PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ゴブリンを一番スタイリッシュにガッてした人が優勝する依頼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●西の森に25体のゴブリンが現われたので全員退治してほしいのです!
「おねがいします!」










「……えっ、それだけですか!?」
 ガッツポーズのまま停止する担当者に、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はつんのめった。
「なんでもしますから!」
「そういうことじゃないのです!」
 お前依頼の内容が二行しかないって、ないって、おまえ、おまえさあ!
 頭をわしわしするユリーカ。
 いや確かにゴブリンを倒すだけの依頼に詳細もなにもないけど、そうはいってもこのままイレギュラーズに伝えては情報屋としての沽券に関わる。きょうび伝書鳩だってもっと喋る。
「フカカチ!」
 頭上に止まった伝書鳩が喋った。
「ハッ! それはどういうことなのです!?」
「フカカチヲ、ツケロ!」
「付加価値をつけろ……一番倒したひとにアメちゃんあげるとかですか?」
「オマエモットサア、イロイロカンガエラレルダロ? クビカラウエニツイテルノハ、ボウシヲノセルダイカ?」
「そ、そんなこといわれても……」
 伝書鳩ってこういうのだっけ? 書の字はどこへ行った。
 疑問を抱き始めたユリーカが辞典で書の意味を調べ始めていると、伝書鳩がソファに座って葉巻きを手にした。
 ハマキカッターで先端を切ると、そっと突きだしてくる。
「えっ」
「ヒダヨ、ヒ!」
「なのです!」
 慌ててライターをすって火をつけるユリーカ。
 伝書鳩は葉巻きをくわえ、僅かに煙を吸い込んだ。
 すぱすぱと吸うたび、先端の葉が焼けていく。桜の木をいぶしたような上品な香りが部屋に広がった。
「オレモヨ、セカイノキボウニガイチュウクジョバッカサセタクネエンダヨ。ベツノセカイカラショウカンサレタヤツモサ? スコシデモサア、タノシメルヨウニサ、シテヤリタイワケヨ」
「は、はあ……」
 煙を吐きながら頬を叩く伝書鳩。輪っかになった煙が上ってゆく。
「ソノタメニネ? オカネガイルナラ、チョットハラッテモイイカナッテオモウワケヨ」
「はい……」
「ジャア、コウシヨウカ」
 葉巻きを突きだし、伝書鳩は目をきらりとやった。
「ゴブリンヲ、イチバンスタイリッシュニタオシタヤツガ、ユウショウダ」
 葉巻きから落ちる灰を、担当者がそっと灰皿で受けた。
 幻想南方貴族エトワール十二家門がひとつ『ピースメーラー』こと伝書鳩卿……今回の真の依頼人である。
「キタイシテルゼ、イレギュラーズ!」

GMコメント

 幻想南方貴族エトワール十二家門がひとつ、『ピースメーラー』伝書鳩卿からの依頼です。
 西の森に現われたゴブリンを退治する依頼ですが、最もスタイリッシュに倒した優勝となります。
 優勝したらどうなるかはあえて言いませんでした。貴族ってそういうことするよね。(メタ的には皆さんの総合スタイリッシュ度合いに依存します)

●ゴツゴウゴブリン
 なにかと都合良く現われることで知られるゴブリン型モンスターの一種。
 その都合の良さたるや時代劇のやられ役が如く。突如周囲を取り囲んだかと思うといい感じに斜め後ろから一人ずつ飛びかかったり出てくる相手に対応して対抗するような武器に持ち替えたり急に都合のいいことを言ったりします。
 よく知らないんですが人にとって都合のよい戦闘をすると心の栄養がたまるんだそうです。
 25体ほど出てきますが、こっちが8人でいくと大体ひとり3人倒す感じになるでしょう。

●スタイリッシュ
 効率を考えて範囲攻撃とか、何割で回復とか、そういうのいいんで、一番スタイリッシュになるやつお願いします。よしんば回復に集中するとしてもたった20のHPを取り返すのにスタイリッシュ回復をしてください。
 スタイリッシュかどうかの判定は伝書鳩卿が行ないます。

