PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<竜想エリタージュ>フリーパレットのバラエティ番組みたいな心残り

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●竜宮の伝説
 かつて――勇敢なうさぎがいた。
 そのうさぎは、海に住むサメと知恵比べをし、見事それを制して海を渡ったと伝えられる。
 そんな勇敢なうさぎの伝承は、ここ、竜宮にも伝えられていた。
 そんな勇敢なうさぎにあやかろうと、竜宮嬢・竜宮男子たちはバニーの称号を得るために切磋琢磨している。
 接客。技芸。教養。あらゆるものを手にし、己を磨いた者だけが、竜宮でバニーを名乗ることを許されるのだ。
 さて、竜宮ではそんなバニーになるための最終試験が存在する。
 試験会場は、竜宮の町はずれ。竜宮・スポーツ会館。室内スポーツや屋外スポーツ、色々なスポーツを楽しめる場所で、休日に汗を流す竜宮の民の姿も見えたこの施設。
 行われる試験は――シンプルな鬼ごっこ、である。追いかけるのは、竜宮でもエキスパートな竜宮嬢・男子たち。この『鬼』は、先述の伝承になぞらえて、サメの着ぐるみを着ている(サメの着ぐるみを着ているが、エキスパートな竜宮嬢・男子たちなので、すごく俊敏に動ける)。そんなサメたちから、規定時間の間逃げ続ける。それが、バニーになるための最終試練なのである。
 さて、鬼ごっこ、とは言ったものの、当然逃げるだけでは終わらない。途中では様々なミッションが発生し、それを協力して突破しなければならないのだ。失敗すれば、制限時間の延長や、サメの追加投入と言ったペナルティが発生する!
 このミッションを協力・或いは競争して解決し、規定時間の間、サメから逃げ続ける。知力体力精神力、それらを高度に要求される、まさにバニーになるためにふさわしい試練――!
 それが、『イナバ・サバイバル』である――!

「っていうせっていのばんぐみをつくりたいからやって」
 と、フリーパレットにそう言われたので、
 シフォリィ・シリア・アルテロンド (p3p000174)
 アルテミア・フィルティス (p3p001981)
 リディア・T・レオンハート (p3p008325)
 仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)
 ソア (p3p007025)
 レイリー=シュタイン (p3p007270)
 紫電・弍式・アレンツァー (p3p005453)
 ルシア・アイリス・アップルトン (p3p009869)
 の八名は、一瞬、顔を見合わせた後、異口同音にこう言った。
『何を言ってるんだ』
「そんな伝説聞いたことないけど」
 と、マール・ディーネーが小首をかしげる。
「竜宮ってそういう伝説があるんだね」
「騙されないでくださいマールさん、全部フリーパレットのでたらめです」
 とシフォリィが言うので、マールは目を丸くした。
「嘘だったの!?」
「というか、竜宮の重要人物が知らない時点で気づいて」
 ソアが肩を落とす。
 というわけで、蒸気の伝説とやらはすべて茶番だったし、バニーになるための最終試験とやらも存在しない。すべては『台本』。フリーパレットの用意した『設定』である。
 竜宮は、ローレット支部。たまたま仕事を探していた八人と、ローレットで遊んでいたマールは、竜宮近辺で発生したフリーパレットの『昇華』を依頼される。フリーパレットは、いわば残された思念の塊のようなもので、この『無念』を解決すれば、想いは昇華されて消える存在だ。適切ではないが、幽霊の未練解消、というようなことを行う必要がある、と言っていいだろう。
「で、なんなのだ、このフリーパレットは。元テレビクルーか何なのか?」
 汰磨羈が尋ねるのへ、フリーパレットがふるふると首を振った。
「ぜんぜん おぼえてない けど みれん」
「未練って言っておけばなんでも済むと思ってません……?」
 リディアがげんなりした様子を見せる。
「とにかく みんな バニースーツで おにごっこ してほしい
 あと つかまったら マイクロビキニになる」
「なんで?????」
 ルシアが宇宙猫みたいな顔をした。
「どうしてでしてー??????」
「バニーに なれないもの 失格。マイクロビキニは着てもらう」
「よくわからないのだけれど」
 レイリーが手をあげた。
「バニーを着るのは強制?」
「きょうせい」
「マイクロビキニになるのは?」
「きょうせい」
「このフリーパレット、洗井落雲の残穢とかじゃないの????」
 レイリーがくっ、と言うのへ、
「まだ死んでないから、それはないだろうが……」
 紫電がため息を吐いた。
「とにかく……これは、あれだ。やらないといけないパターンだ」
「そう。ハイ・ルール。ぼくたちもしってる」
「弱みを握られた気分ね」
 アルテミアが言った。
「まぁ、なんだか、私も慣れてきたの……こういう時は、色々諦めてとりあえず仕事はした方がいいわね。
 それに、サメに掴まらなければ、マイクロビキニににはならないのでしょう?」
「ならなくていい」
「言質取った」
 アルテミアが頷く。
「なら――簡単よ。私たちの全力を以って、逃げ続ける。マイクロビキニはそれで避ける――できるわ、私達なら」
 アルテミアが、にっこり笑った。
「まぁ、最悪皆のことは見捨てて、私だけ生き残るから、大丈夫」
(みんなで協力して、絶対にこの依頼をブレイクしてやりましょう!)
 シフォリィがにっこり笑った。
「そうですね、最悪私だけでも無事なら大丈夫です!」
(ええ、絶対に、洗井落雲の思い通りにはさせません!)
 ソアが肩を落とした。
「この姫騎士たち、本音と建前が逆になってる……」
「だが、多分これそういう依頼だぞ」
 汰磨羈がため息を吐く。
「だんだん……私も慣れてきた……」
「たまきち……」
 紫電がほろりと泣いた。
「とにかく! やるならやるわけでして!
 こうなったら、ドッカン大魔砲でサメなんてやっつけてやるわけでして!」
「あ、サメにこうげきするのはだめ みんな竜宮のひとたち だから」
 フリーパレットの言葉に、ルシアがえー、と声をあげる。
「という事は、純粋に脚力と、足の引っ張り合いになりそうね」
 レイリーが言う。
「気は進みませんが、やるしかありませんね。正々堂々、足の引っ張り合いをしましょう!」
 リディアがそういうのへ、仲間達は頷いた。
「あ、じゃあ、あたしもサメで出るね!」
 と、マールがにこにことしながら言ったので、イレギュラーズ達は苦笑した。まぁ、マールなら大丈夫だろう。戦闘能力はさほどないタイプなので。
「それじゃ みんな がんばって」
 フリーパレットがふるふると震えるのへ、イレギュラーズ達は頷く。
 かくして、バニーさん達の大逃走劇が始まる!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオなので、僕もwin-winって感じです。

