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シナリオ詳細

<光芒パルティーレ>君が夏だと喜んだから

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●白昼夢(?)
「海だよ!」
 両腕を空へと伸ばす。澄渡った青空が何処までも広がっていて。セルリアン・ブルーの海に指先を浸してから「冷たい!」と喜んだ。
 再現性東京の海は人工的に作られた物だった。夏休みに入ればプールやビーチに遊びに行こうという『約束』は彼女が一方的に押し付け(?)てくれては居たが、海洋王国のシレンツィオ・リゾートへの旅行は夢のまた夢であったと言えよう。
「こっちこっち!」
 ビーチサンダルの爪先にミスト・ホワイトの砂が食い込むのが擽ったい。
 くしゅ、と入り込んでからさらさらと落ちていく様に、見慣れぬ海洋生物が慌てた様に走り抜けていく。

 ――という、白昼夢を見たのさ。
 そんなことを言いたげな顔をして旅行用チケットを押し付けられて遙々、連れ出されたのは『なけなしの一歩』越智内 定(p3p009033)。
 彼の目の前で、水着姿で燥ぎ回っているのは『猫鬼憑き』綾敷・なじみ(p3n000168)、その人だ。
「いや、僕は再現性沖縄とか行こうぜって誘ったんだぜ? ここ、海洋王国の、それもフェデリア海域って奴じゃないか?」
「うん、そうだね。あ、ジョーさんもイカヤキ食べる?」
「凄く馴染んでるよね、花丸ちゃん。君って奴は!」
 烏賊の姿焼きを囓っていたのは『いつも』通りの仲良しガール、『竜交』笹木 花丸(p3p008689)であった。
 水着の上にパーカーを羽織り、パラソルへ向かって歩いて行く最中の彼女は日焼止めを取ってきて欲しいと頼まれていた様子である。
 ついでに烏賊と幾つかの食料を購入したのは『なんとなく』なのだ。
「まあ、来ちゃったものは楽しむしかないでしょう?」
「そうだけどさ!」
 パラソルの下で待っていた音呂木・ひよの(p3n000167)は花丸から渡された烏賊を囓りながら首を傾いだ。
「問題あります?」
「だって、此処、何かモンスター出るかも知れないんだぜ!?」
「え、なじみさんも倒せる!?」
「危険だと思うけど!?」
 開始時から声が枯れてしまいそうだと定は頭を抱えた。
「いや、一番の謎は俺ちゃう?」
 ついつい関西(再現性大阪っぽい雰囲気の)訛りを発した『ケータリングガード』カフカ(p3p010280)は定とひよのを見比べる。
「カフカさん、保護者枠ですよ。いいじゃないですか、ねえ?」
「あ、そうだね。保護者必要だと思う。ジョーさん頼りないし」
「まあ、それはーそうかもしれないけどー」
 適当に流したカフカはビーチで楽しげに走り回るなじみを見詰めてから「どうするん?」と問い掛けたのだった。

●本題
「私やなじみをダガヌ海域調査に連れて行くのは不安でしょうから、リゾート内の探索を楽しむのは如何でしょう?
 と、言いますのも三番街にはスリが多発しているそうなのですよね。スリをとっ捕まえてからビーチで遊ぶのです」
 所謂、仕事をしましたとアピールしておけば其れだけでローレットから賃金が出るでしょう、という話なのだそうだ。
 勿論、希望ヶ浜学生ボーイ&ガールにとっては簡単なお仕事でお駄賃を貰えた上に、コンテュールの所有するビーチやホテルを思う存分楽しめるというのは魅力的だ。
「で、此処から本題なんですけど、スリは基本的に油断したときにやってきますでしょう?
 シロタイガー・ビーチに場所を移して売店でアルバイトをしながら窃盗団を取り締まることにします」
「アルバイト?」
 カフカへとひよのは頷いた。公共ビーチであるシロタイガー・ビーチの売店では食事のために目を離した隙に財布が盗まれるという事件が頻発しているらしい。
 勿論、レストラン街やショッピング施設でもそれらは有り得るが売店での被害が多く、客足も疏らになってきたらしい。
「水着にエプロンを着けて商品を運ぶだけでけの簡単なアルバイトですし、一応バイト代もでますから。
 カフカさんってそういうのお得意ですよね? なじみってバイト経験がないので社会勉強がてら教えてやって下さい」
 ひよの自体はカフェローレットでウェイトレスのアルバイト経験を有する巫女である。
 由緒正しき神社の巫女でカフェローレットのウェイトレスで、年齢不詳で、先輩枠で……よく考えれば属性を盛りまくったライトノベルヒロイン系ガール、音呂木ひよのである。
 薄らと微笑んだひよのに花丸は「賄いはあるのかな?」と問い掛けた。
「かき氷、食べましょう。舌の色が変わっちゃうシロップを選んで。あ、それから焼きそばも良いですよね」
 アルバイト要員を集めて、皆でスリを捕らえたら、ビーチで遊んだりショッピングを楽しみましょうとひよのは微笑んだ。
「さあ、『海の家』でのアルバイトを始めましょう!」

