シナリオ詳細
<咬首六天>帝都の昏底
オープニング
●
帝都中央駅ブランデン=グラードの奪取に成功した。
その地を牛耳っていたのは新皇帝派である。『アラクラン』に所属していたクラウィス・カデナ中佐を撃退――彼の愛好する動物たちと引き換えに制御コードを得るという取引の結果とも言えよう――を行なったラド・バウ派は駅の探索及び維持を行なわねばならない。
「闘士達をある程度配置して、見張り番にしておけば良いわね、一先ずは」
現時点でのラド・バウを統括しているビッツ・ビネガー (p3n000095)は一先ずは闘士達へとそう告げた。
それ以後の方針はイレギュラーズが決定し報告してくれるだろうという考えであるらしい。
「調査に関してもあの子達に一任するけれど……一先ずは向かってみなくちゃならないわよね。
誰かブランデン=グラードの地下についての噂話知ってる奴はいないの? 心霊系でもオーケーよ。イケメンはアタシに抱き着かれる準備なさい!」
幾人かが退いた気がするが構わない。
す、と手を上げたウォロク・ウォンバット (p3n000125)は「ビッツ、発言」と表情一つ変えずに言う。
「はい、ウォロク」
「……マイケルが、知ってるって」
――状況を整理しよう。
『麗帝』ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズが敗れ、新皇帝バルナバスが誕生して暫く、混迷する鉄帝では六つの派閥が天を競っていた。
その内の一つが政治不干渉を貫くラド・バウ独立区である。
ラド・バウは鉄道網奪取のために動き、帝都中央駅ブランデン=グラードを奪取したのだ。
其れと時を同じくしてイレギュラーズや反皇帝派勢力に賞金が掛けられる事となった。その為、ラド・バウには囚人達の影が見えている。
そもそも支払われるか定かではなくとも乞うも刺客が訪れるのにはワケがあった。
今冬は酷く冷え込んだ。何時もよりも寒々しい空気が鉄帝国を覆っているのだ。故に、越冬のための蓄えを欲して金に目が眩んでいるというわけである。
彼等を避け新たなる路として利用価値を見出さんとされるのがブランデン=グラードにて発見された地下通路だ。
地下鉄として利用しようと考えられたこともあったというその場所は朽ちた枕木が並びどこぞへ繋がっているかさえ定かではない。
が、マイケルが知っているという。
「マイケル、その辺、詳しいよ。動物……だから」
「そうかもしれないけれどね、その子アンタのペットでしょ?」
ウォロクは首を振る。
「師匠」
――兎も角、だ。
「地下通路、マイケルが知ってる方角に、鍾乳洞が、あるらしい。
……取りあえず、そこまで向かってみよう……? マイケルが、案内するから」
「まあ、とりあえずはそれが良いかしらね。それで?」
「……そこから『行きたい場所』の大まかな調査、してみるのはどう、かな?
