＜総軍鏖殺＞シリアス爆発しろ

オープニング

●シリアスだと爆発する
　シリアスになると爆発する。
　こう聞くと、実に意味が分からない。
　何を言っているんだという感じである。
　しかしながら、そういうものなのだから仕方ない。
　たとえば今……この遺跡では、連続で爆発音が響いている。
　ドン、ドドーン、と。
　カラフルな煙と共に大爆発が起こり、天衝種（アンチ・ヘイヴン）たちが吹っ飛んでいる。
　此処は鉄帝の「とある場所」に存在する、古代の遺跡の１つ。
　こうした場所には古代文明の遺物が眠っているのが定番だが……どうにもその遺物が絶賛暴走中であるようだ。
　いつもであればこの場にある古代兵器を乗っ取る天衝種（アンチ・ヘイヴン）も、こう連続で爆破されてはたまらない。
　どうやったら爆発しないか試行錯誤しているようだが……そのうち、逆立ちして変な顔になった天衝種が爆発から逃れる。
　そう、どうやらシリアスになると爆発してしまう。
　ならばシリアスとは程遠い姿になれば問題はない……！
　そうして凄いことになる天衝種たちだが……奴等にまでルールを強制してしまうこの遺跡にある遺物とは何なのか。
　きっと、ロクでもないものに違いない……！

●暴走遺物を破壊せよ
「鉄帝の、とある山の中の遺跡の話ですが……シリアスになると爆発する遺物があるようです」
　歯車卿からの使者は、なんとも微妙な表情でそう切り出す。
　シリアスになると爆発する遺跡。
　それはどうにも、「世界笑顔研究所」なる古代の研究機関の遺跡であったらしい。
　毎日を笑顔で過ごすため、全てのシリアスを滅ぼしてやろうという過激思想であったらしいが……まあ、結果的に滅びて遺跡になったので安心だったはず……だった。
　しかしながら、その遺跡にあった「笑顔計画」の為の遺物が天衝種どもが入り込んだ影響で作動してしまったようなのだ。
　天衝種も対象となる、とんでもない遺物だが……放置すればロクでもないことになるのは確実だし、万が一遺物自体が天衝種と化してはたまらない。
　なんとか破壊して、二度と同じものが作れないようにしなければならない。
「その為の今回の依頼ですが……今話したように、シリアスになると爆発します」
　此処で大切なのは、爆発するのは遺跡ではない。シリアスをやらかした「本人」が爆発するのである。
　どういう理屈かは分からないが、古代の科学力だ。理解しようとしてはいけない。
　まず、普通に真面目になると爆発する。
　次に、マトモなことをしようとすると爆発する。
　そして、なんかキメようとすると爆発する。
　だから、真面目にやってはいけない。
　基準は古代の機械のシステマチックなものだ。
　理屈はいらない。とことんふざけた態度で戦いもこなさなければならないのだ。
「……正直に言いましょう。これは使い道がゼロです。確実に破壊してきてください」
　たぶんどの国の基準から見ても超危険物。故に、確実に破壊しなければならない……のだが。
「ただこの研究所、古文書によれば初期にはマトモなものも作っていたらしく。その辺りを回収できれば、アーカーシュでの娯楽に一役買うかもしれません」