●成功条件
 フリーパレットの未練を解消する

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 バニーさんがサメに追いかけられて、掴まるとマイクロビキニなる感じのバラエティ番組が作りたい――。
 と、フリーパレットは言いました。
 ならやりましょう! 作りましょう! なぜならそれが仕事だから!
 というわけで、皆さんは、バニースーツ(重要)サメ(鬼役)から、5時間ほど逃げ回ってください。フィールドは、学校をイメージしてください。大きな校庭。体育館。プール。校舎の中には大小さまざまな部屋があって、隠れることも可能です。この広大な『竜宮・スポーツ会館』が、今回の逃走フィールドです。有りそうなものは大体あります。有りそうなものをフルに利用し、時に協力し合い、時に蹴落とし合って、とにかくマイクロビキニを着せられるのを回避しましょう!!!!
 ただし、逃げ続けるだけではいけません。途中でいくつかの試練が発生します。皆さんがプレイングででっち上げてもいいですが、例えば以下のような試練(ミッション)が発生します。

 ミッション:サメ抑制
  ゲームスタートから一時間後、校庭の真中にスイッチが現れます。30分以内にこのスイッチを押さないと、サメが数名追加され、逃げる難易度が上がります。
  ただし、スイッチを押す役割の人は、無防備に校庭の真中に出てしまうため、サメに襲われる可能性は高くなります。

 ミッション:透明化
  ゲームスタートから二時間後、プールの真中にカードが設置されます。このカードを持っているものは、入手から一時間『透明』になり、サメから視認されなくなります。
  これを使えば、一時間ほど余裕ができるので、他人を蹴落とす余裕ができたりします。が、当然サメもプールを警戒していますし、仲間同士で奪い合いにもなるでしょう。無視するのも一つの手。

 ミッション:最終サメ放出
  ゲームスタートから4時間後、後者屋上と、体育館に一つずつ、計二つのスイッチが現れます。
  このスイッチを協力して押してください。さもなければ、大量のサメが放出されます。

