シナリオ詳細
<総軍鏖殺>空の島と夢の痕
オープニング
●
北の荒野を照らす太陽は昼を過ぎて徐々に傾きつつある。
吹き抜ける秋風は、もうずいぶんと冷えてきた。
蒸気バイクに取り付けられたサイドカーを守るように、蒸気バギーが併走している。
「このままのペースなら、夕刻には到着出来るでしょうね」
「ノイスハウゼンか……」
それは上空に伝説の浮遊島アーカーシュを戴く、鉄帝国南部にある街の名だ。
バイクの運転手はすらりとしたうら若い美女であり、バギーのほうも少年から青年へ成ろうとしている若い美男子であった。サイドカーには立派な身なりをした老人が一人。二名の若者は護衛役というだ。
布陣はA級闘士が一名、それからB級――とは逆の意味で名ばかりな、とびっきりのカミソリが一名。
女の名をティセ・ティルマノフと言い、男の名をシラス(p3p004421)と言う。
どちらもラド・バウの今を煌めく、人気のスター闘士だ。
ここ鉄帝国は大混乱の渦中にあった。
皇帝ヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ(p3n000076)をよりにもよって冠位憤怒バルナバスが打ち倒し、総軍鏖殺の命なる弱肉強食の法が布かれた。悪漢暴漢達はこれを機に暴れ回り、帝国の名だたる将や政治家、戦士達は様々な軍閥に分断されている。
ともかくこの老人――リチャード・マクグレガーは、金こそあっても腕っ節はからきしであり、凄腕闘士二人を雇って帝都から逃げ出したのだ。少なくとも、建前上は。
「いやあ、けど君等が居てくれて良かったよ。ホンット助かる助かる」
リチャードが闊達に呵々と笑った。実のところ、この男は帝国の政財界、そして軍部と繋がりが深く、防諜を任務とする特務機関ゲハイムニスの出資者である。リチャードはそうした伝手を使い、各地に居る特務軍人や非主流派の軍人に働きかけ、アーカーシュへ集結するよう働きかけていた。そして自身もまた拠点をアーカーシュへ移そうという算段なのだ。
現在のアーカーシュは貴重な機動戦力であり、一種難攻不落の要塞であり、この場所を起点にすれば帝国各地の街や村を暴漢や魔物の襲撃から防衛出来る。そして各地に点在するそうした輩の拠点を叩くことが出来ると、そのように考えてのことである。
更にアーカーシュは中心にローレット支部を持ち、イレギュラーズは天空神殿経由で移動可能だ。バルナバスの軍勢と戦うにあたって、便利であることこの上ない。
現在のアーカーシュはインフラ畑の政治家である『歯車卿』エフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフや、成り行き上で帝国軍の少佐になってしまったアンフィフテーレ・パフという男が事実上の管理者となっており、復興中のノイスハウゼンと合わせて一つの軍事拠点として成立していた。あとはたまたま駐屯していた帝国軍軽騎兵隊などいくつかの部隊が、そのまま残って居る。アンフィフテーレが少佐にされてしまったのは不正な書類の書き換えを発端としており当人はかなり嫌がったが、彼がアーカーシュのレリッカ村の村長であることや、作戦司令官のエッダ・フロールリジ(p3p006270)大佐が帝都に戻らざるを得ない事情もあり、なし崩しとなっている。可哀想だが仕方が無いだろう。
それはさておき。
「なあティセさん、さっきから」
「うん、居るね。きっとかなりの数」
あと一刻ほどもすれば街が見えてくる頃だったが――
●
「なんかすいません」
「いえ、義妹(いもうと)の安否が確認出来たことが何よりの幸いですので」
謝罪したすずな(p3p005307)がアーカーシュに存在する帝国軍橋頭堡を案内しているのは、リュドミーラ・エルセヴナ・エフシュコヴァという女性である。現在は参謀系の軍人として独立しているが、エフシュコヴァ家の養女であり、リーヌシュカ(p3n000124)の義姉にあたる。
このような非常事態であるから家族でどこかの軍閥に所属して互いに協力しようという腹だったが、リーヌシュカは生憎と哨戒任務中らしい。このまま待って居れば夜には帰ってくるとは思うのだが。
「イレギュラーズを集められますか? 依頼があります」
そんな時、部屋に入ってきたのは歯車卿であった。
「……あ、うん。依頼は受けられるよ。内容にもよるけど」
ジェック・アーロン(p3p004755)はは最近現れたヘザー・サウセイルという魔女の後ろ姿を何の気なしに眺めていたのだが、視線を外して答えた。別にヘザーと知人友人という訳でもない。
「どうしたのかしら?」
優美な肢体を椅子に預けていたアーリア・スピリッツ(p3p004400)が尋ねる。
「本日、リチャード・マクグレガーという方がアーカーシュへ到着される予定なのですが」
歯車卿が言うには、どうも魔物を伴う暴漢の集団が近くに現れたらしく、彼等の危険が予測されるということだった。リチャードにはとびきり腕利きの護衛が二名付いており、軽騎兵隊が近くを哨戒している。だがリチャードは一般市民であり、戦闘能力は皆無だ。念には念を入れてイレギュラーズにも手を貸して欲しいという訳なのだった。