ここ、アラクランが利用している……って聞いた。逃げた奴らがいるかも。それに、此処の利権を得るなら、倒した方が良い」
ウォロクはファイティングポーズを取るように拳を突き出した。
「この路、何処に繋がっていて欲しい?」
まるで夢でも語るかのように問うた幻想種は言う。
一先ずは適当なアタリをつけて底に繋がっている路がないかを模索するのだ。
例えば、ボーデクトン。
例えば、ゲヴィド・ウェスタン。
例えば、ルベン。
例えば、バラミタ鉱山。
例えば、不凍港ベデクト。
そうした場所に繋がる路を探せば自ずと『新たな何かに出会える可能性』はある。
「……じゃあ、一緒に行こう。マイケルが、案内するって」
「ギエエエエエエエエ」
一緒に行こう、任せておけと言って居るのだろうか。
やけに強いB級でも戦う事の出来るウォンバットが両手を挙げてアリクイの威嚇のように立ち上がってすっ転んだ。
- <咬首六天>帝都の昏底完了
- GM名夏あかね
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年12月30日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
何処までも続いていくかともさえ思わせるほの暗い空間。人工の路だけではなく自然に通路が形成された痕跡さえ見えた。
とてとて、と。前を行くのはウォンバット。振り返ったそのアニマルは「ギエエエエ」と鳴いた。
「B級闘士が同道してくれるのは、心強い、な。道案内、よろしく頼む、ぞ。マイケル、ウォロク」
『矜持の星』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)がマイケルのふくよかなおなかに顔をうずめれば、まるで任せろとでも言うようにマイケルが叫ぶ。そんな師匠アニマルの姿にやや自慢げなのはウォロク・ウォンバット (p3n000125)その人だ。
「帝都の地下に鍾乳洞があるとは驚きでござる。マイケル殿の動物の勘も中々侮れぬでござるなぁ」
大きく頷く『夜砕き』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)にまたもウォロクが自慢げな顔をした。掌サイズのライトを手にしていた『マイケルのお友達』トール=アシェンプテル(p3p010816)はマイケルの側にそっとしゃがみ込む。
「マイケルくんが迷子にならないようにの頭にそっと括りつけておきたいな……」
掌サイズのシャイネンナハトツリー。そんなぴかぴかとしたカラフルな電球をマイケルに括ればきっとかわいいと呟くトール。少女めいて愛らしい彼にマイケルがこてんと首を傾げた。
「……トールがしたいなら、いいよ」
「本当に?」
嬉しそうに微笑んだ彼にウォロクがこくこくと頷く。和やかな空気だが一行が進むのは鉄帝国帝都の地下にあたる通路だ。帝都中央駅ブランデン=グラードから繋がっていた地下通路の探索に乗り出したのだ。
「地下道探検か、何が出てくるのか、何処に繋がっているのか楽しみだわね♪」
『狐です』長月・イナリ(p3p008096)は小さな子犬たちを六匹呼び出して「よろしくね」と柔らかな声音で合図を送った。先行していく子犬たちを見送ってからマイケルが「ギエ」と合図をする。
「ええ、向かう先はマイケル鍾乳洞……だったかしら? マイケル鍾乳洞……なんか語感的に良い響きなのだけど」
どんな場所なのだろうかと首を傾げる『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)に「実に興味をそそられるロケーションだな」と『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は暗い地下道を見回した。未知とは実に人間の心を擽るものである。
しかし、未知であるからというだけではない。地下道はブランデン=グラードだけに存在するものではない。それは鉄帝国各地に入り口が存在した『地下鉄計画』の跡地でもあるというのだ。
「地下が使えるようになれば移動や他の勢力の人達との連携も楽になるし、どんどん探索して色々見つけないと!」
やる気を漲らせるのは『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)。戦闘力が軒並みはずれ、鉄帝国の象徴でもあったラド・バウは帝都という敵の手中、魔窟に存在している。地下道があれば安全に各地に点在する派閥との連携や協力体制を結べる筈だ。
