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シナリオ詳細

<フイユモールの終>暴食への道を阻むもの

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●崩壊するヘスペリデス
 ヘスペリデス。
 ピュニシオンの森から見て黄昏に位置し、この空間独特の花や植物が咲き乱れる場所だ。
 竜種達は「黄昏の地」「暴食の気紛れ」などと呼んでいます。その言の通り、この場所を作り上げたのは『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスであった。
 亜竜達の憩いの地である他、竜種達の住まいにもなっていた。遺跡に見えるモノは見様見真似で石を積み上げただけのものであり、不格好だった。衝撃で崩れ落ちる可能性もある、そんな程度のもので。しかしそれも含めて「憩い」だったのだ。
 だが、現在はもの凄く何かに引付けられるように石などが崩壊し宙を漂っている。天空も荒れ狂ってしまっているようだが……もはや、その原因は語るまでもない。
「いいのか、アルテイア。奴めの腹の中にも随分と行った者はいるようだが」
「そういう貴方はどうなのですか、オズバーン」
 『天智竜』アルテイアの問いに『轟雷竜』オズバーンはフンと鼻を鳴らす。
 知っているくせに何を、という意味が多分に含まれている。
「義理は充分に果たした。だが、そこまでだ。他の連中ほど、我はあの男に心酔してはいない」
「ええ、私もです。同じ考えの者もちらほらいるようですが……ですがまあ、それはそれとして得難い人物ではあると思いますよ?」
「綺麗事をぬかすな」
「ええ、綺麗事です。此処でこうして連中を待ち構えているのも含めてね」
「……フン」
「結局嫌ってはいないのですよ、アレをね。信頼はまた別ですが」
 そんな竜種たちの会話を聞いていたのは亜竜たちだけだ。これは、ただそれだけの話である。

●竜種の防衛を突破せよ
「すでに話は聞いていると思うです」
【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)は集まった面々を前にそう声をあげた。
 ラドネスチタによる『選別』をうけ、イレギュラーズが辿り着いたのは『ヘスペリデス』と竜種達の呼ぶ緑豊かな場所であった。
 その地に点在していたのは、女神の欠片というベルゼーの権能の『規模』を僅かに抑える事の出来る『巨竜フリアノン』の力の残滓である。
 ベルゼーの権能の暴走が近づく今、竜種達は再度の警告に出た。
 ――この地を立ち去れ、と。
 ある者は『ベルゼーに大切な者を傷付けさせたくはない』と願った。
 ある者は『竜の地を人が踏み込むことを許せない』と詰った。
 また、ある者は『イレギュラーズを食い止め、ベルゼーの権能の矛先を練達や海洋に向け彼を延命させたい』と告げた。
 様々な思惑が渦巻く中、男の権能は暴走を始め、ヘスペリデスは崩れゆく。
 遂に相対した男の権能は暴走していた。彼自身に求められぬ滅びの始まり。全てを喰らい尽くさねば納得もせぬ『腹』は底なしの欲求を伝えている。
 それがベルゼーの宿す権能――『飽くなき暴食』。
 数多を喰らうその力は、人も竜も大地も全て呑み込まんとするか。
 放っておけばヘスペリデスだけではない。覇竜領域も……外の世界も全ていずれは……。
 故に、ならば成し得るべきは一つ。冠位七罪ベルゼーを――止める。
 世界が食い尽くされる前に、彼を止めなくてはならないのだ。
 その命を、奪う事になろうとも。
 そして今、此処に集まった面々はそのために重要な1つの役割を果たさなければならない。
「ヘスペリデスにはイレギュラーズの侵攻を防ぐための防衛線があるです。その中の1つ、『天智竜』アルテイアと『轟雷竜』オズバーンの敷いている防衛戦を崩してほしいです」
 2体の強力な竜種は、亜竜を率いて防衛線を構築している。竜種の打倒は叶わないだろうが、亜竜たちを倒すことで防衛線を実質無効化することはできる。
「外に居る竜種たちは、ベルゼーを信じていないか、そこまで信じてはいない……といった個体が多いみたいです。亜竜を倒せば諦めさせることは容易でしょう」
 つまり、それが勝ち筋。防衛線を崩し、仲間たちの突入を援護するのだ……!

