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シナリオ詳細

干しナマコ精霊定着儀式・薬膳スープ食フェス執行!

完了

参加者 : 17 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 しかたなかったのだ。あくまで加工が目的でここで料理する段階ではなかった。第一干しが足りないよ。もっとガンガンに干さないと。まだ生干し状態だ。
 だから。その精霊はあくまでなりかけだった。
 干しナマコの精霊がいる。
 チョコレートで言うなら、カカオ豆の精霊は卒業したが、チョコレートの精霊にはなっていない。
 いうなれば、カカオマスの精霊みたいな、こう、認知度も低い不安定な存在だったのだ。
「それ、あかん奴では」
 不安定なものはろくでもないものに変異しやすいのは次元の東西を問わない。とっとと無害なものに安定してもらおう。


「俺は生薬が作りたかっただけなのに、どうして?」
『そこにいる』アラギタ メクレオ(p3n000084)は天井を見上げている。
「あ~。先日、俺はビーチの掃除依頼で発生した大量のナマコをイレギュラーズを雇って加工しました」
 ゴミも出ず、ナマコにも付加価値がついて経済が回る。とてもいいこと。
「加工したナマコはお薬になったり、高級食材になったりします」
 海辺のナマコを食べる民族はもとより、ナマコを食べる世界から来たウォーカーの皆さんにも好評。
「その過程で、加工してもらっていた聖霊使いさんから、干しナマコの精霊が爆誕していると報告がありました」
 報告者・ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)。ちゃんと精霊使いのヒトじゃないですか、やだー。
 そもそも干しナマコの精霊とは。
「俺はそっちの――精霊関係さっぱりわからんから、専門家の意見を乞いたい。更に、存在が不安定っぽい。なんかこう、ヤなものになられると困るので、いい感じの精霊にとっとと安定してほしい」
 情報屋はぐびりと茶をあおった。
「だから食フェスやるぞ」
 何を言ってるのかな、この人は。
「正確に言うと、干しナマコを素材にしてちゃんと料理を作ります。で、こないだあえ物とかその程度のはしたんだよ。現地で。それで安定しないってことはきっちりやらんとなということで、薬膳スープを作ります。俺、薬屋だからね。宣伝も兼ねて」
 転んでもただでは起きないというか、転ばない。回転レシーブするの。
「で、なるたけたくさん人が関わった方が安定するから、材料を持ち込んでもらって、それを大きな壺に入れて蒸します」
 大分見栄えはするっぽい。
「観光資源にできるんじゃないかって話もあるんだよ。となったら、ビジュアル出さない方がよさげってのはわかるんだよね」
 ルーキス・ファウン(p3p008870)が言っていたような粉末にしてプリンに入れるよりは詐欺感が少ない。炎上は避けたい。
「飲むのはスープだけ。それなりのものを入れればそれなりに。おいしいものを入れればよりおいしくなります。まあ、あれだ。まずいもん入れたらまずくなるから、あかんものを持ってきたらはじく。品質チェックは抜かりなくやる。心配すんな。個々に問題はなくとも食べ合わせってもんがあるからな」
 ちゃんとした薬師が味と品質を保証します。
「こっちが提供するのはスープだけだけど、飯でもパンでも麺でも勝手に持ってこいってことで」
 いっそ、他の屋台とか出してもらって構わない。甘いものは別腹っていうし。
「――わかった、記録とってかまわない。から、そんな熱視線を注ぐな」
 ナマコを加工して以来、ずっとどう使うんだと質問しきりのツェノワ=O=ロフニツカル(p3p010170)は、記録用に新しい帳面を買いに走った。

GMコメント

 田奈です、
 リクエスト、ありがとうございます!
 精霊を完全顕現させるため、薬膳スープ作って、食フェスするぞ!
 拙作「<深海メーディウム>海辺の恋を滑らせるメッチャスベルナマコ!」、「<俺のナマコを守って>ペリカンからナマコを守りつつ作業するやさしい仕事です。」、「<俺のナマコを守って>後方ナマコを気にしつつ。ペリカンを倒すよくあるお仕事」を読んでいただければ、経緯は察していただけると思います。いや、でも何でこんなことに? がっさーもよくわかんない。

