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シナリオ詳細

<最後のプーロ・デセオ>ただ寄り添うように

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 新型肉腫:『瘴緒(しょうのお・デヴシルメ)』。
 最近、シレンツィオで確認されていた夢遊病状態となっていた原因である。
「全く、面倒なことさ」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は嘆息しつつも、竜宮へと集まるイレギュラーズへと語り掛ける。
 乙姫による加護は一時的にマール・ディーネーが復活させてはいるものの、今なお竜宮では深怪魔が現れ、我が物顔で暴れている。

 幾度か深怪魔の強襲に遭っている竜宮の飲み屋街。
 ネオンが煌めき、癒しを求める人々が行き交うこの場所は度重なる被害によって、臨時休業、最悪閉店に追い込まれている店もある。
 そうした人々を励まし、ローレットへと助けを求めるなど積極的に動いていたのがバー「メル・プロフォンドール」のマスター、イネッサ・レヴィヨンだ。
「話していると優しさがにじみ出る人でね。人の良さを感じさせる包容力のある女性さ」
 オリヴィアもそのバーには何度か足を運んでおり、イネッサとは面識もある。
 そんな彼女だが、このところ、深怪魔と共にいる姿を住民による目撃されていた。
 最初は飲みすぎた客のたわ言と言われていたが、目撃者は次々に増えていく。イネッサ本人は私じゃないと否定していたのだが、ほくろや香水の匂いなど、共通点があまりに多すぎることから本人だと皆噂していた。
「そこで、密かに調査してたんだが……、どうやらイネッサは『瘴緒』に感染している」
 このところ、夢遊病状態となっているものはあちらこちらで確認されていた。
 明らかに本人の意志とは別の行動をとることから、何らかの意志によって操られている可能性が高いとのこと。
「イネッサの傍には、人型の……ダガヌチと呼ばれる怪物がいるそうさ」
 泥の体を持つダガヌチは自我を持たないようだが、どこか海種男性を思わせる姿をしており、イネッサが寄り添っているようにも見えるのだという。
 また一緒にいる深怪魔は、頭がドリル状になったラセンザメだ。
 それらが率いている中にイネッサもいるのだが、他にも虚滅種シーサーペント2体、そして、ダガヌチと呼ばれる泥人形とでもいうべき怪物もいる。
「このダガヌチだが、フリーパレットを取り込んだ存在かもしれないが……破壊活動を行う敵なのは変わらない」
 ともあれ、イネッサを除く相手はいずれもかなりの強敵だ。
 それらは街の破壊、住民らの襲撃を行う。竜宮を破壊することを目的としているとみていいだろう。
「イネッサが自分からこんな奴らを竜宮へと招き入れるはずがない。アンタ達の手で救ってあげなよ」
 オリヴィアはそう告げ、説明を締めくくったのだった。


 街中へとゆらりゆらりと現れる深怪魔の一団。
 それらは異様な印象を抱かせたが、とりわけ集団になじんでいた海種女性が目立つ。
「ああ、貴方……」
 イネッサ・レヴィヨンの視線の先には泥人形を思わせる男性の姿。その外見は海種男性を思わせる姿をとっていた。
「…………」
 ダガヌチと呼ばれる泥人形はイネッサの方を向いて何やら呟いているようにも見える。
 だが、それらは穏やかな光景とは程遠い。
 シャアアアアッ!!
 手前にいたラセンザメは尖った頭で周囲を破壊し、傍にいたシーサーペントもまた波を巻き起こして街を飲み込もうとする。
「…………」
「ええ、貴方、行きましょう……」
 イネッサとダガヌチもそれらを見守るだけではない。彼らもまた怪物達に続き、街を破壊すべく刃を振るい、氷結魔法を操るのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <最後のプーロ・デセオ>のシナリオをお届けいたします。
 これまで、飲み屋街が襲われる度、ローレットに救援を求めるなど働きかけてきたバーのマスター女性に不穏な動きが……。

●状況
 乙姫の加護がなくなった竜宮には再度、深怪魔による襲撃が続いています。
 バーのマスター、イネッサは『瘴緒(しょうのお・デヴシルメ)』に取りつかれており、夢遊病のような立ち振る舞いをしております。
 彼女と共に行動する深怪魔や怪物らは、街の破壊、人々への襲撃を行います。これらを討伐しつつ、彼女の救出も願います。

