PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<天使の梯子>偽り砕く神拳

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●振るわれる神拳
 天義の都市バスナル。決して大規模な都市ではないその場所では、1つの意見が出始めていた。
 エル・トゥルルにおける騒動や『リンバス・シティ』の事態に対し、天義の上層部では騎士団を大規模に動かさんとする意見が出始めており……それに呼応するべきだという意見である。
 事実、此処のマイニアン騎士団は上層部にもある程度食い込んでおり、意見を確実ではないが具申できる立場にもあった。
 そう、リンバス・シティ。
 天義の巨大都市テセラ・ニバスを侵食した『リンバス・シティ』の顕現は未だ解決してすらいない。
 その他の様々な暗躍はしかし――イレギュラーズの協力により、深刻な事態は避けられていたが、それもまた解決には程遠い。
 そして、そんなリンバス・シティの問題の裏にいる遂行者の1人……「エクス」と呼ばれる者がいた。
 未だその姿しか確認できていないその状況で、今回の動きがどういう風に繋がっていくのか?
 その答えは、とある夜に出た。バスナル都市議会の議長、エルケットは執務室に戻った時、机の上の書類を読んでいる白装束の男を見つけた。
「だ、誰だ!?」
 振り返ったその姿は、神々しくも穢れのない白で染まっていた。
 まるで秘宝種のようなその姿。敵意こそ感じないが、此方を見定めるかのようなその目は……とても澄んでいる。
 少なくとも何事もない場所で出会えば好感を抱きそうな、そんな目をしている。
 しかしここはそんな「通常の場」ではない。
「バスナル都市議会の議長、エルケット・ソルマンで相違ないか」
「……違うと言ったらどうするのかね」
 エルケットは警備の配置を思い出す。おかしい。そういえば、この近辺にいるはずの警備は何処に?
「貴様の評価が一段階下がるだけだ。事前の調べを怠り無関係な者を巻き込む程に怠惰ではないつもりだからな」
 なるほど、随分としっかり下調べをしているとエルケットは冷や汗を流す。
 つまりこれは確認作業に過ぎない。
「その割には、この辺りにいた警備はどうしたのかね?」
「殺してはいない」
「……そうか。ご厚意痛み入るよ」
「再度問う。バスナル都市議会の議長、エルケット・ソルマンで相違ないか」
「ああ、そうだとも。で、君は何の用だ? 陳情をしに来たとでも?」
 白装束の男は構えもしないまま、エルケットを見据える。
「陳情か。そのような段階はとうに過ぎた」
 エクスの身体から、ゆらりと殺気が放たれて。
「正義を執行する。俺はエクス。エクス・ヴァイルだ。主が定めし歴史を歪めた悪魔よ。その罪を償う時が来たということだ」
「敵だ! 全員集まれ!」
 叫び逃げ出すエルケットにエクスは小さく溜息をつき、拳を強く握る。
「愚かだ。だがそれ故に貴様の罪が鮮明に見えるというものだ」

●暗殺事件を阻止せよ
 バスナル都市議会の議長、エルケット・ソルマンが殺されてより、数日が経過した。
 議長室前の廊下に倒れていたエルケット議長の死体は恐るべきことに「拳での一撃」によって殺害がなされたものと判別されていた。
 殺害者の目的が何であったかは不明だが、この事件で殺害を恐れた議員たちが家に閉じこもり議会は止まったままになっている。
 そして何よりも、議長が殺されたならば次に危険なのは副議長であるメル・ファーガソンであるのは恐らく間違いない。
「まあ、そんなわけだ。恐らくこいつを張ってればエクスの野郎は現れる」
 『Stargazer』ファニー(p3p010255)は同じように遂行者たるエクスを追っていた『玉響』レイン・レイン(p3p010586)と『決別せし過去』彼者誰(p3p004449)を中心とした仲間たちを前にそう告げる。
 この暗殺計画は阻止しなければならない。難しい仕事であるのは間違いないが……こんな事件は、止めなければならないのだ。
 

