PandoraPartyProject

シナリオ詳細

噂はしたが呼んでない

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「はいっ、というわけでー不審者対策訓練、開始しまーす。準備はいいかなー」
「「はーい」」
 ホワイトボードへきゅきゅっとタイトルが綴られていく。如月が微笑みながら振り向くと、女子から黄色い声が上がった。ただでさえイレギュラーズと暦たちは練達でも人気者だ。体育館へ集まった児童たちは目をキラキラさせながら三角座りをしてこちらを見上げている。
「しかしまあ、練達らしいっちゃらしい顔ぶれだな。子供たちも人外のほうが多いんじゃないか」
 伏見 行人(p3p000858)が顎をさすりながら児童を見回した。たしかに人間型をしている子のほうが少ない。首が三つあったりするなんてざらだ。
 ここは練達エリア777第十六小学校体育館。
 同じ練達でも再現性東京ではなく、マザーが管理する本来の練達だ。皆が今回相手にしているのはウォーカーばかりで、レベル1のイレギュラーズでもある。しかしあまりに幼いため保護されている、そんな経緯での施設が、本来の練達側へも存在する。
 流星は様々な外見の子供たちを見て呆れた溜息を零した。
「子供たちもそうなら大人だってそう。不審者を見分けるなんて難しくないか?」
「いやいや、不審者ってのは色やら金やらへの執着が飛び抜けているから、ひと目で分かるよ」
「武器商人(p3p001107)ならそれも可能かもしれないが」
 流星(p3p008041)はふくれっつらをして横を向いた。
「そうすねるな、今日は水無月の名代だろう?」
 黒影 鬼灯 (p3p007949)が流星の頬をむにっとつまむ。アーリア・スピリッツ(p3p004400)が反対の頬をつまんだ。
「ああーずるいずるい鬼灯くん。お姉さんにも遊ばせてよぉ」
「やめてください、おいやめろ。よせ」
「流星殿もいやがってることだし、そのへんにしないか」
 すかさずアーマデル・アル・アマル(p3p008599)が入り込み、鬼灯とアーリアをかるく突き放した。頬を抑えて流星が逃れる。
「静かにしようよ。子供たちが授業に集中できてないよ?」
「このままではあなたがたが不審者扱いされてしまいますよ」
 リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)と散々・未散(p3p008200)が場をならす。はーいと引き下がったイレギュラーズ。講義はまだまだ続いていく。


「とにかく、怖いなとか、不気味だな、とおもったら不審者だとおもってまちがいない。すぐに逃げること。道は広くて明るい道をなるべく通ること。いつどこから現れるのかわからないのが不審者だからね」
「それではここで不審者の実例を見ていこうか」
 指を振りながら子供たちへ指導をしている睦月の背後へ、ゆらりと如月が近寄り、睦月の頸へ手を回す。

「トリートメントはしているか」

「おまえ、それ子どもに言うて通じると思ってんのか!」
「教養も必要だろう?」
「なんやねんその一仕事終えました感のドヤ顔! むかつくわあ!」
 長月がいくらキレようと如月はニヤニヤしている。睦月は頭痛を覚えながら続きを促した。
「と、とりあえず如月、次の例を」

「カッターシャツになって、ゴルフのポーズで写真を撮らせてくれ」
「いらないか? ニコニコ笑って、一緒に歌おう」
「なんか大人っぽいですね、困ったときにまた来ますね」

