PandoraPartyProject

シナリオ詳細

くっ殺……まって! このオーク達ガチ目に始末してこようとする!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●女騎士「オーク? そんな下劣な連中に負けるものか!」
 幻想北部トランド地方。
 その山奥に多数のオークが出現しているという報告が挙がってきていた――山中を通る商人が既に幾度か襲われたのだと言う。今の所物資は略奪されど、人的な被害はないらしいが……このまま放置していればいずれ麓にまで降りてこないとも限らない。
 故に討伐隊が編成された。
 重装備の騎士達が万全を整えオーク達を討伐せんと出向いたのである――
 しかし。
「くっ――! 何だこいつら、案外素早いぞ……ッ!!」
「うわあああ! 罠だ、罠が仕掛けてあるぞ――!!」
 出向いてみれば想像以上の抵抗が其処に存在していた。
 オーク達は周辺の地理を知り尽くした地の利を用いて騎士達を包囲し、押し包んでいく。そればかりか存外に連中は素早い様であり……鎧を着込み重装備で至った騎士達は小回りが利かず相性が悪かった。
 思うように動けず、全方位から攻撃を受け続ける騎士達。
 一旦後退しようと包囲が薄い個所を突破して見れば、そこには数多の落とし穴すらあって。
「うぐ!? な、なんだこれは……体が……痺れ……」
 そして穴に落ちて身動きが取れなくなった者へと放たれたのは毒の吹き矢だ。
 鎧の隙間を貫通し直撃すれば、痺れる様な感覚が全身を襲う。
 然らば朦朧とし始める意識。
 私はここまでか――
 暗闇に落ちていく自らの意識が在らば命の覚悟したものだ、が。

「……ん、んん? なんだ、此処は……私は、まだ生きて……?」

 死んでいない。
 毒が抜けてきたのか、覚醒した意識と視線を周囲に巡らせれば。
 其処は洞窟であった。薄暗い、景色が広がる中……しかし動けない。
 全身を拘束されている様だ。武器は全て取り上げられ、縄で雑に縛られている。
 そして――隅の方では己を捕らえたのであろうオーク達の荒い息が聞こえてきて――
「くっ……殺せ! お前達の様な外道に好き勝手されるぐらいなら……!!」
 故に女騎士は豁然とオーク共に言い放つ。
 騎士を愚弄するぐらいならば殺せと――
 でも違った。
 オーク達が隅の方で何やらしていた作業は……

 包丁の研ぎ作業であった。

「えっ?」
 人体など一刀両断出来る程の巨大な代物が其処にあったのである。
 鼻歌交じりに楽しそうに包丁を研いでいて……えっ? マジで? ちょっと……ちょっと待って! こういう時ってそういうガチなのじゃなくてさ……あれ!? なんでそっちでは鍋と大量の薪を用意してるの!?
「ま、待て待て待て待て! お前ら、ちょ、こういう時ってのは……
 待て――!! 止めろ食うな――!! それは止めてええええ!!」
 やべぇコイツら――こっちを喰う気だ!!
 戦いの中での名誉ある死ならまだしも、こんな終わりはいやあああ!!
 轟く悲鳴。でもオークって異種族ですからね。
 捕らえた女騎士にあーんな事やこーんな事……なんて人類の勝手なイメージですよ! 多分! こういうのが正統派! 正統派のオークです!


 ――さて。女騎士の悲鳴が轟く中である、が。
 彼女達に希望がないわけではなかった。と言うのも……
「此処がオーク達の住処か――成程。上手い事木々で見えないように隠してやがるな……こいつは普通に探してたら中々見つからないレベルだったろうさ」
 近くにイレギュラーズ達が来ていたからである。
 偶然ではない。そもそも、元々の予定では騎士達がオーク達に攻勢を仕掛け、逃げるオーク達をイレギュラーズが回り込んで殲滅戦を仕掛ける……そんな予定だったのだ。しかしオーク達が案外に巧みで、騎士達が負けて予定が狂ってしまった。
 なんとか捕らえられた者達を救出できないかと後を付けた結果……
 見つけたのがオーク達の住処となっている小さな洞窟であった。
 中からは連中の気配がしている――こっちに気付いている様子はなさそうだ。
 奇襲する事も十分に可能だろうか。
 後は、囚われた者達も可能な限り助けてやりたい所だが……