GMコメント

夏あかねです。
部分リクシナで再現性沖縄と定君が言っていましたが無理矢理なじみさんが連れてきました(確定ロール)

●目的
・スリを捕まえろ!
・海の家でアルバイト&ビーチ遊びだ!

時刻は御前10時過ぎから。夜まで過ごすことが出来ます。
スリは「見かけたら逮捕だ!」位でもオーケーです。所謂「えいや!」と敵をやっつける事が出来ます。

●服装について
(海の家でのアルバイト&ビーチ遊び)水着orジャージなどの軽装+アルバイト用のエプロン
(ショッピング関係)私服

 アルバイト用のエプロンは『海』と書かれています。シロタイガー・ビーチは豊穣が整備した場所ですのでテイストが日本ですね。

●スリ
 3人くらいのちょっとちゃらちゃらしたお兄さんです。えいや!として逮捕すればカムイグラの刑部省(警察の皆さん)が捕縛してくれます。

●ロケーション
 ・海の家
 海の家です。日本のビーチに存在するものを想像していただければと思います。
 シロタイガー・ビーチに存在する海の家ですが、スリ被害が多く少し一足が疏らに……。
 何らかの屋台を出してお客様を呼び寄せたり、アレンジメニューを出してみるのも楽しそうです。
 なじみさんは放置しておくとぴょんぴょん跳ねながら「アイスキャンディーいらんかねー!」をし出します。
 ひよのはウェイトレス経験があるので給仕なら任せてあげて下さい。
 賄いはかき氷や焼きそばを食べる事が出来ます。海の家で働いた料金はちょびっとですが報酬にGoldとしてアルバイト料金が出ます。

 ・ビーチ
 海の家でパラソルや浮き輪の貸し出しも行っています.勿論水着も。
 シロタイガー・ビーチを思いっきり遊ぶことが出来ます。南国そのものの風景です。
 因みに、再現性東京の海は『人工』で『再現された』ものなので、海の雰囲気はかなり違うようです。

 ・ショッピング・レストランエリア
 カフェやアクセサリーショップなどが並んでいるエリアです。
 シレンツィオ・リゾートの『シロタイガー・ビーチ』に記載されたままをお楽しみいただけます。
 なじみさんは此処でピアスを買いたいそうです。ひよのは「水夜子さんがいそう」と言っていました。

●NPC
 ・音呂木・ひよの (p3n000167)
 ・『猫鬼憑き』綾敷・なじみ (p3n000168)
 二人はばっちりいます。ひよのとなじみは皆さんと遊ぶ……いえ、シレンツィオの冒険(旅行)を楽しみにしています。
 初対面であれど気軽に話しかけてください。二人とも結構気易いタイプです。

 ・澄原 水夜子 (p3n000214)
 ・建葉・晴明 (p3n000180)
 呼べば遊びに来ます。水夜子さんはショッピングエリアでうろうろしていそうです。
 中務卿は其れこそ、カムイグラ出資のエリアなので見回りなどをしているでしょう。
 どちらも「手伝って!」「遊んで!」といえばお気軽にやってきますので気軽に声を掛けてあげて下さい。

●シレンツィオ・リゾート
 かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
 現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
 多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
 住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
 https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio

●名声に関する備考
<光芒パルティーレ>では成功時に獲得できる名声が『海洋』と『豊穣』の二つに分割されて取得されます。

  • <光芒パルティーレ>君が夏だと喜んだから完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
恋屍・愛無(p3p007296)
戦飢餓
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
黒き葬牙
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き
笹木 花丸(p3p008689)
竜交
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
良い夢見ろよ!
越智内 定(p3p009033)
なけなしの一歩
カフカ(p3p010280)
ケータリングガード

リプレイ


「夏だ! ビーチだ! バカンスだ! ひゃっはー! 水着が吾輩をよんでるでありますぞー!
 っと、遊ぶのは真面目にお仕事を終わらせてからですな! ぬふーん、ひよの殿にいいところをみせてほめてもらうですぞー!」
 キリッとした『良い夢見ろよ!』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)に「何時だって褒めてるじゃあないですか」と揶揄うように笑ったのは音呂木・ひよの(p3n000167)。
「なじみさんやひよのさんと練達外のリゾートに来られるなんてね。
 ああ、でも去年も海洋の海に行ったっけ。あの時も楽しかったなあ……今回はバイトもあるし、しっかり働いてしっかり遊ぼう」
 そういえば、彼女達は遊びに来ていたなあと思い出してから『なけなしの一歩』越智内 定(p3p009033)はアルバイトの準備をしている『猫鬼憑き』綾敷・なじみ(p3n000168)の背中に声を掛けた。
「あ、なじみさんはジャージ着てくれる? なじみさんのスタイルで水着にエプロンは浜辺の暴力だよ」
「ええ。定くんとお揃いの水着なのに?」
 唇を尖らせるなじみの様子に「うう、けどさ」と定はたじたじになる。海の家を暑苦しいナンパ目的の男だらけにするわけにはいかないと理由を告げるがなじみは「いいじゃんいいじゃん」とぴょこぴょこと跳ねている。
「なんや、ジョーくんから話は聞いとったけどもみんな別嬪さんやなぁ。なんとなぁく尻込みする気持ちわかるわ。
 水着もめちゃくちゃ似合っとるやん。思春期男子の目には薬やなぁ」
 フランクに声を掛けてくる『ケータリングガード』カフカ(p3p010280)にひよのは「定さんのあの慌てようも理解出来ます?」と揶揄うように笑う。
「アレは個人的なことじゃないのか?」
 淡々と問うた『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)に「その通りだと思いますねえ」と澄原 水夜子 (p3n000214)は肯いた。
「ふむ。水夜子君はやっぱ何か欲しいモノとかあるのかしら。年頃の女の子だしな。
 それなら、いっちょ稼ぐとするか。ラサは商人の国でもあるのだ。海の家とは思えんくらいに稼ぐとしよう」
 看板娘なら沢山居るしなと肯いた『戦飢餓』恋屍・愛無(p3p007296)に水夜子がにんまりと笑って「可愛いでしょう?」とふふんと笑みを浮かべる。
「こういった場所で労働をするのも良い経験だな、よし、頑張るぞポメ太郎」
 足元でぐるぐると回るポメ太郎に「ほら、落ち着きや」と声を掛けてから『黒狼の勇者』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)を見詰めたカフカは「ほー」と息を吐く。
「ベネディクトさんも、めちゃくちゃマッチョやん。さすが騎士。
 ま、せっかくお知り合いになれたわけやしジョーくんの友達やのうて、皆のお友達になれるよう頑張ろうか……と思ってんけど」
 ちら、と視線を送ったのは今にも駆け出して行きそうな『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)の首根っこを掴んだ『竜交』笹木 花丸(p3p008689)である。
「ビィー! チィー! しにゃ遊んできます! しにゃの事を呼んでるんですよビーチが!!」
「皆で心置きなく遊ぶためにも先ずはアルバイトと窃盗団の取り締まり頑張っていこうっ! ねっ!」
「バイト!? チッ……しゃーないですね……しにゃのすーぱーないすばでぃでお客さん全員魅了して店の在庫瞬殺してさっさと遊びに……。
 はっ、晴明さんのことを魅了してしにゃの分も働いて貰えば良いのでは!?」
 アピールするしにゃこを押し止める花丸。困惑する建葉・晴明 (p3n000180)は「あ、ああ、愛いとは思うが」としどろもどろになっている。
「ほ、ほらほら、何事も経験……だよっ!」
 アルバイター経験は一応あるという花丸は給仕をしながらさっさとスリをえいやと捕まえて皆で遊ぼうと提案した。
「よーーし! らっしゃーせーらっしゃーせー! やきそばとかカレーとかいかがですかー!?
 こんなに可愛いしにゃが水着でお願いしてるんだから買いますよね目が合ったそこのお兄さん!
 焼きそば千円カレー千円です! しにゃから買えるんだから適当な値段ですよ!?
 ちなみにおさわりは1億万円です! あ、ひよのさんの目が怖くなってきたんで500円でいいです! 半額!」
 ぎらりと睨み付けるひよのに慌てるしにゃこを眺めながら晴明は『神使とは奥の深い職種である』と認識し直すのであった。


