シナリオ詳細
ヴァル・ベールデ共和国の野望~( ‘ᾥ’ )の襲来~
オープニング
●予告編
これは――混沌世界を震撼させた、海を愛する者たちの物語。
「遂に完成したわ……私の研究が」
無機質な研究室のモニタには、わけのわからないウィンドウがひしめいている。タブ型ブラウザなどこの世に存在しないかのように――親の敵と言わんばかりにごちゃごちゃしている。
そこにはもちろん、きわめて重要な(!)情報が表示されている。
「これで……これでやつらを見返すことができる!」
セクシーなブロンドの美女が端末を操作する。彼女はなぜか水着だ。いわゆるマッドサイエンティストで、このシーンでしか登場しないのでそれ以上の情報は覚えておく必要はない。
円筒形の装置には、海の中でひそかに見つけた謎の海洋生物の卵がおさまっている。
――遺伝子を操作して、最強の鮫を作り出す。それこそ彼女の悲願だった。
これを使えば自分の研究をあざ笑い、愚かにも自分を除名した学会を震撼させることができるだろう。世界が、自分の研究に震えあがるはずだ。
しかし、卵は微動だにしない。
「何かが足りない……どうして? 何が足りていないというの?」
VFX:派手な爆発(特殊効果:派手な爆発)
「誰!? 何なの!?」
突如としてモニターに映し出される、( ‘ᾥ’ )の文字。銃声。現れたのはヴァル・ベールデ共和国の残党、M・Sk。モビル・シャークたち。彼らはアーマードスーツにエンブレムのように( ‘ᾥ’ )を掲げ、装置をたたき割る。
「「( ‘ᾥ’ )に栄光あれ!」」
( ‘ᾥ’ )が与えられた瞬間、眠っていたサメの卵が――ちょっと角度的に予算の都合なのか見えづらいんだけど――ドクン、ドクンとうごめきだした。
あの――。
エイガスキー監督の最新作が――。
イレギュラーズとともに、再びスクリーンに現れる……。
(壮大なBGM)
「紫電! ずっと、ずっとずうっと会いたかったです……♪」
「あのサメは……いえ、あの顔はっ……」
「知ってんのかイーリーン! マジで?」
「そんな……どうして……あなたが……」
「畜生! こうなったら奥の手デス! 射出!」
『オオカミが来たぞーーーーっ!!』
今、解き明かされる真実。
歴史の闇に葬られた、もう一つのストーリー。
仮面の少女の正体とは?
凶悪サメ集団、モビル・シャークたちとイレギュラーズとの知られざる因縁とは?
疼く右手。身に覚えのない( ‘ᾥ’ )。
ハッピーバースデー……( ‘ᾥ’ )。
近日、公開――。
(※予告映像は、製作中の映像とは異なる場合があります)
●
「我が主演俳優たちよぉおお~~~! 銀幕のスターたちよぉおお~~~! 会いたかったーーーー!!!」
一躍、(B級映画界で)時の人となっていたエイガスキー。最近はうっかり締め切り日を間違ってスケジュールが合わなかったり練達のネットアイドルにはまっていたりしたらしい。会いたかったんです。ほんとなんです。時がたつのはあっという間である。
今日は、『海辺でBBQ~ビーチを楽しもう~』という口実……いや、依頼によって、イレギュラーズたちはここ、ビーチに集められることになった。「日頃の感謝を込めて飲み食いするだけでいい、でも何かあったらよろしくお願いします。水着でお願いします」というオーダーには意図的なものを感じないでもないが……。
この男がハプニングと隣り合わせであるのは言うまでもない……。
海にきらめく波が、いくつものさざ波を作り出している。海洋、サンタモナカビーチは、水着の観光客でにぎわっていた。
まぶしい太陽の光を浴びながら、水着で(水着で!)はしゃぐイレギュラーズたち。
「それそれそれ~!」
「やったなわんこ……」
「手加減しねーデスよぉおお!」
「うわっいやちょっとホントに錆びる! 錆びるって! 大丈夫だけど」
わんこ(p3p008288)に水をかけられる紫電・弍式・アレンツァー (p3p005453)の姿を、イーリン・ジョーンズ(p3p000854)はビーチチェアに寝そべって、ほほえましく見守っている。平和な日だ。
なんの疑いもなく、こんな平和な日が続くと――思っていたのだ。
「油断したなー! そおれっ!」
「っととおお!」
水に潜っていたリコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)が後ろからわんこを奇襲する。
「流されないようにね」
「一人だけ無傷とはいかないデスよ!」
「あら、手加減しないわよ?」
「っと、曇ってきたな」
「? おかしいわね、今日一日は晴れって天気予報で――」
( ‘ᾥ’ )
リコリスが渋い顔をしている。
「え?」
「え? なに?」
「え?」
気が付けば、周りの観光客は一様に「( ‘ᾥ’ )」としか言いようのない顔をしているではないか。
「それどうやって発音して……」
( ‘ᾥ’ )
- ヴァル・ベールデ共和国の野望~( ‘ᾥ’ )の襲来~完了
- GM名布川
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2022年06月26日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ヘンな趣味に目覚めたらどうしてくれるんですか!? セキニンとってくれるんですか!?