GMコメント

『天智竜』アルテイアの、『轟雷竜』オズバーン。
2体の竜種が率いる亜竜たちを全滅させることでこの場所の防衛線は崩壊します。
そうすれば2体の竜種は防衛を放棄するので勝利です。頑張りましょう……!

●出てくる敵
・ドラゴンヘッド×30
竜種を思えせる頭部を持った亜竜です。
二足歩行しており、強靭な腕で獲物を殴り殺してマルカジリします。
頭部が肥大化したような外見ですが、全身が鱗で覆われておりタフで防御力もあります。

・『天智竜』アルテイア
最強生物である竜種にして将星種『レグルス』。
性格は非常に冷静で知的。尊大で傲慢なのは変わらないのですが、深い知識を下敷きにしている為か突発的な行動をあまりせず「一歩引く冷静さ」をも兼ね備えています。
 どうやらある種の星詠みの知識も所持しているようで、その精度は兎も角そうした浪漫を楽しむ洒落っ気も持ち合わせているようです。
 ただ、竜種としての星詠みは人間の星詠みとはあらゆる要素が違うのでそこで意気投合する……などといったことは無謀でしょう。
 自分を中心とした範囲に輝く「星」を降らせるメテオライト、指定した1人に天空より破壊の流星を降らせる「スターライト」を使ってくるようです。皆さんが亜竜を倒し切ると防衛を放棄します。

・『轟雷竜』オズバーン
最強生物である竜種にして将星種『レグルス』。
竜の中でも天帝種同様に強大な存在達である。
それなりの年齢であると思われ、同じ将星種『レグルス』の中でも比較的強い力を持っていると思われる。
此処で注意すべきは「同じ将星種『レグルス』の中でも」ということであって、人間など歯牙にもかけないほどの強さを持っているということである。
将星種『レグルス』には『人間(亜竜種に似た)』の姿を取る個体も時折存在するが、オズバーンの場合は威厳のある男の姿をとるという。
しかしながら多くの竜種の例に漏れず、オズバーンもまた人間のような下等生物のことなど一切気にせず記憶すらもしない。
今回の攻撃方法は天空から無慈悲な稲妻を落とす天雷と、自分の周囲に荒れ狂う電撃を放つ嵐雷の2つ。
皆さんが亜竜を倒し切ると防衛を放棄します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

  • <フイユモールの終>暴食への道を阻むもの完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年07月24日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ファニー(p3p010255)
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇

リプレイ

●暴食への道をこじ開けろ(前編)
 立ち塞がるその姿は、なんと凄まじい威容だろうか。
 『天智竜』アルテイアと『轟雷竜』オズバーン。2体の竜種と彼等が率いる亜竜たちは、これが総力戦であれば間違いなく絶望だろう。
 しかしながら、どうやらそうではない。2体の竜種の様子は、何が何でもこちらを止めようという類のものではない。
「友の最期を人に邪魔されないように、というご判断でしょうかね。その為に竜が並び立つというのは、やはり彼の人徳なのでしょう。ただ、並んで立っているだけで協力してるわけではないのなら、まだ我々にもいくらか分はありますでしょうか」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)はそう言いながら防衛戦を見つめる。竜種たちが何を考えているかをさておいても強固な防衛線だ。通り抜けるには相応の覚悟がいるだろう。
「ベルゼーを信じていなくても……ここで防衛線を張るぐらいの情があるなら。少しでも力になろうとするのならば! なんでお前さんらはベルゼーの心の助けにならないんだよ……!! 今までどうにか我慢して、喰らった誰かの分も残された者の面倒を見て、自身が親を、家族を、友達を、知人を喰らった事を! 魔種であることを隠して心をすり減らしながら生きてきたんだぞ。暴走して、何もなくなった覇竜で独りになったら心が死ぬんだぞ! お前さんはベルゼーの心を見殺しにするのか!?」
 『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)のそんな必死の言葉にオズバーンは「ふむ」と答える。
「ならば邪魔しなければよいのではないか? そうすれば今回は覇竜ではない何処かが食われて終わる。おお簡単だ。ベルゼーの心を救えるな!」
「オズバーン。そのような意地悪を言うものではありませんよ」
 そんなオズバーンを、アルテイアがたしなめる。
「そもそも私たちは、あの男に多少の義理はあれどそこまで信用してはいません。その『多少の義理』のために此処に居ます。故に……貴方たちが此処にいる亜竜どもを倒せるなら、私たちは引きましょう。そのくらいが丁度よい義理の果たし方でしょう」
 なるほど、外にいるのはベルゼーを……度合いは分からないが信用しきってはいないということなのだろう。
 それでも、こうして防衛戦を築く程度には信頼し、義理がある。まあ、そんなところなのだろうか。竜種という存在の性質を思えば、それでも充分すぎるとは言える。
「アルテイア、オズバーン……君達にも考えはあるのは分かったけど。……悪いけど、防衛線は崩させてもらうよ!」
「やってみなさい」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)にアルテイアはそう期待していない表情で答える。本気で期待はしていないのだろう……だからこそ、約束は守るだろうともヨゾラには感じられた。
(アルテイアとオズバーン……2人とも賢いからベルゼーの状態には気付いてるとは思うけど。何にせよ防衛網は崩壊させないと!)
 そんなことを考えながら、ヨゾラはこうも思う。
(アルテイアもオズバーンも……ベルゼー等に食べられてなくて良かった。2人が生きてて、本当に良かった。僕等よりずっと強いから杞憂だとは思ったけど、それでも……心配だったから、ね)
 本人に伝えたところで鼻で笑われるだけだろうが……思うのは自由だ。
「ベルゼーの為に竜たちがこれほど集まるとは。つくづく、ゆっくりと彼と話す時間が欲しかったものだよ」
 だからこそ『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)もそう呟く。
 たとえ義理だとしても、ベルゼーのためにこの場に来ていることに変わりはない。
 そしてそれは、凄まじい強さであることもまた、変わりはない。
「アルテイアの強さは以前の依頼で少しだけ見せてもらったが、今の私はキミの星すら打ち払ってみせるさ」
 それでもゼフィラはそう宣言する。
「奇跡に縋る事を愚かと言うなら構わないとも……後はまあ、個人的に親が子を残して逝くのは何があろうと邪魔したくなるのでね。死別は自然の摂理とは言え、平穏な時を引き寄せる可能性が僅かでもあるなら、私はそれを掴み取ってみせるさ」
 ……実のところ、ゼフィラには娘が居る。
 召喚の際、元の世界に置いてきてしまった幼い娘が、だ。
(彼女は私が居た頃より未来の時間軸から混沌に召喚され、練達で再会したが……未だにキチンと母親を名乗り出ることが出来てない。あの子が立派に育ってくれた事を嬉しく思いつつ、なぜ別れなければならなかったのかと後悔する事ばかりだ)
 だからこそ、親と子を引き離す物があるならそれを打破してみせるさとゼフィラは思うのだ。
 暴食の権能だかしらないが、全力で殴りつけてやるとも、と。そう宣言すらしていた。
「思うところはそれぞれあるよな」
 『Star[K]night』ファニー(p3p010255)も、そう静かに呟く。
「慕う相手を死なせたくない、人間に踏み込ませたくない、自国さえ助かるなら他国を犠牲にしてもいい。誇り高い竜種であっても、そういう思考は人間とあまり変わらない気がするな。けれどオレたちはイレギュラーズだ。冠位を放置するわけにはいかないのさ。どんな理由があろうともな」
 そう、結局はファニーの言う通りなのだ。心情はどうあれ、やるしかないのだ。
「故郷が、大切な人達が、世界が食い尽くされるのを止める為に。道を阻むのなら、その防衛線を全力で突き崩します!」
 震える声で、心を奮い立たせる精一杯の竜の叫びを『貴方を護る紅薔薇』佐倉・望乃(p3p010720)は響かせて。
「…あなたとの夏のデートが待っているから。皆と一緒に、無事に帰ります。だから、どうか、守って下さい、ね」
 左薬指の指輪……Te amoに、そっと約束を乗せて。
「亜竜の群れに、レグルスが二体ですか。やれやれ……骨が折れます。どうせ折るならレグルスの鼻もついでに折りたいところですが。そういえば竜種って個々の能力は高いですが、その分自我やら自尊心やらが強すぎて統率力に関してはちょっと怪しくありませんか? 身も心も美しい私のように、もっと謙虚に生きると良いですよ!」
 『もう1つの道』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)が早くもオチをつけたところで、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が咳払いをする。
「竜が徒党を組んで陣を敷く。それがベルゼーの人徳だった、と言われれば懐の深さに驚くわね。けれど敬意を持って、立ち向かうことはできる」
 そう、イーリンの決め台詞で戦いは始まる。
「神がそれを望まれる」