『待て――!! 止めろ食うな――!! それは止めてええええ!!』

 ……どうにも。ここのオーク達は正統派らしいオークの様である。
 いや正統派のオークってなんだよってなる所だが。
 まぁとにかく如何に入り込んで如何に攻め立てるものか。
 イレギュラーズ達の思考が巡っていた……

「…………ところでなんだけどよ。どうして俺が呼ばれたんだ?
 なんかの間違いか? なぁおい、俺はオークだけど敵じゃないからな!?
 大丈夫だよな!? 騎士連中は――分かってるよな!!?」

 なお、まったくもって理由は不明だが。
 イレギュラーズ側の一人として――ゴリョウ・クートン(p3p002081)の姿も其処に在ったとか……

GMコメント

●依頼達成条件
 オーク達の殲滅!
 あと囚われた騎士達も可能な限り助けてあげてください!

●フィールド
 オーク達の住処となる洞窟です。
 小さな道と部屋の様に広がっている空間が複数あり……例えるなら蟻の巣の様な構造になっているようです。オーク達は各部屋に少しずつ散っています。しかし戦勝気分で油断しているのか、侵入者に対する警戒は皆無です。

 後述する騎士達などは一番奥の、そして一番広い部屋にいる様です。

●オーク×15
 最近洞窟を根城にし、周囲を通る旅人や商人を襲っているオーク達です。

 捕らえた女騎士達にあんな事やこんな事……はせずに、ガチ目に殺しにかかります。
 はっ? 人間は食料だよ。当然でしょ――?
 そんな感じです。拠点に連れて帰ったのは其処で調理する為だよ!
 結構な数がいますが、皆あちこちに散っている様です。

 戦闘能力としては近接型がほとんどです。粗雑な造りの斧などを振るって戦います。一部のオークは中距離から吹き矢(毒入り)を放ってきますが、こちらはBS付与率は高いですが、攻撃力自体はかなり低い様です。

●救出対象
・女騎士×5人
 オーク達を討伐しに来た騎士達です。しかしオーク達の知恵が案外回り、逆に捕らえられてしまいました……くっ、ころせ! なんでか分かりませんが全員女性です。

 武器は全て取り上げられていますが、なんらかの武器さえあればオーク達とも十分に戦う事が出来るだけの戦闘力はあります。

●備考
 なお。本シナリオでは救出対象と一緒に『囚われた立場』からスタートする事も出来ます。

 それは騎士達と一緒に戦っていて捕らえられたのかもしれませんし、住処を割り出す為にわざと捕まったとか、騎士達を人質にされてやむなく……などなど理由はなんでもOKですが、つまりは救出対象の傍にいます。

 ただしこの位置からスタートする場合武器は取り上げられています。(自分を縛っている縄から抜け出せさえすれば)戦えない訳ではありませんが、武器分の能力値補正が一切ない状態ですので、ご注意ください。武器は隣の部屋とかに保管されている気がします。

 ただ『変身バンク』やそれに類するスキル・ギフトなどがあると一瞬で装備状態に成る事は可能です。また、オーク達が見つけられない様な小さなアイテムなどは、もしかしたら装備状態のままかもしれませんね。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 へっちな事なんてないよ。連中はガチ目に殺しに来る正統派のオークだよ!!
 と言う訳でよろしくお願いします!!

  • くっ殺……まって! このオーク達ガチ目に始末してこようとする!!完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年06月30日 23時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)
真打
クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人
朱雀院・美南(p3p010615)
不死身の朱雀レッド

