シナリオ詳細
再現性東京202X:聖なる夜に、ちいさな君と
オープニング
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希望ヶ浜の街並みを仄明かりがふわりと包む。七色の電灯に彩られた街に白い息を吐いた一人の少女が立っていた。
ミルクティブラウンのロングヘアーに柔らかなエメラルドの瞳の少女、小説世界からの旅人である退紅・万葉 (p3n000171)その人だ。
新本格派ミステリー小説の探偵役である彼女には突拍子もない設定が付けられている。
その内の一つが『面白山高原先輩』というチャウチャウと『蛸地蔵くん』というエキゾチックショートヘアを買っているという事だ。
家では祖父から貰ったタニシを三匹飼って居るという設定の彼女は小説の探偵役のトラブルメイカー助手としての立場の儘、混沌世界にやって来た。
そうしてお友達が出来たのだ――犬と猫に。
「あ、待ってたよ、ポメ太郎くん! 飼い主さんも皆もこんばんは」
雪のちらつくセフィロトドーム。はらはらと白く粧う景色の中でふんわりと笑った万葉にベネディクト=レベンディス=マナガルム (p3p008160)は手を振った。彼の傍らには目を伏せってリードを握るリュティス・ベルンシュタイン (p3p007926)の姿があった。
しゃかしゃかと脚を動かすポメ太郎はリュティスの握るリードを『ぴん』と張り懸命に面白山高原先輩に飛び付こうとしているようである。
万葉が待ち合わせしていたのは希望ヶ浜学園だった。今日は来るクリスマスに向けての作戦会議予定である。
「夜の学校ってそわそわとしちゃうわよね」
「そうですね! 寒いので早く暖房の効いた部屋に入りたいです」
マフラーに顔を埋めたしにゃこ (p3p008456)の赤い鼻先をつんと突いてから万葉がくすくすと笑う。
「そうね、早めに行きましょう」
子供達にプレゼントを配りたい。茶太郎とポメ太郎、それから面白山高原先輩と蛸地蔵くんの『もふもふ』隊が街を闊歩する。
大きなポメラニアンが怯えられないか。プレゼントは幾つ用意しておくか。ラッピングはどうしようか。
そんな作戦会議を行ないながら秋月 誠吾 (p3p007127)はどっしりと膝に降ろした蛸地蔵くんの背中を撫でた。
なあごと鳴いたその頬を突けば短い手が撫でろと更に催促するようである。
「蛸地蔵くんは気に入ったみたいね。面白山高原先輩は……」
「ポメ太郎と遊んでるみたいじゃのう」
めらめらと燃えるものは此処では用意できないと唇を尖らせたアカツキ・アマギ (p3p008034)の傍でソフィリア・ラングレイ (p3p007527)が面白山高原先輩の上にぺちゃりと乗ったポメ太郎に蜜柑を重ねている。
まるで鏡餅の様子になったわんこ達に万葉も思わず釘付けになっていた。
「明日、サンタクロースの服は着る? わんこたちに着せてあげたら可愛いよ!」
大きな帽子を遅れてやって来た茶太郎に被せてフラン・ヴィラネル (p3p006816)は「どうかな?」と振り返る。
「すごくかわいい! うんうん、とっても良いと思う!」
きらきら、宝石めいた瞳を輝かせたユウェル・ベルク (p3p010361)に犬猫が尾を揺らして応えた。
柔らかな白雪が昼下がりの街に注ぐ。クリスマスキャロルは軽快なBGMとして楽しげに街を飾った。
リズミカルな響きの中をのそりと歩くのは茶太郎。その傍にはサンタクロースのコスチュームを着用したポメ太郎と面白山高原先輩、蛸地蔵くんが立っていた。
「メリークリスマス!」
合い言葉はたったそれだけ。
――小さな君に、捧げるのはとびきりの思い出!