●暴食への道をこじ開けろ(後編)
 望乃の英雄叙事詩が竜種たちの引き付け役の体力の底上げをするべく響き渡る。
 今日の望乃の役目は過不足なく全体をカバーすることであり、地味ではありつつも決して欠かしてはいけない重要な役割だ。
 特に竜種が2体もいるこの状況では、望乃の重要性は増すばかりだ。
 だからこそ望乃は相手の様子を注意深く観察することにしていた。
 攻撃や行動時のクセ、弱点等を推測したり、植物疏通とエレメント・マスターを併用して、周囲の植物や精霊達の反応から相手の次の動きを予測して、素早く回復の判断ができるように試みようというのだ。
 他にも戦闘に有利になりそうな情報が掴めたり、直感で何かに気付くことが出来たり何らかの異変が生じた場合はすぐに仲間に伝え情報共有をするのも忘れない。そう、今日は実質望乃が皆を中継する役割なのだから。
 ヴィルメイズも広域俯瞰、ハイセンスで様子を伺いつつ、何か異変があった際はハイテレパスで味方に周知するつもりであるがゆえに、この辺りに関してはかなりがっちりとした布陣だ。
 そんなヴィルメイズだが、機動力を奪うよう立ち回りで離れた場所から地府十王舞を舞うことを優先していた。
 とにかくオズバーンやアルテイアの行動を妨害することが全員の安全に繋がっていくのだから手は抜けない。
 そして……ウェールと瑠璃は竜種2体の引き付け役として動いていた。
 具体的にはウェールはオズパーンへ標的改竄を、瑠璃はアルテイアへ妖術影鰐を発動させていた。
 更にはウェールは銀時雨でなるべく多くのドラゴンヘッドを攻撃し、瑠璃はソニック・インベイジョンを定期的に竜種へと叩き込んでいく。
(本音を言うなら逃げたい。でも防衛線を崩す時間を稼ぐには以前花畑で見た天雷を耐えれる人が必要だ。だからレグルス相手だろうと逃げない、逃げれない!)
 オズバーン、そしてアルテイア。響く雷と降り注ぐ星は、まさに天を制するかの如くだ。
 竜種の強大さを示すかの如く響き渡る轟音と破壊力は、心の弱い者であれば逃げ出しているだろう……だがウェールは逃げたりはしない。
「愛する息子が俺を止めた後の抑えた泣き声を聞いてる身としては置いて逝く方も逝かれる方もどうしようもなく心がつらいことを知っている。一回だけで耐えられない悲痛に何度もペルゼーは耐えてきたんだ。最期のお別れはもう誰も喰わずに、笑顔で行かせるために……少しでも多く耐え抜く!」
 それはまさにウェールの決意であるだろう。雷が直撃しないよう盾で受けながら膝、足、尻尾などを地面につけて電流の逃げ道を増やし体の中は気で守ることで防御集中し耐え抜こうとする姿も、まさにそれを現しているといえるだろう。
 瑠璃もまた、アルテイアのスターライトに仲間を巻き込まないよう位置取りに注意しながら動いていた。
(仲間たちがドラゴンヘッドを倒しきるまで、こちらに竜に挑むに足る何かがある、と警戒させ続けてみせます)
 覇竜の導きがその役にたつかもしれないし、たたないかもしれない。しかし、その僅かな可能性すらも瑠璃は引き寄せてみせるつもりだ。その為なら、多少のケガなど気になりはしない。
「協力すればできる事は増えます。人でも竜に届くように。ならば竜とも協力したら。望まぬ死を迎えようとしている竜の、死は覆せなくとも満足は差し上げられるかもしれません」
 そんなウェールと瑠璃相手に、オズバーンが笑う。
「ハハハハハハ! 中々の意地だ! それも貫き通せるならば多少の興味も持てようというものだ!」