リプレイ


 どうしてだ。
 どうして俺が此処にいる。
 マジでなんでだ。誰か教えて……

 ――宇宙豚状態。『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)心の一句。


「ウグワーッ!!? 陸鮫に乗って偵察しておったら、騎乗の心得を突然うっかり忘れておって捕まってしもうたーっ! 儂、一生の不覚!! あっ、こら! 陸鮫も食べようとするでない! やめんか――!!」
 先に捕まっていた女騎士達の前に転がされてきたのは『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)であった――『コイツモツカマエテキタゾ』『オンナマホウツカイダ』と乱雑に転がされ、陸鮫君も調理されようとしてる。マジかこいつらー!
 くっ! こんな縛り上げられた状態で仲間の前に転がされるとか超☆屈辱!
「見ておれ、今にギッタギタにしてやるからのぅ……! ところでこの縄解いてくれんか?」
「フハハハ! ――残念だけど僕達も全員捕まってしまっているのさ! いやぁ困った物だね!」
 絶体絶命の危機にあるのは『不死身の朱雀レッド』朱雀院・美南(p3p010615)も同じだ。え、彼女はなんでかって? いや女騎士の皆が捕まって、それを助けようとした結果、なんやかんやあってオークに縛り上げられていたんだ……ホントダヨ?
「ところでこれが巷で噂の『くっ殺』なんだね! 僕初めてだからワクワクしちゃうよ! フフフ、フハハハハ! はぁ、はぁ、一体これからどんな展開が待ち受けているんだい!?」
 やべぇ。やべぇよこの人興奮してるよ! お巡りさん、この人です!
 まぁやべぇ連中はともかくとして真っ当な姫騎士――? である『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)はなんとか縄……いや手枷を外すことが出来ないか四苦八苦していた。
「くっ、まさか女騎士の方達を手伝うために一緒に来ていたら罠に嵌ってしまうなんて……油断していなかったといえば嘘になりますが、まさか幾体ものオークを討伐したことがある気がする、この私が……!」
「ええ……私達があんなオークに捕まってしまうなんて、完全に予想外だったわ……!!」
 同時。シフォリィの隣に捕まっていた『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は想起する。
 くっ、最近オークによる被害が多いって聞いたから調査していたけれど、不覚を取ったわっ! まさか連中がある程度知恵の回る連中だったなんて……! それに、よりによってこんな下着を穿いている時に身ぐるみを剝がされるなんてッ……!
「…………アルテミア? その下着は一体、どうして……というかなんでそこまで脱がされてるの?」
「待ってイーリンさん見ないで! これは違うの! ご、誤解よ! 偶然なの――!」
 アルテミアが履いている下着は、とてもお見せする事が出来ない――この姫騎士絶対おかしいよ! あっ、リプレイ中では謎の光によって守られていますので、実際にどういう下着を身に付けていたかは円盤買って確認してくださいね皆さん!(税込み150,000,000GOLD。今夏発売予定)
 ともあれ捕まっていたのは彼女だけでなく『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)もである。彼女は女騎士をサポートするヒーラーとして立ち回っていたのだが――次々と捕まってしまったメンバーを救うために、あえて敵陣へと捕縛されたのだ。
 まぁ捕縛された側はなんかやたら気合の入った下着ばっかりで、捕まる気満々な連中ばかりだったのでは? 助けなくても良かったかな? なんて一瞬思いもしたのだが。
「でもイーリンさんもその服ちょっとおかしくないですか――なんですかその青少年に悪そうなシスター服。履いてます?」
「肌は晒してないでしょ? 健全よ健全――それよりもシフォリィだって何よその手枷、おかしくない? めっちゃ厳重じゃないの。しかもなんか『A5』って書かれてるし」
 お肉の等級かな? くっ、深緑ミルク工房でだってこんな露骨じゃなかったのに……!
 ま、なにはともあれとにかくまずい状況なのは確かだ。
 誰も彼もが縛られている。しかもやたら厳重なのばっかだよ。どうして……

「……だが落ち着け皆。救援の手は来ている――後は落ち着いて行動するのみ、だ」

 と、その時。
 紡いだのは『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)だ――ふふふ。依頼遂行の為TADI印のチャイナ服で油断したフリでわざと捕まった紫電。このTADI印、絶対履いてないよね。ていうかなんで皆、元々戦闘目的だった筈なのにそんなに際どい衣装や下着を率先して着てるの???
 閑話休題。とにかくわざと捕まった者もいるのは、救出の目算があるからだ。
 後は外からの動きに呼応して動くのみ――! 万全である! ははははは!
「…………ただ一つ誤算があってな」
「ん、誤算とは?」
「ああ――実はまさか武器だと認識されてオレの本体が盗られるとは……いやまあ元は武器だったんだが。混沌だとものすごく大事なもの扱いでな。ぶっちゃけアレがないとこの義体(からだ)にダイレクトに生命の危機が迫るので一刻も早く取り戻sやっべ生命のリンク切れかけてる死ぬパンドラ吐きそうdうぉぼぼぼぉぇぇぇ」
「わああああ! 大丈夫かい!?
 僕達の仲間がもうすぐ助けに来てくれる! 希望を捨てちゃだめだよ――!」
 滅茶滅茶やばい状態に陥り、気絶しかける紫電。クラウジアや美南に励まされるが――はやくー! 救出に来た側がもうピンチだよー! 誰か早く助けてえええええ!!