 余談ですが伝書鳩卿は幻想に名を連ねる貴族です。四大貴族ほどじゃありませんがそれなりに力を持っていてイレギュラーズの重要性や(特権を含めた)政治的価値も熟知しています。
 飛行ができる獣種です。ハト状態のままでも人間っぽく振る舞える特殊能力を持っています。いらんけど。
 あと政治思想はハト派。

【アドリブ度(スタイリッシュ)】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。特にスタイリッシュさを演出するためにあちこちアドリブが加わることがあります。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ゴブリンを一番スタイリッシュにガッてした人が優勝する依頼完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年09月23日 21時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
アト・サイン(p3p001394)
観光客
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
ロクスレイ(p3p004875)
特異運命座標
パーシヴァル(p3p005214)
美少女
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫

リプレイ

●お好みのかっこいいテーマソングをかけながらご試聴ください
 エンジン音が空をさく。土煙も盛大に、赤いバイクがやってくる。
 スライドする後輪が、土を蹴り上げ停止した。
 ヘルメット脱いだ桃色髪の少女――『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)は、ゆっくりと頭を振って乱れた髪を整えた。
「ゴツゴウゴブリン……ゴブリンとはいえ何て数が多いんだ! 皆さん、ここは僕が1番手を打って敵をかき乱します。その隙にスタイリッシュに名乗り口上を!」
 バイクから降りて身構えるアルプス。
 それを迎え撃つように、大量のゴツゴウゴブリンたちが棍棒を振りかざした。
 巨大な剣を引きずって歩く『千法万狩雪宗』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)。
「ぬるぽなゴブリン共が出現した以上、可及的速やかに且つスタイリッシュにガッするべし。いや、何となくぬるぽな感じなのだろう。そういう都合なのだ、きっと……」
 都合良くのぼる太陽を背に、汰磨羈は青い目を光らせた。
 遠い口笛。名も知らぬ懐かしいメロディ。
 太陽を背にもうひとりの戦士……『森の一族』ロクスレイ(p3p004875)がやってくる。
 だらりと両手をさげたシルエット。
「はっはー!スタイリッシュといえば二丁拳銃だろ?つまり俺の出番だぜー。『ロクスレイ』の名に恥じないスタイリッシュさを見せてやろーじゃねーか。森の中で俺を止められる奴はいないぜ!」
 袖から滑り出た二丁拳銃。
 それらを顔の位置に翳すと、ロクスレイはにやりと笑った。
 同じく拳銃を引き抜く『美少女銃士』パーシヴァル(p3p005214)。
「スタイリッシュにゴブリンを倒せばいいんだね! がんばる!」
 ……といった具合に誰もがキメキメな本日。
 『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)は頭をかりかりとやって苦笑した。
「やばい。みんなスタイリッシュ過ぎる。俺みたいな一般人が来る所じゃ無かったかも。早まった。……うーん、でも引き受けてしまったからなぁ。仕方ない、頑張ろう。ちょっとは光るものがあるといいなぁ」
 そんな風に言うわりに威降の佇まいは恐ろしく軽やかで、水面に水鳥の羽が浮くかのごとくなめらかでしずかで、それでいて刀のように強い筋が通っていた。
 大きな騎兵槍を抱え持つ『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)。
「スタイリッシュ、ですかー。幻想の貴族家って、意外と余裕あるのでしょうかー」
「えっただゴブリン倒すのだって立派なお仕事じゃ……何でもないですすたいりっしゅ……泥臭く生きてるボクにどうしろと?」
「そうですねー。こういうときはー……」
 コンビを約束していた『夢見る狐子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)が、フードの先端をつまむ。
「頼れる仲間と力を合わせよー!」
 あえてびしっと背中を合わせてみる二人。
 その様子をうんうんと頷いて見ていた『観光客』アト・サイン(p3p001394)が、ふと我に返って虚空を見上げた。
「僕ができることでスタイリッシュ……? ……そうか、罠だな」
 どうやら、普段はできそうにないことを思いついたらしい。