 海の家の内装が快適になるようにと依頼を受けてサイズは最初に気を配った。夏はまだまだ暑い。特に常夏のシレンツィオ・リゾートであるならば他の高級ビーチにあるようなものとまで行かずとも風情のある清潔な佇まいには気を配りたい。
「料理で商品のクオリティを上げておくのも良さそうだな。アレンジもいいが、やはり質が良ければ人は集まるさ。
 ショッピングエリアもあるが、ここでだけ買える装飾品の展示スペースも良さそうだよな。音呂木さんたち、除ければ貝殻や海を象った装飾品を付けて貰っても?」
「え、ええ。構いませんけれど」
 働き詰めでは、と問うたひよのにサイズは首を振った。一夏の思い出が残るのは旅行者にとっては良いことだろうと告げるサイズの表情には幾許か疲弊が滲んでは居るが――「大丈夫だ」と休憩は辞退した。直ぐにでも涙がはらりと落ちてしまいそうな心境で彼は海の家で忙殺されることで少しでもその心境から解き放たれるように望んだのだ。
 珍しい商品があれば一攫千金にはならないだろうかと愛無はラサ風の串焼きを提案する。肉だけではなく海鮮のテイクアウトもしやすくし、味と見た目のインパクトで勝負である。
「裏方はお任せして! 吾輩ウェイターをやらせていただきますぞー!
 こう見えて記憶には自信がありますゆえ! どんどん注文を聞いていくでありますぞー! ホアアアア!
 あちらのお客様は焼きそばとビールで、あっちはかき氷、それでこっちは……」
 勢い良く走り回るジョーイ。今回はメットをオフにして普段はお目見えしない金髪碧眼姿で懸命に給仕に勤しんでいる。堂々と走り回るジョーイに負けないようにと「がんばるぞー!」と尾を揺らしたなじみ。
「とりあえずなじみちゃんは落ち着いて。エプロンバサバサしとるから。砂ぼこりたつで。ジョーくん、はらったりや」
「はいはい。あのさ、なじみさんはやっぱりジャージを着て」
 水着にエプロン姿のなじみにいそいそとジャージを着せる定。しにゃこはピーンときたように「看板娘が水着の方が儲かるのでは?!」とないすばでぃを誇って見せた、が――
「儲かるとか儲からないとかはどうでもいいんだよ! ついでに花丸ちゃんはどうなってもいい! だから水着で集客してくれるかい!」
「ジョーさん?」
 いきなり犠牲になる花丸。その様子にベネディクトがふっと笑う。ポメ太郎と客引きをする事を決めたベネディクトは晴明も一緒で良いかと問い掛ける。
「ふむ……カフカ殿の説明を聞き、労働に励んでみる」
 緊張した晴明に「あまり気負うなよ」とベネディクトは柔らかに声を掛ける。さて、バイトチーフ・カフカの説明は端的で分かり易かった。
「こほん、バイト経験ならこの中でもそれなりやし簡単に教えるけど。
 ホールのやることはよく注文聞いて、それをキッチンに伝える、食べ終わったもんは下げる、って感じやな。この辺はひよのちゃんのが詳しいやろ。
 俺はキッチンに引っ込んどるんで、なんかあったら呼んでや。注文は片っ端から作るから。
 賄いも作っていいらしいから昼飯は期待しといてな。水夜子ちゃんも食べる?」
「はい!」
「わん!」
 ポメ太郎と水夜子の元気な返事にカフカは笑う。麦わら帽子姿のポメ太郎と客引きのベネディクトと共に夏の装いで店頭に立った晴明はベネディクトを真似るように懸命なる客引きを続けて居た。
「いらっしゃいませ、冷たい飲み物に焼きそば、かき氷はいかがですか?」
 ――そして、気付いた頃にスリが捕まり、海の家は盛況でバイト代もがっぽりと頂戴し、自由時間が訪れたのである。
 サイズが「今の俺は心的余裕がないから暴れたらうっかり大怪我させる……だから暴れるな」と神妙な顔で告げて居たのはここだけの話だ。