GMコメント

バスナル都市議会の副議長、メル・ファーガソンの暗殺を阻止しましょう。
メル副議長は50代の女性で、バリバリのやり手キャリアウーマンです。
ちょっとだけ我が強いところもありますが、皆さんの指示には従ってくれます。
仕事人間なので朝~夕は議会公館やお外などでお仕事、そのまま大通りを通って自宅に帰ります。
エクスがどのタイミングで襲ってくるかは不明です。
しかし1度暗殺を防げば計画を頓挫させることが可能です。

●出てくる敵
・影の天使×10
羽の生えた鎧の兵士の姿をしており、倒す事で消滅をするようです。
剣を掲げ、何かに祈り続けるかのような仕草を見せる事が多いようです。
武器は剣による近距離攻撃と、剣から放つ波動による中~遠距離攻撃です。
・影の天使長×1
羽の生えた鎧の兵士の姿をしており、倒す事で消滅をするようです。それなりに強めです。
槍を掲げ、何かに祈り続けるかのような仕草を見せる事が多いようです。
武器は槍による近距離攻撃と、槍から癒しの波動を周囲に放つ回復です。

・『聖拳』エクス・ヴァイル
『遂行者』を名乗る人物の一人。非常に真面目で正義感が強い。
ただし、それが一般的大多数の正義と合致するかはまた別の話であるのですが。
オーラを纏った拳による格闘攻撃と、輝くほどのオーラを纏った、超破壊力の拳『聖拳撃』を組み合わせて使用します。
滅茶苦茶強いので、今回倒すのは無理です。超無理です。
影の天使たちが倒されると撤退するので、それを狙いましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <天使の梯子>偽り砕く神拳完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月14日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
彼者誰(p3p004449)
決別せし過去
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
ファニー(p3p010255)
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●護衛せよ
「既に犠牲が出てしまったことは悔やんでも悔やみきれません。ですが今は次に襲われてしまうメル副議長を死なせないことが先決です。……正義が痛みを伴うとはよくいったものですね」
 『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の呟きは、正義という言葉への疑問も含むものだろうか。
 正義の名のもとに行われたことがこの事態を引き起こしているのだから確かに正義という言葉の危うさを示してはいるだろう。
 少なくとも『聖拳』エクスは自分の信じる正義に基づいて行動しており、真向から正義の概念が衝突するという以外には彼の行動には論理破綻はないのだから。
「そういえばエクスを始め彼らは口惜しいことに我々よりも強いのに、どうして前へ出ないのでしょう? ……何かを待っていて、とかなのでしょうか?此方としてはまあり、悠長にはしてられないと言いますのに」
 『決別せし過去』彼者誰(p3p004449)もそう呟くが……彼等「遂行者」の中では、エクスは働き者の部類に入るだろう。
 その辺りは彼等自身の任務の都合もあるだろうが、大きな目的に沿っているのは間違いない。
 何はともあれ、今回の暗殺計画をさせるわけにはいかないからこそ彼者誰たちは此処に居る。
「はじめまして、メル副議長様。ローレットより参りました、あなたの護衛兼執事を担当します彼者誰です。ご安心を、元より本業は執事。全てお任せください」
「ええ、どうぞよろしく」
 すでに話は通しているのでその辺りで揉めることはないが……シフォリィの言葉を借りれば「いつエクスが襲撃するかわからない以上、副議長のそばで警戒しておきましょう」ということであり、それ故に責任重大でもあった。
 しかしだからこそ、シフォリィも彼者誰も常に気を引き締めていた。
 その上でシフォリィは「何もしないのはアレなのでカバン持ちと話し相手にはなりましょう」と自ら仕事を探してもいた。
 護衛なのだからそんなことをする必要も本来ないのだが……少しでも良い関係を築こうとするシフォリィの生真面目さが炸裂した結果だ。
(打ち解けるのも難しいでしょうが、それでもいざ自分に降りかかるとなれば不安かもしれません。きつい言葉をかけられても笑顔を浮かべつつ真摯に受け止め、必ず命をお守りすると誓いましょう)
 そんな気遣いは言葉にせずとも通じるものだ。メル副議長のシフォリィに向ける目は、僅かに好意的だ。