- 再現性東京202X:聖なる夜に、ちいさな君と完了
- GM名日下部あやめ
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2023年01月25日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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輝きの溢れる街をのそのそと歩いているのは4匹の『わんにゃん』。その後ろを歩くのは『ノームの愛娘』フラン・ヴィラネル(p3p006816)であった。
「めりーくりすますだー!」
心躍らせ、ステップも鮮やかに。この日が特別なのは混沌世界何処でも同じ。この再現性東京202X街:希望ヶ浜だって、これだけ光に溢れている。
「いくぞ面白山高原先輩!蛸地蔵くん!ポメ太郎に茶太郎も! ――ああ、自分の髭食べちゃだめ! めっ!」
サンタのコスプレに良く似合う付け髭をセッティングしてあげるフランはもしゃもしゃと酢昆布を舐る様にして髭を貪るポメ太郎を慌てて抱き上げる。
くすくす。小さく笑った『探偵助手』退紅・万葉 (p3n000171)にフランはこそりと悪戯心に火を灯す。
「きっとこんな日は調子に乗ったピンク色の髪の毛の自称美少女が火だるまになる事件が起きるからね――気を付けておこうね!」
その言葉を体現するようにサンタクロースのコスチュームに身を包み、赤いブーツで地を蹴ったのは『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)。
心弾ませ、ステップは明るく。何時ものように花咲く笑顔は万人に『愛される』。
「メリクリー! めりくりー!! はい、世界一かわいいサンタさんですよ!
もうこの可愛さだけで神からのプレゼントって感じしますけど、せっかくの日ですので、さらにプレゼントあげちゃいます!
ほら、しにゃこ人形にしにゃこアクスタ、しにゃこプロマイドです! これでいつでもしにゃの可愛さを手元に置いておけますね!」
皆に配るしにゃこに『わんにゃん』達は餌を貰えるかのように尾を揺らす。子供達へのプレゼントだと誇らしげな彼女にブロマイドを渡されてから鮮やかな柘榴色の瞳に冷ややかな気配を乗せた『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)がじっとりとしにゃこを睨め付ける。
「寝言は寝てから言った方がよろしいと思います。ただしにゃこ人形は良くできていますね」
「ふふーん、そうでしょ――」
「ポメ太郎の遊び道具にぴったりではないでしょうか?
ほら、取ってくるのですよ。良い運動になりますし、これからも活用させて頂きましょう」
ぽい、と放り投げたリュティスにポメ太郎は身に着いていた反射でぴょこぴょこと走り始める。釣られる面白山高原先輩も万葉の手からリードが毀れ落ちればどすりどすりと音立てた。
楽しげな犬たちの様子を眺めながらコートを脱いだのは『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)。そのしたには赤いサンタクロースの服を着用し、準備は万端だ。赤と白のサンタ服だけ、というのは付け髭が肌に擽ったく痒みを齎すからだった。
「ソフィリア、コートは袋に入れておこうぜ。サンタ服着てきて――お前ちょっとそれ丈短くね?」
声を掛けられた『地上に虹をかけて』ソフィリア・ラングレイ(p3p007527)の頬がぷうと膨らんだ。クリスマスなのです、と蛸地蔵くんに話しかけていた気合いバッチリサンタクロースのソフィリアは誠吾に声を掛けられてから首を傾げた。こてりと音も立ちそうな不思議そうな仕草を見せたソフィリアはくい、とスカートを引っ張って。
「前にも着てた衣装だけど、そんな短いです? うーん……よくわからないのです!」
「ははあ、分かった。誠吾さんは過保護ボーイさんなのね」
ぽむ、と手を打ち合わせて笑う万葉に誠吾は「過保護? 気のせいだ」と唇を尖らせる。集合時間まではもう少しだけの余裕がある。
茶太郎のブラッシングをしてやっていた『顔が反則』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は「なかなか似合っているじゃないか」とその背中を撫でてやる。怜悧な美貌を覆い隠すのはふんわりとした白い髭。完璧を求めるようにサンタクロースの衣服を着用した彼は白い袋にプレゼントが詰まっているかを確認しながら振り返った。
「寒い中、今回も済まないな。万葉。来てくれてありがとう、俺も、うちの犬達も喜んで居るよ」
「こちらこそ、お誘いを有り難う。黒狼隊の皆さんとは初めての方も多いからとっても嬉しい!」
自身の傍でわんにゃんも喜んでいると声弾ませる万葉に『宝食姫』ユウェル・ベルク(p3p010361)は「お待たせ~!」と手を振って。
「くーりすます! ぷーれぜんとー! こうやって皆で集まるのは何回やっても楽しいよね!