場所:シレンツィオのとある公園の広場。
 屋台が数代出ていて、テーブルに椅子がたくさん用意されています。座りはぐれることはないでしょう。

 大まかな指針として行動選択肢を3つ用意しますので、プレイングには番号を入れてください。

(1)干しナマコの精霊の変化を見守る。
 精霊関係者にお勧めです。
 メクレオは依頼で必要な程度の精霊知識しか持ち合わせていません。感覚的なことや学術的なことはさっぱりです。
 壺の周囲で聖霊を見て、なるほどなどと意味ありげに呟くと玄人っぽいです。
 眠り姫に属性付与する妖精のごとく立ち回っていただいても構いません。

(2)薬膳スープに材料を提供する。
 これを入れると最低限おいしいスープになる材料はメクレオが入れますので、プラスアルファな食材を提供してください。実際アイテムを消費する必要はありません。プレイングのみで結構です。
 スープは琥珀色、肉だの魚介だのナマコだの生薬だのキノコだのがギュッと凝縮された複雑なお味になります。ようするに「仏跳醤」です。
 あからさまにこれやばいという食材は、メクレオに「ふざけんな。持って帰れ」と塩対応されます。あえてやると味音痴や殺人料理技能持ちがアピールできます。
『ちなみに、どんなプレイングをかけようとも、メクレオのスープは絶対必ず安全かつおいしくできます』
 壺をひっくり返すとか全部一人で食べるとかいうプレイングは必ず失敗します。
それでもやる場合は<負けRP>とタグをつけて下さい。
すてぽてちーんと失敗した後、プラカード付き正座の刑が待っています。今後のイレギュラーズ人生に影響が出ても田奈は責任を負いません。

(3)食フェスを楽しむ。
 当日、主食系屋台は出店されます。
 それ以外で屋台を出したり、食べ歩きしたりして下さい。

*誰かと一緒にやるときは、共通チーム名【****】とつけてね。
 *お一人様参加の方で、絡みいれていい人は「絡みOK」とつけてね。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 干しナマコ精霊定着儀式・薬膳スープ食フェス執行!完了
  • GM名田奈アガサ
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2022年10月13日 22時05分
  • 参加人数17/∞人
  • 相談5日
  • 参加費50RC

参加者 : 17 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(17人)

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
ツェノワ=O=ロフニツカル(p3p010170)
眠り梟
アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(p3p010347)
アーリオ・オーリオ
スフィア(p3p010417)
ファイヤーブレス
アンリ・マレー(p3p010423)
亜竜祓い
火野・彩陽(p3p010663)
晶竜封殺
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
芳(p3p010860)
(自称)ぬくもりの精霊種

リプレイ


「ぼく、確かにナマコの調理方法が知りたいって言った」
『眠り梟』ツェノワ=O=ロフニツカル(p3p010170)は、頭をかいた。
「フェスやるとは思わないじゃん――これは『乗るしかない、このビックヴェーブに!』――てやつだったり、する?」
 みんな楽しめばいいんじゃない? と、薬師は笑った。

