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シナリオ詳細

<帰らずの森>命育む糧、命蝕む狂える力

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●畑に迫るもの
 それは、明らかに今までとは違う行動だった。
 巨大な蛇。そうとしか言いようのない亜竜が其処にいる。
「シュロロロロ……」
 その亜竜の名前は、ボルトバイパー。
 亜竜の中でも蛇に似た形態をとる「バイパー種」の亜竜だ。
 強力な亜竜の1種であり、それ故に普段は自分の縄張りから外に出ることは少ない。
 そんなボルトバイパーが陣取っているのは、フリアノン付近の高地の畑に繋がる山道の唯一の入り口だ。
 此処を塞がれては、フリアノンへの食糧供給が一部滞ってしまうが……だからといってボルトバイパーは「どいてほしい」と言ってどいてくれるわけではない。
 丸のみにされるか、あるいは黒焦げにされるか。
 どのみち、マトモな死に様は望めない。
 一体何故こんなことになっているのか。
 ピュニシオンの森へと進撃した事で、刺激された亜竜などが出た結果なのか。
 どのみち、放置できる問題ではないことは確かだった。


●救うべきものは
 覇竜領域デザストル。
 その中でも恐らく訪問者が一番訪れているのが亜竜集落フリアノンであるだろう。
 全ての始まりであると同時に、様々な情報の集積地でもある。
 しかしそんなフリアノンでも亜竜集落の抱える最大の問題からは逃れられない。
「つまり食糧問題だ」
 静李(しんり)は、集まった面々にそう切り出した。
 この少女、とある事件をきっかけにフリアノン3人娘というユニット名にて認識された、その1人である。
 本人はそれを微妙な顔をしつつも嫌とは思っていない、なんとも複雑な心情らしいが……ともかく、静李がこうして此処にいるのは、フリアノンを襲った1つの問題を解決するためであった。
「このフリアノンにおいてある程度大事な役割を果たしている『フリアノン人参』の畑のある岩山の入り口に、亜竜が居座ったんだ」
 亜竜の名前はボルトバイパー。
 巨大な蛇型の亜竜「バイパー」種の1体であり、全身から電撃を放つことで知られている。
 強さとしては相当なものであり、必殺の電撃はワイバーンをも叩き落とすという。
「ボルトバイパーが現れた理由は分からないけれど、ピュニシオンの森への侵攻との関連は捨てきれないだろう」
 帰らずの森への刺激が、連鎖反応的にボルトバイパーの行動パターンに影響を与えた。
 そう考えるのは至極普通のことだ。
「つまり俺たちはそのボルトバイパーを追い出せばいい。こういうことでいいんだな?」
「基本的にはそうなるね」
 『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)に静李は頷いてみせる。
「フリアノン人参は栄養価が高く、保存食としても優秀なんだ。そろそろ収穫の時期だというのに、それが出来ないのは困る」
 それと、と静李は付け加える。
「今回は、私もついていく」
「それは……いいのか?」
 静李が外に出ないその理由をある程度知っているベネディクトが聞けば、静李はある程度遠慮気味に頷く。
「あの事件は、私にも堪えたよ。積極的に出ようとは思わないが……このくらいなら、私も抗ってみていいはずだ」
 覇竜に生きる者同様の、何かを失った傷に耐える者の顔をして、静李はそう答えるのだった。

GMコメント

フリアノン周辺の人参畑のある岩山の入り口に亜竜が居座っています。
ドッカンと一当てして、帰っていただきましょう!
ついでに終わったらフリアノン人参の畑を確認しに行き、収穫して帰ってきましょう。
甘くて美味しい、栄養価の高い人参さんです。
岩山の中腹辺りに畑が作られています。

●出てくるモンスター
・ボルトバイパー
巨大な蛇の亜竜「バイパー種」の1種。
全身から周囲に電撃を放つ「バイパーボルト」と、指定の方向に電撃を放つ必殺「グレイトボルト」を使用します。
ある程度ダメージを与えると撤退します。
岩山の入り口に1体が居座っています。
ですが、総数が1体かは分かりません。