それは上空からの移動手段を有しながらも地上移動での安全という絶対的に必要な条件を整える可能性になるとも『浮遊島の大使』マルク・シリング(p3p001309)は考えていた。
「全土に繋がっているかもしれない地下道か……鉄帝に、こんな場所があったなんてね」
「ギエエ」
マルクはマイケルとの出来る限りの疎通を行ってた。マイケルは「古い時代のものだから知らなくても仕方が無い」と励ましてくれていたのだろう。ウォロクが慕う理由を其処に見た気がして、マルクは笑った。
「それじゃ、『マイケル鍾乳洞』の探索開始だ」
●
周囲に漂う空気は地上のものとは違う。土の香りが強いが、様々な香りが混ざり合っている事にエクスマリアは気付く。
「暗視も用意しておいたのだけれど、結構明るいのね。マイケルが探してくれるかもしれないけれど、敵が居ないとも限らないものね」
ファミリアーの蛇を先行させるフルールにマイケルは「ぎえ」と応えた。ウォロク曰く、横道にそれれば此処ほど明るくは無いそうだ。地下と言えども天井が高く光が注ぐ場所が点在している事である程度の明るさを賄えているのだろうか。
「一応、周囲は確認しておきましょうね。何かが攻撃してくる可能性はあるけれど、その戦闘音で更に……となるのも困りものだもの」
フルールの言う通り、この地下道は全容が見えない。地上の肌寒さやフローズヴィトニルの寒波を感じないだけ安心感はあるが、その安心感をモンスターたちが感じていないと言う保障はないのだ。
指先に炎を揺らしている焔は「温かいね」と呟いた。ラド・バウ派は現在、闘技場の端や控え室、観覧席を避難民達に開放している。それは家屋ではなくあくまでも身を寄せ合うだけの避難所である。
「これだけ温かくって広いスペースがあるなら、安全さえ確保できれば冬の間の避難場所に出来るかも!」
「ギエエエエエ」
マイケルに意見を求めた焔は「うーん」と呟いた。ぴたりと足を止めたモカが「誰かが居る」と言ったからだ。先程のマイケルの意見と照らし合わせれば――『暖かいということは何処からか入り込んだ先住者が居るかもしれない』との事である。
「寧ろ、ここで生活をするなら護衛役が必要で、その上で外から入ってくる難民受け入れ態勢が必要なんだね?」
「ギエ、ギエ」
「確かにそうかもしれないわ! ファミリアー達を横穴に探索させたら焚き火の跡なんかが見つかったの。
横穴がどこかの外に繋がっていて、人が寒波を遁れるために逃げ込んだ痕跡があるみたいだもの」
イナリの六匹のファミリアー達が得た情報からしても『人命救助』にも関わる事が良く分かる。地下道を探索し人を救う事になれば問題点はその者たちの生活を支えるための生産力か。
モカは「一先ずはマイケルの言うとおり進んでみようか」と前を進むイナリのファミリアー達に従うように歩き出す。
周囲を見回すトールにちかちかと輝くマイケルが寒くないかと問いかける――問いかけた、かのように足をばしんばしんと叩いた。
「あ、大丈夫ですよ。でも、入り口から風を吸い込んでいるからか、だんだんと肌寒くなりますね。
人の痕跡があった場所は……それでも入り口付近なんですね? 奥に何があるのかを不安がっているのでしょうか」
呟くトールにマルクは頷いた。『帝国鉄道路線図』に合わせてマッピングをすればそれなりに沿ってはいるが時折、地図とはずれた場所もある。地図には乗らない横穴などは作業用に掘られたものや古代兵器等の調査のためのものだったのだろう。
「この辺りの上空には街道があるだろうか。帝都付近には人の痕跡も多そうだけれど……」
マルクが周囲を見回せば、咲耶は「先が見えないでござるなあ」と呟いた。地図上では全容を把握できるとも感じられるが、其れを現実に置けば余りにも広い。
「ギエ」
「そうですござるなあ……。
古代の遺構は鉄帝でもよく見かけるでござるがこの通路、どこまで繋がっているのでござろうか」
呟いた咲耶はその方向感覚を頼りに歩いていた。遺骸などを探れば霊魂やそうした類から話しが聞けるのではないかと彼女は考え、ウォロクたちにも何かを見つけたら教えて欲しいと頼んでいた。そうして発見した霊魂達は氷の礫を見かけた他、肌寒くて近づきたくは無い場所があるとも告げていた。
「氷の礫か」
「……氷の礫までも見られているのか。フローズヴィトニルの影響か?」
呟くモカに詳細は更に探索しなくては分からなさそうだとエクスマリアは呟いた。
ウォロクにおにーさんと呼びかけたフルール。ウォロクはぱちりと瞬いてから「わたし、おにーさん」とどこか嬉しそうな反応を見せた。性別を公表していないウォロクは自身がどちらに見られるかを楽しみにしていたのだろう。
「私は、港の方に繋がっている道に行きたいのだけど、あるのかしら?