●敵
〇深怪魔:ラセンザメ
 全長4~5mとサメとしては平均的な大きさですが、頭がドリル状になり、凶暴性の増したサメです。
 ドリル上になった頭で突撃し、さらに食らいついてきます。
 遠距離からは渦潮状の水流を巻き起こして前方を破壊してくるので油断なりません。

○虚滅種:シーサーペント×2体
 全長は3m程度。以前拙作で登場したシースネイクの強化版といった印象の敵です。
 深怪魔に操られる存在ではありますが、水色の肌を持つその体躯はどこか蛇というよりは亜竜を思わせる感もあります。
 その体躯での締め付け、鋭い牙での噛みつきの他、波を操る術を持ち、こちらの態勢を崩しつつダメージを与えてきます。

〇ダガヌチ:名称不明
 全長1.8m。人型をした泥の怪物。
 意志は持ちませんが、イネッサに執着しているようにも見えます。不思議な幽霊『フリーパレット』を喰らった存在なのではとも、オリヴィアは見ていますが……。
 戦闘力も高く、魚のヒレを思わせる2つのブレードを使う他、水を切って真空波を放ってくるなど、なかなかの実力者です。

○イネッサ・レヴィヨン
 竜宮某所にてバー「メル・プロフォンドール」を営むスタイルの良い海種女性。年齢不詳。
 艶っぽい見た目ながらも、安価で飲み物を提供してくれ、客の悩みを聞いてくれることもあって人気の女性なのですが……。
 先日までは飲み屋街を護るよう尽力してくれていた半面、なぜか今回は敵対勢力と共にいるのが確認されています。
 どうやら、新種の肉腫『瘴緒(しょうのお・デヴシルメ)』によって操られており、本人の意識がない状態にあるようです。
 ダガヌチを庇う様に位置取り、氷結の魔法を使います。

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができ、水中では呼吸が可能になります。水中行動スキルを持っている場合更に有利になります。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
 https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

●シレンツィオ・リゾート
 かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
 現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
 多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
 住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
 https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <最後のプーロ・デセオ>ただ寄り添うように完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月03日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
泳げベーク君
志屍 志(p3p000416)
遺言代行業
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
結月 沙耶(p3p009126)
少女融解
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)

リプレイ


 竜宮へと到着したイレギュラーズはすぐ、目的地へと急ぐ。
「さて、竜宮はどこもかしこも大変ですねぇ……」
 『不屈の障壁』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)が他の地域も気にかけるが、今は飲み屋街の事態解決が先。
 依然として現れ続ける深怪魔の手引きをしているのがなんと人気のバー店主女性だという。
「瘴緒……本人が気づかない内に敵の手助けをしてしまうなんて……性質が悪いね」
 『桜舞の暉剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)が聞いている限りでは、その女性イネッサは竜宮に協力的な女性だったという。
 きっと、慕い、心配する人も多いだろうとヴェルグリーズは推察する。
「瘴緒だか何だか知らないが、他者を操って夢遊病みたいに動かすというのは嫌なものだな」
「操って意思に反した行動を取らせるなんて……私、そういうの嫌いです」
 瘴緒なる存在には、『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)、『誰かと手をつなぐための温度』ユーフォニー(p3p010323)を始め、皆一様に嫌悪感を抱いていたようだ。
「他者を操って夢遊病のように動かし、当人に一切の疑問を抱かせないというのは、使い捨て前提でもなかなかに便利ですが……」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)はその利点を語ったが。
「操られる側から見たら、ろくなものではありませんよね」
「人を操り、破壊活動に従事させるとは、許せんな」
 すぐに瑠璃も首を横に振ってその存在を否定すると、大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)も憤りをみせた。
 しかも、操られた彼女は深怪魔と共に竜宮を、大切にしているはずの飲み屋街を破壊しに来るのだという。
「自身の帰る場所を壊させるだなんて、やべぇ能力だな」
「大事にしてる場所を自分で壊してしまう、それに加担してしまう。目覚めたらすごく悲しむのでしょうね」
 『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)が瘴緒の力に少なからず恐ろしさを口にすれば、『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)が元の女性イネッサの心境を慮る。
「そんな事させたら心が壊れちまう。絶対にこの場所は護るぜ!」
 カイトはイネッサの為にも飲み屋街を護ろうと決意し、黄水晶の雫、おまじないで験担ぎ。信じる水竜さまへと祈りを捧げていた。
「まぁ、どうあれやることは変わりませんし。頑張ってダガヌチを倒して、竜宮を守りましょうか」
 すでに動き始めているはずの相手を止めるようベークが促すと、皆一声に頷いたのだった。

