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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>繁殖大作戦~白兎の襲撃を添えて~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●前回までのあらすじ
 浮遊島アーカーシュの洞窟で発見された原生生物にして不可思議度ぶっちぎり上位の粘体生命『フミノ』。
 四天王、ル・アディンとの戦いを経て、生存分はほぼすべて加工されその残数はゼロを打った――そう、思われていた。
「フミノー! 繁殖しようよー!」
 暁月・ほむら(P3n000145)とかいう能天気男の娘さえ来なければ、だ。
 いきなり現れてフミノの繁殖を口にした時の一同の表情たるや、この世の終わりみていな顔をしていたものである。
 そして時は流れ……。
「あの時回収したフミノなんだけどアーカーシュの洞窟でかなり繁殖したらしいから連れてきたんだけど、私はどこにも属してないから持ち込んだら混乱が起きそうなんだよね! パパスちゃん、ちょっと預かってくれない?」
「おめーそろそろ偉い人に怒られそうなキラーパス飛ばしてくるの止めたほうがいいゆ。わたちはいいけど。だいたい」
「じゃあそういうことで!」
「バッカおまえわたちはポラリス・ユニオンゆ!? 党派性バリバリゆ! ……いっちまったゆ」
 そんなわけで、ほむらはあろうことか『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)に丸投げしてどこかへ行ってしまった。『EXFメエエエエエエ!!』と叫び声を挙げる瓶の中のフミノ(未加工)をかかえ、パパスは途方に暮れるのだった。

●お前が始めた物語だろ
「だからってボクのところに持ってくることはなかっただろうが!!」
「お前がお父さん(ゴッドファーザー)なんだから当たり前だろうがゆ。最後まで責任とれゆ」
 そういうわけで。
 セレマ オード クロウリー(p3p007790)は今まさに彼へ殺意をゴリゴリに向けているフミノを前にキレ散らかしている。
 パパスいわく、基本的に分裂しまくるからほっといてもある程度繁殖するのだが、なにしろアーカーシュとヴィーザルでは環境が違いすぎるので簡単にいかないという。だから栄養を与えたい。ならフミノの攻撃で絶対に死なないセレマが『再構築(EXF)』し続ければ栄養をある種半永久的に供給できるのでは? と考えたのだ。頭がおかしい。
「これがフミノか! 美少年の血肉を吸った個体の末裔と考えると感慨深いものであるな!」
「単細胞で分裂しまくって何十世代かわからない世代交代した個体に感慨深さを覚えるんじゃないよ。嬉しそうなの腹立つなお前」
「加工したら美味しいって聞いたわよ。その……少しくらい別の血とか分けたら味変っていうの? しないのかしら?」
「殺し方で変わるからそんな血腥い味変があってたまるかよ。自分の血をスパイスみたいに言うなよ」
 フミノを見て咲花・百合子(p3p001385)と秦・鈴花 (p3p010358)が口々に不穏なことをぶっこいているのだが、彼女らは大丈夫なんだろうか? その、正気とかが。セレマを見すぎて現実がバグっちゃいないか?
「まあそういうわけだから、こいつを寒冷下で繁殖させてなおかつ加工すればアーカーシュにいた頃とまではいかなくても食事としては上等な部類になるはずゆ」
「一般人を襲いかねない可能性は?」
「近くの洞窟に放り込めば喜んで住み着いて引き籠もるから大丈夫ゆ。おまえたちみたいに」
「どっち向いて言ってんだおまえ」

●こんなバカみてーな状況に人生賭けに挑むお前はなんなんだよ
「なあ、アダムス。お前、現状をどう思う」
「どうしたんですか、隊長。変なものでも食いました?」
「言うに事欠いてそれはねえだろ上司に」
 その頃。
 ノーザンキングス連合王国(自称)のシルヴァンスの一党、『白兎』を率いるヴァイス・ブランデホトはセレマ達が喧々諤々の大議論のただ中にいるのを双眼鏡で観察していた。
 どうやらノーザンキングスの一員として、目下の厄介事であるイレギュラーズ達にひと当てしていきたい……とか思っていたのだろう。
 が、彼はローレットにも餓狼伯にも借りがあるといえばあり、そして何度かノルダイン絡みの連中を倒すのに手を貸していたのである。なので厳密には敵対者というには難があり、しかしこのままではノーザンキングスに所属し続けることは不可能になるだろう。
「俺達はノーザンキングスだ。最低限の義理は果たす。けどよ、これで俺が死んだら……いや、死ななくてもな。敗けちまったらもう、行き場はなくなる。そうしたら勝手にしていいぜ」
「隊長、こいつらそんな泣き言聞きたくないと思うんスよ。ま、いっちょ殴り込みにいって、負けた負けたって泣き喚いて逃げ回るか、勇気ある討ち死にするかして餞にしましょうや。それに」
 後悔してないんでしょう、ヘルツ達の仇討ちにロンペイロスの首を狙ったの? そう聞いてきたアダムスに、ヴァイスは痛し痒しといった様子の笑みを返した。