 そうしてみせる。だからこそ、亜竜ドラゴンヘッドたちを倒さなければならない。
 イーリンは『鋼鉄の女帝』ラムレイに騎乗し、ドラゴンヘッドの攻撃を集め引き受ける役を請け負っていた。
 紫苑の魔眼・福音を維持し敵の戦術、挙動を共有し撃破の効率化をも目指していく。
 敵の防衛線の布陣を確認し紫苑の魔眼・織式でドラゴンヘッドを集めるイーリンは『一撃はレグルスから来る』という意識を常に片隅においていた。
 同時に『敵は此方の要衝を理解している』と考え、それでもなお盾に徹することにもしていた。その手損を機に味方が詰めると信じて……だ。
 結局のところ、これは自分を信じ仲間を信じる戦いなのだから。
「レグルスの2人……アルテイアとオズバーンの状態も気になるけど」
 だからこそ、ヨゾラは仲間を信じドラゴンヘッドへの攻撃に集中する。
 煌めく星空の願望器を使い自分への付与をするヨゾラはドラゴンヘッドへ星空の泥で攻撃していく。
「呑み込め、泥よ……星空の海よ!」
 ドラゴンヘッドの数は順調に減っている。当然だ……ウェールに瑠璃、イーリンが身体を張っているのだ。ここでやらなければならない。
「戦いは……まだここからだよ! 誰も倒れさせない。僕等は行くべき所に行くんだ!」
「その通りだね。少しでも早くこの場を突破させてもらうよ!」
 ゼフィラの焔華皇扇が炸裂し、ファニーが降りしきる二番星を落とす。
 ファニーは自分が討伐することよりもあくまで行動を阻害することが役割であることを忘れないようにしており、全体的に動きを鈍らせるように動いていた。
 だが、アルテイアの攻撃だけは間近で見たいな、とも思っていた。いっそ自分が受けたっていいくらいだったのだ。
「ああ、やっぱりアンタの操る星は、綺麗だ……!」
 降り注ぐメテオライト。それはどうしようもなく美しい、竜種だからこその御業であるようにもファニーには見えていた。
 そうして、ヨゾラの一撃が最後のドラゴンヘッドを倒して。
「此処まで、ですね」
「そのようだ。フン、足りんな。くだらん約束などするのではなかった」
「約束は約束です」
 そう言って、アルテイアとオズバーンは空へと舞い上がる。
「アルテイアとオズバーンは……どこへ行くの?」
 そんなヨゾラの言葉に、答えは無い。無いが……少なくとも敵意もない。
 去っていく2人と会う機会はまたあるのかどうか。それは分からない。
「こんなところで油売ってる場合ではありませんね。どうせ売るなら顔を売りたいところ。美しすぎるイレギュラーズ! とかどうですか?」
 ヴィルメイズの、そんな緊張の残りが抜け去るような絶妙な一言に笑いが広がっていく。
 状況は、未だ緊迫している。しかし防衛戦の1つを崩したことは、他の戦場へ向かう仲間たちへの絶妙なサポートとなるだろうことは間違いなかった。

成否

成功

MVP

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼

状態異常

志屍 志(p3p000416)[重傷]
密偵頭兼誓願伝達業
ウェール=ナイトボート(p3p000561)[重傷]
永炎勇狼

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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