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シナリオ詳細

再現性東京202X:イレギュラーズ開き

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鏡開き
 1月11日――再現性東京、とある学校の校庭で鏡開きが行われる事になった。この学校で行われる鏡開きは街の伝統行事みたいなものらしく、先生や生徒以外にも近所の人々も集まっているようだ。男子生徒の元気な掛け声と共に鏡餅が罅割れ、うにょんと柔らかな中身がたまらなく思える。女子生徒ら手製の甘辛い醤油タレやきな粉の海が餅を待っているかのようだ。ふと、空を見上げればパラパラと落ちてくる冷たいもの。ああ、冷たい。とても冷たい――そうして視線を元に戻すと……。
 おかしい。私の、俺の、僕の、身体はこんなにものっぺりしていたのだろうか。ぐりんと目玉を動かしてみると、ごろり、ぷっくりとした、丸っこい自分が認識出来る。いや、まさか。そんな筈はない。先程まで鏡開きしていたのに、鏡開かれる側だなんて……。
 静寂――校庭に並んでいるのは大きな、大きな、人間大の、鏡餅の群れで在った。そこに現れたのは靄のような、影のような何か。ぷくぷくと嗤うそれは臼と杵を持ち込んで。
 ぺったん。ぺったん。ぺったん。
 ぺったん。ぺったん。ぺったん。
 びよんと伸びた私は、何処までも何処までも、若干の楽しさと友で在った。
 びしゃりと水のつめたさ、ここちよさ、撫でられるなまぬるさ……。
 ああ、もしかして私達は食べられるのだろうか。もしかしなくても雑煮にされてしまうのだろうか。
 せめて美味しく食べてください……。
 ぷっくり。

●カフェ・ローレット
「餅ね。正確には餅の夜妖が悪さをしているわ」
 保険医である白石恭子は集まってくれたイレギュラーズに写真をみせる。校門あたりから撮られているそれには人間大の鏡餅が複数写っていた。
「まあ、なんとなく察せると思うけどあの鏡餅みんな人間よ。生徒も先生も近所の人も皆々あんな感じね。あと、写ってないけど影みたいな存在も視認出来たわ。これが夜妖ね」
 新年早々頭が痛いと保険医は溜息を吐く。
 これじゃあ学校に入れないじゃないの、と、呟きながら。
「それでね、如何やらこの夜妖人間を殺すつもりは無さそうなのよ。一定数の人間鏡餅をぺったんぺったんしたら満足するらしいわ。で、貴方達には贄になってもらいたいの。つまり鏡開きされなさいってワケ。まあ死ぬ事はないでしょうから気を楽にしてちょうだい。あ、味に関しては自分で決めてよ。醤油も砂糖もきな粉も用意してあるから。あとは海苔ね」
 メンタルケアの先生は後で呼んでおくから。

NMコメント

 にゃあらです。
 お正月。
 ラリーシナリオです。
 第一章で終わりの予定。

●学校
 校庭にたくさん人間大の鏡餅が置かれています。
 校庭に入った人が鏡餅に変えられているようです。

●目標
 夜妖が満足するまで鏡餅になって鏡開きされる。
 尚、この夜妖は戦闘を仕掛けてきません。

●トッピング
 好きな具材や調味料を決めて自分好みの餅になれます。

●サンプルプレイング
「なによこのトンチキ夜妖」
 まあ良いわ。
 取り敢えず校庭に入る前に醤油を持つわね。
 シンプルな焼餅よ。
 あ、嫉妬心とかそういうのじゃないわ。
「あー。のびるわね。餅だけに」

  • 再現性東京202X:イレギュラーズ開き完了
  • NM名にゃあら
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月07日 20時00分
  • 章数1章
  • 総採用数9人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者

 腹部を擽られるような、遊びじみた、柔らかな刹那で在れば良かった。ぺったんぺったんとつかれる想像をノイズ塗れたレコードで引き摺る。おもちになるの? え? この機械の身体が……? 砕ける想像しかしないけれども不可思議な夜妖の事だ、おそらく、保険医の科白は本当と考えられよう。こうなりゃやけくそだ、砂糖多めに醤油ちょびっとで特攻するよ! 元気溌溂チャロロ、躊躇なく飛び込む姿は勇者であった。
 一歩、一歩、義足が進めば進むほどに柔らかくなっていく。いつしか動かなくなった全身はもっちりとした輪郭へと変貌していた。あぁ、のびてく、むにってなってく。ころりと最後に転がったオマエは理屈や何やらとこねてはみたが、最早、こねられる側でしかないのだろう。もうふっくら搗きあがってるよね……ぬぞりとオマエの視野に影。ところでオイラは何で『視てる』んだろう。気にしてはいけない、気が触れてしまう。
 びよーん。びよーん。ぺったんぺったん。もちもちと愛おしい男の子餅の完成だ。ちょっと気持ちいいかもしれない、けど――嫌な予感を覚えた瞬間、べっちょりと涎のようなものが落ちてくる。た、食べられちゃうの? ええっと。あんまり痛くしないで……じゃないや。砂糖醤油のお餅、せめて咽喉に詰まらせないように細かくしてから……。
 意思疎通の可否を確かめている場合ではない。いや、そんな、この熱さはもしかして――網焼きはやめて! ぷっくり。