パッケージには、きゅるんとした瞳の可憐な人狼少女のすがた。
水着のきゃっきゃウフフした元気な可愛い女の子(?)と……バニーガールのナイスバディの女の子……知的美女と、未亡人(?)と、武器持った(?)美少女(?)、……凜とした美形のケモ耳のお兄さんは小さく映ってるのもっと見たいんだけど他作品に出演してたりするだろうか?
すこぶるカワイイ『魔砲少女』はきっと魔法少女の誤植だろう。そうに違いない。
……タイトルにちょっと嫌な予感がよぎらなくもなかったけれど、ワクワクとした気持ちで、DVDの再生をはじめる。
フコーーー…フコーーー…。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
コヒュウゥゥゥゥゥ…
暗い画面。
何かが、こちらに歩み寄ってくる。
無骨な潜水服をまとった人物は、もしかして主要キャラなのか? ペンキでリアルな筋肉が描かれている。光り輝くロゴがクローズアップされていく。
ムキッ!!
ムキッ!!
>>>( ‘ᾥ’ )<<<
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)。
エンタメに全てを捧げた高潔なる狼――。
●夢檻? ここはサメの檻だが?
海の環境映像。でもサメは出ない……。資料映像かな? と思うような映像はあと3回くらい使い回されることだろう。3度読みこのことは忘れよう。
バアアァァァァン!!! と、モデル歩きでビーチを練り歩き、人々の視線を釘付けにするリコリス。サイドチェストが太陽をまぶしく照り返す。
(まさか潜水服を持ってきてるとは思わなかったなぁ……)
『氷狼の誓い』リーディア・ノイ・ヴォルク(p3p008298)は楽しそうなリコリスを眺めていた。リコリスさんが楽しそうなら、それでいいのだ。
「はーーー海だわーー。深緑の決戦とか時間軸とかそんなの無視して海だわーー」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)はビーチに寝そべり、サービスショットを稼いでいた。パッケージは【うみねこ】イーリンだったが【曳波の魔女】なのは視聴者には嬉しい驚きだろう。
「こんな羽を伸ばせるのなんていつぶりかしら。ねえ紫電」
「ああ。夏だ! 海だ! 水着だ!」
『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)は健康的なスクール水着をアレンジしたようなスポーティーな水着だ。
「たまにはこういう依頼もいいわね。命をチップにヒリついたギャンブルも良いけど、何も考えず遊ぶのも日々の疲れを癒すって意味じゃ大事かしら」
「……あ、ソウデスネー!」
「……」
楽しそうな『Joker』城火 綾花(p3p007140)は、棒読みの『犬の一噛み』わんこ(p3p008288)と無言で目をそらした紫電にちょっと「ん?」と思わないでもなかったが、それにしても青い空、白い雲、まぶしい砂浜である。
今日くらいは船に乗り、ゆっくりと海上散歩を楽しむべきだ。
「やっぱり海洋だけあって海が綺麗ねー
こんな所で泳げたらきっと気持ち良さそうなんだけど、あたし……泳げないのよねぇ」
「おやそんな素敵な水着を着ているのに?」
女の子たちを眺めていた『蒼穹の戦神』天之空・ミーナ(p3p005003)が微笑みを向ける。
「あんまり見ないで……。よりにもよって何でこれしか無かったのよぉ……」
綾花に支給されたスク水は小さかった。
ミーナは頷いた。
(いやどう考えても小さいわよ、胸が収まりきってないし! うぅ、妙に視線が刺さる……気のせいよね?)