●友軍
・静李
覇竜領域デザストルに存在する亜竜集落ウェスタで生まれ育った少女。青き鱗の己等を『水竜の一族』と称しています。
基本的に物静かで、一歩引いたところから全てを見遣るスタンスを貫こうとしているようです。
今回皆さんに仕事を頼んだのは「同胞に頼まれたので」といった理由であるようです。
今回は同行しています。タイプとしては水の魔法による中~遠距離型です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <帰らずの森>命育む糧、命蝕む狂える力完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年03月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
ハリエット(p3p009025)
暖かな記憶
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊

リプレイ

●人参畑の山へ
「人参! 吾は肉も好むが野菜も好きである! 丁度良さそうな肉もその辺に転がっておるし、これは後が楽しみであるな!」
 飛行する『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)の声が響く。
 目的地となる岩山はまだ先だが、こうして警戒しているのは「もう1匹」がいるかもしれないからだ。
「蛇は隠れるものであるが覇竜サイズの蛇であれば上から見ても見つけられよう。見つけたら事前の通りに合図しようぞ」
 そう、この先に覇竜サイズの蛇型亜竜、ボルトバイパーがいるのだ。
「今までヒトと亜竜の間でそこそこバランスが取れてたのが、帰らずの森に進もうとしてることで変化が出ちゃったのかな……それなら、また新しい均衡をつくるために、オイラたちイレギュラーズも一肌脱がないとね!」
「だな!」
 『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)に『有翼の捕食者』カイト・シャルラハ(p3p000684)がそう頷く。
 フリアノン人参の畑のある岩山へ向かっているアクセルたちの言う通り、覇竜には少なくない変化が訪れ始めていた。
 今回の人参畑への道を塞ぐ亜竜も、その1つなのだろう……ボルトバイパーと呼ばれるそれをどうにかして人参を収穫するのが今回の仕事であった。
「俺知ってる、やべぇニンジンは引っこ抜くと悲鳴を上げて逃げ出すって……!」
「それは覇竜人参だな。フリアノン人参は普通に美味しい」
「え、美味しいの? じゃあ頑張る! 蛇肉に合うといいな!」
 静李に言われ喜ぶカイトはボルトバイパーも喰えるんじゃないかなとか思ってるが、まあ今回は倒すのではなく撃退が目的なので蛇肉を食べる機会はないかもしれないが……。
「蛇って温度で感知するやつも多いんだよな。焚き火にびっくりするとか。俺らで言う目つぶしみたいなもんだな。あと鳥肉喰う蛇もいるとか? ま、俺は喰われる気ないけどな! そういう意味で野生の鳥とかドラネコが巣とか番とか詳しく知ってるかも。天敵だし。動物疎通で聞いてみるか。ドラネコってニンジン喰うのか……?」
「ニャー」
「あ、食べるんだな」
 一般通行ドラネコに聞いてみたカイトがそう頷いているが、好き嫌いも禁忌もないのがドラネコの良いところである。
「フリアノン人参、ぜひ食べてみたいぜ。にしても蛇の亜竜ってのもいるんだなあ……けど、畑を荒らす奴は許さねえな」
 『ふもふも』フーガ・リリオ(p3p010595)に一般通過ドラネコも「ニャッ」と頷くが、一般通過ドラネコなので別に手伝うわけではないらしい。
(こんなに覇竜にいるのにフリアノン人参を初めて聞いたなんて言えない……!)
「そ、相賀さんの弟子たるもの、もっと知見を深めないとです……!」
 呟く『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)にフーガが「?」という顔をしていたが、それはさておいて。
「久々に一緒だなベネディクト。それじゃあさくっとやっちまおうや相棒」
「ああ、よろしく頼むぞ」
 『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)と『騎士の矜持』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)がそう言い合って、ルカはピュニシオンの森の方角をチラリと見る。
