用ください。
(今回、関係者さんの同行を希望されても描写されません)
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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