成否

成功


第1章 第2節

レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ

 好奇心を抱いた猫の末路をレイリーは理解していた。道路に飛び出した小さな身体の、嗚呼、脆弱な事。面白いものがあるって聞いたんだけど――赫々とした目を白黒させて校庭を改める――なにこれ? 餅だ。たくさんの餅が落ちている。さっき躊躇なく走っていった誰かさんも餅々なお仲間だ。えーと、本当? なっちゃうの、私? 頭を傾けつつじりじりと中へ。あれよあれよと流されて……なっちゃった。これって鏡餅だよね? カビたりしてない? 如何やら完全な餅ではないようだ、故、夜妖が来る。
 ぺったんぺったん搗かれて搗かれ、水と掌にもまれていく。あぁ、案外と、思っていた以上に楽しいではないか。頭の中の皺くちゃをなぞるように、ここちがいいではないか。そうそう、ちゃんと優しく撫でて、整えてよね。これがまったくもち肌と謂うのだから悪くない。なんだかマッサージみたいな気持ち良さね……とけそう。
 ようやく形になったオマエは味付け如何しようかと声掛けられる。チーズと醤油があるわよ。珍しいでしょチーズ餅。私が思いついたのよ! えっへん――え? よくある? 嘘でしょ? まぁ、いいわ――お洒落なドレスに着替えましょう、もっちりアイドルの初ステージ。
 頬も脳も蕩けるような、世界で一番美しい御餅にするのよ。
 分かってるわね!
 どぷん――あっつ! なに? なにが起きてるの!?
 チーズフォンデュ……?
 や、やめて! 掻き混ぜたらとけ……。

成否

成功


第1章 第3節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 餡子を持ち込まなかった所以なんて覚えていない。
 皿にこびりついたものを嘗めとるなんて、ハシタナイ、キタナラシイ……。
 背徳感がタマラナク好きだった……。
 神社に堂々、真ん中からお邪魔して念仏唱えて聖書を読み、冒涜的な柔肌を晒す所業だ。ムニムニと触れられたのはきっと空気様の戯れで、嗚呼、餅になれってか? この黒と赤と酒気に塗れた身体で。おっといけない。このほっぺは化粧のノリが酷いんだ。白い白い餅になれって? 無茶謂いやがるが。果て、それにしても脆い臼だと影っぽい何かが嗤ってくだすった――縁起物に変わるのですか。ああ、そうだよ、睦月……。
 頭を砕かれて、背骨を砕かれて、四肢を砕かれて、と史之の隣で妄想しても傷みなんてこれっぽちも抱かない。何方かと謂えば抱けないだが、兎も角、おもちになる今絶対不変。そう、安らかに、易く味噌を転がして尽くせばなんの問題もありません。だって、ほら、何時でも何処でもしーちゃんといっしょなら……校庭に広がっているまん丸、アナタしか視えない。アナタしか視ていない――よござんす。やってもらおうか。
 神の棲家にでも供えてくれないか、飾って楽しむだけみたいだし。そんな余裕綽々な無貌で何を期待しているのか、オマエ、たまにゃ俺みたいなイロモノもいいだろう? まったく痴愚剥愚とヤカマシイな、平和的な彼等が憤懣しても知らないぞ。え、蒸し焼きだって。新年だったら先ずは生でしょう。まあ、無害な夜妖に変わりはないか。溶けるように、溶かすように、なめらかてろてろ、でろでろお餅……ぺったんぺったん。
 よぉく飾り付けておくれよ――臼と杵の狭間で愈々、ピコピコしていた朱色が失せる。混ぜてくださいね。僕の白が彼へと混じっていくように、喜ばせてくれないかな。重ねて重ねて永遠に、どろりと消える境界線。溶接されていく機械、マーブルすらも羨むふたつだったモノ……水はいいのかい合いの手は拍手はご喝采は……目が回るよしーちゃん……?
 アッハッハ。ごめんね、冗談はこれくらいにしようか。
 二人分はいっぺんに搗けない? 噓吐きめ。
 安倍川だろうときなこだろうとご随意に、脳髄も肉も骨も、謂わなくたってやわやわだ。いとしい妻さんとは既にいっしょさ。そうすりゃ俺でも多少はマトモな頭になるだろうさ。なに? 頭は何処だって? いやいや、確かに、まったく、その通りだとも……。
 こういうことなの? こういうことさ。意識が混在してあれが僕で、虚の切り餅も結局は僕だ。全部僕で君も僕。どうして回転していないのに同一化出来ているんだろう。果たされた、包まれた、新年去来する妖かしの跋扈にて――それでいったい、僕たちは何味なのかな。
 ご内密にお願いします。蜜に浸ったのではなくこぼれたのだ。黄金色に輝いて朦朧、ピカピカと団子状がころりころり……一口どうぞ。
 レインボーはご勘弁を。
 ドンペリ注がなかったのは正解だ。