●サポート参加者について
 サポートを解放しております。サポート参加者は、『必ずサメ陣営』になります。全力で追いかけたり、他のサポート参加者と協力したり、通常参加者と裏取引したりなどして、通常参加者のバニーさん達を捕まえてください。とはいえ、サポートサメ陣営の人も安心安全の立場というわけではなく、一時間以内に誰かを捕まえられないなら、服が爆散してマイクロビキニになります。同じ苦しみを味わおうよぉ。

●マール・ディーネー
 マールちゃんが何となくサメ役で参加しています。サメ役ですけど、サメの着ぐるみじゃなくてバニーで走ってます。騙されませんよう。
 ちなみに、あんまり身体能力は高くないので、普通に逃げられます。でもマールちゃんは楽しそうです。皆と遊べるのがとっても楽しいのです。

●フリーパレット
 カラフルな見た目をした、海に漂う思念の集合体です。
 シレンツィオを中心にいくつも出現しており、総称してフリーパレットと呼ばれています。
 調査したところ霊魂の一種であるらしく、竜宮幣に対して磁石の砂鉄の如く思念がくっついて実体化しているようです。
 幽霊だとされいますが故人が持っているような記憶や人格は有していません。
 口調や一人称も個体によってバラバラで、それぞれの個体は『願い事』をもっています。
 この願い事を叶えてやることで思念が成仏し、竜宮幣をドロップします。

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
 https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

 以上となります。
 それでは、仲良く相談してくださいね☆

  • <竜想エリタージュ>フリーパレットのバラエティ番組みたいな心残り完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年09月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