なければ鉱山かしらね。港は食糧、鉱山は資材。供給できれば嬉しいのだけど」
「……あると、おもう」
鉱山と港は隣接している。少なくとも何かしらの通路は存在していることだろう。
「それと精霊達に聞いてみたのですけれど、どこか別の勢力がいる場所に繋がっていたら、状況が許せば共闘などの連携も取りやすいだろうと……」
精霊たちは何かに怯えている様子だったとフルールは告げる。出来れば目的地である鍾乳洞の精霊にも話を聞きたい。
「あと、鍾乳洞ですが、水源や途中で休憩が取りやすい場所とかあると、これ以降の探索でも拠点にしやすいと思うので。
できれば探しておきたいです。水の精霊がいたりしたらよくわかると思うのですが」
――これだけ怯えているならばある程度の敵性対象を退けておいたほうがよさそうだ。
●
ずしんずしんと足音を立てて歩き回っているのは天衝種であった。アラクランが連れ歩き、通路内を確認している。
音や気配を感じ取った一行が身を隠せばモカはその周辺に助けを呼ぶ『何か』の気配を感じ取った。どうやら、此処に天衝種が存在していたのはその周辺に出入り口があったからなのだろう。
トールはデコイとしてマイケル人形を設置し、息を潜める。此方の物音に天衝種が鳴き声を上げアラクランの軍人がぐるりと振り返るが――「なんだウォンバットか……」と呟いた。
その隙を突くように走り出したのは咲耶。濡羽色の手甲にきゅるりと音が走り、鋭く一閃する鎖鎌と変化する。息を潜めて命を奪う事こそが紅牙忍術の型。
忍びは夜に潜み、刃を振るって命を奪う。咲耶の鋭き一閃が迫る中、焔はモカの発見した避難民の位置を認識し其方から敵を引き離す事へと注力する。
ウォロクはトールを連れて避難民を呼び寄せた。降り注ぐ鉄の星、エクスマリアの魔力が黒手袋の金糸を辿り広がってゆく。
「生かして捕らえよう」
マルクは前線へと出た。魔力を剣の形にし、天衝種を一閃した青年の法衣が揺らぐ。可及的に速やかに戦闘を終わらせなくては探索時間が尽きてしまうか。フルールは「フィニクス」と呼んだ。その背に真紅の翼を有する精霊が現れる。
「生かすらしいわ?」
やってちょうだいとその身体を撫でるフルールにフィニクスが小さく返事をする。腕を振り上げ、天衝種はタガが外れたように暴れ始めた。
「やれやれ、話し合う隙もなさそうだな……」
モカが地を蹴った。その速度を生かして乱打し続ける。鋭く蹴撃を繰り広げたモカに引き続くようにマイケルが突進を仕掛けた。すさまじい勢いで走り寄るアニマルを避けて、モカは再度敵へと向き直った。
「やはり、何かを探索しているのか」
呟いた軍人達に「逃がさないほうが、よさそうだな」とエクスマリアが呟いた。小さく頷いたトールのスカートがひらりと揺らいだ。
軍人達の急所を一撃で狙うトールに続き、魔力を最大限に収縮した一撃を放ったウォロクは「生かす」とだけ呟いた。
「大丈夫、か?」
「小細工……あまり、得意じゃ、なくて。マイケルのほうが、得意そう」
エクスマリアが視線を送れば、突進しながらも絶妙な力加減を見せるマイケルの姿が存在していた。
マルクの指示に従って、マイケルは新皇帝派軍人達を生け捕りにすることを目標にしているようだ。
保護された難民たちは皆、肩を寄せ合って息を潜めている。何処に出入り口があり周囲の安全が確立されていないならば鍾乳洞まで彼らを護衛しながら調査を進めるしかないだろうかと焔は呟いた。
マルクが生かした新皇帝派軍人達曰く、アラクランには全土に地下鉄への通路が存在していることが通達されているらしい。
地下道を探索いているのは内部に何らかの力が存在することを示唆しての事だ。確かに、古代遺跡や古代兵器の存在が多く新皇帝バルナバスに対抗するための力をイレギュラーズが手に入れる可能性はある。だが、それだけであるかは――
鍾乳洞までは一本道だった。マイケルが獣の勘でその場所を何となく察知したと言うのも良く分かる。