「如月、さっきから実例引用するのやめよう? な?」
「怖いには怖いけどよく考えんとわからんセリフばっかやな……飴ちゃんあげるからついておいででええやん」
「世の中にはいろんな変態がいるってことを知るのもお勉強のうち!」
 憤然としている長月と如月は無視し、睦月はとりあえず講義を進めることにした。
「え、えーと、とにかく、基本的に不審者はとつぜん近寄ってくるので、逃げるときは全力ダッシュで。大きな声をあげるのも効果的だよ。わかったかな?」
「「はーい」」
「とにかく、不審者対策でもっとも大事なことは、『立ち向かわないこと』だ。へたに立ち向かっては命の危険がある。みんなには命を守る行為を最優先してほしい」
「「はーい」」
 なんかいい感じに講義も終わろうとしたそのとき。
 ゴゴゴゴゴゴ……。
 体育館が揺れだした。
「地震?」
「いや違うね」
 行人の言葉に武器商人が首を振る。
「地下ねぇ。あーあ、これから一杯やろうと思ってたのに、つまらないわ」
 アーリアが床へしらけた視線を向け、流星がすばやく床へ這いつくばり耳をあてる。音は大きくなる一方。
「近づいてきます、頭領!」
 地が裂け、床が割れた。モグラ型のロボットの上で立ち上がった男は、七三分け。サングラスにロングスカーフ、靴下。それだけの格好だった。
「フゥハハハハハハ俺はキワ・ドィーン! 子供たちのエナジーをもらいにきたぞ!」
「「不審者だああああああああああ!!!」」
 百戦錬磨のイレギュラーズたちは一瞬で理解した。この男、今でこそスカーフで局部を隠しているがなにかあったらバッチリ☆見えてしまうだろうことを。それが依頼の映像という形で残ってしまうだろう、ということ、を。自分たちの顔つきで。
「なんておそろしいやつ……総員戦闘態勢! 暦は子供たちを守れ!」
 鬼灯が叫ぶ。アーマデルが無言のうちに武器を構え、その腕をくいくいと未散にひっぱられた。
「『不審者』には『立ち向かってはいけない』……」
「それって」
「うん、でも、言っちゃったし、子供たち見てるし」
 リコリスが後ろを親指でゆびさす。瓦礫の奥で子供たちが、興味津々なのを隠そうともせずにこちらを見ている。
「つまり戦闘以外でかたをつけないといけないということか?」
 アーマデルは小さく奥歯を噛み締めた。
「ややっこしいやつだな」

GMコメント

はろーはろーご指名ありがとうございます。みどりです。
この時期の不審者と言えばこうかなって思いました。
皆さんは練達の小学校へ講師として招かれました。その最中に敵が出てきました、普段ならとっくみあいの大げんかになるところですが、教育上子どもたちへそんな姿は見せられません。
なぜかというと……。

やること
1)不審者キワ・ドィーンをなんとかする

子どもたちの怖がる心を吸い取りに来た悪いやつです。なんてやつでしょう。ここは早急にお帰り願いたいところですね。
でも武器は禁止です。暴力も禁止です。立ち向かってはなりません。
だって子供たちにそう言っちゃたからね!

●戦場
広めの体育館です。
キワ>>皆さん>>>>>>暦・子供たち くらいの配置です。
武器を振り回すのにじゅうぶんな広さはありますが、立ち向かってはいけないのです。大事な事なので何度でも言います。

●エネミー
不審者キワ・ドィーン
名前はふざけてますが、実力はあります。その実力を子供たちを怖がらせることに心血注いでいるやつです。ちなみにチラリ☆するたびに見た人のAPがゴリッゴリ削れていきますのでご注意ください。ある意味範囲攻撃と言えるでしょう。
皆さんが自分へ立ち向かわないことを察すると大きく出てきます。

●その他

 今回のゲストはこの3人。皆さんの指示に従います。

睦月
 ご存じ苦労人。がんばるけどどこかからまわっちゃうみんなのお財布係。今回も結局講師を任されている。
如月
 暦の筆頭。なのかな? ドSな面があるけどさすがに子供たちへは手を出さないよ。その代わり同僚にはあらゆる意味において容赦ないよ。
長月
 突っ込みのために存在しているような人物。おつかれさまです。彼、なんかかわいそうな役どころじゃない? でもそれが彼のレゾンデートルなのだ。

  • 噂はしたが呼んでない完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年06月11日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
※参加確定済み※
武器商人(p3p001107)
闇之雲
※参加確定済み※
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
※参加確定済み※
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家
※参加確定済み※
流星(p3p008041)
水無月の名代
※参加確定済み※
散々・未散(p3p008200)
魔女の騎士
※参加確定済み※
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
※参加確定済み※
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
※参加確定済み※