(サポートPC6人)参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ

「……今のところは、静かなのね……」
 と、そういうのは、『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)。白のバニースーツに黒タイツの可愛らしい姿に、僅かに頬を紅潮させる。どうしてこうなった。
 レイリーは、近く居にいたカメラクルー(これは絶対いる)に隠れるように促すと、ゆっくりと顔のぞかせる。そこには、サメ風の着ぐるみを着た『亜竜祓い』レオナ(p3p010430)の姿があった。サメ役に志願したイレギュラーズである。
「……」
 レオナは静かにあたりを探っている。音をたてるのは、まずそうだった。レオナと正面からはやり合いたくない。
「……ふむ。意外と見つからないものだが――」
 そう呟いた刹那、レオナの衣装がボン、とはじけた。中から現れたレオナの身体は、マイクロビキニでかろうじて隠されている。くっ、とレオナが呻く。
「時間制限か……サメとてリスクを背負っている。だが、この程度で私は止まらないぞ……!」
 レオナはうん、と唸ると、そのまま進みだした。レイリーが安堵の息を吐く。
「マイクロビキニ……! 兎に角捕まらなければ、私の尊厳は守られる……!」
 レイリーが決意の声をあげる。さて、一方、段ボールの中でごろりと丸まっているのは、『雷虎』ソア(p3p007025)である。
「ぶーっ……ボクは狩る方じゃないと嫌なのに」
 不機嫌そうに、段ボールの中でしっぽがぱたぱたと揺れる。ちなみに、カメラクルーはダンボールの外にいるが、サメはカメラクルーを認識できないので大丈夫です(そういう事になっている)。そうぼやくソアの耳に、ぴんぽーん、というチャイムの音が聞こえた。
『ミッションを開始します。第一ミッション、サメ抑制――今から30分以内に、校庭のスイッチを押さなければ、サメが追加されます』
「う、ミッションだ」
 ソアが呟いた。うずうずと、身体がうずく。たのしそう。どうせなら、追いかけっこをすれば楽しいだろう。
「よーし、ボクも行ってみよ!」
 ばさっ、とダンボールをフッ飛ばして、ソアが立ち上がる。ソアもバニーである。虎バニー。かわいい。
「うん、これは協力だよね。皆で頑張らないと、みんな不利になる……なら!」
 ぴょーん、と飛び跳ねて、ソアが走り出す。カメラクルーがてこてことついていった。ちなみに、カメラクルーは竜宮のバニーさんたちなので、この空間のバニー濃度は非常に高い!
 さておき。ソアが廊下の窓から校庭を見れば、確かにあからさまな台の上に、あからさまな赤いボタンが置いてあるのが見える。近くに目を凝らしてみれば、『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)が物陰に隠れているのが見える。
「むむ、先を越されちゃうかも……ううん、最終的にボタンが押されればいいなら……どう動くべきかなぁ」
 ソアが唸った。今回のは、見かけ上は協力型である。皆で力を合わせてボタンを押せばいいわけだが、必然、実行役は最もリスクを背負うことになるし、リスクを回避するために、自分は逃げ続ける、という事も選択肢としてありうる。
「むむ、なやむ……どうしようぅ~~」
 くらくらくるくる、と目を回すソア。一方、視線を移せばリディアが物陰からボタンを確認しているわけだが、近くにはサメ役の『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)が、他のサメたちを率いて警戒している。
「ミッションがある以上、此処を警戒するにこしたことはない。守り切れば、僕たちが有利になる」
 思いっきり統制とカリスマを発揮するシューヴェルトによって、サメたちは完全に統率の取れた集団となっている。これを一人で突破するのは、むずかしい。
「うーん、此処は見の一手ですね……むしろ、今回の私は隠れ身(ハイド)。あらゆるスキルを利用し、姫騎士たち……特にわがままボディの二人を! 必ずやっつけてみせますとも!」
 ぐっ、と気合を入れてみるリディア。ちなみに、今回参加した姫騎士は、リディア、レイリー、そして『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)と『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)の四名。特にわがままボディなのは後者の二名である。
 さて、そういうわけでリディアはこっそりと校庭から離れていく。ところで、アルテミアとシフォリィも、その場にいた。アルテミアは囮役をかって出るつもりであったし、シフォリィはそんな囮がいることを織り込み済みの上で、己の行動を決定していた。
「……正直、少しでもサメの増加は抑えたい……ならば、誰かがやってくれるなら、私が囮になるしかない……!」
 アルテミアはそういう思考であったし、
「誰かがミッションに参加するならば、手伝う事にしましょう。人がいれば、それだけこちらの狙いも分散されますし、身代わりにできる確率も高くなります……!」
 シフォリィはそういう思考であった。そういうわけだから、飛び出すとしたら、アルテミアが先になる。この時、二人の姫騎士は別々の場所にいたが、ある意味で利害は一致していた。さて、そんな中、様子をうかがうものがいる。『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)だ。
「ううむ、誰か、突撃するものがいれば、同時に動き出せるのだが」
 呟く。いざとなれば、サメを散らすことも手段に考えていた。サメ抑制は、自分にとっても利益のある事であった。とはいえ、互いに連絡の取りづらい状況で、一人での突撃は、ほぼ自殺行為に近い。
「うーん、ちかよりがたいわけでしてー」
 と、屋上から校庭を見下ろしてそういうのは、『ょぅι゛ょ』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)である。得意の飛行能力を活かし、器用に逃げ回っていたルシア。バリケードの設置なども行っていたが、妖怪バリケード絶対許さないサメことレオナが徘徊していたので、それは今一つ上手くいっていない。が、それはそれとして、ルシアの飛行移動は逃げるのに役立った。欠点は、カメラクルーが追いかけるのがすごく大変な所。
「ふぅむ、俺にはファーストミッションは興味がないが」
 『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)が、屋上でそういう。ほぼすべてのサメは、今や主戦場となった校庭に集まっている。激しい戦いが予測された。が、誰も動かなければ、シューヴェルトの服が爆散してマイクロビキニになるだけで終わる。
「どう動くか……は気になる。果たして、脱落者は出るのか……」
「あ、何か動きがありました!」
 ルシアが声をあげる。紫電が、屋上の作から身を乗り出した。
 校庭を、一直線に何かが走っている。それは、一人の白き騎士である!
「さぁ、リット。一気に決めるわよ!」
 そう、レイリーだ! レイリーは愛馬のリットと共に、校庭を駆け抜ける!
「しまった! ボタンを押させてはならない!」
 シューヴェルトが叫ぶ……一方、アルテミア、汰磨羈、シフォリィは、今! とばかりに飛び出した!
「ヘイヘイ、サメちゃんびびってるぅ~!?」
 汰磨羈が煽る! シューヴェルトは三方から現れた新手に対し、レイリーを捨てる決断を下した!
「レイリーを捕まえることは困難だ! 残りの三人を狙ってくれ!」
 これは、この時獲りうる最善手であったが、しかし結実せぬ策であったといえよう。サメが、猛スピードで迫るレイリーを捉えることは難しい。が、同時にすでに囮に徹して逃げる気満々である汰磨羈たちを捉えることも、また難しいのだ。が、他に取りようのない状況、これはバニーたちの作戦がちといえる!
「ボタン、貰ったわ!」
 レイリーが、ボタンを叩く。ぴんぽーん、となり、アナウンスが響く!
『ミッション成功。サメの抑制成功――』
 響くその声と同時に、シューヴェルトの服が爆散し、中からマイクロビキニが現れた! シューヴェルト・マイクロビキニである!
「よし! 上手いく行きましたね!」
 シフォリィの言葉に、アルテミアが頷いた。勝てる。この戦い。皆ならば――間違いない快進撃が始まろうとしていた。
 だが、その調子が続いたのは、ここまで出会ったことを記しておこう。