「干しナマコの精霊かと思いきや、まさか生干しナマコの精霊に――」
 聖霊使いには見えるのだ。食材としての「干しナマコ」になり切っていない「干しナマコ(途中)」の不安定な精霊(なりかけ)の姿が。
「元の世界でも混沌でも精霊とは結構かかわってきた自信があるけどこれは見るの初めてね」
『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)が太鼓判を押す。レア。
「まぁでも、存在の安定化かついい子になってもらうのが目的だったら。薬膳スープを作ることで、薬とかを司るような性質を持っていてくれると嬉しいわよね」
 精霊としてみんなから愛される子になりますように。願うのはただそれだけだ。
『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)は、耳を澄ましていた。
(怨念や怪異といったものに近いモノなら明瞭に聞こえるだろう。精霊が安定できるような環境作りに励もう)
 結果。もう少し日にさらされるべき。と思っていた。
「カラッと暑いとこが好きそうな気がするニャ、乾燥しやすいからだと思うニャ。あとみんなで作った干しにゃマコだからか、なんとなく人々のぬくもりを感じるニャ」
『(自称)ぬくもりの精霊種』芳(p3p010860)の裏付け。
「間違いにゃいニャ」
 なんて自信にあふれた瞳なの。
 数十分後、会場にお集まりのお子様達に指図するシューヴェルトの姿が。
「これくらいなら手伝うか」
『放逐されし頭首候補』火野・彩陽(p3p010663)が干しナマコを返す簡単な作業に従事し始めた。
 興味には勝てない。幽霊ではないが、視界の隅をざわめかせるもの。そんなものが形と意志を持ちつつある。日光にあぶられるほどに。
 幸い、お天気は物騒なほどのピーカンだ。
『優しい絵画』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)が完全に保証できる晴天日を示してくれたから。
 今、彼は木炭とスケッチブックを持って、ベンチに座っている。
「自分でも最早なにを言ってるか分かんねえが、立派に成長してくれなきゃ始末が悪いからな」
(半端なもの、理解できないものは確かに怖がられるもんだ。神絵の技術で干しナマコの精霊をスケッチし、習性やらなにやら書き留めて資料作りをしようと思う)
「へ~ぇ。精霊使いにはこういう風に見えるんだ~」
 出来た資料は、ツェノワのような者たちが有効利用してくれるだろう。
(生まれたからには皆に愛されるように育って欲しい……親バカかもしれんが)
 干しナマコは食われるが、精霊は死なない。彼らはおいしく食べられることを望んでいるのだ。
「改めて、誕生おめでとう、干しナマコの精霊よ。精霊としての道に、祝福あらん事を」
 ナマコ依頼に関わった身としては、きちんとした精霊になって貰いたい。と会場を訪れていた『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)が寿いだ。
 精霊の何たるかはさっぱりだが、些細なことが影響しないように警備を買って出ていたのだ。
 それでいいのよ。と、オデットが頷いた。
「食べられる側だって、まずそーに食べられるより美味しそうにありがたく食べる方がいいに決まってるニャ~多分だけどニャ」
 芳はいただきますにゃと手を合わせた。