わたしもサンタさん衣装に身を包んでドラゴンサンタさんだー! がおー!」
波打った海色の髪にふんわりと桜色が揺らぐ。嬉しそうに微笑んだユウェルが用意したのは宝石の端くず石を使ったアクセサリー。子供達に配る為にキーホルダーに加工したそれは素材から自身で準備したものだ。
「ふっふー、センス◎なのだー」
わん、と尾を揺らした茶太郎に「茶太郎も辛くなったらちゃんと言うんだぞ」とベネディクトは優しく撫でてからプレゼント入りの袋を背負わせる。
「メリークリスマース! なのじゃー!! アカツキサンタ、参上じゃぞ!
妾からはとりあえずこれ……そう、全天候型対応キャンプファイヤーセット~!! 不思議な炎が雪の寒さも照らしてくれるすぐれものじゃぞ!」
うっとりと微笑んで、『焔雀護』アカツキ・アマギ(p3p008034)は「火種は、」としにゃこ人形をポメ太郎から受取り着火した。
「ふふん、よく燃えるではないか……ナイスじゃぞしにゃこよ!」
「あ、乱暴に扱わないでください! わんにゃん達にとってこいさせないでください! 燃やさないでください! 酷い!」
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燃やされ、投げられ、被害は甚大であれどそれでも愛される桃色の美少女と共に子供達の元へと菓子を配る。
ソフィリアは手作りマフィンを用意してきた。おやつに食べやすい一口サイズを数種類。可愛らしい袋に包んで中身はブラインド形式で。
ランダムだからこそ何味があたるかはお楽しみ。プレゼントの配り役のフランは「でも、配る前に毒味しなくっちゃだし? どんな味か分かった方が配るときにも宣伝でおいしいよーって言えるもんね?」と眸を煌めかせた。
「……フランさんに、味見として見本を渡せば良いのです? 大体はチョコソースとかイチゴジャムとかブルーベリージャムとか……」
「仕方有りませんね」
ソフィリアとリュティスから菓子を受け取って「おいしい! おいしい!」と囓り続けるフランは何か固いものを噛んだ。がり、と歯が衝撃を伝え唇を覆った掌が不安に戦慄く。
「硬い物が入ってる? あ、それ当たりなのですよ! 金平糖入りのやつなのです!」
「あ、これ、ちがう! ポメ太郎のだ! 骨! ぴえーん!」
お菓子は戦力外通告を受けたユウェルはお台所に立ち入り禁止だからと素材勝負としてポメ太郎達にがじがじと囓りやすい骨を渡していた。蛸地蔵くんには煮干しがプレゼントされている。その一本がどうしてかフランの元に紛れ込んで居たのだ。
大騒ぎのフランを一瞥してから誠吾は「歯が悪くなるぞ」と揶揄うように笑った。何も水に口に入れても痛くはないように、誠吾は怪我をしない先が丸くなったぴかぴかと光る星の玩具を用意した。ツリーに飾るもよし、鞄に着けるのもよし、ブローチにも出来るらしい。
ベネディクトが用意したのはぬいぐるみや人形、塗り絵や絵本、色鉛筆のセットだ。万葉の用意した菓子の詰め合わせもセッティングすれば豪華セットの出来上がりだ。
「茶太郎は……トナカイみたいだな。ほら、色もそんな感じだし。ぽめ太郎も今日一日頑張ろうな」
誠吾の微笑みに茶太郎が「わん」と大きなお返事一つ。ポメ太郎や面白山高原先輩もやる気が満ち溢れる。
「やあやあ、子供達。良い子にしていたかな? プレゼントを持って来たよ」
堂々とサンタクロースとして顔を出したベネディクトの傍でわんにゃんが尾を揺らして何故かしにゃこに追従する。犬猫のボスのようにも見えるしにゃこは早速とブロマイドを差し出して――スルーされた。
「はい、お菓子だよー! 一緒にあっちで遊ぼうか!」