●脱落者たち
『皆でマイクロビキニ着れば速攻解決っすよ〜』
 無駄に勇壮なBGMと共に、放送室から『元魔人第十三号』岩倉・鈴音(p3p006119)の声が響く。投降を促す声だが、しかしその声に従うものはいるまい。何せ、投降すればマイクロビキニなのだ。
『いいんすか~? 着るは一時の恥。着ないは一生の恥……なんか違うっすね。でも、一回きちゃえば楽になるっすよ~』
 鈴音の声がそう響いた刹那、放送スピーカーから「パァン」と何かがはじける音がした。そのすぐ後に、「なんじゃこりゃ〜」という鈴音の声が響いた。時間制限でマイクロビキニになったのだろう。
 さて、紫電である。紫電はと言えば、サメのマールの後ろをこそこそとついて回っていた。というのも、ミッションのためだ。ミッションは、密告。マールの背中についてる張り紙の番号を、校庭に設置された電話からは報告すればOk。マールはあまり身体能力は高くないが、それでもサメに近づかなければならないというリスクは背負う必要がある。
「……」
 紫電が、マールへと迫る。ゆっくり。気配を消しているのは、さすがというべきか。普段のマールであったら、間違いなく、紫電の接近に気づくことはなかった。
 紫電がマールの背中へと手を伸ばした刹那、くるり、とマールが振り向いた。
「なっ」
 紫電が声をあげる。ここで真っ先に、退避にうつろうと体をそらしたのは、紫電の反射神経の鋭さであっただろう。が、今回はあまりにも、虚を突かれ過ぎた。言ってしまえば、備考の素人が、子供に気づかれた、ようなものなのだ。あまりにも不思議な事態。故に、紫電はその動きが遅れた。
「あ、紫電さん! ほんとだ~! なんか、変な声の言う通りだね!」
 ぱっ、と紫電の腕が捕まれる。同時、紫電のバニー服がはじけた。中からマイクロビキニが現れる!
「う、うおおおおおっ!?」
 顔を真っ赤にして、己が身を抱く紫電!
「な、何で!? なんでわかったんだ!?」
 ――ふふふ……紫電さん、油断しましたね……?
 と、脳裏に声が奔る!
「リディア!? テレパスか!?」
 紫電が叫んだ。
 ――その通りです……! 先ほどからマールさんに、アドバイスを送っていたのはこの私です……!
「アンタ、裏切ったのか!?」
 ――裏切り? ふふ、私は最初から、私の味方ですよ。それでは、マイクロビキニをお楽しみください……。
「くそっ、はなせ! サメ! やめろ! 死にたくなーい!!!」
 まぁ、死なないわけであるが、初の脱落者となった紫電は、マイクロビキニ姿のまま校庭でさらされることとなった……!
 一方で、三番目のミッションが実行されている。舞台は、プール。これは争奪戦のようなミッションで、透明化、のカードを得らえるというものだ。これを得られれば、しばらくの間、サメに認識されなくなる。強力なカードだ。
 そんなわけだから、部隊となるプールには、多くのイレギュラーズ達が集まっていた。プールサイドにさりげなくいる猫などは、汰磨羈である。紫電脱落の報は、汰磨羈たち他のイレギュラーズ達にも入っている。それは衝撃を走らせた。
「……あれ、汰磨羈さんだ……」
 プールサイドにさりげなく虎がいる。ソアである。
「……あれ、虎じゃない?」
 サメがそういうので、ソアは鳴いた。
「にゃーん♪」
「なんだ猫か……」
 サメは純粋な竜宮の民なので信じた。プールの真中に浮かべられた小島に、カードが置いてある。さっさとそれをとればいいのではあるが、しかしそういうわけにもいかない。サメはプールサイドに集まっているのだ。正体を現せば、あっという間に囲まれてしまうだろう!
「うーん、どうしようかな……」
 にゃーん、とソアが言う。今動かなければ、しかし時間だけが過ぎていく――。
 が! そこに火線が走った! ぼう、とプールサイドを炎が包む――いや、包むなよ! 誰だこういう事をするのは!
「ふふふ、マイクロビキニなんていう破廉恥な格好をする訳にはゆきません……!」
 そう、サメ役の『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)だ! 問答無用の一撃が、プールサイドを灼熱にかえる!
「ふふ、どうして攻撃を? と思った事でしょう。理論的に考えてごらんなさい。サメは竜宮の民だから攻撃してはいけない……ならば、竜宮の民ではないイレギュラーズであるバニーチームは、攻撃してもいいということ……!」
 なんという屁理屈! 着の影に潜んでいたルシアも思わず声をあげる!
「き、危険思想でして!!」
「ですが、ルシアさん。魔砲撃ちたいですよね?」
「でしてっ!?」
「いいですか、よく聞いてください。シナリオ詳細を読む限り、バニー達の同士討ちは禁止されていません。良いですか?」
「でしてー」
「そこで、茨で【体勢不利】で被ダメの増えた方に、私の火線砲IIの代わりに存分に魔砲を撃ち込んで下さっても構いませんよ」
「でして……!?」
「ええ、いいのです。欲求を溜め込む必要はありません。爆発させてください」
「で、でして……っ!」
 なんという事を! ルールにかかれてないからやってもいいよね、という精神がより厳しいルールを呼び、窮屈な社会を作るのだと思います!! そんな話はさておき、もはやぐるぐる目になったルシアは止められないのだ!
「ま、魔砲、撃つのでしてーーっ!?」
 混乱状態だ! 解き放たれる魔力砲撃が、プールサイドを擦過する!
「いかん、離脱-ッ!」
 汰磨羈が叫び、ギフトによる変身を解いた。バニーたまきちがプールサイドのフェンスに着地した瞬間、ルシアの魔砲がフェンスを焼く!
「しまっ……!」
 バランスを崩し転倒する汰磨羈! そこにサメたちが殺到した!
「ぬわーーーっ!!」
 悲鳴を上げる汰磨羈の服がはじけ、マイクロビキニが披露される! 同時、ソアは泳いだ! チャンスは今。この混乱の中なら、カードを確保すれば自分に手は出せない――。
「と、思っていたの?」
「!?」
 ソアが声なき悲鳴を上げる! プールサイドの中から、泳ぎやってくる、それはサメ……ああ、違う! アトラクトステウス! 『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)だ! ここでカードを狙うバニーを待っていたのだ! ずっと! イリスがソアを掴む! どうじ、ぱん、と服がはじけてソアがマイクロビキニになった――!
 この時、脱落者、三名。汰磨羈、ソア、ルシア。ルシアは魔砲ハッピーになってる所を、他のサメに掴まったのである。なお、エルシアは実は先導はしたけどルシアを捕まえていなかったので、時間制限でマイクロビキニになった。イリスも何となくマイクロビキニでサービスシーンをお見せしつつ帰った。
 かくして、生存者、残り4名……!
 ここで、サメがさらに追加される! その名を、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)――!