●スタイリッシュタイム(小山声で)
 棍棒を振り上げ一斉に突撃をしかけてくるゴツゴウゴブリンたち。
 対するは真正面から突撃を仕掛けるアルプスローダー。
「駆け抜けます。とにかく速く。風よりも、弾よりも、音よりも速く!」
 ハンドルを握って前傾姿勢をとると、バイクもろともゴブリンの群れへと突撃した。
 ギャギャーと悲鳴を上げてつぎつぎに吹き飛ばされるゴブリンたち。
「チィッ、なんて速さだ!」
「追いつけねえ!」
「相手は一人だ、囲んじまえば手も足も出ねえだろう!」
 しゃべれる筈なのにギャギャーとかいって四方八方からとびかかるゴブリンたち。
 巨大なゴブリン玉と化したアルプスローダーだが……強くアクセルを開く音と共に、一斉に吹き飛ばされていく。
「絶対的なアドバンテージによって絶対的な先制攻撃を行い、イレギュラーズにバイクありとゴツゴウゴブリンに思い知らせてやります。後は、よろしくお願いします!」
 宙を舞うゴブリン。
 木の上から跳躍した白い影が、ゴブリンたちを次々に蹴りつけながらジグザグに飛来する。
 大胆に開いた白装束は、汰磨羈のものである。
 ゴブリンの一人を踏みつけて、縦横斜めに回転してから片膝と拳をそれぞれ地面に叩き付けた。
 波紋のように広がるマナ。スパークをおこし、わずか一瞬にして大爆発を引き起こした。
 まっさらとなった森。立ち上がったゴブリンたちが再び突撃をかけるが、割り込むように駆けつけたヒィロとメリルナートがそれぞれの武器を構えた。
「お待たせ!」
 ウィンクをして歯を光らせたなら美女を助けてもいい。あるワールドクリエイターの言葉だ。
 ヒィロは剣を天高く掲げると、自らの闘志を迸らせた。
「ボクが相手だ!」
 一方でメリルナートは地面に騎兵槍を突き刺し、魔力を大地から吸い上げていく。
 メリルナートの歌が槍を小刻みにふるわせ、ヒィロの内からわき出るエネルギーがゴブリンたちを注目させる。
 左右から同時にせまるゴブリン。
 ヒィロとメリルナートはそれぞれ交差すると、向かってくるゴブリンへ鋭い突きを叩き込んだ。
 振り込まれる棍棒を跳ね上げ、飛来する無数の石を盾によって弾く。
「ボクの防御を抜くには……そう、百年くらい早い、かな?」
 チチッと下を鳴らしながら指を振るヒィロ。
 彼女の上に浮き上がる槍。
 メリルナートの歌によって振動する槍が、魔力を伴ってゴブリンの群れへと飛び込んでゆく。
 その一方では、ロープをあちこちに張り巡らせたアトが森の中を駆け抜けていた。
 追いかけるゴブリンたちがロープに躓いて転倒し、アトがロープをひけばしなった枝が打ち付けられる。
「ヒュウ、おもしろいくらいうまくいくな」
 ほんと今回だけだからねこれ。
 アトは軍馬に飛び乗ると、高所からライフルを打ち込みまくった。
 くるりと回してロードすると更に連射。
 追いかけようとするゴブリンたちが次々ともんどり打って倒れていく。
 それでも追いかけてきたゴブリンたち。大きく跳躍するアトと馬。
 飛び越えたのは大きな落とし穴であった。
 ギャーといって次々に落ちていくゴブリンたち。
 その様子を木の枝の上に立ってぼうっと見ていた威降は、『もしかして』と呟いた。
 跳躍し、あえてゴブリンたちのど真ん中に着地する威降。
 サッと棍棒を高く構え、いっせいに足を止めるゴブリンたち。
 威降を中心としたゴブリンの円に緊張が走り、斜め後ろのゴブリンがギエーと言いながら殴りかかった。
 初撃を半歩で回避し、切り払う威降。
 返す刀で逆方向から殴りかかるゴブリンを斬り、次々と襲いかかるゴブリンを刀の柄頭で打ち、切っ先で喉をさき、棍棒を落として逃げようとしたゴブリンには振り向きざまに飛ぶ斬撃を放って打ち倒した。
「……うん、やっぱりそうだ」
 呼吸を整え、刀を納める。
 喉から血を吹いて倒れた姿勢のゴブリンが、ちらちらこっちを見ている。
(このゴブリン、わざと斬られに来てる……)
 あと25人しかいないはずなのにさっきからやられまくってて数が合わないのは、タフに復活しては毎回上手に死んだふりをするからである。
「はっはー! 全弾持ってきな!」
 そこへ飛び込んできたのはロクスレイ。
 二丁の魔道拳銃を水平に構えると、植物性魔力弾を打ちまくる。
 火花を散らして次々に倒れていくゴブリンたち。
 片方の銃を撃ち尽くしたところで走りながら放り投げ、腰から取り出した呪石マガジンを装填。ジャグリングでもするように高速リロードをかけると、絶え間なく射撃していく。
「銃使いはリロードタイムが弱点? ワリィな、俺のリロードタイムに隙はないぜ!」
「銃撃協奏曲を奏でるよ!」
 樹幹の後ろから飛んだパーシヴァルがリボルバー拳銃を連射。ロスクレイの死角を狙おうとしたゴブリンを打ち倒した。
 ばたばたと倒れるゴブリンたち。
 残ったゴブリン(?)が棍棒を構えながら低く唸った。
「なんという強さ……貴様ら、何者だ!」
 それぞれの武器を構えて並ぶ八人。
 馬上からライフルを向けたアトがウィンクをした。
「イレギュラーズさ」