「それならおれも、行ってやるとするかな。なんせアイツとは飲みトモなんだ」
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)がギターを担いで立ち上がる。
すぐに向かうとしよう。
――
――――
「ヒーハー! 有り金全部置いてきなあ!」
「女も居るじゃねえか!」
「俺ぁそっちの水色の髪のネコミミちゃんがそそるぜえ!」
「待て、あっちは男かもしんねえぞ」
「だったら、なおさらお得じゃねえか!」
何がおかしいのか、暴漢達がゲラゲラと笑っている。
暴漢達は魔物と共に、軽騎兵隊と三人の客人をそれぞれ包囲していた。
魔物と暴漢の群れは、三人の客人へじりじりと包囲網を狭めている。
守られているであろう老人は身なりも良く、金がありそうだと目をつけられていたのだろう。
「……数が多いわね。雑魚のくせに生意気よ」
「それでお姫様、オーダーは如何でござい?」
「強行突破して陣形を再構築。お客さんも守りましょう。背中は任せたわ。それにあれって!」
「一人は知ってますが、もう一人は?」
「知らないの? 『雷帝』ティセ・ティルマノフ。A級闘士よ!」
おどけたヨハン=レーム(p3p001117)にリーヌシュカが答えた。
シラスとA級闘士なら、向こうの護衛は完璧だ。
「それはそれは……オーケイ!」
そんな時だった。
「隊長!」
「何よ」
「味方増援、イレギュラーズです!」
部下の言葉にリーヌシュカは頬を染め、瞳を輝かせた。
「勝ったわ! 全軍用意――突撃よ!」
- <総軍鏖殺>空の島と夢の痕完了
- GM名pipi
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月03日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談5日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
荒涼とした北の大地に吹き抜ける風は、早くも冬の気配を纏い始めている。
(……鉄帝は、嫌いよ)
故郷の山のすぐ向こうにあるこの国は、力で全てをねじ伏せ侵略し――『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が愛する父の命を奪った。
帝位さえ闘争によって継承される戦闘国家を蝕むある種の病巣は、ことこれに至り魔種を皇帝と定めた。それもよりにもよって冠位憤怒という最悪を。
ある種当然の決着は、けれど認めて良いとは微塵にも思わない。
(現状が良くないって事だけは間違いないんだ)
マルク・シリング(p3p001309)達イレギュラーズは、分断された様々な勢力からの依頼を受ける立場にある。複雑に別たれた勢力毎の主張それ自体はともかくとしても、制御されない力だけが支配する国が理不尽な犠牲を生み続けることだけは必然だった。
(それだけはさせない)
自身の生まれ故郷のような悲劇だけは、決して――
マルクは使い魔を放ち、上空から戦場を観察する。
数に優れる敵は二つの円陣で軽騎兵隊側と老人側を包囲していた。
その結節点の破壊が最初の課題となるだろう。
マルクと情報を共有し、一行は駆けながら手短な作戦立案を行った。
しかしこの場のあれこれはともかくも、発端はずいぶんひどい。
鉄帝国では、新皇帝により総軍鏖殺なる狂気の命令が下されている。
あらゆる自由闘争を肯定し、強者が弱者を組み敷いて良しとする、弱肉強食の新たな法だ。
駆ける一行の視線の先。けたたましい音の蒸気バイクを駆り土煙を上げている集団も、法令に則り清く正しく美しく、とある老人の金と命とを奪い去ろうとしていた。二人の護衛(一人は良く知っている)ごと、包囲は徐々に狭まりはじめているようだ。
世界各国は各々の問題を抱えているが、鉄帝国における歪みの最も醜悪な発露こそ眼前の光景であろう。
まずはこれをどうにかして、頭上に戴く浮遊島アーカーシュを管理する歯車卿と今後の話をしようか。
伝家の刀へ美しい指を添えた『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)はイレギュラーズでありながらも天義の聖騎士である。鉄帝の国家事情に介入するのは複雑な事情を内包しがちだが、それでも罪なき人々が苦しめられるのを捨て置けはしない。なにより新皇帝は魔種なのである。人類にとって不倶戴天の敵だ。
「なんだあ?」
「冒険者かあ?」
「まとめてやっちめえ!」
暴漢共が月並みな怒声をあげた。
問題は彼等が天衝種(アンチ・ヘイヴン)なる新種の怪物を伴っていることである。
新皇帝の戴冠以来出現しはじめた怪物達は、こうした手合いになぜだかよく懐くらしい。
依頼の最も面倒なケースになったと、『戦飢餓』恋屍・愛無(p3p007296)は嘆く。