●バニー全て斃れる
「最後のサメ抑制ですか……」
 リディアが呟く。屋上と、体育館。両方のボタンを押さなければ、大量の鮫が追加される。屋上には、レイリーが向かったらしい。体育館には、誰が向かっただろうか……もし、誰も向かっていないのであれば、レイリーは墜ちるだろう。それは、意図的にレイリーを堕とせる、という事でもあった。
 この時、奇しくも残ったのは四名の姫騎士。うち三名の姫騎士の思惑は一致していた。「このまま隠れていよう」である。
 そんなわけだから、数分後、レイリーの悲鳴が聞こえていた。屋上から。
「なぁぁぁぁんでぇぇぇぇぇぇ!!」
 ぱぁん、と、屋上でマイクロビキニを晒すレイリーの姿が、何となく見える。よかったね、いちばん目立ってる。さておき、如何にレイリーと言えど、もう片方に動きがないのならば、もうどうしようもないのは事実だ。そしてどういう訳か、サメたちは異様に統率がとれている。それが、屋上のレイリーをマイクロビキニにかえた所以でもあった。シューヴェルトは初期に行動したため、既に脱落。サメたちを率いるものはいないはずだが――。
「ファンドね……」
 教室の一室に隠れたアルテミアがそういう。先ほどかい放出されたサメ、寛治。寛治なら、残るサメを組織的にも使うだろう。さて、どうしたものか――そう呟いた刹那、教室の扉が開いた。アルテミアが警戒する。が、そこには、リディアの姿があった。