綾花に釘づけにされたサーファーが波間に落っこちていったが、さぞかし本望であったことだろう……。
水着でキャッキャウフフしてるかわいい女の子達をのんびりと眺めるミーナ。これである。この光景が見たかったのだ。自身もかわいらしいパレオ付きの水着を着こんでいて、カメラには少しだけ手を振ってくれている大人の余裕がある。
「あ、おっちゃん。あの様子撮影してくれ。後でデータ欲しいからよ。え、何に使うかって?ははは、決まってんだろそんなん、言わせんな恥ずかしいって奴だよ」
「イエッサー!」
大人の余裕かこれ?
「それいけイッヌたち!」
「アイアイサー」
フリスビーを放り投げた紫電。わんこは駆け抜けて一回転し、フリスビーをくわえる。リコリスこと( ‘ᾥ’ )はフコーーー…フコーーー…と奇妙な音を立てている。
「……えっ? 二人とも狼だって? いやイッヌだ、誰がなんと言おうとわんことリコリスはイッヌだ。これは決定事項だぞ。ほら( ‘ᾥ’ )そうな顔をしないの。骨ガムあげるから」
ちょっとうれしそうなリコリスであった。
「で、リコリスはなんで潜水服? え? それ水着?」
後方で、これまた派手な一隻の船が進水式をあげていた。
「謎の予算が出たので船を改造してみたのです!」
『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)の破式魔砲クラッカーがお祝いとしてすさまじい音を奏でる。シャンパンの代わりに魔砲を浴びているありさまだ。
「すばらしいド派手さだ! 映画界は君たちを待っていた!」
「キャヒヒ、こちらこそ会いたかったぜマイディレクター! 思う存分楽しませて頂きマス、オーダー通り水着でな!」
「うむ! わんこくん! 素晴らしい!」
活動的で可愛らしい水着をまとって、BBQグリルを思いのままにするわんこ。そしてサメの浮き輪はパッケージの……え、もしかしてサメ要素ってこれか?
焼きそばとタレにつけ込んだ肉をただ、ひたすらに焼いていくわんこであった。じゅううっとおいしそうな煙が上がる。
「超絶ジャンク飯〜。
撮影ならドアップになってる所デスネ!」
1カメ。
「撮影ならドアップになってる所デスネ!!」
2カメ。
テキパキと撮れ高を稼いでいくわんこは飯テロにも余念がない。
「皆とこうして平和の1分1秒が愛おし」
「あれあれー? あれはなんでしょうー?」
グラスを傾けるイーリンの後ろで、どおおん、と激しい竜巻が巻き起こった。ビキッとひきつるイーリン。
ルシアの視線と明らかに恣意的なカメラワークにつられ、紫電は空を見上げる。
「……ん? 空が曇って……」
●超絶ハプニング!(予定調和)
空に浮かぶあれは……なんということだ。サメではないか!
「なんてこった! ボクの肖像権がこんなところで侵害されてる!」
( ‘ᾥ’ )顔でふんすふんすと気合いを入れるリーディア。
「さぁ本命がきたのですよ!」
「本命? 本命って言った?」
聞き返すイーリンの横で、いそいそと何かの準備を始めるルシア。
「……あーはいはい、いつもの展開だな! 悲しいことにもう慣れた! 残党がやたら戦力充実させてることにも! クソッタレ、この機にイーリンのぺえぺえを間近で堪能しようと思ったのに!」
「映画の撮影をしていたのか。どうりで彼女達が妙に芝居がかった言い回しをしていたわけだね」
納得し、バーベキューの道具とスイカ割の道具をおいてカメラから離れるリーディア。
「ノンノン! 撮れ高撮れ高!」
「済まないが撮られるのは苦手でね……それに私は舞台に立つような者じゃないよ」
画面の前の視聴者は貴重なカットをコマ送りで寄せ集めて楽しんでいるに違いない。
「しかも今回は( ‘ᾥ’ )ザメだと!?」
「知っているのデスか紫電サマ!」
「え、何なのあたし全然知らないんだけど!?
