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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>蘇れ、スチームシップ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●蒸気の船は今は眠りて
「ぎゃははははははは!」
「新帝にカンパーイ!」
 鉄帝の遺跡の中に、品の無い声が響く。
 新帝を称えてはいるが、忠誠心など欠片もない連中だ。
「いやあ、いい時代になったもんだ」
「まさか本当に官憲が来ねえとはなあ!」
 新帝の勅令以後、既存の盗賊は勿論、新規で盗賊団を立ち上げた連中もいる。
 力こそ全ての世界でマトモに働こうという意志を持てなかったのか、そもそもそういうつもりで準備していたのか。
 どれであるかは不明だが、少なくとも殺人を厭わない類のクズであることは確かで、この男たちもすでに幾つかの集落や隊商を襲った、一人前のクズであった。
 この遺跡を見つけたのは単なる偶然で、略奪の途中で逃げた被害者を追いかけたら見つけた……といった程度でしかなく、その被害者もすでに殺している。
 彼等からしてみれば、此処は単なる頑丈で見つかりにくいアジトであって、それ以外の何でもない。
「さて、次は何処襲う?」
「どっかの村占拠するのもアリなんじゃねえか?」
「いいねえ。とすると、何処襲うか決めねえとな」
 彼等のような人間には、遺跡など単なる古臭い穴倉でしかないのだろう。
 だからこそ、気付かない。
 遺跡の地下に、何があるかを。
 古代の雄々しき金属の船。天翔けるスチームシップの、その存在を。

●スチームシップを求めて
  かのアーカーシュの事件を忘れた者は、少なくとも今はいないだろう。
 特務派を初めとする非主流軍部は、鉄帝国が確保した古代遺跡である『浮遊島アーカーシュ』に集結しつつあった。
 アーカーシュという巨大な空中機動戦力を活用し、国土を魔種の手から幅広く防衛することを主張しているのだ。
 アーカーシュ最終決戦における、イレギュラーズと軍務派特務派共同戦線の活躍もあり、彼等の人気は向上しつつあるのだが……特務軍人の中でも旧パトリック・アネル陣営に居た者達は、イレギュラーズに救われた経緯から強い友好関係が築かれている。
 その一方で、一部の非主流軍人達には、これを機会に自身の権勢を拡大しようというきな臭い動きも噂されていたりもする。まあ、その辺りは「鉄帝だからね」の一言で済んでしまうわけだが。
 中心人物はアーカーシュのレリッカ村長アンフィフテーレ・パフと、鉄帝国の政治家たる歯車卿であり、今回の依頼も歯車卿から派遣された使者からのものであった。
「鉄帝国には無数の遺跡が存在していることは、ご存じだと思う」
 使者の男は、そう切り出した。
 そう、鉄帝の遺跡には古代文明による様々なものが今も眠っている。
 それらが鉄帝の軍事力を底支えしていたのも、また事実だ。
「鉄帝国を魔種から守る為には、それらの力を大いに活用する必要がある」
 今回の目標である遺跡にも「スチームシップ」と呼ばれるものが眠っているという。
 古代の天翔ける金属の船。
 蒸気機関を駆動させ空を駆ける、小型船……おおよそ8人~10人程度が乗れる大きさの飛行船だ。
 一説によれば遺跡は古代文明時代の造船所だったともされており、スチームシップはそこで製造された最後の船だったという説がある。
 当然だが、こんなものを盗賊のような連中に渡すわけにはいかない。
「速やかに回収する必要があるのは分かってもらえたと思う。よろしく頼む」

GMコメント

天翔ける船、スチームシップを回収しアーカーシュへ運びましょう!
なお、船には名前がないそうなので皆でつけてあげてください。
造船所はセキュリティシステムが生きているので、迂闊に進むと罠が発動する可能性があります。
なお、1度船に乗り込んでしまえば発進口が開くのでアーカーシュに直帰可能です。

●敵一覧(遺跡に入ってすぐの広間に居ます)
・盗賊団員×20
数だけ多い、弱い者いじめ大好きなクズの皆さん。
手に持った武器で襲い掛かってきます。ザコいので無双系みたいに蹴散らせます。
そうですね、今回は探索メインです。

●セキュリティシステム
広間から先に進むと、コレが相手になります。
壁の発射口から、あるいはトラップ床からのの電撃、鍵のかかったセキュリティドア、侵入者制圧用電撃ドローン。
どれも死ぬようなものではないですが、電撃に引っかかると痛いし一定時間動けなくなったりします。
解除方法は色々あるでしょうが、もしかすると何処かに古代の職員用カードのようなものが落ちていたりする可能性もある、かも……?