 更には陰ながらの護衛をしている面々にもファミリアーの鳩を渡しておいて連絡を取っていた。
 そう、表に出て護衛しているのはシフォリィと彼者誰の2人だが、その裏には『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)たちもいる。
「またエクスのせいで殺された……エルケット議長さん、ごめんね……!」
(エクスへの怒りも、ぶん殴れない悔しさも……今はぐっと堪えないと)
 ヨゾラはその中でも、怒りに満ちた1人であるだろう。
「メル副議長さんを守るのが第一、あんな奴に殺させてたまるか。今回も全力で影の天使達を叩く……!」
 ヨゾラは変装も試みていたが、ハイセンスと鳥のファミリアーで周囲警戒し捜索も行っていた。
(エクスが引っかかるかわからないけど……)
 ギフト「興味への道しるべ」も使用してはいたが、これで上手く見つかるかは不明な部分もある。しかしやらないよりはやったほうがマシなのは確かだ。
「天義の事態も少しずつ進んでるけど、その度にエクスのせいでまた人が死ぬ……奴の暗殺初手を阻止する手段も思いつかないし……悔しいけど、今はやれる事をやろう」
「ぶはははッ、まぁ俺らなら出来るさ! この手の護衛依頼はお手のモンよ! この無駄にデカい図体をオークな強面も、味方側ってんなら多少は心強くはあるだろ!」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)もヨゾラにそう言いながら、同じように陰からの護衛に徹していた。
 そんなゴリョウだが、今回は助っ人にトラウを呼んでいた。
 ゴリョウ同様にタンクとしての戦闘スタイルを持つトラウは今回メンバーから少し離れて付いてきてもらっての様子見だ。
 別方向や抑えきれない影の天使が居た場合はそのブロック、またはエクスの侵攻を抑えるシフォリィのサポートなんかをしてもらう予定だった。
「ゴリョウちゃん、あとで美味い飯おごってもらうからなー」
「任せとけ!」
 そんな場を和ませ適度な緊張感を保つトークもバッチリだが……『薔薇の舞踏』津久見・弥恵(p3p005208)もエコーロケーションを使い正確な情報はわからなくとも音の反響で物陰に誰かがいないか、こちらに向かってくる者がいないか……そういった情報が分かるだけでもだいぶん警護はしやすくなるはずと活用していた。
 また、小細工ではある前置きした上で変装の技術で副議長と同じ格好をして囮になることも提案していた。
 弥恵のギフト「天爛乙女」もあり僅かでも効果はあるかもしれないが……まあ、効果がどの程度あるかはお守り程度と考えた方が気が楽ではあるだろう。メル副議長がカツラを被っているのも同じ理由だが、人事を尽くすのはプロの証だ。
(副議長の状況次第では狙われやすい、守りにくいタイミングもありましょう。小細工ではありますが、少しでも効果があれば……)
 そして『疾風迅狼』日車・迅(p3p007500)は物陰に隠れたり雑踏に紛れたりしながら、メル副議長を見守っていた。
 広域俯瞰や超嗅覚を使用し襲撃の警戒をするのも忘れてはいない。
「匂いについては影の天使には無いと思いますが、聖拳殿は新しい匂いだと分かるでしょう。たぶん!」
 その聖拳というキーワードに反応したのは『紅薔薇水晶』ファニー(p3p010255)だ。
「エクスの野郎、また性懲りもなく……絶対に暗殺計画を阻止しねぇとな」
 何度かエクスの関わる場所に出向いた経験のあるファニーは、そんな気持ちが特に強い。
「しかし、痺れを切らしてこちらを直接狙いに来るようなタイプじゃなさそうだ。何度も何度も計画を阻止して、俺様たちも本気なんだってことを見せつけていかないとな。相手を叩くなら折れるまで、だ」
 護衛班を尾行しながらのファミリアーで周辺を警戒する姿は、中々に手慣れている。見つけたら即座にハイテレパスで味方に情報を共有する体制もばっちりだ。
「エクスは……何で……遂行者になったんだろ……それ迄……どんな事をして生きてたんだろ……」
 『玉響』レイン・レイン(p3p010586)もエクスを見つけるため広域俯瞰やエレメント・マスターを使い、メル副議長から目を離さない様にして他のメンバー同様に陰からの護衛をしていた。
(エクスは……真面目な性格っていう印象……奇襲しようと思えば…前回も出来たと思うし……今回も同じとは限らないけど……でも……そうじゃないと……いいな……って……少し、思う……)
 そんなレインの祈りが通じたわけではないだろう。ないだろうが……メル副議長が自宅へ帰る途中の大通り。
 そこに立つ、純白の男の姿があった。