変な集団に竜巻まで起こってるし何よりもあの顔っ」
「なんだろうアレ…長いこと狙撃手やってきたつもりだけれどね
あんな鮫見たことないよ。
……鮫? 鮫であっているかな? 心配になってきたな……。
本当になんだろうアレ…あとなんだあの顔……えっ、本当に何……?」
「( ‘ᾥ’)これはなんとしても( ‘ᾥ’ )ザメとついでにモビルシャークもやっつけないといけないよねっ!」
首をかしげる綾花とリーディアの横で、ふんすふんすと突撃姿勢を見せるリコリス。
「え? ( ‘ᾥ’ )ってどう発音してるのかって? そりゃお前、( ‘ᾥ’ )は( ‘ᾥ’ )に決まってんだろお嬢さん」
「いや、発音は聞いてないわよ、名称は何なのよってハナシ!」
「これだ」
手本として( ‘ᾥ’ )を浮かべるリコリス。
「あの……だから、あの顔の名前を……」
「ああ! あれは繁殖期に水着を着てないやつに感染する認識災害だ! 死にたくなければ水着を着ろ!」
「大変だ! 水着を着なくては!」
尺のパワーで、超人的な速度で理解を深めていく仲間たち。綾花は驚愕する。水着、脱げなくなった……。
「ああ、それなら問題ない」
リーディアがコートを脱ぎ捨てると、下にはラッシュガードを着ているのだった。
「もしリコリスさんが溺れたら助けに行こうとね」
跳ねる( ‘ᾥ’ )に、紫電はなけなしの突っ込みを入れた。
「それどんな感情?」
●サメが……来るぞ!
代わり映えのない、平穏な日々。頭を下げてやりすごす日常。そんな男たちのところに、コール音が鳴り響く。
「練達のテレビを付けろ! 今すぐ……っ」
涙ながらに、男たちはディスプレイにしがみつく。
「マジかよ、帰ってきた! 騎兵隊神(キヘガミ)が……っ!」
「あんたらぁああああ!!」
逃げ惑う市民、「俺が守る」とか言いかけたイケメンの頭を踏んでサメ海賊に襲いかかるイーリンであった。
「誰がキヘガミよ。っていうか今回そういう映画じゃないでしょ。サインは後であげ」
「ヒャッハーーー! 水も滴る良いイレギュラーズってなあ!」
サメ海賊のジェット水流をモロに浴びる。ナイス濡れ。イーリンから、ブチっと決定的に何かがキレる音がした。
「そのキレイなサメへの愛とか言うのを吹っ飛ばしてやるわ!!! ウォーオー!」
ビーチボールを打ち上げると、シンプルな脇構えからの切り上げを行う。なお、黒剣は添えるだけである。
「シャークミーーーッ!」と叫び声をあげる海賊をまた足場にし、奪い取ったジェットスキーで舞い上がるイーリン。
「ええいもう、うっとおしいわね!」
綾花のダーティピンポイントが、わずかに竜巻をそらす。……小魚を散らすように逃げていく敵を、なんとかして集めなければならない。こうなればとことん利用してやる。
「皆さん、私ともっとアツい遊びをしてみませんか?」
胸を寄せながら前かがみになると、海賊たちばかりでなくサメも押し寄せてくるのだった。
「おやサメにも魅力がわかるのか」
「よし、波も引いたぞ!」
「フォオオオオッ! 後に続けっ!」
わんこがホバー飛行を試みる。エンジン音が軋みをあげている。
きわどいが、いける。そう、こんなトコロに尺を割いていられるものか。
「( ‘ᾥ’ )ザメとランデブーだ! このままいっけえ! こいよサメ公、( ‘ᾥ’ )なんて捨ててかかってこい……わんこも男だ(?)、来るなら来てみろデス!!」
サーフィンの波と爆発をかいくぐりながら、ノイズに負けじと声を張り上げるわんこ。ボキィ、と、イーリンの攻撃で水上スキーが爆発炎上する。
「今日の私の編成は不殺がついてないから気合で死なないようになさい! 発禁食らったらアウトでしょうが!」
この映画、なんと驚きの映倫:全年齢である。
配給会社はいったい何をしているのか。
大丈夫、倒れた後はなんかマネキンめいている。
「さて。かわいい女の子の楽園を汚す奴は、お仕置きしなきゃならねぇよなぁ?」
ミーナは水と波の上すれすれを水を切るように走ると、どぼんと海へと飛び込んだ。目の前が水しぶきで見えなくても問題はない。聴覚が生きている。美しい霧の氷魔に飲まれて、敵は次々と砕け散る。
「ほーら、大当たりよ!」
綾花の溢れる魔力は巨万の富の如く、波間にきらめいている。
「ええいこうなったら、行くぞ!」
リトルワイバーンに騎乗した紫電のワイバーンはなんか顔が、いや気のせいだ。超新星のスピードが、飛び跳ねるジェットスキーを足場にしてきらめいている。
「あとは( ‘ᾥ’ )ザメの群れを……竜巻で群れだからキリがねえ! しかもなんか見てたら吐き気d」
「紫電……!?」
「gごふっ!?」
紫電の口から、サメのしっぽが飛び出す。
かかってしまったというのか? ( ‘ᾥ’ )に……。
「そんな……っ」
●決死行
カットが変わると負傷具合がだいぶ変わる。
口からサメの尾を吐きながら紫電が告げた作戦はこうだ。
小型船の船尾に鮫を食いつかせ爆破する……。
(……爆破? 攻撃という意味だとおもうがその手筈になっている、筈だね?)