焔が護衛をし、連れてやってきた難民たちは皆不安げであったが、此処に至るまでに接敵したのはモンスターが多かった。どこかの横穴が外に繋がっており、そこから入り込んだモンスターたちが根城にしていたのだろう。
「何とか、到着したね」
マルクがマップに丸を書き入れた。一歩踏み入れたときフルールの前に顔を見せたのは精霊だ。だが、水は凍りつき使用できそうにも無い。
「冬の影響がここにも……」
「一先ず、マリアたちは、フローズヴィトニルを、どうにかしたほうがいいんだな」
呟いたエクスマリアに咲耶も同じく頷いた。鍾乳洞へと踏み入れたモカは「しかし、静かな場所だ」と呟く。
「ここがマイケル鍾乳洞なんだね」
見上げた焔の背後で「きれい」と難民の子どもが呟いた。マイケル鍾乳洞とマイケルが名付けていたその場所は温暖な空気が流れておりフルールの言うとおり拠点になりそうだ。フルールが期待する鉱山や港への道を探すためにもこの場所は十分に使用できる。
「マッピングは完了してるよ。地図と照らしあわせば、此処まで迷わずに来る事ができるはずだ」
「方向も確認済みだ。横道は地図に書いて置いて貰えるか?」
マルクの地図に横道や方向などの詳細を書き示すモカにマイケルがてしてしと勢い良くアピールした。
「……どうかしたのか?」
「ギエエエエエ」
「……ああ、マイケルは鍾乳洞の名前をつけておいて欲しいのか」
マルクが視線を合わせればマイケルは自慢げに頷いた。
「マイケル鍾乳洞……なんか語感的に良い響きですよ」
「マイケル鍾乳洞で良いと思うよ!」
フルールと焔の同意にマイケルが嬉しそうに仁王立ちをしてずしんと音を立てた。慌てて周囲を警戒するイナリは「静かに」とマイケルへと告げたのだった。
●
「帝国鉄道路線図の、スチールグラードルベン線上に繋がる道はありそうかな? 『アルマスク』って街に地下道が繋がっていないかを知りたいんだ」
マルクが提案したのは次にアーカーシュが奪還を目的としている都市アルマスクへの通路だ。
不凍港からの物資をアーカーシュでアルマスクへと運びアルマノイス旧街道の地下に通路が存在していた場合は物資運搬を雪等の影響を受けずに行うことが可能となりえるかもしれない。
「この冬を乗り越えるための物流網に繋がるかもしれない。お願いできるかな、マイケル」
「ギエ、ギエ」
方向感覚の良い獣は探してみると応えたのだろう。マルクの地図と咲耶の方向感覚でもマイケルの短い手が差した先には確かにアルマノイス旧街道が存在しているはずだ。
「地図で読み取れないけれど、そうだね。路がどうなってるか……此処から先に、進めば、分かると思う」
「うーん、それは今後に期待、かな。今だけじゃなくこれからも地下を活用すれば生活をより潤滑にできるかもだしね?」
今は避難民達をラド・バウに連れて帰ることが先決だと焔は告げた。それでも、アルマノイス旧街道へ向かう路の確保を行っておけばアルマスクだけではなくルベンとも円滑に交流を行える。各派閥で連携を取る事に決めれば地下道は潤滑に利用する事が可能だろう。
「後々に利用価値が生まれるかもしれないし、難民達が入り込んできた場所を考えれば……そうね、色々『出口』は存在しているのかも」
イナリは其処からモンスターが入り込む可能性も考慮し、探索は出来る限りの備えをしておいたほうが良いだろうと告げた。
後方には草臥れた様子の難民達の姿が見えた。気付けばトールのマイケル人形は難民の子どもに抱きかかえられている。安心を与えられたのだろうか。
「マイケル、鉱山に続く道はあるか。
他にもあちこちに繋がっている可能性はあるが、まずは方向が近いところから、だ」
例えば、地図上でも不凍港ベデクトと程近い位置にバラミタ鉱山が存在している。そうした場所へと繋がる地下道が存在した場合は様々な派閥で資材を分け合うことが出来る筈だ。
「ギエ」