上手く避けて地下格納庫に辿り着けば、スチームシップとご対面です!
はい、今回は探索パートの方が重要そうです。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <総軍鏖殺>蘇れ、スチームシップ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年10月15日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談9日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
Lumière Stellaire
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルクト・ナード(p3p007354)
蒼空の眼
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切

リプレイ

●遺跡の奥へ
「古代の天翔ける金属の船。聞いたことがあります、「宇宙戦艦」ってやつですよね!!」
「えっ」
「えっ」
 サッと目を逸らした『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)を『愛を知りたい』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)はジーッと見るが、宇宙戦艦は別ジャンルなのでカインの反応が正しかったりする。
「いえ、たとえ航宙能力がなかろうともアーカーシュなら十分に活かせますよね。制空権は戦場を支配できるから大事と、新聞か何かで見ました。空を飛ぶ兵器が役に立たないはずがないでしょう」
「空往く鋼のフネ、良いよね浪漫だよね! 冒険心が燃え上がるって物さ……浮遊島をより活かす為にも頑張らなきゃね!」
 カインもそう言って笑うが……そんな彼等の視線の先には、倒れた盗賊たちがいる。
 弱かったのでまさに無双状態だったが、なんとか殺さずに捕まえることは出来ている。
 ココロによって身動きできないように縛られているが、どうにも態度が悪い。
「何かこう、ゴンゴンとかカンカンとか機械っぽい音がどっかでしませんでしたか?」
「知らねえよ。ケッ」
 ココロが聞いても悪態をつくだけで答えはしない。ボコボコに負けたクセに良い度胸とはいえるが、こいつらから情報を聞き出すのは無理そうだ。アホっぽいし。
 ひとまず邪魔にならない……こちらの話を聞かれないような場所に全員転がしておくが、官憲はいないので後々適切に扱っておく必要もあるだろう。
「スチームシップ、か。金属の塊が空を駆けるってすげぇ! …うーむ。空輸に使えそうだよな。帝政派でも1機借りたいモンだが、さて。ま、別の派閥さんのお仕事でもしっかり働くぜ?オーダーは絶対だからなァ」
(……母上も居るし! 俺、頑張る!)
 『祝呪反魂』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)を見ながらそんなことを言うが、ルーキスもこの先にあるスチームシップのことを考えていたようだった。
「さてさて、どの陣営もどたばたしてるところだけど。今回の仕事は船の確保だね。小回りの利くやつが手元にあればアーカーシュ本体を動かす必要もなくなるし。ちゃんと確保しておかないとね」
「船が空を飛ぶっていうのはいいなあ。自分の翼やワイバーンに騎乗して飛ぶのもいいけど、やっぱり趣が違うよね。アーカーシュに持ち帰るのも、戦力としてかもだけど……ちょっと小さい遊覧船みたいにできたりしたら面白そう」
 『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)もそんなことを言うが、実際様々な使い方があるだろう。
「スチームシップ……古代の遺跡……わくわくするね! よーし頑張るよー!」
「スチームシップ。ふむ。持ち帰れれば技術研究も進むだろうか…構造を理解できれば複製品も作れるかもしれないな。なんとも技術屋が好みそうな物だが、私自身としても興味深い」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)も楽しそうに声をあげ、『蒼空の眼』ルクト・ナード(p3p007354)が学術的興味も含めた頷きを返す。
「蒸気機関……懐かしい響きだ」
 故郷には蒸気機関と神秘を混ぜ合わせたような技術が底にあり、親しみがあるという『冬隣』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も何かを懐かしむような視線を何処かへと投げて……すぐに真面目な表情になる。
「ひとまずだが、入り口付近に受付は無いか? 来訪者へゲスト権限を発行する装置があるかもしれん。点検用、或いはうっかり締め出されたうっかり職員用の迂回路的なものは無いだろうか」
 アーマデルも言いながら周囲を探す。此処が造船所であったのなら、何かそういうシステムめいたものがあるかと思ったのだが……どうやら、そういったものはない。長い間に朽ちて消えてしまったのだろうか?
 入り口付近であれば、そんなこともあるのかもしれないが……だからといって、ルート全てが消えたわけでもない。
 そうして、遺跡の探索が始まったのだった。