 森の中をバラバラに逃げ惑うゴブリン。
 それを追いかけるのは馬にまたがるアトだ。
「ほら、忘れ物だよ」
 偽エルザイト爆弾を放り投げるアト。
 慌ててキャッチしたゴブリンがお手玉をした末に爆発四散。
 馬を加速させたアトは馬上から飛び、残るゴブリンを蹴倒し馬乗りになると、リュックのホルダーからサバイバルナイフを引き抜いた。
 悪いね、と言って振りかざす。
 そのすぐそばをバイクで駆け抜けていくアルプスローダーとその人型アバター。
 アバターが人差し指を立てて見せる。
「ヒーローは言っていた」
 逃げるゴブリンを背中から追突。
 棍棒を落としてごろごろと転がったゴブリンが立ち上がったのを見て、アバターが座席に立って跳躍した。
「バイクで怪人を撥ねるときは分かりやすく飛ぶと!」
 立ち上がったゴブリンの周りを高速で周回するアルプスローダー。それを足場に次々に跳ね回りながらゴブリンを蹴りつけるアバター。
 最後のキックが蹴り抜けた所で、ゴブリンは派手に爆発四散した。

 印を結ぶ汰磨羈。マナのラインが全身を走り、拳や足を含む各所にハードポイントを形成していく。
 腰に浮かんだ文様を撫でるように払うと、全身の各ハードポイントからマナを噴出しはじめた。
 豪速でゴブリンに接近。連打で体勢を崩して派手な掌底でゴブリンを打ち上げると跳躍によって追撃。脚から噴出したマナの勢いで蹴りつけ、落ちたゴブリンを掴んだままスープレックスをかけ、爆発四散させる。
 くるくると回転して離脱した汰磨羈……その背後を狙うゴブリンに、威降の刀が突き刺さった。
「刀を捨てたぞ!」
「ククク自慢の刀を捨て丸腰になった貴様など敵では無いわ」
 ゴブリンが丸腰となった威降へ襲いかかる。
 棍棒が彼の頭をたたき割る――かに思われたその時、威降の姿は視界から消えていた。
 ゴブリンの背後にて、手を手刀の形にした威降が立っていた。
 手はどろりと血に濡れ、ゴブリンはいつのまにか切り裂かれた脇腹に手を当てる。
「ごめんね。俺自身が武器なんだ」