参加者 : 8 人

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参加者一覧（8人）

リプレイ

●真面目爆発しろ
「僕はねこだよー。もふもふのねこヨゾラだよー！　ねこー！」
「にゃー！　ヨゾラー！　ねこー！」
　それ動けるの？　って感じの猫の着ぐるみを着込んだ『【星空の友達】／不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン（p3p000916）を『幸せ招くけもの』フローエ・つのねこなはとが転がしている。
「コャー、なんと、シリアスすると爆発する遺跡。シリアスって何かしら、おいしいのかしら～、の気持ちで行った方が良いのかしら。そもそもとして、わたしはどちらかといえば存在自体がシリアスに寄っていないというか。こんな依頼で無理にシリアスしようとすると逆に面白くなってしまいそうな感じなのよ。ここまでに何回シリアスって言ったかしら」
「ふ、２人ともどうしたんだい!?　いや、胡桃くんはいつもと同じような気がするね！」
　ヨゾラと『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ（p3p008299）の様子に『雷光殲姫』マリア・レイシス（p3p006685）が思わずそう叫ぶが、これにはちゃんと理由がある。
「山中の遺跡、ということはまあ暗所／狭所等の死角からの襲撃やら場合によっては地形変動での分断は事故の可能性も含めてあるので気をつけましょうぐあー」
　『群鱗』只野・黒子（p3p008597）がちゅどーんと爆発してアフロになったが……そう、此処では今真面目にやると爆発してしまうのである。
「難しいことをやろうとしたら開幕でアフロにされたのでちょっと考えてやります」
　ちゅどーん、と黒子がまた吹っ飛ぶ。真面目は許されない。
「何……だ、と？　シリアスになると爆発する？　ばかな、ではツッコミもできないというのかぐわー！」
　吹っ飛ぶ準備をしていた『奪うは人心までも』結月 沙耶（p3p009126）が爆発（ツッコミ）待ちになって……しかし、爆発しない。
「しかし練達もびっくりな驚きの機械を作ったものだな……上手く使えれば使い道ありそうなものだが……とりあえず、戦場に早く駆け付けないとぐわー！？」
　今度は爆発して沙耶が吹っ飛んで。「よし！」と頷く。
「大体の感覚は掴んだ！　壁キックしながらの移動なら……（壁ビターン）……痛い……」
　それはそうである。
「いいかァテメーら。遺跡に入れば真面目な行動で爆殺される。だがよ……」
　『鬼火憑き』ブライアン・ブレイズ（p3p009563）は一端爆発しながら、真面目ではないものを取り出す。
「誰しもヤらねばならない場合が有る。そんな時にどうすればいいのか？　コレしかねーよなァ！？」
　持ち込みの酒樽をドンッと置いてニッと笑うと、早速自前の度数の高い酒を呑む。
　真面目よ死ね、と言わんばかりだがブライアンがかの伝説の酔拳の使い手でない限りなるほど、真面目ではない。
「こっから先は無礼講だ！　不真面目足りてなさそうな天衝種どもを酒を浴びせに行こうぜェ！　……ヤッベ、未成年は飲むなよマジで」
　ブライアンは爆発した。シリアスが抜け切れてない。
「奇天烈ぞ、足を踏み入れた途端顔が爆ぜた」
　『民誘う勇猛』オジヴァン・ノクト・パトリアエ（p3p002653）も連続爆発してアフロになっているが、なんかもう平気だろうか？
「……ふーっはっはっはっはっは！　幾ばくか前に練達にてPtubeなるもののVの者とやらを取り入れたのだ。Vとはすなわち吸血鬼のVであろう？　それに手元にはカメラなるものもある。丁度よいではないか、たしかこんな口上であったろう」
　何やらオジヴァンもぶっつけ本番で何かをやっているが……『ラド・バウA級闘士』ルシア・アイリス・アップルトン（p3p009869）もまた妙なことになっている。
「ルシアは気づきを得てしまったのですよ！　そう！この依頼は……真面目にやるだけで爆発してパンドラを減らしまくれるし重傷にもなれるのでして！　色々無茶しても減らないパンドラには日々悩まされていたのです……なので！　これ以降は真面目に依頼達成を目指すのでルシアのことは是非爆破しまくってほしいのでして！！　PPPを使わないで減らせるパンドラの上限は50、と聞いたような気がするので限界まで減らしてもらえると助かるのでおあー！」
「それ以上いけない！」
「アマノッ⁉」
　なんか接続しちゃいけないどっか別の次元に接続し始めてるルシアをマリアがパーンとビンタすると、『ＶＤＭランドの謎の生物兼マスコット』とらぁ君が受け止め……ない。テニスか何かのようにビンタでマリアへ戻す。
「とらぁ君⁉」
「その調子でして！」
「帰ってきたまえ！」
　その後、帰ってきたらしいが何かを狙う獣の目をしていた、とマリアは後に語る。