リプレイ

●OP出した時点でなにも考えてませんでした
「ネクタイじゃない……だと……」
『冬隣』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は驚愕した。
「どういうことだ。イシュミルだって風呂上がりにネクタイくらい着ける。いわんや恋人をや。それが紳士の装いというやつではないのか。相手を思っての姿ではないのか。違うのか、違うというのか、俺は騙されていたのか。なにげない日常がいま業火に変わる。ああ第九が聞こえる。反逆のテーマが。裏切ったな! 俺の気持ちを裏切ったな!?」
「ああっアーマデルさんがポエム吐きながら闇落ちしかけています!」
『( ‘?’ )(出ない)』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)がふらつくアーマデルを支えた。アーマデルはガクガク震えながら泡を吹いている。
「ああこれは重症だ。なんてことだ。アーマデル。君の犠牲は忘れない」
『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)が手を合わせる。なんかいまたまたまステシの立ち絵欄が僧侶の姿だからしっくり来る。
『L'Oiseau bleu』散々・未散(p3p008200)がアーマデルの目を閉じさせようとして目隠しに阻まれたし、まあいっかとおもった。
「アーマデルさまは今複雑な精神状態にありますから、汚いものを見せつけないでいただけます?」
「汚いもの? 失礼だなあ君たちは!」
「おおっとぉ!」
 キワがストールを跳ね上げる。そこへ行人はシャイニング精霊を思いっきり投げつけた。股間にダイレクトシュー! された精霊がいやがってぴえんしている。
「股間を光らせるのは任せてくれ! 見えたら駄目なら見えないようにすればいいんだ!」
 無駄に力強い行人の言葉に各自拳を握って返事をする。そして股間を押さえてぷるぷるうずくまっているキワを相手に、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)はため息をついた。
「不審者には立ち向かってはいけないって確かに教えた、教えたけどね!? ちょーっと不審者レベルがこう、斜め上過ぎるわ……」
「だって練達だし」
『闇之雲』武器商人(p3p001107)が短く答える。
「そういえばそうよね。本来的にこっちのノリよねぇ……」
「そうだよぉ。ひとりだけSFやってる国だよぉ」
「パラノイアみたいなのを想像してたら再現性人間砂漠とか出てきてびっくりしたのも記憶に新しいわ」
「なんか再現性いれこんで考えたらマップがめちゃくちゃ広いんだけど島国なんだよねぇ」
「よくわかんないけど、とりあえず目の前のあれをなんとかしなきゃいけないのね、はぁ、イレギュラーズがなんでも屋だからって度がすぎるわ」
「普段であれば元気だなァ……くらいで済ますのだけど、息子くらいのコもいるからねぇ。ちょっとは気を遣うとしよう、うン」
 武器商人は子どもたちへ向けて、コワクナイヨーと手を振った。
 そのころの暦は頭領に怒られていた。『報恩の絡繰師』黒影 鬼灯(p3p007949)が地団太踏んでいる。
「睦月! なんで子供たちに立ち向かっちゃいけませんって言っちゃったのもぉ~!!」
「避難訓練だから当たり前です!」
「まあそうなるな」(スン顔)
「まあ、そうなりますよね」(スン顔)
「長月先生! 去勢は戦闘に入りますか!?」
「血が流れるからダメに決まってるやろおっさん!」
「だってあれ章殿に見せたくない……」
「それはそうだけども宮刑はやりすぎやで」
「ちょっと削ぐぐらいはいいんじゃないか?」
「「タマヒュンした」」
 如月の一言に長月と鬼灯は女の子みたいに内またになった。
「噂をすれば影か」
 ひとりだけシリアスをやっている『黒き断頭台』流星(p3p008041)。
「しかし『水無月殿の名代として』」
 流星はここ大事! と言わんばかりに胸を張った。
「俺にはこの不審者訓練を完璧に熟す責任がある!」
 