「ゴリョウさん大丈夫ですよ! ゴリョウさんはあそこに居るオークとは違って、美味しい料理をみんなに振る舞い、笑顔にするオークなんですから……だから……多分、大丈夫です! 全然違うオークじゃないですか!」
 同時刻。洞窟の外では宇宙豚状態に陥っていたゴリョウを『見たからハムにされた』エル・ウッドランド(p3p006713)が励ましていた――内も外も問題多いな、今回!
「そうだよな……えぇい仕方ねぇ! ここは開き直ってオークである事を利用しようじゃねぇか! すまねぇがエル、捕虜としてちょいと協力してくれ……!」
「はい! 任せてください!!」
 だが流石にハンバーグにされる事態をこのまま見過ごす訳にはいかぬと、ゴリョウは己が意志に気合を入れ――エルと共に洞窟へと赴くものだ。捕虜(ダミー)の体で侵入し、奥へと進む……!
 一歩、二歩。慎重に……オーク達は油断し散っていればこそ、早々遭遇はしないだろうが、もしも気付かれて攻撃されてきたら危険だ――気付かれた上で『あ、同種だ』と思われてスルーされたら、それはそれでゴリョウのメンタルにダメージが在りそうな気もするが。
 ともあれ二人は進んでいく。と、そうしていればやはりオークが眼前に現れて――!
『…………???』
「おい。なんだその『コイツ前からいたような、いなかったような』って悩む様は!!」
「むぅ、結構悩んではいるみたいですが――仕方ありません、行きましょうゴリョウさん!!」
 見慣れない奴だな、攻撃……いやでも同種だったら……
 そんな逡巡が敵オークに見えて――故にこそ奇襲気味にエルは仕掛けた。
 見つけたのが単体である事。時間を掛ければバレるかもしれなかった事。
 それらを瞬時に考えた結果である――! 味方オークであるゴリョウがいろんな思いを胸に敵オークを、全霊をもってぶん殴れば、エルがその影から射撃一閃。他の奴が気付く前にボコボコにして――更に目指すのは騎士連中の武器だ!
「ハッ! この気配は……ゴリョウさんね! 今よ、反撃の時が――来たわ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいアルテミア……私の手枷、ホントにきつくて……んぐ、んぐぐ……う、動けない……!!? 動けないって言うどころかめっちゃ堅いんですが、なんですかホントこれ!? 私のだけガッチガチなのおかしくないですか!!?」
 同時。ゴリョウ達の気配を感じ取ったアルテミアが力を行使する――
 それは瞬時に武具を纏う術。淡い青の剣身を持つ短剣が手元に至りて……拘束を断ち切るものだ。アルテミアのはなんかめっちゃ頑丈でまだ苦戦している……ところで話変わるんですが手枷に抵抗してガチャガチャと鳴る音って、良い音色ですよね。ふふっ。
 ――と、その時。部屋に光が満ちる。
 それはクラウジアより発せられていた。
 アルテミアの動きに連動して彼女もまた術を行使したのである……光が広がり、謎の光によるシルエット全裸。その状態で足元や手から一枚一枚が色づき、装備されていく――!
 最後にキャッピキャピの決めポーズ。くるりと一回転して決めポーズもとれば!