●甦れ、スチームシップ
 古代の造船所。しかし造船所とはいうが、この場所は海からはある程度の距離がある。
 となると……スチームシップのような空飛ぶ船を建造していたのだろうか?
 今となっては、それはもう分からない。
「さて探索だ、頑張るよ!」
 ヨゾラは超視力を用いて遠くも視認しマッピングしながら遺跡を探索していく。
 特にドアや罠等の位置は確実に記そうと考えていたし、ギフトである「興味への道しるべ」を用いて、此処の職員が使っていたかもしれない「古代の職員用カード」のようなもの等、興味深そうな物を探していた。
 そう、アーマデル同様に警備システムがあるならそういう「従業員」「客」といった回避手段もあると考えたのだ。
(スチームシップ以外にも興味深い物がありそう。色々見つかると良いな)
 たとえばコンピューターなどだ。遺跡のシステムなどに干渉できればセキュリティ止められるかな…などとヨゾラは考えていたが、難しいかもというのは理解していた。
 それでも、その辺りを操作できそうな装置やコンピュータ的な物は探して見ておこうとは考えていた。
 遺跡内や昔の情報、別の遺跡の情報とかあるかもしれない。そうしたものが見つかれば、今後の為になるはずだからだ。
 今のところ、そういったものは見つからないのがココロも超聴力を軸に捜索している。
 特にセキュリティシステムはコンピューターのような制御装置で動くはずだから、とドローンのような駆動音を拾えるかチャレンジしていた。
(キュイキュイとかピピっとした音がきっとあると思う。そんな時は皆に警戒を促さないとね)
 そして……ピュイーン、という小さな音をココロは確かに拾う。
「そこ!」
 指差せば、ヨゾラは超視力で確かにそこに言われなければ気付かないような穴が開いているのを確認する。
 その狙う先は……レイチェル。
 レイチェル自身は気付いていなかったが、仲間の声と天啓じみた閃きでギリギリ放たれた電撃を回避する。
「……ほら、ゾワッとするだろ? やべぇのに対しては。吸血鬼のカンって奴。んなモンないかもだけど、神様って得体のしれねぇのよりかはアテになるかもしれねぇ」
 そんなことを言うレイチェルだが、今のトラップは中々に高出力だったと僅かに冷や汗を流す。
 死んだりはしないが、怪我くらいするのは確実だっただろう。いくら仲間のサポートがあるとはいえ、好き好んで喰らいたいものでもない。
 そんなレイチェルは秘密兵器として『禁書リオラウテ・レプリカント』を持ち込んでおり、それを更に強化するために『かたわれの懐中時計』もある。使うタイミングは此処ではないが……適切なタイミングで使うつもりだ。
「遺跡ならさ。隠し通路とか隠し部屋とかあるかもだろ? 古代のロマンだし!」
 言いながら、レイチェルはそれらがないか探しながら透視を使いつつ進んでいく。
 もしも隠し部屋などがあった場合、安全面を確認しながら物質透過で壁をすり抜けて調査しようとも思っていたが、今のところそうしたものはない。
 あるのは罠ばかりで、ルーキスが罠対処の技能でトラップ床を丁度発見し解除しようとしていた。
「えーっとこれかな? こっち? トラップはイケても鍵は外せないから手助けよろしくね」
 その辺りは、適材適所というものだ。たとえばカインは開錠スキルを持っているし、アーマデルは護身霊装:夜告鳥の効果により電撃を無効化できる。此処のトラップが侵入者制圧用の電撃が主体である以上、大きな助けになる力だ。
 いざとなればアーマデルは罠を1人ずつ飛び越えて突破することも考えていた。
「流行は巡るという、セキュリティも最新科学が一周回って古代技術に並走してる可能性があるな?」
 そんな冗談もアーマデルは言うが、実際に鉄帝の科学は古代文明を掘り起こしたものだ。