愛無としては暴漢達に取り囲まれたもう片側、リーヌシュカ(p3n000124)とその部下達の無事にこそ子由美があるのだが、そうもいかぬのが依頼というものか。面倒な仕事はさっさと終わらせ、リーヌシュカを労ってやるとしよう。
「とりま要人確保であります」
狙われた老人リチャードは、『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)が述べたところの要人である。政財界に太いパイプを持つ男であり、アーカーシュに一部の軍人等が集いつつある状況の仕掛け人、そしてパトロンにあたる大商人だ。
「全くモテモテだな、リチャード! 飲みトモなヒゲの王子様を救いに行くとするかね」
ギターを担ぐ『奏で伝う』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)にとっては友人でもある。
「まずは合流を第一に、外側から攻勢を仕掛け、包囲の結節点破壊を目指しましょう」
述べながら駆ける『忠犬』すずな(p3p005307)の言葉に一同が応じた。
「それじゃ合図をするから合わせてくれたら」
マルクが述べ、『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)が頷いた。
「へいへいへい、俺等を誰だと思っていやがる。泣く子も恐れるタワバ一家を――」
男は言い切る前に仰向けに倒れ、岩場に後頭部を打ち付ける。
「てめ、何をしやがっ」
二人目、三人目――美咲は涼しげな表情のまま両手をはたく。
「見た通りかと。見えたかどうかはこの際置いておくっスけど」
「クソが、数じゃこっちが上だぜ、やっちまえ!」
「いいえ、させません――合わせます! 行きましょう、サクラさん!」
「うん。天義の聖騎士、サクラ・ロウライト。推して参る!」
いきり立つ暴漢達が構えるより早く、すずなが放つうねる斬撃――いささか実直なれど――が敵陣を斬り刻み、鋭く踏み込んだサクラが更なる乱撃を重ねた。
斬る、斬る、尚も斬る。
「このまま包囲を斬り破る!」
一行の奇襲に敵は早くも混乱しはじめている。そのまま老人側へ浸透、それから軽騎兵達の突撃敢行を迎えて合流を果たしたなら、勝利も老人の警護も容易いだろう。
勝機を見て取ったエッダもまた踏み込み、美咲と背を合わせた。
「なんでありますか」
何か言いたそうに見えたから。
「エッダ氏、今回私は仕事として来ています」
ローレットの依頼なのだから仕事だろうというのは、それはその通り。
けれど美咲が言いたかったのは、そうではない。
つまり『立場上』踏み込んだことを聞くかもしれないから、まずければ釘を刺せということだ。
「承知したであります」
思えばアーカーシュ発見当初は、なんだかダンジョンRPGを攻略するようで楽しかったのを思い出す。
気付けば政治色が強い状況になっていたのだが。それはともあれ。
「さて、タフそうな相手にゃ手堅く毒盛って殺すタイプなのでね」
「クソ、何、だ、こりゃあ!」
広域を俯瞰し、位置はおおよそ頭に叩き込んでいる。
一際体格の大きな相手を頭目と見定め、愛無が毒撃を見舞った。
「ヨハンくん、リーヌシュカちゃん、準備はいい?」
やや遠く、アーリアと視線を合わせた二人の同意を確認し、アーリアは術式を展開する。
「僕も行くよ」
同時に放たれた混沌の闇が唸りを上げ、敵陣を一気に飲み込んだ。
「さあ始めましょうかプランセス?」
「またなにそれ」
おどける『帝国軽騎兵隊客員軍医将校』ヨハン=レーム(p3p001117)に、リーヌシュカが鼻を鳴らす。
「あちらも多少は心得があるようだけど、こちらは正規兵だからねぇ。ましてやリーヌシュカ様自ら出陣なさるとは恐縮至極。騎兵隊のプラス1、おまけとしてこのヨハン身を粉にして働かせて頂きますぞ、と」
はてさてどうするか。我等がプランセス(ゼシュテルなまり←ほんまかいな)をバックアップしつつ、全員のお守りとなるとなかなかの重労働だろう。更にはあの老人も守り抜かねばならないと来た。イレギュラーズのみで敵を殲滅するのは容易いだろうが、状況はそうではない。
大きな声では言えないが、問題はどちらかといえば騎兵隊員にある。これだけの数を相手に持ちこたえられるかは怪しいものだ。だからこんな一点突破しかない状況に追い込まれているとも言えるのだが。そのあたりは姫君とて承知の上だろうけれど。
「覚悟だけは上等よ、客員軍医殿。その物言い、こんな時もなわけ?」
「そろそろこの軽口も察知してきた頃だろ?」
それに。
「どうにもならなくなるまで軽口叩いてるくらいが良いのさ」
「違いないわ、それじゃ行くわよ。総員突撃!」
結節点を目掛け、軽騎兵達もまた突撃を開始する。
「大丈夫、貴方には傷一つ負わせませんよ」
「頼もしいね、それにあの援軍は君のお仲間かな?」
「ええ、もちろん」
リチャードを背に守り、『竜剣』シラス(p3p004421)とティセが目配せし合う。
反撃の好機だ。
シラスは巧みな立ち回りで殺到する暴漢と魔物を捌き、ティセの鋭い斬撃は一人、また一人と敵を丁寧に落として行く。二人だけならば――身を守ること自体は容易かろうが――万が一の事態も考えられた。しかしこの勢いなら結節点をすぐにでも破壊出来るだろう。