 討伐に当たり、飲み屋街に相手がどういう形で出現しているかがわからない。そうユーフォニーは指摘して。
「敵は街に散開している可能性もあります」
 そこで、ユーフォニーは使い魔のリーちゃんと五感共有しつつ捜索する。
 鏡禍も広域俯瞰によって周囲の状況を確かめる。
 2人は程なく、奥側からやってくる魔物達とそれらを後方から引き連れる2つの人影を捕捉した。
「いました。まだ固まって動いているようです」
 ユーフォニーはリーちゃんに仲間達を集めさせる。通りの奥から廃屋を破壊する敵の動きを超聴覚で耳にするユーフォニーは急ぎ、仲間を招集する。
 すぐにメンバー達が駆け付けると、魔物達はゆっくりとこちらに視線を向けた。
 青い蛇シーサーペント2体と、頭がドリル状になったラセンザメ。そして……。
「…………」
「ええ、貴方……」
 一つは泥人形の姿をしたダガヌチ。そして、もう一つは紛れもなくイネッサ本人だ。
「なんでこんなことをさせるのかわかりませんが、正直気分は良くないです」
「飲み屋街に化物がいるなど、あってはいけない悪夢だろうしな」
 鏡禍がその前に止めるが一番と告げると、沙耶も身構えて。
「イネッサの侵されたその心、私が怪盗として奪って浄化してあげようじゃないか」
 シャアアアアァァ……!
 すると、ダガヌチが腕を上げ、それに応じて前方の魔物達が威嚇を始める。
「とにかくイネッサ殿を救わないとね、全力を尽くすよ」
「こちらとしては不都合ですし、早々に解放させていただきましょうか」
 戦闘態勢に入るべく、ヴェルグリーズは刃を手にし、瑠璃も力を高める。
 すると、魔物達がこちらへと躍りかかってきたのを見て、後方に位置取っていた武蔵が叫ぶ。
「これ以上の狼藉はまかりならんぞ、覚悟するがいい。……戦艦武蔵、出撃する!」
 艦載砲を展開した武蔵の前で、メンバー達は一斉に魔物達の対処を開始したのだった。


 イネッサを救出したいところだが、手前にいる巨躯の深怪魔や虚滅種が厄介な相手。
 その為、メンバー達は魔物2体を優先して撃破に当たる。
 いち早く前に出たのはカイトとヴェルグリーズだ。
 神鳥の加護を身に降ろすカイトは持ち前の翼も使い、三次元的な動きかつ朱い残像を生じるスピードでシーサーペント2体とラセンザメを翻弄する。
 鼻息荒く憤る3体の魔物は鋭い牙で食らいつこうとし、またはドリルの頭で突進してくる。
 下手に相手からの攻撃を許せば、町へと被害が及びかねない。何せ、魔物達は街を破壊する気で攻め込んできているのだから。
 それを踏まえ、カイトは水上方向へと攻撃させるよう意識して仕掛けていた。
 カイトに気を引く敵の中で、ヴェルグリーズは敵が人や建物へと意識を向けていないことを確認して。
(このまま皆が注意を惹きつけてくれれば……)
 ならば、攻撃に専念して魔物を手早く沈めるのみ。
 最強なる幻想で自らを包むヴェルグリーズは、両刃の刀「神々廻剱」に神聖を纏わせてラセンザメへと斬りかかっていく。
 続けて、瑠璃がシーサーペントの進行を食い止めつつ、速力をもって魔物達へと鉛を撃ち込む。
 多少は足を止めることができたが、まだ戦い始まったばかり。この程度では完全に止められぬと瑠璃は次弾を装填する。
「海中で戦うというのも不思議な感覚だが……」
 基本、武蔵にとって戦場は海上。それ故に海底の戦いに戸惑いを隠せない。
 それでも、仲間達が前線で敵を抑えてくれているなら、武蔵としては砲撃戦に臨むのみだ。
「まず、戦力を削らねばならぬな」
 最初に仕留めるべきはラセンザメ。ただ、敵複数がうまく射程範囲内に収まるのであれば、纏めて照準内に定めて。
「全主砲、開け! 砲撃開始!」
 捕捉した全ての敵を撃ち抜くべく武蔵は散弾を発射し、鋼の驟雨を浴びせかけていく。
 武蔵は次こそ相手に致命打を与えんと動かずに攻撃を集中させていた。
 ユーフォニーも敵の発見からすぐに攻撃準備を始めていた。
 仲間達がうまく水中へと敵を誘き寄せていたことで、彼女も鮮やかな色彩の波を操る。
 その発動にはしばしの時を要する。時が満ちればそれらを展開し、魔物達を自らの世界へと引き込むことで大きな衝撃を与えていた。