「俺としちゃあピュニシオンにはガンガン調査行きてえところなんだが……こういう弊害も発生してるのか。自分がやったことの落とし前ってのはちゃんとつけねえとな」
「確かにピュニシオンの森への侵攻が今回の様な事を引き起こしたのだとしたら、これからも同じ様な事が起きる可能性はあるか……出来れば次は無いようにしたいが、難しそうだな」
 ルカに頷きながら、ベネディクトも静かに拳を握る。
「今回の件は俺達にとっても無関係な事では無いからな。友人である静李からの頼みというのもあるが、俺達も当事者の様な物だ……全力で事に当たらせて貰うとしよう」
「森に立ち入らないことで守られてきた秩序があるのでしょう。新しいことを始めるのは、時に何かの均衡が崩れるということ……元々森にいたひとからしたら、私たちは侵略者かもしれません。静李さん、私……覇竜の誰もが「あの時」みたいな思いをしないように、頑張ります」
 ユーフォニーも、静李にそう頷いて。
 そうして歩いていった先にいるのは、情報通りのボルトバイパーが1体。
「見えた、あれがボルトバイパーか」
「他にもいるかもしれないから、上から警戒しておくよ」
 言いながらもベネディクトと『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)は情報精度の低さ故に相手が1体とも限らないのは事前に解っているから、空から小鳥のファミリアーや広域俯瞰で警戒もしていた。
「ごはんが食べられないと、寂しい気持ちになるよね」
 食糧問題か。昔の私は今日食べるものにも困る生活だったな……などとハリエットは思うが、食糧問題に関しては覇竜の人々はこれでもかというほど努力をしており、今回の畑もそれと同じであることは明らかだ。
「亜竜には悪いけど、フリアノンの人たちの食料事情のために退いてもらおうか」
 そして、戦う前にユーフォニーはまず動物疎通で対話を試みる。
「もしバイパーさんの棲処に何かが居座っているなど問題があるなら、そちらも解決しないと繰り返すだけですから。まずは試してみましょう」
 そう言うと、ユーフォニーはボルトバイパーの前に進み出る。
「初めまして。どこからいらしたんですか? 私たちはこの先に行きたくて、場所を移ってはもらえませんか? それか……何か困っていることはありますか?」
「シャー!」
「うっ、興奮してる……会話になりませんね」
 対話を選んだこと自体は悪い選択ではなかったはずだ。しかし残念ながらボルトバイパーのほうに対話する気がゼロだ。
 出会った時と場所が違えばあるいは対話の可能性もあったのかもしれないが……今は無理矢理追い払うしかなさそうだ。
「よし、まずはこっちの力を見せつけよう!」
「オラオラ、捕まえれるもんなら捕まえてみな!」
 アクセルの神気閃光が放たれ、カイトの熱血の赤翼が広がっていく。
「吾は突撃して殴るのがお仕事! 一気に殴り抜いてくれよう!」
 瞬天三段からの星見の一撃はまるで最初からそういうコンボ技だったかの如く炸裂し、その確かな手ごたえに百合子は太い笑みを浮かべる。
「逃げられはせぬぞ! 大人しく吾の食卓に上るがよい!」
 食う気満々の百合子の気迫にボルトバイパーが僅かに脅えたような様子を見せるが、もしかするとアクセルの持っている竜鱗片に反応したのかもしれない。
「加勢が来る可能性がある事も考えるとちまちまやってる時間はもったいねえ。最初から思い切りいくぜ!」
 そこにルカが三光梅舟を放てば、ボルトバイパーは大きく揺らぐ。
 元よりスタミナはともかく防御力は然程高くなさそうな亜竜だ……放った電撃を受けつつも、ルカは問題ないと黒犬(偽)を軽く掃う。
「増援が来る可能性もあるのなら、1体の内に早々に仕留めてしまおう!」
「ま、援軍が来る前に一人で片付ける自信もあるけどな!」
 軽口を叩くルカにフッと微笑み、ベネディクトの斬影千手が放たれる。
「この場所から退いてくれるだけで、いいんだけどな」
 ヒット&クライ曲式IIIを構えるハリエットに……ボルトバイパーは素早く逃げの一手を打ち始める。
「ま、逃げてくれるならそれで良し。周囲にも……音は無し、か」
 フーガが周囲の音を聞きながら判断し、ユーフォニーもホッとしたような様子を見せる。
「なら、あとは人参を収穫するだけですね♪」
 岩山の畑につくまでは油断はできないが……いよいよ、収穫の時である。