――そんな時だ。
●
「お客様をお連れしましたよ」
すずなが述べた。
「何、すずな。え、え!? お姉ちゃん!?」
「お久しぶり、リーヌシュカ。元気そうでよかった」
すずなの背に守られるように現れたのは、リュドミーラというメイド装束の女性だった。
「お姉ちゃん!?」
誰かが驚きの声をあげる。
「リン……リュドミーラは私の家族、姉なのよ。優秀な帝国軍人なんだから」
「優秀はやめてよ、裏方よ私」
「別にいいじゃない、そんなこと」
髪の色も容姿も似ていないが、色々と事情があるのだろう。
「そんな訳ですので、いつも妹がお世話になっております。よろしくお願いします」
「つべこべうるせえ!」
感動の再会を前に、暴漢達が叫ぶ。
「クソが。てめえらふざけやがって! このゴンズ・タワバ様に恥かかせんじゃねえ! 皆殺しだ!」
棘鉄球の鎖を振り回す頭目が、だみ声を張り上げる。
「いやっはー! 数の暴力舐めんじゃねえぞ!」
自身等の優勢を未だ確信した表情で、暴漢達が殺到する。
「生半な事では、私達は止まりませんよ……!」
迎えるすずなの一閃が、サクラの斬撃と共に再び敵陣を駆ける。
「このまま景気よく行こうじゃないか」
ヤツェクが調和の音色を奏で、突撃に傷ついた騎兵隊が鬨の声を重ねた。
「流石、援護が手厚い! 有難い限りです!」
「やっほーシュカちゃん! 必要ないかもしれないけど、助けに来たよ!」
「必要に決まってるじゃない、すずな、サクラ! あの金色の化物は居ないわよね……」
「あーうん、あれは、なんかごめんね」
暴漢達の認識はともかく、イレギュラーズの猛攻は結節点を破壊し、一同が合流を果たした。
「無事か、リーヌシュカ君」
「もちろんよ、愛無。会えて嬉しいわ! 行くわよ!」
「ああ、お供しよう」
背を合わせた愛無とリーヌシュカが迫り来るバイクの暴漢をなぎ払う。
「このまま囲んじまえ! ぶっ殺してやらあ!」
現場はある種の乱戦にも見え、また一行が包囲されているようにも見えるが、それは大きな間違いだ。
「お待たせいたしました――では、存分にその腕、お振るい下さい」
エッダがリチャードの庇いに入る。その言葉にはシラスへの確かな敬意がこめられていた。
「助かるぜ。俺も暴れさせてもらおう。乱戦ならお手の物だぜ、俺は闘士よりもこっちが本業なんでね」
「どうだいリチャード、なかなかやるだろ?」
「見込んだ通り……どころじゃないね、こりゃあ」
ヤツェクはリチャードと手を打ち合わせ、ギターをかき鳴らす。
至高の恩寵、その光輪がシラスに更なる力を与えた。
戦闘は堅調に推移している。
ヨハンの手厚いバックアップにより、軽騎兵達もいまだ健在だ。
敵は数の優位を笠に着る態度を崩していないが、実際のところはそれさえ怪しくなっている。単に気付いて居ないだけだろう。その程度の男達だ。
問題はむしろ魔物にあったが、それさえもイレギュラーズの猛攻を前に次々と打ち破られている。エッダに守られるリチャードにも傷一つなく、老人は怯えるどころかむしろ感心した様子で観戦に熱中しているようだった。腕っ節などからっきしであろうに、時折ヤツェクと軽口を交し合うあたりとんだ冒険ジジイである。
そんなヤツェクはといえば、ギターを鳴らして味方の支援を欠かさない。こうしてイレギュラーズの見事な連携は敵の包囲を着実に打ち破りつつあった。
「そろそろ抜かせてもらおうか、神殺しの魔剣――使いこなしてみせる!」
魔力を一点収束させたヨハンが、魔物をなぎ払った。
光に飲まれた魔物がその熱量に焼き尽くされ灰と散る。
「え、ねえ、えっええ!? エーデルガルト大佐!?」
ティセが素っ頓狂な声をあげたのはその時だった。
「はーて、何のことやらであります。自分はただの通りすがりのメイド仮面」
「そうよ、でも今日は大佐じゃなくてエッダなのよ!」
エッダに続き、リーヌシュカが訳の分からんことを言い出す。
「え、ていうか、え。エーデルガルト大佐なんでここに!?」
「……だめか、チッ」
ラド・バウ闘士でありながら軍籍も持つティセが気付いてしまったらしい。
「今はそんなことより、事態収束に尽力せよ!」
「う、うん」
「あのデカブツをやれるか? 可愛い後輩に雷帝の実力を見せてくれよ」
「可愛い? すぐリングに来そうな癖に。私七年かかったんだよ? けど、うん。分かった」
シラスとティセが狙うのは頭目だ。
「それじゃあお先にプレゼントしちゃいましょう」
アーリアが微笑んだ。艶やかな唇から紡がれたのは魔女の呪言――メイヴ・ルージュ。
「小僧と女共がこの俺様に、ぶべっ!」
シラスが放つ零距離の極撃に貫かれ、ティセの斬撃を浴びた頭目が尻餅を付いた。
「今日の運勢が最悪って、占いを見てなかったのかしら!」
それにこの頭目、アーリア(美女)よりヨハン(男)に興味があったようで、なんだか癪ではないか。
「ま、まて。話せば分かる、話せば、な。すまねえ、この通りだ! ゴンズ・タワバの名に誓ってもう悪いことはしねえ! だから命だけは助けてくれ!」