にんまりと微笑むユウェルに「これはなあに?」と問う小さな子供に「マカロンですよ、温かいドリンクとご一緒にどうぞ」と穏やかに声を掛けるリュティス。
楽しげにプレゼントを配ったソフィリアの傍には誠吾の姿もあった。
茶太郎の背中の上で蛸地蔵くんを抱きかかえ菓子を配るフランはクリスマスツリースタイルなのだと自慢げに胸を張る。
「ちっ、色気より食い気派が多い……しょうがないですねぇ。
ほーら甘いお菓子です! 手作りですよ!! 作ったのはしにゃじゃなくてそこの無愛想メイドですけど」
ブロマイドを受け取って貰えないと地団駄を踏んだのは僅か。直ぐに美少女フェイスを貼り付けてしにゃこはお菓子を配る。
お手伝いとして配っているポメ太郎の口許からは涎が滝のように溢れ出し、今にもお菓子へと袋ごと貪り着く勢いだ。
「あ、大丈夫ですよ! わんにゃん達にもありますからね!
だからポメ太郎は足元を高速でぐるぐるしないでください! バターになっちゃいますよ!? ステイ!」
ぴょん、ぴょんと跳ね回るポメ太郎にリュティスは表情を変えることなく犬猫達にも菓子を渡した。待ちきれないポメ太郎の傍では堂々とした面白山高原先輩が『頂こうか』と言わんばかりの尊大さで菓子の前に腰掛ける。
「……ただし明日からはしっかりと運動させますからね」
――ポメ太郎が「くうん」と悲しげに泣いたのは、きっと、気のせいではない。
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蛸地蔵くんは、フランに抱かれながらなあごなあごと鳴いている。嬉しそうな蛸地蔵君が見守るのはパーティーの準備だ。
教室を貸し切ってのパーティーのつもりがキャンプファイヤーが行なわれる予定なのだ。全天候対応型キャンプファイヤーが此処で早速使用される。
「ここは教室。火なんて使ったら火事になる。わかってるな?」
「え?」
ぱちくりと瞬くアカツキに誠吾が頭を抱える。此処で火を使えば火事になる可能性がある。室内でキャンプファイヤーをするために保護結界を遣うだなんて前代未聞な事に――そんな誠吾にリュティスは「校庭の使用許可を頂きました」と背筋をピンと伸ばして答えた。
早速、灯された炎。めらめらと音を立てるそれを眺めてからユウェルは目を丸くする。
「……え、ほんとにファイヤーするの。おぉー……」
「キャンプファイアー……アカツキさんが嬉しそうなのです……
保護結界されてるから大丈夫だと思うけど、火には充分注意するのですよ!」
ソフィリアは火の気配を眺めてからマシュマロを串に刺した。しにゃこはと言えばフランの膝に座っていたん蛸地蔵君に『魔法の流動食』を手渡す。
「さあ、ペットたちもパーティーの食事を楽しみましょうか。
今日くらいは鬼メイドも見逃してくれるでしょう! お猫様には猫まっしぐらなチューブのやつです! さぁペロつくといい」
手脚をばたつかせたずんぐりむっくりとした猫が魅了されたかのように俊敏な動きを見せる。温かな炎の傍ならば、その動きもスムーズになるのだろうか。
「ほれほれ、プレゼント配りで身体を冷やした者たちはこちらで温まるがよい。
暖を取ったらパーティー会場でのんびりするなり外で遊ぶなりご自由にじゃぞ! せーごもポメ太郎ももっとちこう寄るのじゃ!!」
アカツキが手招けば誠吾はそろそろと近付いていく。ファイヤーは外に限ると見守っていたベネディクトは赤く燃え盛る炎を眺めてからおとがいを撫でた。
(ここ最近、アカツキの火を見て居なかったのもあるが今日はまた盛大だな……)
凄まじい気負いの炎だが、誠吾は念には念を入れて周囲に対しての保護に気を配っていた。
テーブルに載せたのはさっと摘まみやすいサンドウィッチとからあげ。飲み物は適当に数種類用意した。