●( ‘?’ )(あとでコピペします)
「不審者を見かけたら即110番! 練達の作法だよね、我(アタシ)知ってる」
 というわけでaPhoneから即緊急発信した武器商人だったが……。
「なんだ練達で名高い武器商人さんじゃないですか。ではこれはローレットの依頼ということで正式にお願いします」
「……名声が、徒となる日がこようとは……」(五七五)
 武器商人はaPhoneを握りつぶしそうになった。が、授業をしている小鳥の画像が入ってるのでやめた。ポケットへaPhoneをつっこむと、くるりとキワへ背を向ける。
「いいコのみんなは近くに交番があればそこに逃げ込むのもいいね。ま、今回は暦の指示に従って避難してもらおうね」
「なにおう!? 子どもを避難させるだと、許さん!!」
 キワがモグラ型ロボットを突進させてきた。
「えっ向こうは戦闘仕掛けてくるのかい? 聞いてないよ!」
 武器商人が片手を突き出し、ロボットの先端である巨大なドリルをつかんだ。
「攻撃くらってるだけ! くらってるだけ!」
「戦闘じゃない! セフセフ!」
 行人も加勢していつのまにか現れた審判にアイコンタクトを送る。しばらくして審判がセーフのポーズを取った。胸をなでおろす武器商人と行人。
「こんなことになってしまう前に逃げるってことが大事だよ」
「わかったよ武器商人先生!」
 体を張った指導に子供たちも素直にうなずいた。ドリルでZUTTA☆ZUTAのおててが瞬時に再生していく様子を見せられちゃ、そりゃこの人の言うことはきいとこうとなる。子供は上下関係に敏感なのだ。それにしてもとアーリアがつぶやく。
「こちらから手を出すことも出来ない、下手に出ると攻撃される。もうこうなったらあの手で行くしかないわね。みんな! プランBよ!」
「プランBとは?」
 未散から冷静に返され、アーリアは真っ赤になった。
「これもイベント☆皆で力を合わせて解決しましょう大作戦よ! 口にすると恥ずかしいじゃない!」
「たしかに」
「なんでそんなに冷静なの未散ちゃん、なんかおねーさんだけ盛り上がってるみたいじゃないのよぉ!」
「ええい、さっきからgdgdと、貴様らをひき殺して子供たちからエナジーをゲットしてくれる!」
 キワがまたも突進してき「イヤァァァァァ!! 誰か!! タスケテェェェェェ!!」
「未散ちゃん!? 逃げ足速っ!」
 その場から逃亡していく未散。しかし未散の視線を受け取ったアーリアと行人は一目散にその後を追った。やがて体育倉庫に三人の姿が消えてしまう。
「フハハハ! イレギュラーズといえど我が威光の前にはなすすべもないようだな!」
「調子に乗るなよ、不審者」
 ザっと音がして影が差す。そこに立っていたのは。いつもの格好に「金」と書かれた赤い腹掛けをしたアーマデルだった。これにはちゃんと彼なりに理由があって、正体不明のものと対峙した時の人間心理を組み込んでの行動だ。ヒトは正体を明らかにしようと見知った部分を求める。故郷においてはもっとも個人の特徴が出るのは目であるとされ、それを覆うことで身元を不確かにする。普段から胴を露出している彼はそこを隠せば自分を知るものから識別されまいと思ったのだ。これもすべてはインスタントキャリアを使いたいがため、おそるべし。
「知っているぞ、隠れている割合が高いほどにチラリが眩しく輝くのだと。その点おまえはなんだ、態度はでかいがそれ以外はでかくないな?」
「お前もたいがい不審者だろう。何故ここにいる。不審者同士の狩場がかぶるなど、あってはならないことだ」
「俺はきのこであり、おまえはたけのこであるということか。一度まみえたからには雌雄を決するのは必然。どちらが真の不審者か、決着をつけるか?」
 ゴゴゴゴゴ。不審者同士のオーラが燃え上がる。ストールがひらめくたびにくろねこががんばっている。全裸同然VS腹掛け黒づくめ暗殺者の戦いの火ぶたが切って落とされようとした、そのとき。
「練達警察のものだ! 両手をあげてロボットから降りるんだ!」
 鬼灯の声が響き渡った。
 そこに立っていたのは、おお、いまやまばゆい存在となったミニスカポリス姿の未散、アーリア、鬼灯だった。
「待って俺までミニスカポリスなのなんで」
「統一感があっていいじゃないか、ふふっくっくく」
 ちゃっかり黒スーツに身を固め、サングラスをかけた行人がうつむいて震えている。
「待ってくれ、これは俺の意志じゃないんだ。なんでかしらんがこうなってしまったんだ」
「でも鬼灯くん、今朝ノリノリで衣装作ってたのだわ?」