頭目が土下座をはじめた。この期に及んで命乞いのつもりだろうか。
「なーんて、な!」
突如顔をあげた頭目が目を見開き、鎖を振り上げる。
風圧がシラスの髪を撫で、その顔を押しつぶさんばかりに鉄球が迫った。
「ぐげっ」
だが涼しい表情で回避したシラスに、頭目は腕を捻りあげられる。
「悪いね、こういうやり口には慣れっこなんだよ」
「ダメだよ、こいつは。根っからダメ」
そう言ったティセが剣を振り上げる。
「ひ、ひで……ぶっ」
「このまま殲滅です」
すずなが述べ、マルクがその手に魔力を束ねる。
光の斬撃――蒼穹へ至る誓いの剣が、魔物の一体を消滅させた。
「リーダーがやられた! くっそ! ずらかんぞ!」
一目散に背を向ける敵へ、愛無が嘆息する。
追う必要はないだろう。
この程度の相手に情報など期待出来るはずもない。
それにこのご時世では捉えても管理が面倒そうであり――なにより不味そうではないか。
●
「あらためてようこそ、リチャード。ここがアーカーシュ、アンタが夢見た伝説の浮遊島さ」
「たまげっぱなしの一日だね。しかし君等も護衛の二人も腕がいい。正解だったなあ」
戦闘を終えた一行は、リチャード達を連れ大空へと舞い上がった。鉄帝国橋頭堡に儲けられた会議室で、歯車卿などと一通りの挨拶を終えた一行は、会議室に通されている。
真新しい木製の室内は、木とそれから茶葉の良い香りを漂わせていた。
「こりゃ何のお茶だい?」
「メルベキ草といって、この島特有の茶葉なんですよ」
「そりゃまた嬉しい限り」
マルクの解説に、リチャードがにんまりと笑った。
「よく頑張りました」
「ん、その。来てくれてありがと……」
「気にしないの」
アーリアに汚れを拭いてもらったあと、リーヌシュカは席で髪を梳かされている。
祖国が魔種の手に堕ちそうな不安は、アーリアにも分かるのだ。精一杯労ってやりたい。
「またこんなことさせて、すみません、この子、昔からこうで」
「いえいいのよ。それよりリュドミーラさん、よろしくね」
「私のことはどうぞリューダとお呼び下さい、皆さんも」
リュドミーラは「リンでも構いませんよ」と続けた。
「しかしまさか、君に姉が居たとはね」
「ふふん、すごいでしょ」
なぜか自慢げなリーヌシュカへ愛無は苦笑一つ。
しかし幼い頃に見かけたメイドっぽい存在は、姉だったのかとヨハンなどは思う。何か複雑な家庭の事情があったりするのだろうか(実はただのリュドミーラの趣味だが)。面倒なことになるまえに、気付かれないよう身を潜めておこう。
「そうだ、お姉ちゃん、これこの青いのヨハンなのよ! 覚えてる? レームの家の。ちょっとヨハンどこいくの? こっちに来なさい!」
「あー! これはご無沙汰しておりますー。えー、お父様そっくり」
「……どうも」
ほら、ほらこうなる。言わんこっちゃない。余計なことをしおってからに。
「それで……偶然知り合いましたけど、お義姉さんがいるなんて聞いてないですよ、シュカさん?」
「う、うん、すずな、そういえば言ってなかったわ」
「それはまあいいですけどね? お二人はこの先どういう方針を採られるのかなあ、と」
リーヌシュカはラド・バウの闘士でもある。ここアーカーシュには非主流派の軍人が中心に集っており、一方のラド・バウ闘士達は首都に残って自治を守り抜いている。
リーヌシュカが視線を送ったティセ(ラド・バウ闘士)はなぜか目をそらし、続いてみつめたリュドミーラは「任せます」とでも言いたげに一つ頷いた。
「結局ね、私は任を解かれていないのよ。解かれずじまいってほうが正しいけど」
前皇帝のヴェルスは行方不明のままだ。リーヌシュカは彼から与えられた任を守り続けるつもりらしい。
「それに乗りかかった船っていうか、ここを放置なんて出来ないわ。軽騎兵隊を動かすのだって危険があるもの、あとは私達が出て行ったらここの武力にも不安が出来るでしょ。だから残ることにするわ」
なるほど。
「それなら私もここでお手伝いしましょうか」
「ほんと!? お姉ちゃん、いいの?」
「ええ、もちろん。家族ですもの」
何はともあれ家族の再会に、すずなはほっと胸をなで下ろしたのだった。
「それで『大佐』、戻られたということは」
レリッカ村長のアンフィフテーレ・パフが、どこか期待をこめた視線でエッダを見つめている。
村長はそもそも百年も前のアーカーシュ調査隊唯一の生き残りであり、軍属とは形ばかりの探検家だ。元々は当時の隊長と友人だっただけの男である。島に取り残されて行方不明とされた隊員とその子孫達と共に、レリッカ村を形成して守り抜いてきたに過ぎない。それが本国では任務中の殉職扱いとなり二階級特進しており、少佐ということになっていた。この書類を発見した故パトリック・アネルが不正に書類を書き換え、軍属復帰させられたのだ。士官学校も出ていなければ、軍事の知識もさらさら皆無なのだった。