 ヒィロを取り囲んだゴブリンが同時に襲いかかる。
 しかしヒィロはその全てを剣でもって打ち払い、相手の棍棒を次々に飛ばしていく。
 背後からの攻撃は、メリルナートのスイングした騎兵槍によって薙ぎ払われた。
 二人は背中を合わせ、取り囲むゴブリンたちを見回した。
 振り向くこと無く頷きあうと、一斉に飛びかかるゴブリンたちに身構えた。
「くじけない……!」
 ヒィロの内からわき出るエネルギーが指先まで伝わり、ゴブリンの棍棒をガード。カウンターに繰り出された剣がゴブリンを切り裂いていく。
 一方でメリルナートはゴブリンの攻撃を右へ左へ回避し、槍を振り回して打ち払う。
 二人は瞬時に反転して居場所を交代すると、メリルナートは氷の魔術を槍のこじり部分に集中。ペンデュラムチェーンのように氷の鎖を生み出すと、ゴブリンたちに次々と巻き付けていく。
 その後ろでヒィロはゴブリンたちの間をジグザグに駆け抜け、剣を振り抜いたまま止まった。
 血を吹き目を回し、ゴブリンたちが倒れていく。
 その中を走って抜けていくゴブリン。
 追いかけようとリボルバー拳銃を構えたパーシヴァルが跳躍し、銃を撃ちながら突撃。
 ゴブリンを樹幹に押しつけるように追い込むと、口内に銃口を突っ込んで連射した。
「これでフィニッシュ!」
「いや、もう一丁だ」
 ロクスレイがゆっくりと歩み出る。二丁拳銃を天に向けて構えていた。
 見れば最後のゴブリンが棍棒を捨てて逃げ出している。
 ひーひーといって走るゴブリンの背に、ロクスレイはにやりと笑った。
「最後は俺の秘技、転移舞砲を見せてやるぜ」
 ヒュウと口笛を鳴らすロクスレイ。
 すると時間を超えて現われた彼の分身が超高速でゴブリンの眼前で停止。
 ゴブリンの額に銃口を当てた姿勢のまま分裂し更に横に回って銃口を突きつけ、そのまま分裂して更に横へ。
「はっはー! どーだい? ちゃんと目で追ってこれたか?」
 次々と分裂して増えた各時間軸のロスクレイが全く同時ににやりと笑い、現在時点のロスクレイがぱちんと指を鳴らした瞬間、全てのトリガーが引かれた。
「まっ、もう聞こえてねーだろーけどな」
 無数の銃声の中に沈んだゴブリンを背に、ロクスレイはハンドポケットで立ち去った。

●伝書鳩卿
「エクセレント!」
 幻想貴族エトワール十二家門がひとつ『ピースメーラー』伝書鳩卿。
 くるっぽーいいながら秘書の頭上で手(?)を叩いていた。
 秘書が眼鏡をくいっとあげる。
「みなとてもスタイリッシュでありました、と伝書鳩様は仰っています。これより最もスタイリッシュだった方を発表するとも」
 ゆっくりと集まってくるイレギュラーズたち。
 バイク(本体)を押してやってくるアルプスローダー。
 馬からおりるアト。
 軽くハイタッチするヒィロとメリルナート。
 腰に手を当てるパーシヴァル。
 マナブーストモードを解く汰磨羈。
 刀を鞘に収める威降。
 銃をホルスターにしまうロクスレイ。
 伝書鳩卿はオホンと咳払いをした。
「コウオツツケガタイガ……シイテ、アゲルナラ!」
 クルッと振り返る。
「オマエダ!」
 伝書鳩卿が翼でさししめしたのは、汰磨羈だった。
 ゆっくりと歩いてくる秘書。
「あなたには、伝書鳩様より『五行絶影』の称号を授けられます」
「ホコルガヨイ!」
 この後、なんか都合良く倒されて満足したゴブリンの霊がアザッシターオツッシターといって天に昇ったり伝書鳩卿が二次会奢ってくれたりなんだりして、イレギュラーズたちは沈む夕日に向かって帰っていたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――完

PAGETOPPAGEBOTTOM