「章殿それは事実だ。認めよう。同じ作るなら万全を期したいじゃないか。技術というものは経験を積めば積むほど磨かれていくんだ。たとえば一着目と三着目、そこには大きな違いがある。例を上げるなら縫製の詰めの甘さ、ボタンホールのわずかなずれ、ポケットの深さや各種小物のフィット感などなど、やればやるほど作り直したくなるんだ!」
「おっさん、傍から見るとわからんて」
「そういうな長月。その結果俺の分の男性警察官服の布地が足りなくなった。それも認めよう。だが断じてミニスカポリスを着るつもりはなかった。わかってくれ章殿」
「でもおそろいなのだわ鬼灯くん!」
「はい、今日も章殿は可愛い~! おそろい万歳! 章殿がいいって言ったからOK!」
「おっさん……せめてすね毛は処理してほしかったわ」
 おそろいという言葉で一気に機嫌をよくした鬼灯。しかしここは練達、見た目からして化け物ぞろいのウォーカーの国、たかが女装くらいでは振り向いてももらえない。子供たちの反応を見てそれを感じ取った鬼灯はここぞとばかりに章姫と未散、アーリアの3人をaPhoneで撮影しまくる。
「うん、いい出来だ! 我ながらいい出来だ! 未散殿とアーリア殿のスカートの種類を変えつつも丈の長さがそろって見えるよう配慮したのはよかったな。おかげでツーショットが絵になる事絵になる事。それになにより、普段ロングスカートが多い章殿がミニスカというのもたまらないな。章殿のこどもっぽいおみあしとピンヒールのギャップが……!」
「もうそのへんにしとけおっさん! 痛々しくて涙が出てくるわ!」
「頭領、あの、ほんとそのへんで……」
「いいじゃないか長月、睦月、頭領をおどすネタがまた増えるぞ。ちなみに頭領、こだわった部分は?」
「えっ? そうだな動きやすさを最優先にしつつ女性らしい美しいシルエットと、ブルーのコントラストが黒の小物に映えるよう気を使ったつもりだ。アーリア殿はボディラインの魅力を有効活用すべく立体裁断を駆使したワンピース、未散殿はその可憐さを考慮し太めの腰高ベルトとフレアスカートを採用。章殿はもちろん正統派セットアップのタイトスカートで、無線機及び警棒・拳銃などの小物もサイズ感を考えてドールサイズを購入、しかもちゃんと使えるやつだ経費で落ちるよなこれ!? 帽子は女子制帽がスタンダードなところではあるが、あえて角張った旧式アメリカンタイプを採用することでコスプレ独特のおあそび要素を前面に出しつつ小顔効果も期待でき……」
「鬼灯くん、長月さんと睦月さんが泣いているのだわ」
「俺が一体何をした」
「それ素面で言っているのかぃ? だとしたらおそれいるよ」
 鬼灯、底知れぬ男よと、武器商人からお墨付きをいただいた。
「とりあえず今日の事は帰ったら水無月殿へ報告します」
「まってえええええええ、ちくらないで流星ええええええええええええええ!!!」
「(フルシカト)。さあ子供たち、次は実際に校舎まで不審者が入り込んだ場合の避難くんれ……「あああそのセリフお姉さんが言うつもりだったのにいいい「唯一のジャクリーン(27歳・女性・行人のダチコー)の出番がああ「ボクここまで来てまだ一言しかしゃべってないいいいいいいい!!!!」」」
 ひときわ高くリコリスの悲鳴が耳をつんざいた。
「そう言うなよ。俺だってOPくらいしか出番ないよ。だからこのへんでいい格好したいんだ(真顔)」
「抜け駆けは許さない許さないゆすさない! 今日の! ボクは! 警察犬! 狼だけど警察犬! 強くてカッコ良くて忠誠心の高い、国家の犬!! 今日は綺麗なミニスカポリスのおねーさん達と一緒に、へんたいさんをとっちめてやるんだからねっ!」
「ほーらとってこーい」
 流星がアバラ骨を投げた。リコリスが瞳を輝かせながら走り出す。
「あおーーーーーん! わんわんわん!」
 メゴリッッッ!!
「……いま、聞こえてはいけない音、が?」
 怪訝な顔をする流星とキワ。リコリスがゆっくりと振り返った。かみくだかれたアバラ骨の残滓がゆっくりとこぼれおちる。
( ‘?’ )「きさまもこの骨みてぇになりたくなければ大人しく逃げるんだな」
「す、すごい……。これ書いてるやつが手抜きしてるせいで顔文字が担保していた最後の緊張感までなかったことになっている」
 流星はしょんぼりしているリコリスをなでなでしてやると、ちゅ★るの犬用のやつをあげた。
「連携するぞリコリス殿、さあよいこのみんな、避難訓練の再開だ! 上手く出来れば最後はふれあい動物園が待っているぞ!」
「はーい子供のみんなはこっちへ避難だよっ! 今回は特別にゲストを呼んでるんだ! 僕のおともだちこと『発音不可』だよ! さあみんな、星辰の彼方から呼んじゃいけないものを呼ぼう! せーの!!」