 ほぼ同じタイミング、人型2体……ダガヌチとイネッサの対処にも一旦数名のメンバーが動く。
 こちら側で真っ先に動いていたのは沙耶だ。
 彼女は怪盗らしく、予告状を急造して投げつける。その相手はイネッサだ。
「…………?」
 瘴緒に侵されたイネッサは虚ろな表情で沙耶に視線を投げかける。
 沙耶はそのままダガヌチから離れる様に移動し、イネッサの引き離しにかかる。彼女もまた街への被害を考慮し、リトルワイバーンで三次元的に引き離そうとする。
「邪魔、しないで……」
 必然的に、イネッサも水中を泳いで沙耶を追うことになる。
(魔法使いであれば、追ってくるのは当然だな)
 追いかけられるのは想定済み。
 後方から放たれてくる氷結魔法を沙耶が食い止める間に、鏡禍が仕掛ける。
(できるだけ早く助けてあげませんと……)
 まずは、イネッサを気絶させられるように沙耶は慈悲の一撃を叩きこむが、こちらもさすがに一撃で動きを止めるとはいかない。
 イネッサを救出することはもちろんだが、それによって仲間達がダガヌチを攻撃しやすくできるように配慮していたのだ。
「…………」
 一方、ダガヌチは言葉すら発することなくブレードを振るって攻撃してくる。
 こちらはあまりイネッサに気をかけていないようにも感じられたが、ベークがしっかりと抑えつける。
(攻撃力が高そうなんですよね……)
 あのブレードはかなり厄介だとみたベークは自己修復できるよう態勢を整え、得意なたいやきの見た目も相まって敵の引き引こうとする。
「よいしょっと、あなたはこっちですよ……よそに行かせはしません」
「…………」
 黙したまま、ダガヌチは目つき鋭くベーク目掛けて刃を一閃させるのである。