とはいえ現代のアーカーシュ調査を率いた歯車卿もインフラ畑の政治家であり、プロジェクトリーダーは務まっても軍務には明るくない。リチャード老人とて一代で豪商となった海千山千のくせ者ではあれど、取り柄は資金力と口八丁だ。かといって士官学校は出てもまだ現場指揮官にすぎない若きリーヌシュカは、戦略的観点では通り一遍の座学知識しか持ち合わせていなかった。圧倒的な経験不足である。
パトリック・アネルが反転していなければ――とは誰も言わなかった。
あんな胡乱なクソ軍人でも皇帝の信に厚い大佐(諜報屋であり戦争屋ではないが)ではあった。おそらく誰もがそう思ったであろうが、過ぎたことは仕方がないこともまた誰しも分かっている。
現状ではアーカーシュを真っ当な軍隊として機能させる力量を持つのは、大佐であるエッダだけだ。
だからエッダとて「悪かった」とは思っている。
「――つまり現状、事後を引き継ぎ出来る相手がいないのだ」
しかし背に腹はかえられない。
村長――少佐と歯車卿はエッダの釈明にしぶしぶと頷いた。
せめて正式な指揮官の引き継ぎを行い、特に正当性を示すものは余さないこと。それから後見となるのは精一杯の誠意である。エッダはイレギュラーズでもあるから、たびたび顔を出すこと自体は出来るのだ。
「とはいえ私は、この地を纏め上げていた貴官がこの任に耐えるものであると認識している」
「……」
「当然私は後見となる。鉄帝の灯を、消し去ることは罷りならん。頼んだぞ」
「へいへい、任されましたよ」
背もたれに仰け反ったアンフィフテーレは、天井に向けて盛大に溜息を吐き出した。
「次の議題をよろしいですか?」
「どうぞ」
マルクに歯車卿が頷く。
「まずは現状を打開すべきだ。協力勢力を糾合したい」
このアーカーシュを反バルナバス体制の共同拠点にしてはどうかと述べる。
「僕はもとよりそのつもりだよ。だから声をかけて歩いたんだからさ。あんなクソ皇帝にいつまでも居座られたんじゃたまったものじゃあない。今更かもしれないけど、皆もどうかな?」
乗ってきたのはリチャードだった。
「まあ、十中八九アーカーシュは偉大なるバルナバス皇帝陛下様への謀反を起こす拠点になるだろうね」
ヨハンの言葉にリーヌシュカも頷く。
「前代未聞のクソ皇帝という所にはひとまず同意しますが」
相槌を打った歯車卿が続きを促す。
マルクは交渉役が必要なら、自身が引き受けると続けた。
国外の人間ではあるが、その分中立とも言えるからだ。
「それは願ってもみませんが、そこまで負担をおかけするのも申し訳ないですね」
今度は渋った歯車卿に、マルクは「是非お任せ下さい」と再度一押しする。
「分かりました。お願い出来るのであれば、あえてこちらから申し上げることはありません」
そして歯車卿は書面が必要であれば都度手配すると加えた。
「他派閥と共闘するとしても善意の押し売りになっては面倒ですからね」
なんらかの根回しが必要になることもあるのかもしれない。もっともこの国はそのあたりがひどくいい加減ではあるのだが、用心にこしたことはないだろう。
「じゃあ、次いいかな?」
「どうぞ」
手をあげたのはサクラだ。
「アーカーシュにはラトラナジュの火があるよね」
超威力の古代兵器が、眼下の街ノイスハウゼンを僅か一撃で半壊させたのは記憶に新しい。
「新皇帝派や革命派がこれを確保するのは絶対に避けたい」
この防衛は絶対に必要不可欠だ。
だからラトラナジュの火を常時イレギュラーズによって防衛し、何かあれば即座に救援出来る体制を整えたいというのがサクラの提案だった。
「異論ありません」
ポテトチップスをかじる美咲は何食わぬ顔で話を聞いているが――
(00機関――上層部はアーカーシュやラトラナジュの火に警戒感を持ってるんスよね……スパイの私としては南部転用や核のような外交手段として使いうるか見ないといけないんスけど)
――けれど(ローレットの私としては……)。
「とりあえず、入植希望者には警戒が必要と思いまスよ」
少なくともR.O.Oにおける美咲の上官――ショッケンあたりならここに間諜を潜り込ませるぐらいは、確実にやると思える。統治の弱い超兵器、空飛ぶ機動要塞、目を付けないはずがない。
「入植希望者それ自体は必要なのかもスけどね」
それに美咲の視点では、いくらか居る新顔に、若干の不審な点も見られる。職業柄の勘というやつだ。
「確かに我々の武器は空を駆けるこの機動力、それから空にあるというそれ自体による防衛力です」
歯車卿が述べる。
国内に点在する他派閥との共闘や肩入れがしやすいということだ。
「しかし仰る通り、内部に入り込まれれば危うい」
気をつけなければならないだろうが、はてさて。
●
一時間ほどの会議を終えた頃、あたりは夕刻にさしかかっていた。
アーリアは歯車卿に「島酔いしてません?」なんて尋ねてみる。
「ご心配いたみいります、慣れたものですよ」
お陰様でと歯車卿が笑う。険しい表情が多い彼にしては、ずいぶん素直な顔だ。
アーリア達イレギュラーズは僅かな間に、この気難しい政治家の信頼をずいぶん勝ち得ていた。
冗談はさておき、この島があるのは不幸中の幸いである。
やはり入植者と共に、来たるべき時に備えるのが最善であろうと、そんな話をする。