リーディアはいぶかしんだ。
水しぶきにまじり、リーディアの銃弾の雨が降り注ぐ。
「ぐあー!」
「あばー!」
(というより私の愛弟子は、リコリスさんは大丈夫だろうか)
末期症状じゃないのだろうか。いや、あれは、すべての祖だ。水着を失い( ‘ᾥ’ )と化したものたちを避けながら、騎乗用に調教された⊂( ‘ᾥ’ )⊃が羽ばたいて空を飛んでいる。闇夜を駆ける( ‘ᾥ’ )は派手にきらめいている。
「かかってこーい、デスよ! M・Sk! へへん。連中も何人か引き付けて、さらにド派手なパーティを開催デス!」
わんこがぎゅるぎゅると天空を旋回する。
「見せてもらおうか、ジェットストリームシャークとやら……!」
ミーナはタイミングを見計らい、ベストなところで飛翔する。
「だらだらしたカットは罪だぞ、罪」
死神の一撃が――この映画に美しくピリオドを打とうとしている。
「しまった! ( ‘ᾥ’ )ザメに噛まれた部分から潜水服に海水が浸水してもごごがぼがぼがぼ」
親指を立てながら海に沈むリコリス。
「リコリスさん!」
「ああ! リーディアサマーーー! あれっ水着着てるのになんかわんこ顔が変デス( ‘ᾥ’ )」
イーリンが派手なエフェクトを散らす。さっき死んだ敵と同じような敵がいるが、別にクローンだという話ではない。
「準備大丈夫? 船とか爆破とか、予算足りてる?」
「アアーッ! まずいデス! 急にCGがチープに……」
尺が……っ! 予算が……っ!
キィィィン、というハウリングの音に、視聴者は思わず耳をふさいだ。
「っぅ!
うーん、やっぱり音響もう少しいいのにした方がよかったのです? でも予算は魔砲にほぼ全部……ぁー、あー、マイクテストですよー、よし! では改めまして!」
絶体絶命のこのピンチに現れたのは、ルシアだ。
「みなさま~!!」
どどーんと、派手な破式魔砲が宙を舞う。
「今日はサメも空を舞っちゃうぐらい絶好の魔砲日和でしてー!」
キィン、キィンとあたりを薙ぎながら、無数の魔砲クラッカーの光がスポットライトのようにあたりを照らしている。
「今回は(ゴーン)予算がたーっぷり(ゴーン)取れるみたいですので~?(ゴーン)
魔砲火薬超満載できたのでしてー!!」
ドドドドドドドという一斉の爆発があたりをなぎ倒す。
「こういうのが自由に出来るってB級映画様様ですよー!!」
ゴオオオオオ、と光があふれだす。
「いまだ……っ!」
予算が足りなくなったのはこれのせいじゃないのか。
●尺
(ごく少量だけでも破式魔砲並みの音と光(だけ)が出る魔砲火薬!)