 つまるところ鉄帝の最新は古代文明の最新と同じでもあるのだが……練達でも非殺傷系のセキュリティが電撃であることを思えば、確かにアーマデルの言うことは正しいのだろう。しかし、そんな文明も滅びたのは……何とも諸行無常ではある。
「船に蒸気機関があるってことは、造船所にもそれを維持する機能があるってことですよね」
 言いながらココロは通風口を見つける度に潜ってはその先をチェックし、石炭のような黒い煤があれば溜まり具合から飛んできている方を探る。
 しかしやはり侵入者防止用なのだろう、ちょっと進むと頑丈な柵が取り付けてあり、穏便に進めそうにはない。
 とはいえ、太い配管があれば触ってみて暖かいか確認していたココロは、如何にも稼働していそうな暖かさを持つ配管を見つけていた。
(これが続く先に格納庫があるんじゃないかな。でも、何処に……?)
 その先を追うのは難しい。しかし……確かな手掛かりだった。
「盗賊をちゃちゃっと蹴散らせたのはいいけど……ないねえ。古代の職員用カードとか、あると思うんだけど」
 そんなアクセルは職員用カード的なものを探すためにちびスライム探偵さんやバイトのちびスライムさんを連れて捜索していた。
 アクセルには、そういったカード的なものがあると仮定して、ある程度の予想をつけていた。
(造船所でドックへ行くまでのところなら……やっぱり仮眠室とかロッカールームみたいなヒトの生活するような場所に目星をつけて探していきたいな。あとは事務室みたいな、キー関係をまとめてそうな場所! 発見できたらそれで解除できるセキュリティ関係を解除しながら進んでいきたいな)
 そんなことを考えるアクセルに、カインが「開いたよ」と声をかける。
 鍵のかかっていたその部屋は、どうやらアクセルの望み通りにロッカールームであるようで、しかしロッカーを開けてみると朽ちた服の欠片のようなものばかりが出てくる。
 そんな中、ヨゾラが「あっ」と声をあげる。その手には、ロッカーの中から出てきた一枚のカードがあった。
 どうやら職員用カードであるようで、恐らく古代人と思わしき女性の顔と何かの情報が古代語で記載されている。
 こんなところに置かれているということは、置き忘れていったのだろうか? それを考えると少しばかりクスリとアクセルは笑ってしまうが、これがあれば色々なものがどうにかなりそうだ。
「古代のセキュリティシステム、興味深い……けど電撃は痛いしね」
 しみじみした口調で言うヨゾラにカインも苦笑する。本当に此処のセキュリティは嫌らしいのだ。
 カイン自身、ドローンの出所を抑えたいと思っていたのだが……あちこちに、死ぬ程ドローンの出入り口があるのだ。
 それを潰して回るのは、あまりにも非効率が過ぎる。だから、こうしたものでどうにか出来るならそれが一番なのだ。
 そうしてカードを持っていると、ドローンも出て来ずトラップ床は作動せず、電撃も放たれない。更にはドアも近づくだけで開くのだ。
 あまりにも快適な探索の後に辿り着いたのは……最下層のドックらしき場所と、そこに鎮座する船だった。
「これがスチームシップ……!」
 レイチェルが思わずそんな声をあげる。船というよりは飛行機にも似たフォルムだろうか。それなりの速度を出すことを前提にしているのが伺えた。
 使い込んだ銅板のような色をしたメタリックな装甲で構成されたスチームシップには蒸気機関の排気口もついており、長らく放置されていながら新品のような輝きを放っている。
「さて船とご対面出来たら、厄介なトラップがないかだけチェックしてと。無事に進めそうならいざテイクオフといこう」
「できればスチームシップや遺跡の詳細が記載された書類を探したいけれど……スチームシップとご対面し、問題なく動かせる様ならまずはそれで良しだ! 空の旅を楽しもうじゃないか」
 ルーキスにカインもそう答え、全員が船に乗り込む。気になることは残ってはいるが、少なくともドックには他に稼働できる船の類はないようだった。ならば、此処はこの船を持って帰るのが正しいと言えるだろう。