「魔法少女、ルビー☆クラウジア、しゅっつどーう!
 悪いオークさんたちをやっつけちゃうんだから!」

 決まった! 魔法少女クラウジアちゃんだ――! なんだかどこからか謎のBGMとエフェクトも聞こえてきた気がする。本格的だなぁ……まぁ五秒後ぐらいに我に返って『なんじゃこりゃああ――!』と言う未来が待っているんですが。
「フハハハ! オーク君達、油断したね☆ 僕の正体は悪の怪人……変身する事なんて訳ないさ☆ いやむしろ変身しない悪の怪人なんているのかな? 結構いるかもね☆」
「さて――ここからがシスターとしての本領発揮よ。
 少し待っててちょうだいね。シスターも頑張るから」
「なっ……み、皆さんにそのような力が! おお、流石イレギュラーズだ……!!」
 ともあれ更にクラウジアに続いて美南、イーリンも次々に武器を宿すものだ。
 いずれも同じ術の系統。さすれば完全に準備を整えていた手腕に女騎士達の感情は驚愕に包まれるものである――希望が見えた! イーリンのにっこりとした笑顔もあらば、尚更にそう思うものであり……
 しかしその時。異変に気付いたオーク達が牢へと急速に近づいてきて。
「えぇい、とにかくまずは敵を退けるぞ――
 石罰執行! ルビー☆ブレイカー!! ……魔法まで変になっておるぅー!!」
 だからこそヤケクソ気味のクラウジアちゃんが、仮想宝石を作成し投じる。
 その一擲は魔力の渦になりてオーク達を呑み込んでいき。
「行くわよ、まずは武器を取り戻すわ! 紫電もそろそろヤバそうだし!」
「くっ……殺す……オークは皆殺しだ……
 はぁ、はぁ……お、俺の武器が……取り戻されたらな……」
 そして紫電はもう死にかけていた。イーリンが急いで武器庫に向かわんとするも、オーク達がぞろぞろとあちこちの部屋から出てきていて、一筋縄ではいかぬ――と思っていれば。
「ハハハ! 君達は人間を食料の為に捕らえたんだろう――?
 ならば僕を見よ! この中で一番美味しいのは僕さ☆
 どうせ食べるなら僕のA5確実なドラゴンステーキからお食べ!」
 ドラゴンステーキ!!? オーク達の食欲がざわつくものである。
 美南だ。半分本気、という面もある。なぜならば彼女に宿る祝福があれば大抵の傷の治癒は見込めるのだから……更には食材としての適性も彼女から漂ってくる上に、なんかオーク達を引き寄せる魅力が後光の如く差し込んできて――
 刹那。奥の方から武器が投げ込まれた。
 それは――エルだ! 武器庫へと辿り着いた彼女が、投げ入れたのか!
 更にはその奥から味方オークであるゴリョウもやってきて……
「ぶはははッ、悪ぃがオークの地位向上的にあんたらとは相容れねぇんだわ!
 さぁ行くぜ皆! 今こそ悪のオーク連中をぶちのめ……ぬぉぉぉお!?」
「おのれオークめ! 我々をよくも閉じ込めてくれたな――!!」
「ちが、ちげぇ!! 俺はちげぇよ!! 善良なオークだ!!」
「善良なオークなんて存在が矛盾してるだろふざけるな!!」
 今こそ攻撃を開始する時――と思えば。女騎士達の叫びがゴリョウに突き刺さる!
 勘違いしている彼女達から攻撃も紡がれるものだ。まぁゴリョウであれば多少の攻撃を受けた程度であれば倒れる事はないが……ともあれ。
「あーっ! そっち悪いオークじゃない!! ポーク!!!
 いや違うとにかくいいオークだからくっ殺になるな! 大丈夫だから――!!」
「あ――まってそれ味方! 仲間!! オークだけど味方なのよ! ていうかゴリョウあんたあの派手な金の鎧はどうしたのよ! アレ着てきたらマシだったのに!」
「無茶言うなよ全身鎧をガッチャガチャして侵入とか怪しまれねぇわけがねェだろう!?」
 紡がれるは紫電やイーリンらの弁護。
 うっ、うっ。なんとか『敵ではない』と言う事だけ受け入れてもらわんとし。
「ゴリョウさんは敵じゃないです! そう――味方の料理人です!
 見てくださいこのお腹を! そこのオーク達とは違う、筋肉の塊です!
 脂肪じゃないですよ!!」
「やめ、やめろエル! 摘むな! 大丈夫だから、俺は大丈夫だから!!」
 エルも続くものだ――彼は敵ではないと。でもゴリョウのメンタルは色々ボロボロだよぉ!
 ――ともあれ。武器が届いたのであれば、元気になる者もいる。例えば、シフォリィだ。
「くっ――! ようやくあのやったら頑丈な手枷が外れました……!
 ただでさえ樹の棒しか見つからず振るい辛かった……!
 ですがもう好きにはさせませんよ。食べられたりなんて、してあげませんから!」
 彼女はちょっと追い詰められていた。零す吐息が熱を帯び、溢れる汗と雫がオーク達の食欲を震わせたのか――『モウ生デ食ワセロ』と服を破り襲い掛からんとしてきたのである。本当に危ない所だった……こんな所で負けたら、姫騎士の名折れだ――!
 捕まった時点でもうアレな気はするけど、それはそれとして。
 往く。今度は此方が焼きオークにしてやると――一閃振るいて!
 そして。
「ふっ――随分と、待たせたな」
 紫電が、出撃する。
 ゴリョウ達の気配を感じてシュバッ! と最後の力を振り絞って走った紫電は即座に武器を回収。どう見ても履いてないTADIチャイナから、由緒正しそうな未来陰陽装へと変じる――武器さえあれば、ナイフで拘束などすぐに抜け出せるのだから。