「マールさん」
 そういうのは、シフォリィだ。マールはぱぁ、と目を輝かせて、
「あ、シフォリィさーん!」
 ぴょん、と飛び出し――止まった。
「って、逃げなきゃだめだよ! 捕まえちゃうよー!」
 わーっ、と声をあげるマール。無言で捕まえたりせず、そういうのは、遊んでいるような気分なのか。やっぱり、いい子なのだろう。
「いいんです。マールさん。私は、捕まりに来ました」
「え、どうして?!」
 マールが目を丸くする。シフォリィは笑った。
「これは竜宮嬢の最終試験という設定です。伝承のうさぎはサメと知恵比べをしましたが、和解するという勇気の形があってもいいと思います」
「わかい……」
「仲良くしようね、ってことですよ」
 その言葉に、マールは笑った。シフォリィも笑った。
「うん……そうだよね、仲良くしたい……あたしも、シフォリィさんと!」
「マールさん!」
 シフォリィが、微笑んだ。マールは嬉しそうに笑って、その胸に飛び込んだ。ぎゅ、とマールが抱きしめる。シフォリィも、その身体を抱きしめ返した。
 同時に、アナウンスが響いた。
『生着替え~』
「は?」
『シフォリィさんには生着替えをしていただきます。さぁ、さぁ! お願いします!』
 なんかアライグマみたいな竜宮の民が沢山出てきて、シフォリィの周りで踊った。カメラがぐるぐると、シフォリィを写す。
「ま、ちょ、マールさん!? 放して!? これ、まずい!」
「シフォリィさん、だいすきー!!」
「じゃなくて! 放して! はーなーせー!!」

「シフォリィさんがやられたようですね……」
 リディアが言う。シフォリィが、泣きながら生着替えをしているのが見えた。
「おそらくこれも、ファンドの手口……」
 アルテミアが言うのへ、しかし声が響く!
「失敬ですね。元からあった設定を利用したまでのこと」
 そう、サメのファンド、寛治である。
「寛治さん!」
 アルテミアが叫んだ! そう、いつの間にか、この場は寛治のサメ軍団に包囲されていたのである! これは、逃げるのも困難だ。アルテミアは本能的に察した。この場でとるべき手は、一つ……!
「ごめんなさいリディアさん……私の為に犠牲になって?」
 高速でそういうや、アルテミアはリディアの背中をポン、と押した!
「あっ、酷」
 リディアが断末魔の悲鳴を上げる! 体勢を崩したリディアに、サメが殺到した! ぼん、と服が爆ぜて、マイクロビキニがあらわとなる!
「ああああああっ!」
 リディアが顔を真っ赤にして涙目で叫んだ。可愛いね。一方、アルテミアは隣の教室に飛び込む。ここから、窓を使って外に逃げれば、まだ勝機はある! アルテミアが、窓に手をかけた。ぐっ、とひっぱる。だが、あかない。あかないのだ。一分も、まったく。
「どうして、開かないの……?」
 アルテミアが焦りの声をあげる。寛治の声が響いた。
「残念。この建物の窓、封じさせていただきました」
「そん、な」
 アルテミアの表情が、恐怖に歪んだ。無数の鮫たちが、にこにこ笑いながら、アルテミアに襲い掛かる!
「ま、待って!? いや! マイクロビキニはイヤァァァァァァッ!!」
 ばぁん、とアルテミアの服が爆散した。中からマイクロビキニが飛び出る! その身体は豊満であった。
「ふふ……その格好も、次のファンドにして差し上げますよ」
 寛治は笑った。勝った、と確信した。だが、彼も計算ミスがあった。アルテミアもリディアも、捕まえたのは、寛治の指揮したサメたちだ。つまり、『寛治は捕まえていない』。
 そのことに気づいた瞬間、寛治の服がぱぁん、とはじけた。見事なマイクロビキニを着た寛治が、呆然と教室の真中に立っていた。

 おわり。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 じゃあ、皆のマイクロビキニイラストを楽しみに待っています(パァン、と洗井落雲の服がはじけてマイクロビキニになってオチ)

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