●真面目爆発した
「おなじみの蜂+泥コンピを完全シャットアウト出来るのなら結構有用そうじゃないのですよ？　それを踏まえても味方への被害が大きいのでやっぱり壊さなきゃですけども」
　爆発しながらキリッとした顔でルシアは語る。真面目になると爆発する。どういう風に爆発するかはさっきからキリッとしているルシアが実演してくれている。
「とらぁ君！？　なんだって！？　僕にまかせろ？　そ、そうかい？　大丈夫かい？」
　とらぁ君が近づくのは、ふらふら立っているヨゾラだ。
「わぁいとらぁ君！　とらぁ君だ！　寅年もあと少しだけど縁起が良いね可愛いねうわあああああああ！？」
　ヨゾラを転がしてヒュンヒュン駒のように回すと、真面目をやっているルシアを抱え上げて大回転させる。
「つまりルシアたちがやるべきことはおろろろろろろ」
「ええい、移動だけでこんな手間かけてたらキリがない！　早く最終笑顔計画ロボなる者にたどり着かねば、しかしどうすればぐあー！」
　ルシアを回していたとらぁ君と爆発した沙耶の目が合う。別にトゥンク……となったりはしないが、沙耶には気付きがあった。
「……こいつに、ぶっ飛ばしてもらうか投げさせてもらって移動すれば、って待て待て待て、手加減というものをだな！？　いや頼んだのは私だが、あーーーっ！！」
　右手にルシア、左手に沙耶。ヒュンヒュンとヌンチャクのように振り回しながら移動するとらぁ君がまず沙耶を望み通りに放り投げ、ルシアにファイナルとらぁバスターを仕掛ける。
「とらぁ君！さぁ！！！！！　いけ！　バスターだ！！！！」
　とらぁ君は言うことを聞かない！
　とらぁ君のファイナルとらぁバスター！　マリアに大ダメージ！！！
「ぐわぁ！？ どうして！？　敵は私じゃないよ！？　とらぁ君！？」
　たぶんジムバッチ的なものが足りてない。さておいて飛んでいく沙耶にとらぁ君は追いつきファイナルとらぁバスターを仕掛け、振り返るとキリッとした顔をしていたヨゾラをビンタする。
　ちなみに黒子も放っておくとシリアスになって爆発するのでとらぁ君が定期的にビンタしている。
「そういうわけで、まじめに頑張ろうとすると爆発するのでテキトーにがんばるのよ。なんと、スキルも特定のやつ以外外しているのでやる気のなさが目に見えていると思うの。付けているのも周りにギャグキャラを付与するハッピィ・トゥーンと非戦第四の壁なの。問答無用で皆さんにギャグキャラを振りまき、もってこの空間に対抗するのよ。第四の壁のおかげでメタギャグまで対応可能なのよ」
　うんうん、と頷く胡桃のハッピィ・トゥーンの効果か、黒子の顔に季節外れのテイコクオオクワガタがとまった。
　それはちょうど、鼻のあたりに……ハサミが、開いて……。
「アーッ」
　黒子のシリアスがなんとかなりつつ（クワガタは離れない）も、ついにラースドールたちがやってくる。
「出たなラースドール！　ねこちゃん突撃しちゃうぞ……ってなんか腕と足挟まれたうわーーーーー伊達眼鏡がーーーー！？」
「わっしょいわっしょい！」
「わっしょい、わっしょい、わっしょいに僕の大事な伊達眼鏡巻き込むなばかーーーー！！」
　逆立ちで走ってくるラースドールにノリツッコミでヨゾラが星の破撃を叩き込めばラースドールは破壊されるが、更にもう１体やってくる。
「多分あれは擬態型でして？　上下逆なら普通は壊れてると錯覚して、そこを狙う……既に情報があってよかったのですよ。分かっていれば初見殺しは無いのでして！　では協力してぱぱっと……は今回は無理そうなのでルシア一人で何とかしなきゃですよ」
　キリッとしたルシアが爆発するが、そこにニッコリ笑ったオジヴァン（？）がサッと入り込む。
「どうもーヴァンパイアPtuberのオジちゃんでーす。本日は鉄帝の遺跡にアンチヘイブンが侵入してるということで来たんですが、早速爆発してますねー！　同行してる仲間は既にお酒が入って猫じゃらしで戯れてるけど安全策なんでね、後でオジちゃんにも分けてもらいましょう」
　KURNUGIA-P508に映っているその丁度隅の辺りで、とらぁ君に猫じゃらしでウザ絡みしたブライアンが「ぐああああ」と悲鳴をあげている。
「早速アンチヘイブンが居るようですが【ルージュ・エ・ノワール】へんな顔して逆立ちしてるなんて些か哀れぞ（爆発）……なんか手足拘束してきて大車輪してきますね見ていて面白そうですが自分が食らうと画角的に画面酔い激しくなるんで中距離からBS掛けておきましょう。やっぱ元古代兵器なだけあってタフだけど手早く砕かねばいつ真面目になって爆発するか分からぬ（爆発）」
　爆発しながらもふざけるオジヴァンの近くで爆発しているルシアがいるが、このオジヴァンに比べれば撮れ高では負けている。