 乱戦模様となるイレギュラーズとダガヌチ&魔物一隊との戦い。
 戦況はマール・ディーネーの力を得たイレギュラーズが優位に進む。
 ベークは徐々に体力が削られるのを感じながらも、時折自身の内気外気の双方によって傷を塞いていく。
「全力で邪魔しにかかりましょうか」
 合間を見つつ、ベークは附子によってダガヌチの体に毒を与え、少しずつ体力を削り、仲間達の救援を待つ。
 沙耶もまたイネッサを至近から抑える。
 彼女の攻撃は魔法中心。加えて、瘴緒に侵されているとはいえ、一般人だ。それ故に抑え役の中では落ち着いた状況で対処し、状況の好転を待っていた。
 魔物達の対処もその間に進む。
 巨躯の魔物達は我が物顔で海中を泳ぎ、水流や波を操り、イレギュラーズへと浴びせかける。態勢を崩したところで、一気に鋭い一撃を与えて仕留めるのがそれらの戦法なのだろう。
 イレギュラーズもそんな魔物の猛攻を凌ぎつつ、少しずつ弱らせていくことになる。
 速力をもって纏めて敵を相手にしていた瑠璃。
 カイトが回避盾として魔物達の攻撃の多くを引き付け、回避へと当たっていたが、さすが連続して攻められれば時折威力の高い攻撃をその身に受けてしまう。
 カイトがそれによって危機に瀕すれば、すかさず闘争心を漲らせた鏡禍がカイトを庇い、瑠璃も戦いの鼓動を限界まで高める。
 それによって魔物達が一時的にだが瑠璃へと注意を引いて鋭い一撃を見舞う。カイトは白く優しい風を吹かせて自らを癒し、態勢を整え直す。
 シャアアアアッ!
 その時だ。大きく前進を回転させたラセンザメが瑠璃やカイトを狙って突撃してきたのは。
 全身がボロボロになってきていた敵は玉砕覚悟で捨て身の一撃を繰り出してきたのだ。
「残念だけど、丸見えだよ」
 だが、ヴェルグリーズが冷静にラセンザメの動きを見定め、邪悪を討つ斬撃を浴びせかけた。
 シャアアアアァァァ……!
 じたばたと苦しみ悶えるラセンザメだったが、やがて力尽きたのかぐったりとして動かなくなり、自重もあってゆっくりと海底へと沈んでいく。
 敵の数が減れば、それだけでカイトは楽に対処できるようになる。
 シーサーペントとて弱い敵とは言えぬが、仲間達からの攻撃が課され馬、少しずつ動きが鈍っていく。
「深怪魔だ虚滅種だ知らんが、サカナなんだろ? 漁師の俺がきっちり狩りとってやらあ!!」
 そのうちの1体目掛け、カイトは朱い残像を展開して連撃を見舞い、一気に畳みかける。
 刹那、動きを止めたシーサーペントへ、武蔵が砲撃を一点集中させる。
 まさに物量こそ力。武蔵が展開したありったけの弾幕の中、シーサーペントは力尽きていく。
 その間も、カイト、瑠璃が残る1体を足止めして自由に動かせはしない。
 速力をもってその体を切り裂く瑠璃に続き、カイトがなおも赤い残像で攻め立てると、とぐろを巻いて波を起こそうとしていたシーサーペントはその前に意識を失って横倒しに崩れ落ちていった。
 
 イレギュラーズは魔物の対処から、徐々に人型2体の対処へと移る。
 少しずつダガヌチとイネッサを引き離していたことで、それぞれの対処もしやすくなっていたが、イネッサは瘴緒に侵されて半ば囚われの身に近しい状況。
(瘴緒が出てくれば早いが)
 それが出ればすかさずソニックエッジで切り裂いてしまうのだが、生憎とそれが飛び出す様子もなく、イネッサは虚ろな表情のままで氷結魔法を飛ばしてくる。
 沙耶はそれをしっかりと抑え、できる限り彼女の意識を自分に向けるべく再度予告状を投げつけて気を引く。
 鏡禍、瑠璃、カイト、ヴェルグリーズと魔物を掃討した面々もこちらへと駆けつける。
「いよいよイネッサさんの番です」
 瑠璃はそう言うが、沙耶が序盤から気を引き、ユーフォニーと共に無力化を図っていたこともあって動きは鈍ってきている。
 瑠璃が組み付いた直後、ヴェルグリーズが峰打ちを叩き込む。
 カイトが様子見する間に、ユーフォニーがイネッサの体を優しい色で包み込んで。
 ダガヌチの存在を少なからず意識してこの場にいるはずのイネッサだ。
 彼女にこれ以上望まぬ行いをさせぬよう、せめて心地の良い色の中に。ユーフォニーの心遣いもあり、イネッサは苦しむことなく気を失う。
「ユーフォニーさん、後はよろしく頼みます」
「任せてください」
 ユーフォニーがドラネコさんの祝福による手当を始めたことで、鏡禍は残るダガヌチの対処に向かう。
「イネッサさんさえ無事なら、もう恐れるものは何もありませんからね」
「…………」
 なおも黙したままのダガヌチへ、鏡禍は竜撃の一手で力強く攻め立てる。
 ダガヌチはここにきて真空波を放ってきたが、戦闘開始から敵を抑え続けるベークがそれを受け止める。
 ここまで耐えられることこそ、自身の戦闘の肝だと心得ていたベークだ。
 それでも、一発くらいならと、ベークは残っていた生命力の一部を破壊力に変え、ギガント・ライフ・ブラスターを放つ。
「…………!」
 圧倒的なベークの一撃に泥の体が崩れかかるが、すぐさま人型は修復する。
 それでも、先程までとは違って、細部の修復は追いつかず、男性なのか女性なのかすら判断が難しい状態となってきていた。
「ダガヌチよ。貴様が例えどのような願いを喰らったとて、その行動を認めることはできん」
 そんな相手に、武蔵が呼びかけながらも砲塔を差し向けて。
「彼女を解放し、水底に沈むがいい」
 敵の中心部を狙う致命的な一撃。武蔵の狙いは的確に相手の中央部を撃ち抜く。
 だが、その泥は驚くほどにしぶとさを見せる。
 恐るべき、怪物がなおも切りかかろうとしてきたところへ、瑠璃が刃を一閃させる。
 続けざまに、沙耶も全力で攻め入って。
「心奪いし悪しき存在よ、私達の前に倒れるがいい!」
 勢いのままにダガヌチの体を裂き、ついにその体を断ち切る。
「……一緒に……イネッサ……」
 そう言い残して消滅するダガヌチ。
 抑え続けていたベークが大きく息をつくと、その泡がゆっくりと立ち上っていったのだった。