「「⊂( ‘ᾥ’ )⊃~~~~!」」(私だってやる時はやりますよ)
「はい、これに乗って校庭まで避難しよう! 『おさない・かけない・しゃべらない』で、順番にね~!」
「そうよみんな、縮めて『お・か・し』よ! よく覚えておこうねぇ~。お姉さんとの約束よ!」
「えっ、リコリスさまとアーリアさまは『お・か・し』ですか? ぼくの背後の地方では『お・す・し』でしたよ?」
「なにその日本酒を一杯やりたくなる標語は?」
「『押さない・素早く・静かに』でしたよ! あっ、ぐぐったらやっぱり地域差あるって! じゃなかった、はいッ! 良い子の皆、皆さまは走りましょうねぇ~!!お姉さんちょーーーーと足が速い(反応425・携行品込み機動力16)けど、みんな着いて来れるかな?」
「すごいやお姉さん! 線分hの上を等速で動く点Pでもそこまで容赦ない速さじゃないよ!」
「どうもありがとう! それじゃあ、よいこの皆とあの不審者が接点tすることは避けないといけないのがわかるかなー?」
「「はーい」」
 子供たちは次々と体育館から脱出していく。
「ま、待て! ここまで来て俺は何のために!? 思えば俺は幼いころから……」
「キワ! 自分語りの尺稼ぎはやめるんだ! ただでさえ鬼灯がノンストップで語りまくったためにもう余白がない!」
 大リーグボールならぬシャイニング精霊を握りしめ、行人は身を挺して子供たちの壁になっている。
「当時6年生だったお姉さんとの集団登校、僻地だった俺にとっては、お姉さんとの二人きりの時間で、思えばあれが俺の初恋だったのかもしれな……」
「やめろって言ってんだろ!」
 キワの局部へ精霊が投げつけられた。おうちに帰りたいと精霊は心底思った。精霊の受難と引き換えに避難は無事に終わり、気がつけば体育館はイレギュラーズとキワだけになっていた。
「よし! では裏切るか!」
「なんだと!?」
「じつは俺はイレギュラーズだったのだ!」
 今頃になって伏線回収に来たアーマデルは腹掛けを豪快に脱ぎ捨てた。
「あらぁ、アーマデルちゃん、いつのまに合流したの?」
「……俺は本当に腹で認識されていたのか」
 アーリアの問いかけにインスタントキャリアの強さを思い知るアーマデル。ていうか、腹のどこらへんが境界線なんだろう。へそとかかなってアーマデルは思った。機会があればへそに絆創膏貼ってみようかとも思った。
「さて」
 流星が冷たい視線をキワへ投げかけた。
「子供たちはいなくなったな。三日天下どころか半日ももたなかったわけだ」
「よいこのみんながいなけりゃ、何をしてもいいよねぇ」
 ニチャアと笑う武器商人。
「どーーーーーしても困ったら最終手段は暴力ですよね」
「じゃあお姉さん、ヒーローショーっぽい演出するからあとはよろしくね」
 にっこり笑う未散とアーリア。
「安心しろ、不殺を使ってやる。俺の慈悲だと思え。ぶっちゃけおまえなんかでヒトゴロシカウント増やすのいやだしな」
「本物の不審者(忍)を舐めるなよ。この変態野郎、おとなしくしろ」
 にじりよるアーマデルと鬼灯。リコリスが喜々としてとどめの一言を叫ぶ。
「よし、顔面にシワを寄せたぞ! ボクの吠え声におそれおのののけ!(原文ママ)」


「んでさァ。事後行動がふれあい動物園と焼肉に分かれてるんだけど、どうしようねぇ。我(アタシ)は動物園がいいと思うんだけど」
 ガムテでぐるぐる巻にしたキワ(はがすとベリー痛い・普通に拷問)を練達警察へ引き渡した武器商人はそう言った。
「章殿が絶対かわいいから動物園に一票」
「俺はどっちでもいい」(アーマデル)
「焼肉! やっきにく!! 狼の血が疼くよ!」
「リコリスちゃんに一芸をさせてみるのはどうかしらあ」
「お巡りさんはパトロールの一環として焼肉屋によります」
「待ってくれよ未散さん、俺も行こう」
「動物園4、焼肉3、棄権1かァ。悩ましいね」
「両方やったらいいのでは? ……なんだその目は、玄と勝は俺の大事な相棒だぞ! 相棒だからなぁ!?」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

アーマデル・アル・アマル(p3p008599)[重傷]
灰想繰切

あとがき

おつかれさまでしたー!

全力で与太りました。いかがでしたか。私が!←重要 楽しかったです。

またのご利用をお待ちしています。

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