成否

成功


第1章 第4節

アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞

 もっちりとした校庭をアンナは見た。目を逸らす。目をこする。もういっかい確かめる。倒したら駄目なの? 答えてくれる人はいないが、なんだか、攻撃を仕掛けたら物理的に割られそうな気がする。わかってる。言ってみただけ。むんにょりと微笑みを返した真っ白に苦笑いを向けたなら、ああ、仕方がないわね。女は度胸、覚悟を決めましょう。お餅に目玉なんてついてないのだけれど、なんだか睨まれている気分ね……やっぱり五分だけ待ってもらっても良いかしら? 金色が潤っても赦されない。
 選んだ具材はきな粉だった。何故かと謂えば好きだからで在り、それ以下でもそれ以上でもない。一応、お湯も持っていきましょう。表面を濡らしておけば簡単には固まらない筈……未知すぎて何をどうやって決めろというの……! なんとも決死な雰囲気だ。おそるおそるの一歩でぐにゃりとしずむ。
 心を無にしましょう。考えないようにしましょう。目を閉じて心頭滅却よ、私。無に無にしてるのは気の所為なんだから。普段から叩かれ慣れているオマエなら餅つきだって痛くも痒くも無い。ええ、私なら耐えられるわ――汗なんか垂れないと謂うのに、ネバネバ――この引き伸ばされる感覚はさすがに無視するのはハードルが高い。どうなってるの? なんかころころ回されてない……ついつい開けてしまったおめめ、素早いひっくり返し。
 目玉と思わしき部位がぺったんされて視界が歪む。
 気分悪いわ……。

成否

成功


第1章 第5節

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

 私はねこである。名前は汰磨羈。
 どこで生じたか頓と見当もつかないが、バタートーストと回転していた事は覚えている。三半規管がもっちりとしたところで臼の居心地を理解出来たのだ。
 ねこと謂えば何かと問われたら、それは勿論液状で在る事。故にねこが伸縮自在なのは当たり前。重ねて私は白ねこである。これは狸ではなかったか? たぬきではない。
 兎も角として白く伸びるねこボディだ。校庭に入り込めば素晴らしく、伸びるねこ鏡餅の爆誕である。ところでさっき落ちていたのはアライグマではないか? アライグマでも井さんでもない。私はねこだ。このやり取りそろそろやめないか?
 さぁ、思う存分にこのもちもちボディをこねるがいい。伸ばせば伸ばす程に福が訪れるぞ! ディス イズ 招きねこ餅。これはぺったんこですか。誰がぺったんこだおい。
 伸びる伸びるまだ伸びる。なに、どこぞの知育菓子みたいだって?
 私もそう思っていたところだ。んまい!
 まぁ、さておけ。ここまで伸ばし放題なねこを愉しめるのは11日までだぞ。寄ってらっしゃい伸ばしてらっしゃい。シャイな夜妖ももれなくねこ神拳だ。ちなみに私はきな粉派でな。なに? 邪道だって? そんな筈はない。頂く際はまぶして貰えると嬉しい。とても喜ばしい……なんだかきな粉減ってないか? 気の所為だ。ペロペロ……。
 ……食べたでしょ?
 ……食べてないが?
 ……舐めたでしょ?
 ……舐めたが???