 食材受付時間が過ぎたら巨大な壺に詰めて蒸されて、おいしいスープになる。
「薬膳スープって、美味しいのかな……? だって、粉薬を水に溶かした物なんだよね?」
『ファイヤーブレス』スフィア(p3p010417)の素朴な疑問。それは違うよ。
「苦い良薬の心得は多少はありますが、下手に混ぜても美味しくなければ気が滅入るというもの。何をおいても味が一番です」
『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が噛んで含めるように言う。
「仏跳醤たぁ良い趣味してるじゃねぇか!」
『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が言ってるからおいしい。間違いない。
「………え? 勘違い? よく分からないけど、食材を渡せば良いんだよね。言われていたから……持ってきました」
 それは確かにおいしそうで危険性もないことが鑑定された「食材」だったけれど、なんだかよくわからない。スフィアもお店で「食フェスで使うから、食材下さい」と言ったらこれが出てきたそうで要領を得ない。おいしそうで危険がないならいいじゃない。壺にゴロンさせることになった。それくらいでないと面白くない。
「出汁は海のものなら海のものを合わせる組み合わせだと失敗しないと聞きます。乾燥ナマコは一応海のものですから、貝や昆布がよろしいのではないかと。ついでに藻塩を、味を調える用にひと瓶置いておきましょう」
 瑠璃は味の基本になるものを持ってきた。
「俺もこれの開発とかしててな! 経験を活かして屋台を出すぜ!」
 具体的にはおにぎりを油で揚げた『おこげ風揚げおにぎり』
「これは仏跳醤をかけることで完成する代物だ。表面はカリッと、中はふわっと、そして崩すことで雑炊にしていただけるようになるぜ」
 なにそれ美味そう。
「ゴリョウ様のおにぎり、ニルはとってもとってもきになります。カリッでフワッなのですね」
『おなべがたべたい』ニル(p3p009185)のお口元が緩む。作るところから見たいと、張り付いているのだ。
「とりあえず大根とか、何か適当に狩って入れれば良いんじゃ無いかなと。食べ物に変なもの入れるのもねー。オールネタ枠とか面白く無いもんね」
『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)の本命は、妖精さんがアンリのポケットに突っ込んでくれたなんやかんやだ。当たるも八卦当たらぬも八卦。
「大丈夫!薬とかでもオイラが死ぬような物はまだ一度も『飲み込んだ事は』無いから!」
 口ン中入れるまでは、いったんだな? 
「――――」
 メクレオはポケットから出てきた薬草を壺に入れた。消化を助けるものだったから。
「他にはどんなものと一緒に食べるといいのでしょう?」
 ずっと見ていたニルはキラキラした目で周囲を見回す。
「行ってきまっす!」
 屋台の方に走って行く。
「干しナマコは俺ん所でも是非とも使いてぇ食材だしな、是非とも盛り上げて今後取引とかさせてもらいてぇぜ!」
『ワタシコノヘンノヘンナカイヨウセイブツチョトワカル』ルーキス・ファウン(p3p008870)が感涙にむせんだ。
「ついにこのナマコを売り出す好機が巡ってきたんですね……」
 私が採取し守ったナマコです。と、生産者面する権利はすごくあるのだが、なぜ観光資源化をもくろんでいるのだろう。
「「ナマコクレープ」です! オイスター風味に炒めたナマコと野菜。ナウなセレブや若者達にもバカ受け間違い無しです!」
 どうなんだろう。ギャルタイアップ開発が望まれる。


「お待たせしました。スープの配布を開始します!」
『赤薔薇の歌竜』佐倉・望乃(p3p010720)は、準備万端に空腹。食欲の秋を満喫するのだ。
「わぁ、きらきら綺麗な琥珀色! お味の方は……複雑でオトナな味ですね」
 うまいのだけはわかるが構成要素は全然わからんあれだ。何が入ってるんだ。
「がっつりご飯物も、甘いスイーツ系も、たっぷり堪能しちゃいます。きっと薬膳の効能で、今日はどれだけ食べても太らない筈なので」
 そういう信仰がある。
「まず軽く一周して各店1~2品ずつ頂いてから、他の品が気になるお店に行くとしましょう」
「パスタは万病に効きます、『ホワイト・クイーン』持ちが言うんですから間違いないです、宇宙の真理です」
『アーリオ・オーリオ』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(p3p010347)の力説。
 パスタをそのまま入れるのはとパスタ屋台出店を勧められた。
「これが食フェス!」
『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)が幸せそうに目を細める。
『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は、辺りを見回している。
(今日のナマコはどうやら凶暴じゃないみたいだし、いろいろと安全でよろしい)
 睦月も目移りしている。屋台からはそれぞれいい匂いがしてきている。
(いろいろ食べ比べて、作れそうなものはメモをして。まだ料理(悪)の域を出ないけれど、奥さん稼業もがんばらないと)
 史之は、睦月を全力で守るのをやめることはきっとないだろうけど。
「ただただ愛されるだけの僕じゃいやなの」
 しーちゃん、大好き。
(けして結ばれないと思っていたのに、数多の奇跡が俺達を添わせた)
 その喜びを素直に口にするには史之は意地っ張りだ。
「手、つなごうか」
 塩対応がこの甘さだ。ちゃんと愛は伝わっている。

 今日は、混沌に新たな精霊が生まれた。
 体の調子を整えてくれる、太陽の匂いがする精霊だ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様です。干しナマコの精霊、爆誕。楽しんだ後は、次のお仕事頑張ってくださいね。

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