「みゃーこ君にお手軽理外ふーどを持って来た」
 んべーと舌を出した愛無。ブルーハワイの色味に変化した舌に水夜子は「うふふ、青」と指差してからから笑う。
「ああ、夜は花火とBBQらしい。一緒にどうだろうか。その前にショッピングかな?」
「そう、色々見てきたんですけど、うーん……選択肢が多すぎて。愛無さんも見てきました?」
「ああ。ちょいと前に下見しておいたんだ。丁度いいから見繕ってた物、贈ろうか。渡し損ねてた就職祝いやらを兼ねて」
 理由なんてどうでも良いのだと愛無はそっとチョーカーを差し出した。如何にも過保護なのだ。好きな子には構いたくなってしまうと告げる愛無に「好かれるなんて光栄ですねえ」と水夜子はにまりと笑う。
「まあ、みゃーこ君は危なっかしさで一二位を争うし。このチョーカーとか如何だろう? スーツにも合うと思うんだけど」
「スーツだけじゃなくお出かけ用の私服もこれに合うものを買いに行くのも良さそうですね。次は希望ヶ浜でお買い物でも」
 うきうきとした様子の水夜子に喜んでくれたのなら善かったと愛無は頷くのだった。

 店の買い出しついでに三番街に出てスリのパトロールを終えたというベネディクトは食べ物の香りに誘われるポメ太郎のリードを任せた晴明に「大丈夫だったか?」と何度も繰り返し問い掛ける。
「此処からは何をするんだったか……」
「ああ、食事を終えたらビーチバレーというものをするらしい。審判をするから一緒にどうだろうか。ルールが分かれば参戦してくれれば良い」
 頷いた中務卿は「蹴鞠のようなものか」と明後日の方向でビーチバレーを認識しているようである。
「せっかくやし海洋とか豊穣由来の調味料とか欲しいなぁ」
 ビーチバレーの前にパトロール(と言いながら買い物である)に出掛けるひよのの荷物持ちを買って出たカフカは可愛い女の子とお近づきになれるなら万々歳やろ、と笑っていた。ひよのは「じゃあ、これと、これと」と勢い良く揃いのアクセサリーなどを買い込んでいく。
「今日の記念にカフカさんも付けて下さいます? リボン」
「いやあ。じゃあコレと交換はどうやろ? ケイオスイーツのクーポンなんで良かったら帰ったら連絡待ってるんで。注文してな?」
 ご贔屓に、と笑ったカフカの髪にリボンを飾って「注文しますね」と笑ったひよのは「只今戻りました」とメニューと睨めっこしている花丸の隣に着席する。
「焼きそば……カレー、たこ焼き……。
 う、うーん食べすぎちゃったらこの後遊ぶときにちょっと恥ずかしいことになっちゃいそうだし、これはなかなか難しい選択だよっ!」
「かき氷食べましょうよ、かき氷」
「あ、かき氷もいいね! 花丸ちゃんはブルーハワイにするーっ!」
「私は苺が良いです」
 賄いを用意してくれるカフカに甘えた調子で花丸とひよのはかき氷をオーダーしている。勿論、しにゃこもないすばでぃが崩れないように挙手をしているのである。
「あ、吾輩もブルーハワイで! これからどうするでありますか? 花丸殿!
 ビーチバレーを開催するでありますか! 吾輩も参加するであります! ささ、ひよの殿は花丸殿とくんでくんで!」
『ふぅ、ひよ花てぇてぇでありますなぁ(*´ω`*)』とにんまりしたジョーイは水着美人コンビ、拝まずには居られない、とうきうきした様子である。
「っと、だれかー! 吾輩とくんでー! ボッチは寂しいでありますぞ」
「おらー! 笹木さん、ビーチバレーで勝負です! ボコボコにしちゃります! つまりしにゃとペアですよ!
 飛行を使ってフライングアターック! 飛んじゃ駄目ってルールはないですからね!
 だーっはっは! 手も足もでまーい! こぼしたボールはポメ太郎に拾わせましょう! 運動にもなりますよ!」
 びしりと指差すしにゃこの横暴に花丸が「ちょっとー!」と叫ぶ。
「ボコボコにしていいのは、ボコボコにされる覚悟のある奴だけだ!
 ――って誰かが言ってたし、しにゃこさんをボコボコのボコにゃこさんにしてあげるんだからっ!」
 びしりと指差す花丸にカフカがからからと笑う。ベネディクトと晴明もそれぞれ分れてコートに入りカフカが審判役を引き受けている最中――
「ぶっへ!? ちょ、ベネディクトさんの馬鹿力だとビーチバレーですら凶器になるんでやめてくれません!?」
 全力で黒き狼が吠えていた。