●人参を収穫せよ
「さて、人参の収穫だな。どれだけの範囲があるか解らないが、皆でやれば何とかなるだろう……静李、どの辺りから始めれば良い? 何か注意点があるなら、気を付けて収穫するが」
「適当でいい。何か厳格な決まりがあるわけじゃない。あ、でも」
「イヤー!」
「グワーッ、情報精度C!」
 カイトが人間みたいな形の人参に三段蹴りをされているのを見て、静李が「ああ……やっぱりいた」と呟く。
「たまに何処からか、ああやって覇竜人参が紛れ込んでるんだ。気を付けて」
「あ、ああ」
 ちなみに覇竜人参は百合子が美味しく生で食べた。さておいて。
「俺も全く畑仕事の経験が無い訳じゃないが、フリアノン人参は初めて扱うからな。道具などは里から借りて来ているだろうから、それを使わせて貰おうか」
 簡単な道具を扱いながらも、ベネディクトはサクサクと収穫をしていく。
「むっ、これ何かは良い具合に成長しているんじゃないか?」
「ああ、いいと思う」
「そういえば、静李は好きな食べ物は何かあったりするのか」
 ベネディクトがそう話題を振れば、静李は少し考えた様子を見せる。
「俺はやはり肉料理かな。野菜もちゃんと食べはするが」
「私は……比較的何でも好きだ。土地柄、好き嫌いは贅沢だしな」
「ああ、そういうのもあるのか」
 言われてベネディクトは納得してしまう。確かにそういう事情も好き嫌いを育むのだろう。
 そして……増援を変わらず警戒はしているが、今のところ問題はない。
「これなら大丈夫そうだね」
「だな! 自然知識もあるので見極めはある程度出来るぜ。葉っぱが少しだけ黄色がかったやつ探せばいいんだよな! ぐ、思ったより引っこ抜けねえ、ぐ、ぐぐぐううううう!!!」
「あ、手伝うよ!」
 カイトとアクセルのコンビネーション(にんじん引っこ抜き)が炸裂するのを「うんうん」と頷き見ていた百合子だが、静李に「やらないの?」と言われて「ん?」と声をあげる。
「吾が本気で収穫してもよいのか!? 即ち空間境層を使用した必殺の構え……この時吾の人参収穫力は常人の4倍くらいにたぶんなる。人参収穫した事がないので詳しくはわからぬが! でも、どうせ収穫するなら集落の者達も仕事が減ってよかろうしありったけ収穫して持って帰ってやろうぞ! こう見えても吾は運搬性能がある故、運ぶのは得意であるぞ!」
 そう宣言すると百合子が練達の耕作機械の如く動き始めるが……それを見てハリエットは「すごいな」と感心した声をあげる。
「作物の収穫、ちゃんとやるのは初めてだな」
(……召喚前は盗んで食べてたなんて言えやしない。生きるか死ぬかだったんだよねあの頃は)
 それを責める者は居ないだろう。生きるか死ぬか。その境界の前では、人間の倫理は極めて希薄になるのだから。
 だからこそ今は、得られた正当な報酬の味を噛みしめるべきだ。幸いにも、此処で収穫した人参のうちの一定量は現場で調理して食べていいということになっている。
「さて、人参スープを作ってみるかな」
 鍋を取り出しながら、フーガは早速調理の準備を始めていく。
「実は元の世界でも鍋は重宝していたから、こういった鍋を使った汁物を作るのが、得意なんだ。他にもみんながいろんな料理を作ってくれてるみたいだから、試食が楽しみだぜ」
 言いながら、フーガはちょっと人参を丸齧りしてみる。
「覇竜領域の動植物はやべえのが多いって聞いたけど……この人参は、普通、だよな?」
 カイトに三段蹴りをかましていた覇竜人参を見ていると気になるのは仕方ないが、フリアノン人参は普通である。
「それは大丈夫だ」
「そうか……甘いけど甘すぎるって訳でもないな」