すんと鼻を鳴らしたマイケルと同じくフルールの蛇も何かに気付いた様に舌をぺろりと見せた。
僅かな硫黄臭を辿れば其方に繋がっている可能性があるというのだ。臭いが近いと言うことはそれなりに短距離を攻めるルートがあるということだろう。
「鉱山さえ、何とか出来れば、寒さがしのげるかも、しれないな」
「そうだな。資材は大事なものだし……報告しに持ち帰ろうか」
モカは帰った後にビッツたちが更に地下道探索の計画を立ててくれるだろう事を想定し見たこと全てを報告すると決めていた。
地下道には『交易を円滑にする』『連携を強化する』他、『フローズヴィトニル』に関しても何らかの情報が眠っているが――その辺りは、これからだ。
此れよりこの場所はマイケル鍾乳洞と呼ばれることになる。ラド・バウ近郊に存在する帝都中央駅より下った先に存在した『マイケル鍾乳洞』はアルマスクやルベン、そしてバラミタ鉱山や不凍港ベデクトまでの道を得るためにも重要な経由店の一つとなる事だろう。
「頑張ったマイケルには、あとで何か美味しいものをあげよう、な」
エクスマリアへとちかちかと光るマイケルは嬉しそうに手を上げてずしんと地響きを響かせながら喜びをアピールした
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。地下には色々とありそうですね。
今後、探索がとっても必要そうです。
●運営による追記
本シナリオの結果により、<六天覇道>ラド・バウ独立区の求心力が+10されました!
GMコメント
●目的
地下道を探索しましょう(目的地はマイケルの知っている鍾乳洞です)
●ロケーション
ブランデン=グラードの地下です。地下には様々な路が繋がっており、何処に向かっているかは分かりません。
ずっと昔に、この地下道は古代文明の名残であったことが判明されてから古代兵器の調査や地下鉄の為の地質調査などで人が調査や開拓をした――そうですが、現在では夢物語のように忘れられた場所でした。
マイケルは動物ですので何らかの事情で迷い混んだのか鍾乳洞までの路を知っているそうです。一先ずはその場所まで向かいましょう。
鍾乳洞には何らかの名前をつけても構いません(相談卓で決定してください。マイケルは「マイケル鍾乳洞」と勝手に自分の名前をつけています)
そこまでの道中では何があるか分かりません。周辺には警戒してください。
・アラクランの魔種や軍人がいる可能性があります。
・天衝種やモンスターが放たれている可能性や、外部から冬を逃れるために入ってきたモンスターがいるかも知れません。
・何処かの入り口から入り込んだ難民の姿があるかも知れません。
・鍾乳洞の向きは『バラミタ鉱山』方面です。其方へ繋がる道があるかは定かではありません
・マイケルに「●●への道はあるかな?」と問うておくと「ギエエ(さがしてみるね)」と応えてくれるでしょう。
●敵勢情報
特筆するならばアラクランと呼ばれる『ギュルヴィ総帥』率いる新皇帝派軍人はこの路を通路として利用していそうです。
アラクランも一枚岩ではないため、敵対する相手と出会う可能性もありますね。
また、モンスターや天衝種などが居る可能性もあります。どの様なステータスや攻撃を行なうかは定かではありません。
●同行NPC『ウォロク&マイケル』
ウォンバットと飼い主です。ラド・バウ闘士。皆さんの希望を聞きながらある程度は融通を利かせて探してくれます。
マイケルはヒーラー&タンク、ウォロクは神秘系攻撃を得意としています。
今回は索敵と探索に力を割きます。
けものはがんばってギエエエといいながら鍾乳洞までの路で色々な情報を得ようと考えています。
「こんなのないかな?」「こういうのってどうだろう」とマイケルやウォロクに提案してみてください。相談に乗り、探してくれるでしょう。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
Tweet