 花火に短冊に笹一本。「カフカくんて何か無趣味なイメージあるけれど、色々買いたいって何を買うんだい?」と問い掛ける定にカフカは「調味料とかええやろ」と笑っていた。
 BBQをすると決めたからにはカフカ達もビーチバレーのあとに再度買い出しに出るらしい。背を押さえて定は「何時ものことだね」と肩を竦める。
 はしゃぐなじみの背中を追掛けるのはもはや彼の役目なのだ。
「気に入るピアス、見つかった?」
「んー?」
 片耳にだけ空いたピアス。この場所なら猫の耳を隠す必要もない。真っ正面からその様子を眺めることが出来て、どうにも気恥ずかしさがある。
 真っ直ぐに見るのが慣れないまま、定は少しばかり俯いた。嬉しいような、照れくさいような、後ろめたいような、良く分からない気持ちで店頭に並んだピアスを眺める。
「さっきのサイズさんの作っていたものも綺麗だったけれど、此処の露店にも色々あるね」
「そうだよねえ。何が良いかな。似合うの、あるかな?」
 貝殻の形、シーグラスを使ったもの。なんだって、彼女に似合いそうで――「プレゼントさせてくれるかい」
 なじみはぱちりと瞬いた後、笑った。
「いいのかい? 定くんに選んで貰いたかった」
 自分じゃ決めきれなくてと笑った彼女は定の耳朶にふにりと触れてから「君もお揃いを付けても良いかもね」と揶揄い笑った。