 魔物、ダガヌチを撃破して。
 カイトは救出したイネッサを看護し、白き抱擁の如き優しき風を吹かせる。
「俺の信じてるハイペリオンさまと同じ白い風だ。心の傷も癒やしてくれるといいな」
 加えて、カイトは乙姫の口づけも使い、気付けを試みる。
 その間、瑠璃はイネッサを仲間達へと託し、周囲の警戒に努める。沙耶も更なる襲撃がないかと気にかけていたが、やはりイネッサが気になるようで。
「しかし、内部の敵を夢遊病にして操作することで警戒を解かせるとは……敵もやるものだな」
 沙耶は敵の狙いについて考察する。
 実際、飲み屋街の人々はイネッサへとあらぬ疑いをかける者もすくなからずおりユーフォニーがその誤解を解いて周っていた。
 程なく、カイトの手当てを受けていたイネッサが目覚める。
「そう、私……」
 メンバー達だけでなく、懇意にしているバーの客も駆けつけ、彼女へと言葉をかける。何があったのかと心配する者も少なくなかったのは、彼女の人望あってのことだろう。
 落ち着かない様子のイネッサだったが、自分の店へと戻り、詰めかける人々への対応を終え、落ち着いたところでヴェルグリーズが問う。
「そういえば、イネッサ殿のダガヌチへの態度が少し気になっているのだけど……」
 戦いの最中、ダガヌチがとった男性の姿はイネッサが一緒にいたかった人ではないか、と。
 意識がない時なので覚えてないかもしれませんが、とユーフォニーも前置きして。
「イネッサさん、何か心に引っ掛かりがあるなら、良ければ話してみませんか」
 ヴェルグリーズも、誰かに寄り添おうとするイネッサには寄り添う相手こそ必要な気がしたと話して。
「少し話を聞かせてもらえないかな」
「そうね。……少しだけ」
 イネッサには将来を誓い合った男性がいたが、ある日魔物に襲われたことで帰らぬ人となってしまう。
 ――一緒にいたかった。
 その想いは叶わぬまま、イネッサは竜宮に身を寄せたのだという。
「その後、このバーを開いたのよ」
 少しでも皆の心が安らぐ場所になれば。そう願って。
 とはいえ、イネッサの体調が万全になるまで、しばしバーは休業せざるをえないようだ。
「体調が戻れば、お店に予約を入れたいところです」
「しかし、バーですか……書類上未成年の僕ではまだいけませんね」
 瑠璃がイネッサにそう希望を伝えると、鏡禍が少し残念がる。
「大丈夫、軽食にソフトドリンクも用意しているわ」
 笑顔で返すイネッサに、鏡禍も何があるのかとメニューを手に取っていたのだった。

成否

成功

MVP

志屍 志(p3p000416)
遺言代行業

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは仲間のサポートによって活躍の場が多かった貴方へ。
 皆様の活躍もあり、竜宮の飲み屋街も、イネッサ自身も救い出すこともできました。彼女の人望は厚く、理解ある人達がさらに説得してくれたことも大きかったようです。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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