ポメ太郎が尾を揺らしている事に気付き、誠吾が視線を送れば普段通りの表情を崩さぬリュティスが立っている。その気迫や、食べたらどうなるか分かって居るかと直接的に訴え掛けるかのようである。
「メイド、メイド」
分かって居るなと言いたげなしにゃこに気付いてからベネディクトは「何か手伝う事はあるか」とリュティスの手許を覗き込んだ。
リュティスはコーヒーや紅茶を作るとだけ告げる。主人には何時ものように呈茶をして、その味わいを楽しんで貰うことが目的だ。
ミルクたっぷりな紅茶を手にしてフランがほおと息を吐く。茶太郎も少し休憩をするようにまんまりとその体を縮こまらせた。その背中を撫でてからベネディクトはリュティスがテーブルに自身の持ってきた贈り物を用意してくれた事に気付く。
「皆、お疲れ様。今日は助かったよ。
お詫びと言ってはなんだが、領地で取れた大粒苺『フォレ・ロンス』を使ったケーキを用意してあるから良かったら食べてくれ。
ちゃんと全員分あるからな」
「やったー! 苺が大きいところがいいなあ」
フランがぴょんと跳ねれば万葉は「私はクリーム」と切り分けられるケーキが並べられていくテーブルを覗き込む。
「皆様と食べる為にブッシュドノエルを作っておきましたので一緒に食べましょうか。1日頑張ったご褒美ということで」
「悪いものでも食べました?! ギャッ」
「……私だってこういう時くらい優しくなります。今年は色んな出来事もありましたから。皆様に幸あらんことを」
ブッシュドノエルを用意するリュティスにそのようなジョークを繰り返したしにゃこにげんこつが飛ぶ。
プレゼントを貰うと嬉しくなって、美味しくて。フランはブッシュドノエルと焼きマシュマロと、ケーキ、そしてたっぷりミルクの紅茶と食べたり、楽しんだりの贅沢を心から楽しんでいる。
「幸せだなあ~」
「……そうだな。まーこれからもずっと賑やかにやっていければいーよな」
少し眠くなってきたが、此程騒がしければ眠れやしないとリュティスは肩を竦めて。
アカツキは自慢げに皆を見回してから手を叩いた。
「さてと、宴もたけなわじゃし……ここらで一つ芸でも。ここに作ったのは適当に雪を人型サイズに集めた雪像じゃが……こいつに火を入れて~~~?
アカツキバーナーによるライブビューイングでの雪ポメだるま造りじゃー!!
ふっふっふ、妾の精密な火力コントロールで雪を溶かして形作っていくぞ……凄いじゃろ? もっと褒めてもいいんじゃぞーー?」
すごいすごいと周りを走り回るポメ太郎にアカツキは自慢げに微笑んで。
「両脇にはわんにゃんズのミニ像も作ってっと……完成じゃ!
これぞ妾から皆に送るファイヤー雪像造りじゃ! いやーいい仕事をしたのう」
汗を拭ったアカツキに拍手をしながらキャンプファイヤーにマシュマロを翳すしにゃこ。
「ファイヤータイムですね! これ実質アカツキさんへのプレゼントみたいなもんですね。
さぁ、いくらでも燃やすがいい! あはは! あったけー! 焼マシュマロが一瞬で消し炭に!! 苦い!!」
ユウェルも同じようにマシュマロを翳しながらふと、サツマイモを思い浮かべる。
「おっきな火があるとお芋とか焼きたくなるよね~。焼き芋! 流石に今回は持ってきてないけど……
くりすますふぁいやーは初めましてだからね。次からは用意しておこー」
「サツマイモ、うちも持ってきてないのです……不覚なのです……」
ショックを受けたソフィリアに「今度用意しよう」と誠吾は提案をして。
「今日はせんぱいたちとご一緒できて楽しかったー! たのもしかったぜ……
来年も機会があれば今度は覇竜でのパーティーに来てもらおうかな!