 静李に言われ一本をフーガはぼりぼり食べて鍋の味付けを組み立てていく。
「なら私は人参パーティー、デザートに人参ケーキを作ります。これだけ甘いと良いのが出来ますよ♪」
「あ、なら手伝うよ。切って煮たり焼いたりするくらいならできるよ。凝ったものは作れないけど」
 ハリエットの助けを得たユーフォニーの手際も流石なものだ。
「スライサーで細くおろし、レーズンと一緒に生地に混ぜる。隠し味にスパイスを適量、焼き上がったら粉砂糖を振れば完成です! この前のミントティーと一緒に、食後にどうぞ♪」
 そして百合子も、そんな調理風景を見ながら頷く。
「勿論この場で食べる人参も楽しむとも! 吾はそのまま食べるのも好きであるが煮てあると一杯甘くてもっと好きである。蛇肉と煮ても美味しいのでは? とは思うが、料理は出来るものに任せておこう……人参を切るくらいなら吾にも出来る故、その辺は手伝うが!」
 その潔さは流石美少女といったところだろうか。
「俺は人参のグラッセでも作ってみるかな、普段は付け合わせとして食べる事が多いんだが……フリアノン人参の味を楽しみたい。静李も良かったらどうだ。皆も何やら作ったりするようだぞ」
「ん……」
 ベネディクトに言われ、静李は人参の皮を剥き棒状に切っていく。
「……野菜スティックか?」
「……ん」
 少々不格好なそれを見ながらルカは「それも手だったな」と頷く。
「さて、どうするかね。人参だけだと流石に食いにくいな……そうだ静李。前に相賀のジーサンと一緒に取りに行ったフリアノンポテト、あれ今あるか?」
「ん? ああ、それでか。相賀翁が持っていけと出がけに渡してきたんだが……」
「他にもカレーに使えそうな野菜があるなら料理するぜ」
「とするとこれもか? ラッキョとか言ってたが」
「ああ、それは付け合わせだな……」
 瓶詰を受け取りながらもルカはカレーの調理を開始する。
「ポテトと人参と言えばやっぱりカレーだろ。単純に俺の好物だってのもあるがな……今回は人参がメインだから普段とはちっと違うように料理するか。まず人参はカレールーに負けねえようにしっかりと味わえるように大きめに切るぜ。じゃがいもも同じく大きめに切って……と。カレーは今回はスープカレーにしておくか。野菜がゴロゴロ入ってるスープカレーは美味いぜ」
 そう、スープカレーはサラサラと美味しいのが特徴だが、大きな特徴としては野菜多めなことだ。
 スープカレーは簡単に作れるレトルトのものだが、野菜が美味いもんばっかりなら問題なく美味くなるとルカは自信があった。
 下ごしらえをした野菜は軽く炒めてカレーに投入して。
「ざっとこんなもんだな。多めに作ってあるから遠慮なく食ってくれよな。あ、静李も遠慮なく食えよ。お前も頑張って戦ってたんだからよ!」
「ああ、ありがとう」
 揃った料理は、どれも美味しいものばかり。
「何本かはお土産に貰って、明日からのご飯の足しにさせてもらおう。節約大事だよね」
 ハリエットがそう頷きながらモグモグと食べていくが、幸せそうだ。
 よく働いて、よく食べて。平和も守った。今日この日を簡単にまとめるのであれば。
「よく戦ってよく食べる! 実に美少女でよい一日であった!」
 百合子の言う通り。実に美少女な一日であった……ん?
 まあ、たぶん。そんな感じである。

成否

成功

MVP

ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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