「――反撃開始だ」

 往く。オーク達を殲滅すべく、紫電の全霊が。
 今の時だけ、オレはオークスレイヤーだ……ハイクを読め、介錯してやる。
 内と外からの両面攻撃――薙ぎ払い、敵の防衛を砕き、そしてオーク達を散らせていく。
 クラウジアが魔力を収束させ、エルが射撃を敢行。
 イーリンが包囲する形を継続しながらオークを追い詰め。
 高笑う美南がオークを更に追い詰めるものだ。
「はぁはぁ! ねぇオーク君達! 君達は僕にくっ殺してもらわないといけないんだ! 義務でしょ! ほら早く! 早くくっ殺を――!!」
 ちょっと! オーク君がドン引いてるでしょ! 離れてあげなさい!!
 まぁともあれ。女騎士達も武器を果敢に振るいて奴らへと立ち向かえば……
「はぁ! ふふ、一度態勢を立て直せばなんてことはないわね――オーク!」
 アルテミアだ。無双するが程に可憐に立ち回る彼女は……しかし。
「さぁ、次はあなたの首をかっ斬ってyうひゃぁ!? なっ――これは、油!? まさかこのオーク達が咄嗟に罠を……ってちょっ、美南さん待っtアッツァァ!?」
「あーはははは! おっと悪いね、アルテミアさん!!」
 刹那。油でスッ転んだ挙句に――美南の放つ炎に巻き込まれた!!
 即座に炎を断ち切らんとする斬撃を放つが……あっ、また服が!
「う、嘘でしょ! な、なんで私こんな事になるのよぉッ!! しかもこんな、隠さないといけない所が集中的に……ちょ、ちょっとなんでオーク共が涎を垂らしながらジリジリとこっち来るの……待って? 待ちなさい? 寄るな!寄るんじゃッ! 私のそばに近寄るなぁぁぁッ!!」
 大量にアルテミアに押し寄せるオークの集団!
 のしかかり、こんがり焼けた肉を貪らんとして……あぁ駄目です! 普通に物理的に食おうとしているのに抵抗しているだけなんですが、これ以上描写ししようとするとリプレイがお蔵入りになりそうなので、地の文では書けません!!
「アルテミアがいつも通りピンチよ! よし、今の内に背後から攻撃よ!」
「よーし全部纏めてこんがり焼いてやるのじゃあああああ!!」
 しかしそれを総攻撃のチャンスと見切ったイーリンが全霊を尽くす。
 クラウジアの魔力と共に。アルテミア、君の犠牲は無駄にはしない!

「よし――これで最後だなあああ!!」

 そして――ゴリョウが最後の一撃を紡ぎあげるものであった。
 オークが倒される。毒の吹き矢で痺れる女騎士が生まれる事も、もう……
 た、多分ないだろう。
「ふぅ……なんだか随分と疲れましたね……ゴリョウさんの手料理が食べたい」
「おっ。そうだな――腹も減ったし食事にすっか? 幸い食料は沢山あるみたいだぜ」
「……一応確認したいんだが、人肉とかじゃないよな?」
 そして一息ついたエルがふと言葉を零せば、ゴリョウが腕を振るわんと食糧庫を見に行くものである――あっ。紫電が当然の疑問を抱くが人肉ではない様だ。普通の牛や鳥である。まともな食材を調理し、皆に振舞おうか。
 ふふっ。皆して攻撃を仕掛けてきた時は驚いたが……腹も満ちれば多少心の余裕も取り戻すだろうと思考して。

「……で、どうしても最後に一つだけ問いたいんだが――
 なんでオークがヒールしてるんです?」
「え、ヒール? 無いわよ、そんなもん」

 ゴリョウの疑問。一応周囲を警戒しながらの――イーリンの返答。
 ……まぁ。なにはともあれ、これにて女騎士救出作戦――成功である!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ゴリョウ・クートン(p3p002081)[重傷]
黒豚系オーク

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!!
 オーク、なんて悪い種族なんだ……!! そして捕まった面々の多さはどうしてなんだ……!?

 なにはともあれ、ありがとうございました!!

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