楽しいことは何回やっても楽しいし、皆で楽しまないとね! めりーくりすまーす!」
うふふと頬を緩めたユウェルにベネディクトとリュティスは顔を見合わせてから勿論だと答えて。
まだ、彼女の故郷は広く、遠く。全てを見た訳ではないが、その静謐なる場所に交わる人の営みが、楽しみの一つにもなる筈だからだ。
「あ、そうだ! しにゃにプレゼント無いんですか!?
いい子だし、まだ16歳だから貰う権利ギリギリあると思うんですけどー! ないんですかー? ねえー?」
「なんじゃしにゃこよ、人形を火種に使ったのを怒っておるのか……仕方がないのう、妾特製のプレゼントをやるので機嫌を直すのじゃ。暖か防寒具セットじゃぞ。ボンボンとフリル付きじゃ!」
良いものを貰ったのだとアカツキに「偶には言いコトするじゃあないですかあ」と笑ったしにゃこの背中にアカツキが笑う。唇が弓のように反り返り、歪な笑顔は悪戯を芽生えさせる。
「マシュマロじゃよ」
「気が利きますねえ~!」
うきうきとしたしにゃこはアカツキからマシュマロを受け取ってからそれを火にかざそうとして――ソフィリアが口許を覆う、
「しにゃこさん、そんなに火に近付いてマシュマロ燃やすのは危ないと思うので……あ」
ふわふわとしたフリルの端から鮮やかな炎が昇っていったのは、きっと気のせいではなくて。
「わぁ、すごいふぁいやーだ~。なんかこう、綺麗だなーってレベル越えてるような気がするのは気のせいかな。
あれ、そういえばしにゃこさんは――も、もしかして消し炭に!? 万葉さん、きっと事件の気配だよ!」
美少女の姿が消し炭に――そんな事件の勃発に「死んでませんけど!?」と叫んだ少女の声音だけが重なった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
この度は素敵な機会を誠に有り難う御座いました。
万葉もわんこたちもとても喜んでおります。また、ご一緒に遊んであげて下さいませ。
GMコメント
リクエスト有り難うございます。少し遅くなりましたがまだ、クリスマスという事で宜しくお願い致します。
●かずはちゃんのお手製しおり
『目的』
クリスマスプレゼントを配ろう
みんなでめいっぱい楽しもう
『わんにゃんたち』
万葉プレゼンツ
・面白山高原先輩(チャウチャウ)
・蛸地蔵くん(エキゾチックショートヘア)
がご一緒します。茶太郎くんとポメ太郎くんもご一緒にわんにゃんパラダイスです(他の動物さんも大歓迎です)
可愛らしいサンタクロースコスチュームで街を闊歩しましょう。
茶太郎くんサイズでも『そう言う大きな犬が居るんだなあ』位で今日はなんとかなりそうです。
『場所』
希望ヶ浜市街です。クリスマスイベントが行なわれている一角で希望ヶ浜学園の名前でスペースを取っています。
小さな子供達に配るためのプレゼントの中身も皆さんで決定していただいてOKです。
案がなければ万葉がお菓子を詰め合わせた靴下を用意しています。
プレゼントは、茶太郎くんに背負って貰って皆で配布しましょう。
『プレゼント配りの後』
細やかなパーティー会場を準備しました。学園の教室の一室を貸しきりです。
お料理や飲み物はデリバリーで準備しています。何かの持ち込みもOKです。
『こんなのあるかな?』も大体は学園が揃えてくれます。ゲームやファイヤーなど思い思いにお過ごしください。
●NPC
退紅 万葉+面白山高原先輩+蛸地蔵くんがご一緒します。
わんこにゃんこのお名前が長ければ『先輩』『蛸君』呼びでお願いします。
それではほのぼのとした素敵な一日になりますように。
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