成否

成功


第1章 第6節

御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人

 未確認飛行物体を確認したのはおそらく天狐だけだった。ふよふよと楽しそうに空を往く、もったりとした白い塊は果たして、幻覚なのか現実なのか。新年早々餅になるのは縁起が良いのやら悪いのやら。少なくとも爆速で屋台を走らせるよりかは正気だろう。つまりは貴重な体験、常とは真逆の戯れと解せよう――ところでソーメン唱える事を忘れてないか。残念、お値段はそのまま啜ってください。
 オマエが選択したのはうどん粉と鰹出汁。こっそりと混ざり込んだ昆布は、まあ、浸けておくとして愈々校庭へと吶喊だ。勿論、屋台は置いていくぞ。これが餅になったら敵わん故の。さて、満足したら帰るそうじゃし、頑張るかのう……。
 違和感が当たり前になってきたのは臼に放り込まれて数秒後だった。トッピングに塗れて混ぜられて、アッと謂う間にしょっぱい餅の完成だ。夜妖がじぃっとオマエを視ている。モチモチか? モチモチじゃない? なんか茹でたら美味しそうだよね。
 なんやかんやで伸ばされたオマエ、とんとん拍子で整えられ、たっぷりのお湯へざぶん。ぐつぐつやられてお湯切られ、するりと入るはドンブリの底辺……これもうどん神の御加護か或いは予定調和か、立派な素うどんが鎮座している。薬味は年越し蕎麦で使った葱とか山葵があります。
 ずるるるる。
 ずるるるる。
 のど越しも噛み応えもヨシ!
 ――天狐や、天狐や。
 ハッ!? 天啓!!!
 ――米粉パンも美味いぞ……。

成否

成功


第1章 第7節

天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に

 誰かのほっぺた。
 今度触ってやろうか、などと、ぼんやり。
 説明を受けても咀嚼が難しかったのは顎の所為ではなく、ただ、普通、常識的な思考回路の戯れで在った。なんだよこの夜妖。どっかのスライムとかどっかのダンジョンとか、トンチキ塗れな混沌でも――流石の私もこんなやつは聞いたことも見たこともないぞ。云々と呟いたところで夜妖が消えるワケでもない。まあ、こうするしかないってんなら仕方ないか。適応するのが早くないかと校庭の餅等があんぐりしている。口はどこだ? 気にしてはいけない――んで、なに? 好きなトッピング……?
 一番手軽なのは砂糖醤油だ。右手に砂糖左手に醤油、頭の上には可愛らしいウサミミ。おい待て、今なんか関係ないもの増えてなかったか? え? 飾りがあった方が面白いだって。良い度胸だな、お仕置きは最後にしてやる。
 ころころと臼に入り込んだミーナ餅、迫りくる杵がなんとも死神の鎌に思えた。これかなりの恐怖映像だな? ぺったんぺったん潰されたり伸ばされたり……。
 あー。肩こりには効くんじゃね?
 私にはないけど。
 まるく整えられたオマエはべっちょりと甘ったるさに擽られる。ぷくぷくと笑ってしまったのは失態だけれども、まあ、声にはなっていないだろう。あとは美味しく食べられるだけか? ところでこの夜妖、消化器官とかどうなっているのか。
 もにょもにょ、口の中でとろける心地。
 ゆっくりと咽喉の奥へ……。

成否

成功


第1章 第8節

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽

 大量の米を詰め込まれた、カイト、あの悪夢よりはマシだと考えよう。
 たとえばノスフェラトゥの所業、串刺しの最初の犠牲者になった心地か。鉄の棒に縛されて、ぐるぐる、ぐるぐる、弱火でじっくり。鶏肉として狙われることはあるけど餅になれってまた、奇怪な、奇妙な……不可思議現象に巻き込まれ易いが故の案山子とも想え、なんとも儚い鳥の精神……まあいいけどさ。これでも慣れてる方だ。いや、慣れたくはなかったけど。なんだか今更後悔しても遅い気がするし、一石二鳥の餌食にでもなろう……。
 緋色が開いた眼球のなんと脆弱な事か。臼の内側で視認したでっかい杵、ひやりと垂れる事のない汗々。ふるえた餅、ぷるるんとする。ぺったんぺったん殴られても潰されても、痛くも痒くも無い名状し難いスサマジサ。伸びて伸びて大きく伸びて、大きなとりさんもとい大きなもちさん――今ならあの人を包めるのではないか? 窒息してしまう!
 味付け? 磯辺焼きにしてくれ。せめて海を感じれるよう、海苔をしっかり巻いてくれ。ちょっと待ってくれ。焼く気か? 焼く事になるのか!? 焼き鳥は嫌だぞ! あ、今餅か。ならいいや――基準がわからない、夜妖もハテナ・マークなレベル。
 この香ばしさがヤミツキの原因だ、竹輪も持ってこよう。
 ぷっくり。
 大きい餅だからみんなで分けて食うんだぞ? いいか、フリじゃないぞ? 独り占めはだめだぞ……? 丸ごといったらつまる……。

成否

成功


第1章 第9節

 ぺったん。ぺったん。ぺったん。
 ぺったん――。
 つきたてお餅が全部全部消化され、校庭から影、失せていく。
 身体と正気を取り戻した人々が、ぼんやりと、ハテナを浮かべて帰っていく。
 これにてトンチキな事件は終幕となり、イレギュラーズも再構築される。
 もしかして来年も割られるのだろうか、搗かれるのだろうか。
 厭な予感が粘ついて、餅みたいにはなれない。

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