「……というか私風の噂で聞いてるけど、卿だって昔はラドバウで暴れていたって!」
リーヌシュカに聞いたのだ。体格こそ小さいが、逆にそれを生かしたトリッキーな戦術はリーヌシュカもずいぶん参考にしたらしい。
「ずいぶん懐かしい話になりますが、お恥ずかしい限り」
今度は苦笑が返った。足の故障で引退せざるを得なかったらしいが、降りかかる火の粉を払う程度のことは最近もやってのけている。政治家というのは何かと敵が多いものだ。
「ともあれ、貴方が離れられないのならどの国の、誰にだって私が尽力を取り付けるわ」
「それは頼もしいのですが」
「こう見えて私の名、どの国にもそれなりに響いてるのよ? 何十、何百人だって連れてくるわーー何人ほしいかしら!」
人材の粒自体はそれなりに揃っているのだ。てんでばらばらで、纏まりがないというだけのこと。
だから一番欲しいのは、アーリア達イレギュラーズ――英雄が持つカリスマかもしれなかった。
「それでこいつが、この島の酒ってわけさ」
「独特の苦みがいい、変わったボタニカルだね」
「だろ?」
最近レリッカに作られた酒場では、ヤツェクとリチャードが杯を交していた。
といっても今日のつまみはパトリックの話ではない。
「まあラド・バウ以外は居られたもんじゃあないね」
まず帝国内の状況は、ひどい有り様らしい。人を雇って這々の体で逃げることしか出来なかったという。
護衛の一人だったティセは「もういいよね! 仕事終わりやったー!」などと突如豹変し、早速あっちのほうで一人で酒を飲み始めている。彼女はしばらく滞在した後のことを迷っている風だった。このまま闘士としてラド・バウへ戻るか、それとも別の何かをするべきか。軍籍はあるが上官が居ないため命令もなく、身の振り方を決めあぐねている。何も無ければラド・バウへ行くしかなさそうだが。それはさておき。
リチャードが提供出来るのは、あちこちの古代遺跡の情報ということだった。
アーカーシュであれば――状況が許しさえすれば――それらの場所へ移動し発掘を行うことも可能だ。
「あとはまあ金目のもんだよ。このご時世でどこまで役立つかわからないけどね」
リチャードはそう言ってから、麦の重さが黄金の重さなんてことにならなければよいがと唸る。
少なくとも、金で買えないものなどいくらでもあるのだと、アーカーシュの住人達は知っていた。
とはいえ次の一手は悩ましい。まずは手始めに他の利害が一致する派閥へ手助けのように介入していくしかなさそうではあるのだが。復旧出来ていない鉄道網や、連絡が途絶している不凍港の状況なども気になる。
「さながら独立遊撃隊ってとこだよねえ。ほら主人公みたいで格好いいじゃないか」
「ああ、違いない。ところでリチャード、アンタが何か企んでるなら乗らんでもないぜ」
アネル夫人と子供の安否も心配だったが、リチャードの話ではどうやらシレンツィオへの旅券が役に立ったようだ。事が起る前に移動出来ていたそうで一安心する。
「いや企みってほどは、大層な話じゃあないんだよ。どうにかしてその『ラトラナジュの火』ってやつを、クソッタレな新皇帝様とやらにぶち込んでやれないかと思っててさ」
「なるほどね、だが悪かない」
「だろ、それに商売柄、技術者の協力を拝んで多少の改良なりを考えたっていいとも思うわけさ」
この間の騒動でも分かることだが、この島を新皇帝の手に渡すことだけは避けたい。
そんな事態になれば、この悪巧みがパーどころの話ではないのだから。
さて、あとは謎めく美人のことが気になるところだが、彼女に関してはリチャードも知らないらしい。
こちらは知人のエッボという特務軍人が探りをいれてくれるらしいが。
愛無もまた件の魔女ヘザー・サウセイルに注意を払っていた。
まだ万全な状態とは言えないアーカーシュに現れた、軍人にも技術者にも見えない女。
いかにもハイエスタ風の名だが、耳が尖り羽と尻尾が生えている。
多くの者と距離をとっているのも気になる。
どんな場所に出入りしているのか、どんな人物と接触しているのか。
彼女自身は刺激しないように周囲から探るべきだと思えるが――
「新顔さん、どうも」
早速の接触をはかったのは、ヨハンとシラスであった。
「わたくしになにか?」
「いや見ない顔だから挨拶をって思っただけだよ」
「それはどうも」
「暫くはこの島に滞在する予定で?」
シラスも尋ねてみる。しかしなんとも言えない気配を纏った女だ。
「ええ、そのつもりですが。空ですし、安全そうですので」
一応、筋は通っている。
あちこちに暴漢や魔物がはびこっている以上は、どこかの軍閥に身を寄せるのが安全ではあろうから。
「もうよろしいですか? 私はこのへんで失礼しますね」
やはりイレギュラーズを避けているような素振りがある。
愛無が尾行した限りでは、彼女は遺跡にたびたび顔を出しているようだ。
寝泊まりしているのはレリッカ村に作られた新しい観光客向けの宿である。
接触している人物は少なく、また接触時間も長くないのだが。イスカ・シヴァトリシューラ、九頭竜 友哉、ヴィトルト・コメダ、それからクロム・スタークス。いずれもこの島では新顔である。