突撃するルシア。
「そんな! ルシア!」
「ルシアサマーっ!」
「……っ」
いや、まだだ。仲間を信じて綾花は幸運を祈り続ける。竜巻に飲まれたルシアの船が思い切り竜巻を……さかのぼっている。魔砲の勢いで。
「自らを魔砲に変える! これこそが真の魔砲使いに必要なことでしてーー!!」
「ルシアサマにだけ任せていられようか! ええい、ままよ!」
「最大出力ですー--!」
某アウトソーシングサイトで頼んだロックなBGMを背景に……。
イーリンのカリブルヌスが道を切り開き、ミーナの、只其処爾有罪が絶つ。紫電が剣を振るった方向はデタラメだったが……。ミーナは頷いた。
「さすがだね」
次元を超え、スクリーンに映し出されるド迫力の斬。
「この船にはな……ちょうど火薬樽と酸素ボンベ満載だったんだ! って、くそっ……」
火薬がしけっている。どうすれば、どうすれば。
そうだ。自分にはその手段があるじゃないか、と思い出す。
どどん。
全てを焼き尽くすスクリーンの前では善も悪も、かっこいい技も等しく……。
水面に、( ‘ᾥ’ )が撃ちあがる。
「これって撮影の……え、ホントにアツいってどういう」
「爆発オチなんてサイコー!!!」
綾花の後ろで過激に船が飛び散った。駆け付けた仲間も……水しぶきを上げて。
●SHE IS FINE(大丈夫です)
こうして、ヴァル・ベールデ共和国の野望は食い止められることになったのだ。
しかし( ‘ᾥ’ )はいつでも目の前に現れることだろう……。
爆発音をバックに、それらしいBGMが流れている。壮大なことをひとつやり遂げたような心地になるだろう。NGシーンしかなかった気がするが生意気にNGシーン集が集められている。
「やれやれ、めんどくせぇことばっか起こるもんだな
( ‘ᾥ’ )とか勘弁して欲しいぜ」
ミーナの横で( ‘ᾥ’ )顔をしているリコリス。
「ともかく念の為リコリスさんは医者に診せないと……」
リーディアによって無事に救助されたリコリスであった。
「えっ? お医者さんは嫌……? 済まない、我慢してくれ……おやつ買ってあげるから」
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
戦え、イレギュラーズ。ありがとう、イレギュラーズ。
この世にB級映画がある限り……。
GMコメント
布川です。ご無沙汰しております。
●目標
・日常パート(海ではしゃいでください)
・( ‘ᾥ’ )ザメ、およびM・Sk(モビル・シャーク)の討伐パート
●敵
( ‘ᾥ’ )ザメ
普段は大人しく無害だが、繁殖期になると大群となって竜巻を起こして空を飛び、認識災害を引き起こす。
竜巻を直視した者は( ‘ᾥ’ )顔になり、末期になると( ‘ᾥ’ )となった顔から幼魚を放出し重傷になる。
「……えっ、それを防ぐ方法があるんですか!?」
そう、水着である。水着を着ればよいのである。
M・Sk(モビル・シャーク)×15
「Shark Me~~~!」
機械のスーツに身を包んだ鮫海種の海賊達。サメを信仰している……のか?
水上ジェットスキーを操り、ジェットストリームシャークをかけるぞ!
でもサメの攻撃にも巻き込まれてるぞ! なんなんだこいつら……。
海パンです。でも、スーツの仕様のせいで( ‘ᾥ’ )が張り付いている。
●その辺の人たち
・海辺で水着コンが開催されています。カメラマンが寄ってきたりフラグを立てています。
・なんてことだ。肝試しにきた大学生が曰くありげな祠に落書きをしようとしています。
彼らは特殊な訓練を受けていないためにやめてくださいしんでしまいます。
●やること
・日常パート
・サメパート
なぜか、シーンは平穏に遊んでいるところから始まります。おかしいな、予定外だったんじゃなかったのか?
BBQやスイカ割りを楽しんでください。
唐突にミュージックビデオが挟まったり研究所で何らかの生命体がぼこぼこ言ってるシーンとかも挟まるかもしれません。
そうしているととにかくサメ集団が現れます。ボコりましょう。
●NPC
ビーキュウ・エイガスキー
「撮れ高を! よろしく頼むよ!」
B級映画界でいろいろな意味で名をはせている監督。イレギュラーズの活躍によりサントラだけやたらクオリティが高いなどといわれている。
ビーキュウ・グルメスキー
海ということで焼きそばやとうもろこしを焼いたりしています。
●注意!
水着を着ない、あるいは脱げてしまった場合は重傷をまぬかれません。着るしかありません。
服の下に? 服の下に……服の下か~~~。危ないかもな~~~~~~~。どうかな~~~ちょっとサメに聞いてみないことには……。私のほうからはちょっと……。すみません……。
●情報精度
このシナリオの情報精度はDです。
多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。
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