「さ、流石にふざけすぎだよ！　とらぁ君！　ちゃんと敵にも攻撃しなきゃ駄目さ！」
　ヨゾラでヌンチャクをやっていたとらぁ君にマリアがそう言えば、とらぁ君はマリアをぱぁん、とビンタする。
「とらぁ君！？　今のもシリアスに入るのかい？　え、判断が遅い！？　どうして！？」
　ちなみにとらぁ君に手を離されて飛んでいったヨゾラは黒子の足の間にシュートインしていた。
　胡桃のハッピィ・トゥーンの効果だろうか？
「ふふ！　だがここからが真の虎の力の見せどころさ！」
　とらぁ君に肩車してもらいイキリ散らすマリアは、とらぁ君に御神輿のように揺らされながらも突撃する。
「くらえ！　これが合体ファイナルとらぁ雷閃葬華だぁ！！！！　うおー！これが猛虎力のなせる技だ！　え、なんだいとらぁ君！　とらぁミサイル!?　どうして!?」
　マリアが無事に射出されたところで、とらぁミサイル２号の沙耶も飛んでいく。
「パンドラめっちゃ減ってないよな！？　敗北同人誌案件なってないよな！？」
　ギャグなんかに負けたりしない！　さておいて。
「こ、これが、最終笑顔計画ロボ……なんかスチーム出てるが壊れてないか？　大丈夫か？」
　練達のテレビ特撮モノのラスボスみたいな外見の最終笑顔計画ロボ相手に、沙耶がシリアスになって爆発する。
「とりあえずCode Redで攻ぐわー！　くっ、ここもふざけないといけないのか……ならば、この前某所で拾ったこのボトルでやるしかあるまい！　同人誌案件になってたまるものか、私はあくまでシリアスでぐわー！　シリアスじゃなくてもツッコミで居続けたいんだぐわー！」
「いい感じにボロボロになってるだろ。今日の俺はダメなオニーサンだ。今や最早酩酊も最高潮。気分は天国、実物はゴミカスな男の出来上がりってわけだ。つっても俺、そんなに酔わないんだよなー」
　３秒で矛盾しながらブライアンが酔拳のように拳を繰り出して。
「殲光砲魔神を撃ちまくるのです！　ルシア自身の爆発も利用するのでして！」
　至近距離から撃ちまくるルシアが爆発しているが、今日一番多く爆発しているのは、こう……あそこまでいくと根性であるだろう。
「出たな最終笑顔計画ロボ！　うわぁガスが……ダメージは回復すればいいけどまずは奴に近づいて……わぁい足音がひよこひよこひよこひよこ！（ピヨピヨピヨピヨ）このままピヨピヨして星の破撃で敵にハイタッチだひよこぉぉぉぉぉ！！　あはははははははひよこひよこひよこひよこひよこちゃんクラッシャーーー！」
　ヨゾラもすっかり振り切れている、楽しそうだ。
「とらぁ……」
「とらぁ君！？　どうしたんだい！？　ぐわぁー！？」
　なんかキレたとらぁ君がマリアを引きずりながら振り回し、マリアはそのまま雷閃葬華を放つ。
「テーンテーンテーンテテテテッテテーン♪　とーれなあおっ」
　マリアが飛んできて、ゴールデンケツバットをぶんぶんする胡桃のみぞおちに刺さる。
　ちょっと辛かったが、シリアスも消えているので問題はない。なお、マリアはとらぁ君が回収していった。
「シリアスにせずにラースドールと最終笑顔計画ロボを倒すべく、年末のお約束を持ち出したのが、そう。コャーマンシリーズシリーズ外伝なの」
　ﾃﾞﾝｯﾃﾞﾃﾞﾃﾞﾃﾞﾃﾞﾃﾞｴﾝ　ﾃﾞﾝｯﾃﾞﾃﾞﾃﾞﾃﾞﾝﾃﾞﾝ、と胡桃は口ずさむ。
「あっれっはー練達の屋台でラーメンを啜っていた時、とてもすごいものを見たの。15年位前の個人サイトで名前を見た方が「とらぁ」に投稿してたの。ちなみに未だに残ってて「とらぁ」の質問も残ってるのビックリするほど作風が変わっ「とらぁ」ぐふっ」
　胡桃がファイナルとらぁバスターをとらぁ君にきめられたところで、ついでに黒子もバスターされる。
「さてでかい顔が蒸気出してますね「オイラはー規制ー」みたいな感じですね。さっき食らって足音がピヨピヨしてもううるさいのなんの。早いとこ壊して出ましょう。本当元はまともだったのにどうしてこんな頭が触れたんでしょうねー。はい、というわけで今日の配信はここまで。よかったら高評価フォロー通知のオンをしてね」
　後々の編集も考えて笑顔で虚空を指差すオジヴァンは……まさに漢だ。新しい世界を拓きにいっている。
　キラッとするオジヴァンの背後で大爆発……そう、最終笑顔計画ロボは滅びたのだ。
「新しき体験であったな、満足ぞ」
　外に出て、空を見上げるオジヴァンととらぁ君の視線の先で……仲間たちがサムズアップしているような、そんな気が。
「とらぁ」
「むぐおっ」
　とらぁ君の見上げる先の空で、８人の戦士たちが良い笑顔で笑っていた、そんな気がしたのだった。とらぁ。

成否

成功

ＭＶＰ

状態異常

あとがき

とらぁ。

●運営による追記
　本シナリオの結果により、＜六天覇道＞独立島アーカーシュの技術力（！？）が+10されました！