単に新参同士であるとも思え、不審とまでは言い切れないのだが、はてさて。
ともあれリチャードを迎えたこの島は、新たな一歩を踏み出そうとしているようだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼お疲れ様でした。
MVPは状況を一歩進めた方へ。
これから大使のような役割を担うのでしょう。
それではまた、皆さんとのご縁を願って。pipiでした。
GMコメント
pipiです。
暴漢を蹴散らして、客人を迎え入れましょう。
相談期間短いのでご注意くださいませ。
●目的
・大事な客人であるリチャード・マクグレガーを守る。
・暴漢達の撃退(生死は問いません)。
情報は細かいですが、あまり難しく考えずにとにかく暴れましょう。
・後は各々、アーカーシュの帝国軍基地で積もる話でもしましょう。
こっちのほうがむしろ重要かもしれません。
なんせ『これからのこと』もありますから。
●ロケーション
復興中のノイスハウゼン近く。アーカーシュの下です。
夕方が美しい一面の荒野。足場は特に問題なく、天気は晴れています。
『シラスさんとティセとリチャード』と『ヨハンさんとリーヌシュカ』が、敵の大軍に∞のような感じでそれぞれ囲まれている状態です。『ヨハンさんとリーヌシュカ』は合流のために、シラスさん達のほうに向かって強行突破しようとしています。
他の方はその外側からアプローチ出来ます。
●敵
とにかく数が多いです。
ならずものですが軍人崩れであり、さほど強くはないとはいえ、あなどれない相手です。
と言いたい所なのですが、まあ。皆さんが暴れればどうとでも出来るでしょう。
天衝種(アンチ・ヘイヴン)と呼ばれる魔物を引き連れています。
ほとんどの暴漢よりも、魔物の方が強いです。
・『リーダー』ゴンズ・タワバ
棘鉄球付きの鎖を振り回している巨漢です。
攻撃力とタフネスに優れる他、麻痺系のBSを保有しています。
今回の敵の中では一番強いです。
・暴漢(手斧)×6
至近距離の戦闘を挑んで来ます。出血系BSや致命を持ち、威力が高いです。
・暴漢(騎兵槍付きバイク)×6
超距離を縦横無尽に駆け、移動貫攻撃を仕掛けてきます。反応と威力が高いです。
・暴漢(火炎放射)×6
近距離扇に、火炎系BSを伴う神秘攻撃を行います。
・暴漢(ボウガン&ナイフ)×6
遠距離からボウガンを放ってくる他、近距離ではナイフで戦います。
・フューリアス×4
周囲に満ちる激しい怒りが、人魂のような形となった怪物です。怒り任せの衝撃波のような神秘中~超距離攻撃してきます。単体と範囲があり、『乱れ』系、『痺れ』系のBSを伴います。
・ラースドール×2
非常にタフです。ハンマーのような長い腕による高威力近接攻撃や、機銃掃射による中距離扇攻撃を行います。ハンマー攻撃にはブレイクを伴います。
・グルゥイグダロス×2
巨大な狼のような姿の怪物です。俊敏にして獰猛。かなり強いです。
その爪や牙に出血系BSを伴います。
●味方NPC
・『雷帝』ティセ・ティルマノフ
A級闘士にして帝国軍の特殊部隊員です。ものすごく強いですが、対個人戦闘に特化しているため、多数を同時に相手するのは得意ではありません。要するに単体攻撃しかないのです。
・リーヌシュカ(p3n000124)
強さはC級闘士のかなり上の方程度。
それなりにしっかりと戦闘力があり、一応範囲識別物理攻撃を持ちます。
・鉄帝国軽騎兵隊×4
リーヌシュカに同行している部下の一部です。
ライフルとサーベルを持った精強な兵士達です。
一人一人は暴漢達よりは強いですが、多勢に無勢。
・リチャード・マクグレガー
護衛対象です。戦闘はからっきし。
・『陸軍少尉』リュドミーラ
すずな(p3p005307)さんの最近の知り合いです。
指揮系の範囲支援能力を持ちます。身軽なので一応戦闘も可能です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
また暴漢達の性癖にも疑問が残ります。
●戦闘後にアーカーシュの上で会えるNPC
上記『味方NPC』に加え、以下の人々に会えます。
・『歯車卿』エフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフ
インフラ系の政治家で、アーカーシュにおける、いわばプロジェクトリーダーを努めていました。
帝都にも戻れず、なし崩しで後述のアンフィフテーレと共にアーカーシュを運営しています。
・『レリッカ村長』アンフィフテーレ・パフ
亡きパトリック・アネル大佐に書類をねつ造され、帝国軍の少佐になってしまった人物です。
エフィムと二人三脚でアーカーシュを運営しています。かわいそう。
・『魔女』ヘザー・サウセイル
アーカーシュに最近現れた謎の女性です。
協力姿勢を見せているのですが、多くの人と距離をとっています。
何かひっかかりを感じます。
・他
アーカーシュに居そうな人達。レリッカの住人達などに会うことも出来ます。
Tweet