 ルーキスが船の動力を動かしていくと、放送設備から自動音声のようなものが響き始める。
『発進準備中の飛空艇を確認。隔壁開閉準備、発進口が本音声終了の35秒後に開きます。最終安全確認を怠らず、速やかな行動を』
「あっはっは、さあ行こうか! ちょっと飛ばすから意識持ってかれないようにしてねー」
 発進口が開くと同時に、ルーキスはかなりの速度で発進口を抜けて空へと飛び出していく。
 遥かなる時代から目覚めたばかりとは思えない速度で飛び出したスチームシップだが、驚くほどに衝撃は少ない。
 何かの安全措置が働いているのだろうか、しかし間違いなく古代文明の代物だ。
「ある程度試運転(粗め)して感覚を掴んでおかないと。アーカーシュに頭からドカーンとかしそうだし? 同行者をまるっと付き合わせて申し訳ないけど、揃って空の旅といこうじゃないか! えーと加速、減速、こっちが方向転換と」
 ならばとルーキスはかなり粗目の運転をするが、今のところ問題は出ていない。
「流石に生き物のワイバーンと船じゃはまた違う感覚だね、これもまた良し!」
「わぁい飛んでる飛んでる! スチームシップ乗るの楽しいー! 色んな遺跡や面白い物、これからも見つかると良いな。そしてアーカーシュに役立てるんだ!」
 ヨゾラは言いながら「そうだ、船の名前をつけようよ!」と声をあげる。
 この船には名前がない。ならば船の名前をつけるのは、より愛着がわく頃だろう。
「そうだな……あくまで一案だが、「サマク・アブ・サイフ」はどうか、ソードフィッシュだ」
 アーマデルがそんな提案をするが、中々に恰好がいい。
「僕はネーミングセンスにそこまで自信はないから他の人に任すけれどうん、過去の人達が遺してくれたこの翼に恥じない様に使わないとね! その為の名前を付けるのは賛成!」
 カインは早々に案を出すのを諦めて、しかし仲間のネーミングセンスに期待しているが、ルクトも似たようなものだ。
「……船の……名前? そういうのは私はあまり考えるのは得意じゃないな。ただ、そうだな。…うん、やはり空にちなんだ名前が良いと思う。我々の居場所は空なのだから、新しく迎え入れる物もそれにちなんだ形にしたい物だな?」
「名前、名前かぁ……シュタール号、エアフォルク号、シュリュッセル号、アルト・フルーク号……うーんしっくりこない……」
 そしてヨゾラも、中々しっくりくるものがないようだった。
「鉄帝の事態を解決できた後もずっとアーカーシュの人達と一緒に、希望ある未来の空を飛んでほしい。そう願って「サキノソラ号」(先の空=未来の空)……とか。もっと良い命名あったらそっちにしよう!」
「いや、いいんじゃない?」
「だな!」
 アクセルにレイチェルもそう答え、ココロも「未来の空。とってもいいですね! わたしもそれが良いです!」と答える。
「未来の空か、なるほど……いいな」
 アーマデルも、そして全員が頷けば、船の名前は決まったようだものだ。
「よし、ではサキノソラ号はこのままアーカーシュへ向かうよ!」
 ルーキスがそう叫び、スチームシップ「サキノソラ号」はアーカーシュへの空路を向かう。
 その姿は……まさに、希望ある未来の空へ向かうかのようだった。

成否

成功

MVP

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器

状態異常

なし

あとがき

アーカーシュにスチームシップ「サキノソラ号」が着艦しました!
8人~10人程度を輸送可能な空飛ぶ小型飛空艇です!
今後、独立島アーカーシュの皆さんは必要に応じてサキノソラ号を運用可能です!

●運営による追記
 本シナリオの結果により、<六天覇道>独立島アーカーシュの技術力が+10されました!

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