GMコメント

 特に読む必要もなさそうな参考資料:『氷海砕きのロンペイロス』『<オンネリネン>餓狼伯と兎の来訪者』など

●成功条件
・フミノをできるだけ繁殖させて近くの洞窟に放り込む。試食してもいいよ。
・『白兎』ヴァイス一党の撃退(生死不問)

●フミノ
 SS(設定委託)『過剰な執着』参照。
 古里兎GMって人が「繁殖させたい!」って言ったのにスケジュールの都合で戻ってきました。あいつ本当に覚えとけよ。
 ヴィーザルだと洞窟に放り込んだだけだと栄養がちょっと足りないのでHP削らせたりパンドラ削らせたりEXFったりして皆の命を分けてあげようね。ほらEXF極、パンドラ削らなくても貢献できるぞ。(針の筵の上で)ジャンプしろよ(HP1の状態で)。
 なおこいつを倒して試食しても(大勢に影響なければ)構いません。何故かHPとかAPが回復します。

●ノーザンキングス・シルヴァンス『白兎』一党×20
 初登場時から突っかかってきては何故か共闘してる方が多いノーザンキングス側の一党。でもノルダインに同胞殺されたり故郷アレされたりろくな目にあってないんだからそろそろ裏切ればいいのに。
 リーダーのヴァイスは登場当初はアホの子でしたが知性バフを受け続けてそこそこ取引のできる知能を得ています。それはそれとしてフミノ強奪に向かってきますが。
 今回はやや本気度が高いのか、ヴァイス含め数名は乗り込むタイプのアーマースーツ(●ァン●ァーとか●導●ー●ーとかそういうやつ)に乗って現れます。
 それら数体は防御技能が高く混乱系列(怒り含む)BS無効、火器もそこそこ充実しています。その他部下はアサルトライフル+銃剣といういつもの装備。機械化歩兵みたいなものです。
 いい感じに連携してきますが、余程の手抜かりがなければいい勝負にもっていけるでしょう。
 撃破後、殺すかどうかは任意です。なお、生かしたところでノーザンキングスには戻れないでしょうが。

●フィールド
 近くに洞窟がある雪ふかい峡谷地帯。
 足元が埋まって機動力などを損ねることも警戒すべきでしょう。
 『白兎』? 雪駄履いてますよ。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <総軍鏖殺>繁殖大作戦~白兎の襲撃を添えて~完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月23日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
リースヒース(p3p009207)
黒のステイルメイト
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者