●暗殺計画を阻止せよ
「バスナル都市議会の副議長、メル・ファーガソンで相違ないか」
「そうよ。貴方が殺人犯ね!」
「見解の相違だな。だが議論はすまい」
 構えるエクスにシフォリィも、彼者誰も……全員が反応する。
「正義を執行する。俺はエクス。エクス・ヴァイルだ。主が定めし歴史を歪めた悪魔よ。その罪を償う時が来たということだ」
 現れる影の天使たちにメル副議長は恐怖にゴクリと唾を飲むが、そのまま殺させるはずもない。
「僕も似たようなものですので信念の為に拳を振るう事は否定しづらいのですが、それで歴史を修正するなどという事はよく分かりませんね。よく分からない事に副議長…メル殿の血を流させるわけにはいきません。この襲撃、阻ませていただきます!」
 そう。そこに、誰よりも早く迅が動き出す。おこげチップスを噛み砕いて、仲間たちと連鎖行動を始めていく。
「それでは、皆さんが動きやすくなるよう行って参ります。突撃!」
「ありがとう! 僕も……行くよ!」
 迅が狙うのは槍を持つ影の天使長。ソリッド・シナジーからのデッドリースカイが炸裂し、ヨゾラの星空の泥が影の天使たちへと広がっていく。
「貴様等なんかにこれ以上誰も殺させない……飲み込め、泥よ!」
「今回、奇襲に対してべらぼうに強い日車がうちに居たのがオメェさんらの運の尽きよ!」
 そしてゴリョウも影の天使長へ向かい招惹誘導を発動させていく。
「ぶはははッ! 来いや羽付ども、その槍剣が飾りじゃねぇってんなら豚の一匹くらい仕留めてみせなぁ!」
  当然、メル副議長の護衛も疎かになどなってはいない。
 シフォリィはO・グラッセからの夜葬儀鳳花をエクスへと発動させていき、彼者誰は決死の盾によりメル副議長を素早くかばう体制に入る。
「私の役目は貴方を止めることです! 副議長には、その指先一つ触れさせません!」
 レインも影の天使へ向けて糸切傀儡からの光翼乱破を発動させるが……そうしながら、思う。あのエクスという遂行者の、目的を。
「その羽も鎧も焼き焦がしてやるよ」
 ファニーの焼き焦がす三番星が影の天使長へと降り注ぎ、指先の一番星へとつなげていく。
 指先に宿した光で流星の軌道をなぞるように。相手の死線を切り裂くように。まずはその目障りな槍から破壊してやろうと。
「フン……準備をしてきたようだ。だが、俺への備えはそれで足りるか?」
「私から目を背けるなんてさせませんよ、ここから先は一歩だって譲りません」
「そうか。ならば譲らぬまま砕け散れ」
 飛燕天舞を発動させる弥恵に、エクスがオーラを纏った拳を打ち込む。その凄まじい威力に弥恵はふらつくが……まだ戦える。
 やはり強い、と。その一撃を視界に入れながらヨゾラは思う。
(やっぱりエクスは強い……今の僕じゃ、奴に殴って吹っ飛ばされるだけだ)
 だが、今のヨゾラが自分に課した役割はエクスと戦うことではない。
「僕は僕の役割を果たす、影の天使達を一刻も早く殲滅する……!」
 すでに影の天使長は落ちた。あとは影の天使たちを殲滅するだけだ。
「どうだい? しぶてぇ上に回復までやれる、俺を早く仕留めねぇ限り戦線は崩れんぞ!」
 状況を見たゴリョウも彼者誰たちのフォローに入り、彼者誰もシフォリィもエクスを相手に必死で戦っていく。
「倒せないのだとしても、ギリギリまで粘って立つのが我々です!」
 彼者誰の決意の声が響く中、迅の鉄拳鳳墜が、そしてファニーの指先の一番星が影の天使たちに叩き込まれる。
「エクスは……誰を守ってるの……? それとも……何も……無い……?」
 そんな中、漏れ出たレインの疑問は真正面からエクスへとぶつけられる。