 ――青春の気配を破るようにしにゃこは「BBQで花火ですよーーー!」と叫ぶ。ビーチでの出来事だ。
「んー夜にビーチで花火って青春やなぁ」
 バケツに水を汲んでベンチに腰を下ろしたカフカへとベネディクトは肯いた。
「大きな物に小さい物に……色々とあるが、夜の中に輝く花火の光を見ているとつい見入ってしまうな。うむ、風情があって良い物だな……」
「ロケット花火に線香花火、風情があるわぁ。ネズミ花火もあっつぅ! いきなり暴れるやん! 火傷なんかすぐ治るからええけど」
 穏やかに微笑んだベネディクトの傍で鼠花火に追いかけ回されたポメ太郎がカフカに向かって突進してくる。
「ポメ太郎!」
 慌てる様子を眺めながら愛無はもっきゅもっきゅと肉を食べ、水夜子にピーマンを食べるようにとずいずいと迫られていたのだった。
「ほあああ、花火! 夏といえば花火、かかせませんな! ぬふー、そして花火とくれば浴衣!
 水着もいいけど浴衣のおにゃのこもまたすばらしきですな! ひよの殿の浴衣姿もよきよきですぞ」
「有り難うございます。可愛いでしょう?」
「勿論! 吾輩の浴衣姿もいかがですかな? 流石に浴衣の時にはメットは脱ぐでありますぞー。
 こう、おされというのは組み合わせというのが……あ! 花火あがった! たーまやー!」
 ぱあん、と音を立てた花火に紛れてひよのは「とっても似合ってますよ、浴衣」とジョーイに言ったが果たして聞こえていただろうか。
「花火か。火薬の匂いと光。これも夏の風物詩よな。皆で羽目を外すのも良いが、僕は夏の夜の締めは線香花火のような少し寂しいのが良い。
 孤独を楽しめるのが大人の怪生物ゆえに」
「あら、私の浴衣姿が見られて嬉しいとかないです?」
 愛無の隣でほらほらと浴衣を見せ付ける水夜子。そんな様子を眺める晴明は「花火は何処で見ようとも変わらぬのが良いのかも知れないな」と呟いた。
「サイズ殿?」
 花火を眺めていたサイズは首を振った。広大で昏い海。深淵に飲み込まれて仕舞いそうなそ海の様子を眺めていると消えたくなると海の中に歩を進めかけていた。此れでは駄目だ。現実逃避をしても何も良いことはないと我に返って悄然とした。
(……妖精の為に動き続かなきゃいけない、それがファレノプシス様に庇われた俺の役目だから……。
 命と引き換えで庇われた痛みは奇跡の代償と違い、二度と癒えない傷ですよ、ファレノプシス様……)
 彼女が姿を消したのは、もう二度とは戻ってこないという意味だったのだろうか。そんな癒えない傷を懐いたままの彼は打ち上げられて行く花火を眺めるだけだった。
「しにゃこや、派手にやりたいならこれを使うのじゃ――って炎上仲間から貰った激ヤバな花火ぶっ放します!
 うぉ、やっべぇ白熱した炎が眩しいぐらいにスプラッシュしてます!
 いやってか熱っ!? ちょっとこれ火力強すぎるんですけど!? 火傷するー! 水!!」
 BBQも終わり、折角の七夕だからと願いを書こうとしにゃこを敢えてスルーした定に「助けてーー!」とファイヤーしにゃこの叫び声が響いている。
「こうして遊んでると去年お出掛けした時のことを思い出すね。
 また来年もこうしてひよのさんやなじみさん、ジョーさん。皆と海に来て皆とまた遊びたいな。
 その為なら、どんな大変な事があったとしても絶対に負けないから。なんちゃって、えへへ。……でも――約束だよ、ひよのさん?」
「ええ、なら短冊にはそうかかなくては」
 花丸と笑い合うひよのは打ち上げられた花火を眺めて小さく息を吐く。何があっても、来年を。そう約束するのは、どこか擽ったい気がして。
「どんな願い事をするんだい?」
「定君は?」
「僕はどうしようか……今が割と幸せで、これ以上を望むとバチが当たりそうな気がして怖いんだ」
 それでも変わらないものはないから頑張ろうと思えたのは夏のせいなのか。それとも、365日ぶりに出会う二人の為の架け橋が輝いて見えるからか。
 星に願いを。なじみは「誕生日に美味しいものを食べたい!」と子供の様な夢を書いて飾った。
「短冊の願い事は…そうだな、皆が健康に過ごせます様に、としておくか」
「素晴らしい願いだな、ベネディクト殿。ポメ太郎殿は?」
「あん!」
 肉球をぺたりと短冊に押し付けるポメ太郎に晴明は大きく頷く。どうやら彼とポメ太郎の心の距離が近付いたのだろうか。
「短冊への願いは『商売繁盛』よし。あとはまあ、お友達らぁの前途を願っておこうかなぁ。
 少なくとも、今日ここにいる人らぁの幸せくらい願ってもバチは当たらへんやろ」
「いいですねえ! 『世界がしにゃの虜になりますように』っと。すでに叶ってるかもですね!」
「そうやろか?」
 カフカにそうですよお、としにゃこは自慢げに笑う。
「願いは自分で叶えるが、それでも星に願うなら『らぶあんどぴーす』かな」
「私は『全てがうまくいきますように』なんちゃって」
 愛無を揶揄うように見遣った水夜子は「みゃーこ君なら上手くいくよ」と言われて嬉しそうに笑ったのだった。
 また来たいなあと呟くカフカに頷いて、定ははあと息を吐く。
 来年も、また。そうやって積み上げていくことの難しさ――君が夏だと喜んだから、僕らはそうだねと笑い返すんだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした!
 楽しい一夏の思い出になればいいなあと思います。
 シレンツィオ、なんだか色々ありそうですがめいっぱい楽しめると良いですね!

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