リプレイ


「百歩譲ってボクのところに持ってくるのはいいとして、なんでこんな機嫌悪いんだよこの芋幻想種。ボクが一体何をしたっていうんだよ」
「わたちは別に怒ってねえゆ。機嫌? ……そうかゆ、悪いように見えんのかゆ……」
「今度は落ち込み始めたよ。めんどくせえなお前!」
 『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)は『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)が機嫌が悪いように見えていたが、どうやらそうでもないらしかった。勘違いされてパパスは悲しそうだが無視していい。なんかいつも怒ってそうに見えるこいつが悪いのだ。あと死ねって言ってきたんだからセレマが怒ったほうがいいよ。
「美少年を殺すお仕事と聞いて勇んで参った! 咲花百合子である!」
「勇み足っつーんだよそれはよ」
 『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は我が意を得たりとばかりに突っ込んできたので、さしものセレマも呆れていた。そういやこの娘さんはフミノ見てるんだねついうっかりだよ。あと殺すのが好きってこいつ相手じゃなかったらサイコパスの発言なんだよな。
「僕びっくり人間でもなんでもなくてただの死なない妖怪なんですけど……パパスさん、僕って役に立ちます?」
「知ってるかゆ鏡禍。死なないだけでフミノは大喜びで殺し続けるんゆ。そしてついうっかり本当に殺しにくるまでがワンセットゆ」
 別に喜んじゃいねえけどな。『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)の言葉にパパスは肩を竦めて首を振った。どっちにしろ死ににくいんだから便利に殺されてりゃいいんだよオラっ潰されろ!
「フミノ、こんなに増えて……増えてしまった……というべきか。いったいこの胸に沸き起こるなんとも言え無さは、一体」
「何だろう、フミノと言うとつい"さん"を付けたくなる……とてもお世話になってる気がする……習性もなんとなくわかる気がして……」
「ごめんだけど誰かイズマの頭ブン殴って記憶飛ばしてくれんかゆ? わたちが殴るのはちょっと『ない』ゆ……」
 リースヒースは馬車『アバンロラージュ』に冬タイヤ(木の車輪じゃなくて?)を履かせて引っ張ってきたが、さり気なく雪原で弱々しく繁殖するフミノの姿に哀愁を覚えていた。かと思えば『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)はフミノに得も言われぬ感情を懐きつつある。いいんだよさんづけなんてしなくて。ガバガバな仕事管理しかできないクソ野郎を敬ってると他の人達の地位がガタ落ちするからだめだ。
「なんなのよこいつら。びっくり人間大集合? ツッコミが追い付かな過ぎてしんどいんだけど!? パパスツッコミ手当とか申請しなさいよ多分書類とかなんかいい感じにやりなさいよ!」
「わたちがボケないで突っ込んでる時点で手当は出ねえから安心すゆ。こいつらがこんなノリなのは今に始まったことじゃねえし。あっち見てみゆ」
「え?」
「人間は腹が減ると怒りやすくなるという。食うのに困らない生活がフミノによって形成されればよいのだが……これが『フミノサプライチェーン』……」
「戻ってきなさいよマッダラー! 何に影響受けたのか知らないけど絶対それは違うわよ!!」
 変人揃いのイレギュラーズにすでに胃痛がキツくなりがちな『パンケーキで許す』秦・鈴花(p3p010358)であったが、悲しいかなパパスはボケが多すぎると突っ込みに転向するので手当はでません。『不運《ハードラック》超越』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)に至ってはEXFを極めたあまりに歌と変な発想に全振りしているフシすらある。戻ってこい。
「ふみの……スライムですか……。栄養さえあれば質問わず分裂……という点では確かに優秀な食用ゲルになりそうですね……」
「おまえ平仮名で読み上げたこと奥歯ガタガタいわせて後悔させてやるから覚悟しとけゆ。マジで戦争ゆ」
「ちょっとパパス? 発音変わらなかったじゃない『平仮名で』って何? なんか雪の向こうからこっちを窺ってる機動兵器いるわよ!?」
 『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)の分析は正しいが間違っている。何しろこの粘体生物、殺し方如何でゼリー状にも餅にもなるのである。食べごたえもバッチリだってそういう話じゃねえんだよな。鈴花の言う通り『白兎』がこっち狙ってんぞ。
「フミノの次はフミノを狙った賊かよ! もっと他にいいものあっt」
 セレマはいいかけて背後から迫ってきたフミノに逆サバ折りにされ、縦式タ〇ーブ〇ッジみたいな殺され方をしてしまった。あっちょっと前方に(再構成体が)出るっ♡
「ったろうが! これに関わるとこんな目にしか遭わねえな!」
「え、まさかこんな所を本気で襲う気なのか?」
『お取り込み中なら俺達帰るけど……いや帰れねえけど……取り敢えずそのスライム野郎が食糧になるんだな完全に理解した。「太陽の種」の二の舞にはしねえぞオラッ!』
 セレマは何事もなかったかのように話を続け、覗き見していた相手に指を突き立てる。現れた機動兵器……雪駄型の接地面を備えた二脚戦車からはキレ気味のヴァイスの声が響いた。
「別に討伐対象にはなっていませんが、どうします? 彼ら(フミノ)の優秀な苗床に……というのならその犠牲は忘れませんよ?」
「そうなると私達が集まった意味がないので……」
「事情があるんだろう。多分食糧不足とかで気が立っているのだろうしな。相手の言い分を聞く前に一方的に殺すのは如何なものか」
『聞こえてんぞクルァ!』
 ウルリカは諸事情に詳しくないし、仲間達の作戦より手っ取り早く敵を贄にすればいいのでは? と考えていたのだが、そうしたら鏡禍やセレマ、マッダラーにリースヒースなどが集められた理由がなくなってしまう。リースヒースとマッダラーもあまりに非人道的な提案に二の足を踏んだ。「あまりに非人道的な」ってところでセレマが苦い顔してそう。
(でもフミノさ……フミノを便利に使えなくもないシチュエーションだよな、この戦場)
 セレマがまあどぎついことを考えているがそれはそれとする。


「なんかもう……ほら、多分変なの乗ってない雑魚はあのびっくり人間たちがわーいって群がられてれば多分大丈夫でしょ」
「全体を攻撃しつつ機動兵器を優先すれば大丈夫そうですね、わかりました」
「殴り甲斐のある連中から仕留めていいのか!?」
 鈴花はリースヒースやマッダラー達が雑兵目掛け挑発を仕掛けているのを見て、ヴァイス含む数名が駆る機動兵器に視線を合わせた。ウルリカも我が意を得たりと頷き、百合子に至っては頑丈な相手を思う様殴れると大喜びである。
 しかし、相手もやられるを棒立ちで待つわけではない。左右に展開した機動兵器は戦場中央目掛けミサイルを釣瓶撃ちに叩き込み、戦場をかき乱す。接近してきたイレギュラーズにはマシンガンで応じ、中央に立った個体は大型の兵器を構え虎視眈々と此方を狙う。雪山で無謀極まりない。
「ぶっ殺す! という気概が薄いな、親分に追い立てられて嫌々来たか?」
『この戦いぶりでそう見えるなら、竜種相手でも殺意を嗅ぎ取れないと思いますが……!』
「亜竜種(アタシ)相手にいい度胸ね!?」
 百合子の速攻を期した連撃を受け、うち一体は動きを大きく鈍らせた。破壊には遠いが、想定外の異常が乗り手に与えたプレッシャーは大きい。されど至近距離で衝撃波を叩き込もうとする意気や見事。衝撃波すら見えるかの如く躱す百合子には物足りまいが、十分「倒す気」はあるのだ。……ところで竜種や亜竜と隣合わせの生活を強いられていた鈴花の前で竜種云々は多分悪手だと思う。
「戦闘はしますが、そもそもこの状況は人類の敵によって生み出されたことを忘れてはいけません。この状況で話の通じる、戦える方が死ぬのは単純に損失ですよ」
『リーダーがどう思ってるかは別として、ノーザンキングスは長らく貴方がたイレギュラーズと、北の鎮守たるローゼンイスタフを相手にやりあってきたのです。シグバルド氏が魔に堕ちぬ限りは、最低限の操は立てさせてもらいますよ!』
「なんだかちぐはぐなのよねえ……アンタが操を立ててるのってリーダーにじゃないの? シグなんとかは別じゃない? 男同士の操なんて見たくないけど」
『…………』
 ウルリカの提言に、義務で返した時点で声の主の言葉にはどこか違和感があった。戦うことを義務と言ったところ、最低限の範囲でしか戦うことを定義していないこと、など。おかしなことは少なくない。鈴花にも明らかにわかるそれを、声の主は誤魔化しているようにおもえた。
『あんまり俺の部下を誑かしてやるなよ、そう煽られると……ふっ飛ばしたくなっちまうじゃねえか!!』
「ハァーーーーーーーー?? こっちからぶっ飛ばしてやるってのよ!」
 チャージに入っていたヴァイス機が、熱を帯びる。発射された光軸は、しかし正面から鈴花の魔砲とウルリカの狙撃とをあわせた一閃に押し留められる。互いの熱量は周囲を巻き込み、暴れ回る――。
「ところであなたは倒していい相手ですよね?」
『こんだけ叩き込んで立てるとかお前ほんとおかし……っ!?』
 その頃。鏡禍とイズマは残った一体に向かって戦いを挑んでいたわけだが、対城技たる鏡禍の一撃をもってしても『白兎』の機動兵器は小動もしなかった。痛手は被っているのだろうが、素振りすら見せず反撃してくる。というか致死レベルの打撃を受けて起き上がってくる。なんだこいつ。
「くらえ、フミノさ……フミノ!」
 動揺を深めた機動兵器の呼吸に割り込むように、イズマがフミノを足元に投げつけた。あっ、なんかフミノが足元から破壊と腐食を繰り返してコクピット狙ってる。
「助けないと捕食されますよ?」
「……だよな……」
 そんなわけで機動兵器はフミノ(と鏡禍の猛攻)で一体倒されました。


「マッダラー、回復要るかゆ?」
「この程度しれたものだ、この後フミノに食わせる体が少し傷つこうと惜しくもないさ」
 パパスは一般兵を引き受けて思う様攻撃されているマッダラーに(念のため)声をかけた。しかし、彼は陽気に歌いながら相手の猛攻を称賛するのだから気を削がれる。
 リースヒースは適度に回復をはさみつつも、己含め死ににくさでは一級品の三人が足止めするのだから不要なんじゃね? ぐらいの勢いだ。
「フミノに殺されるのはなれたけどあっちからミサイルとか魔砲の流れ弾とか飛んできて死ぬの納得いかねえんだけど!?」
「勇ましいな……」
「でもあっちで派手にドンパチやられたら攻め手足りねえゆ。仕方ねえからわたちが前に出ゆ」
「手加減できるのか?」
「倒れる一歩手前でいいなら」
 流れ弾に感心するマッダラー! 死にすぎて訳解んなくなってるセレマ! そして殴りにいけるのはこいつくらいだパパス! もうやだこの編成(素)。
 ひとまずこんなノリで『白兎』が全員バテるまで続きます。

「美少年と美少女が関わっていることだから『ビューティー3分クッキング』というのはどうだろう」(BGM:おもちゃの兵隊のマーチ)
「で、栄養をくれてやればいいんだっけか」
「魔力が切れたセレマを相手にしてもいいの!? やったーーーー!!!」
 マッダラーの掛け声とともに(BGM自体は著作権切れてるけどタイトルの隣接権で殺されそうな)音楽が流れ出す。魔力を使い切って準備万端といったセレマ、殺したいけど何か起こりそうで待機しているフミノs(増えた)、そして自己強化を施した百合子が身構え、次の瞬間、その手が霞んだ。
 セレマが死んで、死んで、死んで死んで死んで、飛び散ったフミノ分裂体を百合子が頬張り、セレマが死んで、また食べて。
「わぁ、セレマを叩くほどフミノが増える! 楽しい! セレマを食ったフミノ美味しい! ずっと遊べる!」
「後はフミノに……どうすればいいんですか? 僕も殴られてればいいんです?」
「攻撃すればいいんでしょうか?」
「任しとけゆ」
 鏡禍の挙手に、おずおずと武器を構えるウルリカ、そして何故かすりこぎを一本足打法で構えるパパス。あっこれ死んだな(EXF判定)。
「それじゃフミノパーティーよ! 材料はこちら」
「フミノって米に合うのか?」
「加工したものがこちらになります」
「米を食わせた直後に殴り殺したらガチの餅と遜色ない色合いに!? もちもちしてる!!」
 鈴花が料理番組めいて加工前と加工後のフミノを用意する。セレマ、あまりに予想外な変化に能がバグりかけている。出来上がった餅はリースヒースがワッフルメーカーに押し込んで焼き上げていく。
「僕はそのフミノ、焼いて甘醤油がいいです」
「フミノって餅になるだけじゃないのよね? 取り敢えず煮て焼いてワッフルにするわ」
「ワッフルにはこれだな」
 フミノを網で焼き始めた鏡禍は醤油に砂糖を混ぜて今や遅しと待ち構えている。出来上がったワッフル餅(フミノ)を目を輝かせてみる鈴花の前に、リースヒースは練達で調達した徳用アイスパックを取り出した。当然ながら百合子も目敏くそれを見つけ、ひと仕事終えて嬉しそうに飛びついた。
「取り敢えず貴殿らも食べるのである。食べないと元気がでないぞ?」
「いいのかよ……俺達殴り込みに来たんだぞ?」
「ノーザンキングスに居づらいなら吾の領地に来ても良いぞ! 技術者としてもほしいし、兵隊になるなら市民権も与えよう」
 百合子はフミノを『白兎』の一団に差し出すと、とんでもない提案を向けた。北辰連合そのもので抱え込むにはやや多すぎる人数だったため、渡りに船だったと考えられなくもない。
 そして、ヴァイスもその提案には乗り気なところが見受けられる。心からシグバルドを崇敬しているわけではない彼等にとって、逃げ場がなければ前に出るしかなく、それは北辰連合、ひいては百合子の領土になるのも無理も無い話だった……と、思われる。
 ところで。
「ン゛っ――」
「あら、セレマったら餅を詰まらせたのね、とってあげ」
 鈴花は、悪気なくセレマの背を叩いて詰まったフミノを吐き出させようとした。したのだが、ついうっかりで強烈な連撃をお見舞いしてしまった。必ず殺せる攻撃を、だ。
「ん? えっ!? セレマ? ナンデ吾以外の攻撃で死んでるの? セレマ???」
「…………てへ★」
 どっとはらい。

成否

成功

MVP

秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者

状態異常

ウルリカ(p3p007777)[重傷]
高速機動の戦乙女
セレマ オード クロウリー(p3p007790)[重傷]
性別:美少年

あとがき

 ひでえことしやがる。
 ヴァイスくんが仲間になりました。そのうちステシとか生えるかな。生えるといいですね。

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