「……歴史の修正……って…何の為に……それをするの……? 間違い……は……感覚とか……認識のズレ……とか……そういうの……なのかな……それって……必ず……何かを殺さないと出来ない事……? 僕が捕食するのと……一緒なのかな……それをしないと……エクスが死ぬの……? 僕は……まだ世界の事に疎いかも知れない……エクスの事も……皆の事も……色々な人の話も……聞いてみたい……って思う……世界の事を……知りたい……って思う……それも……間違い……かな……間違いを正す事が……捕食で……エクスにとっては生きる事だから……殺そうとするのかな……それは……エクスの世界でもいい事で…それはこの世界と同じ……生きる事だから……いい事になるのかな……」
 レインの言葉を、エクスは遮らない。
「同じ命懸け……だから……エクスの目は真っ直ぐなのかも……君が言った……全ての……偽り……の……破壊……それは……君の世界も……君も……同じに……って事……? 君の世界に……僕達は行き来出来る……? それとも……死なないと、行けないの……?」
 しかし、エクスの目から闘志が消えることはない。その視線は、敵に向けているものから何ら変わらない。
「貴様の思考、今の言葉、此方を理解しようという態度。他の者がどう言うかは知らんが、それに俺は一定の敬意を示そう」
「なら……」
「だが結論は変わらない。全ての偽りは破砕されるべきであり、俺はそれを為す拳だ。貴様等が俺の使命の前に立ち塞がる以上、一切合切の区別なく俺は打ち砕く」
「僕は迷ってばかりだから……少し……君が羨ましい……」
 それには答えず、エクスは戦場へと視線を向ける。全ての影の天使は打ち倒され、この作戦の失敗は明確だと悟ったのだろう。バックステップで距離を取り戦場の外へと離れていく。
「エクス・ヴァイル。その正義の正否を問う気はありません。ですが拳を血に塗れさせたその正義が理不尽でないと誰が証明するのですか。もしかしたら本当に罪を重ねていたかもしれない、ですが貴方のやっていることは神の名を騙った私刑でしかない! 今は無理でも待っていなさい、貴方の白く塗りつぶした独善が真の姿を現すその時、初めて貴方は自分の正義がなんなのか知るでしょう!」
 啖呵を切るシフォリィに、エクスは「そうか」と応える。
「ならば立ち塞がり続けるがいい。その全てをこの俺が破砕しよう」
 その言葉を最後に、エクスの姿は消えて。
「ご無事ですか?」
「ご自宅の玄関まではエスコートさせて下さい。本日は元よりこの様な緊急事態が続く中、堂々とした立ち振舞い、大変素敵でございました。今後も気を付けてお過ごし下さい」
 シフォリィと彼者誰はメル副議長のフォローに入る。もう気絶する寸前だったようだが、よく耐えたものだ。
「ご無事で何より。さあ、帰りましょう」
 家に帰るまでが任務ですからね! と迅もフォローに入り、ゴリョウもぶはははッと笑う。
「今後も何かと大変だろうが今回と比べりゃ凡そマシだろ! 腹が減ったらゴリョウ亭に来ると良い! 腹いっぱい食わせてやるぜ!」
 そう、今回のようなことは人生では中々起こらないだろう。起こってもらっても困るが……ヨゾラはエクスの消えた方向へと視線を向ける。
「エクスの事は許せない、いつの日か絶対にぶん殴ってぶちのめす……!」
「だな。しかし、正義の執行だの歴史を歪めただの、相変わらず向こうの意図が読めねぇな……」
 ファニーも何度も事件に関わったからこそ感じる疑問を口にする。
 それが分かるのはまだ少しの時間がかかるのかもしれないが……そうだとしても、彼等の企みは叩き潰す……誰もが、そんな決意に満ちていた。


成否

成功

MVP

日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼

状態異常

彼者誰(p3p004449)[重傷]
決別せし過去

あとがき

ご参加ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM