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シナリオ詳細

<最後のプーロ・デセオ>熱に絆された幻

完了

参加者 : 8 人

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オープニング

●<最後のプーロ・デセオ>熱に絆された幻
 海洋王国『シレンツィオ・リゾート』を巡る事件。
 ダガヌ海域のインス島に根を張りし悪神ダガヌ……その悪意を防ぐ為に、シレンツィオ連合軍とローレット・イレギュラーズ達の作戦は開始される。
 しかし……それを見越していたかの如くダガヌ側は、その作戦を知って居たかの如く防衛布陣をとり、イレギュラーズ達の迎撃態勢を取る。
 それこそが『罠』……ダガヌの力により変異した新型肉腫:『瘴緒(しょうのお・デヴシルメ)』。
 人を意識が無い状況で操るデヴシルメを利用し、シレンツィオ連合軍の情報を得ていたのだ……その結果として、ダガヌ側は迎撃態勢を構築していたのだ。
 更にはデヴシルメの魔の手は、竜宮の乙姫『メーア・ディーネー』にも及んでおり、ダガヌの強力な力により意識を奪われた彼女は、自らの意思関与せぬままに裏切りという姿を魅せ、ダガヌの手に堕ちてしまう。
 そんな彼女の力を利用し、ダガヌは完全復活を目論む。
 本体がありし海底火山……復活の兆しである大規模噴火が起きれば、海底にありし竜宮が消滅するのは勿論の事、天浮の里やシレンツィオ・リゾートでも大きな被害が起きる事は間違いない。
 乙姫は奪われ、竜宮の加護も失われた今、打つ手無しかと思われた……のだが、竜宮の『マール・ディーネー』の思い出の力にて加護は復活する。
 更には集めた竜宮幣の全ての力を利用し更なる加護を発動させる。
 それはダガヌの『神核』、つまりは心臓と同等たるコアを実空間に現出させる事で、短期間ではあるものの海底神殿にそのコアを縫い付けることに成功したのである。
 更にその強大な力は、竜宮の玉座とニューディの真の力により、ダガヌの力(欲望)を喰らう事によって弱体化させる事に成功する。
 だが。
『……私達が出来る事は、ここまでです。後は……イレギュラーズの方達に掛かっています……』
 目を伏し、頭を下げる。
 彼女達が直接、ダガヌを倒す事は不可能な事。
 しかし弱体化した今なればこそ、ダガヌが縫い止められている海底神殿に乗り込み討伐は出来るかも知れない。
 ここ、シレンツィオ・リゾートを救う責務は、イレギュラーズ達の双肩に掛かっていた。


「……という訳で、だ。竜宮の力により、ダガヌ海域インス島の海底にある『ダガヌの海底神殿』に、悪神ダガヌが縫い止められており、動けなくなっている。皆の力が今、必要なんだ」
 『黒猫の』ショウ(p3n00005)は、集まった君達に真摯な表情で、淡々と口を開く。
 いつもの雰囲気とは違う真剣な言葉は、この作戦に対する状況を如実に示す。
 それに君達をもごくりと頷くと、ショウは。
「感謝する。皆には『ダガヌの海底神殿』への一斉攻略作戦に参加して貰う事になる。この海底神殿には深海魔や狂王種、更に海乱鬼衆・濁悪海軍らが跋扈している様でな……こいつらを倒さない事には、まず話が始まらないといった状況だ」
「このダガヌ海底神殿は海底火山の内部に作られた遺跡だ。このエリア内は、海底火山の熱が強力に噴出している。その熱は常人で耐えきるのは難しい程だ。イレギュラーズの皆であろうともその熱にやられるのは間違い無いだろう」
「更に、そんな熱気の中には、個々人の欲望を喚起させるような幻影を見せる効果があるそうだ。この幻影は、誰の幻影が出てくるかは解らないし……贖いがたい欲望を喚起させてくるだろう。それに抵抗できなければ、そのまま破滅一直線に向かう事だろう……だからこそ、揺らがない様に注意してくれ」
 そこまで言うと、ショウはイレギュラーズ達の肩を叩いて。
『色々辛い事が起きるかもしれんが……だが、皆の力が今こそ必要なんだ。どうか宜しく頼むな」
 と、皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 とうとうシレンツィオリゾートを巡る事件も終盤戦となりました。
 今回はかなり厳しい環境での戦闘となりますので、決して油断なさらない様御願いします。

 ●成功条件
   ダガヌの海底神殿に蔓延る深海魔、狂王種、海軍の混成軍を全て仕留める事です。
   しかしながら周囲の環境があるので、簡単には突破出来ないでしょう。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●特殊ルール『竜宮の波紋・応急』
  この海域ではマール・ディーネーの力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
  竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

 ●特殊ドロップ『竜宮幣』
  当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
  竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
  https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

 ●周りの状況
  舞台となる『ダガヌ海底神殿』の中は、海底火山の至近距離にあるので、とてつもなく熱いです。
  この熱は皆様の体力をジリジリと奪い去る為、解除不可能のスリップダメージが皆様に常に付与されている状態です。
  (敵陣は海軍にも同様の効果を及ぼしますが、怪物類はその効果が現れません)
  
  又、このスリップダメージの他、敵陣の襲撃中に皆様の欲望を歪んだ形でかなえるような幻影が生じます。
  この幻影については、プレイングで記載されているもの、もしくは、皆様の『罪』『罰』『弱点』『プロフィール』などを参照して
  ランダムで発生します。
  この欲望に抵抗出来なければ、戦闘に対してはとても不利な判定になってしまうので、どう抵抗するかは考える用にして下さい。

 ●討伐目標
 ・『海乱鬼衆・濁悪海軍』
    ダグラに率いられた勢力の一つで、海乱鬼衆の中においても特に凶悪・凶暴・残忍な集団です。
    海底神殿に向かったイレギュラーズの皆さんを追い詰めようと、武器を取ります。
    戦闘能力は深海魔、虚滅種のどちらに比べても低めではありますが、数の暴力で戦います。
    尚、先程ありました通りこいつらは熱のスリップダメージを喰らいます。
 
 ・海神の加護を受けた小型亜竜の虚滅種
    体躯は80cmとかなり小振りですが、亜竜の虚滅種です。
    その手に持った槍のようなものから水の流れを生み出し、波を遠隔攻撃用の矢の如く放ちます。
    その波に呑まれると、ほんの僅か(1,2ターン程)ですが皆様のスリップダメージは止まりますが……一撃自体結構痛いので差し引きマイナスになりそうです。
    また、鋭い爪・牙を持っており、その刃で傷つけられると、毒の効果が更に付与されるのでご注意下さい。

 ・海の力を得た半魚人型深海魔『フォアレスター』
    首から上に魚がまるごと載っているような造形をした深海魔です。
    半魚ではありますが、兵士のような姿形をしており、その攻撃手段も手の槍、剣で攻撃してきます。
    虚滅種と基本同一タイミングで現れ、虚滅種と効力して皆様を殺すべく前へ前へと出て来て、押せ押せの方針で攻撃します。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <最後のプーロ・デセオ>熱に絆された幻完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2022年11月02日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
優しき咆哮
サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
威風戦柱
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官

リプレイ

●海底の悪意
 海底王国に広がる一大リゾート【シレンツィオ・リゾート】。
 しかし今となっては、リゾート地の面影はほぼ失われてしまっていた……それは、近郊海域『ダガヌ海域』に、強力な悪神ダガヌが出現した為。
 そしてその悪神ダガヌは、ダガヌ海域の海底にあるダガヌの海底神殿に潜んでおり、その傍にはとてつもない熱量を放つ海底火山が噴気を上げて轟いていて。
「うう……あ、あっっつ!!」
 その熱気に汗を垂れ流す『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)。
 それに『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)も。
「ええ……暑いですね。元の世界の能力を失ったスーツでは少々厳しい暑さです」
「おお……それ、凄く解るであります! 海底火山の真っ只中でコンバットスーツフル装備はさすがに熱いであります。かなり厳しい環境でありますね……」
「お互いに辛い状況ですか……適度に回復の必要がありますね……」
 ムサシとウルリカ二人共、傍らの海底火山からの熱に辟易していた。
 其れほどにその熱量は凄まじく、身を焦がすかの様に感じるが程。
 ……そして、その熱量はこの地にいる者達に、不穏なる幻影を見せる事で破滅に導こうとしている、との事。
「この熱波に加えて幻、と……なんとしても厄介な組み合わせ、です」
「そうだな。歪んで望みを叶える、か……私の願いは世界平和なのだが、それをいかに叶えてみせるのだろうな?」
 ウルリカの言葉に『威風戦柱』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)が肩を竦める。
 それに『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)が。
「世界平和……ですか? それは素晴らしい願いですね! 私も、皆を見捨てなくて済む様な平和な世界が望みなのですが、その願いが出てくるのでしょうか……?」
「どうだろうね? まぁ……なに。私はそこまで敬遠なヒトではないがね? 君の求める平和と私の求める平和は違う所もあるだろうし」
 はは、と笑うメーヴィンに、小首を傾げるシフォリィ。
「そう……ですか。そうですね。しかし海底火山近くの神殿で迎撃とは……相手もなりふりかまっていない様ですね」
「そうだな。海底火山近くの海底火山自体……海王でも辛いんじゃないかこんなん。作った奴は何考えてんだか」
 そして『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が肩を竦める。
 彼の言う通り、イレギュラーズ達が訪れたこの地には、狂王種や深海魔、更には海乱鬼衆・濁悪海軍と並み居る敵対勢力が揃い踏みという状況。
 この熱気は濁悪海軍にも影響を及ぼすと言うが……でも彼等は悪神ダガヌを復活させるが為にその身を焦がしながらも妨害に力を入れている訳で。
「……海賊と怪物の混合軍か……随分と数が多そうだな……環境的に長期戦は不味いか……? どちらにせよ、殲滅しないと悪さするだろうから、戦うしかないが……」
 唇を噛みしめる、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)。
 思慮を巡らす彼の言葉を聞いた『優しき咆哮』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)が。
「色々と難しく考えて居るみたいだが……幻影? 熱さ? なんでもいいさね。全部倒せば良い、なんて至極シンプル。解りやすくて助かるさ」
 肩を叩くと共に、サムズアップするシキ、そしてシフォリィも。
「そうですね……こちらも色々と背負っているものがあるんです。彼等の思いが何であれ、私達も、負ける訳にはいきませんから……!!」
 ぐっと拳を握りしめて、サイズを元気付ける。
 そんな二人の言葉にサイズが。
「……ああ、そうだな。竜宮のマールさんの力で、今回のチャンスが生まれたんだ。この機会を棒に振る訳には行かない」
 と言うと、それに錬、ムサシ、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)らも。
「そうだな。マール達の思いを無駄には出来ないな。熱と揺らめく幻影如きで俺達を止められるとは想わないで欲しいな!」
「そうですとも! マールさんが頑張っている中、足を止めるわけにはいかない! この任務、全力でやり遂げるでありますとも!」
「うん。マールの想い、裏切るわけにはいかない……なんて、下手に気負ってしまうのも彼女の意に反するのがまた考えものだがね。うむ、ならば全員無事で帰る以外、彼女に報いる方法は無いだろう。戦闘は専門外だが、一つ本気で挑んでみるとしよう!」
 三者三様の様々な思い……更には心の内に秘めたる『欲望』。
 熱気に絆され揺らめく海底遺跡が、どのような物を映し出すか解らぬ不安を抱きつつ、イレギュラーズ達はその血へと足を踏み入れるのであった。

●欲の影
「……っ……本当に、熱いな……」
 揺らめく熱気に視界が揺らぐ、ダガヌ海底遺跡。
 その過酷な熱量はジリジリと身を焦がし、少しずつ、少しずつ……体力を削り取って行く。
 ……そんな過酷な環境に少しでも対抗出来るよう、過酷な環境に順応できる力を各々が活用しているが……それで全て耐えきれる様な状況ではない。
「このスリップダメージは中々に堪えますね……ですが連戦になりますから、余り体力を減らさない様にしなければ……」
「ああ。ま、俺はこの熱になんか負けない。この熱に負ける様じゃ、鍛冶屋で食っていけないからな」
 笑うサイズ……とは言えそれであっても、体力はジリジリと削られる状態。
 そんな厳しい環境の中、遺跡奥地へ深く深く潜り込んで行くと……イレギュラーズ達の前に立ちはだかるのは……熱さに苦悶の声を上げる人々……いや、海乱鬼衆・濁悪海軍。
『あっちぃ……くそが。でもよぉ……てめぇらを通すなって言われてんだ。だから……こっから先は通さねえぜぇ……!』
 汗を拭いながら怒りの声を上げる彼等も同じ人間。
 だが、彼等は悪神ダガヌの復活を願い、その身を捧げた者達。
 そんな彼等に向けて、シキが。
「全く……どうして君達は、あの悪神ダガヌの復活を願っているんだい? 彼等が復活すれば、君達もその被害を被るんだよ?」
 と迂遠に言い放つ。
 しかし濁悪海軍達は。
『うるせぇ! てめぇらのような正義ぶってる奴らが居るからだ! さぁ、フォアレスター様、虚滅種様、一緒にこいつらを殺しましょう!』
 彼等の言葉からすれば、その考えは幼稚にも見えるものの……でも、イレギュラーズ達を倒したいという気持ちは人一番強い様である。
 そんな彼等の言葉にムサシとゼフィラが。
「まぁ、既に悪神ダガヌと契約したからには、元の様に戻る事は出来ないとは思いましたであります。ですが……自分等を妨害する様であれば、確実に仕留めるのでありますよ!」
「ああ。それじゃぁ私もアタッカーとして入らせて貰おうか……ターゲットを集中させて、一匹ずつ確実に仕留めて行くよ」
 そう声を掛け合い、先陣切ってシキが戦陣の中に突撃していく。
 濁悪海軍達はその先手の一撃を、徒党を組んでカバーリングしつつ、シキに向けて四方八方から攻撃を開始。
「さぁ、気張って行こう!」
 と力強い言葉を上げると共に仲間達を鼓舞。
 勿論彼女はタンク役として敵を挑発し、その攻撃を一身に引き受ける様に立ち回る。
 そして、彼女がターゲットを集中させた所へシフォリィ、ゼフィラ、ムサシの前衛三人が続き戦列に加わると。
「私達はただの正義感だけで戦っている訳じゃありません。困っている人達を助ける為……その人達の笑顔の為です!」
「ああ。君達は私達への怨恨だけがその原理の様だが……それだけでは、私達を上回るような実力を出せるとは思えないな。私達には私達なりの矜持がある……それは恐らく、君達よりも強い」
「そうであります! 人々を困らせるだけの貴方達には負けないのでありますよ! さぁ、行くであります。ブレイジング……マグナァァァァムッ!!」
 と三者それぞれの渾身の一撃を叩き込み、悪濁海軍らを攻撃。
 一撃一撃がかなりのダメージを誇り、更には熱気に苦悶している人である故に躱しきれずにダメージを喰らう海軍。
 それを補佐する様に半魚人型深海魔のフォアレスターは戦列を上げて行く。
 同時に虚滅種は後方から手に持つ槍を掲げ、その槍に水が渦巻くように巻き付いていき、詠唱準備。
 フォアレスターが先に戦陣に辿り着くと共に、その手の剣と槍を突き立てて攻撃する。
 ……そんな敵の動きを見定めたサイズが。
「……兎に角数が多いからな。先ずは敵の数を減らす為に……動くとしよう」
 唇を噛みしめると共に、鎌に取り付けた砲口を向けて、強力な魔力のビームで前線から貫く一閃を放つ。
 そしてサイズの攻撃に続けてウルリカも無数の弾丸を跳弾として放ち、錬も太陽を映す式符を放ち、敵陣を纏めて不運の運命に突き落としていく。
 そう、仲間達が攻撃していく一方でメーヴィンは。
「実は回復に関しては本業ではないがね、それはそれとして、劣らぬ程度には回復してみせるよ」
 と言いつつ、スリップダメージと敵陣の攻撃で喰らったダメージをカバーする様に暖かなる風光で仲間達を回復していく。
 ……そんなイレギュラーズ達の攻撃にて、先ずは悪濁海軍を数体仕留めて廻る。
 だが……まだまだ敵の数は多く、対峙するイレギュラーズの数の数倍居る訳で。
『くそがぁぁ……! 絶対にマケネエ、俺達の力を見せつけてやるんだ!!』
 と、戦意は全く挫けることなく、イレギュラーズ達を倒すが為に狼煙を上げる。
 そんな敵の声に錬とゼフィラが。
「こいつら……戦う意思だけは人一倍だな」
「ああ。まぁ……その意思を挫く様に立ち回るとしよう」
 笑みを浮かべるゼフィラ。
 だが……その時。
「……?」
 悪濁海軍の影の傍らに、ぼんやりと何かが形作られる。
 その形は……小さな子供の様な大きさの影。
 具体的に姿が形取られると、ゼフィラの中の記憶に合致。
「……あの、子か……?」
 いつもの尊大な口調から、何処か優しい口調へと変化する。
 その声に、形作られた幻影は……こくりと頷いたような、そんな気がする。
「ん……ゼフィラ、大丈夫か?」
 とメーヴィンが声を掛けるが……ゼフィラの視線は、その幻影の虚空を見つめるがのみ。
 ……いや、彼女だけでない。
「……貴方は……もしかして……?」
「……愛情、ですか……」
 シフォリィの視界に映る幻影は、過去の婚約者の影。
 ウルリカの視界に映るのは、人の姿をした……愛を振りまく、何か。
 イレギュラーズ達それぞれの心の内面に浮かぶ欲望を、熱に絆された幻影の中に……映り込んでいく。
 三人の欲望が、それぞれその幻影に投射され……攻撃する手が止まる。
「皆さん! 欲望に負けないで下さい! 皆さんの見ているのは幻影、幻影に騙されてはなりません!」
 とムサシが大きな声で仲間達に声を掛ける。
 その声が、幻影に微睡む三人に、微かに届く。
『……幻影……ああ、これは……幻影なのか……』
 嬉しさと、悲しさが半々に入り交じった様な言葉を零す三人……そして。
「……そうだな。確かにあの子と共に世界を旅したいと想ったさ。しかし……元の世界にはもう帰れない。帰る事は無い……私はこの世界に生きると決めたんだ。だから……お前には騙されはしない……!」
 そんなゼフィラの声に呼応する様に、シフォリィとウルリカも。
「ええ……貴方に構って居る暇はありません。私には助けるべき人がいます。その為には……そんな事をしている暇は私にはありません!」
「私の愛は、私が自覚するもの。そして恐らく、他者がそうだと肯定する感情のはず。それは胸の熱さとは……きっと、違うもの。ですから、貴方達には負けません……!」
 絆された幻影を完全に振り払い、正気を取り戻した三人は、全力でその幻影を打ち砕く。
 対し濁悪海軍達は……うつろな表情を浮かべる者達は依然として残っており、まだまだ幻影から逃れられていない様で。
「今の内に、一気に仕掛けていきましょう。まずは海軍達を……その後に、虚滅種の順で仕掛けますよ」
「ああ、了解だ」
 シキに頷く錬、幻影を打ち払いしイレギュラーズ達は、怒濤の勢いで悪濁海軍達を一気に仕留める。
 後に残るは、虚滅種とフォアレスター……勿論感情のような物が無い彼等が、幻影に絆される事は無い。
 然しながら、幻影を打ち破り、士気が向上したイレギュラーズ達は。
「次は虚滅種を倒します。皆さん……準備はいいですか?」
「ああ!」
 シフォリィに頷き、シキが更に敵陣ど真ん中に突撃。
 左から、右からと攻撃してくるが、それを鉄壁の守りでカバーしながらシキは。
「私は皆を護る。その為に、守れるように、刀を持ったんだ! さぁ……痛いから、我慢してよねぇ!」
 削れた体力は、完全にメーヴィンからの回復に任せて、彼女自身は攻撃だけに傾注。
 攻撃のみに傾注し、黒の大顎が虚滅種を喰らい尽くすと、更にゼフィラの弾幕が拡がり、ムサシの必殺剣が、一匹を確実に仕留める。
 虚滅種一匹を仕留めれば、それに僅かに怯んだ雰囲気を見せる深海魔。
「さぁ……これでも私達を止めたいと言うのなら、容赦はしない。まぁ、謝る様な知能も無いとは思うがな」
「そうだな。さぁ……一気に仕掛けよう。下手に時間を掛ければ体力が削られるがのみ。早期殲滅を狙う」
 メーヴィンに錬が呼びかけ、そしてイレギュラーズ達の留まる事無い火力は燃え上がると共に、敵陣を次々と仕留めて行くのであった。

●悪剥
 そして……。
「……ふぅ。どうやら……終わった様だな」
 汗を拭うゼフィラに、更にシフォリィも。
「ええ……中々、厳しい相手でしたね。あの熱気の中に……あの人達が出てくるとは、想いませんでした……」
 家族、己を騙して売った人、そして……愛すべき、人型の幻影。
 覚悟はしていたものの……現実にその者達が出てくるとなると、やはり堪える部分はある。
 だが……その幻影に負ける事無く、打ち勝ったイレギュラーズ達。
「……たとえ幻でも、愛は、興味深かったですよ? いずれ、私が愛を自覚したその時は、また似たような幻術を試してみたい、ですね?」
 他二人に比べると、何処か……楽しんでいたかのような口ぶりのウルリカ。
 勿論その欲望に対する思いは人それぞれ故に、どれも正しい現実。
 ともあれ……。
「もう皆……大丈夫そうだな? まだ幻影に惑わされているような者は……いないな?」
 そうメーヴィンが周りの者達に声を掛けると、皆も頷き。
「ああ……大丈夫だ。この辺りの敵達は、あらかた倒し終えただろうし……後は、本隊が悪神ダガヌを倒すのを願いながら、帰途を確保しておくとしよう」
「そうでありますね。ええ……きっと倒してきて暮れる。そう信じるのでありますよ」
 サイズとムサシが言葉を交わすと……遠くの方で、大きな音が響きわたる。
 その音に加えて、多くの人々の足音も聞こえてきて……。
「……きっと、大丈夫だろう。さぁ、俺達の仕事はまだ残っている」
「そうですね……油断はしません。確実に……仕留めましょう」
 錬とシフォリィの言葉に皆が頷き、そしてイレギュラーズ達は更なる敵に構えるのであった。

成否

成功

MVP

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女

状態異常

なし

あとがき

ダガヌ海底神殿調査、お疲れ様でした。
皆様の幻影、心の内を頂き、色々考えさせて頂きました。
今回の幻影は勿論、一つの歪んだ形ではあると想いますが……きっと皆様が克服してきたからこそ、こうしてイレギュラーズとして活躍しているんだな、と改めて想いました、ありがとうございます!

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